説明

難燃性建材用樹脂組成物

【課題】有害ガスや煙の発生が抑制され、且つ発熱量が低い等の難燃性に優れた建材用樹脂組成物、及びそれからなる壁紙、シート等の内装材を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂に、式(1)の化合物及び式(3)の化合物を配合してなる樹脂組成物。式(1)中、nは1〜100の数、X1はアンモニア又は式(2)、pは0<p≦n+2を満たす数である。式(2)中、Z1及びZ2は−NR56基〔R5及びR6は水素原子、アルキル基等〕、水酸基等である。式(3)中、rは1〜100、Y1は、特定のジアミン化合物、ピペラジン系ジアミン化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性に優れた建材用樹脂組成物、及びそれからなる壁紙、建材用シート等の内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
床材や壁紙等の建築内装材には、難燃性が要求され、従来、塩化ビニル樹脂を用いたものが広く用いられてきた。しかし、塩化ビニル樹脂等のハロゲンを含む樹脂組成物は、燃焼時に、多量の煙を発生するとともに、酸性ガスや一酸化炭素等の有毒なガスを発生するため、ハロゲンを含まない材料の使用が求められている。
【0003】
このような要求に対し、特許文献1〜3には、塩化ビニル樹脂の代わりにポリオレフィン系樹脂を使用することが提案されている。しかし、難燃性のあるハロゲンを多く含む塩化ビニル樹脂はその難燃化は容易であったが、ポリオレフィン系樹脂の場合は、ノンハロゲンの難燃化の技術が必要となる。このような課題に対し、特許文献1〜3においては、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物や無機充填材の使用が提案されているが、これらの金属水酸化物等は難燃効果を発現させるためには、多量の添加を必要とするため、樹脂物性に影響を及ぼすとともに、壁紙等の薄物材料に使用した場合には、施工性に大きな問題があった。
【0004】
また、特許文献4には、燃焼時に表面膨張層(Intumescent)を形成し、分解生成物の拡散や伝熱を抑制することにより難燃性を発揮させるイントメッセント系難燃剤が提案されているが、これには、特に壁紙等の薄物材料の難燃化に適していることや、一酸化炭素の発生を抑えることは記載されておらず、また発熱量に関する記載もされておらず、それらの知見を得ることもできない。
【0005】
一方、法規制の面からも、壁紙等の内装材に対する難燃化の要求は高まっている。建築基準法の改正により、2000年(平成12年)6月1日以降は、難燃性の評価方法として、信頼性と精度の高い、ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱量試験が導入され、有害性ガス、発煙量の評価も見直されている。
【0006】
例えば、試験結果が、
(1)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、
(2)加熱開始後20分間に貫通亀裂・穴等の変形が試験体になく、
(3)加熱開始後20分間の200kw/m2を超える最高発熱速度が10秒以上継続せず、
(4)加熱開始後、マウスが行動を停止するまでの平均行動停止時間が6.8分以上の場合には、試験体である壁紙は、「不燃材料」と評価される。
【0007】
また、その試験結果が、
(1)加熱開始後10分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、
(2)加熱開始後10分間に貫通亀裂・穴等の変形が試験体になく、
(3)加熱開始後10分間の200kw/m2を超える最高発熱速度が10秒以上継続せず、
(4)加熱開始後、マウスが行動を停止するまでの平均行動停止時間が6.8分以上の場合には、試験体である繊維壁紙は、「準不燃材料」と評価される。
【0008】
また、その試験結果が、
(1)加熱開始後5分間の総発熱量が8MJ/m2以下であり、
(2)加熱開始後5分間に貫通亀裂・穴等の変形が試験体になく、
(3)加熱開始後5分間の200kw/m2を超える最高発熱速度が10秒以上継続しない場合には、試験体である繊維壁紙は、「難燃材料」と評価される。
【0009】
このように、優れた難燃性と同時に、有害ガス等の発生が抑えられた難燃化内装材が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−182916号公報
【特許文献2】特開平11−100456号公報
【特許文献3】特開2004−277986号公報
【特許文献4】特開2003−26935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、一酸化炭素や酸性ガス等の有害ガスや煙の発生が抑制され、且つ発熱量が低い等の難燃性に優れた建材用樹脂組成物、及びそれからなる壁紙、シート等の内装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(請求項1記載の発明)は、ポリオレフィン系樹脂に対して、下記(A)成分及び(B)成分を配合してなることを特徴とする難燃性建材用樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
(A)成分:下記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
(B)成分:下記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
【0013】
【化1】

(式中、nは1〜100の数を表し、X1はアンモニア又は下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体であり、pは0<p≦n+2を満たす数を表す。)
【化2】

(式中、Z1及びZ2は同一でも異なっていてもよく、−NR56基〔ここで、R5及びR6は同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基又はメチロール基である〕、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、フェニル基及びビニル基からなる群より選ばれるいずれかの基である。)
【0014】
【化3】

(式中、rは1〜100を表し、Y1は〔R12N(CH2mNR34〕、ピペラジン又はピペラジン環を含むジアミンであり、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、水素原子、又は炭素原子数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、R1、R2、R3及びR4は同一の基であっても異なってもよく、mは1〜10の整数であり、qは0<q≦r+2を満たす数を表す。)
【0015】
