説明

集光型太陽光電池モジュール

【課題】 集光型太陽光電池モジュールを提供する。
【解決手段】 基板21、前記基板21の異なる領域の既定位置上にそれぞれ設置された第1電極層22と第2電極層23、前記第1電極層22上に設置された電池24、前記第2電極層23と前記電池24を電気的接続する少なくとも1つの電気接続部25、及び前記基板21上に跨って設置され、前記電池24をその中に位置させるフレーム26を含む集光型太陽光電池モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光型太陽光電池モジュールに関し、特に、内部電池が外界の環境因子の干渉を受けるのを防いで電池の効果を高める電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人口の膨張と商工業の絶え間ない発展により、エネルギー源に対する全世界の要求がますます高まり、且つ従来の化石燃料を採集できる量に限界があり、且つ深刻な環境問題を招くことから、人類は化石燃料に変わるエネルギー源を絶え間なく開発している。その中で太陽エネルギー電池の発展の主な目的は、現在の従来の化石燃料に取り代わるためである。また、太陽エネルギーは、使い果たすことがない利点を有するため、エネルギー源の消耗性の問題を解決できるだけでなく、従来の化石燃料による深刻な環境問題さえも同時に解決することができる。しかしながら、現在発展の太陽エネルギー電池は、光から電気への変換過程で、全ての入射光スペクトルが太陽エネルギー電池に吸収されて、完全に電流に変換できるわけではない。その中の半分前後の光スペクトルは、エネルギーが低すぎるために(半導体のバンドギャップより小さい)電池の出力に対して貢献がなく、残りの半分の吸収された光子は、電子正孔対が必要なエネルギーを生じる以外に、約半分前後のエネルギーが熱として放出される。その中の単結晶シリコンの最高の吸収効率は約20%前後あるだけで、その中のIII−V族半導体の効率は、約40%に達することができる。しかし、太陽エネルギー電池は、最も好ましい発電効果を得るために、長時間、光線が充分な戸外の環境に配置しなければならない。そのため、変わりやすく、好ましくない戸外の環境因子は、太陽エネルギー電池の寿命の短縮と効果の低下を招く。また、電池本体のパッケージ設計と材料の選択もその使用寿命と信頼性に影響を及ぼす主な因子である。
【0003】
図1を参照下さい。従来の太陽エネルギー電池モジュール1の構造断面図である。太陽エネルギー電池12は、大気中のホコリ汚染を受け、戸外環境が電池の効果に影響を及ぼすのを防ぐために、従来の仕方は主に、ポリマー13などの絶縁材料を用いて、基板11上に設置された太陽エネルギー電池12に密封を行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなポリマー13で密封する方式は、ポリマー13の表面形状が太陽光の入射と反射に影響を及ぼすため、仮に密封が良くなければ、太陽エネルギー電池12が入射光スペクトルを吸収する効果に直接、影響を及ぼす。また、ポリマー13が長時間、吸気と接触する状態にある時、湿気を吸収する問題が生じて、絶縁と保護の効果をひどく低下させる可能性があるため、上述の密封方式全てが電池の仕様寿命と効果に影響を及ぼす。
【0005】
よって、本発明は、従来技術の欠点に鑑み、本発明の集光型太陽光電池モジュールを提供する。
【0006】
本発明の主な目的は、集光型太陽光電池モジュールを提供する。電池モジュール内にフレームを設置して、フレーム上に光学素子を設置する。フレーム内のチャンバを用いて太陽エネルギー電池を設置し、チャンバ内に透明接着剤、またはその他の良好な光線透過率と絶縁効果を有するポリマー材料を充填して太陽エネルギー電池と外界の環境因子の接触を阻止することで太陽エネルギー電池の効果を高めることができる。
【0007】
本発明のもう1つの目的は、フレームの高さを制御してフレーム上に設置された光学素子とフレームのチャンバ内の太陽エネルギー電池との間の距離と、平行度のパラメータ等を調整して、電池エネルギー電池の効果を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の集光型太陽光電池モジュールは、基板、複数の電極、電池、少なくとも1つの電気接続部、フレームと、光学素子を含む。電極は、少なくとも第1、第2電極を含み、第1、第2電極は、基板の異なる領域の既定位置上にそれぞれ設置され、第1電極層と第2電極層をそれぞれ形成する。電池は、正、負電極を有し、第1電極層上に設置され、且つ正、負電極の中の第1の電極が第1電極層と電気接続され、電気接続部を用いて第2電極層と電池の第2の電極を電気接続する。また、フレームは、セラミック材料より形成され、基板上に跨って設置され、且つチャンバを有し、上述の電池を前記チャンバ内に位置させる。光学素子はフレームの上方の環形溝上に設置され、光学素子とフレームが構成したチャンバ内に媒体材料を充填、または任意の材料も充填しない。
【0009】
第1電極層と第2電極層の極性は、それとそれぞれ接続された電極の極性と同じであり、且つ第1電極層と第2電極層の極性は相反し、光学素子は、透明保護カバー、ポリマー、レンズ、またはその他の良好な光線透過率を有する光学素子の中の任意の1つであり、媒体材料は、透明接着剤、またはその他の良好な光線透過率と絶縁効果を有するポリマー材料の中の任意の1つであることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の集光型太陽光電池モジュールは、主に基板上にフレームを設置し、フレーム上に光学素子を設置して、太陽エネルギー電池をフレームと光学素子を含むチャンバ内に設置し、チャンバ内に密封プロセスを行う。また、上述の設計は、フレームと光学素子の保護によって、太陽エネルギー電池が周辺環境の水蒸気、腐蝕物、ほこりと接触する機会を下げて全体の外型の美観を高めることができる。また、本発明はフレームの高さを制御することで光学素子と電池間の距離、平行度などのパラメータを調整し、電池が太陽光を受ける効率を改善することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明についての目的、特徴、作用効果が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照にしながら、詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
