集塵フィルタおよび集塵装置
【課題】従来の電気式の集塵フィルタおよび集塵装置では、粘着性物質により粉塵の保持力を高めており、粉塵が多く付着し、粘着性が失われた場合には、粉塵の保持力が低下し、再飛散するという課題があった。
【解決手段】複数の内部電極を備えた誘電体からなる粉塵捕集体と、この粉塵捕集体の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体と、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極と粉塵誘導体に直流電圧を印加する電圧電源と、この電圧電源の電圧値と極性を制御する電圧制御装置とを備えたことにより、粉塵を効率的に集塵することができると同時に粉塵の保持力が高いという効果を有し、粉塵の再飛散の可能性の低い集塵フィルタおよび集塵装置を提供できる。
【解決手段】複数の内部電極を備えた誘電体からなる粉塵捕集体と、この粉塵捕集体の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体と、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極と粉塵誘導体に直流電圧を印加する電圧電源と、この電圧電源の電圧値と極性を制御する電圧制御装置とを備えたことにより、粉塵を効率的に集塵することができると同時に粉塵の保持力が高いという効果を有し、粉塵の再飛散の可能性の低い集塵フィルタおよび集塵装置を提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
粉塵を捕集する空気清浄の分野における、集塵フィルタおよび集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の集塵フィルタおよび集塵装置は、集塵用の電極の間に電位差を付与し、荷電した粉塵がクーロン力により、電極に誘引され、衝突することによって捕集される。
【0003】
粉塵の保持力を高めるために、粉塵が捕集される電極の表面に樹脂層を設け、さらに、樹脂層の表面が粘着性を有することで、クーロン力による保持に加え、樹脂表面の粘着力による保持効果も発揮できるようにしたものが従来例として挙げられる。以下、その集塵フィルタおよび集塵装置について図11を参照しながら説明する。
【0004】
図11に示す通り、電圧電源101により、正の電位が付与される2本の放電電極102の間に設けられた、粘着性の樹脂103が表面にコーティングされた受電電極104がアース接続されている。この電極間に電位を付与することにより、電界が発生し、荷電した粉塵はクーロン力により捕集されることとなる。本構成の風上側に粉塵を正の極性に荷電させる装置を設けた場合、粉塵は受電電極104により捕集されることなり、表面の粘着性の樹脂103との結合により、強固な捕集を行うことができる。
【特許文献1】特開平4−193362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の集塵フィルタおよび集塵装置では、粘着性物質により粉塵の保持力を高めており、粉塵が多く付着し、粘着性が失われた場合には、粉塵の保持力が低下し、再飛散するという課題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、粉塵を効率的に捕集すると同時に、粉塵と電極の衝突により発生する電気的な強い付着力で粉塵を保持することが可能な集塵フィルタおよび集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の集塵フィルタおよび集塵装置は、上記目的を達成するために、複数の内部電極を備えた誘電体からなる粉塵捕集体と、この粉塵捕集体の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体と、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極と粉塵誘導体に直流電圧を印加する電圧電源と、この電圧電源の電圧値と極性を制御する電圧制御装置とを備えたものである。
【0008】
また、他の手段は、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極を等間隔に配置したことを特徴とするものである。
【0009】
また、他の手段は、電圧制御装置は、粉塵捕集体内部の隣り合う内部電極に対して極性の異なる電圧を印加することを特徴とするものである。
【0010】
また、他の手段は、電圧制御装置は、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極に、同電位の電圧を印加することを特徴とするものである。
【0011】
また、他の手段は、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が金属であることを特徴とするものである。
【0012】
また、他の手段は、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が導電性インクを印刷したものであることを特徴とするものである。
【0013】
また、他の手段は、粉塵捕集体の誘電体の体積固有抵抗値が、107から1012Ω・cmであることを特徴とするものである。
【0014】
また、他の手段は、粉塵捕集体の誘電体が、合成樹脂であることを特徴とするものである。
【0015】
また、他の手段は、粉塵捕集体の誘電体が、セラミックであることを特徴とするものである。
【0016】
また、他の手段は、粉塵誘導体の導電性材料が金属であることを特徴とするものである。
【0017】
また、他の手段は、粉塵を輸送するための風路と送風機を備え、風路に集塵フィルタを連結したことを特徴とするものである。
【0018】
また、他の手段は、風路の風上側に粉塵を正または負いずれか一方に荷電させる粉塵荷電装置を備えることを特徴とするものである。
【0019】
また、他の手段は、粉塵荷電装置が放電によりイオンを空中に生成させる方式であることを特徴とするものである。
【0020】
また、他の手段は、電圧電源と電圧制御装置により、粉塵誘導体に対して、粉塵荷電装置により荷電させた粉塵と同符号の電圧を印加することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の内部電極を備えた誘電体からなる粉塵捕集体と、この粉塵捕集体の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体と、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極と粉塵誘導体に直流電圧を印加する電圧電源と、この電圧電源の電圧値と極性を制御する電圧制御装置とを備えたことにより、粉塵を効率的に集塵することができると同時に、常に粉塵の保持力を高い状態で維持できるため、粉塵の再飛散の可能性が低いという効果のある集塵フィルタおよび集塵装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の請求項1に記載の集塵フィルタおよび集塵装置は、複数の内部電極を備えた誘電体からなる粉塵捕集体と、この粉塵捕集体の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体と、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極と粉塵誘導体に直流電圧を印加する電圧電源と、この電圧電源の電圧値と極性を制御する電圧制御装置とを備えたものであり、粉塵誘導体に電位を持たせることにより、粉塵誘導体と粉塵捕集体の間に電界が生まれ、荷電した粉塵はクーロン力により粉塵捕集体に誘導される。そして、複数の内部電極に電圧を印加した粉塵捕集体に衝突した粉塵はジョンソン−ラーベック力により捕集されるという作用を有する。
