説明

難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法

【課題】 難溶性焼結体中に含まれる微量塩素の分析において、該難溶性焼結体の分解時に、損失や汚染なく、迅速かつ高感度に定量する方法を提供する。
【解決手段】難溶性焼結体中に含まれる微量塩素の定量分析方法において、難溶性焼結体試料を分解容器に秤量した後、硫酸及び超純水を加えて密栓し、加熱して試料を分解することによって得られた溶液中の塩素濃度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法に関し、特に、難溶性焼結体中に含まれる微量塩素を、分解時に損失することなく迅速かつ高感度に定量する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、金属酸化物を焼結し、これをターゲット材料として用いて乾式成膜法で成膜された薄膜が透明電極膜として多用されている。例えば、主成分が酸化鉛、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンからなるいわゆるPZTや、主成分が酸化インジウムと酸化スズからなるITO、主成分が酸化インジウムと酸化亜鉛からなるIZO等は、電気電子機器分野で多用される代表的なセラミック材料である。
【0003】
一方、塩化物を原料として金属酸化物等の焼結体を作成する場合、塩素が焼結体作製後も残存していると、光学特性に影響を及ぼしたり(特許文献1、段落0028参照)、導電性に影響を及ぼしたりするため、微量塩素の含有量を調査しておくことが焼結体の良否を判断するのに必須である。
【0004】
一般的に、各種材料中に含まれる塩素を定量する場合、塩素の揮散が考えられるため、蒸留操作が行なわれる。蒸留フラスコに試料を用意し酸を加えて分解後、塩化物イオンを塩化水素として留出させ微アルカリ吸収液に吸収させた後、塩素をイオンクロマトグラフ分析装置等によって測定する。しかし、酸化物焼結体は化学的に極めて安定な材料であり、この方法では試料の分解が困難である。このため、過酸化ナトリウムやホウ酸リチウム等を用いた高い分解力を有する融解法が用いられている(非特許文献1)。この融解法によれば、比較的容易に焼結体の分解を行うことが可能であるが、雰囲気からの汚染が起こるため、微量塩素の含有量を正確に把握することは困難であるといった問題があった。
【0005】
また、金属酸化物試料を石英の燃焼管につめ、酸素ガスを流しながら1000°C程度の温度で該試料を焼き、酸素ガスと共に出てきた気体をアルカリ溶液で吸収させ、得られた溶液中の塩素をイオンクロマトグラフ分析装置等によって測定することも一般的に行なわれている。しかし、金属酸化物焼結体の場合、1200°C〜1500°Cで焼結されていることを考慮すると、試料中の全塩素を気化できているとは言いがたい。このような現状から、塩素の汚染や揮散を伴わない難溶性焼結体の迅速かつ簡便な分解法の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開2004−83397号公報
【非特許文献1】上蓑義則:ぶんせき,1996,205.
【非特許文献2】伊藤隆雄:第40回全国鉱山・製錬所現場担当者会議 分析講演集,1990,75.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような現状に鑑み、難溶性焼結体中に含まれる微量塩素の分析において、該難溶性焼結体の分解時に、損失や汚染なく、迅速かつ高感度に定量する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、難溶性焼結体中に含まれる微量塩素の分析において、難溶性焼結体試料を分解容器に秤量した後、硫酸および超純水を加えて密栓しこれを耐圧容器内に収め、マイクロ波を照射して加熱し、試料を分解することによって得られた溶液中の塩素濃度を測定することによって、該難溶性焼結体の分解時に、損失や汚染なく、迅速かつ高感度に定量することを見出した。特に、難溶性焼結体の主成分が酸化インジウムと酸化亜鉛からなるものに対して適用すれば、優れた結果が得られることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、難溶性焼結体中に含まれる微量塩素の定量分析方法において、難溶性焼結体試料を分解容器に秤量した後、硫酸及び超純水を加えて密栓し、加熱して試料を分解することによって得られた溶液中の塩素濃度を測定することを特徴とする難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法である。
【0009】
本発明の第2の発明は、分解容器が石英製であり、マイクロ波を照射して加熱し、難溶性焼結体試料を分解することを特徴とする第1の発明記載の難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法である。
【0010】
本発明の第3の発明は、分解容器が四フッ化エチレン樹脂製であり、該分解容器をセラミック製の耐圧容器内に収め、マイクロ波を照射して加熱し、難溶性焼結体試料を分解することを特徴とする第1の発明記載の難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法である。
【0011】
