集塵装置および空調装置
【課題】放電を用いた荷電部と、一体型の通風体を挟んで設けられた陽極板と集塵極板からなる集塵部、そして送風ファンの順で構成される電気集塵式集塵装置において、集塵装置に導入された粉塵は荷電部で帯電し、平板電極を一定間隔で積層して電圧を印加することで電場を形成する後段の集塵部で除去されるが、陽極板および集塵極板が撓むことによって両電極板の間隔が一定に保たれず、空間における電場が均一にならず集塵作用にむらが生じる。
【解決手段】シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極2と、シート状非導電体4の任意の部分に電極端子5を設けてコルゲート形状にした非導電性コルゲート電極1とを交互に積層して集塵部3を構成し、完全絶縁型電極2と非導電性コルゲート電極1のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とする集塵装置。
【解決手段】シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極2と、シート状非導電体4の任意の部分に電極端子5を設けてコルゲート形状にした非導電性コルゲート電極1とを交互に積層して集塵部3を構成し、完全絶縁型電極2と非導電性コルゲート電極1のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とする集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄の分野において空気中の浮遊粒子状物質を除去することができる集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に存在する粒子状浮遊物質、すなわち粉塵は喘息などの疾病の原因として知られており従来から除去の対象となる物質であったが、近年の研究において粒子径2.5マイクロメートル以下の粉塵(いわゆるPM2.5)が肺ガンなどの疾病を誘起する可能性があるとの報告があり、捕集技術の更なる向上が求められている。その中で電気集塵技術を用いた集塵装置は粒子径がマイクロメートル以下の小粒径の粉塵を捕集することに優れており、また低圧損な特性を持つことから注目を集め、更なる性能向上が求められている。
【0003】
従来、この種の集塵装置として、放電によって粉塵を帯電する荷電部を前段に設け、その後段に、電極を積層し、交互に異なる電圧を印加して電場を形成して帯電した粉塵を捕集する集塵部を設けたものが知られている。この構成を応用した例として、特許文献1には金属箔を絶縁体樹脂でモールドした陽極板と、陽極板と平行して設けられた集塵極板とで構成される集塵部が設けられた集塵装置が示されている。以下、その集塵装置について図13および図14を参照しながら説明する。図13に示すように、荷電部101は線状電極102と対向極板103とからなり、荷電部101の通風方向下流側に集塵部104が設けられている。集塵部104は陽極板105と、金属などの導電性材料からなる集塵極板106を重ね合わせてロール状に巻いた構造となっている。また、集塵部104に空気を通過させるために、集塵極板106には任意の部分をジグザグに折り曲げた導電性を有する突起107が設けられており、陽極板105と集塵極板106は一定の間隔を開けて重ね合わされている。また、図14に示すとおり陽極板105は金属箔108を絶縁性合成樹脂からなるモールド材109で被覆したものとなっており、集塵極板106および導電性の突起107と接触しても短絡を起こさない構造となっている。また、陽極板105は、モールド材109に撥水剤を混入させる、もしくはモールド材109に撥水性材料を塗布もしくは貼り付けることで表面に撥水層110を設ける工夫が施されている。そして荷電部101においては高圧電源111によって線状電極102に+4〜+10kVの電圧を印加して、アースに接続された対向極板103との間に電位差を与え、また、集塵部104においては高圧電源111によって陽極板105におよそ+2kVの電圧を印加して、アースに接続された集塵極板106との間に電位差を与えている。
【0004】
上記構成において、荷電部101では線状電極102近傍に非常に強い電場が作られている。そのため空気中の電荷をもつ物質が空気分子と衝突を起こし、空気分子から電子が分離したり、分離した電子が他の空気分子に付着したりして空気イオンとなる。これを空気のイオン化と呼ぶことにする。そして、アース電極の間にある絶縁体である空気が絶縁破壊を起こし、一定の大きな放電電流を伴いながら空気のイオン化が起こる放電現象をコロナ放電というが、コロナ放電によって作られた空気イオンが集塵装置に供給された空気に含まれる粉塵に付着して粉塵をプラスに帯電させる。プラスに帯電した粉塵は送風の流れにそって集塵部104に導入され、陽極板105と集塵極板106との間に設けられた電場の作用を受けて主に集塵極板106に付着し、粉塵が取り除かれた清浄な空気が集塵部104の後方から吹出される。また、陽極板105のモールド材109の表面には撥水層110が設けられているため、高湿度になった際も表面に濡れが生じず、モールド材109の表面の電荷が消滅することを防ぐことで集塵性能を維持する工夫がなされている。
【特許文献1】特公平6−45017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される集塵装置の集塵部では、集塵極板に折り曲げ加工による突起を設けることによって陽極板と集塵極板との間に空気を通過させるための空間を設けているが、陽極板および集塵極板が撓むことによって両電極板の間隔が大きい部分と小さい部分ができるようになり、両電極板の間隔が大きくなる部分で集塵性能の低下が生じるという課題があり、集塵部のあらゆる部分で一定に集塵作用を得ることが要求されている。
【0006】
また、集塵極板に設けられた突起の折り曲げ高さが陽極板と集塵極板の積層間隔となり、両電極板の間に設けられた空間の電場の強さはこの突起の折り曲げ高さに依存するが、電場を強くするために突起の折り曲げ高さを小さくして両電極板の間隔を小さくすると両電極板の空間の電場が強くなって集塵性能が高まる反面、空気の通過する空間が小さくなる、すなわち集塵部の圧力損失が上がって空気が通過しにくくなるという課題があり、集塵部の圧力損失を上げずに集塵性能を高めることが要求されている。
【0007】
また、集塵極板の突起が陽極板のモールド材と接触し非常に近接する構造となるため、この接触部分において静電容量が大きくなって両電極板に多くの電荷が蓄積され、両電極板が端子部分などで万一短絡した時に大きいノイズが発生するという課題があり、集塵部の静電容量を上げないことが要求されている。
【0008】
また、空気中に浮遊するタバコの煙はカーボンなどの固形分、タールなどの液状の油分、そして水分といった導電性を有する成分を多分に含んでいる。また、空気中に排出される自動車などの排気には導電性を有するカーボン粒子が含まれる。特許文献1に記載される集塵装置は、集塵部に絶縁性合成樹脂からなるモールド材で金属箔を被覆した陽極板を用いることで陽極板と集塵極板との短絡を完全に防ぐことができるが、導電成分を含む粉塵を集塵することによってモールド材の表面に導電性の膜が形成されることがある。モールド材の表面に導電性の膜が形成されると、陽極板の金属箔に電圧を印加することによって発現したモールド材表面の電荷を、モールド材と接触した集塵極板に逃がしてしまうことで消滅し、陽極板と集塵極板との間に設けられた空間に電場が形成されず、集塵性能が低下するという問題が生じる。そしてモールド材の表面に発現した電荷の消滅を引き起こす導電性の膜は、水分が濡れるように付着してできる膜のみではない。集塵部がタバコの煙などを捕集した場合、電極を被覆する絶縁体の表面には水分のみでなく導電成分を含む粉塵が付着することで導電性の膜が形成される。そして電圧印加電極を被覆する絶縁体とアース集塵電極とが接触することで電荷の移動が起こり、その結果絶縁体の表面に発現した電荷は消滅してその後絶縁体の表面に補充されないため、アース集塵電極と電圧印加電極の間に設けられた空間に電場が形成されなくなり集塵性能が低下する。そのため絶縁体の表面に撥水性のみを付与しても集塵性能が低下するという課題があり、どのような粉塵を集塵しても電極を被覆する絶縁体の表面に導電性の膜が形成されることを防ぐことが要求されている。
【0009】
また、集塵部において、電極を一定の間隔に保持して空気を通過させるために設けるスペーサーと電極との接触部分が接着されていないと強度が得られないという課題があり、スペーサーと電極との接触部分が接着されていることが要求されている。
【0010】
また、空気中に浮遊する物質の中には菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病などの悪影響を及ぼすものがあり、人体に疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ不活化させることが要求されている。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、集塵部のあらゆる部分で均一かつ高い集塵性能を得ると同時に空気を通過させる際の圧力損失や静電容量を上げず、また、粉塵を捕集して集塵部が汚れた状態になっても高い集塵性能を安定して維持することが可能で、また、強度および弾性が高く、外部からの衝撃を受ける、もしくは水洗などの洗浄作業を行うなどをしても、破壊や破損を起こすことがなく、また空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集しかつ不活化することが可能な集塵装置およびその集塵装置を搭載した空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の集塵装置は上記目的を達成するために、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極と、シート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けてコルゲート形状にした非導電性コルゲート電極とを交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項1記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子と、完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体とが、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極とを積層する方向から見て投影的に重ならないことを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項1または2いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極の、集塵部を通過する空気の方向に対して前後となる側部位置に電極端子を設けることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項1乃至3いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極の、集塵部を空気が通過する方向に対して単一もしくは複数の中間位置に電極端子を設けることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項1乃至4いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極における絶縁体が絶縁性の樹脂からなることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体の表面が半導電性を有することを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項6記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体が半導電性樹脂からなることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項6記載の集塵装置において、シート状絶縁体の表面に半導電性樹脂を設けたものを、非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項6記載の集塵装置において、シート状絶縁体の表面に半導電性塗料を塗布したものを、非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体が無延伸の樹脂シートからなることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項1乃至10いずれかに記載の集塵装置において、帯状にした非導電性コルゲート電極と、同様に帯状にした完全絶縁型電極とを重ね合わせて巻き込み、ロール形状とすることを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項1乃至11いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極の表面、もしくは集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項12記載の集塵装置において、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項13記載の集塵装置において、シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とするものである。
【0026】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とするものである。
【0027】
また、請求項15記載の集塵装置において、抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナに銀成分を固定化したものであることを特徴とする。
【0028】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とするものである。
【0029】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とするものである。
【0030】
また、請求項18記載の集塵装置において、抗ウイルス剤がフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とするものである。
【0031】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とするものである。
【0032】
また、請求項18記載の集塵装置において、抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とするものである。
【0033】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とするものである。
【0034】
また、請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置において、集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とするものである。
【0035】
また、請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出し口に、イオン化した空気を室内に供給し、室内の粉塵を微弱に帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。
