説明

集塵装置および空調装置

【課題】高圧極板と集塵極板からなる集塵部において、集塵して激しく汚れた時や高湿度の時に両極板間の絶縁が完全に確保されていないとリーク電流が増大して電圧を印加できなくなるという課題があり、リーク電流のない構造とすることが要求されていると同時に、高圧極板および集塵極板が撓むことによって両電極板の間隔が一定に保たれず、空間における電場が均一にならず集塵作用にむらが生じていた。
【解決手段】シート状導電体9の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極2と、シート状非導電体5任意の部分に電極端子6を設けた非導電性電極1とを、絶縁性を有する突起状スペーサー12を挟みながら交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極2と非導電性電極1のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とする集塵装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄の分野において空気中の浮遊粒子状物質を除去することができる集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に存在する粒子状浮遊物質、すなわち粉塵は喘息などの疾病の原因として知られており従来から除去の対象となる物質であったが、近年の研究において粒子径2.5マイクロメートル以下の粉塵(いわゆるPM2.5)が肺ガンなどの疾病を誘起する可能性があるとの報告があり、捕集技術の更なる向上が求められている。その中で電気集塵技術を用いた集塵装置は粒子径がマイクロメートル以下の小粒径の粉塵を捕集することに優れており、また低圧損な特性を持つことから注目を集め、更なる性能向上が求められている。
【0003】
従来、この種の集塵装置として、放電によって粉塵を帯電する荷電部を前段に設け、その後段に、電極を積層し、交互に異なる電圧を印加して電場を形成して帯電した粉塵を捕集する集塵部を設けたものが知られている。この構成を応用した例として、特許文献1には電極基板の板面のうち、中央部に沿って導電層を形成し、その両側部分に絶縁面を設けてなる電極板において、少なくとも絶縁面に半導電層を形成した電極板を用いた集塵装置が示されている。以下、その集塵装置について図20、図21および図22を参照しながら説明する。図20は電極板101の全体図となっており、図21は図20のA−B線における断面図となっている。電極板101は図20および図21に示すとおり絶縁性を有する電極基板102表面の片側中央部に導電層103を形成し、その上から半導電層104を設けている。また、導電層103が設けられていない電極基板102の両側部分には電極基板102を窪ませるようにスペーサー突起105が設けられている。このスペーサー突起105は電極基板102の片側の面方向のみに突起するよう設けられており、両側それぞれ1列ずつ、かつ電極板101を積層する時に窪みにスペーサー突起105がはまらないように集塵部106を空気が通過する軸方向において半個ずらすように設けられている。このようにして設けられた電極板101を図22のように一つおきに向きを変えて積層して集塵部106を形成し、1枚おきに電極板101に、高圧電源107によって交互に異なる電圧を印加することによって電極板101のそれぞれの間に設けられた空間に電場が設けられ、帯電した粉塵はこの空間に導入され、電極板101上に付着し捕集される。そして表面中央部に導電層103が設けられた電極基板102のほぼ全面に渡って電荷を僅かに通す半導電層104が設けられているため電極板101のほぼ全面に渡って電界が形成されて高い集塵性能を実現し、同時に半導電層104は電荷を僅かにしか通さないことから上下に隣り合った電極板101の、空気が通過する方向における縁の部分でスパークを伴う異常放電を起こさない構造となっている。
【0004】
また、特許文献2には金属箔を絶縁体樹脂でモールドした陽極板と、陽極板と平行して設けられた集塵極板とで構成される集塵部が設けられた集塵装置が示されている。以下、その集塵装置について図23および図24を参照しながら説明する。図23に示すように、荷電部108は線状電極109と対向極板110とからなり、荷電部108の通風方向下流側に集塵部106が設けられている。集塵部106は陽極板111と、金属などの導電性材料からなる集塵極板112を交互に積層した構造となっている。また、集塵部106に空気を通過させるために、集塵極板112には任意の部分をジグザグに折り曲げた導電性の突起113が設けられており、陽極板111と集塵極板112は一定の間隔を開けて重ね合わされている。また、図24に示すとおり陽極板111は金属箔114を絶縁性合成樹脂からなるモールド材115で被覆したものとなっており、集塵極板112および導電性の突起113と接触しても短絡を起こさない構造となっている。また、陽極板111は、モールド材115に撥水剤を混入させる、もしくはモールド材115に撥水性材料を塗布もしくは貼り付けることで表面に撥水層116を設ける工夫が施されている。そして荷電部108においては高圧電源107によって線状電極109に+4〜+10kVの電圧を印加して、アースに接続された対向極板110との間に電位差を与え、また、集塵部106においては高圧電源107によって陽極板111におよそ+2kVの電圧を印加して、アースに接続された集塵極板112との間に電位差を与えている。
【0005】
上記構成において、荷電部108では線状電極109近傍に非常に強い電場が作られている。そのため空気中の電荷をもつ物質が空気分子と衝突を起こし、空気分子から電子が分離したり、分離した電子が他の空気分子に付着したりして空気イオンとなる。これを空気のイオン化と呼ぶことにする。そして、対向極板110との間にある絶縁体である空気が絶縁破壊を起こし、一定の大きな放電電流を伴いながら空気のイオン化が起こる放電現象をコロナ放電というが、コロナ放電によって作られた空気イオンが集塵装置に供給された空気に含まれる粉塵に付着して粉塵をプラスに帯電させる。プラスに帯電した粉塵は送風の流れにそって集塵部106に導入され、陽極板111と集塵極板112との間に設けられた電場の作用を受けて主に集塵極板112に付着し、粉塵が取り除かれた清浄な空気が集塵部106の後方から吹出される。また、陽極板111のモールド材115の表面には撥水層116が設けられているため、高湿度になった際も表面に濡れが生じず、モールド材115の表面の電荷が消滅することを防ぐことで集塵性能を維持する工夫がなされている。
【0006】
また、特許文献3には図25の分解図に示すように集塵部106を構成する集塵極板112と高圧側電極117とで構成され、体積固有抵抗率が10の10〜13乗Ω・cmのオーダーである吸湿性樹脂で構成された高圧側電極117とすることで両電極の間で起こりうるスパークを伴う短絡を防止することが可能な集塵部が示されている。また、高圧側電極117と集塵極板112はフレームで固定することで空間が設けられており、高圧側電極117の表面の電位が下がって集塵性能が低下しないようにするために高圧側電極117と集塵極板112が間接的にも接触しない構造となっている。
【特許文献1】特許第2662553号公報
【特許文献2】特公平6−45017号公報
【特許文献3】特許第3516725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載される集塵装置の集塵部では、電極板の導電層が絶縁層ではなく半導電層で覆われているため異なる電圧が印加された電極板どうしの絶縁が完全に確保されておらず、集塵して激しく汚れた時や高湿度の時において異なる電圧が印加された電極板の間を流れるリーク電流が高圧電極の容量を越えるほどに大きくなって電圧を印加できなくなるという課題があり、リーク電流のない構造とすることが要求されている。
【0008】
また、電極基板の中央部表面に導電層を設け、その後更にその上に半導電層を設ける必要があるため工程が複雑になるという課題があり、簡単な構造とすることが要求されている。
【0009】
また、スペーサー突起は電極基板の片側の面方向のみに突起するよう設けられ、両側それぞれ1列ずつ、かつ電極板を積層する時に窪みにスペーサー突起がはまらないように集塵部を空気が通過する軸方向において半個ずらすように設けられているが、作成を容易にするために上記構造でかつ帯状の電極板を2つ重ねてロール状に巻く構造にした場合、スペーサー突起が所定の位置になるようにすることが困難となり、窪みにスペーサー突起がはまって電極板の間に設けられるべき空間が得られないという課題があり、ロール状に巻く構造にしても電極板の間に空間を設けることができる構造とすることが要求されている。
【0010】
また、特許文献2に記載される集塵装置の集塵部では、集塵極板に折り曲げ加工による突起を設けることによって陽極板と集塵極板との間に空気を通過させるための空間を設けているが、陽極板および集塵極板が撓むことによって両電極板の間に設けられた空間が歪んで不均一になり、両電極板の空間が大きくなる部分で集塵性能の低下が生じるという課題があり、電極板の間に設けられた空間が不均一にならない構造とすることが要求されている。
【0011】
また、集塵極板に設けられた導電性の突起が陽極板のモールド材と接触することによって陽極板内部に設けられた金属箔と非常に近接する構造となるため、この接触部分において静電容量が大きくなって両電極板に多くの電荷が蓄積され、両電極板が端子部分などで万一短絡した時に大きなノイズが発生するという課題があり、集塵部の静電容量を小さくすることが要求されている。
【0012】
また、集塵極板に設けられた導電性の突起が陽極板のモールド材と接触することによって陽極板内部に設けられた金属箔と非常に近接する構造となるため、モールド材が絶縁破壊を起こしやすいという課題があり、絶縁破壊を起こさない構造とすることが要求されている。