本発明の第4の発明は、分解容器が四フッ化エチレン樹脂製であり、該分解容器をステンレス製の耐圧容器内に収め、加熱装置を用いて200〜230°Cに加熱し、難溶性焼結体試料を分解することを特徴とする第1の発明記載の難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法である。
【0012】
本発明の第5の発明は、難溶性焼結体の主成分が、酸化インジウム、水酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛から選ばれる1種以上であることを特徴とする第1〜4の発明記載の難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の難溶性焼結体中に含まれる微量塩素の定量分析方法を用いて、該難溶性焼結体試料を分解容器に秤量した後、硫酸及び超純水を加えて密栓し、加熱して試料を分解し、得られた溶液中の塩素濃度を測定すれば、難溶性焼結体中の微量塩素を、分解過程で汚染及び損失することなく、迅速かつ高感度に定量することができ、電気電子機器分野で多用される代表的なセラミック材料の特性の改善維持に適用でき、有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明による難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法以下に詳細に述べる。
【0015】
本発明の、難溶性焼結体中に含まれる微量塩素の定量分析方法においては、難溶性焼結体試料を分解容器に秤量した後、硫酸及び超純水を加えて密栓し、加熱して試料を分解し、得られた溶液中の塩素濃度を測定する。
1)難溶性焼結体試料
上記難溶性焼結体試料は、プレス機等で粗粉砕したものでも良いが、より迅速に分解させるためには、200メッシュ以下(篩い目開き74μm以下)程度まで粉砕することが好ましい。粉砕手段としては、塩素による汚染がない方法であれば特に制約はなく、粗粉砕後の試料をメノウ乳鉢で粉砕する方法が最も簡便である。
2)秤量
次に、粉砕した上記試料を分解容器に秤量する。分解容器は石英製あるいは四フッ化エチレン樹脂製であることが好ましい。
3)硫酸及び超純水の添加
上記秤量後の試料に、硫酸及び超純水を加えて上記分解容器を密栓する。この操作は、上記試料は硫酸のみでは溶解せず、超純水を加えることによりはじめて試料が溶解するから行うものである。
4)加熱分解
上記分解容器が石英製である場合には、マイクロ波を照射して加熱し、難溶性焼結体試料を分解する。
【0016】
また、上記分解容器が四フッ化エチレン樹脂製の場合には、該分解容器をセラミック製の耐圧容器内に配置し、マイクロ波を照射して加熱し、難溶性焼結体試料を分解することができる。該耐圧容器内の圧力を感知しながら、マイクロ波出力を制御することにより、安全性に問題なく測定が可能である。
【0017】
加熱は、300〜1400Wの出力のマイクロ波を照射し、溶液を240°C程度まで加熱して、上記試料を分解する。300Wより出力が小さいと試料が分解せず、1400Wより出力を高くすると容器の圧力が上昇し、装置内で爆発する可能性があるためである。
【0018】
該試料を加熱分解することにより、該試料中に残留していた塩素は塩素イオンとなり、溶液中に溶解される。
【0019】
また、該四フッ化エチレン樹脂製分解容器を、ステンレス製の耐圧容器内に配置し、加熱装置を用いて200〜230°Cに加熱し、難溶性焼結体試料を分解することも可能である。200°Cよりも低いと分解できず、230°Cを超えると容器内の圧力が上昇し、爆発する危険性があり好ましくない。
5)イオンクロマトグラフ分析
得られた溶液を遠沈管に移入し、臭化カリウムと硝酸銀を加えて塩化銀として共沈させ、遠心分離後、上澄みを捨て、得られた沈殿に還元剤を加えて塩素を還元させ超純水で定容し、イオンクロマトグラフ分析装置で測定する。この方法によれば、低濃度の塩素を高感度で測定することが可能である(非特許文献2)。
【0020】
還元剤としては、チオ尿素、水素化ほう素ナトリウム等で良いが、水素化ほう素ナトリウムが好ましい。
【0021】
本発明の難溶性焼結体中に含まれる微量塩素の定量分析方法を用いて、該難溶性焼結体試料を分解容器に秤量した後、硫酸及び超純水を加えて密栓し、加熱して試料を分解し、得られた溶液中の塩素濃度を測定すれば、難溶性焼結体中の微量塩素を、分解過程で汚染及び損失することなく、迅速かつ高感度に定量することができる。例えば、主成分が、酸化インジウム、水酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛から選ばれる1種以上である難溶性焼結体の塩素定量分析に採用すれば、酸化物焼結体中の、得られる膜の光学特性に影響を及ぼしたり、導電性に影響を及ぼしたりする塩素の残存を的確に把握でき、焼結体の良否を判断するのに好適である。
【実施例】
【0022】
以下、実施例に基づき本発明を説明する。
(実施例1)石英−マイクロ波
主成分が酸化インジウムと酸化亜鉛からなるIZO焼結体試料をプレス機(MAEKAWA社製)で粗粉砕した後、さらにメノウ乳鉢を用いて200メッシュ以下(篩い目開き74μm以下)程度まで粉砕した。次に、粉砕した試料0.5gを石英製分解容器に秤取り、18M硫酸3.75mlおよび超純水11.25mlを加えて密栓した。
【0023】