【0036】
また、請求項24記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出し口に、放電電極と対向電極とで構成されたイオン化手段を設け、イオン化手段の放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段の対向電極をアースに接続して得られたマイナスイオンを室内に供給し、集塵部の完全絶縁型電極もしくは非導電性コルゲート電極のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続することを特徴とするものである。
【0037】
また、本発明の空調装置は、請求項26に記載したとおり、請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、集塵部の圧力損失および静電容量を上げないまま均一かつ高い集塵性能を得ることができ、また、粉塵を捕集して集塵部が汚れた状態になっても電極表面の電荷の消滅を防いで安定して高い集塵性能を半永久的に得ることができる。また衝撃を受ける、または水洗などの洗浄作業を行うなどしても集塵部の破壊や破損を防ぐことができ、また、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、不活化することができるという効果を有する集塵装置および空調装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の集塵装置は、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極と、シート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けてコルゲート形状にした非導電性コルゲート電極とを交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とするものであり、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極を用いることで両電極間の絶縁を確保した構造となっている。非導電性コルゲート電極とは表面抵抗率で10の8乗Ω/□以上、望ましくは10の11乗Ω/□以上、体積抵抗率で10の10乗Ω・cm以上を有するものを意味し、表面の任意の位置に電荷を供給するための電極端子が設けられている。非導電性コルゲート電極の表面は非導電性ではあるが電荷を僅かに通し、電極端子から供給される電荷をその表面全体に乗せることができる電気特性を持つ。また非導電性コルゲート電極は通風方向から見て波状のコルゲート形状を持ち、平らな形状をした完全絶縁型電極と交互に積層することによって両電極間には均一なコルゲート形状の空間が設けられている。ここでいうコルゲート形状については、波状、三角状、四角状などといった空間を作りうる形状であればその形を限定しない。そして非導電性コルゲート電極の任意の部分に設けられた電極端子に印加した電圧に相当する電荷が、電極端子を通じて非導電性コルゲート電極の表面に均一に与えられ、非導電性コルゲート電極と異なる電圧が印加された完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極とで囲まれたコルゲート形状の空間の一つ一つに均一な電場を設けることを可能とする構造となっている。荷電部によって帯電した粉塵を含む空気はこの一つ一つの形状が均一で、一つ一つに同じ電場が設けられた空間に導入され、電場の力によってクーロン力を受け、電極の表面に付着し捕集される。また、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極は非導電性コルゲート電極によるコルゲートの持つ高さの間隔で積層されるが、両電極の間に設けられたコルゲート形状の空間における電極間隔の平均値はコルゲートの山高さよりも小さい値に相当するため、コルゲートの山高さを実際の電極間隔として2つの電極を平行に積層した場合よりも強い電場が得られる。しかし空気が通過する空間の大きさはコルゲートの山高さを実際の電極間隔として2つの電極を平行に積層した集塵部と同じになり、空気を通過させる時の圧力損失は上昇しない。このことから圧力損失を上げずに集塵性能を高めた集塵部を得られるという作用を有する。また、非導電性コルゲート電極のコルゲート構造によって粉塵を含む空気が集塵部を通過する空間を設ける構造となっており、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極の2つのみで集塵部を構成することができるため、空間を設けるためのスペーサーなどを別途必要としない。また、非導電性コルゲート電極の表面は非導電性であるため、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極との、コルゲートの山の頂点における接触部分で多くの電荷が蓄積される作用が起こらず、集塵部の静電容量は大きくならないという作用を有する。
【0040】
また、請求項1記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子と、完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体とが、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極とを積層する方向から見て投影的に重ならないことを特徴とするものである。すなわち空気を取り込む面を正面とした集塵部を上から見た場合、非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子と、完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体とが投影的に重ならない構造とすることで、非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子と完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体とが完全絶縁型電極の絶縁体を挟んで非常に近い距離とならない構造とすることができるため、非導電性コルゲート電極の山の頂点と完全絶縁型電極が接触する部分においても、非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子および完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体に電荷が集中しない。このため集塵部の静電容量を小さくでき、また両電極の接触部分で完全絶縁型電極の絶縁体が絶縁破壊を起こして絶縁不良を起こすことを防ぐことができるという作用を有する。
【0041】
また、請求項1または2いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極の、集塵部を通過する空気の方向に対して前後となる側部位置に電極端子を設けることを特徴とするものである。非導電性コルゲート電極の、集塵部を通過する空気の方向に対して前後となる側部位置に電極端子を設け、この電極端子と積層方向において投影的に重ならないように完全絶縁型電極のシート状導電体を設ける。すなわち完全絶縁型電極の構造としてはシート状導電体を、それよりも幅の大きい絶縁体で中心線を合わせて挟むように重ね合わせる、もしくはシート状導電体の端面を被覆するように絶縁体でモールドすることによって集塵部を通過する空気の方向に対して前後となる側部位置にシート状導電体のない絶縁体の部分のみを設けることができる。こうすることによって非導電性コルゲート電極の電極端子および完全絶縁型電極のシート状導電体を点在させずに連続したものとすることができることから、静電容量、通風時の圧力損失が小さくて絶縁性および集塵性能の高い集塵装置を簡単に得ることができるという作用を有する。
【0042】
また、請求項1乃至3いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極の、集塵部を空気が通過する方向に対して単一もしくは複数の中間位置に電極端子を設けることを特徴とするものである。非導電性コルゲート電極の通風方向における寸法、すなわち幅が大きい場合、電極端子から離れた表面に電荷が行き渡らない可能性があり、非導電性コルゲート電極の幅方向に対して中心の位置に電極端子を設けることで、非導電性コルゲート電極の表面全体に電荷を行き渡らせることができる。このようにして集塵性能を安定して高いものとすることができるという作用を有する。
【0043】
また、請求項1乃至4いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極における絶縁体が絶縁性の樹脂からなることを特徴とするものである。絶縁性の樹脂としてはポリプロピレン(以下PP)やポリエチレン(以下PE)といったポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(以下PET)やポリブチレンテレフタレート(以下PBT)といったポリエステル類、もしくはポリスチレン(以下PS)、ポリカーボネート(以下PC)やポリウレタンなどが挙げられる。絶縁性を有する樹脂は絶縁耐圧が15kV/mm以上と絶縁性が非常に高く、また成形性や加工性がよいという特徴を持つため、シート状導電体を絶縁性の樹脂でラミネートやモールド加工を用いて被覆することで高い絶縁性を有する完全絶縁型電極を容易に作成することが可能となる。また可撓性が高いことから衝撃を受けても破損しない集塵部を得ることができる。また完全絶縁型電極を帯状にし、非導電性コルゲート電極と重ね合わせて巻くことによって集塵部を形成することが可能となるという作用を有する。
【0044】
また、請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体の表面が半導電性を有することを特徴とするものである。半導電性を持つ材料としてナイロン6もしくはナイロン12や、これらナイロンを用いたコポリマーなどといった吸湿性を有する樹脂が上げられる。このような材料は空気中に僅かに存在する水分を吸収して10の11〜15乗Ω/□の表面抵抗率を、また10の11〜15乗Ω・cmの体積抵抗率を有しており、この範囲内の抵抗値を有する材料は非導電性であるが電荷を僅かに通すといった半導電性の性質を有するため、シート状非導電体として用いた場合に電極端子から供給される電荷を表面全体に行き渡らせることができる。また可撓性が高く熱成型性も良いため、コルゲート加工および積層などの組立加工がしやすく破損しにくいという作用を有する。また、非導電性コルゲート電極は表面に電荷が行き渡たれば集塵性能を確保するという役目を果たすことができるため、シート状非導電体の内部に電荷を供給する必要はない。そのため、強度を得るための基材としてPPやPE、PET、PBTといった樹脂などのシート絶縁体を用い、表面にナイロン6やナイロン12の半導電性樹脂を設けたものや、また基材として用いるシート状絶縁体の表面に酸化亜鉛やイオン導電性樹脂など半導電性を有する成分を含有する半導電性塗料を塗布したものを非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いても同様の作用を有する集塵部が得られる。
【0045】
また、請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体が無延伸の樹脂シートからなることを特徴とするものである。その例として、無延伸のナイロンシートを用いる、もしくは無延伸のPBTシートの上に半導電性の膜を設けたものなどが挙げられる。樹脂シートの製造方法として、シート成型した後に延伸して分子の配列方向を均一にすることで強度を高める延伸製法があるが、延伸された樹脂シートは製造後の熱加工性がよくないという特徴を有する。それに対して延伸しないいわゆる無延伸の樹脂シートは製造後の熱加工性がよいという特徴を有するため、コルゲート形状を持たせる加工が行いやすいという作用を有する。
【0046】
また、請求項1乃至10いずれかに記載の集塵装置において、帯状にした非導電性コルゲート電極と、同様に帯状にした完全絶縁型電極とを重ね合わせて巻き込み、ロール形状とすることを特徴とするものである。両電極を帯状にしてロール状に巻くことで非導電性コルゲート電極の電極端子および完全絶縁型電極のシート状導電体と高圧電源とを接続する個所がそれぞれ1ヵ所にすることができ、集塵部を簡単に作成できるという作用を有する。
【0047】
また、請求項1乃至11いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極の表面、もしくは集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。完全絶縁型電極の絶縁体もしくは集塵部全体の表面にタバコの煙などといった導電成分を含む粉塵が付着して導電性の膜が形成され、これらの表面に発現した電荷が移動し、消滅して粉塵の通過する空間の電場が弱まる。この電場の弱まりによって集塵性能の低下が引き起こされる。本発明においては完全絶縁型電極の絶縁体の表面もしくは集塵部の全体に絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜を設けているため、タバコの煙といった導電成分を含む粉塵を集塵しても、集塵部の表面に連続して付着することを抑制し、その結果導電性の膜が形成されることを防ぐことができることから、導電成分を含む粉塵を集塵しても高い集塵性能を維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、弾性および接着性を持つという大きな特徴を有するため、集塵部全体の表面に強く固着して、安定で強固かつ弾性の高い膜を形成する。そのため集塵部の表面を引っかいたりするなどの外部的な力を与えてもシリコーンポリマーの膜が集塵部の表面からこぼれ落ちたり剥離することがなく、また、水洗などの洗浄作業を行っても、シリコーンポリマーの膜が洗浄液中に溶出することもないため、高い集塵性能を半永久的に安定して得ることができる。また、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けた場合には完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極との接触面が高い接着性および弾性を有するシリコーンポリマーで接着されるため集塵部全体が大きな強度と弾性を有する。そのため外部からの衝撃を受けても、集塵部は破壊されずに接着によって一体化された状態を保持することができるという作用を有する。
【0048】
また、請求項12記載の集塵装置において、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とするものである。集塵部をシリコーンポリマーの溶液に浸漬し乾燥することで、集塵部全体をシリコーンポリマーで接着して一体化して弾性および強度と得ることと、集塵部全体にシリコーンポリマーの膜を均一に設けることを一括して同時に行うことができるという作用を有する。
【0049】
また、請求項13記載の集塵装置において、シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とするものである。シリコーンポリマーは例えばトルエンやシクロヘキサン、ノルマルヘキサンといった極性の小さい芳香族系や炭化水素系の有機溶剤で希釈することができる。このような極性の小さい有機溶剤で希釈することでシリコーンポリマーの粘度を低下させると同時に分散をよくし、集塵部全体に均一にシリコーンポリマーの膜を設けることができるという作用を有する。
【0050】