【0013】
また、空気中に浮遊するタバコの煙はカーボンなどの固形分、タールなどの液状の油分、そして水分といった導電性を有する成分を多分に含んでいる。また、空気中に排出される自動車などの排気には導電性を有するカーボン粒子が含まれる。特許文献2に記載される集塵装置は、集塵部に絶縁性合成樹脂からなるモールド材で金属箔を被覆した陽極板を用いることで陽極板と集塵極板との短絡を完全に防ぐことができるが、導電成分を含む粉塵を集塵することによってモールド材の表面に導電性の膜が形成されることがある。モールド材の表面に導電性の膜が形成されると、陽極板の金属箔に電圧を印加することによって発現したモールド材表面の電荷を、モールド材と接触した集塵極板に逃がしてしまうことで消滅し、陽極板と集塵極板との間に設けられた空間に電場が形成されず、集塵性能が低下するという問題が生じる。そしてモールド材の表面に発現した電荷の消滅を引き起こす導電性の膜は、水分が濡れるように付着してできる膜のみではない。集塵部がタバコの煙などを捕集した場合、電極を被覆するモールド材の表面には水分のみでなく導電成分を含む粉塵が付着することで導電性の膜が形成される。そして陽極板の金属箔を被覆するモールド材と集塵極板とが接触することで電荷の移動が起こり、その結果モールド材の表面に発現した電荷は消滅してその後モールド材の表面に補充されないため、陽極板と集塵極板との間に設けられた空間に電場が形成されなくなり集塵性能が低下する。そのためモールド材の表面に撥水性のみを付与しても集塵性能が低下するという課題があり、どのような粉塵を集塵しても陽極板のモールド材の表面に導電性の膜が形成されることを防ぐことが要求されている。
【0014】
また、集塵部において、電極板を一定の間隔に保持して空気を通過させるために設けるスペーサーと電極板との接触部分が接着されていないと強度が得られないという課題があり、スペーサーと電極との接触部分が接着されていることが要求されている。
【0015】
また、特許文献3に記載される集塵装置の集塵部では、電極端子が半導電性を有する高圧側電極のあらゆる部分に設けられていないため、絶縁性を有するスペーサーなどで間接的にでも高圧側電極が集塵極板と接触すると電圧降下によって高圧側電極の表面の電位が低下して集塵性能が悪化するという課題があり、高圧側電極と集塵極板とが間接的に接触したとしても電極の表面の電位を確保することが要求されている。
【0016】
また、集塵性能を確保するために高圧側電極と集塵極板とが接触しないようにフレームで高圧側電極と集塵極板を固定する必要があるため構造が複雑になるという課題があり、簡単な構造でも高い集塵性能を有することが要求されている。
【0017】
また、空気中に浮遊する物質の中には菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病などの悪影響を及ぼすものがあり、人体に疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ不活化させることが要求されている。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、リーク電流を極限まで小さくし、また、電極基板の中央部表面に導電層を設けた後に半導電層を設ける必要がなく、また、ロール状に巻く構造にしても電極板の間に空間を設けることができ、また、電極板の間に設けられた空間が不均一にならず、また、集塵部の静電容量が小さく、また、絶縁体の絶縁破壊が起こらず、また、どのような粉塵を集塵しても電極を被覆する絶縁体の表面に導電性の膜が形成されることを防ぎ、また、スペーサーと電極との接触部分が接着され、また、電極の表面の電位、すなわち電荷を確保することができ、また、集塵性能を確保するために高圧側電極と集塵電極とが接触しないようにフレームで両電極を固定する必要がなく、また、人体に疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ不活化させることができる集塵装置およびその集塵装置を搭載した空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の集塵装置は上記目的を達成するために、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極と、シート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けた非導電性電極とを、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項1記載の集塵装置において、非導電性電極の中央部に沿って電極端子を設けることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項1または2いずれかに記載の集塵装置において、絶縁性を有するスペーサーが3次元の網目構造を持つ多孔体であることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項1または2いずれかに記載の集塵装置において、絶縁性を有するスペーサーがコルゲートシートであることを特徴とするものである。
【0023】
また、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極とシート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けた非導電性電極のどちらかの両側部の表裏両面に突起状スペーサーを設け、完全絶縁型電極と非導電性電極とを交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項5記載の集塵装置において、シート状非導電体の中央部に沿って電極端子を設けた非導電性電極の電極端子のない両側部に、シート状非導電体を窪ませて突起状スペーサーを設けることを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項5または6いずれかに記載の集塵装置において、非導電性電極の電極端子のない両側部に一列ずつ、表側の面に突起した突起状スペーサーと裏側の面に突起したスペーサーが交互に設けられ、完全絶縁型電極と非導電性電極とを積層する際に、1枚目の非導電性電極の表側に突起した突起状スペーサーと、2枚目の非導電性電極の裏側に突起したスペーサーとが積層方向において投影的に重なり、3枚目以降も同様となるように突起状スペーサーが配置されることを特徴とするものである。
【0026】
また、請求項5乃至7いずれかに記載の集塵装置において、非導電性電極の電極端子のない両側部に一列ずつ、表側の面に突起した突起状スペーサーと裏側の面に突起したスペーサーが交互に設けられ、各列の表側に突起した突起状スペーサーと裏側に突起したスペーサーとが、集塵部を空気が通過する方向において各列で同じ軸上に設けられることを特徴とするものである。
【0027】
また、請求項1乃至8いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極における絶縁体および絶縁性を有するスペーサーが絶縁性の樹脂からなることを特徴とするものである。
【0028】
また、請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置において、非導電性電極におけるシート状非導電体の表面が半導電性を有することを特徴とするものである。
【0029】
また、請求項10記載の集塵装置において、非導電性電極におけるシート状非導電体が半導電性樹脂からなることを特徴とするものである。
【0030】
また、請求項10記載の集塵装置において、シート状絶縁体の表面に半導電性樹脂を設けたものを、非導電性電極のシート状非導電体として用いることを特徴とするものである。
【0031】
また、請求項10記載の集塵装置において、シート状絶縁体の表面に半導電性塗料を塗布したものを、非導電性電極のシート状非導電体として用いることを特徴とするものである。
【0032】
また、請求項1乃至13いずれかに記載の集塵装置において、帯状にした完全絶縁型電極と、同様に帯状にした非導電性電極とを重ね合わせて巻き込み、ロール形状とすることを特徴とするものである。
【0033】
また、請求項1乃至13いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極の表面、もしくは集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。
【0034】
また、請求項15記載の集塵装置において、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とするものである。
【0035】
また、請求項16記載の集塵装置において、シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とするものである。
【0036】
また、請求項1乃至17いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とするものである。
【0037】
また、請求項18記載の集塵装置において、抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナに銀成分を固定化したものであることを特徴とするものである。
【0038】
また、請求項1乃至17いずれかに記載の集塵装置において、集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とするものである。
【0039】
また、請求項1乃至17いずれかに記載の集塵装置において、集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とするものである。
