説明

集線装置及び通信システム

【課題】コストの大幅な上昇を招くことなく安全にフィールド機器の保守を行うことができる集線装置、及び当該集線装置を備える通信システムを提供する。
【解決手段】集線装置としての通信ノード12は、フィールド機器に接続されるケーブルCを集線しており、ケーブルCを介してフィールド機器と一対一に接続されて対応するフィールド機器への電源供給を行う複数の電源供給部21と、複数の電源供給部21から対応するフィールド機器への電源供給を行うか否かを個別に制御する制御部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィールド機器に接続される接続線を集線する集線装置、及び当該集線装置を備える通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラントや工場等においては、高度な自動操業を実現すべく、フィールド機器と呼ばれる現場機器(測定器、操作器)と、これらの管理及び制御を行う機器管理装置とが接続線によって接続された分散制御システム(DCS:Distributed Control System)が構築されている。このような分散制御システムが構築されているプラント等では、フィールド機器と機器管理装置との接続を簡素化するために、フィールド機器と機器管理装置との間にリモートIOと呼ばれる集線装置を設置し、或いは、通信バスを介してフィールド機器をバス接続している。
【0003】
上記のリモートIOと呼ばれる集線装置は、フィールド機器が接続されるIOモジュールと、機器管理装置との間で通信を行う通信インターフェイスとを備えており、フィールド機器の測定情報(例えば、流量の測定結果を示す情報)を収集して機器管理装置に送信するとともに、機器管理装置からの制御情報をフィールド機器に出力する。尚、リモートIOは、フィールド機器とIOモジュールとを接続する接続線を介してフィールド機器に対する電源供給を行う。プラント等では可燃性のガスが用いられる場合があるため、リモートIOは、防爆型ボックスに収容されて設置されることが多い。
【0004】
フィールド機器が通信バス(例えば、フィールドバス)を介してバス接続される態様においては、ジャンクションボックスと呼ばれる集線装置が用いられる。このジャンクションボックスは、機器管理装置に接続される通信バスを、その内部で分岐して各々のフィールド機器に接続する装置である。ここで、フィールド機器を接続する通信バスには電源供給が行われており、ジャンクションボックスの内部で分岐された通信バスを介して各フィールド機器に対する電源供給が行われる。尚、以下の特許文献1には、ジャンクションボックスが用いられるシステムの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−96731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、プラント等に設置されたフィールド機器を保守のために交換する際には、上述したリモートIOやジャンクションボックス等の集線装置、或いは、フィールド機器から接続線を取り外す必要がある。上述した通り、フィールド機器に対する電源供給は、集線装置とフィールド機器とを接続する接続線を介して行われているため、例えば可燃性のガスが用いられる場所のような危険場所に設置された集線装置やフィールド機器から接続線を取り外す際に、作業者が誤って接続線をショートさせてしまうと可燃性ガスに引火する危険性が考えられる。
【0007】
ここで、保守を行う際にプラント等の操業停止、或いは可燃性ガスの除去(危険雰囲気の除去)等の対処を行えば、上記の危険性を排除することができると考えられる。しかしながら、このような対処を行うと、フィールド機器の交換等に要するコスト以外のコストが発生するため保守のコストが上昇するという問題がある。特に、プラント等の操業を停止してしまうと機会損失が加わるため保守のコストが大幅に上昇するという問題がある。
【0008】
コストの大幅な上昇を伴うことなく、可燃性ガスへの引火等の危険性を排除するためには、保守の対象である交換すべきフィールド機器への電源供給のみを停止させればよいと考えられる。しかしながら、既存のリモートIOやジャンクションボックスは、接続された全てのフィールド機器に対する電源供給を一括して停止することはできるものの、特定のフィールド機器に対する電源供給を個別に停止させることができないという問題がある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、コストの大幅な上昇を招くことなく安全にフィールド機器の保守を行うことができる集線装置、及び当該集線装置を備える通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の集線装置は、フィールド機器(11)に接続される接続線(C)を集線する集線装置(12、16、17)において、前記接続線を介して前記フィールド機器と一対一に接続され、対応するフィールド機器への電源供給を行う複数の電源供給部(21)と、前記複数の電源供給部から対応するフィールド機器への電源供給を行うか否かを個別に制御する電源制御部(22)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、フィールド機器と一対一に接続された複数の電源供給部から対応するフィールド機器への電源供給を行うか否かが、電源制御部によって個別に制御される。