また、請求項1乃至14何れかに記載の集塵装置において、集塵部に、抗菌作用を有する抗菌剤、抗黴作用を有する抗黴剤、ウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤、もしくはアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤をそれぞれ添着もしくは全て一括して添着して固定化することを特徴とするものである。抗菌剤として例えばチタニアもしくはシリカアルミナの微細粒子に銀成分を固定化したものを用いることで、抗菌作用を有する銀成分を均一に抗菌剤の中で分散することができ、集塵部に均一に添着することができるという作用を有する。また例えばチアベンダゾールを主成分とした抗黴剤を用いることで、真菌に分類される黴類の繁殖を抑制することができる。また例えばエピカテキンガレートのようにフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類を抗ウイルス剤として用いることで、ウイルスの外皮であるエンベローブやエンベローブ表面に存在するスパイクを包み込んで細胞への感染作用を抑制することで増殖を防ぐことができる。また例えばフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物などを抗アレルゲン剤として用いることで、フェノール性水酸基がアレルゲンを包み込み、アレルゲンの持つ特異結合部を無効化してアレルギーを引き起こす要因となる抗体生成体との特異結合を抑制することができる。これらの薬剤を集塵部に添着して固定化することにより、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ集塵部において不活化させることができるという作用を有する。
【0051】
また、請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置において、集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とするものである。線状、針状、棘状などの形状を持つ放電電極と対向電極からなる荷電部のように放電を起こして空気の電離現象を起こして空気をイオン化するイオン化手段によって空気イオンを集塵部の風上に発生させ、取り込んだ空気中に存在する粉塵に付着させることによって粉塵を帯電させ、そして帯電した粉塵を集塵部に送り込んで捕集することで集塵性能を高めることができるという作用を有する。
【0052】
また、請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出し口に、イオン化した空気を室内に供給し、室内の粉塵を微弱に帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。線状、針状、棘状放電などの形状を持つ放電電極と対向電極からなる荷電部のように放電を起こして空気の電離現象を起こして空気をイオン化するイオン化手段によって得られた空気イオンを集塵装置の吹出し口から部屋へ供給することによって部屋の中の空気中に存在する粉塵を微弱に帯電させる。帯電した粉塵を集塵部に取り込んで集塵部で捕集することができ、また部屋の中の粉塵を微弱に帯電できる量の空気イオンを発生させるだけでよいためイオン化手段で発生する副生成物のオゾンを極限まで小さくすることができるという作用を有する。
【0053】
また、請求項24記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出し口に、放電電極と対向電極とで構成されたイオン化手段を設け、イオン化手段の放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段の対向電極をアースに接続して得られたマイナスイオンを室内に供給し、集塵部の完全絶縁型電極もしくは非導電性コルゲート電極のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続することを特徴とするものである。放電電極は先端が尖った針のような形状を持つものを主に用い、対向電極は棒状、板状など様々な形状を持つものが用いられる。放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時に対向電極をアースに接続することで放電電極の尖った先端付近に極端に強い電界を発生させる。これにより放電電極の先端近傍の空気は電離を起こしてイオンとなるが、そのうちリラクゼーション効果があるといわれるマイナスイオンはマイナスの電圧が印加された放電電極から反発されるように放出される。そして送風手段による風に乗って室内に供給される。このようにマイナスイオンを室内に供給することによって室内の居住者にリラクゼーション効果をもたらすと同時に室内の粉塵を微弱に帯電し、帯電した粉塵を集塵部に取り込んで捕集することができる。また、集塵部のどちらかの電極にプラスの電圧を印加することで本体をプラスに帯電しやすくし、マイナスに帯電した粉塵を本体に寄せ付けてより高い集塵性能を得ることが可能となるという作用を有する。
【0054】
また、本発明の空調装置は、請求項26に記載したとおり、請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置を備えたことを特徴とするものである。空調装置の熱交換器の前に請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置を設けることによって、空調装置に安定して高い空気清浄機能を持たせることができるという作用を有する。
【0055】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0056】
(実施の形態1)
非導電性コルゲート電極1および完全絶縁型電極2を交互に積層し、それぞれの電極に異なる電圧を印加した集塵部3の空気の吸込み面を正面図として図1に、また集塵部3の側面から見た断面図を図2に示す。また、一層のシート状非導電体4を用いた非導電性コルゲート電極1の一例を示す上面図を図3に、また側面からの断面図を図4に示す。非導電性コルゲート電極1はシート状非導電体4の、空気の通過する方向に対して前後すなわち幅方向における両端部に電極端子5を設けた構造となっており、空気の通過する方向から見てコルゲート形状を有する。シート状非導電体4はナイロンといった半導電性を有する樹脂などを使用し、電極端子5はアルミなどの金属箔、もしくはカーボンや金属を含有する導電性塗料の塗布などで形成される。またシート状絶縁体A6を基材としてその上に半導電層7を設け、半導電層7の上に電極端子5を設けた非導電性コルゲート電極1の側面から見た断面図を図5に示す。シート状絶縁体A6としてはPPやPBTなどといった絶縁性の樹脂などを用い、その上に半導電層7、さらにその上に電極端子5を設ける。半導電層7の形成方法としてナイロンなど半導電性を有する樹脂の薄いシートを貼り付ける、またはナトリウムイオンなどの各種金属イオンや硫酸イオンなどの各種陰イオンといったイオン性物質や酸化亜鉛といった金属酸化物など半導電性を有する成分を含む塗料を塗布するなどといった具体例が挙げられる。また完全絶縁型電極2の上面図を図6に、側面から見た断面図を図7に示す。完全絶縁型電極2はシート状導電体8の両面を、それよりも幅の広いシート状絶縁体B9で中心を合わせるように挟むようにして貼り合わせた構造となっており、シート状導電体8を完全に絶縁する構造となっている。シート状導電体8はアルミなどの金属箔や、またカーボンや金属を含有する導電性塗料をシート状の基材に塗布したものなどが用いられる。シート状絶縁体B9の材質としてはPPやPE、PET、PBT、PS、PCといった絶縁性を有する樹脂が主に用いられる。集塵部3における非導電性コルゲート電極1は空気の通過する方向から見て波状のコルゲート形状となっており、平らな形状である完全絶縁型電極2と交互に積層することによって空気の通過する空間を設けている。非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2にそれぞれ異なる電圧を印加することによってこの空間一つ一つに均一な電場が設けられている。電極間の平均距離は非導電性コルゲート電極1のコルゲートの山高さよりも小さくなるため、空間に設けられる電場の強さの平均値は、例えば非導電性コルゲート電極1と同じ山高さのコルゲート形状を有するスペーサを挟んで2つの平らな電極を積層した集塵部3の電場よりも強いものとなり、その結果、より高い集塵性能を得ることができる。一方通風時の圧力損失は空気の通過する空間の大きさと反比例する。本発明における集塵部3は非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2を積層して形成される空間が空気の通過する空間の一つとなるが、この空間の大きさは、例えば非導電性コルゲート電極1と同じ山高さのコルゲート形状を有するスペーサを挟んで2つの平らな電極を積層した集塵部3に形成される空間の一つと比べて同じとなるため圧力損失も同じとなり、結果として低い圧力損失を保ちながら集塵性能を高めた集塵部3を得ることができる。また、図2に示すように非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2の積層方向において電極端子5とシート状導電体8とが投影的に重ならない構造となっているため、電極端子5とシート状導電体8が完全絶縁電極2のシート状絶縁体B9を挟んで接近しない構造となっている。そのため電極端子5とシート状導電体8によって電荷が大きく蓄積されることがないと同時にシート状絶縁体が絶縁破壊を起こす可能性が小さい。また、帯状の非導電性コルゲート電極1および帯状の完全絶縁型電極2を重ね合わせてロール状に巻いた集塵部3の正面図を図8に示す。このようにロール状の構造とすることによっても同様の効果を有する集塵部3を得ることができる。ロール状の構造を有する集塵部3のメリットとして非導電性コルゲート電極1、完全絶縁型電極2と高圧電源111とを接続する部分がそれぞれの電極につき1ヶ所となり、最小にできることが挙げられる。また、集塵部3全体の表面に、図には示していないが絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜を設けた場合、導電成分を含む粉塵はシリコーンポリマーの膜が有するミクロな隙間によって非連続的に付着するために、集塵部3全体の表面に導電成分を含む粉塵が連続的に付着することで形成される導電性の膜を作ることを防ぐことができる。このため、非導電性コルゲート電極1および完全絶縁型電極2の表面に発現した電荷が中和して消滅することがなく、両電極に設けられた空間の電場が弱まることがないことから、粉塵を捕集しても高い集塵性能を長期間安定して維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、接着性および弾性を有するため、集塵部の表面に強固に固着し、弾性かつ化学的安定性を有する膜を形成する。このためシリコーンポリマーの膜は集塵部から外力によって剥離したり、水洗などの洗浄によって溶出することがないことから半永久的に安定して高い集塵性能を持つ集塵部3を得ることができる。
【0057】
なお、シート状絶縁体A6、シート状絶縁体B9として主に絶縁性を有する樹脂を用いているが、絶縁性を有するのであれば無機材料といった他の材料を用いても効果に差は生じない。
【0058】
また、完全絶縁型電極2は、シート状導電体8の全体を覆って完全に絶縁される形であれば、絶縁体でシート状導電体8をモールドするといったその他の方法を用いても効果に差異を生じない。
【0059】
また、完全絶縁型電極2の内部にシート状導電体8を設ける方法として、シート状絶縁体B9にそれよりも幅の狭い領域に導電性塗料を塗布し、導電性塗料の塗布面にシート状絶縁体B9を貼り合わせる方法でも同様の効果を有する完全絶縁型電極2を作成することができる。
【0060】
また、図1に示した非導電性コルゲート電極1は波型の形状であるが、完全絶縁型電極2との間に空気が通過する空間を設けることができるのであれば、三角状やコの字状といった他の形状であっても効果に差を生じない。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態1と同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。上記実施の形態2で示した集塵部3を有する集塵装置の集塵効率を評価した実験結果を以下に示す。図9に示すように、集塵効率を求める際は、温湿度制御可能な実験室で、ダクトを用いて上流側から荷電部101、集塵部3、送風手段10の順番で設置した実験装置を作成し、面風速が1.4m/sとなるように送風手段10を設定して集塵効率を求めた。そしてリオン製パーティクルカウンターKC18を用い、荷電部101の上流側および集塵部3の下流側の空気中に含まれる粒径0.1μm以上の粉塵を測定し、以下の式を用いて集塵効率を算出した。
【0062】
η=(1−Cin/Cout)×100
η:集塵効率(%)、Cin:荷電部上流側の粉塵濃度(個/L)、Cout:集塵部下流側の粉塵濃度(個/L)
実験に用いた荷電部101は幅100、高さ50mmの開口寸法、25mmの奥行寸法を持つABS製ボックスに80μmの径を持つタングステン製の線状電極102を3本水平に設置し、線状電極102の中心に位置するように対向極板103を16mmの間隔で4枚設置したものを用いた。線状電極102に約4kVの電圧を印加し、対向極板103をアースに接続して、温湿度20℃40%RHで評価する際は5μA、30℃80%RHで評価する際は10μAの放電電流となるようにコロナ放電を起こして荷電部101を通過する粉塵を帯電させた。集塵部3の作成に用いた部品は以下のとおりである。厚さ15μm、幅20mmの帯状のアルミ箔からなるシート状導電体8の両面に、厚さ50μm、幅30mmの帯状のPETフィルムからなるシート状絶縁体B9を接着剤で貼り合わせて完全に被覆したものを作成し、完全絶縁型電極2として用いた。また、無延伸ナイロン製で厚さ80μm、幅30mmの帯状のシート状非導電体4に、幅30mmのうち両端それぞれ3mmの領域に厚さ50μm、幅3mmの帯状のアルミ箔からなる電極端子5を設けたものを、山高さ1.67mmの寸法で波状のコルゲート形状にしたものを非導電性コルゲート電極1として用いた。ここでいう山高さとは、下向きの山の頂点とその隣に位置する上向きの山の頂点との高さ方向における距離を意味する。実施例として評価に用いた集塵部3は、このようにして作成した帯状の非導電性コルゲート電極1および完全絶縁型電極2を重ね合わせてロール状に巻いたものを、シリコーンポリマーをシクロヘキサンで溶解したシリコーンポリマー溶液に漬け込んで乾燥させ、集塵部の表面全体にシリコーンポリマーの膜を設けた構造となっている。比較例として評価に用いた集塵部3の構造を図9に、実施例として評価に用いた集塵部の構造を図10に示す。比較例として評価に用いた集塵部3は図9に示すとおり帯状の完全絶縁型電極2、厚さ80μm、幅30mmの無延伸PBT製のシート状絶縁体を山高さが1.67mmの波状のコルゲート加工を施した絶縁性コルゲートシート11、シート状導電体からなる電極12、絶縁性コルゲートシート11の順番で積層してロール状に巻いたものの表面全体に、図には示していないがフッ素樹脂の膜を設けたものである。なお、比較例および実施例として評価に用いた集塵部3は全て図11に示す寸法で作成した。実験の際にはそれぞれの集塵部3においてシート状導電体からなる電極12および非導電性コルゲート電極1をアースに接続し、それぞれの集塵部における完全絶縁型電極2に4kVの電圧を印加することで、それぞれの集塵部3における両電極の間に4kVの電位差を与えた。
【0063】
