説明

集合住宅監視システム

【課題】 居住者に異常があり警報が発せられた場合に、救助開始時刻を管理人に負担をかけることなく自動的に記録することを目的とする。
【解決手段】 居住者が居ると判断された場合に、所定時間以内に生活センサ4による人体の検出が無いときには、居室制御部1は、居住者に異常があったとして異常信号を出力する。そして、異常信号が出力された後に生活センサ4が人体を検出した場合には、居室制御部1は、居住者の救助が開始されたとして救助開始信号を出力する。管理制御盤20は、救助開始信号を入力した時刻情報を時計装置14から取得して記憶部15に記憶する。これにより救助開始時刻情報が自動的に記録されるので、居住者の家族や管理会社などは、管理人が適切な対応を行ったか否かを判断することができ、管理会社は、管理人が足りているかといった判断をすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多くの高齢者などが居住する集合住宅における集合住宅監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、核家族化などの進行により、高齢者のみが居住する住宅が増えている。また、このような高齢者が居住する部屋を集めて、管理人室などにより管理する集合住宅が知られている。
【0003】
このような集合住宅において、センサなどにより居室内の居住者の動きを検知し、センサによる検知ができない時間が所定時間以上になった場合に、居住者に異常があったと判断して警報を発する集合住宅監視装置が知られている(例えば、特許文献1など)。
【特許文献1】特開昭61−279221号公報
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載の技術では、居住者に異常があったと集合住宅監視装置が判断して警報を発した場合に、実際に管理人など(以下、単に管理人と記載する)が居住者の救助を開始した時間を記録することができない。そのため、居住者の家族や管理会社などは、警報が鳴ってから管理人が救助を開始するまでの時間を把握することができず、管理人が適切な対応を行ったか否かを判断することができないという問題があった。また、管理会社は、このような記録を基に集合住宅を管理するための人手が足りているかどうかといった判断(救助開始までの時間が遅い場合には、人手が足りないといった判断)もできないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、居住者に異常があったと判断されて、警報が発せられた場合に、居住者の救助が開始された時間を管理人に負担をかけることなく自動的に記録することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明では、部屋の外部からの施錠を検出しない場合及び外部からの施錠を検出してから人体の動きを検出する生活センサによる検知があった場合に居住者が在室していると判断し、この状態で生活センサによる検知の無い時間が所定時間以上であるときに居住者に異常があったと判断して警報を出力し、その後の生活センサによる検知を救助開始時刻と判断するようにしている。また、本発明の他の態様によれば、救助開始後に部屋の内部の復旧ボタンが操作された時刻を救助終了時刻と判断するようにしている。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、居住者に異常があったと判断された場合に、管理人などが救助のために部屋に入ったことを生活センサにより検知し、この検知した時刻が救助の開始時刻として自動的に記録されるので、居住者の家族や管理会社などは、管理人が適切な対応を行ったか否かを判断することができる。また、管理会社は、このような記録を基に集合住宅を管理するための人手が足りているかといった判断をすることができる。また、本発明の他の態様によれば、復旧ボタンが操作された時刻が救助の終了時刻として自動的に記録されるので、居住者の家族や管理会社などは、居住者の救助にかかった時間を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による集合住宅監視システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態による集合住宅監視システムは、集合住宅の各居室に設置された居室制御盤10と、管理人室に設置され、各居室を管理する管理制御盤20とを備えて構成されている。また、居室制御盤10は、居室制御部1、電気錠2、タイマ3、生活センサ4、居室インターフェース5を備えて構成されている。また、管理制御盤20は、管理制御部6、居室管理インターフェース7、警報部8、時計装置9、記憶部10を備えて構成されている。
【0009】
居室制御部1は、居室制御盤10の各構成要素を制御するものであり、具体的には、居室内に居住者が居るか居ないかを判定する在不在判定を行う。また、居室制御部1は、居室内に居住者が居る在室モードと居室内に居住者が居ない不在モードとを相互に切り替える。また、居室内の居住者に異常があった場合に、居室制御部1は、居室インターフェース5を介して異常信号を管理制御盤20に送出する。また、居室内の居住者に異常があり救助が開始されたと判断した場合に、居室制御部1は、救助が開始されたことを示す救助開始信号を生成し、居室インターフェース5を介して管理制御盤20に送信する。
