説明

集電箱

【課題】集電箱を構成する昇圧回路を用いて蓄電池の充電/放電制御を行うことにより容易に蓄電機能を構成することができる。
【解決手段】太陽電池の発電電力が最大値もしくはその付近の値となるように発電電力を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力を、系統の交流電力を直流電力に変換した後インバータ回路を介して冷媒圧縮機へ供給し当該冷媒圧縮機を所望の回転数で運転させる冷凍サイクルの直流電力へ合流させるか、または系統の周波数に同期した交流電力に変換して系統へ重畳させる電力変換部に供給するかを切り換える切換部とを備えると共に、昇圧回路の出力を蓄電池へ供給可能にする回路と、蓄電池を昇圧回路の入力側へ放電可能にする回路とを備え、冷凍サイクルの負荷が大きくなる時間帯に切換部を冷凍サイクル側へ切り換えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒圧縮機の回転数を可変するインバータ回路へ太陽電池で発電されたエネルギー(電力)を供給可能に構成した集電箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ回路で冷媒圧縮機のモータを駆動する空気調和機に太陽電池及び蓄電池を組み合わせたものとしては特許文献1に記載されているようなものがある。この空気調和機では太陽電池の発電出力を直接インバータに供給するように構成され、インバータで消費されない余剰発電電力は双方向コンバータを介して商用電源(系統)へ回生(重畳)させ、また太陽電池の発電電力が不足するときは系統から供給を受けるものであり、また、蓄電池は深夜時間帯に充電され、日没後の太陽電池が発電を行っていないときに放電を行うように構成されている。蓄電池の放電電力が不足するときは双方向コンバータを介して系統から不足する電力を補っているものであった。
【0003】
このように構成された空気調和機では、蓄電池の放電を直接インバータ回路へ行っているのでインバータ回路の昇圧比が充分でない場合は冷媒圧縮機へ印加される電圧が充分に制御できず所望の回転数が得られない場合生じる。そのため蓄電池の定格電圧をインバータ回路の昇圧比を考慮して設定する必要があった。
【0004】
例えば、インバータ回路から出力されるチョッピング波を用いて冷媒圧縮機を駆動する場合、冷媒圧縮機の能力に応じて供給する電流量を可変する必要があり、能力の増加に応じて印加する電圧も高くする必要がある。交流100Vを電源としている場合、インバータ回路は倍電圧整流された直流280Vからチョッピング波を生成しており、蓄電池から供給される直流電力はこの電圧は280V以上なければ蓄電池の放電が行われず、蓄電池の定格電圧は290V〜300V程度が必要となる。このような定格電圧を用いた場合、蓄電池の放電量は蓄電池の端子電圧に左右され放電量を任意に制御できないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−351266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、太陽電池の発電エネルギーを交流電力に変換して系統へ重畳するシステムに用いられ太陽電池の発電エネルギーをまとめる集電箱の昇圧機能を用いて蓄電池の充電及び放電を制御するように成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の集電箱は、太陽電池の発電電力が最大値もしくはその付近の値となるように発電電力を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力を、系統の交流電力を直流電力に変換した後インバータ回路を介して冷媒圧縮機へ供給し当該冷媒圧縮機を所望の回転数で運転させる冷凍サイクルの直流電力へ合流させるか、または系統の周波数に同期した交流電力に変換して系統へ重畳させる電力変換部に供給するかを切り換える切換部とを備えると共に、昇圧回路の出力を蓄電池へ供給可能にする回路と、蓄電池を昇圧回路の入力側へ放電可能にする回路とを備え、冷凍サイクルの負荷が大きくなる時間帯に切換部を冷凍サイクル側へ切り換えることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の集電箱は太陽電池の発電電力が最大値もしくはその付近の値となるように発電電力を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力を、系統の交流電力を直流電力に変換した後インバータ回路を介して冷媒圧縮機へ供給し当該冷媒圧縮機を所望の回転数で運転させる冷凍サイクルの直流電力へ合流させるか、または系統の周波数に同期した交流電力に変換して系統へ重畳させる電力変換部に供給するかを切り換える切換部とを備えると共に、昇圧回路の出力を蓄電池へ供給可能にする回路と、蓄電池の出力を昇圧した後昇圧回路の出力に合流させる回路とを備え、冷凍サイクルの負荷が大きくなる時間帯に切換部を冷凍サイクル側へ切り換えることを特徴とするものである。