実験においては、集塵部3が低湿度(20℃40%RH)かつタバコの煙で汚れていない時、および高湿度(30℃80%RH)かつタバコの煙を集塵して汚れている時という2つの条件で集塵効率がどのように変化するかを評価した。具体的には新品の集塵部3を実験装置に組み込み、20℃40%RHに制御された実験室の中で集塵効率を測定した。その後荷電部101、集塵部3、送風手段10を設けた集塵装置を組んで、容積0.5立方メートルのアクリルボックスの中で合計40本のタバコを燃焼させながら運転してタバコの煙を集塵させた後、温湿度が30℃80%RHに制御された実験室に集塵部を持ち込んで実験装置に組み込み、集塵効率を求めた。
【0064】
【表1】
【0065】
評価を行った集塵部3の仕様および集塵効率その他の測定結果を表1に示す。タバコの煙0本付着、20℃40%RHの条件において、比較例に示した集塵部3は集塵効率が99.5%と高いものとなったが、実施例に示した集塵部3は集塵効率が99.9%となり比較例に示した集塵部3よりも更に高い集塵性能を示した。次に40本分のタバコの煙を集塵させた後に30℃80%RHの温湿度条件で集塵効率の評価を行った結果、比較例に示した集塵部3は48.5%となったのに対して実施例に示した集塵部3は76.9%となり、劣悪な条件において比較例に示した集塵部3よりも高い集塵性能を持つことが分かった。比較例に示した集塵部3は表面全体にフッ素樹脂の膜を設けているが、40本分もの大量のタバコの煙を集塵すると、フッ素樹脂の膜によって水分をはじくことができても、タバコの煙に含まれる導電成分を含む粉塵は集塵部3の表面全体を覆うように付着してしまう。そのため完全絶縁型電極2や絶縁性コルゲートシート11の表面に導電性の膜が形成されてしまい、集塵効率が大幅に低下した。すなわち完全絶縁型電極2や絶縁性コルゲートシート11の表面に撥水性のみを表面に付与しても大量のタバコの煙を集塵することで集塵性能が低下することがわかった。それに対して実施例に示した集塵部3は、集塵部3全体の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることで導電性の膜の形成を抑制することで非導電性コルゲート電極1および完全絶縁型電極2の表面に発現した電荷が移動して消滅することを防いでいるため、40本分のタバコの煙を集塵しても集塵効率の低下を小さくすることができることが分かった。ここで、送風手段10としては、クロスフローファン、シロッコファンなどの送風機がある。
【0066】
また、集塵部3を構成する2つの電極の間で測定した静電容量は、比較例に示した集塵部3で0.33nF、実施例に示した集塵部3で0.23nFとなり、ほぼ同等であった。実施例に示した集塵部3は非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2が直接接触する構造でありながら比較例に示したような直接接触しない構造の集塵部3と同等なのは、非導電性コルゲート電極1の電極端子5を除く部分の表面が非導電性であること、非導電性コルゲート電極1に設けられた電極端子5と完全絶縁型電極2の内部に設けられたシート状導電体8とが積層するにあたって投影的に重ならないためである。すなわち非導電性コルゲート電極1の、完全絶縁型電極2の内部に設けられたシート状導電体8と投影的に重なる部分が非導電性であり蓄える電荷量が僅かであるため、非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2とが直接接触する構造であっても静電容量が小さくなることを実現している。このため静電容量が大きいと非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2が端子部分などで万一短絡した時に大きいノイズが発生するが、実施例に示した集塵部3はそのような大きなノイズの発生を防ぐ構造となっている。また、完全絶縁型電極2のシート状絶縁体B9が絶縁破壊を起こした場合、集塵部3に電圧が印加できなくなって集塵部3としての機能を果たせなくなるが、実施例に示した集塵部3においては非導電性コルゲート電極1の電極端子5と完全絶縁型電極2の内部に設けられたシート状導電体8とが投影的に重ならないため、完全絶縁型電極2のシート状絶縁体B9を挟んで非導電性コルゲート電極1の電極端子5と完全絶縁型電極2の内部に設けられたシート状導電体8がシート状絶縁体B9を挟んで非常に近くならない構造となっているため、完全絶縁型電極2のシート状絶縁体B9が絶縁破壊を極力起こさないようにしており、集塵部3の機能を半永久的に保つことが可能な構造となっている。
【0067】
(実施の形態3)
実施の形態1または2と同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。非導電性コルゲート電極1および完全絶縁型電極2を交互に積層し、それぞれの電極に異なる電圧を印加した集塵部3と送風手段10を備えた集塵装置の吹出し口13に、放電電極14と対向電極15とで構成されたイオン化手段16を設け、イオン化手段16の放電電極14にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段16の対向電極15をアースに接続して得られたマイナスイオン17を室内に供給し、さらに集塵部3の完全絶縁型電極2もしくは非導電性コルゲート電極1のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続した集塵装置を図12に示す。ここでは図12に示すとおり放電電極14は先端が尖った針状のものを、また対向電極15は板状のものを用いている。放電電極14にマイナスの電圧を印加すると同時に対向電極15をアースに接続することで放電電極14の尖った先端付近に極端に強い電界を発生させ、放電電極14の先端近傍の空気を電離してイオン化させる。そのうちリラクゼーション効果があるといわれるマイナスイオン17はマイナスの電圧が印加された放電電極から反発されるように放出され、送風手段10による風に乗って室内に供給される。この時アースに接続された対向電極15の位置は放電電極14が放電を起こすのであれば特に限定しないが、発生したマイナスイオン17を吸収しない位置、すなわち放電電極14の下流側すぐに位置しないことが望ましい。またイオン化手段16で放電を起こす際には放電電極14と対向電極15との間で放電電流が流れるが、部屋の空気中の粉塵を微弱に帯電させるだけで集塵性能が得られるように集塵部の電圧や電極の間隔、寸法を設計することで吹出し風量あたりで1μA/m3以下に放電電流を設定することが可能となり、放電によって発生し、人体に害を与えるオゾンの量をほぼゼロにすることができる。このようにマイナスイオン17を室内に供給することによって室内の居住者にリラクゼーション効果をもたらすと同時にオゾンを発生させない放電によって室内の粉塵を微弱に帯電し、帯電した粉塵を集塵部3に取り込んで捕集することができる。また、集塵部3の非導電性コルゲート電極1、完全絶縁型電極2のどちらかの電極にプラスの電圧を印加することで集塵装置本体をプラスに帯電しやすくし、マイナスに帯電した粉塵を本体に寄せ付けてより高い集塵性能を得ることが可能となる。
【0068】
なお、針状の放電電極14を用いたが、放電を起こすことができる形状であれば棘状や線状などその他の形状であってもその効果に差異を生じない。
【0069】
また、板状の対向電極15を用いたが、放電電極が放電を起こすことができるのであれば棒状や釘状などその他の形状であっても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の集塵装置は、空気を取り込む際の送風エネルギーが小さく、集塵部の故障や障害を減らしながら高い集塵性能を実現し、また集塵部が粉塵を捕集して汚れても安定して高い集塵性能を半永久的に得ることができるという効果を有するため、室内ばかりでなく屋外での空気環境を向上させる用途としても有用である。
【0071】
また本発明の集塵装置を備えた空調装置は、空気を取り込む際の送風エネルギーが小さく、集塵部の故障や障害を減らしながら高い集塵性能を実現し、また集塵部が粉塵を捕集して汚れても安定して高い集塵性能を半永久的に得ることができるという効果を有し、室内の冷暖房および湿度制御といった空調を行いながら清浄化された室内空間を提供する用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1に記載の集塵部の正面を示す構成図
【図2】同集塵部の側面から見た断面図を示す構成図
【図3】同非導電性コルゲート電極の上面を示す構成図
【図4】同シート状非導電体、電極端子によって構成された非導電性コルゲート電極の側断面を示す構成図
【図5】同シート状絶縁体A、半導電層、電極端子によって構成された非導電性コルゲート電極の側断面を示す構成図
【図6】同完全絶縁型電極の上面を示す構成図
【図7】同完全絶縁型電極の側断面図を示す構成図
【図8】本発明の実施の形態2に記載の実験室を示す図
【図9】同比較例として示した集塵部の正面を示す構成図
【図10】同実施例として示した集塵部の正面を示す構成図
【図11】同集塵部を示す寸法図
【図12】本発明の実施の形態3に記載の集塵装置の構成図
【図13】従来の電気集塵式集塵装置の構成図
【図14】従来の電気集塵式集塵装置の集塵部を示す構成図
【符号の説明】
【0073】
1 非導電性コルゲート電極
2 完全絶縁型電極
3 集塵部
4 シート状非導電体
5 電極端子
6 シート状絶縁体A
7 半導電層
8 シート状導電体
9 シート状絶縁体B
10 送風手段
11 絶縁性コルゲートシート
12 シート状導電体からなる電極
13 吹出し口
14 放電電極
15 対向電極
16 イオン化手段
17 マイナスイオン
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄の分野において空気中の浮遊粒子状物質を除去することができる集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に存在する粒子状浮遊物質、すなわち粉塵は喘息などの疾病の原因として知られており従来から除去の対象となる物質であったが、近年の研究において粒子径2.5マイクロメートル以下の粉塵(いわゆるPM2.5)が肺ガンなどの疾病を誘起する可能性があるとの報告があり、捕集技術の更なる向上が求められている。その中で電気集塵技術を用いた集塵装置は粒子径がマイクロメートル以下の小粒径の粉塵を捕集することに優れており、また低圧損な特性を持つことから注目を集め、更なる性能向上が求められている。
【0003】
従来、この種の集塵装置として、放電によって粉塵を帯電する荷電部を前段に設け、その後段に、電極を積層し、交互に異なる電圧を印加して電場を形成して帯電した粉塵を捕集する集塵部を設けたものが知られている。この構成を応用した例として、特許文献1には金属箔を絶縁体樹脂でモールドした陽極板と、陽極板と平行して設けられた集塵極板とで構成される集塵部が設けられた集塵装置が示されている。以下、その集塵装置について図13および図14を参照しながら説明する。図13に示すように、荷電部101は線状電極102と対向極板103とからなり、荷電部101の通風方向下流側に集塵部104が設けられている。集塵部104は陽極板105と、金属などの導電性材料からなる集塵極板106を重ね合わせてロール状に巻いた構造となっている。また、集塵部104に空気を通過させるために、集塵極板106には任意の部分をジグザグに折り曲げた導電性を有する突起107が設けられており、陽極板105と集塵極板106は一定の間隔を開けて重ね合わされている。また、図14に示すとおり陽極板105は金属箔108を絶縁性合成樹脂からなるモールド材109で被覆したものとなっており、集塵極板106および導電性の突起107と接触しても短絡を起こさない構造となっている。また、陽極板105は、モールド材109に撥水剤を混入させる、もしくはモールド材109に撥水性材料を塗布もしくは貼り付けることで表面に撥水層110を設ける工夫が施されている。そして荷電部101においては高圧電源111によって線状電極102に+4〜+10kVの電圧を印加して、アースに接続された対向極板103との間に電位差を与え、また、集塵部104においては高圧電源111によって陽極板105におよそ+2kVの電圧を印加して、アースに接続された集塵極板106との間に電位差を与えている。
【0004】
上記構成において、荷電部101では線状電極102近傍に非常に強い電場が作られている。そのため空気中の電荷をもつ物質が空気分子と衝突を起こし、空気分子から電子が分離したり、分離した電子が他の空気分子に付着したりして空気イオンとなる。これを空気のイオン化と呼ぶことにする。そして、アース電極の間にある絶縁体である空気が絶縁破壊を起こし、一定の大きな放電電流を伴いながら空気のイオン化が起こる放電現象をコロナ放電というが、コロナ放電によって作られた空気イオンが集塵装置に供給された空気に含まれる粉塵に付着して粉塵をプラスに帯電させる。プラスに帯電した粉塵は送風の流れにそって集塵部104に導入され、陽極板105と集塵極板106との間に設けられた電場の作用を受けて主に集塵極板106に付着し、粉塵が取り除かれた清浄な空気が集塵部104の後方から吹出される。また、陽極板105のモールド材109の表面には撥水層110が設けられているため、高湿度になった際も表面に濡れが生じず、モールド材109の表面の電荷が消滅することを防ぐことで集塵性能を維持する工夫がなされている。
【特許文献1】特公平6−45017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される集塵装置の集塵部では、集塵極板に折り曲げ加工による突起を設けることによって陽極板と集塵極板との間に空気を通過させるための空間を設けているが、陽極板および集塵極板が撓むことによって両電極板の間隔が大きい部分と小さい部分ができるようになり、両電極板の間隔が大きくなる部分で集塵性能の低下が生じるという課題があり、集塵部のあらゆる部分で一定に集塵作用を得ることが要求されている。
【0006】
また、集塵極板に設けられた突起の折り曲げ高さが陽極板と集塵極板の積層間隔となり、両電極板の間に設けられた空間の電場の強さはこの突起の折り曲げ高さに依存するが、電場を強くするために突起の折り曲げ高さを小さくして両電極板の間隔を小さくすると両電極板の空間の電場が強くなって集塵性能が高まる反面、空気の通過する空間が小さくなる、すなわち集塵部の圧力損失が上がって空気が通過しにくくなるという課題があり、集塵部の圧力損失を上げずに集塵性能を高めることが要求されている。
【0007】
また、集塵極板の突起が陽極板のモールド材と接触し非常に近接する構造となるため、この接触部分において静電容量が大きくなって両電極板に多くの電荷が蓄積され、両電極板が端子部分などで万一短絡した時に大きいノイズが発生するという課題があり、集塵部の静電容量を上げないことが要求されている。
【0008】
また、空気中に浮遊するタバコの煙はカーボンなどの固形分、タールなどの液状の油分、そして水分といった導電性を有する成分を多分に含んでいる。また、空気中に排出される自動車などの排気には導電性を有するカーボン粒子が含まれる。特許文献1に記載される集塵装置は、集塵部に絶縁性合成樹脂からなるモールド材で金属箔を被覆した陽極板を用いることで陽極板と集塵極板との短絡を完全に防ぐことができるが、導電成分を含む粉塵を集塵することによってモールド材の表面に導電性の膜が形成されることがある。モールド材の表面に導電性の膜が形成されると、陽極板の金属箔に電圧を印加することによって発現したモールド材表面の電荷を、モールド材と接触した集塵極板に逃がしてしまうことで消滅し、陽極板と集塵極板との間に設けられた空間に電場が形成されず、集塵性能が低下するという問題が生じる。そしてモールド材の表面に発現した電荷の消滅を引き起こす導電性の膜は、水分が濡れるように付着してできる膜のみではない。集塵部がタバコの煙などを捕集した場合、電極を被覆する絶縁体の表面には水分のみでなく導電成分を含む粉塵が付着することで導電性の膜が形成される。そして電圧印加電極を被覆する絶縁体とアース集塵電極とが接触することで電荷の移動が起こり、その結果絶縁体の表面に発現した電荷は消滅してその後絶縁体の表面に補充されないため、アース集塵電極と電圧印加電極の間に設けられた空間に電場が形成されなくなり集塵性能が低下する。そのため絶縁体の表面に撥水性のみを付与しても集塵性能が低下するという課題があり、どのような粉塵を集塵しても電極を被覆する絶縁体の表面に導電性の膜が形成されることを防ぐことが要求されている。