【0010】
電気錠2は、居住者が外出する際などに部屋の外部からの操作により玄関ドアの施錠を行うものである。ここで、部屋の外部からの施錠は、部屋の内部からの施錠(サムターンなどを回すことにより行われる)とは区別される。また、電気錠2は、外部からの施錠が行なわれた場合に施錠信号を出力する。タイマ3は、時間を計測するものであり、居室制御部1が後述する在室モードとなったタイミングで計時を開始する。
【0011】
生活センサ4は、居室内の人体の動きを検出するものであり、例えば、パッシブセンサにより構成される。居室内の人体の動きを生活センサ4が検出した場合には、居室内に人が存在する(在室状態)であると考えられる。なお、本実施形態では、生活センサ4を居室内の人体の動きを検出するものとしているが、これに限定されない。例えば、生活センサ4として水量検知センサ(トイレなどに取り付ける)を用いて、一定以上の水の使用により在室状態であることを判断しても良い。その他、生活センサ4としては、様々なセンサを用いることができる。
【0012】
居室インターフェース5は、居室制御盤10と管理制御盤20とを接続するためのインターフェースであり、居室内の居住者に異常があった場合に、異常信号を管理制御盤20に送出すると共に、居室内の居住者に異常があり救助が開始された場合に、救助開始信号を管理制御盤20に送出する。
【0013】
管理制御部11は、管理制御盤20の各構成要素を制御するものであり、具体的には、居室管理インターフェース12が居室制御盤10から異常信号を入力した場合に、警報部5により警報を鳴らす。また、管理制御部11は、居室管理インターフェース12が居室制御盤10から救助開始信号を入力した場合に、時計装置14から時刻情報を取得して、救助開始時刻情報を記憶部15に記録する。
【0014】
居室管理インターフェース12は、管理制御盤20と居室制御盤10とを接続するためのインターフェースであり、異常信号や救助開始信号などを居室制御盤10から受信する。警報部13は、居室管理インターフェースが異常信号を受信して、居住者が身動きの取れない状態であると判断される場合、換言すると居住者に健康上の異常が起こっていると思われる場合に警報を発する。
【0015】
時計装置14は、現在時刻を刻み、現在時刻を示す現在時刻情報を抽出可能に持っている。記憶部15は、居室内の居住者の救助が開始された救助開始時刻情報を記憶するものであり、救助開始時刻情報は、居室を識別するための情報(例えば部屋番号など)や居住者を識別するための情報(例えば居住者氏名など)に関連付けられて記憶されている。
【0016】
このように構成された集合住宅監視システムにおいて、居室の外部から電気錠2が施錠されず、部屋の内部から施錠されていたり、施錠がされていなかったりした場合には、居室制御部1は、居室内に居住者が存在している、在室状態であると判断する。また、居室の外部から電気錠2が施錠されていて、所定時間以内(例えば、12時間以内など)に生活センサ4が人体の動きを検出した場合にも、居室制御部1は、在室状態であると判断する。また、これら以外の場合には、居室制御部1は、不在状態であると判断する。
【0017】
居室制御部1にて在室状態又は不在状態であると判断された場合に、居室制御部1は、居室制御盤10を在室モード又は不在モードに設定して運用する。また、管理制御盤20にて在室状態であるか不在状態であるかを把握したいような場合には、居室制御部1は、在室状態であることを示す在室信号又は不在状態であることを示す不在信号を居室インターフェース5を介して管理制御盤20に送信する。
【0018】
居室制御盤10が在室モードで運用された場合に、タイマ3は、計時を開始する。居室制御部1は、タイマ3が計時を開始してから、生活センサ4による人体の検出を監視する。そして、タイマ3が計時を開始してから所定時間以内(例えば、12時間以内など)に生活センサ4による人体の検出が無い場合には、居室制御部1は、異常信号を生成し、居室インターフェース5を介して管理制御盤20に異常信号を送信する。一方、タイマ3が計時を開始してから所定時間以内に生活センサ4による人体の検出があった場合には、居室制御部1は、タイマ3による計時をリセットして再度計時を開始させる。
【0019】
管理制御盤20が居室制御盤10より異常信号を受信した場合には、管理制御部11は、警報部13を制御して警報を鳴らす。この警報に対して、管理人などは、該当する居室を確認し、居住者を救助するために居室に向かう。ここで、管理人は、管理制御盤20に設けた解錠操作部(図示せず)を用いて該当する居室の玄関ドアを解錠するか、合鍵を用いて該当する居室の玄関ドアを解錠する。
【0020】
そして、管理人が居室内に入ると、居室内に設置された生活センサ4は、管理人を検出する。居室制御部1が異常信号を出力した直後に生活センサ4による人体の検出があった場合には、居室制御部1は、その人体の検出が救助の開始であることを示す救助開始信号を生成して、居室インターフェース5を介して管理制御盤20に送信する。
【0021】
