説明

集合電池のエンドプレート

【課題】 集合電池のエンドプレートにおいて、メンテナンスの容易化を図ることである。
【解決手段】 エンドプレート20をガラス繊維などを混在させた樹脂により射出成形により成形する。この際、エンドプレート20は、集合電池5を構成する際に各単電池10を拘束するための少なくとも一つの拘束孔42bが形成され、剛性の高い材料により形成され前記拘束孔42bに装着されるカラー50を備える。そして、エンドプレート20は、積層された単電池10に当接する面に、冷却媒体の流路を形成する複数のリブが形成されることが好ましい。更に、複数のリブは、一方向に平行に略等間隔に配列されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合電池のエンドプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の集合電池としては、金属製のエンドプレートを用いるものが提案されている(例えば、特許文献1など)。この集合電池では、単電池を複数積層した両積層端に金属製のエンドプレートを配置し、拘束バンドを用いて拘束して電池パックを構成している。
【0003】
【特許文献1】特開平11−120969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした集合電池では、金属の熱伝導率の高さのためにエンドプレート近傍に配置された単電池は、外気の影響を受けやすく、他の単電池との温度の均一化を図るのが困難であった。また、エンドプレートに当接する単電池は、エンドプレートと単電池間に冷却媒体の流路の形成が困難なために、充放電の際に他の単電池より高温になりやすい場合も生じる。さらに、エンドプレートを金属により形成するから重量化してしまう。
【0005】
本発明の集合電池のエンドプレートは、エンドプレート近傍に配置された単電池の外気の影響を少なくすることを目的の一つとする。また、本発明の集合電池のエンドプレートは、当接する単電池の冷却性能を向上させることを目的の一つとする。さらに、本発明の集合電池のエンドプレートは、軽量化を図ることを目的の一つとする。本発明の集合電池のエンドプレートは、単電池の交換などのメンテナンスの容易化を図ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の集合電池のエンドプレートは、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の集合電池のエンドプレートは、集合電池を構成する際に各単電池を拘束するための少なくとも一つの拘束孔が形成され、剛性の高い材料により形成され前記拘束孔に装着されるカラーを備えるものとすることを要旨とする。
【0008】
こうした本発明の集合電池のエンドプレートにおいて、積層された単電池に当接する面に冷却媒体の流路を形成する複数のリブが形成されてなるものとすることもできる。
【0009】
こうした本発明の集合電池のエンドプレートにおいて、前記複数のリブは、一方向に平行に略等間隔に配列されてなるものとすることもできる。
【0010】
これら各態様を含め本発明の集合電池のエンドプレートにおいて、樹脂により形成されてなるものとすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
上記のように本発明の集合電池のエンドプレートによれば、メンテナンスの容易化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は本発明の一実施例である集合電池のエンドプレート20を当接面22側から見た斜視図であり、図2は図1の実施例のエンドプレート20を裏面である非当接面32側から見た斜視図であり、図3は図1の実施例のエンドプレート20のA−A断面を示す断面図である。
【0013】
実施例のエンドプレート20は、図3に示すように、複数の単電池10を複数積層して構成される集合電池5の両積層端に配置され、ガラス繊維などを混在させた樹脂により射出成形により成形されている。図1および図3に示すように、単電池10の当接面22の表面には単電池10に当接させたときに単電池10間に形成される冷却風の流路12と同様な冷却風の流路26を形成する平行に略等間隔に配置された複数のリブ24が形成されており、図2および図3に示すように、非当接面32の表面には空気による断熱部36を形成する十字形状のリブ34が全面に形成されている。
【0014】
また、実施例のエンドプレート20の外周部には、複数の単電池10により形成された積層体を拘束するための拘束ボルトを通す拘束孔42a〜42fを有するボルト取り付け部40a〜40fが形成されている。図4にボルト取り付け部40bの拡大断面図を示す。図示するように、拘束孔42bには、剛性の高い材料、例えばスチールなどの金属により形成された鍔付きの円管状のカラー50が装着されており、カラー50の中空部に挿入された拘束ボルト52と拘束管54とにより積層体を拘束できるようになっている。
【0015】
以上説明した実施例のエンドプレート20によれば、エンドプレート20を樹脂により形成したので樹脂の断熱作用により、エンドプレート20の近傍、特に当接して配置される単電池10の外気の影響を少なくすることができる。また、樹脂は金属に比して軽いから、エンドプレート20延いては集合電池5の比して軽量化を図ることができる。
【0016】
また、実施例のエンドプレート20によれば、当接面22に冷却風の流路26を形成する複数のリブ24を形成したので、エンドプレート20に当接する単電池10の冷却性能を向上させることができる。
【0017】
さらに、実施例のエンドプレート20によれば、非当接面32に十字形状のリブ34を形成したので、空気による断熱部36の断熱作用によりエンドプレート20の近傍、特に当接して配置される単電池10の外気の影響を少なくすることができる。
【0018】
また、実施例のエンドプレート20によれば、拘束孔42a〜42fに金属製のカラー50を装着したので、かしめによる拘束が不要となり、単電池10の交換などのメンテナンスの容易化を図ることができる。
【0019】
実施例のエンドプレート20では、非当接面32に空気による断熱部36を形成する十字形状のリブ34を形成したが、十字形状以外の形状、例えば断熱部36の断面形状が矩形形状以外の多角形形状や円形形状あるいは楕円形形状などとなるようリブ36を形成するものとしてもよい。また、実施例のエンドプレート20では、カラー50を金属により形成したが、拘束に耐えられる強度があれば如何なる材料により形成してもよい。
【0020】