【0040】
また、請求項21記載の集塵装置において、抗ウイルス剤がフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とするものである。
【0041】
また、請求項1乃至17いずれかに記載の集塵装置において、集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とするものである。
【0042】
また、請求項23記載の集塵装置において、抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とするものである。
【0043】
また、請求項1乃至17いずれかに記載の集塵装置において、抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とするものである。
【0044】
また、請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置において、集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とするものである。
【0045】
また、請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出口に、イオン化した空気を室内に供給し、室内の粉塵を微弱に帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。
【0046】
また、請求項27記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出口に、放電電極と対向電極とで構成されたイオン化手段を設け、イオン化手段の放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段の対向電極をアースに接続して得られたマイナスイオンを室内に供給し、集塵部の完全絶縁型電極もしくは非導電性電極のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続することを特徴とするものである。
【0047】
また、本発明の空調装置は、請求項29記載に記載したとおり、請求項1乃至28いずれかに記載の集塵装置を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、また、簡単な構造で電極間に均一な空間を設けることができ、また、ロール状に巻く構造にして電極と高圧電源との接続ポイントを少なくすることができ、また、粉塵を捕集して集塵部が汚れた時や湿度が高い時にもリーク電流の増大や電極表面の電荷の消滅を起こすことなく集塵部のあらゆる部分で高い集塵性能を得ることができ、また、電極が万一短絡を起こしても大きなノイズを発生することがなく、また、衝撃を受ける、または水洗などの洗浄作業を行うなどしても集塵部の破壊や破損を防ぐことができ、また、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、不活化することができるという効果を有する集塵装置および空調装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明の集塵装置は上記目的を達成するために、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極と、シート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けた非導電性電極とを、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とするものであり、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極を用いることで完全絶縁型電極と非導電性電極との間の絶縁を確保した構造となっている。非導電性電極は表面抵抗率で10の8乗Ω/□以上、望ましくは10の11乗Ω/□以上、体積抵抗率で10の10乗Ω・cm以上を有するシート状非導電体の任意の位置に電荷を供給するための電極端子が設けられた構造を有する。非導電性電極の表面は非導電性ではあるが電荷を僅かに通し、電極端子から供給される電荷をその表面全体に乗せることができる電気特性を持つ。非導電性電極はあらかじめ上記の表面および体積抵抗率を有するシート状非導電体を電極基板として用いており、電極端子を設けるだけで電極としての機能を果たすため、電極端子を設けた後に半導電層を設ける必要がなく、作成が容易である。そして非導電性電極の任意の部分に設けられた電極端子に印加した電圧に相当する電荷が、電極端子を通じて非導電性電極の表面に均一に与えられる。そして完全絶縁型電極は非導電性電極と異なる電圧が印加されており、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら完全絶縁型電極と非導電性電極とを積層することにより設けられた両電極間の空間の全面において均一な電場を設けた構造とすることができる。また、電極端子が任意の位置に設けられることで非導電性電極の表面全体に電荷が乗っていること、そして完全絶縁型電極のシート状導電体は絶縁体で覆われているため非導電性電極と直接接触しないことの2点により、非導電性電極の表面に乗った電荷が移動しにくくかつ移動してもすぐに電極端子から電荷が非導電性電極の表面に供給されるため、非導電性電極の表面の電位を高い値に保つことができるという作用を有する。
【0050】
また、請求項1記載の集塵装置において、非導電性電極の中央部に沿って電極端子を設けることを特徴とするものである。非導電性電極の中央部とは、空気の通過する方向に対して垂直方向における中央部のことを指す。電極端子が非導電性電極の両端にまで設けられた場合、集塵部の静電容量が増加するため完全絶縁型電極と非導電性電極とがもし短絡を起こした時にノイズの発生要因となる。また、電極端子が非導電性電極の両端にまで設けられると完全絶縁型電極と距離が近くなることから、高湿度条件において電極端子の供給する電荷が完全絶縁型電極の絶縁体表面にまで届きやすくなり、完全絶縁型電極の絶縁体表面に発現した電荷を打ち消して集塵性能を低下させる要因となる。本発明においては非導電性電極の中央に沿って電極端子が設けられているため、非導電性電極の全体に途切れることなく連続して電極端子を設けることができる。また、電極端子が途切れることなく連続しているため高圧電源と電極端子との接続部分が少なくて済む。また、非導電性電極の両端にまで電極端子を設ける場合に比べて集塵部の静電容量を下げることができると同時に高湿度時において非導電性電極の電極端子から完全絶縁型電極の絶縁体表面に電荷が回り込む現象を最小限に抑えることができるといった作用を有する。
【0051】
また、請求項1または2いずれかに記載の集塵装置において、絶縁性を有するスペーサーが3次元の網目構造を持つ多孔体であることを特徴とするものである。多孔体は3次元の方向に網目状の立体構造を成す繊維状基材からなっており、空気は多孔体の内部を通過することができる。このような3次元の網目構造を持つ多孔体を電極の間に挟むことで電極の間に空気を通過させる空間を設けることができるという作用を有する。
【0052】
また、請求項1または2いずれかに記載の集塵装置において、絶縁性を有するスペーサーがコルゲートシートであることを特徴とするものである。コルゲートシートは通風方向に垂直な断面において波状や三角状、もしくはコの字状といった形状をしており、コルゲートシートを電極の間に挟むことで、電極の間に空気を通過させる空間を規則的な配列で均一に設けることができるという作用を有する。ちなみにここでいうコルゲートシートの形状については、空間を作りうる形状であればその形を限定しない。
【0053】
また、シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極とシート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けた非導電性電極のどちらかの両側部の表裏両面に突起状スペーサーを設け、完全絶縁型電極と非導電性電極とを交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とするものである。完全絶縁型電極もしくは非導電性電極のどちらかの両側部の表裏両面に突起状スペーサーを設けることにより、スペーサーとしての部品を別途設けなくとも両電極の間に安定した寸法の空間を設けることが可能となるという作用を有する。
【0054】
また、請求項5記載の集塵装置において、シート状非導電体の中央部に沿って電極端子を設けた非導電性電極の電極端子のない両側部に、シート状非導電体を窪ませて突起状スペーサーを設けることを特徴とするものである。シート状非導電体を窪ませることで余分な材料を必要とせずに突起状スペーサーを設けることができるため、作成が簡単かつ部品コストを低減することができる。また、電極端子を中央部に沿って設けることによって非導電性電極の両側に突起状スペーサーを設けるが可能となり、完全絶縁型電極の絶縁体への電荷の回り込みを防止できることと、完全絶縁型電極と非導電性電極を積層しても安定した寸法の空間を両電極の間に設けることを同時に実現できるという作用を有する。
【0055】