【0023】
また、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極を等間隔に配置したことを特徴としたものであり、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が互いに交差しない構造であるため、内部電極に印加する電圧値や極性を一本ずつ選択できるという作用を有する。
【0024】
また、粉塵捕集体内部の隣り合う内部電極に対して極性の異なる電圧を印加することを特徴としたものであり、粉塵捕集体の複数の内部電極に対して互い違いに正負双極の電位を与えることにより、粉塵捕集体と粉塵の界面に微小の電流が流れやすく、付着力として働くジョンソン−ラーベック力を高めるという作用を有する。
【0025】
また、電圧電源と電圧制御装置により、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極に、同電位の電圧を印加することを特徴としたものであり、粉塵捕集体の複数の内部電極に対して互い違いに、逆極性かつ同電位の電圧を印加することで、粉塵捕集体の電位は巨視的とゼロになるため、粉塵誘導体に印加する電圧の極性で電界ベクトルが決定されるという作用を有する。
【0026】
また、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が金属であることを特徴としたものであり、耐久性に優れるという作用を有する。
【0027】
また、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が導電性インクを印刷したものであることを特徴としたものであり、コストパフォーマンスに優れ、かつ導電性インクのプリント技術により、精度良く複数の内部電極を配置できるという作用を有する。
【0028】
また、粉塵捕集体の誘電体の体積固有抵抗値が、107から1012Ω・cmであることを特徴としたものであり、粉塵捕集体の誘電体に107から1012Ω・cmの範囲の体積固有抵抗値を持つ誘電体を使用することで、粉塵捕集体と粉塵の界面に微小の電流が流れやすくなり、粉塵捕集体が衝突した粉塵を保持するのに十分な強さのジョンソンラーベック力が働くという作用する。
【0029】
また、粉塵捕集体の誘電体が、合成樹脂であることを特徴としたものであり、コストパフォーマンスに優れ、かつ粉塵捕集体の内部に電極を埋め込む工程を容易に行うことができるという作用を有する。
【0030】
また、粉塵捕集体の誘電体が、セラミックであることを特徴としたものであり、耐久性、耐熱性に優れ、かつ体積固有抵抗値が、107から1012cm・Ωのものが豊富に揃っているため、材料調達を容易に行うことができるという作用を有する。
【0031】
また、粉塵誘導体の導電性材料が金属であることを特徴としたものであり、耐久性に優れるという作用を有する。
【0032】
また、粉塵を輸送するための風路と送風機を備え、風路に本発明の集塵フィルタを連結したことを特徴としたものであり、粉塵を効率的に粉塵捕集体に誘引し、粉塵捕集面に衝突した際は、強力な付着力で保持することができる集塵装置が得られるという作用を有する。
【0033】
また、風路の風上側に粉塵を正または負いずれか一方に荷電させる粉塵荷電装置を備えることを特徴としたものであり、粉塵の荷電量を増加させることにより、電場において粉塵が受けるクーロン力を増大させることができ、結果として粉塵捕集体に誘引されやすくなり、集塵効率を高めるという作用を有する。
【0034】
また、粉塵荷電装置が放電によりイオンを空中に生成させる方式であることを特徴としたものであり、粉塵の極性を正または負のいずれか一方に荷電させることができ、かつ粉塵の荷電効率が高いため、電場において粉塵が受けるクーロン力を増大させることができるため、粉塵捕集体に誘引されやすくなり、集塵効率を高めるという作用を有する。
【0035】
また、電圧電源と電圧制御装置により、粉塵誘導体に対して、粉塵荷電装置により荷電させた粉塵と同符号の電圧を印加することを特徴としたものであり、粉塵誘導体に粉塵の極性と同符号の電位を付与する、つまり粉塵が正の電荷を持つ場合、粉塵誘導体の電位を正に、粉塵が負の電荷をもつ場合、粉塵誘導体の電位を負にせしめることにより、粉塵捕集体の電位は巨視的にはゼロであることから、粉塵に対してクーロン力が粉塵捕集体の方向に作用することとなり、効率的に粉塵と粉塵捕集体との衝突を促し、集塵効率を高めるという作用を有する。
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0037】
(実施の形態1)
本発明の請求項1に記載の複数の内部電極1を備えた誘電体2からなる粉塵捕集体3と、粉塵捕集体3の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体4と、粉塵捕集体3内部に備えた複数の内部電極1と粉塵誘導体4に直流電圧を印加する電圧電源5と、この電圧電源5の電圧値と極性を制御する電圧制御装置6とを備えた集塵フィルタ7を図1に示す。複数の内部電極1と粉塵誘導体4は導線8により、電圧制御装置6に接続されており、同様に、電圧制御装置6は導線8により電圧電源5に接続されている。導線8は銅やアルミニウムといった金属の撚り線または単線をテフロン(登録商標)、ポリエステル、シリコンなどにより被覆されたものを用いるのが好ましく、電圧電源5により、高電圧を印加する際には、被覆厚さを大きくする必要がある。
【0038】
本構成における、粉塵の集塵は、粉塵捕集体3への粉塵の誘導、衝突、そして粉塵の付着といった現象から成り立つ。
【0039】
まず、図2を用いて、粉塵9が粉塵捕集体3に誘導され、衝突する原理を示す。
【0040】
電圧電源5、電圧制御装置6により、粉塵捕集体3と粉塵誘導体4に異なる電位を付与することで、粉塵誘導体4と粉塵捕集体3の間に電界10が形成される。その領域を荷電極性を持つ粉塵9が通過することにより、粉塵9はクーロン力11を受けることとなる。例えば、粉塵誘導体4を粉塵捕集体3よりも高い電位にせしめた場合、正の極性をもつ粉塵9は、粉塵捕集体3に向かうクーロン力11を受けることとなり、粉塵捕集体3の方向に誘導される。逆に、粉塵誘導体4を粉塵捕集体3よりも低い電位にせしめた場合、負の極性をもつ粉塵9は、粉塵捕集体3に向かうクーロン力11を受けることとなり、結果的に、粉塵捕集体3の方向に誘引される。
【0041】
このような原理で、粉塵9は粉塵誘導体4により粉塵捕集体3に誘導され、その結果、衝突することとなる。
【0042】
次に、粉塵9が粉塵捕集体3に付着する原理を示す。
【0043】
粉塵捕集体3に衝突した粉塵9に働く付着力として、クーロン力に加え、ジョンソン−ラベック力が存在する。クーロン力は上記の通り、電場内で荷電した粉塵が受けるものであるが、ジョンソン−ラベック力は粉塵9が粉塵捕集体3と衝突した際に発生する微小電流(ジョンソン−ラベック電流)により発生する。
【0044】
図3に示す通り、粉塵捕集体3に衝突した粉塵9は、衝突直前に静電分極により発生した粉塵捕集体3表面の電荷により分極することとなる。粉塵捕集体3の表面と、粉塵9の粉塵捕集面3側は極性の異なる電荷を持つこととなり、これらが接触した際には、微量のリーク電流が流れる。このリーク電流が実効的に付着力として作用し、粉塵捕集体が粉塵を保持することが可能となる。
【0045】
ここで、図4に請求項2から4に記載の粉塵捕集体3の複数の内部電極1の配置間隔が等間隔であり、かつ電圧電源5と電圧制御装置6により、粉塵捕集体3の複数の内部電極1に、極性の異なる同電位の電圧を隣り合う内部電極1に対して互い違いに印加する構成を示し、図5に本構成における粉塵捕集体3の詳細図を示す。
【0046】