【0009】
また、冷凍サイクルは、冷媒圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を冷媒配管で環状に接続して作動冷媒が循環するように成したものであり、作動冷媒が蒸発器で蒸発する際に冷却された空気で冷房運転を可能に構成していることを特徴とするものである。
【0010】
また、蓄電池は、冷凍サイクルの負荷が大きくなる時間帯において、系統の交流電力を直流電力に変換する際の系統から供給される電流が所定値を超えた際に生じる信号に基づいて放電を開始するものである。
【0011】
また本発明の集電箱は、太陽電池の発電電力が最大値もしくはその付近の値となるように発電電力を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力を、系統の交流電力を、直流電力に変換した後インバータ回路を介して冷媒圧縮機へ供給し当該冷媒圧縮機を所望の回転数で運転させる冷凍サイクルの直流電力へ合流させるか、または系統の周波数に同期した交流電力に変換して系統へ重畳させる電力変換回路に供給するかを切り換える切換部とを備えると共に、昇圧回路の出力を蓄電池へ供給可能にする回路と、蓄電池を昇圧回路の入力側へ放電可能にする回路とを備えるものである。
【0012】
また、本発明の集電箱は、太陽電池の発電電力が最大値もしくはその付近の値となるように発電電力を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力を、系統の交流電力を、直流電力に変換した後インバータ回路を介して冷媒圧縮機へ供給し当該冷媒圧縮機を所望の回転数で運転させる冷凍サイクルの直流電力へ合流させるか、または系統の周波数に同期した交流電力に変換して系統へ重畳させる電力変換回路に供給するかを切り換える切換部とを備えると共に、昇圧回路の出力を蓄電池へ供給可能にする回路と、蓄電池の出力を昇圧した後昇圧回路の出力側へ放電可能にする回路とを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の集電箱は、集電箱が備える太陽電池を最適動作点で発電させるための昇圧機能を共用して蓄電池への充電電圧もしくは放電電圧を制御することがでシステム全体の省スペース化が可能になり、またこの集電箱で冷媒圧縮機の駆動用のインバータ回路へ直接直流電力を供給でき系統を介して太陽電池の発電電力を供給する場合に比べ少なくとも直流/変換回路及び整流回路での変換ロスを低減できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の実施例を示す説明図である。
【図2】図2は蓄電池の放電を昇圧回路の入力側へ供給する際の回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
太陽電池の発電出力を交流電力に変換して系統へ重畳する際に太陽電池の発電エネルギー(電力)をまとめる集電箱の昇圧機能を用いて蓄電池を充電することにより、リアクタ、コンデンサなどの大型部品を共通化でき装置の小型化もしくはシステム全体の省スペース化が図れると共に、既存の集電箱に容易に蓄電機能を付加できるものである。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の1実施例を示す説明図であり、1は太陽電池、2は昇圧部、3は蓄電ユニット部であり蓄電池4を有する。5は電力変換部(装置)である。昇圧部2は昇圧回路6と制御部7とを有し、太陽電池1で発電される直流電力の昇圧を行うものであり、制御部7の制御によって(1)昇圧回路6に入力される電力Pin(太陽電池1の発電電力)が最大になるようにその昇圧比を変えるMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行う、(2)MPPT制御に加えて昇圧回路6の出力電圧が一定の値(例えば蓄電池4の定格電圧〜定格電圧+αの電圧範囲)を越えている際に、大きく超えているときは定格電圧+αの定電圧に昇圧回路6の出力電圧を制御し、また小さく超えているときは定格電圧と等しい定電圧に昇圧回路6の出力電圧を制御する、(3)電力Pinが所定値以上の際に昇圧回路6の出力電圧を280V+αに制御することが行えるものである。
