説明

難燃性熱硬化性組成物、方法並びに製品

硬化性組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂、アクリロイルモノマー及びリン系難燃剤を含む。かかる組成物は、靭性、難燃性、耐熱性及び耐湿性などの性質の改善されたバランスを示す。本発明の組成物は、例えば半導体製品のための封止剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性熱硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性組成物は電子部品の封止に多用される。かかる封止材は、着火したときに自消性でなければならない。市販の封止用組成物は、通例、難燃性を達成するためにハロゲン化芳香族化合物と酸化アンチモンの組合せが用いられている。しかし、ハロゲン化芳香族化合物は電子素子のリサイクルを妨げ、また、酸化アンチモンに関連する健康への影響に関する懸念が生じている。そこで、靭性と耐熱性と耐湿性のバランスを保持又は改善しつつ、ハロゲン化芳香族化合物と酸化アンチモンを低減又は完全になくした難燃性封止剤組成物に対するニーズが存在する。
【特許文献1】米国特許出願第10/678471号明細書
【特許文献2】米国特許第3306875号明細書
【特許文献3】米国特許第3375228号明細書
【特許文献4】米国特許第4148843号明細書
【特許文献5】米国特許第4562243号明細書
【特許文献6】米国特許第4663402号明細書
【特許文献7】米国特許第4665137号明細書
【特許文献8】米国特許第5091480号明細書
【特許文献9】米国特許第5071922号明細書
【特許文献10】米国特許第5079268号明細書
【特許文献11】米国特許第5304600号明細書
【特許文献12】米国特許第5310820号明細書
【特許文献13】米国特許第5338796号明細書
【特許文献14】米国特許出願第2001/0053820号明細書
【特許文献15】欧州特許第261574号明細書
【特許文献16】米国特許第4923932号明細書
【特許文献17】米国特許第6521703号明細書
【特許文献18】米国特許第6255371号明細書
【特許文献19】米国特許第6547992号明細書
【特許文献20】米国特許第6355832号明細書
【特許文献21】米国特許第6534673号明細書
【特許文献22】米国特許第6025419号明細書
【特許文献23】国際公開第98/08898号パンフレット
【特許文献24】米国特許第5407972号明細書
【特許文献25】米国特許第5218030号明細書
【特許文献26】米国特許第6251308号明細書
【特許文献27】米国特許出願第2002/0169256号明細書
【特許文献28】米国特許出願第2002/0173597号明細書
【特許文献29】米国特許出願第2002/0177027号明細書
【特許文献30】米国特許出願第2003/0096123号明細書
【特許文献31】米国特許出願第2003/0215588号明細書
【特許文献32】米国特許第4634742号明細書
【特許文献33】ドイツ特許出願公開第3117514号明細書
【特許文献34】ドイツ特許出願公開第4103140号明細書
【特許文献35】欧州特許第0135124号A2明細書
【特許文献36】米国特許第4677185号明細書
【特許文献37】米国特許第4701514号明細書
【特許文献38】米国特許第4760118号明細書
【特許文献39】米国特許第4806601号明細書
【特許文献40】米国特許第5171761号明細書
【特許文献41】米国特許第5219951号明細書
【特許文献42】米国特許第5352745号明細書
【特許文献43】米国特許第5834565号明細書
【特許文献44】米国特許第5965663号明細書
【特許文献45】米国特許第6051662号明細書
【特許文献46】米国特許第6352782号明細書
【特許文献47】米国特許第6384176号明細書
【特許文献48】米国特許第6469124号明細書
【特許文献49】米国特許第6569982号明細書
【特許文献50】米国特許第6617398号明細書
【特許文献51】米国特許第6627704号明細書
【特許文献52】米国特許第6627708号明細書
【特許文献53】米国防衛出願第521号明細書
【特許文献54】米国特許第5973041号明細書
【特許文献55】米国特許第6211939号明細書
【特許文献56】米国特許第6388046号明細書
【非特許文献1】Talley, J. Chem. Eng. Data, Vol.33, pp.221−222(1988)
【非特許文献2】“Plastic Additives Handbook,4th Edition”、R.Gachter and H.Muller(eds.),P.P.Klemchuck(assoc.ed.)Hanser Publishers,New York 1993, pp.901−948
【非特許文献3】S.J.Monte et al. in Ann. Chem. Tech Conf. SPI(1980), Ann. Tech Conf. Reinforced Plastics and Composite Inst. SPI 1979, Section 16E, New Orleans, pp.1−10
【非特許文献4】S.J.Monte, Mod. Plastics Int., Vol.14、Nol.6 pg.2(1984)
【非特許文献5】L.B.Cohen in Plastics Engineering, Vol.39,Nol.11,p.29(1983)
【非特許文献6】Liu et al., Polymer Preprints (American Chemical Society, Division of Polymer Chemistry)(2002),43(2),1067
【非特許文献7】C.Paugh and V.Percec, Polym. Prepr. (Am. Chem. Soc., Div. Polym. Chem.)(1985),26(2),303−5
【非特許文献8】S.J.Monte et al., “Coupling Compositions with Titanate During Extrusion Process”, Modern Plastics, May(1984), pp.74,76, and 78
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂、アクリロイルモノマー及び次式のリン系難燃剤を含んでなる硬化性組成物である。
【0004】
【化1】

式中、Md+は金属イオン又はオニウムイオンであり、dはMの種類及びその酸化状態に応じて1、2、3又は4であり、R23及びR24は各々独立にC〜C18ヒドロカルビルであり、m及びnは各々0又は1である。
【0005】
充填硬化性組成物、硬化組成物並びに硬化組成物を含む物品を始めとする他の実施形態については、以下で詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明者らは、官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂、アクリロイルモノマー及び次式のリン系難燃剤を含んなる硬化組成物の硬化生成物が、優れた難燃性、耐熱性、耐湿性及び靭性を示すことを見いだした。
【0007】
【化2】

式中、Md+は金属イオン又はオニウムイオンであり、dはMの種類及びその酸化状態に応じて1、2、3又は4であり、R23及びR24は各々独立にC〜C18ヒドロカルビルであり、m及びnは各々0又は1である。
【0008】
官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)でも、環官能化ポリ(アリーレンエーテル)でも、或いは酸又は無水物官能化ポリ(アリーレンエーテル)でもよい。本明細書では、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)とは、封鎖剤との反応によって対応非封鎖ポリ(アリーレンエーテル)に存在する遊離ヒドロキシル基の50%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに一段と好ましくは95%以上、なお一段と好ましくは99%以上が官能化されたポリ(アリーレンエーテル)と定義される。
【0009】
封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次の構造で表される。
【0010】
Q(J−K)
式中、Qは一価、二価又は多価フェノールの残基、好ましくは一価又は二価フェノールの残基、さらに好ましくは一価フェノールの残基であり、yは1〜100であり、Jは次式の繰返し構造単位からなる。
【0011】
【化3】

式中、mは1〜約200、好ましくは2〜約200であり、R及びRは各々独立に水素、ハロゲン、第一もしくは第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、R及びRは各々独立にハロゲン、第一もしくは第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどである。Kはポリ(アリーレンエーテル)のフェノール性ヒドロキシル基と封鎖剤との反応で生成した封鎖基である。得られる封鎖基には、以下のものがある。
【0012】
【化4】

式中、RはC〜C12アルキルなどであり、R〜Rは各々独立に水素、C〜C18ヒドロカルビル、C〜C18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミデート、チオカルボキシレートなどであり、R〜R13は各々独立に水素、ハロゲン、C〜C12アルキル、ヒドロキシ、アミノなどであり、Yは以下に挙げるような二価基である。
【0013】
【化5】

