説明

雑草抑制コンクリート製品及びその製法

【課題】 施工性が容易で、かつ、コンクリート製品と舗装材との間に隙間が生じても、その隙間から雑草が生えるのを効果的に抑制可能なコンクリート製品の提供を図る。
【解決手段】 舗装材と接するようにして敷設される雑草抑制コンクリート製品1であって、コンクリート製品本体10における舗装材20との接面12上端から所定下方位置に弾性発泡樹脂材30を配設することで、コンクリート製品本体10と弾性発泡樹脂材30とが一体化した構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製品に関し、詳しくは、舗装との間にできる隙間から雑草が生えるのを抑制するコンクリート製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、歩車道境界コンクリートブロックや側溝、マンホールなどのコンクリート製品が存在する。これらコンクリート製品は、その一端あるいは両端若しくは周縁全体に、アスファルト等による舗装が施されつつ敷設されるものである。敷設直後においては、コンクリート製品と舗装との間に隙間もなく良好な状態を保っているが、時間の経過とともに舗装材が痩せ、コンクリート製品と舗装材との間には、隙間が現れ始める。
【0003】
かかる隙間ができると、そこへ土砂等が堆積するとともに雑草の種子も入り込み、雨水等を吸収してその隙間から雑草が生え始めることとなる。この雑草は、道路の景観を悪化させるのみならず、放置しておくと視界が塞がれ、交通の安全性にも支障を来たす恐れがある。また、一旦雑草が生えると、その雑草を除去したとしても、隙間の奥に入り込んだ根を刈り出すことは困難で、再び生えてきてしまうのが現状である。
【0004】
上記の問題を解決すべく、特開平8−60632号公報(特許文献1)や特開2001−159113号公報(特許文献2)、特開2001−214406号公報(特許文献3)、特開平8−27757号公報(特許文献4)に記載されているように、コンクリート製品敷設時にアスファルト舗装材との間に防草シートを敷く技術が提案されている。これら技術によれば、確かにある一定の防草効果はある。しかしながら、コンクリート製品敷設の際に防草シートを敷く手間が掛かるもので、実用化されておらず、また、舗装材が痩せて隙間が生じた際に、かかる防草シートも舗装に伴ってズレが発生する可能性がある。
【0005】
また、特開平10−183555号公報(特許文献5)に記載されているように、コンクリート製品と舗装材との境界に、上から防草マットを挿着する技術も提案されている。かかる技術によれば、コンクリート製品と舗装材の間にできた隙間に土砂や雑草の種子が入り込むことを効果的に防止することができる。しかしながら、前記同様、該防草マットを挿着する手間が掛かるもので、実用化されていないのが現状である。
【0006】
さらに、特開2002−61143号公報(特許文献6)に記載されているように、舗装箇所におけるコンクリート製品との接面箇所に凹溝を設け、そこへ防草インサートからなる充填材を充填する技術も提案されている。この技術によれば、防草インサートの効果により、雑草抑制にある一定の効果がある。しかしながら、舗装材が痩せることでコンクリート製品と充填材若しくは充填材と舗装材との間に隙間が生じてしまうことに変わりはなく、その隙間から雑草が生えてしまう恐れがある。そしてまた、コンクリート製品に沿って舗装箇所に凹溝を設ける必要があるため、施工が大掛かりとなって大変手間の掛かるものである。
【0007】
【特許文献1】特開平8−60632号公報
【特許文献2】特開2001−159113号公報
【特許文献3】特開2001−214406号公報
【特許文献4】特開平8−27757号公報
【特許文献5】特開平10−183555号公報
【特許文献6】特開2002−61143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点を鑑み、施工性が容易で、かつ、コンクリート製品と舗装材との間に隙間が生じても、その隙間から雑草が生えるのを効果的に抑制可能なコンクリート製品を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、舗装材と接するようにして敷設される雑草抑制コンクリート製品であって、コンクリート製品本体における舗装材との接面上端から所定下方位置に弾性発泡樹脂材を配設することで、コンクリート製品本体と弾性発泡樹脂材とが一体化した構成となっている。
【0010】
また、本発明は、前記雑草抑制コンクリート製品において、前記弾性発泡樹脂材が、ブチル系合成ゴムである構成を採用することができる。
【0011】
