説明

雑草の抜去装置

【課題】道路等の隙間に生えている雑草を除去する装置を提供する。
【解決手段】砂等を高圧にて噴出するサンドブラスト装置と、雑草を吸引する集塵装置と、発電装置及びコンプレッサーからなる駆動装置と、から構成され移動可能な台車に搭載された装置本体と、該装置本体と可撓性を有するパイプ等によって接続され、後方上部には雑草吸引用ノズルを設け、また所定の角度を有してサンドブラスト用ノズルが取り付けられた雑草抜去部とからなり、道路等の隙間に生えている雑草を前記サンドブラスト用ノズルからの砂等の噴出圧によって抜去し、前記集塵装置によって吸引する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等の隙間に生えている雑草を除去する雑草の抜去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路等の隙間に生えている雑草を除去する作業は、作業者による手作業が最も確実な方法であった。しかしながら余りにも非効率であり、高コストであることから各種の技術が提案されている。
【0003】
例えば、作業者が手作業によって雑草を刈取った後、各種の除草剤の散布によって雑草除去を行なう技術が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記除草剤を使用する技術は薬剤によって作業者の健康を損なう惧れや、周辺の環境を損なう危険性もあった。
【0005】
そこで、水もしくは砂、またはこれらの混合物の高圧噴出物を雑草に噴射する技術が提案されている(特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−58306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、高圧噴出物による雑草の除去技術は、背が高く茎の太い植物の除去には適するものの、道路等の隙間に残る背の低い雑草の除去には適さないばかりか、作業の終了後には噴出物や土、砂、雑草が散らばり、清掃作業や土、砂の埋め戻し作業が必要となった。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので、作業者の手作業を排し低コストであると共に、除草剤などの薬剤を一切使用しないため安全であり、しかも雑草を除去した後に土、砂の埋め戻し作業を必要としない雑草抜去装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明の雑草の抜去装置は、道路等の隙間に生えている雑草を除去する装置であって、砂等を高圧にて噴出するサンドブラスト装置と、雑草を吸引する集塵装置と、発電装置及びコンプレッサーからなる駆動装置と、から構成され移動可能な台車に搭載された装置本体と、該装置本体と可撓性を有するパイプ等によって接続され、先端部に雑草を切り取って回収する切り取り部を有し、後方上部には雑草吸引用ノズルを設け、また所定の角度を有してサンドブラスト用ノズルが取り付けられた雑草抜去部とからなり、道路等の隙間に生えている雑草を前記サンドブラスト用ノズルからの砂等の噴出圧によって前記雑草を抜去し、前記集塵装置によって吸引することを第一の特徴とする。
【0010】
また、前記雑草抜去部は、下部が開放された躯体からなり、操作用ハンドルと移動可能な車輪を有すると共に、前記躯体の側面に前記サンドブラスト装置による雑草や砂等の散乱を防止するカバーを設け、前面及び後面の下部には可動可能な蓋体を設け、さらに前記雑草抜去部の内側後部に砂受けシュートを設けたことを第二の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る雑草抜去装置によれば、道路等の隙間に生えている雑草を砂等の噴出圧によって巻上げて、抜去すると共に集塵装置によって吸引することができるため、手作業や薬品を必要とせず効率的であり低コストであるという優れた効果を有する。
【0012】
また、雑草抜去部に雑草や砂等の散乱を防止するカバーや可動可能な蓋体を設けたため、雑草の抜去作業の際に道路周辺に土や砂或いは雑草等が散らばることがないという効果を有する。
【0013】
しかも、雑草抜去部の内側後部に砂受けシュートを設けたため、サンドブラスト装置から噴出させて雑草を抜去させた砂等をこの砂受けシュートに回収しながら、雑草を抜去した道路等の隙間に埋め戻しを行なうことが可能であるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明の雑草の抜去装置を使用する状態を示す説明図、図2は本発明の雑草の抜去装置本体の斜視説明図、図3は抜去部の側面拡大説明図、図4は抜去部の正面拡大説明図である。
【実施例】
【0015】
図1に示すように、本発明に係る雑草の抜去装置1は、2人の作業者によって稼動させて、車道と歩道との境やガードレール近傍に自生する雑草2を抜去するものであり、一方の作業者が装置本体3を搬送し、他方の作業者が抜去部4を両手で操作し、後述するサンドブラスト装置の砂の噴出によって雑草2を抜去して、集塵装置によって回収する。
【0016】
図2は雑草の抜去装置1の装置本体3を示しており、装置本体3は車輪5によって移動可能な台車6に搭載された、集塵装置7及び発電機8と、サンドブラスト装置9及びエンジン付きエアコンプレッサー10とからなり、可撓性を有するパイプ11、12によって抜去部4と接続している。
【0017】
図3は抜去部4を示す側面拡大説明図、図4は正面拡大説明図であり、抜去部4は、下方が開放された箱状のケース本体13からなり、両側面には1対の主車輪14とアームハンドル15が回動自在に取り付けられ、また主車輪14の近傍には補助車輪16がそれぞれ取り付けられ、ケース本体13と地面との間に一定の隙間を空けた状態で移動可能とされている。そしてケース本体13の上部には孔部17が形成され前記集塵装置7に連結するパイプ11を装着して、後述する砂の噴出により抜去された雑草を吸引可能とし、また正面若しくは背面の中央部には軸受け金具18を介しケース本体13を斜めに挿通してノズルホルダー19が取り付けられ、ノズルホルダー19の先端部には砂を噴出させるノズル20が地面に向かって取り付けられている。またケース本体13の上部の所定箇所には、点検用蓋21が開閉可能に取り付けられている。
