説明

離脱可能な保護カバーを有するウェザーストリップ

【課題】 シール部材を保護する離脱可能なカバーを備えるウェザーストリップを提供する。
【解決手段】 パイルウェザーストリップは、支持部材に超音波溶着された糸パイルを有する。具体的には、パイルは、支持部材に対してパイルを直角に指向させるパイルディレクタと称するフランジによって形成されるチャネルの内部に溶着されている。フィルムはパイルのカバーであり、かつフランジの外側に離脱可能に装着されている。カバーフィルムは、フランジの外側に沿ってフランジの頂縁に隣接して配置される複数の穿孔を有することができる。これに替えて、カバーは、パイルと支持部材とを溶着する際に用いられるよりも充分に弱いエネルギーにより、フランジに超音波溶着することができる。例えば、ウェザーストリップが取り付けられたフレームが塗装される際、カバーはパイルを保護する。その後カバーはフランジから引き剥がすことにより離脱され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェザーストリップに関する。詳細には、本発明は、ウェザーストリップを取り付ける際、特にウェザーストリップが取り付けられる開口部製品(窓、ドアなど)のフレームが、ウェザーストリップ領域に塗装される場合において、シール部材を好適に保護することによりシール性を向上させることに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェザーストリップのシール部材として供されるパイルは、支持部材において、チャネル状の壁面を構成するフランジの内側に取り付けられている。このようなフランジはパイルディレクタと称されることがある。このようなウェザーストリップに関しては、ホートン(Horton)に付与された特許文献1,2、ジョーンソン(Johnson)に付与された特許文献3〜5に記載されている。
【0003】
背面に接着剤を有する保護カバーまたはマスクは、カーペット、敷居、床板、ガスケットなどを保護するため、特に塗装作業の際に用いられてきた。2001年4月にエリオット(elliott)に付与された特許文献6、97年3月にヘドリック(Headrick)らに付与された特許文献7、96年2月にノーマン(Nauman)に付与された特許文献8、95年6月にコックス(Cox)らに付与された特許文献9、93年11月にシルベッスル(Silvestre)に付与された特許文献10、93年9月にミラー(Miller)に付与された特許文献11、92年5月にバレホス(Ballejos)に付与された特許文献12、および68年12月にフィガロ(Figaro)に付与された特許文献13を参照されたい。ウェザーストリップには、糸パイルなどのシール部材によるシールを形成し易くするためにフィン状の材料を有するものもある。78年3月にリンド(Lind)に付与された特許文献14、および81年12月にボイス(Boyce)に付与された特許文献15を参照されたい。
【特許文献1】米国特許第3,175,256号
【特許文献2】米国特許第4,148,953号
【特許文献3】米国特許第5,338,382号
【特許文献4】米国特許第5,807,451号
【特許文献5】米国特許第5,817,390号
【特許文献6】米国特許第6,210,466号
【特許文献7】米国特許第5,611,173号
【特許文献8】米国特許第5,489,459号
【特許文献9】米国特許第5,421,936号
【特許文献10】米国特許第5,260,097号
【特許文献11】米国特許第5,242,712号
【特許文献12】米国特許第5,109,793号
【特許文献13】米国特許第3,416,981号
【特許文献14】米国特許第4,078,106号
【特許文献15】米国特許第4,035,984号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ウェザーストリップのシール部材として供されるパイルを保護することにあり、ウェザーストリップのパイルディレクタを用いて好適に装着し得る、新規な機能性を有する離脱可能なカバー、すなわち除去可能なカバーを備えるウェザーストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、パイルディレクタをなす一対のフランジの内側のチャネル内において支持部材上に設けられるシール部材を有するウェザーストリップであって、前記シール部材を包囲し、かつ前記パイルディレクタの外側でかつその縁部に沿って離脱可能に装着されるフィルム材料からなるカバーを備えるウェザーストリップである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記パイルディレクタの頂縁に隣接するように前記フィルムに設けられた穿孔の列は、前記カバーの離脱可能な装着を提供するウェザーストリップである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記シール部材を前記チャネル内において前記支持部材に超音波溶着するよりも充分に低いエネルギーによる弱い超音波溶着によって、前記フィルムが前記パイルディレクタの縁部に沿って該パイルディレクタの外側に離脱可能に装着されるウェザーストリップである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記フィルムは0.013mm(0.5ミル)〜0.254mm(10ミル)の厚さに形成されるウェザーストリップである。
請求項5に記載の発明は、前記フィルムは、ポリオレフィン、ポリエチレン、またはポリプロピレンを含むプラスチック材料または製織材料よりなるウェザーストリップである。
【0009】
本発明の好ましい実施態様において、パイルウェザーストリップは、支持部材ストリップに超音波溶着された糸パイルを有する。具体的には、パイルは、支持部材に対してパイルを直角に指向させるパイルディレクタと称するフランジによって形成されるチャネルの内部に溶着されている。薄い可撓性を有するフィルムはパイルのカバーであり、かつフランジの外側に離脱可能に装着される。フランジの外側に沿ったフィルムの装着部分には、フランジの頂縁に隣接して複数の穿孔を設けることができる。これに代えて、フィルムは、パイルと支持部材とを溶着する際に用いられるよりも充分に弱いエネルギー(熱)によって、フランジに対して弱く超音波溶着して装着することができる。カバーは、例えばウェザーストリップが取り付けられた後に塗装され得るフレームへの取り付け状態において、パイルを保護する。取り付けおよび塗装後、カバーは、パイルディレクタから引き剥がすことにより離脱すなわち除去され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の前述の特徴および利点、ならびに他の特徴および利点を、以下の説明および図面により明らかにする。