ジョンソン−ラベック力は粉塵捕集体3に正または負一方の電位を付与するよりも、正負双極の電位を付与した方が付着力が高い。図5に示すように、粉塵捕集体3における内部電極1を複数配し、かつそれらが交差しないようにすることで、正負両極性の電位を粉塵捕集体3に付与することが可能となる。また、隣り合う内部電極1に極性の異なる同電位を印加することで、粉塵の付着部位が広がり、結果的に粉塵捕集体3による粉塵保持量も高まることとなる。また、粉塵捕集体3の内部電極1は狭い間隔で配置するのが好ましい。
【0047】
以上のような構成における、各構成要素の具体例を以下に記す。
【0048】
粉塵捕集体3は、請求項5に記載の通り、複数の内部電極1として、金属を採用する場合、耐久性、耐熱性に優れる。金属は、銅や金、銀、鉄、アルミニウムといったものから選択することができ、それらを加工して、図5やより内部電極の隣接する距離を長くすることができる図6のような形状にするのが好ましい。
【0049】
また、粉塵捕集体3は、請求項6に記載の通り、複数の内部電極1として、導電性インクを印刷したものを採用する場合、コストパフォーマンスに優れ、かつ導電性インクのプリント技術により、精度良く複数の内部電極1を配置できるという効果を有する。前述の通り、粉塵捕集体3による粉塵保持力を高めるためには、内部電極1を狭い間隔で配置するのが好ましく、導電性インクのプリントはこれを可能にさせる最も有望な手段である。導電性インクは、銀ペーストやカーボンペーストなどの導電性ペーストが含まれるものであれば良く、例えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩ビ系樹脂、フェノール系樹脂などとブレンドしたものでも良い。
【0050】
また、粉塵捕集体3は、請求項7に記載の通り、誘電体の体積固有抵抗値が、107から1012Ω・cmとしたものであり、この範囲の体積固有抵抗値を持つ誘電体は、電流がリークしやすいために、粉塵捕集体と粉塵の間のリーク電流を高め、結果的にジョンソン−ラベック力を高めることとなる。この範囲の体積固有抵抗値を持つ誘電体としては、請求項8、9に記載の通り、合成樹脂やセラミックが挙げられ、例えば合成樹脂では、高耐性、高純度な熱可塑性フッ素重合体のひとつであるポリフッ化ビニリデン (Poly Vinylidine DiFluoride,PVDF)が挙げられる。またセラミックでは、アルミナ、ジルコニア窒化ケイ素、窒化アルミを適切な分量で配合したもの、またはそれらにチタン酸バリウム、チタン酸カリウムなどを焼結補助剤と共に適宜配合しても良い。また、粉塵捕集体において、誘電体の内部に複数の電極を配する方法としては、内部電極を誘電体でコーティングする方法、熱により、電極を内部に埋め込む方法などが挙げられるが特に限定されない。
【0051】
粉塵誘導体4は、請求項10に記載の通り、金属を採用することで、耐久性を高めることができる。金属として例えば、銅やアルミニウムを用いることでイニシャルコストを低減でき、また、ステンレスや金、白金、パラジウムを用いることで腐食が懸念される環境下では耐久性を向上させることができる。
【0052】
電圧電源5は、例えば、安定化電源などを用い、直流電圧を出力するものである。
【0053】
電圧制御装置6としては、電圧電源5の出力値、極性を変えられるものであり、例えば抵抗や極性反転スイッチが挙げられる。
【0054】
以上のような各構成要素の具体例に加え、各構成要素の配置要件として、粉塵捕集体3と粉塵誘導体4は、互いに平行に設置されるのが好ましい。そうすることにより、粉塵捕集体3と粉塵誘導体4の間の電界強度を一定にすることができ、粉塵捕集体3表面に満遍なく粉塵9を誘導することができる。最も集塵効率の良い、粉塵捕集体3と、粉塵誘導体4の形状は板状でありその配置間隔は狭い方が電界強度が高められるため有効的である。
【0055】
(実施の形態2)
図7に、請求項11に記載の、粉塵9を輸送するための風路12と送風機13を備え、風路12に本発明の集塵フィルタ7を連結したことを特徴とする集塵装置14を示す。送風機13を用いて、粉塵9が含まれる空気を集塵フィルタ7に輸送し、そこで粉塵9のみを濾過し、清浄化された空気のみを排出するという機構である。
【0056】
本発明の集塵フィルタ7は前述の通り、粉塵9に働くクーロン力、ジョンソン−ラベック力により集塵が達成されるものであり、クーロン力は荷電量と電界強度を乗じることで与えられることから、粉塵9が持つ荷電量に大きく依存する。つまり、クーロン力が大きく寄与する粉塵9の粉塵捕集体3への誘導は、粉塵9の荷電量が小さいほど困難であるといえる。
【0057】
一般に、空気中に浮遊するホコリや花粉、ダニの死骸、オイルミスト、ヒューム等の粉塵9は正の荷電量を持つとされるが、その荷電量は温湿度等に代表される雰囲気の条件にもよるが、総じて小さいといえる。よって、本構成の集塵装置14において、粉塵9に対して、より大きなクーロン力を作用させて、粉塵捕集体3に粉塵9を誘導するためには、粉塵9の荷電量を増やす装置を集塵フィルタ7の風上側に設置する必要がある。
【0058】
粉塵9の荷電量を増加させる方法は、例えば、樹脂などに衝突させて摩擦による荷電を図る方法や、雰囲気を乾燥させて粉塵9に静電気を帯びさせる方法、超音波などの振動を与えて、空気摩擦により粉塵9を帯電させる方法、光電効果によりイオンを放出させ、それを粉塵9と結合させる方法などが挙げられるが、粉塵9を荷電する極性を制御することが困難である。つまり、ある粉塵9は正に荷電され、またある粉塵9は負に荷電されるという現象が発生すると考えられる。本発明の集塵フィルタ7は、粉塵誘導体4から粉塵捕集体3への一方向の電界10を持っており、このような事態が起こった場合、粉塵誘導体4から粉塵捕集体3へ誘導されず、逆に粉塵捕集体3から粉塵誘導体4へ誘導される粉塵9も存在することとなる。このような事態を防止するためには、請求項12に記載の通り、粉塵9を正または負の一方の極性に荷電する方法を採用する必要がある。
【0059】
請求項13に記載の通り、粉塵荷電装置15が放電によりイオンを空中に生成させる方式である場合、上記の粉塵9の極性の問題は解決される。空気に電気が流れると、以下に示される化学式により、イオンが発生し、イオンと衝突した粉塵9は荷電されることとなる。式中のMは第3体を示す。
【0060】
O2+e→2O+e
O+O2+M→O3+M
O+O3→2O2
O3+e→O2+O+e
図8に、放電によりイオンを空中に生成させる方式の粉塵荷電装置15を示す。
【0061】
高圧電源16に接続した放電電極17、その上下にアース接続した受電電極18を設置し、高圧電源16により放電電極17に高電圧を印加すると、放電電極17と受電電極18の間の空気に放電が起こり、空気が電離された結果、イオンが発生し、放電電極17と受電電極18の間の電界によりイオンが加速されて空気中に放出され、粉塵と結合して粉塵の荷電量が増すという原理である。ただし、放電にはコロナ放電、ストリーマ放電、火花放電等の形態があり、電圧や電極間距離の制御により、最も適切な放電形態に制御する必要がある。最も安全で印加電圧、放電電流値が低いのはコロナ放電であり、放電電極としてタングステンワイヤーを、受電電極としてSUS板を用い、それらの間隔を1cmに設定して、印加電圧5.8kVを放電電極に印加すると、約100μAの放電電流が検出された。風速1.5m/sで大気塵(平均粒径0.75μm)を通過させた結果、荷電量を7.8×10-17Cにまで増大させることができた。
【0062】
図8に示す粉塵荷電装置15の最大の特徴は粉塵9の荷電極性を選択できることにある。図8の構成において、例えば受電電極18をアース接続し、放電電極17に正の高電圧を印加すると、空気の電離によってできたイオンの中で、正のイオンのみが加速され、逆に受電電極18に負の高電圧を印加して、放電電極17をアース接続すると、負のイオンのみが加速されることとなる。よって、粉塵9の荷電極性を正にしたい場合には前者の電圧印加を、負に荷電させたい場合は、後者の電圧印加を行うことで、粉塵9の荷電を制御することが可能となる。