また、本発明の集線装置は、前記複数の電源供給部から対応するフィールド機器への電源供給がそれぞれ行われているか否かを表示する表示部(23)を備えることを特徴としている。
また、本発明の集線装置は、前記表示部の表示を外部から視認可能な密閉された筐体(B、B1)を備えることを特徴としている。
また、本発明の集線装置は、無線又は赤外線により通信を行う通信部(24)を備えており、前記電源制御部が、前記通信部で受信される制御信号に基づいて前記複数の電源供給部に対する制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の集線装置は、前記電源制御部が、集線装置が接続されるネットワーク(N、N1、N2)を介した通信が可能であり、該ネットワークを介して送信されてきた制御信号に基づいて前記複数の電源供給部に対する制御を行うことを特徴としている。
本発明の通信システムは、フィールド機器(11)がネットワーク(N、N1、N2)に接続されてなる通信システム(1、2)において、前記フィールド機器に接続される接続線(C)を集線するとともに、前記ネットワークに接続される上記の集線装置と、前記ネットワークに接続されて、前記集線装置が備える前記複数の電源供給部を制御する制御信号を前記ネットワーク介して前記集線装置に送信する送信装置(14、15)とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィールド機器と一対一に接続された複数の電源供給部から対応するフィールド機器への電源供給を行うか否かを電源制御部が個別に制御しており、フィールド機器毎に電源の供給や停止が行われるため、コストの大幅な上昇を招くことなく安全にフィールド機器の保守を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態による通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態よる集線装置としての通信ノードの要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態による通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3実施形態よる集線装置としての通信ノードの要部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第4実施形態よる集線装置としての通信ノードの外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による集線装置及び通信システムについて詳細に説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による通信システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の通信システム1は、複数のフィールド機器11、通信ノード12(集線装置)、コントローラ13、及び端末装置14(送信装置)を備えており、通信ノード12を介してフィールド機器11とコントローラ13又は端末装置14との間の通信が可能である。
【0015】
フィールド機器11は、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、その他のプラントや工場の現場に設置される機器であり、例えば流量、温度、弁の開度、モータの回転数等を測定して測定値として出力する。このフィールド機器11は、プラント等に複数設置されており、その動作がコントローラ13によって制御される。
【0016】
通信ノード12は、フィールド機器11の各々に接続されるケーブルC(接続線)を集線するとともにネットワークNに接続されて、フィールド機器11又はコントローラ13や端末装置14との間で行われる通信を中継する装置である。この通信ノード12は、フィールド機器11と同様に、プラント等の現場に設置される。また、通信ノード12は、ケーブルCを介してフィールド機器11の各々に対する電源供給も行う。尚、通信ノード12の詳細については後述する。
【0017】
コントローラ13は、ネットワークNに接続されており、フィールド機器11の制御を行う。具体的に、コントローラ13は、ネットワークN及び通信ノード12を介してフィールド機器11に制御信号を送信して各種制御(例えば、弁の開閉等の制御)を行う。また、通信ノード12及びネットワークNを介してフィールド機器11で測定された測定値の収集等を行う。尚、ネットワークNは、例えばフィールドネットワークである。
【0018】
端末装置14は、コントローラ13と同様にネットワークNに接続されており、フィールド機器11や通信ノード12の管理を行うための各種指示を行い、或いは、コントローラ13で収集される情報の解析等を行うために用いられる装置である。この端末装置14は、キーボード等の入力装置及び液晶表示装置等の表示装置を備えるデスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータ等で実現され、例えばシステム管理者によって操作される。
【0019】
次に、通信ノード12について詳細に説明する。図2は、本発明の第1実施形態よる集線装置としての通信ノードの要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、通信ノード12は、複数の電源供給部21、制御部22(電源制御部)、及び複数の発光素子23(表示部)が筐体Bに収容された構成である。筐体Bは、例えば高剛性アルミニウム等の剛性の高い金属によって形成された中空の箱部材である。通信ノード12は、例えば可燃性のガスが用いられる場所のような危険場所に設置されることがあるため、防爆要件を満たすために密閉構造とされている。