【0009】
また、集塵部において、電極を一定の間隔に保持して空気を通過させるために設けるスペーサーと電極との接触部分が接着されていないと強度が得られないという課題があり、スペーサーと電極との接触部分が接着されていることが要求されている。
【0010】
また、空気中に浮遊する物質の中には菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病などの悪影響を及ぼすものがあり、人体に疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ不活化させることが要求されている。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、集塵部のあらゆる部分で均一かつ高い集塵性能を得ると同時に空気を通過させる際の圧力損失や静電容量を上げず、また、粉塵を捕集して集塵部が汚れた状態になっても高い集塵性能を安定して維持することが可能で、また、強度および弾性が高く、外部からの衝撃を受ける、もしくは水洗などの洗浄作業を行うなどをしても、破壊や破損を起こすことがなく、また空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集しかつ不活化することが可能な集塵装置およびその集塵装置を搭載した空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の集塵装置は上記目的を達成するために、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極と、シート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けてコルゲート形状にした非導電性コルゲート電極とを交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項1記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子と、完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体とが、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極とを積層する方向から見て投影的に重ならないことを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項1または2いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極の、集塵部を通過する空気の方向に対して前後となる側部位置に電極端子を設けることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項1乃至3いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極の、集塵部を空気が通過する方向に対して単一もしくは複数の中間位置に電極端子を設けることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項1乃至4いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極における絶縁体が絶縁性の樹脂からなることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体の表面が半導電性を有することを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項6記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体が半導電性樹脂からなることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項6記載の集塵装置において、シート状絶縁体の表面に半導電性樹脂を設けたものを、非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項6記載の集塵装置において、シート状絶縁体の表面に半導電性塗料を塗布したものを、非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体が無延伸の樹脂シートからなることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項1乃至10いずれかに記載の集塵装置において、帯状にした非導電性コルゲート電極と、同様に帯状にした完全絶縁型電極とを重ね合わせて巻き込み、ロール形状とすることを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項1乃至11いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極の表面、もしくは集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項12記載の集塵装置において、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項13記載の集塵装置において、シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とするものである。
【0026】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とするものである。
【0027】
また、請求項15記載の集塵装置において、抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナに銀成分を固定化したものであることを特徴とする。
【0028】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とするものである。
【0029】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とするものである。
【0030】
また、請求項18記載の集塵装置において、抗ウイルス剤がフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とするものである。
【0031】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とするものである。
【0032】
また、請求項18記載の集塵装置において、抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とするものである。
【0033】
また、請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置において、抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とするものである。
【0034】
また、請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置において、集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とするものである。
【0035】
また、請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出し口に、イオン化した空気を室内に供給し、室内の粉塵を微弱に帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。
【0036】
また、請求項24記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出し口に、放電電極と対向電極とで構成されたイオン化手段を設け、イオン化手段の放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段の対向電極をアースに接続して得られたマイナスイオンを室内に供給し、集塵部の完全絶縁型電極もしくは非導電性コルゲート電極のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続することを特徴とするものである。
【0037】
また、本発明の空調装置は、請求項26に記載したとおり、請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、集塵部の圧力損失および静電容量を上げないまま均一かつ高い集塵性能を得ることができ、また、粉塵を捕集して集塵部が汚れた状態になっても電極表面の電荷の消滅を防いで安定して高い集塵性能を半永久的に得ることができる。また衝撃を受ける、または水洗などの洗浄作業を行うなどしても集塵部の破壊や破損を防ぐことができ、また、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、不活化することができるという効果を有する集塵装置および空調装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の集塵装置は、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極と、シート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けてコルゲート形状にした非導電性コルゲート電極とを交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とするものであり、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極を用いることで両電極間の絶縁を確保した構造となっている。非導電性コルゲート電極とは表面抵抗率で10の8乗Ω/□以上、望ましくは10の11乗Ω/□以上、体積抵抗率で10の10乗Ω・cm以上を有するものを意味し、表面の任意の位置に電荷を供給するための電極端子が設けられている。非導電性コルゲート電極の表面は非導電性ではあるが電荷を僅かに通し、電極端子から供給される電荷をその表面全体に乗せることができる電気特性を持つ。また非導電性コルゲート電極は通風方向から見て波状のコルゲート形状を持ち、平らな形状をした完全絶縁型電極と交互に積層することによって両電極間には均一なコルゲート形状の空間が設けられている。ここでいうコルゲート形状については、波状、三角状、四角状などといった空間を作りうる形状であればその形を限定しない。そして非導電性コルゲート電極の任意の部分に設けられた電極端子に印加した電圧に相当する電荷が、電極端子を通じて非導電性コルゲート電極の表面に均一に与えられ、非導電性コルゲート電極と異なる電圧が印加された完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極とで囲まれたコルゲート形状の空間の一つ一つに均一な電場を設けることを可能とする構造となっている。荷電部によって帯電した粉塵を含む空気はこの一つ一つの形状が均一で、一つ一つに同じ電場が設けられた空間に導入され、電場の力によってクーロン力を受け、電極の表面に付着し捕集される。また、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極は非導電性コルゲート電極によるコルゲートの持つ高さの間隔で積層されるが、両電極の間に設けられたコルゲート形状の空間における電極間隔の平均値はコルゲートの山高さよりも小さい値に相当するため、コルゲートの山高さを実際の電極間隔として2つの電極を平行に積層した場合よりも強い電場が得られる。しかし空気が通過する空間の大きさはコルゲートの山高さを実際の電極間隔として2つの電極を平行に積層した集塵部と同じになり、空気を通過させる時の圧力損失は上昇しない。このことから圧力損失を上げずに集塵性能を高めた集塵部を得られるという作用を有する。また、非導電性コルゲート電極のコルゲート構造によって粉塵を含む空気が集塵部を通過する空間を設ける構造となっており、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極の2つのみで集塵部を構成することができるため、空間を設けるためのスペーサーなどを別途必要としない。また、非導電性コルゲート電極の表面は非導電性であるため、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極との、コルゲートの山の頂点における接触部分で多くの電荷が蓄積される作用が起こらず、集塵部の静電容量は大きくならないという作用を有する。
【0040】
また、請求項1記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子と、完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体とが、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極とを積層する方向から見て投影的に重ならないことを特徴とするものである。すなわち空気を取り込む面を正面とした集塵部を上から見た場合、非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子と、完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体とが投影的に重ならない構造とすることで、非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子と完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体とが完全絶縁型電極の絶縁体を挟んで非常に近い距離とならない構造とすることができるため、非導電性コルゲート電極の山の頂点と完全絶縁型電極が接触する部分においても、非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子および完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体に電荷が集中しない。このため集塵部の静電容量を小さくでき、また両電極の接触部分で完全絶縁型電極の絶縁体が絶縁破壊を起こして絶縁不良を起こすことを防ぐことができるという作用を有する。
【0041】
また、請求項1または2いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極の、集塵部を通過する空気の方向に対して前後となる側部位置に電極端子を設けることを特徴とするものである。非導電性コルゲート電極の、集塵部を通過する空気の方向に対して前後となる側部位置に電極端子を設け、この電極端子と積層方向において投影的に重ならないように完全絶縁型電極のシート状導電体を設ける。すなわち完全絶縁型電極の構造としてはシート状導電体を、それよりも幅の大きい絶縁体で中心線を合わせて挟むように重ね合わせる、もしくはシート状導電体の端面を被覆するように絶縁体でモールドすることによって集塵部を通過する空気の方向に対して前後となる側部位置にシート状導電体のない絶縁体の部分のみを設けることができる。こうすることによって非導電性コルゲート電極の電極端子および完全絶縁型電極のシート状導電体を点在させずに連続したものとすることができることから、静電容量、通風時の圧力損失が小さくて絶縁性および集塵性能の高い集塵装置を簡単に得ることができるという作用を有する。