また、本発明(請求項2記載の発明)は、上記(A)成分として、上記一般式(1)におけるnが2、pが2、X1がメラミン(上記一般式(2)におけるZ1及びZ2が−NH2)であるピロリン酸メラミンを用いる請求項1に記載の難燃性建材用樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明(請求項3記載の発明)は、上記(B)成分として、上記一般式(3)におけるqが1、Y1がピペラジンであるポリリン酸ピペラジンを用いる請求項1又は2に記載の難燃性建材用樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明(請求項4記載の発明)は、上記ポリリン酸ピペラジンが、ピロリン酸ピペラジンである請求項3に記載の難燃性建材用樹脂組成物を提供するものである。
【0016】
また、本発明(請求項5記載の発明)は、さらに(C)成分として、層状ケイ酸塩を配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明(請求項6記載の発明)は、上記(C)成分がタルクである請求項5に記載の難燃性建材用樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明(請求項7記載の発明)は、さらに(D)成分として、酸化亜鉛を配合してなる請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物を提供するものである。
【0017】
また、本発明(請求項8記載の発明)は、請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物から得られる建築材料であって、ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱量試験における最大一酸化炭素濃度が20ppm以下であることを特徴とする建築材料を提供するものである。
また、本発明(請求項9記載の発明)は、請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物から得られる建築材料であって、ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱量試験における平均一酸化炭素濃度が1ppm未満であることを特徴とする建築材料を提供するものである。
【0018】
また、本発明(請求項10記載の発明)は、請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物からなる層を、少なくとも1層有することを特徴とする内装材を提供するものである。
また、本発明(請求項11記載の発明)は、請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物からなる層を、少なくとも1層有することを特徴とする壁紙を提供するものである。
また、本発明(請求項12記載の発明)は、請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物からなることを特徴とする建材用シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一酸化炭素や酸性ガス等の有害ガスや煙の発生が抑制され、且つ発熱量が低い等の難燃性に優れた建材用樹脂組成物、及びそれからなる壁紙、シート等の内装材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の難燃性建材用樹脂組成物について詳述する。
まず、本発明の難燃性建材用樹脂組成物に使用されるポリオレフィン系樹脂について説明する。
本発明に使用されるポリオレフィン系樹脂は、エチレン及び/又はプロピレンを主成分とする重合体である。エチレン系重合体としては、高圧法ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等のエチレン単独重合体;エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のエチレン系共重合体が挙げられる。プロピレン系重合体としては、通常チーグラーナッタ型触媒等公知のα−オレフィンの立体規則性触媒を用いて、プロピレンを重合して得られるプロピレン単独重合体;プロピレンを主成分とする、プロピレンと他のα−オレフィン(例えばエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等)とのランダム共重合体が挙げられ、具体的には、プロピレン単独重合体(ポリプロピレン)、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体等を挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂としては市販品を使用してもよい。
【0021】
次に、本発明の難燃性建材用樹脂組成物に使用される(A)成分について説明する。
本発明の難燃性建材用樹脂組成物において(A)成分として用いられる上記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物は、(ポリ)リン酸とアンモニア又は上記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体との塩である。
【0022】
上記一般式(2)におけるZ1及びZ2で表される炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル等の基が挙げられ、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基としては、これらのアルキル基から誘導される基が挙げられる。また、Z1及びZ2がとり得る−NR56基におけるR5及びR6で表される炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、上記に挙げたアルキル基のうちの炭素原子数1〜6のものが挙げられる。
【0023】
上記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体の具体的な例としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ノニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−エトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−プロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物の中でも、(A)成分としては、(ポリ)リン酸とメラミンとの塩又はポリリン酸アンモニウム化合物が好ましく、(ポリ)リン酸とメラミンの塩が特に好ましく使用される。
【0025】