また、請求項5または6いずれかに記載の集塵装置において、非導電性電極の電極端子のない両側部に一列ずつ、表側の面に突起した突起状スペーサーと裏側の面に突起したスペーサーが交互に設けられ、完全絶縁型電極と非導電性電極とを積層する際に、1枚目の非導電性電極の表側に突起した突起状スペーサーと、2枚目の非導電性電極の裏側に突起したスペーサーとが積層方向において投影的に重なり、3枚目以降も同様となるように突起状スペーサーが配置されることを特徴とするものである。完全絶縁型電極と非導電性電極を積層する時、1枚目の非導電性電極の表側に設けられた突起状スペーサーと2枚目の非導電性電極の裏側に設けられた突起状スペーサーとが積層方向において投影的に重ならず異なる位置にとなった場合、シート状で可撓性を有する完全絶縁型電極および非導電性電極が積層による圧力によって平行関係を失うように撓みやすくなり、それによって両電極の間に設けられた空間は高さの平行性と均一性を失い、集塵性能が悪化しやすくなる。1枚目の非導電性電極の表側に設けられた突起状スペーサーと2枚目の非導電性電極の裏側に設けられた突起状スペーサーとが積層方向において投影的に重なり、3枚目以降も同様に重なるように突起状スペーサーを配置すると、1枚目の非導電性電極の表側に設けられた突起状スペーサーと2枚目の非導電性電極の裏側に設けられた突起状スペーサーによって同じ位置で完全絶縁型電極を挟むことになり、積層による圧力を受けても両電極は撓むことがなくなる。したがって両電極の間に設けられた空間は寸法の均一性を維持することができるという作用を有する。
【0056】
また、請求項5乃至7いずれかに記載の集塵装置において、非導電性電極の電極端子のない両側部に一列ずつ、表側に突起した突起状スペーサーと裏側に突起したスペーサーが交互に設けられ、各列の表側に突起した突起状スペーサーと裏側に突起したスペーサーとが、集塵部を空気が通過する方向において同じ軸上に設けられることを特徴とするものである。突起する方向が同じとなる突起状スペーサーが集塵部を空気が通過する方向において各列で同じ軸上に設けられた場合、各部分の両側部において同じ方向に突起状スペーサーが設けられ、電極の積層時に両側部の両方とも同じ方向に電極に圧力を加えることを設けることとなるため、完全絶縁型電極と非導電性電極が撓みやすくなって平行で均一な高さを有する空間が形成しにくくなる。この現象は帯状の電極を重ねてロール状に巻く構造の場合、突起状スペーサーの位置を所定の位置に持ってくることができないためより顕著に現れることになる。ここで、非導電性電極の電極端子のない両側部に一列ずつ、表側に突起した突起状スペーサーと裏側に突起した突起状スペーサーが交互に設けられ、さらに表側に突起した突起状スペーサーと裏側に突起した突起状スペーサーとが、集塵部を空気が通過する方向において同じ軸上に設けられる構造とすることによって、電極の積層時に両側部の片方の突起状スペーサーは表側に、もう片方の突起状スペーサーは裏側に圧力を加えることになる。そのため電極を表側か裏側のどちらかに撓ませる力は分散されて撓みにくくなり、両電極の間に設けられた空間は寸法の均一性を維持することができるという作用を有する。
【0057】
また、請求項1乃至8いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極における絶縁体および絶縁性を有するスペーサーが絶縁性の樹脂からなることを特徴とするものである。絶縁性の樹脂としてはポリプロピレン(以下PP)やポリエチレン(以下PE)といったポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(以下PET)やポリブチレンテレフタレート(以下PBT)といったポリエステル類、もしくはポリスチレン(以下PS)、ポリカーボネート(以下PC)やポリウレタンなどが挙げられる。絶縁性を有する樹脂は絶縁耐圧が15kV/mm以上と絶縁性が非常に高く、また成形性や加工性がよいという特徴を持つため、シート状導電体を樹脂によってラミネートやモールド加工により被覆して高い絶縁性を有する完全絶縁型電極を容易に作成することが可能となる。また可撓性が高いことから、完全絶縁型電極および非導電性電極、または絶縁性を有するスペーサーを帯状にし、重ね合わせて巻くことによって集塵部を形成することが可能となるという作用を有する。
【0058】
また、請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置において、非導電性電極におけるシート状非導電体の表面が半導電性を有することを特徴とするものである。半導電性を持つ材料としてナイロン6もしくはナイロン12や、これらナイロンを用いたコポリマーなどといった吸湿性を有する樹脂が上げられる。このような材料は空気中に僅かに存在する水分を吸収して10の11〜15乗Ω/□の表面抵抗率を、また10の11〜15乗Ω・cmの体積抵抗率を有しており、この範囲内の抵抗値を有する材料は非導電性であるが電荷を僅かに通すといった半導電性の性質を有するため、シート状非導電体として用いた場合に電極端子から供給される電荷を表面全体に行き渡らせることができる。また可撓性が高く、ロール状に巻くなどの組立加工がしやすく破損しにくいという作用を有する。また、非導電性電極は表面に電荷が行き渡たれば集塵性能を確保するという役目を果たすことができるため、シート状非導電体の内部にまで電荷を供給する必要は必ずしもない。そのため、強度を得るための基材としてPPやPE、PET、PBTといった樹脂性のシートを用い、表面にナイロン6やナイロン12の半導電性樹脂を設けたものや、また基材として用いるシート状絶縁体の表面に酸化亜鉛やイオン導電性樹脂など半導電性を有する成分を含有する半導電性塗料を塗布したものを非導電性コルゲート電極のシート状非導電体として用いても同様の作用を有する集塵部が得られる。
【0059】
また、請求項1乃至13いずれかに記載の集塵装置において、帯状にした完全絶縁型電極と、同様に帯状にした非導電性電極とを重ね合わせて巻き込み、ロール形状とすることを特徴とするものである。完全絶縁型電極と非導電性電極とを帯状にし、絶縁性を有するスペーサーを挟みながらロール状に巻くことで非導電性コルゲート電極の電極端子および完全絶縁型電極のシート状導電体と高圧電源とを接続する個所がそれぞれ1ヵ所にすることができ、集塵部を簡単に作成できるという作用を有する。
【0060】
また、請求項1乃至13いずれかに記載の集塵装置において、完全絶縁型電極の表面、もしくは集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とするものである。完全絶縁型電極の絶縁体もしくは集塵部全体の表面にタバコの煙などといった導電成分を含む粉塵が付着して導電性の膜が形成され、これらの表面に発現した電荷が移動し、消滅して粉塵の通過する空間の電場が弱まる。この電場の弱まりによって集塵性能の低下が引き起こされる。本発明においては完全絶縁型電極の絶縁体の表面もしくは集塵部の全体に絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜を設けているため、タバコの煙といった導電成分を含む粉塵を集塵しても、集塵部の表面に連続して付着することを抑制し、その結果導電性の膜が形成されることを防ぐことができることから、導電成分を含む粉塵を集塵しても高い集塵性能を維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、弾性および接着性を持つという大きな特徴を有するため、集塵部全体の表面に強く固着して、安定で強固かつ弾性の高い膜を形成する。そのため集塵部の表面を引っかいたりするなどの外部的な力を与えてもシリコーンポリマーの膜が集塵部の表面からこぼれ落ちたり剥離することがなく、また、水洗などの洗浄作業を行っても、シリコーンポリマーの膜が洗浄液中に溶出することもないため、高い集塵性能を半永久的に安定して得ることができる。また、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けた場合には電極とスペーサーとの接触面が高い接着性および弾性を有するシリコーンポリマーで接着されるため集塵部全体が大きな強度と弾性を有する。そのため外部からの衝撃を受けても、集塵部は破壊されずに接着によって一体化された状態を保持することができるという作用を有する。
【0061】
また、請求項15記載の集塵装置において、集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とするものである。集塵部をシリコーンポリマーの溶液に浸漬し乾燥することで、集塵部全体をシリコーンポリマーで接着して一体化して弾性および強度と得ることと、集塵部全体にシリコーンポリマーの膜を均一に設けることを一括して同時に行うことができるという作用を有する。
【0062】
また、請求項16記載の集塵装置において、シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とするものである。シリコーンポリマーは例えばトルエンやシクロヘキサン、ノルマルヘキサンといった極性の小さい芳香族系や炭化水素系の有機溶剤で希釈することができる。このような極性の小さい有機溶剤で希釈することでシリコーンポリマーの粘度を低下させると同時に分散をよくし、集塵部全体に均一にシリコーンポリマーの膜を設けることができるという作用を有する。
【0063】
また、請求項1乃至17何れかに記載の集塵装置において、集塵部に、抗菌作用を有する抗菌剤、抗黴作用を有する抗黴剤、ウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤、もしくはアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤をそれぞれ添着もしくは全て一括して添着して固定化することを特徴とするものである。抗菌剤として例えばチタニアもしくはシリカアルミナの微細粒子に銀成分を固定化したものを用いることで、抗菌作用を有する銀成分を均一に抗菌剤の中で分散することができ、集塵部に均一に添着することができるという作用を有する。また例えばチアベンダゾールを主成分とした抗黴剤を用いることで、真菌に分類される黴類の繁殖を抑制することができる。また例えばエピカテキンガレートのようにフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類を抗ウイルス剤として用いることで、ウイルスの外皮であるエンベローブやエンベローブ表面に存在するスパイクを包み込んで細胞への感染作用を抑制することで増殖を防ぐことができる。また例えばフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物などを抗アレルゲン剤として用いることで、フェノール性水酸基がアレルゲンを包み込み、アレルゲンの持つ特異結合部を無効化してアレルギーを引き起こす要因となる抗体生成体との特異結合を抑制することができる。これらの薬剤を集塵部4に添着して固定化することにより、空気中に浮遊する菌やカビ、ウイルス、またはアレルゲンなど人体に入り込んで疾病を誘引する物質を集塵部で捕集し、かつ集塵部において不活化させることができるという作用を有する。
