説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】集合玄関機にて居住者別のサービス情報の確認と削除を可能とすることにより利便性を高めることができる集合住宅インターホンシステムを提供する。
【解決手段】集合住宅において、制御装置CPUは、認証装置により認証された居住者のサービス情報を玄関機表示部に表示して確認させた後、不要であるサービス情報を削除するための所定の操作がおこなわれたことを検出すると、居室親機サービス情報保持メモリに記憶されたサービス情報を削除するためのサービス情報削除信号を送出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅インターホンシステムに係わり、特にサービス情報の削除に際して、集合住宅の共用部から居住者の認証を行う際に集合玄関用インターホンにて、居住者別のサービス情報を削除することができる集合住宅インターホンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の集合住宅インターホンシステムとして、来訪者が集合玄関機から呼び出したい居室番号をキー入力し、居室呼び出しを行なって居住者が在宅の場合、居室親機のハンドセットアップにより通話状態に入る集合住宅インターホンシステムにおいて、来訪者が集合玄関機から呼び出したい居室番号をキー入力し、居室呼び出しを行なったとき居住者が留守の場合、集合玄関機の表示画面に来訪者の連絡先の入力を求めるメッセージを表示させ、連絡先をキー入力し、集合玄関機の登録ボタンを押すことにより、その内容をメモリに格納し、居室親機に来客からの連絡先メッセージがあったことをメッセージ表示灯が点滅することにより知らせ、居住者が帰宅後、メッセージ読出ボタンを押すことにより居室親機の表示画面に来訪者の連絡先を表示させるような構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような構成の集合住宅インターホンシステムによれば、来訪者は呼出時において呼び出した居住者が留守の場合には、集合玄関機に設けられる表示画面に出力表示される留守を示すメッセージにより容易に確認することができると共に、その確認時に電話番号等の連絡先を入力し記憶させることができる上、留守時に呼び出された居住者は、帰宅時において居室親機に設けられるメッセージ表示灯の点滅により留守時において来訪者の呼び出しおよびその連絡先の存在を容易に確認することができ、読出操作により記憶されていた電話番号等の連絡先を出力表示させ確認することができることから、帰宅時の居住者に留守時に来客があったこと報知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−341169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような集合住宅インターホンシステムの場合、居住者は自分の住戸に帰らなければ情報の確認をおこなうことができない。また同様に、管理人が荷物を預かっているといった情報についても自分の住戸に帰らなければ確認できず、その情報も居室親機で削除する必要があった。
【0006】
本発明では、このような難点を解決するためになされたものであって、集合玄関機にて居住者別のサービス情報の確認と削除を可能とすることにより利便性を高めることができる集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様である集合住宅インターホンシステムは、集合住宅において、集合住宅の管理者が使用する管理室親機と、エントランスに設置される集合玄関機と、集合玄関機からの呼出に応答し、通話するための各居室に設置された居室親機と、居室親機、集合玄関機、管理室親機をそれぞれ制御するための制御装置と、居室親機ごとに登録された居住者情報に基づいて、居住者の認証を行う認証装置と、から構成され、管理室親機は、荷物を預かったこと等のサービス情報を居住者ごと居室親機に通知するためのサービス情報通知信号を送出する管理室親機CPUを備え、居室親機は、サービス情報通知信号を受信するとサービス情報の内容を記憶する居室親機サービス情報保持メモリを備え、制御装置は、管理室親機から送信されたサービス情報通知信号に基づいて、居室親機ID及びサービス情報の内容を記憶する制御装置サービス情報保持メモリと、認証装置の操作により居室親機IDが付加されたサービス情報確認信号を受信して、制御装置サービス情報保持メモリと照合し、該当するサービス情報を読み出して集合玄関機の玄関機表示部に表示する制御をおこなう制御装置CPUを備える集合住宅インターホンシステムであって、制御装置CPUは、認証装置により認証された居住者のサービス情報を玄関機表示部に表示して確認させた後、不要であるサービス情報を削除するための所定の操作がおこなわれたことを検