上記の(ポリ)リン酸とメラミンとの塩としては、例えば、オルトリン酸メラミン、及びピロリン酸メラミン等のポリリン酸メラミンが挙げられ、これらの中でも、上記一般式(1)におけるnが2、pが2、X1がメラミンであるピロリン酸メラミンが特に好ましい。(ポリ)リン酸とメラミンとの塩は、例えば、ピロリン酸メラミンの場合には、ピロリン酸ナトリウムとメラミンとを任意の反応比率で塩酸を加えて反応させ、水酸化ナトリウムで中和することにより得ることができる。
【0026】
上記のポリリン酸アンモニウム化合物としては、ポリリン酸アンモニウム単体、及びポリリン酸アンモニウムに各種処理を施したものであって、ポリリン酸アンモニウムを主成分とするもの(以下、ポリリン酸アンモニウムを主成分とする化合物という)が挙げられる。上記ポリリン酸アンモニウム単体としては、例えば、クラリアント社製のエキソリット−AP422、エキソリット−AP750、モンサント社製のフォスチェク−P/30、フォスチェク−P/40、住友化学(株)社製のスミセーフ−P等の市販品を使用することができる。
【0027】
上記のポリリン酸アンモニウムを主成分とする化合物としては、ポリリン酸アンモニウムを熱硬化性樹脂で被覆若しくはマイクロカプセル化したものや、メラミンモノマーや他の含窒素有機化合物等でポリリン酸アンモニウム表面を被覆したもの、界面活性剤やシリコン処理を行ったもの、ポリリン酸アンモニウムを製造する過程でメラミン等を添加し難溶化したもの等が挙げられる。このような化合物の市販品としては、クラリアント社製のエキソリット−AP462、住友化学(株)社製のスミセーフ−PM、ブーデンハイム社製のブディット−3167、FRクロス−C30、FRクロス−C60等が挙げられる。
【0028】
次に、本発明の難燃性建材用樹脂組成物に使用される(B)成分について説明する。
本発明の難燃性建材用樹脂組成物において(B)成分として用いられる前記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物は、(ポリ)リン酸とY1で表されるジアミンとの塩である。Y1で表されるジアミンは、R12N(CH2mNR34、ピペラジン又はピペラジン環を含むジアミンである。
【0029】
1〜R4で表される炭素原子数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基としては、例えば、前記でZ1及びZ2で表されるアルキル基の具体例として挙げたもののうちの炭素原子数1〜5のものが挙げられる。ピペラジン環を含むジアミンとしては、例えば、ピペラジンの2、3、5、6位の1箇所以上をアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のもの)で置換した化合物;ピペラジンの1位及び/又は4位のアミノ基を、アミノ基で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のもの)で置換した化合物が挙げられる。
【0030】
上記一般式(3)におけるY1で表されるジアミンの例としては、N,N,N',N'−テトラメチルジアミノメタン、エチレンジアミン、N,N'−ジメチルエチレンジアミン、N,N'−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1、7−ジアミノへプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9ージアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、ピペラジン、trans−2,5−ジメチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等が挙げられる。これらの化合物としては、全て市販品を用いることができる。
【0031】
前記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物の中でも、(B)成分としては、(ポリ)リン酸とピペラジンとの塩、即ち、オルトリン酸ピペラジン、及びピロリン酸ピペラジン等のポリリン酸ピペラジンが好ましい。これらの中でも、前記一般式(3)におけるqが1、Y1がピペラジンであるポリリン酸ピペラジンが好ましく、特にピロリン酸ピペラジンが好ましい。
【0032】
(ポリ)リン酸とピペラジンとの塩は、例えば、ピロリン酸ピペラジンの場合は、ピペラジンとピロリン酸とを水中又はメタノール水溶液中で反応させて、水難溶性の沈殿として容易に得られる。(ポリ)リン酸ピペラジンを使用する場合は、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、その他のポリリン酸の混合物からなるポリリン酸とピペラジンとから得られた塩でもよい。この場合、原料のポリリン酸の構成は、特に限定されるものではない。
【0033】
本発明の難燃性建材用樹脂組成物において、前記(A)成分の配合量は、難燃性(総発熱量)と一酸化炭素の発生を抑制する点から、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.1〜40質量部であることが好ましく、1〜30質量部がさらに好ましく、5〜30質量部がより好ましく、10〜25質量部がより一層好ましく、15〜25質量部が最も好ましい。
【0034】
前記(B)成分の配合量は、難燃性(総発熱量)と一酸化炭素の発生を抑制する点から、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜40質量部がさらに好ましく、5〜40質量部がより好ましく、15〜35質量部がより一層好ましく、20〜30質量部が最も好ましい。
【0035】
更に、難燃剤成分である前記(A)成分及び(B)成分の配合量の合計は、ポリオレフィン系樹脂成分100質量部に対して、1〜90質量部であることが好ましく、5〜70質量部であることがより好ましく、25〜60質量部がより一層好ましく、35〜55質量部が最も好ましい。1質量部未満では十分な難燃化効果が得られ難く、90質量部を超えて配合すると樹脂としての特性を低下させる場合があるので好ましくない。
【0036】
また、前記(A)成分と(B)成分との配合比率(質量基準)は、難燃性(総発熱量)と一酸化炭素の発生を抑制する点から、(A)/(B)=20/80〜50/50であることが好ましく、(A)/(B)=30/70〜50/50であることがさらに好ましい。
【0037】
さらに、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、難燃性(総発熱量)と一酸化炭素の発生を抑制する点から、(C)成分として、層状ケイ酸塩を配合することが好ましい。(C)成分として用いられる層状ケイ酸塩とは、層状のケイ酸塩鉱物であり、層間にカチオンを有していてもよい。
【0038】