居室管理インターフェース12は、救助開始信号を受信して管理制御部11に送出する。管理制御部11は、救助開始信号を入力すると、時計装置14から現在時刻情報を取得し、居住者の救助が開始された救助開始時刻情報として、部屋番号などと共に記憶部15に記憶する。
【0022】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、居室制御盤10が在室モードであり、居室内に居住者が居ると判断された場合に、所定時間以内に生活センサ4による人体の検出が無いときには、居室制御部1は、居住者に異常があったとして異常信号を出力する。そして、異常信号が出力された後に生活センサ4が人体を検出した場合には、居室制御部1は、異常があったとされる居住者の救助が開始されたとして、救助開始信号を出力する。管理制御盤20は、救助開始信号を入力した時刻情報を時計装置14から取得して記憶部15に自動的に記憶させる。このように、救助の開始時刻情報が自動的に記録されるので、居住者の家族や管理会社などは、管理人が適切な対応を行ったか否かを判断することができる。また、管理会社は、このような記録を基に集合住宅を管理するための人手が足りているかといった判断をすることができる。
【0023】
なお、前述した実施形態では、居住者の救助を完了した救助終了時刻が記録されていないが、これに限定されない。例えば、居室内に設けた復旧ボタンが操作された時刻を救助終了時刻として記憶部15に記憶するようにしても良い。具体的には、図2に示すように、警報が出力された後に、居室内に設けた復旧ボタン6が操作されると、居室制御部1は、救助の完了を示す救助完了信号を生成して管理制御盤20に出力する。管理制御部11は、救助完了信号を入力した時に時計装置14から現在時刻情報を取得して、この時刻情報を救助終了時刻として記憶部15に記憶する。これにより、救助開始時刻と救助終了時刻とが明確になるため、居住者の家族や管理会社などは、居住者の救助にかかった時間を把握することができる。
【0024】
また、前述した実施形態では、居室制御部1やタイマ3が居室内に設けられているが、これに限定されない。例えば、管理人室や、集合住宅内の他の場所に設置されていても良い。同様に、前述した実施携帯では、警報部13や時計装置14、記憶部15が管理人室内に設けられているが、これに限定されない。例えば、集合住宅内の他の場所に設置されていても良い。
【0025】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、多くの高齢者などが居住する集合住宅における集合住宅監視システムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態による集合住宅監視システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による集合住宅監視システムの変形例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
1 居室制御部
2 電気錠
3 タイマ
4 生活センサ
5 居室インターフェース
6 復旧ボタン
10 居室制御盤
11 管理制御部
12 居室管理インターフェース
13 警報部
14 時計装置
15 記憶部
20 管理制御盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室内の人体の動きを検知する生活センサと、
前記居室を外部から施錠する電気錠と、
前記電気錠が施錠されてから前記生活センサが検知されるまでの時間を計測するタイマと、
前記電気錠が施錠された場合に前記居室内に居住者が居ないと判断すると共に前記タイマにより計測されている時間が所定時間時間以内である場合に前記居室内に前記居住者が居ると判断し、前記タイマにより計測されている時間が所定時間を超えた場合に前記居住者に異常が発生したと判断して異常信号を出力して、異常信号を出力した後に前記生活センサが人体の動きを検知すると前記居住者の救助が開始されたことを示す救助開始信号を出力する居室制御部と、
前記居住者に異常が発生したことを報知する警報部と、
前記居住者の救助が開始された時刻を記憶する記憶部と、
現在時刻情報を出力する時計装置と、
前記異常信号を入力した場合に前記警報部を動作させると共に、前記救助開始信号を入力した場合に前記時計装置から前記現在時刻情報を取得し、救助開始時刻情報として前記記憶部に記録する管理制御部と、
を備えたことを特徴とする集合住宅監視システム。
【請求項2】
前記警報部の動作を停止させるための復旧ボタンを備え、
前記復旧ボタンが操作された場合に、前記管理制御部は、前記時計装置から前記現在時刻情報を取得し、前記居住者の救助が終了したことを示す救助終了時刻情報として前記記憶部に記録することを特徴とする請求項1に記載の集合住宅監視システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−33766(P2008−33766A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208283(P2006−208283)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】