式中、R14及びR15は各々独立に水素、C〜C12アルキルなどである。本明細書で用いる「ヒドロカルビル」とは、炭素と水素のみからなる残基をいう。この残基は、脂肪族又は芳香族でも、直鎖又は環式又は二環式又は枝分れでも、飽和又は不飽和でもよい。ただし、ヒドロカルビル残基は、その旨明記したときは、置換基の炭素と水素に加えてヘテロ原子を含んでいてもよい。例えば、かかるヘテロ原子を含むと特記されている場合、ヒドロカルビル基は、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基などを含んでいもよいし、或いは、ヒドロカルビル基の主鎖中にヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0014】
一実施形態では、Qは多官能性フェノールを含めたフェノール類の残基であり、次式の構造の基を包含する。
【0015】
【化6】

式中、R及びRは各々独立に水素、ハロゲン、第一もしくは第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、R及びRは各々独立にハロゲン、第一もしくは第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、Xは水素、C〜C18ヒドロカルビル、又はカルボン酸、アルデヒド、アルコール、アミノ基などの置換基を有するC〜C18ヒドロカルビルでもよいし、Xは硫黄、スルホニル、スルフリル、酸素その他の2以上の原子価を有していて各種のビス−又はそれ以上のポリフェノールを生成する橋かけ基でもよく、n(すなわち、Xに結合したフェニレンエーテル単位の数)は1〜約100、好ましくは1〜3、さらに好ましくは約1〜2である。Qは2,6−ジメチルフェノールのような一価フェノールの残基であってもよく、この場合nは1である。Qは2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−ジフェノールのようなジフェノールの残基であってもよく、この場合nは2である。
【0016】
一実施形態では、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は、以下の構造の1種以上の一価フェノールの重合生成物から基本的になるポリ(アリーレンエーテル)を封鎖することによって製造される。
【0017】
【化7】

式中、R及びRは各々独立に水素、ハロゲン、第一もしくは第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどであり、R及びRは各々独立にハロゲン、第一もしくは第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC〜C12ハロヒドロカルビルオキシなどである。適当な一価フェノールとしては、Hayの米国特許第3306875号に記載されているものが挙げられ、非常に好ましい一価フェノールとしては、2,6−ジメチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールが挙げられる。ポリ(アリーレンエーテル)は、2,6−ジメチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールのような2種以上の一価フェノールの共重合体であってもよい。
【0018】
一実施形態では、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次の構造の1種以上の封鎖基を含む。
【0019】
【化8】

式中、R〜Rは各々独立に水素、C〜C18ヒドロカルビル、C〜C18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミデート、チオカルボキシレートなどである。非常に好ましい封鎖基として、アクリレート(R=R=R=水素)及びメタクリレート(R=メチル、R=R=水素)が挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0020】
別の実施形態では、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次の構造の1種以上の封鎖基を含む。
【0021】
【化9】

式中、RはC〜C12アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、さらに好ましくはメチル、エチル又はイソプロピルである。本発明の有益な特性は、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)に炭素−炭素二重結合のような重合性官能基がない場合であっても達成できる。
【0022】
さらに別の実施形態では、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次の構造の1種以上の封鎖基を含む。
【0023】
【化10】

式中、R〜R13は各々独立に水素、ハロゲン、C〜C12アルキル、ヒドロキシ、アミノなどである。この種の好ましい封鎖基としては、サリチレート(R=ヒドロキシ、R10〜R13=水素)が挙げられる。
【0024】
さらに別の実施形態では、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次の構造の1種以上の封鎖基を含む。
【0025】
【化11】

式中、Aは、例えばエチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、2−メチル−1,4−ブチレン、2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、2,3−ジメチル−1,4−ブチレン、ビニレン(−CH=CH−)、1,2−フェニレンなどの飽和又は不飽和C〜C12二価炭化水素基である。これらの封鎖ポリ(アリーレンエーテル)樹脂は、例えば非封鎖ポリ(アリーレンエーテル)と環状無水物封鎖剤との反応によって簡便に製造できる。かかる環状無水物封鎖剤としては、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水フタル酸などが挙げられる。
【0026】
封鎖ポリ(アリーレンエーテル)の製造方法に特段の制限はない。封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は、非封鎖ポリ(アリーレンエーテル)と封鎖剤との反応によって形成することができる。封鎖剤には、文献でフェノール基と反応することが知られている化合物が挙げられる。かかる化合物には、例えば無水物、酸塩化物、エポキシ、カーボネート、エステル、イソシアネート、シアン酸エステル又はハロゲン化アルキル基を有するモノマー及びポリマーがいずれも包含される。封鎖剤は有機化合物に限定されず、例えばリン系及び硫黄系封鎖剤も挙げられる。封鎖剤の具体例としては、例えば無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水サリチル酸、サリチレート単位を有するポリエステル、サリチル酸のホモポリエステル、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、炭酸ジ(4−ニトロフェニル)のような炭酸ジフェニル、アクリロイルエステル、メタクリロイルエステル、アセチルエステル、フェニルイソシアネート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルフェニルイソシアネート、シアナトベンゼン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、3−(α−クロロメチル)スチレン、4−(α−クロロメチル)スチレン、臭化アリルなど、カーボネート及びその置換誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。封鎖ポリ(アリーレンエーテル)の上記その他の製造方法は、例えばHoloch他の米国特許第3375228号、Goossensの米国特許第4148843号、Percec他の米国特許第4562243号、同第4663402号、同第4665137号及び同第5091480号、Nelissen他の米国特許第5071922号、同第5079268号、同第5304600号及び同第5310820号、Vianello他の米国特許第5338796号、Yeager他の米国特許出願公開第2001/0053820号、並びにPeters他の欧州特許第261574号に記載されている。
【0027】
好ましい実施形態では、硬化性組成物はさらにアルケニル芳香族モノマーを含んでおり、封封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は、溶媒としてのアルケニル芳香族モノマー中での非封鎖ポリ(アリーレンエーテル)と無水物との反応によって製造される。この方法は、他の諸成分と直接ブレンドして硬化性組成物を形成することができる封鎖ポリ(アリーレンエーテル)が得られるという利点がある。この方法を用いると、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)の単離或いは不要な溶媒又は試薬の除去は必要なくなる。
【0028】
未封鎖ポリ(アリーレンエーテル)と無水物との反応に封鎖触媒を使用してもよい。かかる化合物の例としては、特に限定されないが、フェノールと上記封鎖剤との縮合を触媒することができる当技術分野で公知のものがある。有用な物質は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラアルキルアンモニウムなどの塩基性化合物水酸化物塩、トリブチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルブチルアミンなどの第三アルキルアミン、N,N−ジメチルアニリンなどアルキル−アリール混成第三アミン及びその置換誘導体、イミダゾール、ピリジンなどの複素環式アミン及びそれらの置換誘導体、例えば2−メチルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、4−(1−ピロリノ)ピリジン、4−(1−ピペリジノ)ピリジン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどを始めとする塩基性化合物である。例えばイソシアネートやシアン酸エステルとフェノールとの縮合触媒として公知のスズや亜鉛の塩などの有機金属塩も有用である。これに関して有用な有機金属塩は、当業者に周知の多数の刊行物及び特許で当技術分野で公知である。
【0029】
官能化ポリ(アリーレンエーテル)は環官能化ポリ(アリーレンエーテル)であってもよい。一実施形態では、環官能化ポリ(アリーレンエーテル)は次の繰返し構造単位を含むポリ(アリーレンエーテル)である。
【0030】
【化12】

式中、L〜Lは各々独立に水素、C〜C12アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、アルケニル基は次式で表され、
【0031】
【化13】