【0042】
また、請求項1乃至3いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極の、集塵部を空気が通過する方向に対して単一もしくは複数の中間位置に電極端子を設けることを特徴とするものである。非導電性コルゲート電極の通風方向における寸法、すなわち幅が大きい場合、電極端子から離れた表面に電荷が行き渡らない可能性があり、非導電性コルゲート電極の幅方向に対して中心の位置に電極端子を設けることで、非導電性コルゲート電極の表面全体に電荷を行き渡らせることができる。このようにして集塵性能を安定して高いものとすることができるという作用を有する。
【0043】
また、請求項1乃至4いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極における絶縁体が絶縁性の樹脂からなることを特徴とするものである。絶縁性の樹脂としてはポリプロピレン(以下PP)やポリエチレン(以下PE)といったポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(以下PET)やポリブチレンテレフタレート(以下PBT)といったポリエステル類、もしくはポリスチレン(以下PS)、ポリカーボネート(以下PC)やポリウレタンなどが挙げられる。絶縁性を有する樹脂は絶縁耐圧が15kV/mm以上と絶縁性が非常に高く、また成形性や加工性がよいという特徴を持つため、シート状導電体を絶縁性の樹脂でラミネートやモールド加工を用いて被覆することで高い絶縁性を有する完全絶縁型電極を容易に作成することが可能となる。また可撓性が高いことから衝撃を受けても破損しない集塵部を得ることができる。また完全絶縁型電極を帯状にし、非導電性コルゲート電極と重ね合わせて巻くことによって集塵部を形成することが可能となるという作用を有する。
【0044】
また、請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体の表面が半導電性を有することを特徴とするものである。半導電性を持つ材料としてナイロン6もしくはナイロン12や、これらナイロンを用いたコポリマーなどといった吸湿性を有する樹脂が上げられる。このような材料は空気中に僅かに存在する水分を吸収して10の11〜15乗Ω/□の表面抵抗率を、また10の11〜15乗Ω・cmの体積抵抗率を有しており、この範囲内の抵抗値を有する材料は非導電性であるが電荷を僅かに通すといった半導電性の性質を有するため、シート状非導電体として用いた場合に電極端子から供給される電荷を表面全体に行き渡らせることができる。また可撓性が高く熱成型性も良いため、コルゲート加工および積層などの組立加工がしやすく破損しにくいという作用を有する。また、非導電性コルゲート電極は表面に電荷が行き渡たれば集塵性能を確保するという役目を果たすことができるため、シート状非導電体の内部に電荷を供給する必要はない。そのため、強度を得るための基材としてPPやPE、PET、PBTといった樹脂などのシート絶縁体を用い、表面にナイロン6やナイロン12の半導電性樹脂を設けたものや、また基材として用いるシート状絶縁体の表面に酸化亜鉛やイオン導電性樹脂など半導電性を有する成分を含有する半導電性塗料を塗布したものを非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いても同様の作用を有する集塵部が得られる。
【0045】
また、請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置において、非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体が無延伸の樹脂シートからなることを特徴とするものである。その例として、無延伸のナイロンシートを用いる、もしくは無延伸のPBTシートの上に半導電性の膜を設けたものなどが挙げられる。樹脂シートの製造方法として、シート成型した後に延伸して分子の配列方向を均一にすることで強度を高める延伸製法があるが、延伸された樹脂シートは製造後の熱加工性がよくないという特徴を有する。それに対して延伸しないいわゆる無延伸の樹脂シートは製造後の熱加工性がよいという特徴を有するため、コルゲート形状を持たせる加工が行いやすいという作用を有する。
【0046】
また、請求項1乃至10いずれかに記載の集塵装置において、帯状にした非導電性コルゲート電極と、同様に帯状にした完全絶縁型電極とを重ね合わせて巻き込み、ロール形状とすることを特徴とするものである。両電極を帯状にしてロール状に巻くことで非導電性コルゲート電極の電極端子および完全絶縁型電極のシート状導電体と高圧電源とを接続する個所がそれぞれ1ヵ所にすることができ、集塵部を簡単に作成できるという作用を有する。
【0047】
また、請求項1乃至11いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極の表面、もしくは集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。完全絶縁型電極の絶縁体もしくは集塵部全体の表面にタバコの煙などといった導電成分を含む粉塵が付着して導電性の膜が形成され、これらの表面に発現した電荷が移動し、消滅して粉塵の通過する空間の電場が弱まる。この電場の弱まりによって集塵性能の低下が引き起こされる。本発明においては完全絶縁型電極の絶縁体の表面もしくは集塵部の全体に絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜を設けているため、タバコの煙といった導電成分を含む粉塵を集塵しても、集塵部の表面に連続して付着することを抑制し、その結果導電性の膜が形成されることを防ぐことができることから、導電成分を含む粉塵を集塵しても高い集塵性能を維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、弾性および接着性を持つという大きな特徴を有するため、集塵部全体の表面に強く固着して、安定で強固かつ弾性の高い膜を形成する。そのため集塵部の表面を引っかいたりするなどの外部的な力を与えてもシリコーンポリマーの膜が集塵部の表面からこぼれ落ちたり剥離することがなく、また、水洗などの洗浄作業を行っても、シリコーンポリマーの膜が洗浄液中に溶出することもないため、高い集塵性能を半永久的に安定して得ることができる。また、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けた場合には完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極との接触面が高い接着性および弾性を有するシリコーンポリマーで接着されるため集塵部全体が大きな強度と弾性を有する。そのため外部からの衝撃を受けても、集塵部は破壊されずに接着によって一体化された状態を保持することができるという作用を有する。
【0048】
また、請求項12記載の集塵装置において、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とするものである。集塵部をシリコーンポリマーの溶液に浸漬し乾燥することで、集塵部全体をシリコーンポリマーで接着して一体化して弾性および強度と得ることと、集塵部全体にシリコーンポリマーの膜を均一に設けることを一括して同時に行うことができるという作用を有する。
【0049】
また、請求項13記載の集塵装置において、シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とするものである。シリコーンポリマーは例えばトルエンやシクロヘキサン、ノルマルヘキサンといった極性の小さい芳香族系や炭化水素系の有機溶剤で希釈することができる。このような極性の小さい有機溶剤で希釈することでシリコーンポリマーの粘度を低下させると同時に分散をよくし、集塵部全体に均一にシリコーンポリマーの膜を設けることができるという作用を有する。
【0050】
また、請求項1乃至14何れかに記載の集塵装置において、集塵部に、抗菌作用を有する抗菌剤、抗黴作用を有する抗黴剤、ウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤、もしくはアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤をそれぞれ添着もしくは全て一括して添着して固定化することを特徴とするものである。抗菌剤として例えばチタニアもしくはシリカアルミナの微細粒子に銀成分を固定化したものを用いることで、抗菌作用を有する銀成分を均一に抗菌剤の中で分散することができ、集塵部に均一に添着することができるという作用を有する。また例えばチアベンダゾールを主成分とした抗黴剤を用いることで、真菌に分類される黴類の繁殖を抑制することができる。また例えばエピカテキンガレートのようにフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類を抗ウイルス剤として用いることで、ウイルスの外皮であるエンベローブやエンベローブ表面に存在するスパイクを包み込んで細胞への感染作用を抑制することで増殖を防ぐことができる。また例えばフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物などを抗アレルゲン剤として用いることで、フェノール性水酸基がアレルゲンを包み込み、アレルゲンの持つ特異結合部を無効化してアレルギーを引き起こす要因となる抗体生成体との特異結合を抑制することができる。これらの薬剤を集塵部に添着して固定化することにより、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ集塵部において不活化させることができるという作用を有する。
【0051】
また、請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置において、集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とするものである。線状、針状、棘状などの形状を持つ放電電極と対向電極からなる荷電部のように放電を起こして空気の電離現象を起こして空気をイオン化するイオン化手段によって空気イオンを集塵部の風上に発生させ、取り込んだ空気中に存在する粉塵に付着させることによって粉塵を帯電させ、そして帯電した粉塵を集塵部に送り込んで捕集することで集塵性能を高めることができるという作用を有する。
【0052】
また、請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出し口に、イオン化した空気を室内に供給し、室内の粉塵を微弱に帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。線状、針状、棘状放電などの形状を持つ放電電極と対向電極からなる荷電部のように放電を起こして空気の電離現象を起こして空気をイオン化するイオン化手段によって得られた空気イオンを集塵装置の吹出し口から部屋へ供給することによって部屋の中の空気中に存在する粉塵を微弱に帯電させる。帯電した粉塵を集塵部に取り込んで集塵部で捕集することができ、また部屋の中の粉塵を微弱に帯電できる量の空気イオンを発生させるだけでよいためイオン化手段で発生する副生成物のオゾンを極限まで小さくすることができるという作用を有する。
【0053】
また、請求項24記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出し口に、放電電極と対向電極とで構成されたイオン化手段を設け、イオン化手段の放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段の対向電極をアースに接続して得られたマイナスイオンを室内に供給し、集塵部の完全絶縁型電極もしくは非導電性コルゲート電極のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続することを特徴とするものである。放電電極は先端が尖った針のような形状を持つものを主に用い、対向電極は棒状、板状など様々な形状を持つものが用いられる。放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時に対向電極をアースに接続することで放電電極の尖った先端付近に極端に強い電界を発生させる。これにより放電電極の先端近傍の空気は電離を起こしてイオンとなるが、そのうちリラクゼーション効果があるといわれるマイナスイオンはマイナスの電圧が印加された放電電極から反発されるように放出される。そして送風手段による風に乗って室内に供給される。このようにマイナスイオンを室内に供給することによって室内の居住者にリラクゼーション効果をもたらすと同時に室内の粉塵を微弱に帯電し、帯電した粉塵を集塵部に取り込んで捕集することができる。また、集塵部のどちらかの電極にプラスの電圧を印加することで本体をプラスに帯電しやすくし、マイナスに帯電した粉塵を本体に寄せ付けてより高い集塵性能を得ることが可能となるという作用を有する。
【0054】
また、本発明の空調装置は、請求項26に記載したとおり、請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置を備えたことを特徴とするものである。空調装置の熱交換器の前に請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置を設けることによって、空調装置に安定して高い空気清浄機能を持たせることができるという作用を有する。
【0055】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0056】
(実施の形態1)