出すると、居室親機サービス情報保持メモリに記憶されたサービス情報を削除するためのサービス情報削除信号を送出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2の態様である集合住宅インターホンシステムは、集合住宅において、エントランスに設置される集合玄関機と、集合玄関機からの呼出に応答し、通話するための各居室に設置された居室親機と、居室親機、集合玄関機をそれぞれ制御するための制御装置と、居室親機ごとに登録された居住者情報に基づいて、居住者の認証を行う認証装置と、から構成され、外部通信装置は、居住者に通知したい居住者別の荷物の預かったこと等をサービス情報として居室親機に通知するためのサービス情報通知信号を送出する外部通信装置CPUを備え、居室親機は、サービス情報通知信号を受信するとサービス情報の内容を記憶する居室親機サービス情報保持メモリを備え、制御装置は、外部通信装置から送信されたサービス情報通知信号に基づいて、居室親機ID及びサービス情報の内容を記憶する制御装置サービス情報保持メモリと、認証装置の操作により居室親機IDが付加されたサービス情報確認信号を受信して、制御装置サービス情報保持メモリと照合し、該当するサービス情報を読み出して集合玄関機の玄関機表示部に表示する制御をおこなう制御装置CPUを備える集合住宅インターホンシステムであって、制御装置CPUは、認証装置により認証された居住者のサービス情報を玄関機表示部に表示して確認させた後、不要であるサービス情報を削除するための所定の操作がおこなわれたことを検出すると、居室親機サービス情報保持メモリに記憶されたサービス情報を削除するためのサービス情報削除信号を送出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1及び請求項2の発明によれば、管理人から送信されたサービス情報を集合玄関機で確認した場合、当該集合玄関機においてサービス情報の削除操作をすれば、居室親機に記憶されたサービス情報の通知を同時に削除することができるので居住者は帰宅後に再度同じサービス情報を確認したり削除操作したりする必要がなくなり、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態である集合住宅インターホンシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による集合住宅インターホンシステムを適用した好ましい形態の実施例について、図を参照して説明する。
この実施形態による集合住宅インターホンシステムは、図1のブロック図のように、集合住宅の管理者が使用する管理室親機1と、集合住宅のエントランス或いは各階のロビー等に設置された集合玄関機2と、集合玄関機からの呼出により来訪者と応答するための各住戸に設置された居室親機3と、居室親機3ごとに登録された居住者情報に基づいて、居住者の認証を行う認証装置5と、管理室親機1、集合玄関機2、居室親機3及び認証装置5を接続する集合住宅内に設置された制御装置4によって構成される。
【0012】
また、本集合住宅インターホンシステムでは居室親機3への命令が可能な外部通信装置6をその構成に備える場合もあり、管理室親機1の代わりとする場合もある。
【0013】
管理室親機1は、居室親機3を呼び出すための操作や、後述するサービス情報を送信する操作、各種設定をおこなうための管理室親機操作部11と、居室番号の表示やその他の映像、画像が表示される管理室親機表示部12と、制御装置4と通信するための管理室親機IF13と、管理室親機1内の各部を制御するための管理室親機CPU14とから構成されている。
【0014】
集合玄関機2は、居室親機3を呼び出すために居室番号を入力したり、呼び出し操作を行う、また、後述するサービス情報の確認及び削除操作をおこなうための玄関機操作部21と、入力した部屋番号の表示、サービス情報の表示等がなされる玄関機表示部22と、制御装置4と通信するための玄関機IFと、集合玄関機1内の各部を制御するための玄関機CPU24とから構成されている。
【0015】
居室親機3は、管理室を呼び出すための操作、各種設定操作、サービス情報を確認するための操作、確認したサービス情報を削除するための操作等をおこなう居室親機操作部31と、集合玄関機2の図示しないカメラで撮像された来訪者の映像を出画したり、サービス情報を表示するための居室親機表示部32と、サービス情報を受信し、当該サービス情報を記憶する居室親機サービス情報保持メモリ33と、制御装置4と通信するための居室親機IF34と、居室親機3内の各部を制御するための居室親機CPU35とから構成されている。