(式中、L〜Lは独立に水素又はメチルであり、aは0、1、2、3又は4である。)、アルキニル基は次式で表され、
【0032】
【化14】

(式中、Lは水素、メチル又はエチルであり、bは0〜4の整数である。)、環官能化ポリ(アリーレンエーテル)中の全L〜L置換基の約0.02〜約25モル%はアルケニル及び/又はアルキニル基である。この範囲内で、アルケニル及び/又はアルキニル基は好ましくは約0.1モル%以上、さらに好ましくは約0.5モル%以上である。同じくこの範囲内で、アルケニル及び/又はアルキニル基は好ましくは約15モル%以下、さらに好ましくは約10モル%以下である。
【0033】
環官能化ポリ(アリーレンエーテル)は公知の方法で製造し得る。例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のような非官能化ポリ(アリーレンエーテル)をn−ブチルリチウムのような試薬で金属化した後、臭化アリルのようなハロゲン化アルケニル及び/又は臭化プロパルギルのようなハロゲン化アルキニルと反応させればよい。環官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂の上記その他の製造方法は、例えばKatayose他の米国特許第4923932号に記載されている。
【0034】
別の実施形態では、官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、ポリ(アリーレンエーテル)とα,β−不飽和カルボニル化合物又はβ−ヒドロキシカルボニル化合物との溶融反応の生成物であり、酸又は無水物官能化ポリ(アリーレンエーテル)を生ずる。実施形態によっては、酸官能基と無水物官能基が共に存在することがある。α,β−不飽和カルボニル化合物の具体例としては、例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、並びに上記その他の類似化合物の各種誘導体が挙げられる。β−ヒドロキシカルボニル化合物の具体例としては、例えばクエン酸、リンゴ酸などが挙げられる。かかる官能化は、通常は約190〜約290℃の温度でのポリ(アリーレンエーテル)と所望のカルボニル化合物との溶融混合によって実施される。
【0035】
官能化ポリ(アリーレンエーテル)の分子量又は固有粘度に特段の制限はない。一実施形態では、本組成物は、数平均分子量約1000〜約25000原子質量単位(AMU)の官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む。この範囲内で、数平均分子量約2000AMU以上、さらに好ましくは約4000AMU以上の官能化ポリ(アリーレンエーテル)を使用するのが好ましいことがある。別の実施形態では、本組成物は、クロロホルム中25℃で測定して約0.05〜約0.6dL/gの固有粘度を有する官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む。この範囲内で、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は、好ましくは約0.08dL/g以上、さらに好ましくは約0.1dL/g以上である。同じくこの範囲内で、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は好ましくは約0.5dL/g以下、さらに一段と好ましくは約0.4dL/g以下である。一般に、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度と対応非官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度との差はわずかである。具体的には、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は概して非官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度の10%以内である。分子量及び固有粘度の異なる2種以上の官能化ポリ(アリーレンエーテル)のブレンドの使用も当然に考えられる。組成物は、2種以上の官能化ポリ(アリーレンエーテル)のブレンドを含んでいてもよい。かかるブレンドは、別個に製造・単離された官能化ポリ(アリーレンエーテル)から製造し得る。別法として、かかるブレンドは、1種類のポリ(アリーレンエーテル)と2種以上の官能化剤との反応で製造することもできる。例えば、ポリ(アリーレンエーテル)を2種類の封鎖剤と反応させてもよいし、或いはポリ(アリーレンエーテル)を金属化して2種類の不飽和アルキル化剤と反応させてもい。別法では、モノマー組成及び/又は分子量の異なる2種以上のポリ(アリーレンエーテル)樹脂の混合物を、1種類の官能化剤と反応させてもよい。組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂と非官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂のブレンドを適宜含んでいてもよく、これらの2成分の固有粘度は適宜異なっていてもよい。
【0036】
硬化性組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部当たり約5〜約90重量部の官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む。この範囲内で、官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂の量は、好ましくは約10重量部以上、さらに好ましくは約15重量部以上である。同じくこの範囲内で、官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂の量は、好ましくは約80重量部以下、さらに好ましくは約60重量部以下、さらに一段と好ましくは約50重量部以下である。
【0037】
本組成物はアクリロイルモノマーを含む。一実施形態では、アクリロイルモノマーは次の構造の1以上のアクリロイル部分を含む。
【0038】
【化15】

式中、R18及びR19は各々独立に水素及びC〜C12アルキルからなる群から選択され、R18及びR19は炭素−炭素二重結合に関してシス又はトランスのいずれかの配置であってもよい。上記構造を有するアクリロイルモノマーの具体例としては、例えば、1以上の多価アルコールと、不飽和多塩基酸を含む1種以上の多塩基酸との反応で得られる不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。好適な不飽和ポリエステル樹脂は、例えばZarnoch他の米国特許第6521703号に記載されている。
【0039】
別の実施形態では、アクリロイルモノマーは次の構造の1以上のアクリロイル部分を含む。
【0040】
【化16】

式中、R20〜R22は各々独立に水素、C〜C12ヒドロカルビル、C〜C18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミデート及びチオカルボキシレートからなる群から選択される。一実施形態では、アクリロイルモノマーは2以上のアクリロイル部分を含む。別の実施形態では、アクリロイルモノマーは、3以上のアクリロイル部分を含む。適当なアクリロイルモノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートともいう。)、エトキシル化(2)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(なお、エトキシル化という語に続く数は、ビスフェノールAの各酸素に結合したエトキシレート鎖中のエトキシ基の数の平均を意味する。)、4−ビフェニル(メタ)アクリレート及び4,4′−ビフェノールジ(メタ)アクリレートなど、さらにはこれらのアクリロイルモノマーの1種類以上を含む混合物が挙げられる。
【0041】
本組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部当たり約10〜約95重量部のアクリロイルモノマーを含む。この範囲内で、アクリロイルモノマーの量は好ましくは約20重量部以上、さらに好ましくは約30重量部以上、さらに一段と好ましくは約40重量部以上である。同じくこの範囲内で、アクリロイルモノマーの量は好ましくは約90重量部以下、さらに好ましくは約85重量部以下、さらに一段と好ましくは約80重量部以下である。
【0042】
本組成物は、次式のリン系難燃剤を含む。
【0043】
【化17】

式中、Md+は金属イオン又はオニウムイオンであり、dはMの種類及びその酸化状態に応じて1、2、3又は4であり、R23及びR24は各々独立にC〜C18ヒドロカルビルであり、m及びnは各々0又は1である。Md+が金属イオンであるとき、Mは例えばMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na又はKである。具体的には、Md+は、例えばMg2+、Ca2+、Al3+、Sb3+、Sn4+、Ge4+、Ti4+、Zn2+、Fe2+、Fe3+、Ce3+、Ce4+、Bi3+、Sr2+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Li、Na又はKである。一実施形態では、Md+はAl3+又はZn2+である。イオンMd+はオニウムカチオンであってもよく、例えばアンモニウムカチオン(例えばモノ−、ジ−、トリ−及びテトラ−(C〜C12)ヒドロカルビルアンモニウムカチオン)、ホスホニウムカチオン(例えばモノ−、ジ−、トリ−及びテトラ−(C〜C12)ヒドロカルビルホスホニウムカチオン)、又はスルホニウムカチオン(例えばモノ−、ジ−及びトリ−(C〜C12)ヒドロカルビルスルホニウムカチオン)などである。別の実施形態では、Md+はAl3+である。一実施形態では、R23及びR24は各々独立にC〜Cアルキルである。別の実施形態では、R23及びR24は各々メチル又はエチルである。一実施形態では、m及びnは各々0である。好適なリン系難燃剤としては、例えばジメチルホスフィネート、ジエチルホスフィネート、ジ−n−プロピルホスフィネート、ジ−n−ブチルホスフィネート、ジ−n−ヘキシルホスフィネート、ジシクロヘキシルホスフィネート、ジ−2−エチルヘキシルホスフィネート、ジフェニルホスフィネート、ジ−o−トリルホスフィネート、ジメチルホスホネート、ジエチルホスホネート、ジ−n−プロピルホスホネート、ジ−n−ブチルホスホネート、ジ−n−ヘキシルホスホネート、ジシクロヘキシルホスホネート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、ジフェニルホスホネート、ジ−o−トリルホスホネート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジ−n−プロピルホスフェート、ジ−n−ブチルホスフェート、ジ−n−ヘキシルホスフェート、ジシクロヘキシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、ジフェニルホスフェート及びジ−o−トリルホスフェートなどの金属塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましいリン系難燃剤はアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)である。リン系難燃剤の製造は、例えばSchlosser他の米国特許第6255371号及び同第6547992号、並びにWeferling他の米国特許第6355832号及び同第6534673号に記載されている。
【0044】
本組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部当たり約0.1〜約50重量部のリン系難燃剤を含む。この範囲内で、リン系難燃剤の量は好ましくは約1重量部以上、さらに好ましくは約4重量部以上、さらに一段と好ましくは約8重量部以上である。同じくこの範囲内で、リン系難燃剤の量は好ましくは約40重量部以下、さらに好ましくは約30重量部以下、さらに一段と好ましくは約20重量部以下である。
【0045】
組成物は、適宜、追加の難燃剤を含んでいてもよい。一実施形態では、組成物は次式の芳香族ビスホスホルアミデード難燃剤を含む。
【0046】
【化18】

