説明

集水部付き側溝用蓋板及びその取り付け敷設構造

【課題】側溝用蓋板自体の強度を保持しつつ高い集水効率を有する側溝用蓋板及び当該蓋板の取り付け敷設構造を提供する。
【解決手段】略方形厚板状の形状からなり、幅方向中央部に向かって緩やかな傾斜面をなす略V型に形成された上部表面と、該上部表面幅方向中央部に長手方向に向かい凹条溝として形成された集水部とを備え、該集水部の長手方向両端側には長手方向に向かい上下面を貫通する直線状のスリットが長手方向端面を開口した形で各々形成された、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンクリート製側溝の側溝用蓋板及びその取り付け敷構造に関するものである。

【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート製側溝の蓋板には、着脱するための手掛け用溝部が蓋板端部に設けられている。そしてこの手掛け用溝部は降雨時の路面流水を蓋板下部に設置された側溝内に落とし込むという機能も有していた。しかしこの手掛け用溝部は蓋板上面の路面流水方向と平行に形成されていて、幅も狭いことから、充分な機能を発揮しているとはいえなかった。
そこで近年では公開特許公報、特開2002−235365号のように、蓋板の上面を周囲からの雨水が集中しやすい形状に形成し、集めた雨水を迅速に側溝内に排水するためのスリット孔を長手方向あるいは幅方向に形成した側溝蓋板が提案されている。
例えば、側溝蓋板の上面形状を皿形状等にし、蓋板の中央部に長手方向または幅方向に1〜数個のスリット孔を設け、あるいは連通してなる浅い集水溝を形成する。もって、降雨時の大量の雨水等が蓋板上面を経由して該スリット孔等から側溝へ排水されるもの等である。
しかしながら、このような従来の側溝蓋板は、幅方向中央部に上下面を貫通するスリット孔が穿設されることから、形成するスリット孔の大きさや数は、必要とする蓋板の強度によって制限されるものとなる。
例えば長手方向にスリット孔が穿設されている場合には、該スリット孔を中央にして蓋板幅方向が2分されることから、蓋板上面に占めるスリット孔の面積は、蓋板強度に影響を与えることになる。そうすると蓋板強度との関係で充分なスリット孔が穿設できず所要の集水効率が得られない場合が起こり得る。
一方、所要の集水効率を得られたとしても、蓋板強度を高めるために蓋板全体を厚肉に構成せざるを得ない場合が生じる。そうすると、蓋板製造コストの上昇や敷設作業の困難性を招致してしまうという課題が指摘されていた。
【特許文献1】特開2002−235365号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かくして、本発明は、前記従来の課題を解消するために創案されたものであって、いわゆる側溝用蓋板自体の強度を保持しつつ高い集水効率を有する側溝用蓋板及び当該蓋板の取り付け敷設構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による集水部付き側溝用蓋板及び蓋板の取り付け構造は、
略方形厚板状の形状からなり、幅方向中央部に向かって緩やかな傾斜面をなす略V型に形成された上部表面と、該上部表面幅方向中央部に長手方向に向かい凹条溝として形成された集水部とを備え、該集水部の長手方向両端側には長手方向に向かい上下面を貫通する直線状のスリットが長手方向端面を開口した形で各々形成された、
ことを特徴とし、
または、
側溝用蓋板の略U字状側溝開口部への取り付け敷設構造であって、前記直線状スリットの開口部が突き合わされて接続され、2倍長のスリット孔が当該接続部に亘って形成して敷設した、
ことを特徴とし、
または、
底面幅方向両端側に長手方向にわたりゴム材、合成樹脂材からなる緩衝部材が接着された、
ことを特徴とし、
または、
長手方向側面のいずれか一方側で幅方向両端に間隔をあけて欠け防止突起が形成された、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明による集水部付き側溝用蓋板及び蓋板の取り付け構造であれば、充分な強度と高い集水効率を有する側溝用蓋板を厚肉構成にすることなく作成でき、更に連続する側溝用蓋板の敷設により高い集水効率が達成できるとの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0007】