制御装置4は、サービス情報を受信し、当該サービス情報を記憶する制御装置サービス情報保持メモリ41と、管理室親機1と通信するための第1の制御装置IF42と、集合玄関機2と通信するための第2の制御装置IF43と、居室親機3と通信するための第3の制御装置IF44と、認証装置5と通信するための第4の制御装置IF45と、外部通信装置6と通信するための第5の制御装置IF46と、制御装置4内の各部を制御するための制御装置CPU47とから構成されている。
【0016】
また、管理室親機1と共に、若しくはその代わりに外部通信装置6が接続され、居室親機3を呼び出すための操作や、後述するサービス情報を送信する操作、各種設定をおこなうための外部通信装置操作部61と、居室番号の表示やその他の映像、画像が表示される外部通信装置表示部62と、制御装置4と通信するための外部通信装置IF63と、管理室親機1内の各部を制御するための外部通信装置CPU64とから構成されている。
【0017】
このように構成された集合住宅インターホンシステムについて、以下、動作を説明する。
本実施例においては、宅配業者が留守中の居住者を訪ねた場合を想定して説明する。
【0018】
宅配業者は、訪問先の居住者を呼び出すために集合玄関機2の玄関機操作部21において居室番号を入力すると共に、呼出ボタンを操作する。すると、居室ID情報が付加された呼出信号が生成され、玄関機CPU24から呼出信号が玄関機IF23を介して制御装置4に送信される。制御装置4では第2の制御装置IF43を介して当該呼出信号を受信し、制御装置CPU47の制御により呼出信号を第3の制御装置IF44を介して居室親機3に送信する。
このとき各居室親機3では呼出信号を居室親機IF34を介して居室親機CPU35で受信し、この呼出信号が自居室宛であるかを居室IDを参照して確認する。自居室宛である場合には、図示しないスピーカから呼出音を鳴動すると共に集合玄関機2の図示しないカメラで撮像された映像を同様の経路を介して居室親機3の居室親機表示部32に出画させる。
【0019】
これを確認した居住者は、居室親機操作部31を操作して集合玄関機2と通話をおこなう。
居住者がいない場合、宅配業者は管理室に向かい、荷物を預かってもらう。このとき、管理人は、管理室親機1の管理室親機操作部11を操作してサービス情報を対象の居室親機3に送信する。
具体的には、管理人は管理室親機1の管理室親機操作部11により居室番号を入力し、荷物が届いているというメッセージを入力する。メッセージの入力は予め定められたフォーマットから選択しても良いし、別途入力して都度作成するような構成にしてもよい。
【0020】
このサービス情報には居室IDが付加されており、管理室親機IF13を介して制御装置4に送付され、制御装置4では第1の制御装置IF42を介して制御装置CPU47で受信する。この情報は、制御装置サービス情報保持メモリ41に記憶されると共に、第3の制御装置IF44を介して居室親機3に送信される。居室親機3では、居室親機IF34を介して居室親機CPU35で当該サービス情報を受信し、制御装置4と同様、居室親機サービス情報保持メモリ33に記憶する。
【0021】
このとき、居室親機CPU35は、別途備えられる新着情報LED等を点灯/点滅させるようにして、居住者が帰宅したとき新着情報がある旨を視認させやすくすると好適である。
留守にしていた居住者が帰宅すると、居住者が所持するIDカード等を認証装置5にかざすと、居住者のID情報と認証装置5に予め記憶されたID情報を含む居住者情報とを比較照合し、一致した場合には、制御装置4に当該ID情報を送信する。制御装置4では、第4の制御装置IF45を介して制御装置CPU47で受信し、制御装置サービス情報保持メモリ41からID情報と関連付けられたサービス情報を読み出す。個々では、「管理人室にて荷物を預かっている」というサービス情報が読み出されて、集合玄関機2に送信する。
【0022】
集合玄関機2では、玄関機IF23を介して玄関機CPU24で受信し、玄関機表示部22にサービス情報を表示する。
これを確認した居住者は、玄関機操作部21で所定の操作を行うことで、サービス情報を削除することができる。具体的には、玄関機操作部21では、サービス情報削除ボタンを操作すると、ID情報と共に、該当するサービス情報を特定するサービス情報削除信号を制御装置4に送信する。このサービス情報削除信号は、制御装置CPU47で受信されると、制御装置サービス情報保持メモリ41に記憶している該当するサービス情報を削除すると共に、居室親機3にもサービス情報削除信号を送信する。
【0023】
居室親機3では、居室親機IF34を介して居室親機CPU35でサービス情報削除信号を受信すると、インターホン親機サービス情報保持メモリ33に記憶されたサービス情報を削除する制御をおこなう。これにより、新着LEDの点灯/点滅も消灯させて、新着がない状態に移行させる。
これにより、居住者は集合玄関機2で既に確認したサービス情報を帰宅した後も確認、削除する必要がなく利便性が向上する。
なお、本実施例において、認証装置5を集合玄関機2と別体で構成した例を記載しているが、一体で構成しても同様の効果を奏する。
