説明

雑音除去装置

【課題】 所望の音がはっきり聞こえることが可能な雑音除去装置を提供する。
【解決手段】
操作部からノイズの登録指示操作があると、マイクから入力されたノイズのデータを記憶部に記憶する(S01〜S04ステップ)。この登録動作が終了した後に、操作部からノイズキャンセルの指示操作があると、マイクから入力された音の内、記憶部に登録されているノイズを除去し、スピーカから出力する(S05〜S08ステップ)。これにより、ユーザが所望な音声については除去せずにスピーカから出力でき、ノイズのみ正確に除去することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は雑音除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年ではスピーカから出力するノイズを低減させるヘッドフォン、所謂ノイズキャンセルヘッドフォンが製品化されている。このノイズキャンセルヘッドフォンは、ユーザが特定のスイッチをオンすることにより、マイクから入力されたノイズと逆位相のノイズを生成し、ノイズを打ち消すというものである。
【0003】
また、このノイズキャンセルヘッドフォンに関する技術も公開特許にて開示されており、例えば特許文献1には、キャンセル周波数帯域を設定し変更することが可能なノイズキャンセルヘッドフォンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−124564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、聞きたい音声が設定した周波数帯域である場合には、聞きたい音声までもがキャンセルされてしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、音を入力するためのマイクと、当該マイクから入力された音を処理する音声処理部と、当該音声処理部で処理された音を出力するスピーカと、予め音のデータを記憶する記憶部と、を有し、前記音声処理部は、前記マイクから入力された音の内、前記記憶部に記憶されている音と同一の音を削除し、前記スピーカへ出力することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の雑音除去装置であり、前記記憶部に記憶されている音データは音のスペクトルデータであり、前記音声処理部は、前記マイクから入力された音の内、前記記憶部に記憶されているスペクトルデータと同一のスペクトルデータの音を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、マイクから入力された音のうちノイズだけを正確に除去できるため、ユーザが聞きたい所望の音声までも除去されるといった問題を回避することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用してなる実施例装置のブロック図である。
【図2】本実施例装置の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の一実施形態に係る雑音除去装置について、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0010】
図1は本実施例装置のブロック図である。制御部11は各ブロックの制御を司る。表示部12は、例えば液晶表示装置からなり、文字や数字等を表示する。
操作部13は、装置に指示操作を施す為の操作部であり、例えば、周囲のノイズを登録開始するための開始キー(図示せず)や、周囲のノイズの登録の終了を指示するための終了キー(図示せず)や、ノイズキャンセルの実行開始指示を行う為の実行キー(図示せず)等を有する。
記憶部14は、例えばフラッシュメモリからなり、制御部11を動作させるための制御プログラムや、ノイズキャンセルするノイズのデータ(例えば、音のスペクトルデータや音素のデータ等)を格納する。
マイク15は、周囲の音を入力するためのマイクであり、DSP(Digital Signal Processor)16は、マイク15から入力された音からノイズをキャンセルする動作を行う。スピーカ17は、DSP16からの音を出力する。
【0011】
次に本実施例装置の動作について説明する。S01ステップにおいて、制御部11は、操作部13からノイズの登録指示操作があると判定すると、S02ステップへ処理を進める。
【0012】
S02ステップにおいて、制御部11は、DSP16を制御することにより、マイク15から入力された音をDSP16において所定時間毎のスペクトルデータに変換し、記憶部14に格納する。尚、ここで所定時間毎ではなく、ノイズ等の音が発生した領域だけの音をスペクトルデータに変換して記憶部14に格納しても良い。即ち、第1の音、無音期間、第2の音と検出した場合、第1の音のスペクトルデータを記憶部14に格納し、続いて第2の音のスペクトルデータを記憶部14に格納する構成としても良い。或いは、入力された音が周期的な音である場合には、1周期の音のスペクトルデータを記憶部14に格納しても良い。周期的な音であるか否かは、マイク15から入力した音を全てスペクトルデータに変換し、スペクトルの一致する部分が複数あれば周期的な音であると判定可能であろう。この場合、その一致する部分のスペクトルの内1つのスペクトルデータのみを記憶部14に格納する構成とすれば良い。
【0013】
続くS03ステップにおいて、制御部11は、操作部13から登録終了操作があると判定すると、S04ステップへ処理を進める。
【0014】
S04ステップでは、制御部11は、マイク15から入力された音を記憶部14に登録する動作を停止し、S05ステップへ処理を進める。
【0015】
S05ステップでは、制御部11は、操作部13からノイズキャンセルの指示操作があると判定すると、S06ステップへ処理を進め、そうでなければS01ステップへ処理を戻す。
S06ステップでは、制御部11は、DSP16を制御することにより、マイク15から入力された音声信号をスペクトルデータに変換し、記憶部14に格納されているスペクトルデータを比較し、一致するスペクトルデータに対応する音をDSP16で打ち消し、スピーカ17から音を出力する。これにより、マイク15に入力された音の内、記憶部14に予め格納されている音を除去してスピーカ17から出力することが可能である。尚、DSP16で音を打ち消す技術としては、従来からある、打ち消す音の逆位相の音をDSP16で生成し、音を打ち消す方法を使用しても良いし、マイク15から入力された音のデータを全てスペクトルデータに変換し、予め記憶されているスペクトルデータを消去した後に、他のスペクトルデータを音声波形に変換してスピーカ17から出力する構成としても良い。
【0016】
S07ステップでは、制御部11は、操作部13からノイズキャンセルの終了指示操作があると判定すると、S08ステップへ処理を進める。
【0017】
S08ステップでは、制御部11は、ノイズキャンセルの動作を終了し、S01ステップへ処理を戻す。
【符号の説明】
【0018】
11 制御部
13 操作部
14 記憶部
15 マイク
16 DSP
17 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を入力するためのマイクと、当該マイクから入力された音を処理する音声処理部と、当該音声処理部で処理された音を出力するスピーカと、予め音のデータを記憶する記憶部と、を有し、
前記音声処理部は、前記マイクから入力された音の内、前記記憶部に記憶されている音と同一の音を削除し、前記スピーカへ出力することを特徴とする雑音除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の雑音除去装置であり、前記記憶部に記憶されている音データは音のスペクトルデータであり、前記音声処理部は、前記マイクから入力された音の内、前記記憶部に記憶されているスペクトルデータと同一のスペクトルデータの音を除去することを特徴とする雑音除去装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−278615(P2010−278615A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127558(P2009−127558)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】