【0017】
尚、昇圧回路6はリアクタ、スイッチング素子、ダイオード、コンデンサを有し、スイッチング素子をON/OFF制御する際のONデューティを変えることによって昇圧比が可変できる比絶縁型のスイッチング電源を構成しており、この構成には汎用の構成を用いることができその動作の詳細説明は省略する。また、昇圧回路はこのような構成に限るものではなく、例えばトランスを用いた絶縁型のものであってもよい。
【0018】
蓄電ユニット部3は、昇圧部2(昇圧回路6)の出力を電力変換部5へ供給するか否かを切換える常開のリレー接片8、昇圧部2の出力を逆流防止用のダイオード9を介して空気調和機(後記する)に供給するか否かを切換える常開のリレー接片10、昇圧部2の出力を蓄電池2へ供給するか否かを切換える常開のリレー接片11、蓄電池4の放電電力(出力)を昇圧回路12で昇圧しかつ定電圧化を行った後昇圧部2の出力側に合流させるか否かを切換える常開のリレー接片13、及びこれらのリレー接片の開閉を励磁コイル(図示せず)を介して制御し、また昇圧回路12の出力電圧を昇圧比を変えて制御する制御部14を有している。
【0019】
電力変換部5は昇圧回路15、直流電力を擬似正弦波に変換しローパスフィルターで直流成分を取り除いた後交流電力にして系統へ重畳させるインバータ回路部16、制御部17を有している。制御部17は昇圧回路15へ供給される電力が最大になるように系統へ重畳する交流電力の電流値を昇圧回路15の昇圧比を変えて制御する。すなわち制御する電流値が得られるように昇圧比を制御した結果の昇圧回路15へ供給される電力が最大になるようにMPPT制御が行われる。インバータ回路部16は4個のスイッチング素子を単相ブリッジ状に結線されこれらのスイッチング素子をPWM(pulse width modulation:パルス幅変調)制御に基づいてON/OFFして系統の波形に同期した擬似正弦波を出力する。
【0020】
尚、インバータ回路部16の出力は系統に重畳する場合と系統が停電などの際に用いる独立交流電源として出力する場合とを選択して出力できるものである。この切換えには切り換えリレー接片(図示せず)を用いることができる。
【0021】
このように構成されたシステムで、太陽電池1の発電電力を電力変換部5へ供給してこの発電電力の全てを交流電力に変換して系統へ重畳させる際は、制御部14で各リレーの励磁の制御を行い常開のリレー接片8を閉じ、常開のリレー接片10、11、13を開いた状態にした後、制御部7により制御(1)のMPPT制御の運転を行われる。尚、制御部7と制御部14とは相互に通信を行い連係した制御が成されるものである。この運転は、太陽電池1の発電電力を全て系統へ重畳させる一般的な運転であり詳細な説明は省略する。
【0022】
蓄電池4の充電を行う際は制御部14で各リレーの励磁の制御を行い常開のリレー接片11を閉じ、常開のリレー接片8、10、13を開いた状態にした後、制御部7により制御(2)MPPT制御に加えて昇圧回路6の出力電圧が一定の値とする充電運転が行われる。例えば、蓄電池の定格電圧が240Vの蓄電池を充電する際、太陽電池1の最大発電時の電圧が250V(=240+10V)程度であることが好ましく、昇圧回路6がMPPT制御を行っている際の出力電圧が245V〜260Vの範囲内にあれば、昇圧回路6の昇圧比は実質的に制御(1)と同じ制御が行われこの電圧範囲で蓄電池4が充電される。昇圧回路6の出力電圧が260Vを超える際はこの昇圧回路6の動作は出力電圧が260Vとなる定電圧電源として動作する。具体的には出力電圧が260Vになるように昇圧比を変えるフィードバック制御が行われる。昇圧回路6の出力電圧が245Vを下回る際には、同様にこの昇圧回路6の動作は出力電圧が245Vとなる定電圧電源として動作する。
【0023】
前記実施例では蓄電池4を定電圧で充電しているが、蓄電池によっては定電流充電を用いる方が良いものがあり、この場合は、制御値を電圧から電流に換えて制御する。制御目標の電流値が1Cであれば蓄電池へ1C前後の電流が流れるように昇圧部の昇圧比をフィードバック制御し、太陽電池の発電電力が所定値に満たない時は1Cの値を減らし、更に満たない場合は充電を終了する。
【0024】