図2〜図5は、本発明の集光型太陽光電池モジュール2の実施例1を表している。集光型太陽光電池モジュール2は、主に基板21、第1電極層22、第2電極層23、太陽エネルギー電池24、複数の電気接続部25、フレーム26、光学素子27、接合層28と、媒体材料層29より構成される。
【0013】
基板21の材料は、本実施例ではセラミック、サファイア、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、ベリリア(BeO)、またはその他の材料の任意の1つであることができる。基板21の異なる領域の既定の位置上に第1電極層22と第2電極層23をそれぞれ形成し、正極性と負極性(接続されている太陽エネルギー電池24の第1電極、第2電極である正、負電極241、242に依ってその電極を決定)をそれぞれ供給する。また、第1電極層22と第2電極層23は、導線(図示せず)の一端にそれぞれ接続され、太陽エネルギー電池24の電気エネルギーを2つの導線のもう一端が接続された電子装置に伝送して電子装置の運転に必要な電気エネルギーを提供する。しかし、その他の実施例では、第1電極層22が負極性で、第2電極層23が第1電極層22の極性と反対の正極性であることもできる。太陽エネルギー電池24は、正電極241と負電極242を有する。太陽エネルギー電池24は、一種のエネルギー変換の機能を有する光電デバイスであり、主に受けた太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する。太陽エネルギー電池24が従来技術と同じであることから、その構成と発電原理は省略する。太陽エネルギー電池24は、スズはんだ、または導電接着などの方式を用いて第1電極層22上に設置することができる。第1電極層22は、電池の正電極241と電気接続される。太陽エネルギー電池24の負電極242は、複数の電気接続部25によって第2電極層23と電気接続される。第1電極層22と第2電極層23の極性は相反し、第1電極層22とその接続した電池24の電極241の極性は同じであり、第2電極層23とその接続した電池24の電極242の極性は同じである。
【0014】
本実施例のフレーム26は、ほぼ長方形をしたフレーム構造からなるがその他の実施例では、円形、多辺形などのその他の幾何形状からなることもできる。フレーム26は、セラミック材料より形成され、チャンバ261を有する。フレーム26の上方の内周縁は、適当な深さの環形溝262が形成される。フレーム26は、基板21上に跨って設置され、太陽エネルギー電池24をチャンバ261の内部に配置する。
【0015】
光学素子27の材料は、透明保護カバー、ポリマー、反射鏡、レンズまたはその他の良好な光線透過率を有する光学素子であることができ、主に上述の環形溝262内に設置され、チャンバ261を密閉し、且つチャンバ261内に配置された太陽エネルギー電池24を外界の環境因子(例えば周辺環境の水蒸気、腐蝕物、ほこり)と接触する機会を阻止することができる。図6を参照下さい。本発明の実施例2を表している。実施例では、フレーム26上は、環形溝262が設置されなくてもよく、直接、光学素子27をフレーム26上に設置することができる。
【0016】
接合層28は、プリントまたはコーティングなどの方式を用いて基板21の下方に設置することができる。本実施例では、接合層28は、銀ペーストであることができ、その作用は、熱放散シートと接合されて太陽光電池モジュール2が光電変換を行う時に発生する熱を熱放電シートに導くものである。
【0017】
媒体材料層29の材料は、透明接着剤、またはその他の良好な光線透過率と絶縁効果を有するポリマー材料であることができる。媒体材料層29の材料の選択は、光学素子27の屈折率に近い材料である。チャンバ261内の残りの空間は媒体材料で充填され、チャンバ261内に媒体材料層29を形成する。媒体材料層29と光学素子27は、緊密に接合され、太陽エネルギー電池24を同時に覆い、より確実な絶縁と保護の作用を達成する。また、媒体材料層29と光学素子27を緊密に接合する時、両者の屈折率が近くなればなる程、光線の透過率が高くなり、太陽エネルギー電池24の太陽エネルギーを受ける効率が高くなる。
【0018】
図7を参照下さい。本発明の集光型太陽光電池モジュール2の実施例3の断面概略図を表している。この実施例では、チャンバ261内は、任意の媒体材料を用いる必要がなく、チャンバ内部の空気を太陽光の伝導用の媒体とすることもできる。または図8を参照下さい。本発明の実施例4を表しており、チャンバ261内に適当な容量の媒体材料を充填して太陽エネルギー電池24を密封する目的を達成している。
【0019】
よって、本発明の集光型太陽光電池モジュール2は、主に基板21上にフレーム26を設置し、フレーム26上に光学素子27を設置して、太陽エネルギー電池24をフレーム26と光学素子27が構成したチャンバ261内に設置し、チャンバ261内に密封プロセスを行う。また、上述の設計は、フレーム26と光学素子27の保護によって、太陽エネルギー電池24が周辺環境の水蒸気、腐蝕物、ほこりと接触する機会を下げて全体の外型の美観を高めることができる。また、本発明はフレーム26の高さを制御することで光学素子27と電池24間の距離、平行度などのパラメータを調整し、電池24が太陽光を受ける効率を改善することもできる。