上記層状ケイ酸塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、サポナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物や、タルク、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。本発明においては、これらのなかでも、難燃性(総発熱量)と一酸化炭素の発生を抑制する点から、サポナイト又はタルクを使用することが好ましく、価格等の経済性の観点から、特にタルクを使用することが好ましい。
【0039】
サポナイトとしては、例えば、スメクトンSA(クニミネ工業(株)製)が挙げられ、モンモリロナイトとしては、エスベン((株)ホージュン)、エスベンE((株)ホージュン)、エスベンN−400((株)ホージュン)、エスベンNO12((株)ホージュン)等が挙げられ、タルクとしては、例えば、MAICRO ACE P−4等の日本タルク(株)製の微粉タルクMAICRO ACEシリーズ、日本タルク(株)製の超微粉タルクSGシリーズ、日本タルク(株)製のナノエースシリーズ等が挙げられる。
【0040】
本発明における層状ケイ酸塩は、天然物であっても良いし、合成物であっても良い。また、これらの層状ケイ酸塩は、単独で用いられても、2種類以上が併用されても良い。
【0041】
層状ケイ酸塩の層間に存在してもよいカチオンとは、層状ケイ酸塩の結晶表面上に存在するナトリウムやカルシウム等の金属イオンのことである。これらの金属イオンは、カチオン性物質との間でカチオン交換性を有するため、有機カチオン、(第4級)アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等のカチオン性を有する種々の物質を、上記層状ケイ酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)することができる。
【0042】
本発明において使用する層状ケイ酸塩の層間に存在するカチオンは、金属イオンであっても良いし、その一部又は全部が、有機カチオン又は(第4級)アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンであっても良い。
上記金属イオンの例としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。
有機カチオン又は第4級アンモニウムカチオンの例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムカチオン、ステアリルトリメチルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、ジステアリルジメチルアンモニウムカチオン、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウムカチオン、ジステアリルジベンジルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
これらのカチオンは、単独で存在しても2種類以上で存在しても良い。
【0043】
(C)成分の層状ケイ酸塩の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜15質量部であることが好ましく、0.1〜12質量部であることがさらに好ましい。配合量が0.01質量部未満では難燃性(総発熱量)と一酸化炭素の発生を抑制する効果が小さく、15質量部を超えると、均一性や樹脂の特性が低下する可能性がある。
【0044】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、さらに(D)成分として、酸化亜鉛を配合することが好ましい。酸化亜鉛は表面処理されていてもよい。酸化亜鉛としては、例えば、酸化亜鉛1種(三井金属工業(株)製)、部分被膜型酸化亜鉛(三井金属工業(株)製)、ナノファイン50(平均粒径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)、ナノファインK(平均粒径0.02μmの珪酸亜鉛被膜した超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。(D)成分としての酸化亜鉛の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがさらに好ましい。
【0045】
本発明の難燃性建材用樹脂組成物の製造に際し、ポリオレフィン系樹脂に(A)及び(B)成分、必要に応じて更に(C)成分及び(D)成分を配合するタイミングは特に制限されない。例えば、予め(A)〜(D)成分の中から選択される2種以上をワンパック化してからポリオレフィン系樹脂に配合してもよく、又は各々の成分をポリオレフィン系樹脂に対して配合してもよい。ワンパック化する場合には、各成分を予め各々粉砕してから混合してもよく、又は予め各成分を混合してから粉砕してもよい。後述するポリオレフィン系樹脂以外の樹脂や他の任意成分を配合する場合も同様にして配合することができる。
【0046】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、耐水性の点から、任意成分として、ポリカルボジイミドを配合してもよい。
本発明において使用できるポリカルボジイミドとしては、例えば多価イソシアネート化合物から選択される少なくとも一種を用いた(共)重合体が挙げられる。多価イソシアネートの具体例としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ピリジンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。上記ポリカルボジイミドとしては、日清紡績(株)製のカルボジライトHMV−8CA、カルボジライトLA−1が、耐水性の観点から好ましい。
【0047】
ポリカルボジイミドを使用する場合の配合量は、耐水性の点から、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがさらに好ましく、0.5〜3質量部であることが最も好ましい。0.01質量部未満であると、耐水性が不十分となるおそれがあり、10質量部を超えると、樹脂の特性が低下するおそれがある。
【0048】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、任意成分として、発泡剤を配合してもよい。特に立体的な意匠(ボリューム感)を持たせるために発泡させた発泡樹脂層を有する壁紙やシートを作製する際に、発泡剤を配合した本発明の難燃性建材用樹脂組成物を好ましく用いることができる。樹脂層に発泡剤を含有させ、発泡温度及び圧力条件下におくことによって発泡させることで、発泡樹脂層となる。発泡樹脂層の製造方法としては、予め発泡剤を添加した樹脂組成物から一旦未発泡シートを成形し、その後温度を上げて発泡樹脂シートへと変える方法を採用してもよく、又は発泡剤を添加した樹脂組成物から直接発泡樹脂シートを得る方法であってもよい。
【0049】
使用可能な発泡剤としては、発泡樹脂シートの成形方法及び成形温度を基準にして、化学発泡剤及びガス発泡剤(物理発泡剤)の中から適宜選ばれる。