非導電性コルゲート電極1および完全絶縁型電極2を交互に積層し、それぞれの電極に異なる電圧を印加した集塵部3の空気の吸込み面を正面図として図1に、また集塵部3の側面から見た断面図を図2に示す。また、一層のシート状非導電体4を用いた非導電性コルゲート電極1の一例を示す上面図を図3に、また側面からの断面図を図4に示す。非導電性コルゲート電極1はシート状非導電体4の、空気の通過する方向に対して前後すなわち幅方向における両端部に電極端子5を設けた構造となっており、空気の通過する方向から見てコルゲート形状を有する。シート状非導電体4はナイロンといった半導電性を有する樹脂などを使用し、電極端子5はアルミなどの金属箔、もしくはカーボンや金属を含有する導電性塗料の塗布などで形成される。またシート状絶縁体A6を基材としてその上に半導電層7を設け、半導電層7の上に電極端子5を設けた非導電性コルゲート電極1の側面から見た断面図を図5に示す。シート状絶縁体A6としてはPPやPBTなどといった絶縁性の樹脂などを用い、その上に半導電層7、さらにその上に電極端子5を設ける。半導電層7の形成方法としてナイロンなど半導電性を有する樹脂の薄いシートを貼り付ける、またはナトリウムイオンなどの各種金属イオンや硫酸イオンなどの各種陰イオンといったイオン性物質や酸化亜鉛といった金属酸化物など半導電性を有する成分を含む塗料を塗布するなどといった具体例が挙げられる。また完全絶縁型電極2の上面図を図6に、側面から見た断面図を図7に示す。完全絶縁型電極2はシート状導電体8の両面を、それよりも幅の広いシート状絶縁体B9で中心を合わせるように挟むようにして貼り合わせた構造となっており、シート状導電体8を完全に絶縁する構造となっている。シート状導電体8はアルミなどの金属箔や、またカーボンや金属を含有する導電性塗料をシート状の基材に塗布したものなどが用いられる。シート状絶縁体B9の材質としてはPPやPE、PET、PBT、PS、PCといった絶縁性を有する樹脂が主に用いられる。集塵部3における非導電性コルゲート電極1は空気の通過する方向から見て波状のコルゲート形状となっており、平らな形状である完全絶縁型電極2と交互に積層することによって空気の通過する空間を設けている。非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2にそれぞれ異なる電圧を印加することによってこの空間一つ一つに均一な電場が設けられている。電極間の平均距離は非導電性コルゲート電極1のコルゲートの山高さよりも小さくなるため、空間に設けられる電場の強さの平均値は、例えば非導電性コルゲート電極1と同じ山高さのコルゲート形状を有するスペーサを挟んで2つの平らな電極を積層した集塵部3の電場よりも強いものとなり、その結果、より高い集塵性能を得ることができる。一方通風時の圧力損失は空気の通過する空間の大きさと反比例する。本発明における集塵部3は非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2を積層して形成される空間が空気の通過する空間の一つとなるが、この空間の大きさは、例えば非導電性コルゲート電極1と同じ山高さのコルゲート形状を有するスペーサを挟んで2つの平らな電極を積層した集塵部3に形成される空間の一つと比べて同じとなるため圧力損失も同じとなり、結果として低い圧力損失を保ちながら集塵性能を高めた集塵部3を得ることができる。また、図2に示すように非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2の積層方向において電極端子5とシート状導電体8とが投影的に重ならない構造となっているため、電極端子5とシート状導電体8が完全絶縁電極2のシート状絶縁体B9を挟んで接近しない構造となっている。そのため電極端子5とシート状導電体8によって電荷が大きく蓄積されることがないと同時にシート状絶縁体が絶縁破壊を起こす可能性が小さい。また、帯状の非導電性コルゲート電極1および帯状の完全絶縁型電極2を重ね合わせてロール状に巻いた集塵部3の正面図を図8に示す。このようにロール状の構造とすることによっても同様の効果を有する集塵部3を得ることができる。ロール状の構造を有する集塵部3のメリットとして非導電性コルゲート電極1、完全絶縁型電極2と高圧電源111とを接続する部分がそれぞれの電極につき1ヶ所となり、最小にできることが挙げられる。また、集塵部3全体の表面に、図には示していないが絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜を設けた場合、導電成分を含む粉塵はシリコーンポリマーの膜が有するミクロな隙間によって非連続的に付着するために、集塵部3全体の表面に導電成分を含む粉塵が連続的に付着することで形成される導電性の膜を作ることを防ぐことができる。このため、非導電性コルゲート電極1および完全絶縁型電極2の表面に発現した電荷が中和して消滅することがなく、両電極に設けられた空間の電場が弱まることがないことから、粉塵を捕集しても高い集塵性能を長期間安定して維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、接着性および弾性を有するため、集塵部の表面に強固に固着し、弾性かつ化学的安定性を有する膜を形成する。このためシリコーンポリマーの膜は集塵部から外力によって剥離したり、水洗などの洗浄によって溶出することがないことから半永久的に安定して高い集塵性能を持つ集塵部3を得ることができる。
【0057】
なお、シート状絶縁体A6、シート状絶縁体B9として主に絶縁性を有する樹脂を用いているが、絶縁性を有するのであれば無機材料といった他の材料を用いても効果に差は生じない。
【0058】
また、完全絶縁型電極2は、シート状導電体8の全体を覆って完全に絶縁される形であれば、絶縁体でシート状導電体8をモールドするといったその他の方法を用いても効果に差異を生じない。
【0059】
また、完全絶縁型電極2の内部にシート状導電体8を設ける方法として、シート状絶縁体B9にそれよりも幅の狭い領域に導電性塗料を塗布し、導電性塗料の塗布面にシート状絶縁体B9を貼り合わせる方法でも同様の効果を有する完全絶縁型電極2を作成することができる。
【0060】
また、図1に示した非導電性コルゲート電極1は波型の形状であるが、完全絶縁型電極2との間に空気が通過する空間を設けることができるのであれば、三角状やコの字状といった他の形状であっても効果に差を生じない。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態1と同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。上記実施の形態2で示した集塵部3を有する集塵装置の集塵効率を評価した実験結果を以下に示す。図9に示すように、集塵効率を求める際は、温湿度制御可能な実験室で、ダクトを用いて上流側から荷電部101、集塵部3、送風手段10の順番で設置した実験装置を作成し、面風速が1.4m/sとなるように送風手段10を設定して集塵効率を求めた。そしてリオン製パーティクルカウンターKC18を用い、荷電部101の上流側および集塵部3の下流側の空気中に含まれる粒径0.1μm以上の粉塵を測定し、以下の式を用いて集塵効率を算出した。
【0062】
η=(1−Cin/Cout)×100
η:集塵効率(%)、Cin:荷電部上流側の粉塵濃度(個/L)、Cout:集塵部下流側の粉塵濃度(個/L)
実験に用いた荷電部101は幅100、高さ50mmの開口寸法、25mmの奥行寸法を持つABS製ボックスに80μmの径を持つタングステン製の線状電極102を3本水平に設置し、線状電極102の中心に位置するように対向極板103を16mmの間隔で4枚設置したものを用いた。線状電極102に約4kVの電圧を印加し、対向極板103をアースに接続して、温湿度20℃40%RHで評価する際は5μA、30℃80%RHで評価する際は10μAの放電電流となるようにコロナ放電を起こして荷電部101を通過する粉塵を帯電させた。集塵部3の作成に用いた部品は以下のとおりである。厚さ15μm、幅20mmの帯状のアルミ箔からなるシート状導電体8の両面に、厚さ50μm、幅30mmの帯状のPETフィルムからなるシート状絶縁体B9を接着剤で貼り合わせて完全に被覆したものを作成し、完全絶縁型電極2として用いた。また、無延伸ナイロン製で厚さ80μm、幅30mmの帯状のシート状非導電体4に、幅30mmのうち両端それぞれ3mmの領域に厚さ50μm、幅3mmの帯状のアルミ箔からなる電極端子5を設けたものを、山高さ1.67mmの寸法で波状のコルゲート形状にしたものを非導電性コルゲート電極1として用いた。ここでいう山高さとは、下向きの山の頂点とその隣に位置する上向きの山の頂点との高さ方向における距離を意味する。実施例として評価に用いた集塵部3は、このようにして作成した帯状の非導電性コルゲート電極1および完全絶縁型電極2を重ね合わせてロール状に巻いたものを、シリコーンポリマーをシクロヘキサンで溶解したシリコーンポリマー溶液に漬け込んで乾燥させ、集塵部の表面全体にシリコーンポリマーの膜を設けた構造となっている。比較例として評価に用いた集塵部3の構造を図9に、実施例として評価に用いた集塵部の構造を図10に示す。比較例として評価に用いた集塵部3は図9に示すとおり帯状の完全絶縁型電極2、厚さ80μm、幅30mmの無延伸PBT製のシート状絶縁体を山高さが1.67mmの波状のコルゲート加工を施した絶縁性コルゲートシート11、シート状導電体からなる電極12、絶縁性コルゲートシート11の順番で積層してロール状に巻いたものの表面全体に、図には示していないがフッ素樹脂の膜を設けたものである。なお、比較例および実施例として評価に用いた集塵部3は全て図11に示す寸法で作成した。実験の際にはそれぞれの集塵部3においてシート状導電体からなる電極12および非導電性コルゲート電極1をアースに接続し、それぞれの集塵部における完全絶縁型電極2に4kVの電圧を印加することで、それぞれの集塵部3における両電極の間に4kVの電位差を与えた。
【0063】
実験においては、集塵部3が低湿度(20℃40%RH)かつタバコの煙で汚れていない時、および高湿度(30℃80%RH)かつタバコの煙を集塵して汚れている時という2つの条件で集塵効率がどのように変化するかを評価した。具体的には新品の集塵部3を実験装置に組み込み、20℃40%RHに制御された実験室の中で集塵効率を測定した。その後荷電部101、集塵部3、送風手段10を設けた集塵装置を組んで、容積0.5立方メートルのアクリルボックスの中で合計40本のタバコを燃焼させながら運転してタバコの煙を集塵させた後、温湿度が30℃80%RHに制御された実験室に集塵部を持ち込んで実験装置に組み込み、集塵効率を求めた。
【0064】
【表1】
【0065】
評価を行った集塵部3の仕様および集塵効率その他の測定結果を表1に示す。タバコの煙0本付着、20℃40%RHの条件において、比較例に示した集塵部3は集塵効率が99.5%と高いものとなったが、実施例に示した集塵部3は集塵効率が99.9%となり比較例に示した集塵部3よりも更に高い集塵性能を示した。次に40本分のタバコの煙を集塵させた後に30℃80%RHの温湿度条件で集塵効率の評価を行った結果、比較例に示した集塵部3は48.5%となったのに対して実施例に示した集塵部3は76.9%となり、劣悪な条件において比較例に示した集塵部3よりも高い集塵性能を持つことが分かった。比較例に示した集塵部3は表面全体にフッ素樹脂の膜を設けているが、40本分もの大量のタバコの煙を集塵すると、フッ素樹脂の膜によって水分をはじくことができても、タバコの煙に含まれる導電成分を含む粉塵は集塵部3の表面全体を覆うように付着してしまう。そのため完全絶縁型電極2や絶縁性コルゲートシート11の表面に導電性の膜が形成されてしまい、集塵効率が大幅に低下した。すなわち完全絶縁型電極2や絶縁性コルゲートシート11の表面に撥水性のみを表面に付与しても大量のタバコの煙を集塵することで集塵性能が低下することがわかった。それに対して実施例に示した集塵部3は、集塵部3全体の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることで導電性の膜の形成を抑制することで非導電性コルゲート電極1および完全絶縁型電極2の表面に発現した電荷が移動して消滅することを防いでいるため、40本分のタバコの煙を集塵しても集塵効率の低下を小さくすることができることが分かった。ここで、送風手段10としては、クロスフローファン、シロッコファンなどの送風機がある。
【0066】
また、集塵部3を構成する2つの電極の間で測定した静電容量は、比較例に示した集塵部3で0.33nF、実施例に示した集塵部3で0.23nFとなり、ほぼ同等であった。実施例に示した集塵部3は非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2が直接接触する構造でありながら比較例に示したような直接接触しない構造の集塵部3と同等なのは、非導電性コルゲート電極1の電極端子5を除く部分の表面が非導電性であること、非導電性コルゲート電極1に設けられた電極端子5と完全絶縁型電極2の内部に設けられたシート状導電体8とが積層するにあたって投影的に重ならないためである。すなわち非導電性コルゲート電極1の、完全絶縁型電極2の内部に設けられたシート状導電体8と投影的に重なる部分が非導電性であり蓄える電荷量が僅かであるため、非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2とが直接接触する構造であっても静電容量が小さくなることを実現している。このため静電容量が大きいと非導電性コルゲート電極1と完全絶縁型電極2が端子部分などで万一短絡した時に大きいノイズが発生するが、実施例に示した集塵部3はそのような大きなノイズの発生を防ぐ構造となっている。また、完全絶縁型電極2のシート状絶縁体B9が絶縁破壊を起こした場合、集塵部3に電圧が印加できなくなって集塵部3としての機能を果たせなくなるが、実施例に示した集塵部3においては非導電性コルゲート電極1の電極端子5と完全絶縁型電極2の内部に設けられたシート状導電体8とが投影的に重ならないため、完全絶縁型電極2のシート状絶縁体B9を挟んで非導電性コルゲート電極1の電極端子5と完全絶縁型電極2の内部に設けられたシート状導電体8がシート状絶縁体B9を挟んで非常に近くならない構造となっているため、完全絶縁型電極2のシート状絶縁体B9が絶縁破壊を極力起こさないようにしており、集塵部3の機能を半永久的に保つことが可能な構造となっている。
【0067】
(実施の形態3)
実施の形態1または2と同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。非導電性コルゲート電極1および完全絶縁型電極2を交互に積層し、それぞれの電極に異なる電圧を印加した集塵部3と送風手段10を備えた集塵装置の吹出し口13に、放電電極14と対向電極15とで構成されたイオン化手段16を設け、イオン化手段16の放電電極14にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段16の対向電極15をアースに接続して得られたマイナスイオン17を室内に供給し、さらに集塵部3の完全絶縁型電極2もしくは非導電性コルゲート電極1のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続した集塵装置を図12に示す。ここでは図12に示すとおり放電電極14は先端が尖った針状のものを、また対向電極15は板状のものを用いている。放電電極14にマイナスの電圧を印加すると同時に対向電極15をアースに接続することで放電電極14の尖った先端付近に極端に強い電界を発生させ、放電電極14の先端近傍の空気を電離してイオン化させる。そのうちリラクゼーション効果があるといわれるマイナスイオン17はマイナスの電圧が印加された放電電極から反発されるように放出され、送風手段10による風に乗って室内に供給される。この時アースに接続された対向電極15の位置は放電電極14が放電を起こすのであれば特に限定しないが、発生したマイナスイオン17を吸収しない位置、すなわち放電電極14の下流側すぐに位置しないことが望ましい。またイオン化手段16で放電を起こす際には放電電極14と対向電極15との間で放電電流が流れるが、部屋の空気中の粉塵を微弱に帯電させるだけで集塵性能が得られるように集塵部の電圧や電極の間隔、寸法を設計することで吹出し風量あたりで1μA/m3以下に放電電流を設定することが可能となり、放電によって発生し、人体に害を与えるオゾンの量をほぼゼロにすることができる。このようにマイナスイオン17を室内に供給することによって室内の居住者にリラクゼーション効果をもたらすと同時にオゾンを発生させない放電によって室内の粉塵を微弱に帯電し、帯電した粉塵を集塵部3に取り込んで捕集することができる。また、集塵部3の非導電性コルゲート電極1、完全絶縁型電極2のどちらかの電極にプラスの電圧を印加することで集塵装置本体をプラスに帯電しやすくし、マイナスに帯電した粉塵を本体に寄せ付けてより高い集塵性能を得ることが可能となる。
【0068】
なお、針状の放電電極14を用いたが、放電を起こすことができる形状であれば棘状や線状などその他の形状であってもその効果に差異を生じない。
【0069】