さらに、本発明は、前記雑草抑制コンクリート製品において、前記弾性発泡樹脂材に、忌避剤が混入されている構成とすることもできる。
【0012】
またさらに、本発明は、前記雑草抑制コンクリート製品において、前記弾性発泡樹脂材に、中空孔が備えられている構成を採ることも可能である。
【0013】
そしてまた、本発明は、前記雑草抑制コンクリート製品を製造するための方法であって、型枠内における舗装材との接面上端から所定下方位置に該当する箇所に弾性発泡樹脂材を配設し、当該型枠内へ生コンクリートを流し込み、その状態で生コンクリートが固化した後に型枠を外すことで、コンクリート製品本体と弾性発泡樹脂材とが一体成型される構成となっている。
【0014】
そしてさらに、本発明は、前記雑草抑制コンクリート製品を製造するための方法であって、型枠内における舗装材との接面上端から所定下方位置に該当する箇所に凹溝を形成するための凹溝形成部を設け、当該型枠内へ生コンクリートを流し込み、その状態で生コンクリートが固化した後に型枠を外してできるコンクリート製品本体における前記凹溝に、弾性発泡樹脂材を嵌合させることで完成する構成となっている。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品によれば、舗装が痩せることでコンクリート製品との間に隙間が生じた場合であっても、弾性発泡樹脂材の弾性作用により、コンクリート製品と舗装とが弾性発泡樹脂材を介して常に密着した状態を保持することが可能であるため、土砂の堆積や雑草の種子が入り込むのを効果的に防止することができ、更には水の浸入も防止して、雑草が生えるのを抑制することが可能となる。
【0016】
また、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品によれば、仮に堆積した土砂から雑草が生えた場合であっても、弾性発泡樹脂材に忌避剤が混入されていることにより、根は下に伸びることなく隙間の幅分だけ横に這う程度であって雑草の成長を阻むことができるため、雑草を抑制する効果が大いに発揮されるものである。
以上の雑草抑制効果から、道路等の景観が良好に保全され、かつ、良好な視界が確保されることによって、道路利用上の安全性確保にも大いに寄与することとなる。
【0017】
そしてまた、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品によれば、コンクリート製品本体と弾性発泡樹脂材とが元々一体化された構造となっていることから、敷設現場において防草のための特別な施工を必要とせず、作業性・施工性に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品の実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品の実施形態を示す全体斜視図である。
【図3】本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品の実施形態を示す全体斜視図である。
【図4】本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品の実施形態を示す全体斜視図である。
【図5】本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品の実施形態を示す全体斜視図である。
【図6】本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、舗装と接するようにして敷設されるコンクリート製品において、舗装との接面上端から所定下方位置に、弾性発泡樹脂材を配設したことを最大の特徴とする。以下、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品の実施形態を、図面に基づき説明する。
【0020】
なお、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品は、以下に述べる実施例や図示した構造に限定されるものではなく、本発明の趣旨・構成に逸脱しない範囲で適宜変更することができるものである。
【0021】
図1乃至図5は、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品を示す全体斜視図であり、図1(a)はコンクリートL形ブロックの実施形態、図1(b)は歩車道境界コンクリートブロック及び中央分離帯コンクリートブロックの実施形態、図2は側溝(U字溝)の実施形態、図3はマンホールの実施形態、図4は函渠型側溝の実施形態、図5はL型擁壁の実施形態、を示している。
【0022】