【0020】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することは可能である。従って、本発明が保護を請求する範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の太陽光電池モジュールの断面図である。
【図2】本発明の集光型太陽光電池モジュールの実施例1の分解斜視図である。
【図3】本発明の集光型太陽光電池モジュールの実施例1の斜視立図である。
【図4】本発明の集光型太陽光電池モジュールの実施例1の概略平面図である。
【図5】本発明の集光型太陽光電池モジュールの実施例1の概略断面図である。
【図6】本発明の集光型太陽光電池モジュールの実施例2の概略断面図である。
【図7】本発明の集光型太陽光電池モジュールの実施例3の概略断面図である。
【図8】本発明の集光型太陽光電池モジュールの実施例4の概略断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 太陽光電池モジュール
11 基板
12 電池
13 ポリマー
2 太陽光電池モジュール
21 基板
22 電極層
23 電極層
24 電池
241 電極(第1電極)
242 電極(第2電極)
25 電気接続部
26 フレーム
261 チャンバ
262 環形溝
27 光学素子
28 接合層
29 媒体材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、
前記基板の異なる領域の既定位置上にそれぞれ設置された第1電極層および第2電極層と、
前記第1電極層上に設置された電池と、
前記第2電極層と前記電池を電気的接続する少なくとも1つの電気接続部と、
前記基板上に跨って設置され、前記電池を内蔵するフレームを含むことを特徴とする集光型太陽光電池モジュール。
【請求項2】
前記電池は、正、負電極を有し、前記正、負電極の中の第1電極が前記第1電極層と電気接続され、第2電極が前記第2電極層と電気接続され、且つ前記第1電極層と第2電極層の極性は、それぞれ接続された第1電極及び第2電極と同一極性であることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項3】
2つの導線を更に含み、前記2つの導線の一端は、前記第1電極層と第2電極層にそれぞれ電気接続されることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項4】
前記2つの導線のもう一端は、電子装置に電気接続され、前記電池の電気エネルギーを前記電子装置に伝送することを特徴とする請求項3に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項5】
前記電池と第1電極層の接合方式は、スズはんだまたは導電接着の接合方式であることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項6】
前記電池は太陽エネルギー電池であることを特徴とする請求項1または請求項5に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項7】
前記基板は、セラミック、サファイア、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、またはベリリア(BeO)材料からなることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項8】
前記フレーム上に設置された光学素子を更に含み、且つ前記光学素子は、透明保護カバー、ポリマー、反射鏡、レンズ、または良好な光線透過率を有する光学素子からなることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項9】
前記フレームは、長方形、円形、または多辺形であり、且つフレームの上方の内周縁は、前記光学素子をその中に設置する適当な深さの環形溝が形成されることを特徴とする請求項8に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項10】
前記フレームは、チャンバを有するものであることを特徴とする請求項1、請求項8、または請求項9に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項11】
前記フレームは、セラミック材料からなることを特徴とする請求項1、請求項8、または請求項9に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項12】
前記フレーム内に充填され、前記電池を密閉する媒体材料を更に含み、且つ前記媒体材料は、透明接着剤、または良好な光線透過率と絶縁効果を有するポリマー材料からなることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項13】
接合層を更に含み、プリントまたはコーティング方式を用いて前記基板の下方に設置され、熱放散シートと接合されて前記太陽光電池モジュールが光電変換を行う時に発生する熱を前記熱放電シートに導くものであることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽光電池モジュール。
【請求項14】
前記接合層は、銀ペーストであることを特徴とする請求項13に記載の集光型太陽光電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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