【0063】
図8の構成では、放電電極17、受電電極18は導電性の材料であれば良いが、高圧を印加すること、放電によりオゾンや熱が発生することを考慮すると、耐久性の高い金属が好ましい。例えば、銅やアルミニウム、SUSなどが挙げられるが、耐熱性の観点からはタングステンを用いるのが好ましい。また、放電電極17、受電電極18の形状は板状や、線状でも良いが、電界を集中させて効率的に放電を誘発するためには、針状の電極を用いるのが好ましい。また、放電電極17、受電電極18の距離は狭い方が間の空気の存在による電気抵抗が低いため、高圧電源16による放電電極17への印加電圧も低く抑えることができ、安全性の観点からも好ましいが、スパークが誘発されやすい。スパーク防止対策として、受電電極18表面に体積抵抗値が107Ω・cmオーダーの誘電体を設置する方法が挙げられる。
【0064】
図9は、放電電極17を内部に受電電極18を含む誘電シート19の表面に設置し、パルスジェネレータ20を備えた高圧電源16により放電電極17に高電圧を印加するものである。高圧電源16により、高電圧を出力し、パルスジェネレータ20により、高周波成分に変換して、放電電極17に高周波高電圧を印加する。そうすることで、誘電シート19表面で紫外光を有する安定した放電が発生し、周囲の空気を電離することにより、イオンが発生することとなる。この時に放出されたイオンが粉塵9と結合して、粉塵の荷電量を増加させることとなる。本構成で、放電電極17、受電電極18は例えば、銅やアルミニウム、SUSなどが挙げられるが、耐熱性の観点からはタングステンを用いるのが好ましい。また、誘電シート19としては、樹脂やマイカなどの鉱物を用いると良い。
【0065】
本構成においても、図8の場合と同様に、粉塵9を正または負いずれかの極性に荷電することが可能である。
【0066】
(実施の形態3)
図10に風路12、送風機13に連結した本発明の集塵フィルタ7の風上に、請求項12、13に記載の粉塵荷電手段15を備えた集塵装置を示す。
【0067】
本発明の請求項14に記載の通り、電圧電源5と電圧制御装置6により、粉塵誘導体4に対して、粉塵荷電装置15により荷電させた粉塵9と同符号の電圧を印加することは粉塵に働くクーロン力の向きが一定ということであり、粉塵を最も効果的に粉塵捕集体3へ誘導することができる。以下にその原理を記す。
【0068】
請求項3、4に記載の通り、電圧電源5と電圧制御装置6により、粉塵捕集体3の複数の内部電極1に、極性の異なる等量の電圧を隣り合う内部電極1に対して互い違いに印加することにより、部分的には粉塵捕集体3には電位分布が発生しているものの、巨視的には粉塵捕集体3の電位はゼロであると考えられる。したがって、粉塵9を粉塵捕集体3へ誘導するための電場は、粉塵誘導体4の電位極性によって決定されることとなる。
【0069】
仮に、粉塵荷電装置15によって、正に荷電された粉塵9は、粉塵誘導体4に正の電位が付与された場合に、粉塵捕集体3の向きにクーロン力を受けることとなる。また、粉塵荷電装置15によって、負に荷電された粉塵9は、粉塵誘導体4に負の電位が付与された場合に、粉塵捕集体3の向きにクーロン力を受けることとなる。つまり、粉塵荷電装置15により荷電させる極性と同極性の電位を粉塵誘導体4に付与することにより、粉塵9を粉塵捕集体3へ誘導することが可能となる。
【0070】
上記の構成では、粉塵9が粉塵誘導体4に捕捉されることはほとんどなく、メンテナンスは粉塵捕集体3のみで良い。また、強固な付着力で粉塵捕集体3へ粉塵9を付着することができるため、一度捕集した粉塵9の再飛散の可能性も小さく、安全で快適な空間を作ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の集塵フィルタおよび集塵装置を用いて容易に空中の粉塵を高効率で集塵することができ、かつ集塵した粉塵を強固な付着力で保持できるため、再飛散の危険性が低い。よって、空気清浄機、エアコン、除湿機、加湿器などに代表される空気調和機器に本発明の集塵フィルタおよび集塵装置を取り付けることにより、粉塵の最飛散の危険性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1の集塵フィルタの構成図
【図2】同集塵フィルタの粉塵捕集を示す図
【図3】同集塵フィルタの他の粉塵捕集を示す図
【図4】同集塵フィルタの粉塵捕集体における内部電極への印加電圧パターンを示す図
【図5】同集塵フィルタの粉塵捕集体における内部電極の配置を示す図
【図6】同集塵フィルタの粉塵捕集体における他の内部電極の配置を示す図
【図7】本発明の実施の形態2の集塵フィルタを備えた集塵装置の構成図
【図8】同粉塵荷電装置の構成を示す図
【図9】同粉塵荷電装置の他の構成を示す図
【図10】本発明の実施の形態3の集塵フィルタを装備した集塵装置の構成図
【図11】従来の集塵集塵フィルタの構成図
【符号の説明】
【0073】
1 内部電極
2 誘電体
3 粉塵捕集体
4 粉塵誘導体
5 電圧電源
6 電圧制御装置
7 集塵フィルタ
8 導線
9 粉塵
10 電界
11 クーロン力
12 風路
13 送風機
14 集塵装置
15 粉塵荷電装置
16 高圧電源
17 放電電極
18 受電電極
19 誘電シート
20 パルスジェネレータ
【技術分野】
【0001】
粉塵を捕集する空気清浄の分野における、集塵フィルタおよび集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の集塵フィルタおよび集塵装置は、集塵用の電極の間に電位差を付与し、荷電した粉塵がクーロン力により、電極に誘引され、衝突することによって捕集される。
【0003】
粉塵の保持力を高めるために、粉塵が捕集される電極の表面に樹脂層を設け、さらに、樹脂層の表面が粘着性を有することで、クーロン力による保持に加え、樹脂表面の粘着力による保持効果も発揮できるようにしたものが従来例として挙げられる。以下、その集塵フィルタおよび集塵装置について図11を参照しながら説明する。
【0004】
図11に示す通り、電圧電源101により、正の電位が付与される2本の放電電極102の間に設けられた、粘着性の樹脂103が表面にコーティングされた受電電極104がアース接続されている。この電極間に電位を付与することにより、電界が発生し、荷電した粉塵はクーロン力により捕集されることとなる。本構成の風上側に粉塵を正の極性に荷電させる装置を設けた場合、粉塵は受電電極104により捕集されることなり、表面の粘着性の樹脂103との結合により、強固な捕集を行うことができる。
【特許文献1】特開平4−193362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の集塵フィルタおよび集塵装置では、粘着性物質により粉塵の保持力を高めており、粉塵が多く付着し、粘着性が失われた場合には、粉塵の保持力が低下し、再飛散するという課題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、粉塵を効率的に捕集すると同時に、粉塵と電極の衝突により発生する電気的な強い付着力で粉塵を保持することが可能な集塵フィルタおよび集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の集塵フィルタおよび集塵装置は、上記目的を達成するために、複数の内部電極を備えた誘電体からなる粉塵捕集体と、この粉塵捕集体の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体と、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極と粉塵誘導体に直流電圧を印加する電圧電源と、この電圧電源の電圧値と極性を制御する電圧制御装置とを備えたものである。
【0008】
また、他の手段は、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極を等間隔に配置したことを特徴とするものである。