式中、Aは単環式芳香族基であり、DはC1〜4第一もしくは第二アルキル基、或いは2つのD基が一体としてエチレンをなす。単環式芳香族基Aは、例えば芳香族炭化水素基又は置換芳香族炭化水素基であり、置換基は、例えばアルキル、アルコキシ、ニトロ又はカルボアルコキシ基である。好ましい芳香族基は、フェニル、2,6−ジアルキルフェニル(特に2,6−キシリル)及び2,3,6−トリアルキルフェニル又は2,4,6−トリアルキルフェニル(特に2,3,6−トリメチルフェニル又は2,4,6−トリメチルフェニル)である。各D基は第一もしくは第二C1〜4アルキル基(好ましくはメチル)であるか、或いは2つのD基が一体としてエチレンをなす。所望の分子構造のビスホスホルアミデードは、第三アミンの存在下でピペラジン又はN,N′−ジメチルエチレンジアミンのような対応第二ジアミンを式(AO)POClのジアリールクロロホスフェートと反応させることによって製造できる。この製造方法は、Talley, J. Chem. Eng. Data, Vol.33, pp.221−222(1988)に記載されている。芳香族ビスホスホルアミデードが存在する場合、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部当たり約0.1〜約30重量部の量で使用し得る。
【0047】
別の実施形態では、組成物は、適宜、次式の芳香族ポリホスフェート難燃剤を含む。
【0048】
【化19】

式中、R〜Rは各々独立に水素、C〜C18ヒドロカルビル、C〜C12ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミデート及びチオカルボキシレートからなる群から選択され、rは2〜約20であり、各sは0、1又は2であるが、1以上のsが1であることを条件とする。好ましくは各Rは水素又はメチルであり、R及びRは各々水素であり、rは2〜約10であり、各sは1である。芳香族ポリホスフェート難燃剤を製造するには、塩化マグネシウム又は塩化アルミニウムの存在下で、フェニルジクロロホスフェートを過剰のジヒドロキシベンゼンと反応させて、ビス(ヒドロキシフェニル)フェニルホスフェートを得る。この物質を次いで第三アミンのような酸受容体の存在下で適当なアクリロイルクロライドと反応させて目的の構造を得る。
芳香族ポリホスフェート難燃剤が存在する場合、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部当たり約0.1〜約30重量部の量で使用し得る。組成物は、適宜、例えば酸化アンチモン(Sb及びSbなど)、水酸化マグネシウム、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、及びジブロモスチレンなどを始めとする追加の難燃剤を含んでいてもよい。
【0049】
本組成物は、適宜、含窒素難燃剤を含んでいてもよい。好適な含窒素難燃剤としては、トリアジン、グアニジン、シアヌレート、イソシアヌレート及びポリリン酸アンモニウムなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適なトリアジンとしては、次式のトリアジン化合物が挙げられる。
【0050】
【化20】

式中、R25、R26及びR27は各々独立にC〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アリール、アミノ、C〜C12アルキル置換アミン又は水素である。好ましいトリアジンとしては、メラミン(CAS登録番号108−78−1)、メラム(3576−88−3)、メレム(1502−47−2)、メロン(32518−77−7)、アンメリン(645−92−1)、アンメリド(645−93−2)、ウレイドメラミン(16439−79−5)、アセトグアナミン(542−02−9)及びベンゾグアナミン(91−76−9)などが挙げられる。トリアジンには、さらにこれらの化合物のホウ酸、リン酸との塩及び付加物も含まれる。具体例としては、メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート及びメラミンポリホスフェートがある。好適なグアニジン化合物としては、グアニジン及びアミノグアニジンなど、並びにこれらのホウ酸、炭酸、リン酸、硝酸、硫酸などとの塩及び付加物、さらにこれらの混合物が挙げられる。好適なシアヌレート化合物及びイソシアヌレート化合物としては、トリアジン化合物のシアヌル酸及びイソシアヌル酸との塩及び付加物、例えばメラミンシアヌレート及びメラミンイソシアヌレートなどが挙げられる。含窒素難燃剤は、それらの製造方法と併せて当技術分野で公知であり、多くが市販されている。
【0051】
一実施形態では、含窒素相乗難燃剤は次式のメラミンポリホスフェートを含む。
【0052】
【化21】

式中、gは約3〜約10000の平均値を有し、f/g比は約0.5:1〜約1.7:1である。この範囲内で、gの平均値は特に約5以上、さらには約10以上である。同じくこの範囲内で、gの平均値は特に約1000以下、さらには約500以下である。この範囲内で、f/g比は特に約0.7:1以上、さらには約0.9:1以上である。同じくこの範囲内で、f/g比は特に約1.3:1以下、さらには約1.1:1以下である。メラミンポリホスフェートは、Kasowski他米国特許第6025419号に記載の通りポリリン酸とメラミンとの反応、又はJacobson他の国際公開第98/08898号に記載の通りメラミンピロホスフェートを窒素下290℃で恒量まで加熱することによって製造することができる。
【0053】
組成物中に含窒素難燃剤が存在する場合、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部を基準にして約0.1〜約30重量部の量で使用し得る。この範囲内で、含窒素相乗難燃剤の量は特に約0.5重量部以上、さらには約0.8重量部以上である。同じくこの範囲内で、含窒素相乗難燃剤の量は特に約25重量部以下、さらには約20重量部以下である。
【0054】
一実施形態では、組成物はリン系難燃剤と含窒素難燃剤とを含む。この実施形態では、リン系難燃剤/含窒素難燃剤の重量比は約1:1〜約100:1である。この範囲内で、この比は特に約2:1以上、さらには約5:1以上である。同じくこの範囲内で、この比は特に約50:1以下、さらには約25:1以下である。上述の難燃剤はいずれも、適宜、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)又はビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)のようなポリフェニレンエーテル組成物用の慣用難燃剤と併用し得る。
【0055】
本組成物は、適宜、アルケニル芳香族モノマーをさらに含んでいてもよい。アルケニル芳香族モノマーは次式で表すことができる。
【0056】
【化22】