【0064】
また、請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置において、集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とするものである。線状、針状、棘状などの形状を持つ放電電極と対向電極からなる荷電部のように放電を起こして空気の電離現象を起こして空気をイオン化するイオン化手段によって空気イオンを集塵部の風上に発生させ、取り込んだ空気中に存在する粉塵に付着させることによって粉塵を帯電させ、そして帯電した粉塵を集塵部に送り込んで捕集することで集塵性能を高めることができるという作用を有する。
【0065】
また、請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出口に、イオン化した空気を室内に供給し、室内の粉塵を微弱に帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とするものである。線状、針状、棘状放電などの形状を持つ放電電極と対向電極からなる荷電部のように放電を起こして空気の電離現象を起こして空気をイオン化するイオン化手段によって得られた空気イオンを集塵装置の吹出口から部屋へ供給することによって部屋の中の空気中に存在する粉塵を微弱に帯電させる。帯電した粉塵を集塵部に取り込んで集塵部で捕集することができ、また部屋の中の粉塵を微弱に帯電できる量の空気イオンを発生させるだけでよいためイオン化手段で発生する副生成物のオゾンの量を極限まで小さくすることができるという作用を有する。
【0066】
また、請求項27記載の集塵装置において、集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出口に、放電電極と対向電極とで構成されたイオン化手段を設け、イオン化手段の放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段の対向電極をアースに接続して得られたマイナスイオンを室内に供給し、集塵部の完全絶縁型電極もしくは非導電性電極のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続することを特徴とするものである。放電電極は先端が尖った針のような形状を持つものを主に用い、対向電極は棒状、板状など様々な形状を持つものが用いられる。放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時に対向電極をアースに接続することで放電電極の尖った先端付近に極端に強い電界を発生させる。これにより放電電極の先端近傍の空気は電離を起こしてイオンとなるが、そのうちリラクゼーション効果があるといわれるマイナスイオンはマイナスの電圧が印加された放電電極から反発されるように放出される。そして送風手段による風に乗って室内に供給される。このようにマイナスイオンを室内に供給することによって室内の居住者にリラクゼーション効果をもたらすと同時に室内の粉塵を微弱に帯電し、帯電した粉塵を集塵部に取り込んで捕集することができる。また、集塵部のどちらかの電極にプラスの電圧を印加することで本体をプラスに帯電しやすくし、マイナスに帯電した粉塵を本体に寄せ付けてより高い集塵性能を得ることが可能となるという作用を有する。
【0067】
また、本発明の空調装置は、請求項29記載に記載したとおり、請求項1乃至28いずれかに記載の集塵装置を備えることを特徴とするものである。空調装置の熱交換器の前に請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置を設けることによって、空調装置に安定して高い空気清浄機能を持たせることができるという作用を有する。
【0068】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0069】
(実施の形態1)
非導電性電極1および完全絶縁型電極2とを、絶縁性を有し、3次元の網目構造を持つ多孔体3を挟みながら交互に積層し、それぞれの電極に異なる電圧を印加した集塵部4の空気の吸込み面を正面図として図1に、また、集塵部4の側面から見た断面図を図2に示す。また、一層のシート状非導電体5を用いた非導電性電極1の一例を示す上面図を図3に、また、側面からの断面図を図4に示す。非導電性電極1はシート状非導電体5の、空気の通過する方向、すなわち幅方向における中央部に沿って電極端子6を設けた構造となっている。シート状非導電体5はナイロンといった半導電性を有する樹脂などを使用し、電極端子6はアルミなどの金属箔、もしくはカーボンや金属を含有する導電性塗料の塗布などで形成される。またシート状絶縁体A7を基材としてその上に半導電層8を設け、半導電層8の上に電極端子6を設けた非導電性電極1の側面から見た断面図を図5に示す。シート状絶縁体A7としてはPPやPBTなどといった絶縁性の樹脂などを用い、その上に半導電層8、さらにその上に電極端子6を設ける。半導電層8の形成方法としてナイロンなど半導電性を有する樹脂の薄いシートを貼り付ける、またはナトリウムイオンなどの各種金属イオンや硫酸イオンなどの各種陰イオンといったイオン性物質や酸化亜鉛といった金属酸化物など半導電性を有する成分を含む塗料を塗布するなどといった具体例が挙げられる。また完全絶縁型電極2の上面図を図6に、側面から見た断面図を図7に示す。完全絶縁型電極2はシート状導電体9の両面を、それよりも幅の広いシート状絶縁体B10で中心を合わせるように挟むようにして貼り合わせた構造となっており、シート状導電体9を完全に絶縁する構造となっている。シート状導電体9はアルミなどの金属箔や、またカーボンや金属を含有する導電性塗料をシート状の基材に塗布したものなどが用いられる。シート状絶縁体B10の材質としてはPPやPE、PET、PBT、PS、PCといった絶縁性を有する樹脂が主に用いられる。このように非導電性電極は電極端子がシート状非導電体の中央部全てに設けられているため、シート状非導電体の全面に渡って電荷を供給することができる構造となっている。また、電極端子6がシート状非導電体5の中央部のみでなく両側にまで設けられた場合と比較して完全絶縁型電極2のシート状絶縁体B10の表面に電荷を回りこませないため、シート状絶縁体B10の表面に発現した電荷を打ち消すことがなく、両電極間の電場を阻害することが少ないため特に高湿度時において集塵性能の低下がほとんどない。また、完全絶縁型電極2のシート状導電体9はシート状絶縁体B10で覆われていて非導電性電極1と直接接触しない構造であることと電極端子6がシート状非導電体5の中央の全てに渡って設けられていることにより、非導電性電極1の表面の電荷が移動しない、もしくは移動してもすぐに電極端子6から供給されることにより、非導電性電極1の表面の電位が低下することがない。そのため多孔体3のようなスペーサーで非導電性電極1と完全絶縁型電極2とが間接的に接触する構造となっても高い集塵性能を維持することが可能となり、非導電性電極1および完全絶縁型電極2を例えばフレームなどで固定して間接的にも接触しないような構造とする必要がないため、構造や材料強度における制限が小さくて作成が容易となる。
【0070】
また、多孔体3は3次元の方向に網目状の立体構造を成す繊維状基材からなっており、空気が通過できる空間を内部に持つ。材質としてはPPやPE、PET、PBT、もしくはポリウレタンなどといった絶縁性を有する樹脂が主に用いられる。このような3次元の網目構造を持つ多孔体3を非導電性電極1と完全絶縁型電極2の間に挟むことで、非導電性電極1と完全絶縁型電極2との間に空気を通過させる空間を設けることができる。また、集塵部4全体の表面に、図には示していないが絶縁性、撥水性およびミクロな隙間を有するシリコーンポリマーの膜を設けた場合、導電成分を含む粉塵はシリコーンポリマーの膜が有するミクロな隙間によって非連続的に付着するために、集塵部4全体の表面に導電成分を含む粉塵が連続的に付着することで形成される導電性の膜を作ることを防ぐことができる。このため、非導電性電極1および完全絶縁型電極2の表面に発現した電荷が中和して消滅することがなく、両電極に設けられた空間の電場が弱まることがないことから、粉塵を捕集しても高い集塵性能を長期間安定して維持することができる。また、シリコーンポリマーは高い化学的安定性、接着性および弾性を有するため、集塵部の表面に強固に固着し、弾性かつ化学的安定性を有する膜を形成する。このためシリコーンポリマーの膜は集塵部から外力によって剥離したり、水洗などの洗浄によって溶出することがないことから半永久的に安定して高い集塵性能を持つ集塵部4を得ることができる。
【0071】
なお、シート状絶縁体A7、シート状絶縁体B10として主に絶縁性を有する樹脂を用いているが、絶縁性を有するのであれば無機材料といった他の材料を用いても効果に差は生じない。
【0072】
また、完全絶縁型電極2はシート状導電体9の全体を覆って完全に絶縁される形であれば、絶縁体でシート状導電体9をモールドするといったその他の方法を用いても効果に差異を生じない。
【0073】