図面にはパイルウェザーストリップ(ウェザーシール)を図示する。このパイルウェザーストリップは上記のホートンおよびジョーンソンの特許に従い、パイル16の上方に保護カバー12を付設することにより製造し得る。このウェザーストリップはウルトラマスク(ULTRA MASK(商標))ウェザーシールと称される。図3に示すように、カバー12は薄いプラスチック材料からなるフィルムまたはシートであり、上記のホートンまたはジョーンソンの特許におけるパイルの内側または外側のフィンを形成するのに用いられた材料と類似のものである。カバー12はパイルディレクタ(フランジ)14の外側に超音波溶着される。フィルムはパイル16の上方にループをなして該パイル16を被覆し、離脱可能なカバーすなわち被覆12を形成する。
【0011】
カバーすなわち被覆12をパイルのシール部材16の周囲にループ状に配置するとともに、パイルのシール部材16の付近のパイルディレクタ14の外側に対して超音波溶着し
た後、パイルディレクタ14の頂縁の直上の領域に、間隔を置いて配列された複数の穿孔18の列を設けることができる(図2参照)。離脱可能なカバー12を有する完成したウェザーストリップは、保管または出荷するための梱包用リールに巻回することができる。
【0012】
穿孔18を用いることに代えて、パイルディレクタ14の外側に低エネルギーを用いた弱い溶着部20を設けて、フィルムを離脱可能に装着することにより、穿孔の必要を無くすことができる。
【0013】
ウェザーストリップ10は、図1に示すように開口部製品(例えば、窓、ドアなど)のフレーム24のT字型溝22に取り付けることができる。取り付けは人の手によったり、自動挿入装置を用いたり、フレーム製造に使用されるビニル成形押し出し機中においてオンラインで実施されたりする。カバーすなわち被覆12は組立工程においてシール部材16を保護する。本発明では、消費者に安価に多くの色彩を提供するように表面の塗装が行われるビニル製の窓にウェザーストリップを適用する際に、シール部材を保護することができる。この窓への塗装は、着色したビニル材料を用いることと比較して安価である。
【0014】
開口部製品の塗装の際には、パイルウェザーストリップが取り付けられているので、取り付け業者は塗装の前に特別なテープを用いてウェザーストリップをマスクする必要があった。これには極めて人手と時間がかかっていた。組み立て業者はパイルが密生しているウェザーストリップの上に塗料を噴霧して済ませることがあったが、これによりウェザーストリップのシール特性を損なっていた。
【0015】
組み立て業者が直面していた別の問題は、開口部製品の表面上に塗料粒子を噴霧するために用いる高圧空気がパイル中の繊維を欠落させ、さらにその繊維が塗装された表面を汚染させるという事態を生起させ得ることであった。これらの従来技術による取り付けおよび塗装に関する問題は、本発明により解決される。
【0016】
固体、フェルト状にしたもの、または紡いだポリプロピレンなどのポリオレフィンであるカバー12は、上述したように、パイルディレクタ14の直上に穿孔を有する0.152mm(6ミル)の厚さを有してよいプラスチックフィルムまたはシートであることができる。パイルディレクタの領域における低エネルギー溶着部20を代替として用いてもよい。いずれの実施態様においても、大部分のビニルまたはアルミニウム押し出し成形において用いられる通常のT字型溝22に取り付けられた後、カバー12は引き裂くことにより容易に除去される。
【0017】
カバーすなわち被覆12は超音波溶着することが好ましいが、従来型の接着剤を用いて接着することもできる。より詳細には、0.013mm(0.5ミル)〜0.254mm(10ミル)の厚さを有するポリオレフィンからなるシートまたはフィルムをカバーに用いることができるが、他の種類のプラスチックを用いたり、他の種類の製織されたフィルムを用いたりすることもできる。フィルム12の色彩は実際の製造工程にとって重要ではないが、内部に配置されるシール部材の色彩が取り付けた後でも視認され得るように、透明カバーが最終消費者にとって好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】窓またはドアのフレームに取り付けられる本発明におけるウェザーストリップの斜視図。
【図2】本発明におけるウェザーストリップの別の実施態様を図示する斜視図。
【図3】本発明におけるウェザーストリップのカバーがウェザーストリップから離脱される工程を図示する斜視図。
【符号の説明】
【0019】
10・・・ ウェザーストリップ、12・・・ 保護カバー、14・・・ パイルディレ
クタ、16・・・ シール部材、18・・・ 穿孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイルディレクタをなす一対のフランジの内側のチャネル内において支持部材上に設けられるシール部材を有するウェザーストリップであって、
前記シール部材を包囲し、かつ前記パイルディレクタの外側でかつその縁部に沿って離脱可能に装着されるフィルム材料からなるカバーを備えるウェザーストリップ。
【請求項2】
前記パイルディレクタの頂縁に隣接するように前記フィルムに設けられた穿孔の列は、前記カバーの離脱可能な装着を提供する請求項1に記載のウェザーストリップ。
【請求項3】
前記シール部材を前記チャネル内において前記支持部材に超音波溶着するよりも充分に低いエネルギーによる弱い超音波溶着によって、前記フィルムが前記パイルディレクタの縁部に沿って該パイルディレクタの外側に離脱可能に装着される請求項1に記載のウェザーストリップ。
【請求項4】
前記フィルムは0.013mm(0.5ミル)〜0.254mm(10ミル)の厚さに形成される請求項2又は3に記載のウェザーストリップ。
【請求項5】
前記フィルムは、ポリオレフィン、ポリエチレン、またはポリプロピレンを含むプラスチック材料または製織材料よりなる請求項2乃至4の何れか一項に記載のウェザーストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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