式中、R16は各々独立に水素又はC〜C18ヒドロカルビルであり、R17は各々独立にハロゲン、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシル又はC〜C18アリールであり、pは1〜4であり、qは0〜5である。芳香族環上の任意の部位が水素原子で置換される。適当なアルケニル芳香族モノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、芳香族環上に1〜5個のハロゲン置換基を有するスチレンなど、並びにこれらの組合せが挙げられる。組成物がアルケニル芳香族モノマーを含む場合、アルケニル芳香族モノマーは、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部当たり約10〜約500重量部で存在し得る。この範囲内で、アルケニル芳香族モノマーの使用量は好ましくは約25重量部以上、さらに好ましくは約50重量部以上である。同じくこの範囲内で、アルケニル芳香族モノマーの使用量は好ましくは約300重量部以下、さらに好ましくは約100重量部以下である。
【0057】
本組成物は、適宜、アリルモノマーをさらに含んでいてもよい。アリルモノマーは、1以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上のアリル(−CH−CH=CH)基を含む有機化合物である。適当なアリルモノマーとしては、例えばフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、メリト酸トリアリル、メシン酸トリアリル、トリアリルベンゼン、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、これらの混合物、これらの部分重合生成物などが挙げられる。組成物がアリルモノマーを含む場合、アリルモノマーは、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部当たり約10〜約500重量部で存在し得る。この範囲内で、アリルモノマーの使用量は好ましくは約25重量部以上、さらに好ましくは約50重量部以上である。同じくこの範囲内で、アリルモノマーの使用量は好ましくは約300重量部以下、さらに好ましくは約100重量部以下である。
【0058】
硬化性組成物は、さらに、不飽和成分の硬化速度を高めるため適宜硬化触媒を含んでいてもよい。開始剤とも呼ばれる硬化触媒は、当技術分野で周知の不飽和ポリエステル、ビニルエステル及びアリル熱硬化性樹脂を始めとする多数の熱可塑性樹脂並びに熱硬化性樹脂の重合、硬化又は架橋の開始に使用し得る。硬化開始剤の非限定的な具体例としては、Smith他の米国特許第5407972号及びKatayose他の第5218030号に記載されているものが挙げられる。熱硬化性樹脂の不飽和基用の硬化触媒には、高温でフリーラジカルを生成し得る化合物が包含される。かかる硬化触媒には、ペルオキシ系及び非ペルオキシ系ラジカル開始剤が包含される。有用なペルオキシ系開始剤の具体例としては、例えば過酸化ベンゾイル、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシ−3−イン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシドなど、さらにこれらの硬化触媒の1種以上を含む混合物が挙げられる。代表的な非ペルオキシ系開始剤としては、例えば2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−トリメチルシリルオキシ−2,3−ジフェニルブタンなど、さらにこれらの硬化触媒の1種以上を含む混合物が挙げられる。熱硬化性樹脂の不飽和基用の硬化触媒は、不飽和成分のアニオン重合を開始し得る化合物をさらに含んでいてもよい。かかるアニオン重合触媒としては、例えばナトリウムアミド(NaNH)やリチウムジエチルアミド(LiN(C)のようなアルカリ金属アミド、C〜C10アルコキシドのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、水酸化アルカリ金属及び水酸化アンモニウム、シアン化アルカリ金属、アルキルリチウム化合物であるn−ブチルリチウムのような有機金属化合物、グリニャール試薬のフェニル臭化マグネシウムなど、さらにこれらのアニオン重合触媒の1種以上を含む組合せが挙げられる。
【0059】
好ましい実施形態では、硬化触媒は、t−ブチルペルオキシベンゾエート又はジクミルペルオキシドを含む。硬化触媒は、約0〜約200℃の温度で硬化を促進し得る。
【0060】
硬化触媒が存在する場合、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部当たり約0.1〜約10重量部の量で使用できる。この範囲内で、好ましくは約0.5重量部以上、さらに好ましくは約1重量部以上の量の硬化触媒を使用し得る。同じくこの範囲内で、好ましくは約5重量部以下、さらに好ましくは約3重量部以下の量の硬化触媒を使用し得る。
【0061】
硬化性組成物は、さらに、ゲル化時間を短縮するための硬化促進剤を適宜含んでいてもよい。適当な硬化促進剤としては、ナフタン酸コバルトのような遷移金属塩及び錯体、並びにN,N−ジメチルアニリン(DMA)やN,N−ジエチルアニリン(DEA)のような有機塩基が挙げられる。好ましくは、ナフタン酸コバルトとDMAの組合せが用いられる。促進剤が存在する場合、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100部当たり約0.05〜約3部の量で使用できる。
【0062】
組成物は、さらに、組成物の早期硬化を防止するための硬化抑制剤を適宜含んでいてもよい。適当な硬化抑制剤としては、例えばジアゾアミノベンゼン、フェニルアセチレン、sym−トリニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、アセトアルデヒド、アニリン縮合物、N,N′−ジブチル−o−フェニレンジアミン、N−ブチル−p−アミノフェノール、2,4,6−トリフェニルフェノキシル、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、C〜Cアルキル置換カテコール、ジアルキルヒドロキノン、2,4,6−ジクロロニトロフェノール、ハロゲン−オルト−ニトロフェノール、アルコキシヒドロキノン、フェノール及びカテコールのモノ−及びジ−及びポリスルフィド、キノンのチオール、オキシム及びヒドラゾン、フェノチアジン、ジアルキルヒドロキシルアミンなど、さらにこれらの硬化抑制剤の1種以上を含む組合せが挙げられる。好ましい硬化抑制剤としては、ベンゾキノン、ヒドロキノン及びt−ブチルカテコールが挙げられる。硬化抑制剤が存在する場合、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーの合計100重量部当たり約0.01〜約10重量部の量とすることができる。この範囲内で、硬化抑制剤の量は好ましくは約0.1重量部以上である。同じくこの範囲内で、硬化抑制剤の量は好ましくは約2重量部以下である。
【0063】