化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ベンゾスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のヒドラジド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、又はこれらの混合物等を例示することができる。これらの化学発泡剤は、成形条件によってそれ自身が分解して発泡成形に寄与するガスを発生するものである。また、必要に応じてこれらの発泡剤とともに発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の亜鉛化合物、サリチル酸、フタル酸、しゅう酸等の有機酸等が挙げられる。
【0050】
ガス発泡剤(物理発泡剤)としては、炭酸ガス、ジフルオロジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサン等の炭化水素を例示することができる。これらの物理発泡剤は、成形条件によってそれ自身がガスとなり、発泡成形に寄与するものである。ガス発泡剤(物理発泡剤)としては、炭酸ガス、ブタンガス、フロンガス等が適切である。
発泡剤は、一種類を使用しても、あるいは複数種を併用してもかまわない。
【0051】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を配合してもよい。ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも用い得る。成形性の点から熱可塑性樹脂が好ましいが、ノンハロゲンの観点からハロゲンを含む樹脂は好ましくない。ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、芳香族及び脂肪族ポリケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性澱粉樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、AAS樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエーテルイミド樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等を挙げることができる。
【0052】
ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂としては、その他に、各種アクリルゴム、ジエンゴム(例えばポリブタジエン、ポリイソプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(例えばスチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合せしめたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエン又はイソプレンとの共重合体、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム等も挙げられる。更に、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造等を有するもの、ビニル基等を有するもの、或いは各種の平均粒径(樹脂組成物中における)を有するものや、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるいわゆるコアシェルゴムと呼ばれる多層構造重合体等も使用することができ、さらにシリコーン化合物を含有したコアシェルゴムも使用することができる。
また、上記具体例に挙げた各種の(共)重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体等のいずれであっても用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂は、1種で用いても、2種以上併用して用いてもかまわない。ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を用いる場合、その配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、好ましくはポリオレフィン系樹脂100質量部に対し1〜500質量部以下とする。
【0053】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、フッ素系のドリップ防止剤を配合してもよい。ただし、フッ素系ドリップ防止剤を配合した場合には、樹脂のメルトフローレート(MFR)の低下を引き起こす傾向があるため、注意が必要である。
フッ素系のドリップ防止剤の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−n−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ−t−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−2−エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物又はパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。また同様に、その他のドリップ防止剤としてシリコンゴム類を配合することも可能である。
【0054】
本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、配合時の二次凝集の抑制や耐水性の改良のために、シリコーンオイルを配合してもよい。
メチルポリシロキサン構造のシリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン構造のみからなるものと、ジメチルポリシロキサン構造とメチルハイドロジェンポリシロキサン構造の両者を含む構造からなるものと、メチルハイドロジェンポリシロキサン構造のみからなるものが挙げられる。また、上記シリコーンオイルとして、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性及びアミノ変性から選択された1種以上の変性がされたものを使用してもよい。
【0055】
本発明において使用することができるシリコーンオイルの例としては、メチルハイドロジェン構造が100%のものとしてKF−99(信越化学(株)製)、一部がメチルハイドロジェン構造のものとしては、HMS−151(Gelest社製)、HMS−071(Gelest社製)、HMS−301(Gelest社製)、DMS−H21(Gelest社製)等があり、エポキシ変性品としては、例えば、X−22−2000(信越化学(株)製)、KF−102(信越化学(株)製)、カルボキシル変性品としては、例えば、X−22−4015(信越化学(株)製)、カルビノール変性品としては、例えば、X−22−4015(信越化学(株)製)、アミノ変性品としては、例えば、KF−393(信越化学(株)製)等が挙げられる。