各図面に示すように、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品1は、目的に応じて種々成型されたコンクリート製品本体10において、夫々舗装材20と接する接面12の上端から、所定距離だけやや下方に位置する箇所に、弾性発泡樹脂材30が配設された構成となっている。
【0023】
コンクリート製品本体10の形状について、図示されている境界ブロックやU字溝、マンホール、函渠型側溝そしてL型擁壁はあくまで一例であって、製品目的に応じてあらゆる形状のコンクリート製品本体10を採用することができるもので、特に限定されるものではない。
【0024】
コンクリート製品本体10は、現場で敷設された後、周囲をアスファルト等の舗装材20によって舗装されることとなるが、その際、コンクリート製品本体10における舗装材20との接面12の上端から所定距離だけやや下方に位置する箇所に、凹溝14が設けられている。なお、該凹溝14を設ける位置について、特に限定はないが、雑草抑制の目的上、接面12上端に近い箇所が望ましい。
【0025】
前記凹溝14には、前記弾性発泡樹脂材30が嵌合され配設されることとなる。このとき、該弾性発泡樹脂材30がコンクリート製品本体10の凹溝14から容易に外れることのないよう、図6(a)に示すように、凹溝14の形状について、例えば奥に進むに従って縦幅広となるような形状としたり、あるいは、図6(b)に示すように、奥に進むに従って斜めに溝が形成された略平行四辺形状とすることなどが考え得る。
【0026】
一体成型によりコンクリート製品本体10を製造する場合の弾性発泡樹脂材30の接面12からの深さは、弾性発泡樹脂材30の幅のおおよそ1/5〜3/4程度とし、弾性発泡樹脂材30を嵌合した際に、少なくとも該弾性発泡樹脂材30の幅のおおよそ1/20〜1/2程度がコンクリート製品本体10の接面12から突出するようにする。
なお、該凹溝14の大きさ形状は、弾性発泡樹脂材30が嵌合した際に嵌合側が完全密着状態となるよう、該弾性発泡樹脂材30の外形と同等程度の大きさ形状とする。
【0027】
本発明に用いられる弾性発泡樹脂材30については、長期にわたる加重に対しても復元可能な高復元力を備える弾力性に富んだものが望ましく、例えばブチル系合成ゴム等が考え得る。なお、本発明の雑草抑制という目的上、あらかじめ当該弾性発泡樹脂材30(ブチル系合成ゴム)に忌避材を混入しておくことが好ましい。
【0028】
なお、弾性発泡樹脂材30の大きさ形状については、特に限定するものではないが、例えば図6に示すような断面形状において、幅が約3cm、厚みが約1.5cmで、長尺物となっている。
このとき、凹溝14の形状について、図6(a)に示すような奥に進むに従って縦幅広となるような形状とした場合には、弾性発泡樹脂材30についても、嵌合側の縦幅が広がる形状とすることとなる。同様に、図6(b)に示すような奥に進むに従って斜めに溝が形成された略平行四辺形状とした場合には、弾性発泡樹脂材30についても、略平行四辺形状とすることとなる。
【0029】
かかる弾性発泡樹脂材30について、その中心部分に中空孔34が備えられた構成とすることが考え得る。このとき、該中空孔34は、長尺である弾性発泡樹脂材30の一端から他端まで、貫通した状態で備えられる。
かかる構成を採用することで、弾性発泡樹脂材30の高復元力・弾力性を増大させることが可能となる。
【0030】
以上の通り構成される本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品1について、コンクリート製品本体10を成型する際に、元から弾性発泡樹脂材30を配設した状態で型枠によって一体成型してしまう製造方法が考えられる。
以下、当該製造方法について説明する。
【0031】
すなわち、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品1の製造方法は、まず型枠内において、舗装材20との接面12の上端から所定距離だけ下方に位置する箇所に、弾性発泡樹脂材30を配設する。次いで、その状態で型枠内へ生コンクリートを流し込む。流し込まれた生コンクリートが固化するのを待って、最後に型枠を外すことで、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品1が完成する。
【0032】
また、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品1について、凹溝14を設けたコンクリート製品本体10並びに弾性発泡樹脂材30をあらかじめ用意し、該凹溝14に弾性発泡樹脂材30を後から嵌め込むことで完成させる製造方法も考えられる。
以下、当該製造方法について説明する。
【0033】