【0024】
さらに、管理室親機1の代わりに外部通信装置6を用いたものであっても良い。外部通信装置としては、ネットワークを介した機器であり遠隔で操作できるものであったり、管理者用のパーソナルコンピュータ等がそれに相当する。
また、上記実施例において、居室親機サービス上保持メモリ33及び制御装置サービス情報保持メモリ41のサービス情報を削除しているが、制御装置サービス情報保持メモリ41のサービス情報はそのまま保持させてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1・・・管理室親機
11・・・管理室親機操作部
12・・・管理室親機表示部
14・・・管理室親機CPU
2・・・集合玄関機
21・・・玄関機操作部
22・・・玄関機表示部
24・・・玄関機CPU
3・・・居室親機
31・・・居室親機操作部
32・・・居室親機表示部
33・・・居室親機サービス情報保持メモリ
35・・・居室親機CPU
4・・・制御装置
41・・・制御装置サービス情報保持メモリ
47・・・制御装置CPU


【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅において、集合住宅の管理者が使用する管理室親機と、エントランスに設置される集合玄関機と、集合玄関機からの呼出に応答し、通話するための各居室に設置された居室親機と、前記居室親機、前記集合玄関機、前記管理室親機をそれぞれ制御するための制御装置と、前記居室親機ごとに登録された居住者情報に基づいて、居住者の認証を行う認証装置と、から構成され、
前記管理室親機は、荷物を預かったこと等のサービス情報を居住者ごと前記居室親機に通知するためのサービス情報通知信号を送出する管理室親機CPUを備え、
前記居室親機は、前記サービス情報通知信号を受信するとサービス情報の内容を記憶する居室親機サービス情報保持メモリを備え、
前記制御装置は、前記管理室親機から送信されたサービス情報通知信号に基づいて、居室親機ID及びサービス情報の内容を記憶する制御装置サービス情報保持メモリと、前記認証装置の操作により前記居室親機IDが付加されたサービス情報確認信号を受信して、前記制御装置サービス情報保持メモリと照合し、該当するサービス情報を読み出して前記集合玄関機の玄関機表示部に表示する制御をおこなう制御装置CPUを備える集合住宅インターホンシステムであって、
前記制御装置CPUは、前記認証装置により認証された居住者のサービス情報を前記玄関機表示部に表示して確認させた後、不要であるサービス情報を削除するための所定の操作がおこなわれたことを検出すると、前記居室親機サービス情報保持メモリに記憶されたサービス情報を削除するためのサービス情報削除信号を送出することを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
集合住宅において、エントランスに設置される集合玄関機と、集合玄関機からの呼出に応答し、通話するための各居室に設置された居室親機と、前記居室親機、前記集合玄関機をそれぞれ制御するための制御装置と、前記居室親機ごとに登録された居住者情報に基づいて、居住者の認証を行う認証装置と、から構成され、
外部通信装置は、居住者に通知したい居住者別の荷物の預かったこと等をサービス情報として前記居室親機に通知するためのサービス情報通知信号を送出する外部通信装置CPUを備え、
前記居室親機は、前記サービス情報通知信号を受信するとサービス情報の内容を記憶する居室親機サービス情報保持メモリを備え、
前記制御装置は、前記外部通信装置から送信されたサービス情報通知信号に基づいて、居室親機ID及びサービス情報の内容を記憶する制御装置サービス情報保持メモリと、前記認証装置の操作により前記居室親機IDが付加されたサービス情報確認信号を受信して、前記制御装置サービス情報保持メモリと照合し、該当するサービス情報を読み出して前記集合玄関機の玄関機表示部に表示する制御をおこなう制御装置CPUを備える集合住宅インターホンシステムであって、
前記制御装置CPUは、前記認証装置により認証された居住者のサービス情報を前記玄関機表示部に表示して確認させた後、不要であるサービス情報を削除するための所定の操作がおこなわれたことを検出すると、前記居室親機サービス情報保持メモリに記憶されたサービス情報を削除するためのサービス情報削除信号を送出することを特徴とする集合住宅インターホンシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2012−74971(P2012−74971A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219021(P2010−219021)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】