【0056】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、シランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤とは、有機官能基と加水分解性基を有する化合物であり、例えば、A−(CH2k−Si(OR)3で表される。Aは有機官能基であり、kは1〜3の数を表し、Rはメチル基又はエチル基を表す。Aの有機基としては、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基が挙げられる。シランカップリング剤としては、エポキシ基を有するものが特に好ましい。
【0057】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、強化剤を配合することも好ましい。強化材としては、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウール等の有機繊維状強化材、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト及び白土等の板状や粒状の強化材が挙げられる。これらの強化材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆又は集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシラン等のカップリング剤等で処理されていても良い。
【0058】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、結晶核剤を配合してもよい。結晶核剤としては、一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、無機系結晶核剤及び有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。無機系結晶核剤の具体例としては、カオリナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム及びフェニルホスホネートの金属塩等を挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
【0059】
有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトール及びその誘導体、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩、及び2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等を挙げることができる。
【0060】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、さらに可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤等を挙げることができる。
【0061】
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジン等の酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等を挙げることができる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸若しくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物等で末端封鎖されていてもよい。
【0062】
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート及びグリセリンモノアセトモノモンタネート等を挙げることができる。
【0063】
多価カルボン酸エステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシル等のトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコール等のアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等のアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、及びセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等のセバシン酸エステル等を挙げることができる。
【0064】
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体等のポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、及び末端エーテル変性化合物等の末端封鎖化合物等を挙げることができる。
【0065】
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリド等を指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
【0066】
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート等の脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル等のオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル及びパラフィン類等を挙げることができる。
可塑剤を使用する場合は、1種のみで使用してもよく、また2種以上の併用を行ってもよい。
【0067】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、さらに必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等を添加し、樹脂組成物を安定化することも好ましい。
【0068】
上記のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4'−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤の使用量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0069】
上記のリン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の使用量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0070】