【0009】
また、他の手段は、電圧制御装置は、粉塵捕集体内部の隣り合う内部電極に対して極性の異なる電圧を印加することを特徴とするものである。
【0010】
また、他の手段は、電圧制御装置は、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極に、同電位の電圧を印加することを特徴とするものである。
【0011】
また、他の手段は、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が金属であることを特徴とするものである。
【0012】
また、他の手段は、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が導電性インクを印刷したものであることを特徴とするものである。
【0013】
また、他の手段は、粉塵捕集体の誘電体の体積固有抵抗値が、107から1012Ω・cmであることを特徴とするものである。
【0014】
また、他の手段は、粉塵捕集体の誘電体が、合成樹脂であることを特徴とするものである。
【0015】
また、他の手段は、粉塵捕集体の誘電体が、セラミックであることを特徴とするものである。
【0016】
また、他の手段は、粉塵誘導体の導電性材料が金属であることを特徴とするものである。
【0017】
また、他の手段は、粉塵を輸送するための風路と送風機を備え、風路に集塵フィルタを連結したことを特徴とするものである。
【0018】
また、他の手段は、風路の風上側に粉塵を正または負いずれか一方に荷電させる粉塵荷電装置を備えることを特徴とするものである。
【0019】
また、他の手段は、粉塵荷電装置が放電によりイオンを空中に生成させる方式であることを特徴とするものである。
【0020】
また、他の手段は、電圧電源と電圧制御装置により、粉塵誘導体に対して、粉塵荷電装置により荷電させた粉塵と同符号の電圧を印加することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の内部電極を備えた誘電体からなる粉塵捕集体と、この粉塵捕集体の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体と、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極と粉塵誘導体に直流電圧を印加する電圧電源と、この電圧電源の電圧値と極性を制御する電圧制御装置とを備えたことにより、粉塵を効率的に集塵することができると同時に、常に粉塵の保持力を高い状態で維持できるため、粉塵の再飛散の可能性が低いという効果のある集塵フィルタおよび集塵装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の請求項1に記載の集塵フィルタおよび集塵装置は、複数の内部電極を備えた誘電体からなる粉塵捕集体と、この粉塵捕集体の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体と、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極と粉塵誘導体に直流電圧を印加する電圧電源と、この電圧電源の電圧値と極性を制御する電圧制御装置とを備えたものであり、粉塵誘導体に電位を持たせることにより、粉塵誘導体と粉塵捕集体の間に電界が生まれ、荷電した粉塵はクーロン力により粉塵捕集体に誘導される。そして、複数の内部電極に電圧を印加した粉塵捕集体に衝突した粉塵はジョンソン−ラーベック力により捕集されるという作用を有する。
【0023】
また、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極を等間隔に配置したことを特徴としたものであり、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が互いに交差しない構造であるため、内部電極に印加する電圧値や極性を一本ずつ選択できるという作用を有する。
【0024】
また、粉塵捕集体内部の隣り合う内部電極に対して極性の異なる電圧を印加することを特徴としたものであり、粉塵捕集体の複数の内部電極に対して互い違いに正負双極の電位を与えることにより、粉塵捕集体と粉塵の界面に微小の電流が流れやすく、付着力として働くジョンソン−ラーベック力を高めるという作用を有する。
【0025】
また、電圧電源と電圧制御装置により、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極に、同電位の電圧を印加することを特徴としたものであり、粉塵捕集体の複数の内部電極に対して互い違いに、逆極性かつ同電位の電圧を印加することで、粉塵捕集体の電位は巨視的とゼロになるため、粉塵誘導体に印加する電圧の極性で電界ベクトルが決定されるという作用を有する。
【0026】
また、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が金属であることを特徴としたものであり、耐久性に優れるという作用を有する。
【0027】
また、粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が導電性インクを印刷したものであることを特徴としたものであり、コストパフォーマンスに優れ、かつ導電性インクのプリント技術により、精度良く複数の内部電極を配置できるという作用を有する。
【0028】
また、粉塵捕集体の誘電体の体積固有抵抗値が、107から1012Ω・cmであることを特徴としたものであり、粉塵捕集体の誘電体に107から1012Ω・cmの範囲の体積固有抵抗値を持つ誘電体を使用することで、粉塵捕集体と粉塵の界面に微小の電流が流れやすくなり、粉塵捕集体が衝突した粉塵を保持するのに十分な強さのジョンソンラーベック力が働くという作用する。
【0029】
また、粉塵捕集体の誘電体が、合成樹脂であることを特徴としたものであり、コストパフォーマンスに優れ、かつ粉塵捕集体の内部に電極を埋め込む工程を容易に行うことができるという作用を有する。
【0030】
また、粉塵捕集体の誘電体が、セラミックであることを特徴としたものであり、耐久性、耐熱性に優れ、かつ体積固有抵抗値が、107から1012cm・Ωのものが豊富に揃っているため、材料調達を容易に行うことができるという作用を有する。
【0031】
また、粉塵誘導体の導電性材料が金属であることを特徴としたものであり、耐久性に優れるという作用を有する。
【0032】
また、粉塵を輸送するための風路と送風機を備え、風路に本発明の集塵フィルタを連結したことを特徴としたものであり、粉塵を効率的に粉塵捕集体に誘引し、粉塵捕集面に衝突した際は、強力な付着力で保持することができる集塵装置が得られるという作用を有する。
【0033】
また、風路の風上側に粉塵を正または負いずれか一方に荷電させる粉塵荷電装置を備えることを特徴としたものであり、粉塵の荷電量を増加させることにより、電場において粉塵が受けるクーロン力を増大させることができ、結果として粉塵捕集体に誘引されやすくなり、集塵効率を高めるという作用を有する。
【0034】
また、粉塵荷電装置が放電によりイオンを空中に生成させる方式であることを特徴としたものであり、粉塵の極性を正または負のいずれか一方に荷電させることができ、かつ粉塵の荷電効率が高いため、電場において粉塵が受けるクーロン力を増大させることができるため、粉塵捕集体に誘引されやすくなり、集塵効率を高めるという作用を有する。
【0035】
また、電圧電源と電圧制御装置により、粉塵誘導体に対して、粉塵荷電装置により荷電させた粉塵と同符号の電圧を印加することを特徴としたものであり、粉塵誘導体に粉塵の極性と同符号の電位を付与する、つまり粉塵が正の電荷を持つ場合、粉塵誘導体の電位を正に、粉塵が負の電荷をもつ場合、粉塵誘導体の電位を負にせしめることにより、粉塵捕集体の電位は巨視的にはゼロであることから、粉塵に対してクーロン力が粉塵捕集体の方向に作用することとなり、効率的に粉塵と粉塵捕集体との衝突を促し、集塵効率を高めるという作用を有する。