尚、蓄電池への充電の終了は、蓄電池の端子電圧が目標電圧になった時、充電量が目標量に達した時、充電時間が所定時間に達した時などで判断することができる。
【0025】
蓄電池4が放電を行う際は、蓄電池4の端子電圧(実質的に定格電圧)で放電する際は常開のリレー接片11を閉じて昇圧部2(昇圧回路6)の出力側へ合流(昇圧部2が動作していないときは蓄電池2の単独出力)させ、放電電圧を昇圧する際は常開のリレー接片11は開状態に維持し常開のリレー接片13を閉じ、同時に昇圧回路12を作動させて蓄電池2の放電電圧を所定の電圧に昇圧した後、昇圧部2の出力側に合流させる。この昇圧回路12は絶縁型、非絶縁型に限るものではなく汎用の方式を用いることができる。本実施例では昇圧回路6を同じ方式の回路を用いている。また、蓄電池4の放電は始めリレー接片11を閉じて行い、蓄電池4の端子電圧が所定値以下となった際にリレー接片11を開きリレー接片13を閉じて昇圧回路12を作動させるようにすれば、この昇圧回路12での昇圧ロスを抑制した蓄電池4の放電が可能になるものである。
【0026】
太陽電池1の出力及び/又は蓄電池4の出力を冷凍サイクルを有する機器側へ供給する際は常開のリレー接片10を閉じ、昇圧部2と電力変換部5とをつなぐ直流電源ラインから逆流防止ダイオード9を介して直流電力を供給することができる。この際、常開のリレー接片8は電力変換部5へ直流電力を供給する際には閉じ、常開のリレー接片11、13は蓄電池4が放電する際にいずれかが閉じられる。この際、集電箱から機器側の直流電力線へ直接直流電力を供給でき系統を介して太陽電池の発電電力を供給する場合に比べ少なくとも直流/変換回路及び整流回路での変換ロスを低減できるものである。
【0027】
20は冷媒圧縮機であり、冷媒配管にて凝縮器21、減圧装置22、蒸発器23を環状に接続して作動冷媒が循環するように冷凍サイクルが構成されている。この冷凍サイクルを冷却に用いる際は、例えば空気調和機の冷房運転では蒸発器23に送風を行い蒸発器23で冷媒が気化する際の気化熱で送風される空気を冷却する。冷媒圧縮機20は圧縮部とその駆動用の電動機とから成り、この電動機には例えば3相ブラシレス電動機が用いられており、6個のスイッチング素子を3相ブリッジ状に結線したインバータ回路24の出力で回転数が制御される。
【0028】
インバータ回路24は電動機の夫々の相の巻線へ、系統の交流電力(例えば単相100Vの交流)を整流ブリッジ25とコンデンサ26、27とを用いて倍電圧整流した直流280Vを電動機の回転子位置に合わせて通電して回転を維持するものである。電動機の回転数はインバータ回路24のスイッチング素子がスイッチングする際のONデューティを変え巻線へ通電する電流量変えて制御するものであり、インバータ回路24へ供給される直流電圧は実質的に倍電圧整流による280Vに固定されている。従って、インバータ回路24の入力電圧(Vinvの点)は直流280Vである。
【0029】
常開のリレー接片10を閉じ、太陽電池1の出力及び/又は蓄電池4の出力を冷凍サイクルを有する機器へ供給する際は、逆流防止ダイオード9による電圧効果を考慮して昇圧回路6、12の出力電圧を280V+αに制御する。昇圧回路6に対するαは太陽電池1の発電電力から機器へ供給可能な電流を流せる電圧の値(制御部7による制御(3)を行う)であり、昇圧回路12に対するαは蓄電池4から機器へ供給可能(又は供給を制御する)な電流を流すための電圧値である。この際、点Vinvの電圧が280Vより高くなっても、電動機の回転数制御は実際の回転数を検出して巻線へ供給する電流量をフィードバック制御しているので回転数の制御は安定して維持されるものである。このように、集電箱から機器側の直流電力線へ直接直流電力を供給でき系統を介して太陽電池の発電電力を供給する場合に比べ少なくとも直流/変換回路及び整流回路での変換ロスを低減できるものである。
【0030】
尚、蓄電池4の定格電圧を280V+α(点Vinvに所定の電流を流しこめる電圧)とすれば、常開のリレー接片11を閉じ、昇圧回路12を省略することが可能である。この点Vinvに流し込む所定の電流は蓄電池4の容量に基づき、放電終了時間との関係から決めることが好ましい。
【0031】
図1において昇圧部2と蓄電ユニット部3とは単一の筺体内に収納して集電箱としても良く、または蓄電ユニット部3の蓄電池4以外の構成を昇圧部2内に収納して集電箱とし、蓄電池のみを蓄電ユニットとすることも可能であり、集電箱は設置条件や蓄電池の条件等によって任意に構成しても良いものである。
【0032】