【0020】
電源供給部21は、接続線Cを介してフィールド機器11と一対一に接続され、制御部22の制御の下で、対応するフィールド機器11に電源を供給し、或いは、対応するフィールド機器11に供給している電源の停止を行う。フィールド機器11に供給する電源は、電源供給部21の各々が生成しても良く、ネットワークNを介して供給される電力を用いて生成しても良い。
【0021】
制御部22は、電源供給部21から対応するフィールド機器11への電源供給を行うか否かを個別に制御する。具体的に、制御部22は、ネットワークNを介した通信が可能であり、ネットワークNを介して送信されてきた制御コマンド(制御信号)に基づいて電源供給部21に対する制御を行う。尚、ネットワークNを介して制御部22に受信される制御コマンドは、図1中の端末装置12から送信される。
【0022】
発光素子23は、例えばLED(Light Emitting Diode)であり、電源供給部21(ケーブルC)の各々に対応して設けられている。ケーブルCへの電源供給が行われている間だけ、そのケーブルCに対応して設けられた発光素子23は点灯する。このため、発光素子23は、電源供給が行われているフィールド機器11と電源供給が行われていないフィールド機器11とを特定するために用いられる。この発光素子23は、図1に示す通り、筐体Bの外部から視認可能なように筐体Bに収容されている。
【0023】
次に、上記構成における通信システム1の動作について説明する。尚、初期状態においては、通信ノード12から全てのフィールド機器11への電源供給が行われているとし、作業者が複数のフィールド機器11のうちの1つを交換する作業を行うものとする。まず、作業者が交換すべきフィールド機器11が設置されている現場に赴いて、そのフィールド機器11に接続されているケーブルCを通信ノード12の設置場所まで辿り、そのケーブルCに対応する発光素子23が点灯しているか否かを確認する。
【0024】
発光素子23が点灯していると確認した場合には、作業者は携帯電話等の通信手段を用いて電源供給を停止させるべきフィールド機器をシステム管理者に知らせる。この知らせを受けたシステム管理者は、端末装置14を操作して、電源供給を停止させるフィールド機器を特定する情報と電源供給を停止させる旨を示す情報とを入力する。すると、端末装置14からネットワークNを介して通信ノード12に特定のフィールド機器11に対する電源供給を停止させる旨を示す制御コマンドが送信される。
【0025】
端末装置14からの制御コマンドを受信すると、制御部22はその制御コマンドで特定されるフィールド機器11に対応する電源供給装置21に対して電源供給を停止させる制御を行う。かかる制御が行われると、ケーブルCを介したフィールド機器11への電源供給が停止されることから、そのケーブルCに対応する発光素子23が消灯する。これにより、作業者は、交換すべきフィールド機器11への電源供給が停止されたことを認識することができるため、安心してフィールド機器の交換作業を行うことができる。
【0026】
交換作業を終了すると、作業者は、携帯電話等の通信手段を用いて交換作業が終了した旨をシステム管理者に知らせる。この知らせを受けたシステム管理者は、端末装置14を操作して、電源供給を開始させるフィールド機器を特定する情報と電源供給を開始させる旨を示す情報とを入力する。すると、端末装置14からネットワークNを介して通信ノード12に特定のフィールド機器11に対する電源供給を停止させる旨を示す制御コマンドが送信される。
【0027】
端末装置14からの制御コマンドを受信すると、制御部22はその制御コマンドで特定されるフィールド機器11に対応する電源供給装置21に対して電源供給を開始させる制御を行う。かかる制御が行われると、ケーブルCを介したフィールド機器11への電源供給が開始され、そのケーブルCに対応する発光素子23が点灯する。これにより、作業者は、交換作業を行ったフィールド機器11への電源供給が開始されたことを認識することができる。
【0028】
以上の通り、本実施形態では、接続線Cを介してフィールド機器11と一対一に接続される電源供給部21と、電源供給部21からフィールド機器11への電源供給を行うか否かを個別に制御する制御部22とを有する通信ノード12を備えているため、交換対象のフィールド機器11に対する電源供給のみを停止することができる。また、発光素子23の点灯・消灯により電源供給が行われているフィールド機器11と電源供給が停止されているフィールド機器11とを特定することができ。
【0029】
このため、作業者は、通信ノード12に直接手を触れる必要がなくなるとともに、誤ってケーブルCをショートさせることもなくなることから、安全にフィールド機器11の交換作業を行うことができる。また、フィールド機器11の交換作業を行う際に、プラント等の操業停止や可燃性ガスの除去等を行う必要が無いことから、コストの大幅な上昇を招くことなく保守を行うことができる。
【0030】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態による通信システムの全体構成を示すブロック図である。尚、図3においては、図1に示すブロックと同じブロックには同一の符号を付してある。図3に示す本実施形態の通信システム2は、図1に示す通信システム1が備える端末装置14を無線装置15(送信装置)に代えた構成である。