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0037】
(実施の形態1)
本発明の請求項1に記載の複数の内部電極1を備えた誘電体2からなる粉塵捕集体3と、粉塵捕集体3の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体4と、粉塵捕集体3内部に備えた複数の内部電極1と粉塵誘導体4に直流電圧を印加する電圧電源5と、この電圧電源5の電圧値と極性を制御する電圧制御装置6とを備えた集塵フィルタ7を図1に示す。複数の内部電極1と粉塵誘導体4は導線8により、電圧制御装置6に接続されており、同様に、電圧制御装置6は導線8により電圧電源5に接続されている。導線8は銅やアルミニウムといった金属の撚り線または単線をテフロン(登録商標)、ポリエステル、シリコンなどにより被覆されたものを用いるのが好ましく、電圧電源5により、高電圧を印加する際には、被覆厚さを大きくする必要がある。
【0038】
本構成における、粉塵の集塵は、粉塵捕集体3への粉塵の誘導、衝突、そして粉塵の付着といった現象から成り立つ。
【0039】
まず、図2を用いて、粉塵9が粉塵捕集体3に誘導され、衝突する原理を示す。
【0040】
電圧電源5、電圧制御装置6により、粉塵捕集体3と粉塵誘導体4に異なる電位を付与することで、粉塵誘導体4と粉塵捕集体3の間に電界10が形成される。その領域を荷電極性を持つ粉塵9が通過することにより、粉塵9はクーロン力11を受けることとなる。例えば、粉塵誘導体4を粉塵捕集体3よりも高い電位にせしめた場合、正の極性をもつ粉塵9は、粉塵捕集体3に向かうクーロン力11を受けることとなり、粉塵捕集体3の方向に誘導される。逆に、粉塵誘導体4を粉塵捕集体3よりも低い電位にせしめた場合、負の極性をもつ粉塵9は、粉塵捕集体3に向かうクーロン力11を受けることとなり、結果的に、粉塵捕集体3の方向に誘引される。
【0041】
このような原理で、粉塵9は粉塵誘導体4により粉塵捕集体3に誘導され、その結果、衝突することとなる。
【0042】
次に、粉塵9が粉塵捕集体3に付着する原理を示す。
【0043】
粉塵捕集体3に衝突した粉塵9に働く付着力として、クーロン力に加え、ジョンソン−ラベック力が存在する。クーロン力は上記の通り、電場内で荷電した粉塵が受けるものであるが、ジョンソン−ラベック力は粉塵9が粉塵捕集体3と衝突した際に発生する微小電流(ジョンソン−ラベック電流)により発生する。
【0044】
図3に示す通り、粉塵捕集体3に衝突した粉塵9は、衝突直前に静電分極により発生した粉塵捕集体3表面の電荷により分極することとなる。粉塵捕集体3の表面と、粉塵9の粉塵捕集面3側は極性の異なる電荷を持つこととなり、これらが接触した際には、微量のリーク電流が流れる。このリーク電流が実効的に付着力として作用し、粉塵捕集体が粉塵を保持することが可能となる。
【0045】
ここで、図4に請求項2から4に記載の粉塵捕集体3の複数の内部電極1の配置間隔が等間隔であり、かつ電圧電源5と電圧制御装置6により、粉塵捕集体3の複数の内部電極1に、極性の異なる同電位の電圧を隣り合う内部電極1に対して互い違いに印加する構成を示し、図5に本構成における粉塵捕集体3の詳細図を示す。
【0046】
ジョンソン−ラベック力は粉塵捕集体3に正または負一方の電位を付与するよりも、正負双極の電位を付与した方が付着力が高い。図5に示すように、粉塵捕集体3における内部電極1を複数配し、かつそれらが交差しないようにすることで、正負両極性の電位を粉塵捕集体3に付与することが可能となる。また、隣り合う内部電極1に極性の異なる同電位を印加することで、粉塵の付着部位が広がり、結果的に粉塵捕集体3による粉塵保持量も高まることとなる。また、粉塵捕集体3の内部電極1は狭い間隔で配置するのが好ましい。
【0047】
以上のような構成における、各構成要素の具体例を以下に記す。
【0048】
粉塵捕集体3は、請求項5に記載の通り、複数の内部電極1として、金属を採用する場合、耐久性、耐熱性に優れる。金属は、銅や金、銀、鉄、アルミニウムといったものから選択することができ、それらを加工して、図5やより内部電極の隣接する距離を長くすることができる図6のような形状にするのが好ましい。
【0049】
また、粉塵捕集体3は、請求項6に記載の通り、複数の内部電極1として、導電性インクを印刷したものを採用する場合、コストパフォーマンスに優れ、かつ導電性インクのプリント技術により、精度良く複数の内部電極1を配置できるという効果を有する。前述の通り、粉塵捕集体3による粉塵保持力を高めるためには、内部電極1を狭い間隔で配置するのが好ましく、導電性インクのプリントはこれを可能にさせる最も有望な手段である。導電性インクは、銀ペーストやカーボンペーストなどの導電性ペーストが含まれるものであれば良く、例えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩ビ系樹脂、フェノール系樹脂などとブレンドしたものでも良い。
【0050】
また、粉塵捕集体3は、請求項7に記載の通り、誘電体の体積固有抵抗値が、107から1012Ω・cmとしたものであり、この範囲の体積固有抵抗値を持つ誘電体は、電流がリークしやすいために、粉塵捕集体と粉塵の間のリーク電流を高め、結果的にジョンソン−ラベック力を高めることとなる。この範囲の体積固有抵抗値を持つ誘電体としては、請求項8、9に記載の通り、合成樹脂やセラミックが挙げられ、例えば合成樹脂では、高耐性、高純度な熱可塑性フッ素重合体のひとつであるポリフッ化ビニリデン (Poly Vinylidine DiFluoride,PVDF)が挙げられる。またセラミックでは、アルミナ、ジルコニア窒化ケイ素、窒化アルミを適切な分量で配合したもの、またはそれらにチタン酸バリウム、チタン酸カリウムなどを焼結補助剤と共に適宜配合しても良い。また、粉塵捕集体において、誘電体の内部に複数の電極を配する方法としては、内部電極を誘電体でコーティングする方法、熱により、電極を内部に埋め込む方法などが挙げられるが特に限定されない。
【0051】
粉塵誘導体4は、請求項10に記載の通り、金属を採用することで、耐久性を高めることができる。金属として例えば、銅やアルミニウムを用いることでイニシャルコストを低減でき、また、ステンレスや金、白金、パラジウムを用いることで腐食が懸念される環境下では耐久性を向上させることができる。
【0052】
電圧電源5は、例えば、安定化電源などを用い、直流電圧を出力するものである。
【0053】
電圧制御装置6としては、電圧電源5の出力値、極性を変えられるものであり、例えば抵抗や極性反転スイッチが挙げられる。
【0054】
以上のような各構成要素の具体例に加え、各構成要素の配置要件として、粉塵捕集体3と粉塵誘導体4は、互いに平行に設置されるのが好ましい。そうすることにより、粉塵捕集体3と粉塵誘導体4の間の電界強度を一定にすることができ、粉塵捕集体3表面に満遍なく粉塵9を誘導することができる。最も集塵効率の良い、粉塵捕集体3と、粉塵誘導体4の形状は板状でありその配置間隔は狭い方が電界強度が高められるため有効的である。
【0055】
(実施の形態2)
図7に、請求項11に記載の、粉塵9を輸送するための風路12と送風機13を備え、風路12に本発明の集塵フィルタ7を連結したことを特徴とする集塵装置14を示す。送風機13を用いて、粉塵9が含まれる空気を集塵フィルタ7に輸送し、そこで粉塵9のみを濾過し、清浄化された空気のみを排出するという機構である。
【0056】