図2は昇圧部2の他の実施例を示す説明図であり、太陽電池1の発電出力が端子P、N間に供給される。端子P、N間に常開のリレー接片36を介してリアクタ31、ダイオード32、コンデンサ33を直列に接続すると共に、スイッチング素子34をリアクタ31及びダイオード32の接続点と端子Nとの間に接続してこの間を周期的なスイッチング信号のONデューティに基づいてON/OFFし昇圧を行うものである。
【0033】
図1の昇圧部2との相違点は常開のリレー接片36、37を備える点であり、これらリレー接片及びスイッチング素子は制御部35で制御される。常開のリレー接片37は蓄電池4の出力につながり、蓄電池4の放電電力は直接この昇圧部のリアクタ31(すなわち、昇圧回路の入力側)に供給されスイッチング素子24のON/OFFにより所定の電圧に昇圧された後出力される。この場合、図1に示した昇圧回路12の機能を図2に示す昇圧回路が兼ねるものであり、昇圧回路12及びリレー接片13に相当する構成が不要になるものである。
【0034】
従って、リレー接片36を閉じ、リレー接片37を開いた状態では、太陽電池1の発電出力はMPPT制御により昇圧されて出力される。リレー接片36が開き、リレー接片37が閉じているときは、蓄電池4の放電電力が太陽電池1の代わりに昇圧されて出力されるものであり、この出力された電力は実施例1の動作と同じになるものであり、太陽電池、集電箱、電力変換部の一連の構成からなる太陽光発電システムに蓄電池を接続するのみで蓄電機能が付加できるものである。すなわち、蓄電池への専用の充電回路及び専用の放電回路を設ける必要がなく、システムの小型化や汎用性が向上するものである。
【0035】
機器(冷凍サイクル)の負荷は、その負荷が一定であれば外気温の上昇に伴って増加するので、この冷凍サイクルの負荷が大きくなる時間帯に蓄電池4の蓄積電荷を常開のリレー接片10を閉じて機器へ供給可能にする。より詳細には、日の出から太陽電池1の発電電力(開放電圧)を検出し所定値(蓄電池4への充電が可能な発電電力)以上となった際に、リレー接片8、10、13を開き、リレー接片11を閉じて制御部7で制御(2)に基づく定電圧充電を蓄電池4の満充電が判断されるまで継続される。蓄電池4が満充電になった際はリレー接片11は開きリレー接片8が閉じて太陽電池1の発電出力は電力変換部5へ供給され系統へ重畳される。また、蓄電池4へ充電を行わない際も同様の動作になる。尚、この充電動作の継続は前記冷凍サイクルの負荷が大きくなる時間帯まで継続されないように制限が設けられている。次いで、この時間帯に達すると、まずリレー接片8、11、13を閉じリレー接片10を開いて制御部7で制御(3)の動作を行い約280V+αの直流電力を昇圧部2から機器側の直流電力線へ供給する。この動作は前記時間帯に達した際に自動的に行う場合と、機器側で消費電力を測定しその値が一定値を越えた際に出力される信号に応答して制御部4、制御部7が行うように構成ることができる。
【0036】
機器側へ直流電力を供給している際に、リレー接片13を閉じ昇圧回路12で蓄電池4の放電電圧を制御した後、昇圧回路6の出力側へ合流させれば、太陽電池と蓄電池との両方の電力を機器側へ供給することができ、機器で消費される系統の電力を抑制することができるものである。
【0037】
また、リレー接片11を閉じ蓄電池4の放電電力を機器側へ直接供給すれば、太陽電池1の発電電力が少ない場合際の前記時間帯においても機器で消費される系統の電力使用を抑制する効果が継続されるものである。蓄電池4の端子電圧が低下した際はリレー接片13を閉じてリレー接片11を開いて昇圧回路12で昇圧した直流電力を機器へ供給する。尚、図2に示す実施例を用いる場合はリレー接片36を開きリレー接片37を閉じて昇圧回路で昇圧させた直流電力を機器へ供給してもよい。この際、図1に示す昇圧回路12は不要になる。
【0038】
また、夕方、日没後などにおいて、機器の負荷(空調負荷)が大きくなる時間帯に太陽電池の発電が充分に得られない時は前記したような蓄電池の放電を行い、同様に系統の電力使用を抑制することができるものである。この抑制量も同様に電力変換回路での変換ロスを減らすことができるものである。
【0039】
以上のような動作において、いずれも蓄電池の充電は昇圧回路を共用して用いることができ、集電箱に充放電制御の切換えかの回路を備えていれば、蓄電池を付加すれば充放電機能を容易に備えることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る集電箱は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態のものに適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0041】