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の使用量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0071】
上記の紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−5'−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2'−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2'−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4'−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の使用量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.001〜30質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましい。
【0072】
上記のヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の使用量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましい。
【0073】
さらに、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、必要に応じて、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、シリコン系難燃剤、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤、ハイドロタルサイト、帯電防止剤、金属石鹸、充填剤、顔料、滑剤等を添加してもよい。
【0074】
上記トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメランミン等が挙げられる。
【0075】
上記の金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0076】
上記のリン酸エステル系難燃剤の例としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0077】
上記の縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
【0078】
上記のその他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等の無機化合物、及びその表面処理品が挙げられる。これらの無機系難燃助剤として、例えば、TIPAQUE R−680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)等の種々の市販品を用いることができる。また、上記のその他の有機系難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0079】
(A)〜(D)成分以外の任意成分の中でも難燃剤又は難燃助剤を使用する場合は、その配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、好ましくはポリオレフィン系樹脂100質量部に対し合計で15質量部以下とする。
【0080】
その他、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、架橋剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等の、通常合成樹脂に使用される添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0081】
(A)〜(D)成分以外の任意成分(但しポリオレフィン系樹脂以外の樹脂は除く)を配合する場合、その配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、好ましくはポリオレフィン系樹脂100質量部に対し合計で15質量部以下とする。
【0082】
本発明の難燃性建材用樹脂組成物は、従来公知の方法で、フィルム化、シート化して内装材として使用できる。本発明の難燃性建材用樹脂組成物から形成されたフィルム又はシートは、単独であるいは他の材料と積層・併用して、壁紙、床材等の内装材として使用できる。例えば、壁紙の場合、難燃性建材用樹脂組成物をフィルム化又はシート化して樹脂層とし、それを基材となる紙等に常法により接着して積層すればよい。十分な難燃性を確保する観点から、本発明の難燃性建材用樹脂組成物から形成されたフィルム又はシート(樹脂層)は、厚みが好ましくは50〜2000μm、より好ましくは50〜1000μm、最も好ましくは50〜500μmである。上記内装材は、本発明の難燃性建材用樹脂組成物から形成された樹脂層を少なくとも1層有していればよく、該樹脂層を2層以上有してもよい。本発明の難燃性建材用樹脂組成物から形成された樹脂層を2層以上有する場合は、各樹脂層の厚みが上記の好ましい範囲であることが望ましい。また、壁紙以外の内装材についても上記に準じて作製することができる。
【0083】
本発明の難燃性建材用樹脂組成物は、総発熱量と有害なガスの発生が抑制されている点から、建築材料、特に内装材に適しており、とりわけフィルム状、シート状、板状の形状とした場合に効果が特に発揮できる。具体的には、壁紙、壁材、床材、天井板、化粧ボード、化粧シート、建材用フィルム、建材用シート等の材料として適している。
【0084】
上述の本発明の難燃性建材用樹脂組成物から形成されたフィルム又はシートは、上記の建材用フィルム又は建材用シートとして使用することもできる。建材用フィルム又は建材用シートは、防滑性、防湿(調湿)性、防音(遮音)性、断熱性等の各種機能性を有するものであってもよい。建材用フィルム又は建材用シートは、従来知られているものと同様に使用することができ、例えば、前述のように単独であるいは他の材料と積層・併用して内装材として使用できるほか、防湿シート、防音シート、断熱シート等として、壁、天井、床等の内部に適用することもできる。
【0085】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物は、発煙や燃焼時の一酸化炭素発生が抑制されていることに特徴がある。例えば、一酸化炭素発生については、本発明の難燃性建材用樹脂組成物から得られる建築材料は、ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターによる試験における最大一酸化炭素濃度が、20ppm以下、特に1ppm未満のレベルにまで燃焼ガスの有害性が抑えられていることが好ましい。また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物から得られる建築材料は、ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターによる試験における平均一酸化炭素濃度が1ppm未満のレベルにまで燃焼ガスの有害性が抑えられていることが好ましい。