【0031】
無線装置15は、ネットワークNに接続されており、Wi−Fi等による無線通信が可能な装置である。この無線装置15は、無線アクセスポイントとして機能し、携帯端末装置TM1と無線通信を行うことによって無線ネットワークを形成することができる。携帯端末装置TM1は、例えばタブレット型のコンピュータであり、フィールド機器11の交換作業を行う作業者によって携帯される。この携帯端末装置TM1は、第1実施形態の通信システム1が備える端末装置14と同様に、特定のフィールド機器11に対する電源供給や、電源供給の停止を行う機能を有する。
【0032】
次に、上記構成における通信システム2の動作について説明する。第1実施形態と同様に、作業者が交換すべきフィールド機器11が設置されている現場に赴いて、そのフィールド機器11に接続されているケーブルCを通信ノード12の設置場所まで辿り、そのケーブルCに対応する発光素子23が点灯しているか否かを確認する。発光素子23が点灯していると確認した場合には、作業者は携帯端末装置TM1を操作して電源供給を停止させるフィールド機器を特定する情報と電源供給を停止させる旨を示す情報とを入力する。すると、携帯端末装置TM1から特定のフィールド機器11に対する電源供給を停止させる旨を示す制御コマンドが無線通信により送信される。
【0033】
携帯端末装置TM1から送信された制御コマンドは、無線装置15で受信されてネットワークNを介して通信ノード12に送信される。この制御コマンドが通信ノード12の制御部22で受信されると、第1実施形態と同様に、その制御コマンドで特定されるフィールド機器11に対応する電源供給装置21に対して電源供給を停止させる制御が行われる。尚、作業者がフィールド機器11の交換作業を終了した場合には、携帯端末装置TM1を操作して電源供給を開始させるフィールド機器を特定する情報と電源供給を開始させる旨を示す情報とを入力すれば、そのフィールド機器に対する電源供給が第1実施形態と同様に開始される。
【0034】
以上の通り、本実施形態においても、交換対象のフィールド機器11に対する電源供給のみを停止することができるとともに、発光素子23の点灯・消灯により電源供給が行われているフィールド機器11と電源供給が停止されているフィールド機器11とを特定することができる。このため、作業者が一人で、コストの大幅な上昇を招くことなく安全にフィールド機器の保守を行うことができる。
【0035】
〔第3実施形態〕
図4は、本発明の第3実施形態よる集線装置としての通信ノードの要部構成を示すブロック図である。尚、図4においては、図2に示すブロックと同じブロックには同一の符号を付してある。図4に示す本実施形態の通信ノード16は、図2に示す通信ノード12に通信部24を設けた構成である。
【0036】
通信部24は、通信ノード16に対して近距離(例えば、十〜数十メートル程度)に位置する携帯端末装置TM2との間で、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)等の近距離無線通信、或いは、近距離の赤外線通信を行う。携帯端末装置TM2は、例えばタブレット型のコンピュータや携帯電話機等であり、フィールド機器11の交換作業を行う作業者によって携帯され、第2実施形態で説明した携帯端末装置TM1と同様に、特定のフィールド機器11に対する電源供給や、電源供給の停止を行う機能を有する。
【0037】
ここで、前述した第2実施形態では、作業者が携帯する携帯端末装置TM1と無線装置15との間で無線通信が行われ、特定のフィールド機器11に対して電源供給を開始させ、或いは停止させる旨を示す制御コマンドが携帯端末装置TM1から無線装置15を介して通信ノード12に送信されていた。これに対し、本実施形態では、作業者が携帯する携帯端末装置TM2と通信ノード16に設けられた通信部24との間で無線通信又は赤外線通信が行われ、上記の制御コマンドが携帯端末装置TM2から通信ノード16の通信部24に直接送信される。そして、通信部24で受信された制御コマンドに基づいた電源供給部21に対する制御が制御部22によって行われる。
【0038】
以上の通り、本実施形態においても、交換対象のフィールド機器11に対する電源供給のみを停止することができるとともに、発光素子23の点灯・消灯により電源供給が行われているフィールド機器11と電源供給が停止されているフィールド機器11とを特定することができる。このため、第2実施形態のような無線装置15が設置されていなくとも、作業者が一人で、コストの大幅な上昇を招くことなく安全にフィールド機器の保守を行うことができる。
【0039】
〔第4実施形態〕
図5は、本発明の第4実施形態よる集線装置としての通信ノードの外観を示す図である。図5に示す通り、本実施形態の通信ノード17は、3つの筐体B1〜B3からなり、信頼性を高めるために冗長化されたネットワークN1,N2に合わせて冗長化されたものである。ネットワークN1,N2は、コントローラ13等が接続されるネットワークNを冗長化したものであり、ネットワークN1,N2の何れか一方に不具合が生じて通信が不能になった場合であっても、残りのネットワークを介した通信が可能である。
【0040】