2 昇圧部
3 蓄電ユニット
4 蓄電池
5 電力変換部
6 昇圧回路
8、10、11、13 リレー接片
12 昇圧回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の発電電力が最大値もしくはその付近の値となるように前記発電電力を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力を、系統の交流電力を直流電力に変換した後インバータ回路を介して冷媒圧縮機へ供給し当該冷媒圧縮機を所望の回転数で運転させる冷凍サイクルの前記直流電力へ合流させるか、または系統の周波数に同期した交流電力に変換して前記系統へ重畳させる電力変換部に供給するかを切り換える切換部とを備えると共に、前記昇圧回路の出力を蓄電池へ供給可能にする回路と、前記蓄電池を前記昇圧回路の入力側へ放電可能にする回路とを備え、前記冷凍サイクルの負荷が大きくなる時間帯に前記切換部を冷凍サイクル側へ切り換えることを特徴とする集電箱。
【請求項2】
太陽電池の発電電力が最大値もしくはその付近の値となるように前記発電電力を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力を、系統の交流電力を直流電力に変換した後インバータ回路を介して冷媒圧縮機へ供給し当該冷媒圧縮機を所望の回転数で運転させる冷凍サイクルの前記直流電力へ合流させるか、または系統の周波数に同期した交流電力に変換して前記系統へ重畳させる電力変換部に供給するかを切り換える切換部とを備えると共に、前記昇圧回路の出力を蓄電池へ供給可能にする回路と、前記蓄電池の出力を昇圧した後前記昇圧回路の出力に合流させる回路とを備え、前記冷凍サイクルの負荷が大きくなる時間帯に前記切換部を冷凍サイクル側へ切り換えることを特徴とする集電箱。
【請求項3】
前記冷凍サイクルは、前記冷媒圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を冷媒配管で環状に接続して作動冷媒が循環するように成したものであり、前記作動冷媒が前記蒸発器で蒸発する際に冷却された空気で冷却運転を可能に構成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の集電箱。
【請求項4】
前記蓄電池は、前記冷凍サイクルの負荷が大きくなる時間帯において、前記系統の交流電力を直流電力に変換する際の前記系統から供給される電流が所定値を超えた際に生じる信号に基づいて放電を開始することを特徴とする請求項3に記載の集電箱。
【請求項5】
太陽電池の発電電力が最大値もしくはその付近の値となるように前記発電電力を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力を、系統の交流電力を、直流電力に変換した後インバータ回路を介して冷媒圧縮機へ供給し当該冷媒圧縮機を所望の回転数で運転させる冷凍サイクルの前記直流電力へ合流させるか、または系統の周波数に同期した交流電力に変換して前記系統へ重畳させる電力変換回路に供給するかを切り換える切換部とを備えると共に、前記昇圧回路の出力を蓄電池へ供給可能にする回路と、前記蓄電池を前記昇圧回路の入力側へ放電可能にする回路とを備えることを特徴とする集電箱。
【請求項6】
太陽電池の発電電力が最大値もしくはその付近の値となるように前記発電電力を昇圧する昇圧回路と、この昇圧回路の出力を、系統の交流電力を、直流電力に変換した後インバータ回路を介して冷媒圧縮機へ供給し当該冷媒圧縮機を所望の回転数で運転させる冷凍サイクルの前記直流電力へ合流させるか、または系統の周波数に同期した交流電力に変換して前記系統へ重畳させる電力変換回路に供給するかを切り換える切換部とを備えると共に、前記昇圧回路の出力を蓄電池へ供給可能にする回路と、前記蓄電池の出力を昇圧した後前記昇圧回路の出力側へ放電可能にする回路とを備えることを特徴とする集電箱。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−244882(P2012−244882A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115927(P2011−115927)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】