また、完全絶縁型電極2の内部にシート状導電体9を設ける方法として、シート状絶縁体B10にそれよりも幅の狭い領域に導電性塗料を塗布し、導電性塗料の塗布面にシート状絶縁体B10を貼り合わせる方法でも同様の効果を有する完全絶縁型電極2を作成することができる。
【0074】
また、多孔体3の材質として主に樹脂を用いているが、絶縁性、そして通風可能な空間を内部に有するのであれば、セラミックスなどといった他の材質で作成した多孔体3を用いてもその効果に差異を生じない。
【0075】
(実施の形態2)
非導電性電極1および完全絶縁型電極2とを、絶縁性を有するコルゲートシート11を挟みながら交互に積層し、それぞれの電極に異なる電圧を印加した集塵部4の正面図を図8に示す。コルゲートシート11は図8に示すとおり波状の形状となっており、材質としてはPPやPET、PBTもしくはPCなどといった絶縁性を有する樹脂が主に用いられる。図に示すとおりコルゲートシート11を非導電性電極1と完全絶縁型電極2との間に挟むことで、非導電性電極1と完全絶縁型電極2の間に空気を通過させる空間を規則的な配列で均一に設けることができる。また、帯状の非導電性電極1、帯状のコルゲートシート11、帯状の完全絶縁型電極2、帯状のコルゲートシート11の順で重ね合わせ、ロール状に巻いた集塵部4の正面図を図8に示す。このようにロール状の構造とすることによっても同様の効果を有する集塵部4を得ることができる。ロール状の構造を有する集塵部4のメリットとして非導電性電極1、完全絶縁型電極2と高圧電源107とを接続する部分がそれぞれの電極につき1ヶ所となり最小にできることが挙げられる。
【0076】
また、図8に示したコルゲートシート11は波状の形状であるが、完全絶縁型電極2およびシート状導電体9からなる非導電性電極1の間に空間を設けることができるのであれば、三角状やコの字状といった他の形状であっても効果に差を生じない。
【0077】
また、コルゲートシート11の材質として樹脂を用いているが、絶縁性、そして通風可能な空間を設けるための形状を有するのであれば、ガラス繊維などの無機材といった他の材質によるコルゲートシート11を用いてもその効果に差異を生じない。
【0078】
(実施の形態3)
非導電性電極1および完全絶縁型電極2とを交互に積層し、それぞれの電極に異なる電圧を印加した集塵部4において、非導電性電極の電極端子のない両側部に一列ずつ、表側に突起した突起状スペーサーと裏側に突起した突起状スペーサー12が交互に設けられ、各列の表側に突起した突起状スペーサー12と裏側に突起した突起状スペーサー12とが、集塵部を空気が通過する方向において同じ軸上に設けられ、さらに非導電性電極1と完全絶縁型電極2とを積層する際に、1枚目の非導電性電極1の表側に突起した突起状スペーサー12と、2枚目の非導電性電極1の裏側に突起した突起状スペーサー12とが積層方向において投影的に重なり、3枚目以降も同様となるように突起状スペーサー12が配置された集塵部4の正面図を図9に、図9のC−D線における断面を示す側面図4を図10に示す。また、図9に示された非導電性電極1の上面図を図11に、図11のE−F線における断面図を図12に示す。非導電性電極1の裏表の両方に突起状スペーサー12が設けられており、この突起状スペーサー12によって非導電性電極1と完全絶縁型電極2との間に空気が通過する空間を設ける構造となっている。また、図10のとおり、突起状スペーサー12は非導電性電極1のシート状非導電体を窪ませて設けている。シート状非導電体5を窪ませて突起状スペーサー12を設けるとその裏側には窪みができるが、平面形状で窪みのない完全絶縁型電極2と交互に積層するために突起状スペーサー12がこの窪みにはまって両電極の間に設けられた空間が変形することがなく、均一な形を保つことができる。また、図11に示すとおり、突起状スペーサー12は非導電性電極1の中央部に沿って設けられた電極端子6の部分以外、すなわち両側に1列ずつ設けられている。また、図12に示すとおり各列ごとの突起状スペーサー12は表側の向きおよび裏側の向きに交互に突起が向くように設けられており、さらに集塵部4を空気が通過する方向における軸上で見た場合、表側に向いた突起状スペーサー12と裏側に向いた突起状スペーサー12が同じ位置に設けられている。そして両電極を積層する際に、1枚目の非導電性電極1の表側に突起した突起状スペーサー12と、2枚目の非導電性電極1の裏側に突起したスペーサー12とが積層方向において投影的に重なり、3枚目以降も同様となるように突起状スペーサー12が配置されている。このような構造にすることによって、積層する際に両電極が圧力を受けても突起状スペーサー12が積層方向において重なることによって両電極が撓むことがない。そのため両電極の間の空間が歪んだりして変形することがなく、高い集塵性能を確保することが可能となる。また、突起状スペーサー12が設けられた帯状の非導電性電極1と帯状の完全絶縁型電極2とを重ね合わせてロール状に巻く構造とした場合でも、集塵部4を空気が通過する方向における軸上で見た場合において表側に向いた突起状スペーサー12と裏側に向いた突起状スペーサー12が同じ位置に設けられているため、ロール状に巻いて積層構造とする時に受ける圧力が分散され、その結果両電極が撓むことが少なくなるという作用を有する。
【0079】
なお、図9において、突起状スペーサー12は非導電性電極1のシート状非導電体5を窪ませて設けているが、例えばPPなどの絶縁性を有する樹脂やガラスなどを用いた突起状スペーサー12を非導電性電極1もしくは完全絶縁型電極2のどちらかの表裏両側の面に別途設けることによっても同様の効果を得ることが可能である。
【0080】
(実施の形態4)
実施の形態1、2、または3と同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。非導電性電極1および完全絶縁型電極2とを絶縁性を有するスペーサーを挟みながら交互に積層し、それぞれの電極に異なる電圧を印加した集塵部4と送風手段13を備えた集塵装置の吹出口14に、放電電極15と対向電極16とで構成されたイオン化手段17を設け、イオン化手段17の放電電極15にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段17の対向電極16をアースに接続して得られたマイナスイオン18を室内に供給し、さらに集塵部4の非導電性電極1もしくは完全絶縁型電極2のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続した集塵装置を図13に示す。ここでは図13に示すとおり放電電極15は先端が尖った針状のものを、また対向電極16は板状のものを用いている。放電電極15にマイナスの電圧を印加すると同時に対向電極16をアースに接続することで放電電極15の尖った先端付近に極端に強い電界を発生させ、放電電極15の先端近傍の空気を電離してイオン化させる。そのうちリラクゼーション効果があるといわれるマイナスイオン18はマイナスの電圧が印加された放電電極から反発されるように放出され、送風手段13による風に乗って室内に供給される。この時アースに接続された対向電極16の位置は放電電極15が放電を起こすのであれば特に限定しないが、発生したマイナスイオン18を吸収しない位置、すなわち放電電極15の下流側すぐに位置しないことが望ましい。またイオン化手段17で放電を起こす際には放電電極15と対向電極16との間で放電電流が流れるが、部屋の空気中の粉塵を微弱に帯電させるだけで集塵性能が得られるように集塵部の電圧や電極の間隔、寸法を設計することで吹出し風量あたりで1μA/m3以下に放電電流を設定することが可能となり、放電によって発生し、人体に害を与えるオゾンの量をほぼゼロにすることができる。このようにマイナスイオン18を室内に供給することによって室内の居住者にリラクゼーション効果をもたらすと同時にオゾンを発生させない放電によって室内の粉塵を微弱に帯電し、帯電した粉塵を集塵部4に取り込んで捕集することができる。また、集塵部4の非導電性電極1、完全絶縁型電極2のどちらかの電極にプラスの電圧を印加することで集塵装置本体をプラスに帯電しやすくし、マイナスに帯電した粉塵を本体に寄せ付けてより高い集塵性能を得ることが可能となる。
【0081】
なお、針状の放電電極15を用いたが、放電を起こすことができる形状であれば棘状や線状などその他の形状であってもその効果に差異を生じない。
【0082】
また、板状の対向電極16を用いたが、放電電極が放電を起こすことができるのであれば棒状や釘状などその他の形状であっても同様の効果を得ることができる。
【0083】
(実施の形態5)
実施の形態1、2、3または4と同一部分は同一番号を付し、詳細な説明は省略する。上記実施の形態2で示した集塵部4を有する集塵装置の集塵効率を評価した実験結果を以下に示す。図14に示すように、温湿度制御可能な実験室でダクトを用いて上流側から荷電部108、集塵部4、送風手段13の順番で設置した実験装置を作成し、面風速が1.4m/sとなるように送風手段13を設定して集塵効率を求めた。そしてリオン製パーティクルカウンターKC18を用い、荷電部108の上流側および集塵部4の下流側の空気中に含まれる粒径0.1μm以上の粉塵を測定し、以下の式を用いて集塵効率を算出した。
【0084】
η=(1−Cin/Cout)×100
η:集塵効率(%)、Cin:荷電部上流側の粉塵濃度(個/L)、Cout:集塵部下流側の粉塵濃度(個/L)
