説明

階段構造

【課題】 単に昇降するだけの機能ではなく、くつろぎの空間として使用することができる階段を、無駄無く構成することができる階段構造を提供する。
【解決手段】踊り場20を有する階段2が、住宅建物10内の居間11aに面して設けられ、この階段2の踊り場20の1辺にソファ3が設けられた階段構造1である。階段2の手摺り4が透明体41で支承され、踊り場20から透明体41を介して居間11aを見通せるようになされた階段構造1である。段板23、踊り場20、およびソファ3が着脱可能な化粧材23b,20bによって被覆されてなる階段構造1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅建物内の居室に面して設けられる階段構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅建物の階段は、異なった階層間をつなぐために必要不可欠なものとして、いかに安全に、少ない負担で昇降できるかが求められる。そのため、勾配をできるだけゆるくすることで、安全性を高めることができるが、反面、階段の占めるスペースが大きくなり、他の用途に使われるスペースは犠牲になる。つまり、階段は、単なる上下階移動の手段であるから、できるだけスペースは小さくしながら安全性を高めるといった、相反する要素を追求する必要がある。
【0003】
そこで、従来より、このような階段の占めるスペースを有効活用するものとして、階段上り口のスペースを拡張し、この階段下の空間をコミュニティの場として利用するようになされたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−311126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の階段構造の場合、階段下の空間は、上り口を拡張するための充分なスペースが必要となるといった不都合を生じることとなる。
【0005】
また、階段の下の部分がコミュニティの場と一体化しているだけで、階段そのものは単に上下階移動の手段に過ぎないため、くつろぎの空間としては不十分であるといった不都合を生じることとなる。
【0006】
さらに、安全を考慮して勾配をゆるやかにしたり、踊り場を形成したりした場合、階段の上り口を拡張するスペースに加えてさらにスペースが必要となるといった不都合を生じることとなる。
【0007】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであって、単に昇降するだけの機能ではなく、くつろぎの空間として使用することができる階段を、無駄無く構成することができる階段構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の階段構造は、踊り場を有する階段が、住宅建物内の居室に面して設けられ、この階段の踊り場の1辺にソファが設けられたものである。
【0009】
また、階段の手摺りが透明体で支承され、踊り場から透明体を介して居室を見通せるようになされたものである。
【0010】
さらに、段板、踊り場、およびソファが着脱可能な化粧材によって被覆されてなるものである。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように、本発明によると、階段の踊り場をくつろぎの場として使用することができる。
【0012】
また、階段の手摺りを透明体で支承し、踊り場から透明体を介して居室を見通せるようにすることで、踊り場に居ながら居室で過ごしているのと同等の解放感が得られる。
【0013】
さらに、踊り場にくつろぎの場が形成されることにより、階段を昇降する際に休憩することもでき、高齢者が昇降する場合であっても安全に昇降することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は階段構造1の全体構成の概略を示し、図2は同階段構造1の踊り場20部分の断面を示し、図3は同階段構造1を用いた住宅建物10の間取りを示している。
【0016】
すなわち、この階段構造1は、踊り場20を有する階段2が、住宅建物10内の一階11の居間11aに面して設けられ、この階段2の踊り場20の1辺にソファ3が設けられている。
【0017】
階段2は、下階段21と上階段22とを踊り場20でつなぐ折れ階段を形成するようになされている。下階段21は、一階11の居間11aから9枚の段板23を設けて構成されており、10段目は踊り場20を形成するようになされている。この踊り場は約1000mm×1000mmに形成されている。この踊り場20は、下階段21が設けられた辺に隣接する辺から上階段22が設けられている。上階段22は、4枚の段板23を設けて構成されており、5段目が二階12の廊下12aとなされている。
【0018】
ソファ3は踊り場20の上階段22に隣接し、下階段21と対向する辺に面して設けられる。このソファ3は、座面の高さが踊り場20から約400mm、奥行き約900mm、幅約1500mmとなされており、上階段22と対向する辺に沿って設けられている。したがって、踊り場の幅の1000mmから約500mmはみ出した部分は、上階段22に隣接するようになされている。また、このソファ3の上階段22側の端部には、二階12の廊下12aと同高さとなるように肘掛を兼用する棚31が設けられている。このソファ3の大きさとしては、特に限定されるものではないが、大きくなりすぎると、本願発明の階段構造1に要するスペースが、通常の階段に要するスペースからかけ離れ過ぎて中二階を形成するほどの空間が必要になってしまう。したがって、このソファ3の大きさとしては、踊り場20の面積の0.5〜3倍、好ましくは1〜2倍である。踊り場20とソファ3との合計で2m2 〜5m2 、好ましくは3m2 〜4m2 である。
【0019】