図1は、本発明による側溝用蓋板1を示す。まず、略方形厚板状の基本的形状をなし、上部表面2は幅方向中央部に向かって緩やかな傾斜面をなす略V型に形成されている。また上面幅方向中央部分には、集水部3が浅い凹条溝として形成されている。つまり雨水等がこの上部表面2の緩やかな傾斜面に沿ってスムーズに集水部3へ導入されるよう構成されている。また集水部3の断面形状は略凹状をなすものでも構わないし、略U字状をなすものでも構わない。
そして、該集水部3の長手方向の両端部にはさらに長手方向に向かい、上下面を貫通する直線状のスリット孔4、4が前記側溝用蓋板1の長手方向端面を開口した形で各々形成されている。
【0008】
図2は、断面U字状をなす側溝本体7の蓋板載置部11に本発明による側溝用蓋板1を載置した状態を示す図である。
図2から理解されるように、スリット孔4は、上部表面2の上側スリット開口より下側スリット開口に向かってそのスリット開口幅が拡開された形で形成されており、雨水と一緒に流入した土砂による詰まりを防止するものとしてある。
このような構成の下で、例えば降雨時での雨水は、側溝用蓋板1外縁から上部表面2の緩やかな傾斜面を伝わって幅方向中央の集水部3に集水される。ここで、集水部3は上述のように、浅い凹条溝として形成されており、比較的多くの雨水を集水することができる。
その後この集水部3から前記スリット孔4、4を経由して側溝内部の水路に流入することになる。
【0009】
ここで、前記スリット孔4、4は、該側溝用蓋板1の両端部に形成した。このような構成とすることにより側溝用蓋板1の長手方向中央部大部分において、浅い凹条溝に形成された集水部3を介して一体に接続されるものとなる。
つまり該側溝用蓋板1の中央部分大部分が、上下面を貫通するスリット孔4として形成されないことから、該中央の大部分は、側溝用蓋板1の略方形厚板状をなすという基本形状で形成されることになる。したがって該側溝用蓋板1は従来の蓋板に比して高い強度性能を有するといいうる。
【0010】
すなわち、本発明による集水部3の長さがたとえ同じ長さであったとしても、中央部に1つの集水部3を形成した場合と、長手方向両端側に2分の1ずつの長さの集水部3を分けて形成した場合を考えると一目瞭然である。中央部に1つの集水部3で接続した場合は圧倒的に強度が高いことがわかる。
【0011】
図3は、側溝本体7に側溝用蓋板1を連続敷設した状態を示す。
側溝用蓋板1の取り付け敷設の際には、対向するスリット孔4、4が連通するように接続して側溝本体7に取り付け敷設することになる。よって、蓋板接続面にわたっては端部に設けられているスリット孔4に比較して2倍長の1個のスリット孔10が形成されることになる。このような取り付け敷設構造から生じる該スリット孔10により当該側溝用蓋板1、1が敷設された側溝排水設備は大量の雨水排水能力を発揮するものとなる。したがって該側溝用蓋板1は特に厚肉構成せずとも高い強度が保持でき、高い雨水など排水能力を有する側溝排水設備の実現が可能とされた。
【0012】
図4は、勾配のある地盤8表面に設置された側溝本体7に側溝用蓋板1が連続敷設された状態を示す。前述したとおり蓋板接続面にわたってはスリット孔10が形成される。また側溝本体7が傾斜設置されることから集水部3の凹状溝は傾斜を有することになる。すると集水部3の凹状溝は、雨水を該凹状溝端部の低地側スリット孔10へスムーズに導入する通水路の役割をも果たすことになる。したがってこのような勾配のある地盤における該側溝用蓋板1の連続敷設は、さらに優れた雨水排水性能が発揮され得る。
【0013】
図5は欠け防止突起6が形成された蓋板を示す。
例えば車道の両脇などに敷設形成された側溝本体7に側溝用蓋板1を連続敷設する場合、側溝用蓋板1の接続箇所の端部では車の往来による重みによって側溝用蓋板1の隅部に欠けが生じ易い。その理由としては、側溝用蓋板1を側溝本体7の蓋板載置部11に据え置く構造のため側溝本体7の載置部と側溝用蓋板1の底面との間に隙間が存在してしまうこと、及び車両の走行による振動や重量が側溝用蓋板1に長期間にわたってかかることなどが挙げられる。
そこで、接続端面である長手方向側面のいずれか片面に欠け防止突起6、6を設けることにより、接続端面特に隅部での接触欠けが阻止できるのである。
【0014】
ここで、本発明においては、長手方向側面のいずれか片面の幅方向両端上部に例えば円柱状をなし高さが1乃至2mmの欠け防止突起を設けている。但し該突起の断面形状は円形に限らず、所定の間隔が保持できれば方形や特殊な形状であっても構わないものである。
図6は、底面に緩衝部材5、5が接着された側溝用蓋板1を示す。また図7は側溝本体7の蓋板載置部11に前記緩衝部材5、5を接着した側溝用蓋板1を載置した状態を示した説明図である。