また、板状の対向電極15を用いたが、放電電極が放電を起こすことができるのであれば棒状や釘状などその他の形状であっても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の集塵装置は、空気を取り込む際の送風エネルギーが小さく、集塵部の故障や障害を減らしながら高い集塵性能を実現し、また集塵部が粉塵を捕集して汚れても安定して高い集塵性能を半永久的に得ることができるという効果を有するため、室内ばかりでなく屋外での空気環境を向上させる用途としても有用である。
【0071】
また本発明の集塵装置を備えた空調装置は、空気を取り込む際の送風エネルギーが小さく、集塵部の故障や障害を減らしながら高い集塵性能を実現し、また集塵部が粉塵を捕集して汚れても安定して高い集塵性能を半永久的に得ることができるという効果を有し、室内の冷暖房および湿度制御といった空調を行いながら清浄化された室内空間を提供する用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1に記載の集塵部の正面を示す構成図
【図2】同集塵部の側面から見た断面図を示す構成図
【図3】同非導電性コルゲート電極の上面を示す構成図
【図4】同シート状非導電体、電極端子によって構成された非導電性コルゲート電極の側断面を示す構成図
【図5】同シート状絶縁体A、半導電層、電極端子によって構成された非導電性コルゲート電極の側断面を示す構成図
【図6】同完全絶縁型電極の上面を示す構成図
【図7】同完全絶縁型電極の側断面図を示す構成図
【図8】本発明の実施の形態2に記載の実験室を示す図
【図9】同比較例として示した集塵部の正面を示す構成図
【図10】同実施例として示した集塵部の正面を示す構成図
【図11】同集塵部を示す寸法図
【図12】本発明の実施の形態3に記載の集塵装置の構成図
【図13】従来の電気集塵式集塵装置の構成図
【図14】従来の電気集塵式集塵装置の集塵部を示す構成図
【符号の説明】
【0073】
1 非導電性コルゲート電極
2 完全絶縁型電極
3 集塵部
4 シート状非導電体
5 電極端子
6 シート状絶縁体A
7 半導電層
8 シート状導電体
9 シート状絶縁体B
10 送風手段
11 絶縁性コルゲートシート
12 シート状導電体からなる電極
13 吹出し口
14 放電電極
15 対向電極
16 イオン化手段
17 マイナスイオン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極と、シート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けてコルゲート形状にした非導電性コルゲート電極とを交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子と、完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体とが、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極とを積層する方向から見て投影的に重ならないことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
非導電性コルゲート電極の、集塵部を通過する空気の方向に対して前後となる側部位置に電極端子を設けることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の集塵装置。
【請求項4】
非導電性コルゲート電極の、集塵部を空気が通過する方向に対して単一もしくは複数の中間位置に電極端子を設けることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の集塵装置。
【請求項5】
完全絶縁型電極における絶縁体が絶縁性の樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の集塵装置。
【請求項6】
非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体の表面が半導電性を有することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置。
【請求項7】
非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体が半導電性樹脂からなることを特徴とする請求項6記載の集塵装置。
【請求項8】
シート状絶縁体の表面に半導電性樹脂を設けたものを、非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いることを特徴とする請求項6記載の集塵装置。
【請求項9】
シート状絶縁体の表面に半導電性塗料を塗布したものを、非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いることを特徴とする請求項6記載の集塵装置。
【請求項10】
非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体が無延伸の樹脂シートからなることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置。
【請求項11】
帯状にした非導電性コルゲート電極と、同様に帯状にした完全絶縁型電極とを重ね合わせて巻き込み、ロール形状とすることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載の集塵装置。
【請求項12】
完全絶縁型電極の表面、もしくは集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の集塵装置。
【請求項13】
集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とする請求項12記載の集塵装置。
【請求項14】
シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とする請求項13記載の集塵装置。
【請求項15】
集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項16】
抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナに銀成分を固定化したものであることを特徴とする請求項15記載の集塵装置。
【請求項17】
集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項18】
集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項19】
抗ウイルス剤がフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とする請求項18記載の集塵装置。
【請求項20】
集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項21】
抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項20記載の集塵装置。
【請求項22】
抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項23】
集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とする請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置。
【請求項24】
集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出口に、イオン化した空気を室内に供給し、室内の粉塵を微弱に帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とする請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置。
【請求項25】
集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出口に、放電電極と対向電極とで構成されたイオン化手段を設け、イオン化手段の放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段の対向電極をアースに接続して得られたマイナスイオンを室内に供給し、集塵部の完全絶縁型電極もしくは非導電性コルゲート電極のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続することを特徴とする請求項24記載の集塵装置。
【請求項26】
請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置を備えた空調装置。
【請求項1】
シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極と、シート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けてコルゲート形状にした非導電性コルゲート電極とを交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
非導電性コルゲート電極に設けられた電極端子と、完全絶縁型電極の内部に設けられたシート状導電体とが、完全絶縁型電極と非導電性コルゲート電極とを積層する方向から見て投影的に重ならないことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
非導電性コルゲート電極の、集塵部を通過する空気の方向に対して前後となる側部位置に電極端子を設けることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の集塵装置。
【請求項4】
非導電性コルゲート電極の、集塵部を空気が通過する方向に対して単一もしくは複数の中間位置に電極端子を設けることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の集塵装置。
【請求項5】
完全絶縁型電極における絶縁体が絶縁性の樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の集塵装置。
【請求項6】
非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体の表面が半導電性を有することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の集塵装置。
【請求項7】
非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体が半導電性樹脂からなることを特徴とする請求項6記載の集塵装置。
【請求項8】
シート状絶縁体の表面に半導電性樹脂を設けたものを、非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いることを特徴とする請求項6記載の集塵装置。
【請求項9】
シート状絶縁体の表面に半導電性塗料を塗布したものを、非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いることを特徴とする請求項6記載の集塵装置。
【請求項10】
非導電性コルゲート電極におけるシート状非導電体が無延伸の樹脂シートからなることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置。
【請求項11】
帯状にした非導電性コルゲート電極と、同様に帯状にした完全絶縁型電極とを重ね合わせて巻き込み、ロール形状とすることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載の集塵装置。
【請求項12】
完全絶縁型電極の表面、もしくは集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の集塵装置。
【請求項13】
集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とする請求項12記載の集塵装置。
【請求項14】
シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とする請求項13記載の集塵装置。
【請求項15】
集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項16】
抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナに銀成分を固定化したものであることを特徴とする請求項15記載の集塵装置。
【請求項17】
集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項18】
集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項19】
抗ウイルス剤がフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とする請求項18記載の集塵装置。
【請求項20】
集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項21】
抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項20記載の集塵装置。
【請求項22】
抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項23】
集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とする請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置。
【請求項24】
集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出口に、イオン化した空気を室内に供給し、室内の粉塵を微弱に帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とする請求項1乃至22いずれかに記載の集塵装置。
【請求項25】
集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出口に、放電電極と対向電極とで構成されたイオン化手段を設け、イオン化手段の放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段の対向電極をアースに接続して得られたマイナスイオンを室内に供給し、集塵部の完全絶縁型電極もしくは非導電性コルゲート電極のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続することを特徴とする請求項24記載の集塵装置。
【請求項26】
請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置を備えた空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−237139(P2007−237139A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67181(P2006−67181)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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