すなわち、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品1の製造方法は、まず型枠内において、舗装材20との接面12の上端から所定距離だけ下方に位置する箇所に、凹溝14を形成するための凹溝形成部を設ける。次いで、当該型枠内へ生コンクリートを流し込む。流し込まれた生コンクリートが固化するのを待って型枠を外す。このようにしてできたコンクリート製品本体10において、その形成された凹溝14に対し最後に弾性発泡樹脂材30を嵌合させることで、本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品1が完成する。
【0034】
以上の通り完成する本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品1について、実際に敷設する場合には、コンクリート製品本体10と弾性発泡樹脂材30とが一体化された構造であるため、現場において何ら特別な手順・手間を加えることなく、従来のコンクリート製品敷設と同様の手順により敷設することができる。
【0035】
敷設直後の本発明にかかる雑草抑制コンクリート製品1は、弾性発泡樹脂材30が舗装材20により加圧されることで、弾性発泡樹脂材30舗装材20との接面32は、コンクリート製品本体10の接面12と同等位置まで押された状態となり、この状態のまま舗装材20がコンクリート製品本体10の接面12と略密着した状態を保持している。
【0036】
その後、時間の経過とともに舗装材20が痩せ、コンクリート製品本体10と舗装材20との間に隙間が生じた場合には、弾性発泡樹脂材30がその弾性力を活かし、接面32を舗装材20と略密着させながら、元の形状に復元する。これにより、コンクリート製品本体10と舗装材20との間には隙間が発生しても、弾性発泡樹脂材30と舗装材20との間には隙間は無く、したがって常に隙間が塞がれた状態を保持することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明による雑草抑制コンクリート製品1は、舗装される箇所に敷設されるあらゆるコンクリート製品に応用できるものであり、施工性も従来品と変わらず容易であって、本発明に関する雑草抑制コンクリート製品1の産業上の利用可能性は極めて高いものと思料する。
【符号の説明】
【0038】
1 雑草抑制コンクリート製品
10 コンクリート製品本体
12 接面
14 凹溝
20 舗装材
30 弾性発泡樹脂材
32 接面
34 中空孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装材と接するようにして敷設されるコンクリート製品において、コンクリート製品本体における舗装材との接面上端から所定下方位置に弾性発泡樹脂材を配設することで、コンクリート製品本体と弾性発泡樹脂材とが一体化したことを特徴とする雑草抑制コンクリート製品。
【請求項2】
前記雑草抑制コンクリート製品において、前記弾性発泡樹脂材が、ブチル系合成ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の雑草抑制コンクリート製品。
【請求項3】
前記雑草抑制コンクリート製品において、前記弾性発泡樹脂材に、忌避剤が混入されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の雑草抑制コンクリート製品。
【請求項4】
前記雑草抑制コンクリート製品において、前記弾性発泡樹脂材に、中空孔が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の雑草抑制コンクリート製品。
【請求項5】
前記請求項1から請求項4に記載の雑草抑制コンクリート製品を製造するための方法であって、型枠内における舗装材との接面上端から所定下方位置に該当する箇所に弾性発泡樹脂材を配設し、当該型枠内へ生コンクリートを流し込み、その状態で生コンクリートが固化した後に型枠を外すことで、コンクリート製品本体と弾性発泡樹脂材とが一体成型されることを特徴とする雑草抑制コンクリート製品の製法。
【請求項6】
前記請求項1から請求項4に記載の雑草抑制コンクリート製品を製造するための方法であって、型枠内における舗装材との接面上端から所定下方位置に該当する箇所に凹溝を形成するための凹溝形成部を設け、当該型枠内へ生コンクリートを流し込み、その状態で生コンクリートが固化した後に型枠を外してできるコンクリート製品本体における前記凹溝に、弾性発泡樹脂材を嵌合させることで完成することを特徴とする雑草抑制コンクリート製品の製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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