本発明の集塵フィルタ7は前述の通り、粉塵9に働くクーロン力、ジョンソン−ラベック力により集塵が達成されるものであり、クーロン力は荷電量と電界強度を乗じることで与えられることから、粉塵9が持つ荷電量に大きく依存する。つまり、クーロン力が大きく寄与する粉塵9の粉塵捕集体3への誘導は、粉塵9の荷電量が小さいほど困難であるといえる。
【0057】
一般に、空気中に浮遊するホコリや花粉、ダニの死骸、オイルミスト、ヒューム等の粉塵9は正の荷電量を持つとされるが、その荷電量は温湿度等に代表される雰囲気の条件にもよるが、総じて小さいといえる。よって、本構成の集塵装置14において、粉塵9に対して、より大きなクーロン力を作用させて、粉塵捕集体3に粉塵9を誘導するためには、粉塵9の荷電量を増やす装置を集塵フィルタ7の風上側に設置する必要がある。
【0058】
粉塵9の荷電量を増加させる方法は、例えば、樹脂などに衝突させて摩擦による荷電を図る方法や、雰囲気を乾燥させて粉塵9に静電気を帯びさせる方法、超音波などの振動を与えて、空気摩擦により粉塵9を帯電させる方法、光電効果によりイオンを放出させ、それを粉塵9と結合させる方法などが挙げられるが、粉塵9を荷電する極性を制御することが困難である。つまり、ある粉塵9は正に荷電され、またある粉塵9は負に荷電されるという現象が発生すると考えられる。本発明の集塵フィルタ7は、粉塵誘導体4から粉塵捕集体3への一方向の電界10を持っており、このような事態が起こった場合、粉塵誘導体4から粉塵捕集体3へ誘導されず、逆に粉塵捕集体3から粉塵誘導体4へ誘導される粉塵9も存在することとなる。このような事態を防止するためには、請求項12に記載の通り、粉塵9を正または負の一方の極性に荷電する方法を採用する必要がある。
【0059】
請求項13に記載の通り、粉塵荷電装置15が放電によりイオンを空中に生成させる方式である場合、上記の粉塵9の極性の問題は解決される。空気に電気が流れると、以下に示される化学式により、イオンが発生し、イオンと衝突した粉塵9は荷電されることとなる。式中のMは第3体を示す。
【0060】
O2+e→2O+e
O+O2+M→O3+M
O+O3→2O2
O3+e→O2+O+e
図8に、放電によりイオンを空中に生成させる方式の粉塵荷電装置15を示す。
【0061】
高圧電源16に接続した放電電極17、その上下にアース接続した受電電極18を設置し、高圧電源16により放電電極17に高電圧を印加すると、放電電極17と受電電極18の間の空気に放電が起こり、空気が電離された結果、イオンが発生し、放電電極17と受電電極18の間の電界によりイオンが加速されて空気中に放出され、粉塵と結合して粉塵の荷電量が増すという原理である。ただし、放電にはコロナ放電、ストリーマ放電、火花放電等の形態があり、電圧や電極間距離の制御により、最も適切な放電形態に制御する必要がある。最も安全で印加電圧、放電電流値が低いのはコロナ放電であり、放電電極としてタングステンワイヤーを、受電電極としてSUS板を用い、それらの間隔を1cmに設定して、印加電圧5.8kVを放電電極に印加すると、約100μAの放電電流が検出された。風速1.5m/sで大気塵(平均粒径0.75μm)を通過させた結果、荷電量を7.8×10-17Cにまで増大させることができた。
【0062】
図8に示す粉塵荷電装置15の最大の特徴は粉塵9の荷電極性を選択できることにある。図8の構成において、例えば受電電極18をアース接続し、放電電極17に正の高電圧を印加すると、空気の電離によってできたイオンの中で、正のイオンのみが加速され、逆に受電電極18に負の高電圧を印加して、放電電極17をアース接続すると、負のイオンのみが加速されることとなる。よって、粉塵9の荷電極性を正にしたい場合には前者の電圧印加を、負に荷電させたい場合は、後者の電圧印加を行うことで、粉塵9の荷電を制御することが可能となる。
【0063】
図8の構成では、放電電極17、受電電極18は導電性の材料であれば良いが、高圧を印加すること、放電によりオゾンや熱が発生することを考慮すると、耐久性の高い金属が好ましい。例えば、銅やアルミニウム、SUSなどが挙げられるが、耐熱性の観点からはタングステンを用いるのが好ましい。また、放電電極17、受電電極18の形状は板状や、線状でも良いが、電界を集中させて効率的に放電を誘発するためには、針状の電極を用いるのが好ましい。また、放電電極17、受電電極18の距離は狭い方が間の空気の存在による電気抵抗が低いため、高圧電源16による放電電極17への印加電圧も低く抑えることができ、安全性の観点からも好ましいが、スパークが誘発されやすい。スパーク防止対策として、受電電極18表面に体積抵抗値が107Ω・cmオーダーの誘電体を設置する方法が挙げられる。
【0064】
図9は、放電電極17を内部に受電電極18を含む誘電シート19の表面に設置し、パルスジェネレータ20を備えた高圧電源16により放電電極17に高電圧を印加するものである。高圧電源16により、高電圧を出力し、パルスジェネレータ20により、高周波成分に変換して、放電電極17に高周波高電圧を印加する。そうすることで、誘電シート19表面で紫外光を有する安定した放電が発生し、周囲の空気を電離することにより、イオンが発生することとなる。この時に放出されたイオンが粉塵9と結合して、粉塵の荷電量を増加させることとなる。本構成で、放電電極17、受電電極18は例えば、銅やアルミニウム、SUSなどが挙げられるが、耐熱性の観点からはタングステンを用いるのが好ましい。また、誘電シート19としては、樹脂やマイカなどの鉱物を用いると良い。
【0065】
本構成においても、図8の場合と同様に、粉塵9を正または負いずれかの極性に荷電することが可能である。
【0066】
(実施の形態3)
図10に風路12、送風機13に連結した本発明の集塵フィルタ7の風上に、請求項12、13に記載の粉塵荷電手段15を備えた集塵装置を示す。
【0067】
本発明の請求項14に記載の通り、電圧電源5と電圧制御装置6により、粉塵誘導体4に対して、粉塵荷電装置15により荷電させた粉塵9と同符号の電圧を印加することは粉塵に働くクーロン力の向きが一定ということであり、粉塵を最も効果的に粉塵捕集体3へ誘導することができる。以下にその原理を記す。
【0068】
請求項3、4に記載の通り、電圧電源5と電圧制御装置6により、粉塵捕集体3の複数の内部電極1に、極性の異なる等量の電圧を隣り合う内部電極1に対して互い違いに印加することにより、部分的には粉塵捕集体3には電位分布が発生しているものの、巨視的には粉塵捕集体3の電位はゼロであると考えられる。したがって、粉塵9を粉塵捕集体3へ誘導するための電場は、粉塵誘導体4の電位極性によって決定されることとなる。
【0069】
仮に、粉塵荷電装置15によって、正に荷電された粉塵9は、粉塵誘導体4に正の電位が付与された場合に、粉塵捕集体3の向きにクーロン力を受けることとなる。また、粉塵荷電装置15によって、負に荷電された粉塵9は、粉塵誘導体4に負の電位が付与された場合に、粉塵捕集体3の向きにクーロン力を受けることとなる。つまり、粉塵荷電装置15により荷電させる極性と同極性の電位を粉塵誘導体4に付与することにより、粉塵9を粉塵捕集体3へ誘導することが可能となる。
【0070】
上記の構成では、粉塵9が粉塵誘導体4に捕捉されることはほとんどなく、メンテナンスは粉塵捕集体3のみで良い。また、強固な付着力で粉塵捕集体3へ粉塵9を付着することができるため、一度捕集した粉塵9の再飛散の可能性も小さく、安全で快適な空間を作ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の集塵フィルタおよび集塵装置を用いて容易に空中の粉塵を高効率で集塵することができ、かつ集塵した粉塵を強固な付着力で保持できるため、再飛散の危険性が低い。よって、空気清浄機、エアコン、除湿機、加湿器などに代表される空気調和機器に本発明の集塵フィルタおよび集塵装置を取り付けることにより、粉塵の最飛散の危険性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1の集塵フィルタの構成図
【図2】同集塵フィルタの粉塵捕集を示す図