組成物は、さらに粒状充填剤及び繊維状充填剤を始めとする1種以上の充填剤を含んでいてもよい。かかる充填剤の例は当技術分野で周知であり、“Plastic Additives Handbook, 4th Edition” R. Gachter and H. Muller (eds.), P.P. Klemchuck (assoc. ed.) Hanser Publishers, New York 1993, pp.901−948に記載されているものがある。本明細書では、粒状充填剤とは、平均アスペクト比約5:1未満の充填剤と定義される。充填剤の非限定的な具体例としては、溶融シリカや結晶シリカのようなシリカ粉末、熱伝導性が高く、誘電率が低く誘電正接の低い硬化生成物を得るための窒化ホウ素粉末及びホウケイ酸塩粉末、これらの粉末とアルミナ、及び高温伝導性用の酸化マグネシウム(又はマグネシア)、並びに、表面処理ウォラストナイトを始めとするウォラストナイト、硫酸カルシウム(その無水塩、半水塩、二水塩又は三水塩)、チョーク、石灰石、大理石及び合成沈降炭酸カルシウム(概して粉砕粒子の形態であり、98+%のCaCOと残部の炭酸マグネシウム、酸化鉄、アルミノケイ酸塩のような他の無機物を含むことが多い)を始めとする炭酸カルシウム、表面処理した炭酸カルシウム、繊維状、結節状、針状及び層状タルクを始めとするタルク、中空ガラス球、中実ガラス球、及び通常はシランカップリング剤のようなカップリング剤及び/又は導電性コーティングを含む表面処理ガラス球、硬質、軟質、焼成カオリン、並びに熱硬化性樹脂中での分散性及び相溶性を高める当技術分野の公知の各種コーティングを有するカオリンを始めとするカオリン、メタライズドマイカ、及び良好な物性をブレンドに付与するためアミノシラン又はアクリロイルシランコーティングで表面処理したマイカを始めとするマイカ、長石及び霞石閃長岩、ケイ酸塩球、煙塵、セノスフェア、フィライト、シラン化及び金属化アルミノケイ酸塩を始めとするアルミノケイ酸塩(アモルスフェア)、天然ケイ砂、石英、ケイ石、パーライト、トリポリ、珪藻土、各種シランコーティングを有するものを始めとする合成シリカのような充填剤が挙げられる。
【0064】
好ましい粒状充填剤としては、平均粒径約1〜約50μmの溶融シリカが挙げられる。特に好ましい粒状充填剤は、メジアン径約0.03μm乃至1μm未満の第1の溶融シリカと、メジアン径1〜約30μmの第2の溶融シリカとを含む。好ましい溶融シリカは、通常は再溶融によって達成される本質的に球状の粒子を有する。上記の粒径範囲内で、第1の溶融シリカは、好ましくは約0.1μm以上、好ましくは約0.2μm以上のメジアン径を有する。同じく上記粒径範囲内で、第1の溶融シリカは、好ましくは約0.9μm以下、さらに好ましくは約0.8μm以下のメジアン径を有する。上記の粒径範囲内で、第2の溶融シリカは、好ましくは約2μm以上、好ましくは約4μm以上のメジアン径を有する。同じく上記粒径範囲内で、第2の溶融シリカは、好ましくは約25μm以下、さらに好ましくは約20μm以下のメジアン径を有する。一実施形態では、本組成物は、第1の溶融シリカと第2の溶融シリカを約70:30〜約99:1、好ましくは約80:20〜約95:5の重量比で含む。
【0065】
繊維状充填剤としては、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び硫酸カルシウム半水和物の1種以上を含むブレンドに由来するものなど処理無機繊維を始めとする無機短繊維が挙げられる。繊維状充填剤には、炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、炭素、鉄、ニッケル、銅を始めとする単結晶繊維又は「ウィスカー」も包含される。繊維状充填剤には、E、A、C、ECR、R、S、D及びNEガラスのような織物用ガラス繊維を始めとするガラス繊維、並びに石英も包含される。好ましい繊維状充填剤には、直径約5〜約25μm、コンパウンディング前の長さが約0.5〜約4cmのガラス繊維が挙げられる。その他多数の適当な充填剤は、Yeager他の米国特許出願公開第2001/0053820号に記載されている。
【0066】
組成物は、充填剤又は外部コーティング又は基板との熱硬化性樹脂の接着性を向上させる接着促進剤を含んでいてもよい。上述の無機充填剤を接着促進剤で処理して、接着性を高めることもできる。接着促進剤としては、クロム錯体、シラン、チタネート、ジルコアルミネート、プロピレン−無水マレイン酸コポリマー、反応性セルロースエステルなどが挙げられる。クロム錯体としては、DuPont社からVOLAN(登録商標)という商品名で市販されているものがある。シランとしては、一般構造(RO)(4−n)SiYの分子(式中、n=1〜3、Rはアルキル又はアリール基であり、Yはポリマー分子との結合を形成し得る反応性官能基である)が挙げられる。カップリング剤の特に有用な例は、構造(RO)SiYを有するものである。代表例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。シランには、例えばトリメトキシフェニルシランのような反応性官能基のない分子も包含される。チタネートとしては、S. J. Monte et al. in Ann. Chem. Tech Conf. SPI (1980), Ann. Tech Conf. Reinforced Plastics and Composite Inst. SPI 1979, Section 16E, New Orleans、及びS. J. Monte, Mod. Plastics Int., volume 14, number 6, pg. 2 (1984)によって開発されたものが挙げられる。ジルコアルミネートとしては、L.B. Cohen in Plastics Engineering, volume 39, number 11, page 29 (1983)に記載されているものが挙げられる。接着促進剤は熱硬化性樹脂自体に配合してもよいし、或いは充填剤と熱硬化性樹脂との接着性を高めるため上述の充填剤のいずれかにコートしてもよい。例えば、かかる接着促進剤は、樹脂マトリックスの接着性を向上させるため、ケイ酸塩繊維又は充填剤の被覆に使用し得る。
【0067】
粒状充填剤が存在する場合、組成物の全量を基準にして、約5〜約95重量%の量で使用し得る。この範囲内で、約20重量%以上、さらに好ましくは約40重量%以上の量の粒状充填剤を使用するのが好ましい。同じくこの範囲内で、約93重量%以下、さらに好ましくは約91重量%以下の量の粒状充填剤を使用するのが好ましい。
【0068】
繊維状充填剤が存在する場合は、組成物の全量を基準にして、約2〜約80重量%の量で使用し得る。この範囲内で、約5重量%以上、さらに好ましくは約10重量%以上、さらに一段と好ましくは約15重量%以上の量の繊維状充填剤を使用するのが好ましい。同じくこの範囲内で、約60重量%以下、さらに好ましくは約40重量%以下、さらに一段と好ましくは約30重量%以下の量の繊維状充填剤を使用するのが好ましい。
【0069】
以上の充填剤は、処理せずに熱硬化性樹脂に添加してもよいし、表面処理(概して接着促進剤による)後に熱硬化性樹脂に添加してもよい。
【0070】
硬化性組成物は、さらに当技術分野で公知の1種以上の添加剤を適宜含んでいてもよく、例えば染料、顔料、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、流動性調整剤、ドリップ防止剤、粘着防止剤、帯電防止剤、流動性促進剤、加工助剤、基板接着剤、離型剤、強化剤、低収縮剤、応力除去添加剤など、並びにこれらの組合せなどを含んでいてもよい。当業者であれば、適当な添加剤を選択し、適量を決定することができる。
【0071】
一実施形態は、(メタ)アクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂、(メタ)アクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル−コ−2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂又はこれらの混合物と、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、エトキシル化(2)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート又はこれらの混合物から選択されるアクリロイルモノマーと、次式のアルミノリン系難燃剤と、溶融シリカとを含む硬化性組成物である。
【0072】
【化23】