実験に用いた荷電部108は幅100、高さ50mmの開口寸法、25mmの奥行寸法を持つABS製ボックスに80μmの径を持つタングステン製の線状電極109を3本水平に設置し、線状電極109の中心に位置するように対向極板110を16mmの間隔で4枚設置したものを用いた。線状電極109に約4kVの電圧を印加し、対向極板110をアースに接続して、温湿度20℃40%RHで評価する際は5μA、30℃80%RHで評価する際は10μAの放電電流となるようにコロナ放電を起こして荷電部108を通過する粉塵を帯電させた。ここで実施例の集塵部4の構造を図15に、比較例の集塵部4の構造を図16に示す。集塵部4の作成に用いた部品は以下のとおりである。厚さ15μm、幅20mmの帯状のアルミ箔からなるシート状導電体9の両面に、厚さ50μm、幅30mmの帯状のPETフィルムからなるシート状絶縁体B10を接着剤で貼り合わせて完全に被覆したものを作成し、完全絶縁型電極2として用いた。また、無延伸ナイロン製で厚さ80μm、幅30mmの帯状のシート状非導電体5において、幅方向の中央部に厚さ50μm、幅10mmの帯状のアルミ箔からなる電極端子6を設けたものを非導電性電極1として用いた。また、幅30mmの無延伸PBT製シートを山高さ1.67mmの寸法で波状のコルゲート形状にしたものをコルゲートシート11として用いた。ここでいう山高さとは、下向きの山の頂点とその隣に位置する上向きの山の頂点との高さ方向における距離を意味する。また、厚さ50μm、幅30mmの帯状のアルミ箔をシート状導電体からなる電極19として用いた。実施例の集塵部4は、帯状の非導電性電極1、帯状のコルゲートシート11、帯状の完全絶縁型電極2、帯状のコルゲートシート11の順で重ね合わせてロール状に巻いたものを、シリコーンポリマーをシクロヘキサンで溶解したシリコーンポリマー溶液に漬け込んで乾燥させ、集塵部4の表面全体にシリコーンポリマーの膜を設けた構造となっている。また、比較例の集塵部4は図14に示すとおり、帯状の完全絶縁型電極2、帯状のコルゲートシート11、シート状導電体からなる電極19、帯状のコルゲートシート11の順番で重ね合わせてロール状に巻いたものの表面全体に、図には示していないがフッ素樹脂の膜を設けたものである。なお、比較例および実施例として評価に用いた集塵部4は全て図17に示す寸法で作成した。実験の際にはそれぞれの集塵部4においてシート状導電体からなる電極19および非導電性電極1をアースに接続し、それぞれの集塵部における完全絶縁型電極2に4kVの電圧を印加することで、それぞれの集塵部4における両電極の間に4kVの電位差を与えた。
【0085】
実験においては、集塵部4が低湿度(20℃40%RH)かつタバコの煙で汚れていない時、および高湿度(30℃80%RH)かつタバコの煙を集塵して汚れている時という2つの条件で集塵効率がどのように変化するかを評価した。具体的には新品の集塵部4を実験装置に組み込み、20℃40%RHに制御された実験室の中で集塵効率を測定した。その後荷電部108、集塵部4、送風手段13を設けた集塵装置を組んで、容積0.5立方メートルのアクリルボックスの中で合計40本のタバコを燃焼させながら運転してタバコの煙を集塵させた後、温湿度が30℃80%RHに制御された実験室に集塵部を持ち込んで実験装置に組み込み、集塵効率を求めた。
【0086】
【表1】

【0087】
評価を行った集塵部4の仕様および集塵効率その他の測定結果を表1に示す。タバコの煙0本付着、20℃40%RHの条件における集塵効率は比較例の集塵部4で99.5%、実施例の集塵部4で99.1%となり、ともに高い集塵性能を示した。次に40本分のタバコの煙を集塵させた後に30℃80%RHの温湿度条件で集塵効率の評価を行った結果、比較例の集塵部4は48.5%となったのに対して実施例の集塵部4は81.5%となり、劣悪な条件において比較例の集塵部4よりも高い集塵性能を持つことが分かった。比較例の集塵部4は表面全体にフッ素樹脂の膜を設けているが、40本分もの大量のタバコの煙を集塵すると、フッ素樹脂の膜によって水分をはじくことができても、タバコの煙に含まれる導電成分を含む粉塵は集塵部4の表面全体を覆うように付着してしまう。そのため完全絶縁型電極2やコルゲートシート11の表面に導電性の膜が形成されてしまい、集塵効率が大幅に低下した。すなわち完全絶縁型電極2やコルゲートシート11の表面に撥水性のみを表面に付与しても大量のタバコの煙を集塵することで集塵性能が低下することがわかった。それに対して実施例の集塵部4は、中央部に沿って電極端子6を設けた非導電性電極1を用いると同時に集塵部4全体の表面にシリコーンポリマーの膜を設けることで、電極端子6から完全絶縁型電極2のシート状絶縁体B10の表面に電荷が移動することをシート状非導電体5が緩衝帯となることで防ぐことができると同時に、導電性の膜の形成を抑制して非導電性電極1および完全絶縁型電極2の表面に発現した電荷が移動して消滅することを防いでいるため、40本分のタバコの煙を集塵しても集塵効率の低下を小さくすることができることが分かった。また、集塵部4を構成する2つの電極の間で測定した静電容量は、比較例の集塵部4で0.33nFであるのに対して、実施例の集塵部4で0.23nFとなり比較例の集塵部4よりも低い静電容量となった。静電容量が大きいと非導電性電極1と完全絶縁型電極2が端子部分などで万一短絡した時に大きいノイズが発生するが、実施例の集塵部4はそのような大きなノイズをより小さくすることができる構造となっている。また、完全絶縁型電極2のシート状絶縁体B10が絶縁破壊を起こした場合、集塵部4に電圧が印加できなくなって集塵部4としての機能を果たせなくなるが、実施例の集塵部4は非導電性電極1と完全絶縁型電極2との間にコルゲートシート11など絶縁性を有するスペーサーを挟む、もしくはシート状非導電体を窪ませて突起を設けることによって両電極の間に空間を設けているため、非導電性電極1の電極端子6と完全絶縁型電極2の内部に設けられたシート状導電体9がシート状絶縁体B10を挟んで近接しない構造となっている。そのため完全絶縁型電極2のシート状絶縁体B10が絶縁破壊を起こすことがなく、集塵部4の機能を半永久的に保つことが可能な構造となっている。
【0088】
次に実施の形態4で示したとおりの、イオン化手段によって吹出口からマイナスイオンを部屋に供給し、部屋の中で粉塵を帯電させた後、集塵部に取り込んで粉塵を捕集する集塵装置の集塵能力を測定した結果を以下に示す。実験の様子を表す図を図18に示す。実験する部屋の中でタバコを5本燃焼して発塵させた後、集塵装置を運転して部屋の空気に含まれた粉塵を除去する。その時の粉塵濃度を1分ごとに柴田科学製デジタル粉塵計LD3で測定し、粉塵濃度の減衰速度と部屋の大きさから集塵能力Pを以下の式で求めた。
【0089】
P=−V/t(ln(Ct1/C01)−ln(Ct2/C02))
P:集塵能力(m3/min)、V:部屋の容積(m3)、Ct1:集塵装置を運転して試験する時のt分後の粉塵濃度(mg/m3)、C01:集塵装置を運転して試験する時の0分後の粉塵濃度(mg/m3)、Ct2:集塵装置を運転しない時のt分後の粉塵濃度(mg/m3)、C02:集塵装置を運転しないで試験した時の0分後の粉塵濃度(mg/m3
また、集塵効率と集塵能力とで理論上以下の関係式が成り立つ。
【0090】
η=P/Q
Q:集塵装置の風量(mg/m3
集塵能力Pは粉塵を含まない空気を単位時間あたりどれだけ作り出すことができるかの指標となる。また、風量Q(mg/m3)と同じ値になれば、集塵効率は理論上100%ということになる。ここで、実験に用いた実施例の集塵部および比較例の集塵部は、前述の集塵効率を測定した実験に用いたものと構造は同じであるが、前述の実験の時と異なり図19に示した寸法で作成されている。集塵装置は運転時、送風手段13が作動して空気を取り込むと同時に吹出口14に設けられたイオン化手段17の放電電極15に−8kVを印加し、対向電極16をアースに接続することによってマイナスイオンを吹出口から部屋へ供給する。また、同時に空気を取り込んで集塵部4で粉塵を捕集するが、集塵部4の完全絶縁型電極2に+6kVを印加すると同時に実施例の集塵部においては非導電性電極1を、比較例の集塵部においてはシート状導電体からなる電極19をそれぞれアースに接続して帯電した粉塵を捕集するための電場を設ける。部屋の温度および湿度が20℃40%の時と32℃60%における集塵能力の測定結果を表2に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
比較例の集塵部4は部屋の温度および湿度が20℃40%の時に高い集塵能力を示したが、32℃60%の温湿度において集塵能力は低下した。これは、温度および湿度が高くなるにつれて空気に含まれる水分の量が多くなり、電荷が集塵部の表面を伝わりやすくなってシート状導電体からなる電極19から完全絶縁型電極2のシート状絶縁体Bの表面に回り込み、シート状絶縁体Bの表面に発現していた電荷を中和するように消滅させたためである。それに対して実施例の集塵部4はどちらの温度および湿度の時も高い集塵能力を示した。これはシリコーンポリマーの膜によって、空気中の水分が多くなっても電荷が集塵部の表面を伝わりにくくなっているのと同時に、非導電性電極の電極端子が中央部に沿って設けられており両側部にあるシート状非導電体が緩衝帯のようにシート状絶縁体B表面への電荷の移動を防いでいるためである。このように、実施の形態4に示した集塵装置においても、実施例の集塵部は高くて安定した性能を示すことが分かった。また、静電容量は比較例の集塵部4で6.74nFであるのに対して実施例の集塵部4は3.09nFとなり、実施例の集塵部4の構成とすることで静電容量を低く抑えることができ、万が一短絡した時に発生するノイズを低減できることが分かった。
【0093】
なお、今回の2つの実験では完全絶縁型電極に高電圧を印加し、非導電性電極1をアースに接続しているが、非導電性電極に高電圧を印加し、完全絶縁型電極をアースに接続しても同じ集塵性能が得られることを確認している。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の集塵装置は、簡単な構造で製造コストを低く抑えることができ、集塵部の故障や障害を減らしながら高い集塵性能を実現し、また湿度が高い時や集塵部が粉塵を捕集して汚れた時にも安定して高い集塵性能を半永久的に得ることができるという効果を有するため、室内ばかりでなく屋外での空気環境を向上させる用途としても有用である。