【実施例】
【0086】
以下、実施例等により本発明を詳細に示すが、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0087】
〔実施例1〜7及び比較例1〜4〕
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(ウルトラセン515、東ソー(株)製)70質量部に、ステアリン酸カルシウム(滑剤)0.1質量部、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル]メタン(フェノール系酸化防止剤)0.1質量部、及びトリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト(リン系酸化防止剤)0.1質量部を配合して得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物と、下記表1記載の成分を配合し、次いで170〜190℃で押し出してペレットを製造した。得られたペレットを190℃でプレス成型し、100mm×100mm×0.2mmの試験シートを得た(実施例1〜7)。また、比較難燃剤として水酸化マグネシウムを用いて、同様に試験シートを作成した(比較例1〜4)。なお、表1の配合は、すべて質量部基準である。
【0088】
表1記載の(A)成分と(B)成分は以下の方法で製造した。
〔製造例1〕
(A)成分:ピロリン酸メラミン
ピロリン酸とメラミンとをモル比1:1で反応させて製造した。
〔製造例2〕
(B)成分:ピロリン酸ピペラジン
ピロリン酸とピペラジンとをモル比1:1で反応させて製造した。
【0089】
上記で得られた試験シートについて、以下の難燃性評価、発煙性評価及び一酸化炭素濃度評価を行なった。
<難燃性評価>
上記で得られた試験シートについて、コーンカロリーメーター((株)東洋精機製作所製 CONE III)を用いて、ISO5660に準拠した発熱量試験を行い、発熱速度(Heat Release Rate)を輻射熱条件50kW/m2で測定した。総発熱量(MJ/m2)、最高発熱速度(kW/m2)、最高発熱速度継続時間(秒)を表1に示す。
<発煙性評価>
上記コーンカロリーメーターを用いて、同様に煙濃度を測定した。最大煙濃度を表1に示す。
<一酸化炭素濃度評価>
上記コーンカロリーメーターを用いて、一酸化炭素濃度を測定した。最大一酸化炭素濃度と着火時から150秒経過時までの平均一酸化濃度を表1に示す。
【0090】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂に対して、下記(A)成分及び(B)成分を配合してなることを特徴とする難燃性建材用樹脂組成物。
(A)成分:下記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
(B)成分:下記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物
【化1】

(式中、nは1〜100の数を表し、X1はアンモニア又は下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体であり、pは0<p≦n+2を満たす数を表す。)
【化2】

(式中、Z1及びZ2は同一でも異なっていてもよく、−NR56基〔ここで、R5及びR6は同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基又はメチロール基である〕、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、フェニル基及びビニル基からなる群より選ばれるいずれかの基である。)
【化3】

(式中、rは1〜100を表し、Y1は〔R12N(CH2mNR34〕、ピペラジン又はピペラジン環を含むジアミンであり、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、水素原子、又は炭素原子数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、R1、R2、R3及びR4は同一の基であっても異なってもよく、mは1〜10の整数であり、qは0<q≦r+2を満たす数を表す。)
【請求項2】
上記(A)成分として、上記一般式(1)におけるnが2、pが2、X1がメラミン(上記一般式(2)におけるZ1及びZ2が−NH2)であるピロリン酸メラミンを用いる請求項1に記載の難燃性建材用樹脂組成物。
【請求項3】
上記(B)成分として、上記一般式(3)におけるqが1、Y1がピペラジンであるポリリン酸ピペラジンを用いる請求項1又は2に記載の難燃性建材用樹脂組成物。
【請求項4】
上記ポリリン酸ピペラジンが、ピロリン酸ピペラジンである請求項3記載の難燃性建材用樹脂組成物。
【請求項5】
さらに(C)成分として、層状ケイ酸塩を配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物。
【請求項6】
上記(C)成分がタルクである請求項5に記載の難燃性建材用樹脂組成物。
【請求項7】
さらに(D)成分として、酸化亜鉛を配合してなる請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物から得られる建築材料であって、ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱量試験における最大一酸化炭素濃度が20ppm以下であることを特徴とする建築材料。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物から得られる建築材料であって、ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱量試験における平均一酸化炭素濃度が1ppm未満であることを特徴とする建築材料。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物からなる層を、少なくとも1層有することを特徴とする内装材。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物からなる層を、少なくとも1層有することを特徴とする壁紙。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性建材用樹脂組成物からなることを特徴とする建材用シート。

【公開番号】特開2010−222402(P2010−222402A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68406(P2009−68406)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】