【図3】同集塵フィルタの他の粉塵捕集を示す図
【図4】同集塵フィルタの粉塵捕集体における内部電極への印加電圧パターンを示す図
【図5】同集塵フィルタの粉塵捕集体における内部電極の配置を示す図
【図6】同集塵フィルタの粉塵捕集体における他の内部電極の配置を示す図
【図7】本発明の実施の形態2の集塵フィルタを備えた集塵装置の構成図
【図8】同粉塵荷電装置の構成を示す図
【図9】同粉塵荷電装置の他の構成を示す図
【図10】本発明の実施の形態3の集塵フィルタを装備した集塵装置の構成図
【図11】従来の集塵集塵フィルタの構成図
【符号の説明】
【0073】
1 内部電極
2 誘電体
3 粉塵捕集体
4 粉塵誘導体
5 電圧電源
6 電圧制御装置
7 集塵フィルタ
8 導線
9 粉塵
10 電界
11 クーロン力
12 風路
13 送風機
14 集塵装置
15 粉塵荷電装置
16 高圧電源
17 放電電極
18 受電電極
19 誘電シート
20 パルスジェネレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内部電極を備えた誘電体からなる粉塵捕集体と、この粉塵捕集体の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体と、前記粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極と前記粉塵誘導体に直流電圧を印加する電圧電源と、この電圧電源の電圧値と極性を制御する電圧制御装置とを備えた集塵フィルタ。
【請求項2】
前記粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極を等間隔に配置したことを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
【請求項3】
前記電圧制御装置は、前記粉塵捕集体内部の隣り合う内部電極に対して極性の異なる電圧を印加することを特徴とする請求項1または2に記載の集塵フィルタ。
【請求項4】
前記電圧制御装置は、前記粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極に、同電位の電圧を印加することを特徴とする請求項1または2に記載の集塵フィルタ。
【請求項5】
前記粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が、金属であることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
【請求項6】
前記粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が、導電性インクを印刷したものであることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
【請求項7】
前記粉塵捕集体の誘電体の体積固有抵抗値が、107から1012Ω・cmであることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
【請求項8】
前記粉塵捕集体の誘電体が、合成樹脂であることを特徴とする請求項1または7に記載の集塵フィルタ。
【請求項9】
前記粉塵捕集体の誘電体が、セラミックであることを特徴とする請求項1または7に記載の集塵フィルタ。
【請求項10】
前記粉塵誘導体の導電性材料が金属であることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
【請求項11】
粉塵を輸送するための風路と送風機を備え、風路に請求項1から10のいずれか1項に記載の集塵フィルタを連結したことを特徴とする集塵装置。
【請求項12】
前記風路の風上側に粉塵を正または負いずれか一方に荷電させる粉塵荷電装置を備えることを特徴とする請求項11に記載の集塵装置。
【請求項13】
前記粉塵荷電装置が放電によりイオンを空中に生成させる方式であることを特徴とする請求項11または12に記載の集塵装置。
【請求項14】
前記電圧電源と前記電圧制御装置により、前記粉塵誘導体に対して、前記粉塵荷電装置により荷電させた粉塵と同符号の電圧を印加することを特徴とする請求項11から13いずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項1】
複数の内部電極を備えた誘電体からなる粉塵捕集体と、この粉塵捕集体の対向面に設けられた導電性材料からなる粉塵誘導体と、前記粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極と前記粉塵誘導体に直流電圧を印加する電圧電源と、この電圧電源の電圧値と極性を制御する電圧制御装置とを備えた集塵フィルタ。
【請求項2】
前記粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極を等間隔に配置したことを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
【請求項3】
前記電圧制御装置は、前記粉塵捕集体内部の隣り合う内部電極に対して極性の異なる電圧を印加することを特徴とする請求項1または2に記載の集塵フィルタ。
【請求項4】
前記電圧制御装置は、前記粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極に、同電位の電圧を印加することを特徴とする請求項1または2に記載の集塵フィルタ。
【請求項5】
前記粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が、金属であることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
【請求項6】
前記粉塵捕集体内部に備えた複数の内部電極が、導電性インクを印刷したものであることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
【請求項7】
前記粉塵捕集体の誘電体の体積固有抵抗値が、107から1012Ω・cmであることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
【請求項8】
前記粉塵捕集体の誘電体が、合成樹脂であることを特徴とする請求項1または7に記載の集塵フィルタ。
【請求項9】
前記粉塵捕集体の誘電体が、セラミックであることを特徴とする請求項1または7に記載の集塵フィルタ。
【請求項10】
前記粉塵誘導体の導電性材料が金属であることを特徴とする請求項1に記載の集塵フィルタ。
【請求項11】
粉塵を輸送するための風路と送風機を備え、風路に請求項1から10のいずれか1項に記載の集塵フィルタを連結したことを特徴とする集塵装置。
【請求項12】
前記風路の風上側に粉塵を正または負いずれか一方に荷電させる粉塵荷電装置を備えることを特徴とする請求項11に記載の集塵装置。
【請求項13】
前記粉塵荷電装置が放電によりイオンを空中に生成させる方式であることを特徴とする請求項11または12に記載の集塵装置。
【請求項14】
前記電圧電源と前記電圧制御装置により、前記粉塵誘導体に対して、前記粉塵荷電装置により荷電させた粉塵と同符号の電圧を印加することを特徴とする請求項11から13いずれか1項に記載の集塵装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−207989(P2009−207989A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53008(P2008−53008)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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