式中、R23及びR24は各々独立にC〜Cアルキルであり、m及びnは各々0である。
【0073】
別の実施形態は、(メタ)アクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂、(メタ)アクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル−コ−2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂又はこれらの混合物約5〜約40重量部と、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、エトキシル化(2)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート又はこれらの混合物から選択されるアクリロイルモノマー約60〜約9重量部と、アルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)約1〜約50重量部と、溶融シリカ約100〜約2000重量部とを含む硬化性組成物であるが、上記重量部はすべて(メタ)アクリレート封鎖ポリ(アリーレンエーテル)樹脂とアクリロイルモノマーの合計100重量部を基準にしたものである。
【0074】
別の実施形態は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーと次式のリン系難燃剤とをブレンドして均質ブレンドを形成することを含んでなる硬化性組成物の製造方法である。
【0075】
【化24】

式中、Md+は金属イオン又はオニウムイオンであり、dはMの種類及びその酸化状態に応じて1、2、3又は4であり、R23及びR24は各々独立にC〜C18ヒドロカルビルであり、m及びnは各々0又は1である。
【0076】
本組成物の製造方法に特段の制限はない。組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)とアクリロイルモノマーとリン系難燃剤とを含む均質ブレンドを形成することによって製造し得る。組成物がアルケニル芳香族モノマーと封鎖ポリ(アリーレンエーテル)を含む場合、非封鎖ポリ(アリーレンエーテル)をアルケニル芳香族モノマーの一部に溶解し、封鎖剤を添加してアルケニル芳香族モノマーの存在下で封鎖ポリ(アリーレンエーテル)を形成した後、アクリロイルモノマー、リン系難燃剤及び他の任意成分を添加して硬化性組成物を形成することによって、非封鎖ポリ(アリーレンエーテル)から組成物を直接製造することができる。
【0077】
本組成物の硬化方法に特段の制限はない。組成物は、例えば熱又は高周波加熱、UV照射及び電子線照射を始めとする照射法を用いて硬化することができる。熱硬化を用いる場合、選択温度は約80〜約300℃とすることができる。加熱期間は約5秒〜約24時間とすることができる。硬化は数段階に分けて実施することもでき、まず不粘着性樹脂へと部分硬化し、次いで長時間又は高温で加熱して完全に硬化させる。
【0078】
一実施形態は、上述の硬化性組成物の硬化によって得られる硬化組成物である。「硬化」という用語には、部分硬化と完全硬化が包含される。硬化性組成物の成分は、硬化時に互いに反応し得るので、硬化組成物は、硬化性組成物成分の反応生成物を含むものとして表現することができる。
【0079】
別の実施形態は、硬化組成物を含む物品である。硬化性組成物は、広範な物品の製造に有用であり、電子デバイス用封止材としての使用に特に適している。本組成物は非常に望ましい特性を示す。さらに、一実施形態では、硬化組成物は、厚さ1〜10mmにおいてUL94のV−1、好ましくはV−0難燃性評価を達成し得る。硬化組成物は、120℃以上、好ましくは130℃以上、さらに好ましくは140℃以上のガラス転移温度を示す。硬化組成物は、非常に可逆的な低い吸湿性を示す。115℃で24時間乾燥した硬化組成物は、85℃及び相対湿度85%の環境に168時間付してから115℃で24時間再度乾燥した後、±0.05%未満、好ましくは±0.02%未満、さらに好ましくは±0.01%未満の重量差しか示さない。±0.05%未満とは、重量変化の絶対値が0.05%未満であることを意味する。
【0080】
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに例示する。
【実施例】
【0081】
実施例1及び実施例2、比較例1〜比較例3
表1に示す成分及び量を用いて数種類の組成物を製造し、成形した。なお、表1に記載の量はすべて重量部(pbw)である。固有粘度約0.3dL/gのメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂(「メタクリレート封鎖PPE」)はYeager他の米国特許出願第2001/0053820号に記載の方法で製造した。溶融シリカは、電気化学工業(株)から平均粒径30.4μm及び表面積1.6m/gのFB−74並びに平均粒径5.0μm及び表面積6.7m/gのFS−20として入手した。ヘキサンジオールジアクリレートはSartomer社からSR238として入手した。トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)はSartomer社からSR350として入手した。メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MAPTMS)はDow Corning社からZ−6030として入手した。導電性カーボンブラックはDegussa社からPrintex XE−2として入手した。トリフェニルホスフェートはAkzo Nobel社から入手した。ピペラジンビス(ジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホルアミデード)(「ピペラジンジホスホネートエステル」とも呼ばれる)は、2,6−ジメチルフェノール(GE Plastics社)を塩化マグネシウム存在下でリンオキシクロライドと反応させてキシリルジクロロホスフェートを生じさせ、これをさらに塩化メチレン溶媒中トリエチルアミン(Aldrich社)存在下、ピペラジン(Aldrich社)と反応させて、所望生成物を得ることによって製造した。アルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)はClariant社からOP930として入手した。五酸化アンチモンの乾燥コロイド粉末はNyacol社からNyacol Al590として入手した。
【0082】
成形用組成物は以下の通り製造した。溶融シリカをプラスチック容器中でMAPTMSと混合した。次いで容器を二軸遠心ミキサーに入れ、1400rpmで15秒間混合した。次いで容器を5分間放冷した。冷却後、メタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を容器に加え、容器を再び遠心ミキサーに入れ、1400rpmで15秒間混合し、1分間放冷し、次いで再度1400rpmで15秒間混合した。次に組成物の残りの成分を加え、得られた混合物をスパチュラで静かに折り畳んだ。折り畳んだ後、混合物を再び遠心ミキサーに入れ、1400rpmで15秒間混合した。組成物を冷却した後、組成物を2本ロールミルに入れてさらに混合した。ミルにはチルドロール(35℃)とホットロール(50〜70℃)を用い、ミルは速度約8〜16m/分及びロール比1:1〜2:1で運転した。ニップの間隔は当初は0.5mmに設定し、混合の進行に伴って0.25mmに減少させた。成形用組成物を2本ロールミルで6〜10分間混合し、その間に組成物をロールから10回カットした。混合完了後、組成物を2本ロールミルからカットし、密閉ジャーに入れて冷蔵庫で保存した。
【0083】
試験サンプル(「クーポン」)は成形用組成物から製造し、まず材料を3.175mm厚のディスクに圧縮成形し、次いでディスクを適当な寸法の試験用片にカットした。成形用組成物の圧縮成形は4.82〜6.89MPaの加圧下150℃で実施した。厚さ3.175mmの部材については5分間の硬化時間で十分であった。圧縮成形後、プレートを175℃の空気循環オーブンで1時間後硬化した。後硬化の後、厚さ3.175mmのプレートを、セラミック製床タイルの切断に通例用いられるタイプのダイヤモンドホイールウェットソーを用いて幅1.27cmのストリップにカットした。幅1.27cm×厚さ3.175mmのストリップを次いで試験用の長さにカットした。カットした後、クーポンをイソプロピルアルコールで十分に洗浄し、外気循環オーブン中110℃で1〜2時間乾燥した。吸湿試験用のクーポンの切断面を180番、220番、次いで400番の紙ヤスリで磨いて滑らかにした。成形面には紙ヤスリをかけなかった。紙ヤスリ処理が完了した後、クーポンを再度イソプロピルアルコールで洗浄し、外気循環オーブン中110℃で2時間再乾燥した。
【0084】
燃焼性試験は、厚さ3.175mm(1/8インチ)、幅12.7mm(1/2インチ)のサンプルを用いてUnderwriter′s Laboratory法UL94に準拠して実施した。ガラス転移温度(Tg)及び熱膨張率(CTE)はASTM D6341に準拠して熱機械分析で測定した。CTE値はppm単位で表すが、これはμm/m/℃に等しい。熱機械的分析(TMA)はTA 2950 TMA Thermo Mechanical Analyzerで実施した。実験パラメーターは以下の通り設定した:応力0.05N、パージガス窒素、サンプリング間隔1.0秒/ポイント。サンプル温度は25℃から5℃/分で250℃に昇温し、次いで10℃/分で0℃に冷却した。2回目の昇温は0℃から5℃/分で250℃であった。2回目の昇温データを報告する。CTE値はガラス転移温度を超える温度とガラス転移温度未満の両方で測定した。
【0085】
材料の吸湿性は、湿度制御室内でのコンディショニング前後のクーポンの重量を測定して求めた。コンディショニングに先だって、クーポンを6.35×1.27×0.3175cmの大きさにカットし、115℃で1時間乾燥して、その重量を0.0001gの精度で測定した。85℃及び相対湿度85%で168時間コンディショニングした直後にクーポンの重量を測定し、次いで周囲条件下で一晩乾燥させた。一晩乾燥した後、クーポンを115℃の外気循環オーブンに2時間置いてから、直ちに重量を測定した。表1に、予め秤量した値に対する百分率としての重量変化を示す。
【0086】
表1にすべての特性の結果を示す。UL94燃焼性の結果は、トリフェニルホスフェート又はピペラジンホスフェートのいずれよりもリン系難燃剤の方が重量基準で効果的であることを示している。極めて望ましいV−0評価を達成したのは、リン系難燃剤を用いた組成物だけである。この結果は、リン系難燃剤を用いた組成物では、高湿度に付してから再乾燥した後でも、その初期重量に非常に近いことも示している。対照的に、トリフェニルホスフェートを用いた組成物ではおそらくはトリフェニルホスフェートの気化のために重量減少を起こし、ピペラジンホスフェートを用いた組成物でもおそらくは不可逆的な吸湿性のため重量増加を起こした。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

実施例3〜実施例11
上述の手順に従って組成物を製造し、成形した。シクロヘキサンジメタノールジアクリレートはSartomer社からCD406として入手した。微粉状のモンタン酸のカルシウム部分鹸化グリコール酸エステル(モンタンワックス)はClariant社からCERIDUST(登録商標)5551として入手した。メジアン径17.7μm及び表面積3.1m/gの溶融シリカは電気化学工業(株)からFB−570として入手した。メジアン径0.7μm及び表面積6.2m/gの溶融シリカは電気化学工業(株)からSFP−30Mとして入手した。着色剤ブレンドは、Clariant社からSANDOPLAST(登録商標)Red Gとして得た赤色着色剤57部と、Clariant社からSANDOPLAST(登録商標)Green GSBとして得た緑色着色剤43部とからなるものであった。組成を表2に示す。スパイラルフロー長は、溝深さ0.762ミリcmのスパイラルフロー金型とGluco成形装置を用いて求めた。この測定に用いた条件は以下の通りであった:プラテン温度165℃;金型温度150℃;射出圧6.89MPa;射出速度及び射出時間は組成物に応じて変えたが、射出時間約6秒が典型的であり、射出速度は約7.62cm/秒が典型的であった;サイクル時間180秒。組成物は乾燥粉末に粉砕することもできるし、硬いペレットに変換することもできる。ペレットのショアD硬度はASTM D2240に準拠して測定した。定性的な破砕性試験は、乳鉢と乳棒を用いて組成物を粉砕し、得られた粉末を最大粒径600μmに篩分けすることによって実施した。組成物が乾燥粉末に容易に粉砕され、室温で24時間保存しても粉末が凝集しなかった(つまり、粉末が微粉末のまま残った)ときは、組成物を脆いと判断した。表2に特性を示す。これらの結果は、組成物が高いスパイラルフローを示し、組成物がペレット又は粉末のいずれでも取扱いに適していることを示している。
【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