前述したとおり側溝用蓋板1と側溝本体7の敷設に際しては、構造上側溝本体7と側溝用蓋板1との間に隙間が存在してしまう。そのため、この隙間からガタが生じ、蓋板底面端部の角欠けやガタ騒音が発生することがある。
そこで、側溝用蓋板1底面幅方向両端部に長手方向全長にわたりゴム、合成樹脂等からなる緩衝部材5、5を接着させることにより、このガタの発生を防ぐものである。該緩衝部材5は、側溝本体7の蓋板載置部11と側溝用蓋板1底面の接触部に設置されるものであり、1乃至2mmの厚さが設置後に確保されることが望ましい。しかして、側溝用蓋板1敷設の際には、該緩衝材5、5が押圧されて構造上生じた隙間部を圧密することになり、ガタや振動の発生が防止できるものとなる。
【0015】
図8は、蓋板幅方向の両側面を底面から上面に向かって円弧状形状となるよう形成した側溝用蓋板1を示す。また図9は側溝本体7の蓋板載置部11に本実施例の側溝用蓋板1を載置した状態の説明図である。
側溝用蓋板1幅方向の両側面をこのような形状に形成することにより、ほぼ同様の湾曲形状に形成された側溝本体7の蓋板載置部11と該側溝用蓋板1との接触すべき箇所が前記円弧状形状の幅方向に拡大されることになる。もって該側溝用蓋板1と側溝本体7の蓋板載置部11とは、円弧状に湾曲する接触面においていずれかの接触部分で線状に接触することとなり、その結果構造上必ず生ずるとされる隙間が発生せず、ガタの発生が確実に防止できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の側溝用蓋板を説明する構成説明図(その1)である。
【図2】側溝用蓋板の取り付け状態を説明する構成説明図(その1)である。
【図3】本発明の側溝用蓋板取り付け構造を説明する構成説明図(その1)である。
【図4】本発明の側溝用蓋板取り付け構造を説明する構成説明図(その2)である。
【図5】本発明の側溝用蓋板を説明する構成説明図(その2)である。
【図6】本発明の側溝用蓋板を説明する構成説明図(その3)である。
【図7】側溝用蓋板の取り付け状態を説明する構成説明図(その2)である。
【図8】本発明の側溝用蓋板を説明する構成説明図(その4)である。
【図9】側溝用蓋板の取り付け状態を説明する構成説明図(その3)である。
【符号の説明】
【0017】
1 側溝用蓋板
2 上部表面
3 集水部
4 スリット孔
5 緩衝部材
6 欠け防止突起
7 側溝本体
8 地盤
9 雨水
10 スリット孔
11 蓋板載置部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
略方形厚板状の形状からなり、幅方向中央部に向かって緩やかな傾斜面をなす略V型に形成された上部表面と、該上部表面幅方向中央部に長手方向に向かい凹条溝として形成された集水部とを備え、該集水部の長手方向両端側には長手方向に向かい上下面を貫通する直線状のスリットが長手方向端面を開口した形で各々形成された、
ことを特徴とする集水部付き側溝用蓋板

【請求項2】
前記側溝用蓋板の略U字状側溝開口部への取り付け敷設構造であって、前記直線状スリットの開口部が突き合わされて接続され、2倍長のスリット孔が当該接続部に亘って形成して敷設した、
ことを特徴とする側溝用蓋板の取り付け敷設構造
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の側溝用蓋板には、底面幅方向両端側に長手方向にわたりゴム材、合成樹脂材からなる緩衝部材が接着された、
ことを特徴とする集水部付き側溝用蓋板
【請求項4】
長手方向側面のいずれか一方側で幅方向両端に間隔をあけて欠け防止突起が形成された、
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の集水部付き側溝用蓋板



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−162370(P2007−162370A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361401(P2005−361401)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(505234845)後藤コンクリート工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】