その後、密栓した石英製分解容器を、出力1400W、昇温時間20分、保持時間1時間、冷却時間20分に設定したマイクロ波試料分解装置(Anton Paar社製Multiwave3000)に収め、上記溶液を分解した。放冷後、得られた溶液を50mlの遠沈管に移し入れ、2g/l臭化カリウム0.35mlと200g/l硝酸銀0.5mlを加えて溶液量を超純水で50mlに合わせ、遠心分離機(KOKUSAN製H-103n)で沈殿分離させ、上澄みを捨てた。さらに、超純水を50ml加えて遠心分離させ、上澄みを捨てた。この操作を2回行い、上澄みを捨てた後、2g/l水素化ほう素ナトリウムを0.5ml加えて還元させ、超純水で5mlに定容し、これを試料溶液Aとした。
【0024】
次に、試料溶液Aの一部を0.45μmメンブレンフィルターろ過し、そのろ液をイオンクロマトグラフィー装置(横河製IC−7000s)で測定し塩素濃度を求めた。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
【0025】
分析値の確かさを確認するため、粉砕し秤量した試料に塩素の標準溶液5μgを添加した後、同様の操作で試料溶液を調製し、試料と標準溶液から回収した塩素量を測定し、それを基に標準溶液からの塩素の添加回収率を測定した。その結果、塩素の添加回収率は95%であった。
(実施例2)石英−マイクロ波
実施例1と同様に操作し、試料溶液Bを得た。試料溶液Bを0.3μmメンブレンフィルターに全量ろ過し、そのメンブレンフィルターをX線分析装置(RIGAKU製3270C)で測定し塩素濃度を求めた。その結果、実施例1と同様の結果が得られ、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
(比較例1)融解−法
主成分が酸化インジウムと酸化亜鉛からなるIZO焼結体試料をプレス機(MAEKAWA社製)で粗粉砕した後、さらにメノウ乳鉢を用いて200メッシュ以下(篩い目開き74μm以下)程度まで粉砕した。次に、粉砕した試料0.5gをアルミナるつぼに秤取り、過酸化ナトリウム5gを加えて融解した。その後、硝酸10mlと温湯が100ml入ったポリビーカーに移し入れ、溶解した。放冷後、得られた溶液を250mlポリメスフラスコに移し入れ、超純水で250mlに定容した。該溶液5mlを10mlの遠沈管に移し入れ、16M硝酸3mlと2g/l臭化カリウム0.35mlと200g/l硝酸銀0.5mlを加えて溶液量を超純水で10mlに合わせ、遠心分離機(KOKUSAN製H-103n)で沈殿分離させ、上澄みを捨てた。さらに、超純水を10ml加えて遠心分離させ、上澄みを捨てた。この操作を2回行い、上澄みを捨てた後、2g/l水素化ほう素ナトリウムを0.5ml加えて還元させ、超純水で5mlに定容し、これを試料溶液Cとした。
【0026】
次に、試料溶液Cの一部を0.45μmメンブレンフィルターろ過し、そのろ液をイオンクロマトグラフィー装置(横河製IC−7000s)で測定し塩素濃度を求めた。
【0027】
その結果、空試験の塩素濃度が100μg/gであり、試料中の塩素濃度が100μg/g超える濃度の場合にしか適用できず、現状要求されている塩素濃度の定量下限5μg/gに対しては、満足できなかった。
(実施例3)
主成分が酸化インジウムである試料について、実施例1と同様に操作し、試料溶液Dを得た。試料溶液Dについて、実施例1と同様の方法で塩素の定量を行った。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
【0028】
分析値の確かさを確認するため、粉砕し秤量した試料に塩素の標準溶液5μgを添加して後、同様の操作で試料溶液を調製し、試料と標準溶液から回収した塩素量を測定し、それを基に標準溶液からの塩素の添加回収率を測定した。その結果、塩素の添加回収率は95%となり、実施例1と同様の結果が得られた。
(実施例4)
試料溶液Dについて、実施例2と同様の方法で塩素の定量を行った。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
(実施例5)
主成分が水酸化インジウムである試料について、実施例1と同様に操作し、試料溶液Eを得た。試料溶液Eについて、実施例1と同様の方法で塩素の定量を行った。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
(実施例6)
試料溶液Eについて、実施例2と同様の方法で塩素の定量を行った。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
(実施例7)
主成分が酸化インジウムと酸化スズからなる焼結体を、18M硫酸7.5mlと超純水7.5mlを加える操作に変更した以外は、実施例1と同様に操作し、試料溶液Fを得た。試料溶液Fについて、実施例1と同様の方法で塩素の定量を行った。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
(実施例8)
試料溶液Fについて、実施例2と同様の方法で塩素の定量を行った。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
(実施例9)