通信ノード17を構成する3つの筐体B1〜B3は何れも、例えば高剛性アルミニウム等の剛性の高い金属によって形成された中空の箱部材であり、防爆要件を満たすために密閉構造とされている。筐体B1は、複数の電源供給部21と複数の発光素子23とを収容する。尚、筐体B1は、筐体B1の外部から発光素子23を視認可能なように発光素子23を収容する。筐体B2,B3は、制御部22をそれぞれ収容する。例えば、筐体B2に収容された制御部22は現用系として用いられ、筐体B3に収容された制御部22は予備系として用いられる。
【0041】
上記構成において、筐体B2に収容された制御部22が正常である場合には、ネットワークN1を介して送信されてくる制御コマンドに基づいた電源供給部21の制御が筐体B2に収容された制御部22によって行われる。これに対し、筐体B2に収容された制御部22に異常が生じた場合には、ネットワークN2を介して送信されてくる制御コマンドに基づいた電源供給部21の制御が筐体B3に収容された制御部22によって行われる。
【0042】
以上の通り、通信ノード17は、ケーブルC毎に設けられる電源供給部21及び発光素子23と電源供給部21を制御する制御部22とに分離されており、制御部22を冗長化した構成である。このため、筐体B2,B3に収容されている制御部22の何れか一方が故障しても、通信ノード17の動作を止めることなく、故障した制御部22の交換が可能である。しかも、制御部22の交換は、故障した制御部22が収容されている筐体B2又は筐体B3を取り外し、正常に動作する制御部22が収容されている筐体B2又は筐体B3を取り付けるだけで良いため、ショートが生ずることもない。
【0043】
以上の通り、本実施形態においても、交換対象のフィールド機器11に対する電源供給のみを停止することができるとともに、発光素子23の点灯・消灯により電源供給が行われているフィールド機器11と電源供給が停止されているフィールド機器11とを特定することができる。このため、コストの大幅な上昇を招くことなく安全にフィールド機器の保守を行うことができる。
【0044】
尚、本実施形態の通信ノード17は、第1,第2実施形態の通信システム1,2の何れにも適用可能である。また、第3実施形態の通信ノード16のように、筐体B2,B3に通信部24が設けられた構成にすることも可能である。本実施形態の通信ノード17を第2実施形態の通信システム2に適用し、或いは、第3実施形態の通信ノード16のような構成にすることで、作業者が一人でフィールド機器の保守を行うことができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態による集線装置及び通信システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、本発明の集線装置は既存のリモートIOやジャンクションボックスの何れにも適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1,2 通信システム
11 フィールド機器
12 通信ノード
14 端末装置
15 無線装置
16,17 通信ノード
21 電源供給部
22 制御部
23 発光素子
24 通信部
B,B1 筐体
C ケーブル
N,N1,N2 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールド機器に接続される接続線を集線する集線装置において、
前記接続線を介して前記フィールド機器と一対一に接続され、対応するフィールド機器への電源供給を行う複数の電源供給部と、
前記複数の電源供給部から対応するフィールド機器への電源供給を行うか否かを個別に制御する電源制御部と
を備えることを特徴とする集線装置。
【請求項2】
前記複数の電源供給部から対応するフィールド機器への電源供給がそれぞれ行われているか否かを表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1記載の集線装置。
【請求項3】
前記表示部の表示を外部から視認可能な密閉された筐体を備えることを特徴とする請求項2記載の集線装置。
【請求項4】
無線又は赤外線により通信を行う通信部を備えており、
前記電源制御部は、前記通信部で受信される制御信号に基づいて前記複数の電源供給部に対する制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の集線装置。
【請求項5】
前記電源制御部は、集線装置が接続されるネットワークを介した通信が可能であり、該ネットワークを介して送信されてきた制御信号に基づいて前記複数の電源供給部に対する制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の集線装置。
【請求項6】
フィールド機器がネットワークに接続されてなる通信システムにおいて、
前記フィールド機器に接続される接続線を集線するとともに、前記ネットワークに接続される請求項5記載の集線装置と、
前記ネットワークに接続されて、前記集線装置が備える前記複数の電源供給部を制御する制御信号を前記ネットワーク介して前記集線装置に送信する送信装置と
を備えることを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−182720(P2012−182720A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45062(P2011−45062)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】