【0018】
また、ケース本体13と地面との間の隙間部には、側面部に防飛ブラシ22が夫々設けられ、正面部及び背面部には夫々ガード板23がケース本体13内方に傾動可能に取り付けられており、砂の噴出によって抜去された雑草や砂、土等の飛散を防止する。そして、ケース本体13内には2枚の砂シュート板24が前記ノズルホルダー19を挟んで夫々ケース本体13の内側面から中央部に傾斜して設けられ、前記噴出した砂や土などを回収し落下させる。さらに、ケース本体13の両側面には車輪取り付け軸25を介してガイド車輪26が傾動可能に設けられ、道路と歩道との間にあるガッター(縁石)をガイドして抜去部4のノズル20を隙間部(雑草の自生位置)に案内する。
【0019】
上記の構成からなる本発明の雑草の抜去装置1は、サンドブラスト装置9及びエアコンプレッサー10による砂の噴出によって道路等の隙間に生えている雑草の抜去を可能とし、さらに集塵装置7によって抜去した雑草を吸引して回収することができるため、従来の手作業や薬品を必要とせず効率的でしかも安全に作業が行なえる。しかも雑草を抜去する際に動路等の隙間から雑草と共に取り除かれた土や、サンドブラス装置から噴出された砂は、砂シュート板24によって集められ、元の隙間部へ戻されるため、雑草の抜去作業後の埋め戻し作業を必要とせず効率である。尚、上記実施例には記載していないが、抜去部4に雑草2を刈取る機構を設けておくことも可能であり、使用する状況によって適宜選択される。
【0020】
次に、図1乃至図3によって本発明の雑草の抜去装置の作用を説明する。まず作業者が道路と歩道との間の隙間に生えた雑草2の位置に装置本体2と抜去部4を移動させる。この際作業者はアームハンドル15を操作しガイド車輪26を利用してガッター(縁石)をガイドすることによって雑草2の生えている位置にノズル20の先端の位置が固定される。そして装置本体3のエアコンプレッサー10によって圧縮空気をサンドブラスト装置9に送気し、サンドブラスト装置9内の砂をパイプ12及びノズルホルダー19を介してノズル20から噴出させながら雑草2を抜去する。抜去された雑草や砂や土の一部は抜去部4のケース本体13内から孔部17を介してパイプ11を通して集塵装置7へ回収される。この際、ケース本体13の側面下部及び正面、背面下部にはそれぞれ防飛ブラシ22及びガイド板23が予め設けられており、抜去した雑草や土、砂の飛散を防止する。そして、雑草2の抜去に使用した砂や道路の隙間部から排出した土の一部は、砂シュート板24によって集められ、元の隙間部へ戻される。
【0021】
以上、本発明による雑草の抜去装置によれば、道路等の隙間に生えている雑草を砂等の噴出圧によって巻上げて、抜去すると共に集塵装置によって吸引することができるため、手作業や薬品を必要とせず効率的であり低コストである。そして雑草の抜去作業の際に道路周辺に土や砂或いは雑草等が散らばることがなく、しかも、雑草抜去部の内側後部に砂受けシュートを設けたため、サンドブラスト装置から噴出させて雑草を抜去させた砂等をこの砂受けシュートに回収しながら、雑草を抜去した道路等の隙間に埋め戻しを行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明による雑草の抜去装置は、道路保全の分野において多用されるばかりでなく、公園、公共施設の整備用機器として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の雑草の抜去装置を使用する状態を示す説明図である。
【図2】本発明の雑草の抜去装置本体の斜視説明図である。
【図3】抜去装置の側面拡大説明図。
【図4】抜去部の正面拡大説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 雑草の抜去装置
2 雑草
3 装置本体
4 抜去部
5 車輪
6 台車
7 集塵装置
8 発電機
9 サンドブラスト装置
10 エアコンプレッサー
11、12 パイプ
13 ケース本体
14 主車輪
15 アームハンドル
16 補助車輪
17 孔部
18 軸受け金具
19 ノズルホルダー
20 ノズル
21 点検用蓋
22 防飛ブラシ
23 ガイド板
24 砂シュート板
25 車輪取り付け軸
26 ガイド車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路等の隙間に生えている雑草を除去する装置であって、砂等を高圧にて噴出するサンドブラスト装置と、雑草を吸引する集塵装置と、発電装置及びコンプレッサーからなる駆動装置と、から構成され移動可能な台車に搭載された装置本体と、該装置本体と可撓性を有するパイプ等によって接続され、上部には雑草吸引用ノズルを設け、また後部より所定の角度を有してサンドブラスト用ノズルが取り付けられた雑草抜去部とからなり、道路等の隙間に生えている雑草を前記サンドブラスト用ノズルからの砂等の噴出圧によって前記雑草を抜去し、前記集塵装置によって吸引することを特徴とする雑草の抜去装置。
【請求項2】
前記雑草抜去部は、下部が開放された躯体からなり、操作用ハンドルと移動可能な車輪を有すると共に、前記躯体の側面下部に雑草や砂等の飛散を防止するカバーを設け、前面及び後面の下部には可動可能な蓋体を設け、さらに内側後部に砂受けシュート部を設けたことを特徴とする請求項1記載の雑草の抜去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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