実施例12〜実施例17、比較例4〜比較例6
主に難燃剤の種類と量の異なる7種類の組成物をコンパウンディングし、成形して、Underwriter′s Laboratory法UL94に準拠して燃焼性を試験した。サンプルはすべて次の成分を含んでいた:シリカ、着色剤(カーボンブラック又はKeystone Green染料)、離型剤(Clariant社製のLICOWAX(登録商標)S又はLICOWAX(登録商標)OP)、難燃剤(Ciba社からMELAPUR(登録商標)200として市販のメラミンポリホスフェート、Clariant社からOP930として市販のアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)又はClariant社製のOP1311(これはアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)とメラミンポリホスフェートとの重量比9:1の混合物と思われる。))、開始剤(ジクミルペルオキシド又はt−ブチルペルオキシベンゾエート)、抑制剤t−ブチルカテコール、アクリロイルモノマー(Sartomer社からSR348として市販のエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、Hampford Research社製の4−ビフェニルメタクリレート(CAS登録番号46904−74−9)、又はLiu et al., Polymer Preprints (American Chemical Society, Division of Polymer Chemistry)(2002),43(2),1067に記載の方法で製造した4,4′−ビフェノールジメタクリレート(CAS登録番号13082−48−9))、官能化ポリ(アリーレンエーテル)(固有粘度約0.3dL/gのメタクリレートモノ封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)又は固有粘度約0.12dL/gのメタクリレートジ封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)。幾つかのサンプルはスチレン無水マレイン共重合体を含んでいた。組成及び燃焼性試験の結果を表3に示す。「5サンプルでの合計焼時間(秒)」は、各組成物の5枚のサンプルについての1回目と2回目の燃焼時間の合計を表す。組成物は、総燃焼時間が50秒未満で、燃焼時間が10行を超えるサンプルが全くなかった場合に、UL94 V−0試験に合格したとみなされる。表3に示す結果は、アルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)及びメラミンポリホスフェートが各々難燃剤として有効であり、その組合せも相乗効果をもつことを示している。
【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

以上、好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲から逸脱せずに様々な変更を加えることができ、本発明の要件を均等で置き換えることができることは当業者には自明である。また、本発明の要旨から逸脱せずに、特定の状況又は材料を本発明の教示内容に適合させるための様々な変更をなすこともできる。したがって、本発明は、本発明のを実施するための最良の形態として開示してきた実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲に記載の技術的範囲に属するあらゆる実施形態を包含する。
【0093】
本明細書中で引用した特許、特許出願その他の文献の開示内容は、援用によって本明細書の内容の一部をなす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含んでなる硬化性組成物。
官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂、
アクリロイルモノマー、及び
次式のリン系難燃剤
【化1】

式中、Md+は金属イオン又はオニウムイオンであり、dはMの種類及びその酸化状態に応じて1、2、3又は4であり、R23及びR24は各々独立にC〜C18ヒドロカルビルであり、m及びnは各々0又は1である。
【請求項2】
前記官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂が次式の封鎖ポリ(アリーレンエーテル)である、請求項1記載の組成物。
Q(J−K)
式中、Qは一価、二価又は多価フェノールの残基であり、yは1〜100であり、Jは次式の繰返し構造単位からなり、
【化2】

(式中、R及びRは各々独立に水素、ハロゲン、第一もしくは第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ及びハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC〜C12ハロヒドロカルビルオキシからなる群から選択され、R及びRは各々独立にハロゲン、第一もしくは第二C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アミノアルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12ヒドロカルビルオキシ及びハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC〜C12ハロヒドロカルビルオキシからなる群から選択され、mは1〜約200である。)、Kは以下の式からなる群から選択される封鎖基である。
【化3】

(式中、RはC〜C12アルキルであり、R〜Rは各々独立に水素、C〜C18ヒドロカルビル、C〜C18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミデート及びチオカルボキシレートからなる群から選択され、R〜R13は各々独立に水素、ハロゲン、C〜C12アルキル、ヒドロキシ及びアミノからなる群から選択され、Yは以下の式からなる群から選択される二価基である。
【化4】

(式中、R14及びR15は各々独立に水素及びC〜C12アルキルからなる群から選択される。))
【請求項3】
前記官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂が、次式の繰返し構造単位を含む環官能化ポリ(アリーレンエーテル)である、請求項1記載の硬化性組成物。
【化5】

式中、各L〜Lは独立に水素、C〜C12アルキル、アルケニル又はアルキニル基であり、アルケニル基は次式で表され、
【化6】

(式中、L〜Lは独立に水素又はメチルであり、aは0〜4の整数である。)、アルキニル基は次式で表され、
【化7】

(式中、Lは水素、メチル又はエチルであり、bは0〜4の整数である。)、環官能化ポリ(アリーレンエーテル)の全L〜L置換基の約0.02〜約25モル%がアルケニル及び/又はアルキニル基である、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項4】
23及びR24が各々独立にC〜Cアルキルである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
Mがアルミニウムであり、m及びnが各々0である、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記リン系難燃剤がアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
トリアジン、グアニジン、シアヌレート、イソシアヌレート、ポリリン酸アンモニウム及びこれらの混合物から選択される含窒素難燃剤をさらに含む、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記含窒素難燃剤が次式で表されるメラミンポリホスフェートを含む、請求項7記載の硬化性組成物。
【化8】

式中、gは約3〜約10000の平均値を有し、f/g比は約0.5:1〜約1.7:1である。
【請求項9】
前記官能化ポリ(アリーレンエーテル)が(メタ)アクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂、(メタ)アクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル−コ−2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂又はこれらの混合物からなり、
前記アクリロイルモノマーがトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、エトキシル化(2)ビスフェノールAジメタクリレート、4−ビフェニル(メタ)アクリレート、4,4′−ビフェノールジ(メタ)アクリレート又はこれらの混合物からなり、
前記リン系難燃剤が次式のアルミノリン難燃剤であり、
【化9】

(式中、R23及びR24は各々独立にC〜Cアルキルであり、m及びnは各々0である。)、
当該組成物が、さらに次式で表されるメラミンポリホスフェートをさらに含んでおり、
【化10】

(式中、gは約3〜約10000の平均値を有し、f/g比は約0.5:1〜約1.7:1である。)、
当該組成物がさらに溶融シリカを含んでいる、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂が(メタ)アクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂、(メタ)アクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル−コ−2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂又はこれらの混合物からなり、当該組成物が約5〜約40重量部の官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂を含んでおり、
前記アクリロイルモノマーがトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、エトキシル化(2)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、4−ビフェニル(メタ)アクリレート、4,4′−ビフェノールジ(メタ)アクリレート又はこれらの混合物からなり、当該組成物が約60〜約95重量部のアクリロイルモノマーを含んでおり、
前記リン系難燃剤がアルミニウムトリス(ジエチルホスフィネート)からなり、当該組成物が約1〜約50重量部のリン系難燃剤を含んでおり、
当該組成物が約0.1〜約5重量部のメラミンポリホスフェートをさらに含んでおり、
当該組成物が約100〜約2000重量部の溶融シリカをさらに含んでおり、
上記重量部はすべて官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂とアクリロイルモノマーの合計100重量部を基準にしたものである、請求項1記載の硬化性組成物。

【公表番号】特表2007−507591(P2007−507591A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534025(P2006−534025)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/031826
【国際公開番号】WO2005/033179
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】