IZO焼結体試料をプレス機で粗粉砕した後、さらにメノウ乳鉢を用いて200メッシュ程度まで粉砕した。次に、粉砕した試料0.5gを加圧分解用の四フッ化エチレン樹脂製の容器に秤取り、18M硫酸3.75mlおよび超純水11.25mlを加えて密栓した。その後、密栓した四フッ化エチレン樹脂製の容器を加圧分解用ステンレス製の容器に入れて密栓し、230°Cになっている乾燥器に収めて2時間置き分解した。放冷後、得られた溶液を50mlの遠沈管に移し入れ、2g/l臭化カリウム0.35mlと200g/l硝酸銀0.5mlを加えて溶液量を超純水で50mlに合わせ、遠心分離機(KOKUSAN製H-103n)で沈殿分離させ、上澄みを捨てた。さらに、超純水を50ml加えて遠心分離させ、上澄みを捨てた。この操作を2回行い、上澄みを捨てた後、2g/l水素化ほう素ナトリウムを0.5ml加えて還元させ、超純水で5mlに定容し、これを試料溶液Gとした。次に、試料溶液の一部を0.45μmメンブレンフィルターろ過し、そのろ液をイオンクロマトグラフィー装置(横河製IC−7000s)で測定し塩素濃度を求めた。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
【0029】
分析値の確かさを確認するため、粉砕した試料に塩素の標準溶液5μgを添加して後、同様の操作で試料溶液を調製し塩素の添加回収率を測定した。その結果、塩素の添加回収率は95%であった。
(実施例10)
実施例9と同様に操作して得た試料溶液Gを、0.3μmメンブレンフィルターに全量ろ過し、そのメンブレンフィルターをX線分析装置(RIGAKU製3270C)で測定した。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
(実施例11)
実施例9と同様に試料を粉砕した後、粉砕した試料0.5gを四フッ化エチレン樹脂製の容器に秤取り、18M硫酸3.75mlおよび超純水11.25mlを加えて密栓した。
【0030】
その後、密栓した四フッ化エチレン樹脂製の容器を、出力1400W、昇温時間20分、保持時間1時間、冷却時間20分に設定したマイクロ波試料分解装置(Anton Paar社製Multiwave3000)に収め分解した。放冷後、得られた溶液Hを実施例9と同様な方法で測定した。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
(実施例12)
実施例11と同様に操作して得た試料溶液Hを0.3μmメンブレンフィルターに全量ろ過し、そのメンブレンフィルターをX線分析装置(RIGAKU製3270C)で測定した。その結果、試料中の塩素濃度は5μg/g未満であった。
「評価」
実施例1、2の結果から、難溶性焼結体試料を、石英製分解容器を用い、マイクロ波照射して分解することにより得た試料を用いて、塩素濃度を、イオンクロマトグラフィーだけでなく、XRF装置で分析すると、両方法で精度良く測定できることが確認された。一方、比較例1のように、融解法で得た試料を用いた場合は精度高く測定することは難しいことがわかった。
【0031】
また、実施例1〜8の結果から、難溶性焼結体の主成分が、酸化インジウム、水酸化インジウム、酸化インジウムと酸化亜鉛、酸化インジウムと酸化スズなどに変わっても微量塩素の定量が精度良く行うことができることがわかった。
【0032】
また、実施例1〜2、9〜12の結果から、分解容器が石英製である場合には、マイクロ波照射して加熱分解する方法により、また、分解容器が四フッ化エチレン樹脂製である場合には、マイクロ波照射して加熱分解するか、加熱装置を用いて加熱分解することにより、塩素分析試料が得られることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難溶性焼結体中に含まれる微量塩素の定量分析方法において、難溶性焼結体試料を分解容器に秤量した後、硫酸及び超純水を加えて密栓し、加熱して試料を分解することによって得られた溶液中の塩素濃度を測定することを特徴とする難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法。
【請求項2】
分解容器が石英製であり、マイクロ波を照射して加熱し、難溶性焼結体試料を分解することを特徴とする請求項1記載の難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法。
【請求項3】
分解容器が四フッ化エチレン樹脂製であり、該分解容器をセラミック製の耐圧容器内に収め、マイクロ波を照射して加熱し、難溶性焼結体試料を分解することを特徴とする請求項1記載の難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法。
【請求項4】
分解容器が四フッ化エチレン樹脂製であり、該分解容器をステンレス製の耐圧容器内に収め、加熱装置を用いて200〜230°Cに加熱し、難溶性焼結体試料を分解することを特徴とする請求項1記載の難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法。
【請求項5】
難溶性焼結体の主成分が、酸化インジウム、水酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4記載の難溶性焼結体中の微量塩素の定量方法。

【公開番号】特開2008−39575(P2008−39575A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213993(P2006−213993)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】