階段2の手摺り4は、下階段21の両側と上階段22の両側とに設けられている。踊り場20は、上階段22と対向する辺と、この辺に隣接するソファ3の部分とのみに手摺り4が設けられている。この手摺り4は、厚さ約10mmの強化ガラス41によって支持されている。したがって、踊り場20のソファ3でくつろいでいる状態で、この強化ガラス41を介して一階11の居間11aを見通すことができる。なお、この手摺り4は、強化ガラス41によって支持するようになされているが、この強化ガラス41以外に、ポリカーボネートやその他の透明樹脂などで形成された透明体を用いるものであってもよい。また、このような透明体をソファ3や踊り場20の部分に用いて下階段21や上階段22の部分には通常の手すり壁(図示省略)や手摺り受け(図示省略)を設けるものであってもよい。
【0020】
また、図2に示すように、階段2を構成する下階段21および上階段22の各段板23は、その基材23aの表面に人工皮革や合成皮革などの化粧材23bを被覆して構成されている。これら段板23と同様に、踊り場20も、その記載20aの表面に化粧材20bを被覆して構成されている。これら段板23および踊り場20の基材23a,20a表面に被覆された化粧材23b,20bは、ソファ3の表面に被覆されている化粧材と同じものが用いられている。
【0021】
この階段構造1によると、踊り場20に、さらにソファ3を設けているので、階段2の踊り場20をくつろぎの場として使用することができる。また、この踊り場20は階段2の途中に設けているので、階段2を昇降する際に休憩することもでき、高齢者も安全に昇降することができる。しかも、この階段構造1は、踊り場20の1辺にソファ3を設けただけで、階段2の設置スペースとしてはソファ3の分だけが増える程度なので、容易に設計、施行することができる。
【0022】
また、階段2の手摺り4を透明な強化ガラス41によって支承しているので、踊り場20およびソファ3からは、強化ガラス41を介して居間11aを見通せることとなり、踊り場20に居ながら居間11aで過ごしているのと同等の解放感を得ることができる。
【0023】
なお、本実施の形態において、階段2は、9枚の段板23を設けた下階段21と、4枚の段板23を設けた上階段22との間に踊り場20を設けているが、この踊り場20の位置としては、特にこのような位置に限定されるものではなく、下階段21と上階段22とを同じ長さにして一階11と二階12との略中間位置に踊り場20を設けるものであってもよいし、下階段21よりも上階段22を長く形成して一階11寄りの位置に踊り場20を設けるものであってもよい。
【0024】
また、本実施の形態において、階段構造1は、一階11の居間11aと二階12の廊下12aとに連通しているが、どの居室と連通するかについては、特に限定されるものではなく、一階11で廊下(図示省略)と連通し、二階12で居間(図示省略)と連通するものであってもよい。また、階段構造1は、一階11、二階12ともに廊下に連通させるものであってもよいし、ともに居間に連通させるものであってもよいし、キッチン、ダイニング、和室と連通するものであってもよい。。
【0025】
さらに、本実施の形態において、ソファ3は、二階12の廊下12aとの間に、肘掛を兼用する棚31が設けられているが、図4に示すように、この棚31に相当する部分が吹抜け32になったものであっても良いし、図5に示すように、この棚31に相当する部分も全てソファ3となったものであっても良い。
【0026】
さらに、本実施の形態において、階段2は、折れ階段で構成されているが、この階段2としては、踊り場20を有していれば特にその形状としては、限定されるものではなく、例えば図6に示すように、直階段2であってもよく、図7に示すように、全折れ階段2であってもよい。
【0027】
図4ないし図7において、図1ないし図3と同部材には同符号を付して説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る階段構造は、住宅建物の階段に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)は本発明に係る階段構造の全体構成の概略を示す斜視図、同図(b)は平面図である。
【図2】図1(b)におけるII−II線断面図である。
【図3】(a)は本発明に係る階段構造を設けた住宅建物の一階間取り図、同図(b)は二階間取り図である。
【図4】(a)は本発明に係る階段構造の他の実施の形態を示す斜視図、同図(b)は平面図である。
【図5】(a)は本発明に係る階段構造のさらに他の実施の形態を示す斜視図、同図(b)は平面図である。
【図6】(a)は本発明に係る階段構造のさらに他の実施の形態を示す斜視図、同図(b)は平面図である。
【図7】(a)は本発明に係る階段構造のさらに他の実施の形態を示す斜視図、同図(b)は平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 階段構造
10 住宅建物
11a 居間(居室)
12a 廊下(居室)
2 階段
20 踊り場
20b 化粧材
23 段板
23b 化粧材
3 ソファ
4 手摺り
41 強化ガラス(透明体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
踊り場を有する階段が、住宅建物内の居室に面して設けられ、この階段の踊り場の1辺にソファが設けられたことを特徴とする階段構造。
【請求項2】
階段の手摺りが透明体で支承され、踊り場から透明体を介して居室を見通せるようになされた請求項1記載の階段構造。
【請求項3】
段板、踊り場、およびソファが着脱可能な化粧材によって被覆されてなる請求項1または2記載の階段構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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