【0095】
また、本発明の集塵装置を備えた空調装置は、集塵部の故障や障害を減らしながら高い集塵性能を実現し、また集塵部が粉塵を捕集して汚れても安定して高い集塵性能を半永久的に得ることができるという効果を有し、室内の冷暖房および湿度制御といった空調を行いながら清浄化された室内空間を提供する用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態1に記載の集塵部の正面を示す構成図
【図2】同集塵部の側面から見た断面を示す構成図
【図3】同非導電性電極の上面を示す構成図
【図4】同シート状非導電体、電極端子によって構成された非導電性電極の側断面を示す構成図
【図5】同シート状絶縁体A、半導電層、電極端子によって構成された非導電性電極の側断面を示す構成図
【図6】同完全絶縁型電極の上面を示す構成図
【図7】同完全絶縁型電極の側断面を示す構成図
【図8】本発明の実施の形態2に記載の集塵部の正面を示す構成図
【図9】本発明の実施の形態3に記載の集塵部の正面を示す構成図
【図10】同集塵部のC−D線における断面を示す構成図
【図11】同非導電性電極の上面を示す構成図
【図12】同非導電性電極のE−F線における断面を示す構成図
【図13】本発明の実施の形態4に記載の集塵装置を示す構成図
【図14】本発明の実施の形態5に記載の集塵効率を測定する実験室を示す図
【図15】同実施例として示した集塵部の正面を示す構成図
【図16】同比較例として示した集塵部の正面を示す構成図
【図17】同集塵効率を測定するのに用いた集塵部を示す寸法図
【図18】同集塵能力を測定する実験を示す図
【図19】同集塵能力を測定するのに用いた集塵部を示す寸法図
【図20】従来の電気集塵式集塵装置の電極板を示す構成図
【図21】同電極板のA−B線における断面を示す構成図
【図22】同従来の電気集塵式集塵装置の集塵部を示す構成図
【図23】従来の他の電気集塵式集塵装置を示す構成図
【図24】同集塵部の正面を示す構成図
【図25】従来の他の電気集塵式集塵装置の集塵部を示す構成図
【符号の説明】
【0097】
1 非導電性電極
2 完全絶縁型電極
3 多孔体
4 集塵部
5 シート状非導電体
6 電極端子
7 シート状絶縁体A
8 半導電層
9 シート状導電体
10 シート状絶縁体B
11 コルゲートシート
12 突起状スペーサー
13 送風手段
14 吹出口
15 放電電極
16 対向電極
17 イオン化手段
18 マイナスイオン
19 シート状導電体からなる電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極と、シート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けた非導電性電極とを、絶縁性を有するスペーサーを挟みながら交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
非導電性電極の中央部に沿って電極端子を設けることを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
絶縁性を有するスペーサーが3次元の網目構造を持つ多孔体であることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の集塵装置。
【請求項4】
絶縁性を有するスペーサーがコルゲートシートであることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の集塵装置。
【請求項5】
シート状導電体の全体を絶縁体で被覆した完全絶縁型電極とシート状非導電体の任意の部分に電極端子を設けた非導電性電極のどちらかの両側部の表裏両面に突起状スペーサーを設け、完全絶縁型電極と非導電性電極とを交互に積層して集塵部を構成し、完全絶縁型電極と非導電性電極のそれぞれに異なる電圧を印加することを特徴とする集塵装置。
【請求項6】
シート状非導電体の中央部に沿って電極端子を設けた非導電性電極の電極端子のない両側部に、シート状非導電体を窪ませて突起状スペーサーを設けることを特徴とする請求項5記載の集塵装置。
【請求項7】
非導電性電極の電極端子のない両側部に一列ずつ、表側の面に突起した突起状スペーサーと裏側の面に突起したスペーサーが交互に設けられ、完全絶縁型電極と非導電性電極とを積層する際に、1枚目の非導電性電極の表側に突起した突起状スペーサーと、2枚目の非導電性電極の裏側に突起したスペーサーとが積層方向において投影的に重なり、3枚目以降も同様となるように突起状スペーサーが配置されることを特徴とする請求項5または6いずれかに記載の集塵装置。
【請求項8】
非導電性電極の電極端子のない両側部に一列ずつ、表側に突起した突起状スペーサーと裏側に突起したスペーサーが交互に設けられ、各列の表側に突起した突起状スペーサーと裏側に突起したスペーサーとが、集塵部を空気が通過する方向において同じ軸上に設けられることを特徴とする請求項5乃至7いずれかに記載の集塵装置。
【請求項9】
完全絶縁型電極における絶縁体および絶縁性を有するスペーサーが絶縁性の樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の集塵装置。
【請求項10】
非導電性電極におけるシート状非導電体の表面が半導電性を有することを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の集塵装置。
【請求項11】
非導電性電極におけるシート状非導電体が半導電性樹脂からなることを特徴とする請求項10記載の集塵装置。
【請求項12】
シート状絶縁体の表面に半導電性樹脂を設けたものを、非導電性電極のシート状非導電体として用いることを特徴とする請求項10記載の集塵装置。
【請求項13】
シート状絶縁体の表面に半導電性塗料を塗布したものを、非導電性電極のシート状非導電体として用いることを特徴とする請求項10記載の集塵装置。
【請求項14】
帯状にした完全絶縁型電極と、同様に帯状にした非導電性電極とを重ね合わせて巻き込み、ロール形状とすることを特徴とする請求項1乃至13いずれかに記載の集塵装置。
【請求項15】
完全絶縁型電極の表面、もしくは集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設けることを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記載の集塵装置。
【請求項16】
集塵部の全体にシリコーンポリマーの膜を設ける方法として、シリコーンポリマーの溶液に集塵部ごと浸漬した後に乾燥させることを特徴とする請求項15記載の集塵装置。
【請求項17】
シリコーンポリマー溶液の溶媒として、無極性の有機溶剤を用いることを特徴とする請求項16記載の集塵装置。
【請求項18】
集塵部に抗菌作用を有する抗菌剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至17いずれかに記載の集塵装置。
【請求項19】
抗菌剤がチタニアもしくはシリカアルミナに銀成分を固定化したものであることを特徴とする請求項18記載の集塵装置。
【請求項20】
集塵部に抗黴作用を有する抗黴剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至17いずれかに記載の集塵装置。
【請求項21】
集塵部にウイルス不活化作用を有する抗ウイルス剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至17いずれかに記載の集塵装置。
【請求項22】
抗ウイルス剤がフェノール性水酸基を分子構造に持つポリフェノール類であることを特徴とする請求項21記載の集塵装置。
【請求項23】
集塵部にアレルゲン不活化作用を有する抗アレルゲン剤を添着したことを特徴とする請求項1乃至17いずれかに記載の集塵装置。
【請求項24】
抗アレルゲン剤が少なくとも一箇所にフェノール性水酸基を有する芳香族ヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項23記載の集塵装置。
【請求項25】
抗菌、ウイルス不活化およびアレルゲン不活化作用を有する薬剤を混合した液を集塵部に一括して添着することを特徴とする請求項1乃至17いずれかに記載の集塵装置。
【請求項26】
集塵部の風上にイオン化手段を設けることを特徴とする請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置。
【請求項27】
集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出口に、イオン化した空気を室内に供給し、室内の粉塵を微弱に帯電させるイオン化手段を設けることを特徴とする請求項1乃至25いずれかに記載の集塵装置。
【請求項28】
集塵部と送風手段を備えた集塵装置の吹出口に、放電電極と対向電極とで構成されたイオン化手段を設け、イオン化手段の放電電極にマイナスの電圧を印加すると同時にイオン化手段の対向電極をアースに接続して得られたマイナスイオンを室内に供給し、集塵部の完全絶縁型電極もしくは非導電性電極のどちらかにプラスの電圧を印加すると同時にプラスの電圧を印加しないもう一方の電極をアースに接続することを特徴とする請求項27記載の集塵装置。
【請求項29】
請求項1乃至28いずれかに記載の集塵装置を備えた空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−253055(P2007−253055A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80289(P2006−80289)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】