実施例のエンドプレート20では、当接面22に冷却風の流路26を形成する複数のリブ24を形成すると共に非当接面32に空気による断熱部36を形成する十字形状のリブ34を形成したが、当接面22に複数のリブ24を形成しないものとしたり、非当接面32に十字形状のリブ34を形成しないものとしてもかまわない。
【0021】
実施例のエンドプレート20では、拘束孔42a〜42fにカラー50を装着するものとしたが、拘束孔42a〜42fにカラー50を装着しないものとしても差し支えない。
【0022】
実施例のエンドプレート20では、リブ34により空気による断熱部36を形成するものとしたが、図5の変形例のエンドプレート120に示すように、リブ134と当接したときに閉空間を形成するプレート135を配置するものとしてもよい。この閉空間は、空気による断熱効果のより高い断熱部136を形成するから、エンドプレート120の近傍に配置される単電池110の外気の影響をより少なくすることができる。しかも、プレート135はリブ134と当接して配置されるから、エンドプレート120の強度をより向上させることができる。なお、プレート135の材料として、特に導電性を有する金属や樹脂を用いれば、単電池110からの輻射ノイズを遮断して外部へ与える影響を抑制することができる。
【0023】
実施例のエンドプレート20やその変形例のエンドプレート120では、リブ34により空気による断熱部36を形成し、またはリブ134とプレート135とにより空気による断熱部136を形成するものとしたが、図6の変形例のエンドプレート220に示すように、隣接するリブ234間の空間(溝)に保温部材237(ゲル状の保温剤など)を充填してエンドプレート220の温度を管理するものとしてもよい。このように保温部材237によりエンドプレート220の温度を適切な状態に管理することで、単電池210が外気から受ける影響をより少なくすることができる。なお、リブ234の先端部には、保温部材237をリブ234間の空間内に保持するために、リブ234の先端部と当接するようにプレート235が配置されている。このプレート235は、エンドプレート220の強度を向上させたり、導電性を有する金属や樹脂を材料として用いたときに単電池からの輻射ノイズを遮断したりすることができるのは勿論である。また、こうした保温部材237に代えて、あるいは保温部材237と共にヒータなどを用いてエンドプレート220の温度を積極的に管理することも好適である。
【0024】
本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0025】
以上、上記構成の集合電池のエンドプレートによれば、集合電池を構成する際に各単電池を拘束するための少なくとも一つの拘束孔が形成され、剛性の高い材料により形成され前記拘束孔に装着されるカラーを備えるので、かしめによる拘束が不要となり、単電池の交換が可能なものにすることができる。
【0026】
上記構成の集合電池のエンドプレートによれば、積層された単電池に当接する面に冷却媒体の流路を形成する複数のリブが形成されてなるものとすることもできるので、複数のリブにより積層端の単電池とエンドプレートにより冷却媒体の流路が形成されるから、当接する単電池の冷却性能を向上させることができる。
【0027】
上記構成の集合電池のエンドプレートによれば、樹脂により形成されてなるものとすることもできるので、樹脂の断熱性によりエンドプレート近傍に配置された単電池の外気の影響を少なくすることができると共に金属により形成されたものに比して軽量化を図ることができる。
【0028】
上記構成の集合電池のエンドプレートによれば、積層された単電池に当接する面の裏面に空気による断熱作用を生じさせるリブが形成されてなるので、リブによる空気の断熱作用により、エンドプレート近傍に配置された単電池の外気の影響を少なくすることができる。
【0029】
上記構成の集合電池のエンドプレートによれば、積層された単電池に当接する面の裏面に空気による断熱作用を生じさせるリブは、十字形状に形成されてなるものとすることもできるので、リブを容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例である集合電池のエンドプレート20を当接面22側から見た斜視図である。
【図2】実施例のエンドプレート20を非当接面32側から見た斜視図である。
【図3】図1の実施例のエンドプレート20のA−A断面を示す断面図である。
【図4】ボルト取り付け部40bの断面を拡大して示す拡大断面図である。
【図5】変形例の集合電池のエンドプレート120の断面を示す断面図である。
【図6】変形例の集合電池のエンドプレート220の断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
5 集合電池、10,110,210 単電池、12 冷却風の流路、20,120,220 エンドプレート、22 当接面、24 リブ、26 冷却風の流路、32 非当接面、34,134,234 リブ、135,235 プレート、36,136 断熱部、40a〜40f ボルト取り付け部、42a〜42f 拘束孔、50 カラー、52 拘束ボルト、54 拘束管、237 保温部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単電池を複数積層してなる集合電池の積層端に配置されるエンドプレートであって、
集合電池を構成する際に各単電池を拘束するための少なくとも一つの拘束孔が形成され、
剛性の高い材料により形成され前記拘束孔に装着されるカラーを備えるエンドプレート。
【請求項2】
積層された単電池に当接する面に冷却媒体の流路を形成する複数のリブが形成されてなる請求項1に記載のエンドプレート。
【請求項3】
前記複数のリブは、一方向に平行に略等間隔に配列されてなる請求項2に記載のエンドプレート。
【請求項4】
樹脂により形成された請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエンドプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−115718(P2007−115718A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25261(P2007−25261)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【分割の表示】特願2001−340292(P2001−340292)の分割
【原出願日】平成13年11月6日(2001.11.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000225577)内浜化成株式会社 (21)
【Fターム(参考)】