説明

雨水等貯留浸透施設用コンクリートブロック体、及び、これを用いた雨水等貯留浸透施設

【課題】薄肉化と、機械的強度の確保とを実現したブロック体、及び、これを用いた雨水等貯留浸透施設を提供する。
【解決手段】基体部10は、コンクリート材料を主成分とする六面体であって、その中空部100が、非球形形状、又は、非円筒形形状である。例えば、開口部13、14は、隣接する側面103a、bに備えられ、中空部100に貫通している。開口部13は、直交する二方向に、相対向して平行する二辺131、131と、二辺132、132とを有する。二辺131、131と、二辺132、132とは、設置面たる側面103において、隣接する辺と平行である。二辺131、131と、二辺132、132とが互いに交差する隅部133は、斜状、又は、弧状である。
上述したブロック体は、その複数が組み合わされ、地中に埋設されることにより、雨水等貯留浸透施設を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水等貯留浸透施設用コンクリートブロック体、及び、これを用いた雨水等貯留浸透施設に関する。本発明において「雨水等貯留浸透施設」とは、集水した雨水等の貯留空間として地中に設置される貯留施設と、集水した雨水等を一時的に貯留してのち、地中に緩やかに浸透させて排出する浸透施設とを含む。
【背景技術】
【0002】
この種の雨水等貯留浸透施設において貯留空間が地中に形成される場合、貯留空間の内部には壁面の崩落を防止するため、通常、何らかの構造体が備えられる。例えば、特許文献1を参照すると、貯留空間には、合成樹脂板を組み合わせた構造体の複数が、縦横に平面配置されるともに、さらに高さ方向に積み重ねられている。
【0003】
ところで、雨水等貯留浸透施設には、稼動期間中、雨水ともに塵埃等が流入し、貯留空間の底部に配置された構造体の内部に堆積し続けることなるから、この堆積物をドレインホース等で定期的に除去するなどの保守管理作業により、施工当初の容積を維持することが重要になる。
【0004】
このような保守管理作業を行うため、雨水等貯留浸透施設には、作業員が貯留空間に侵入するためのコンクリートマンホールが備えられる。しかし、上述したように貯留空間には、複数の構造体が縦横に平面配置されている。しかも、この種の構造体は、土圧や、積み重ねられた構造体からの荷重に耐えうる機械的強度を備えるため、密に組み合わされる傾向にあるから、作業員が構造体の内部を縦横に移動することができない。従って、従来、貯留空間に堆積した塵埃等を効果的に除去することができなかった。
【0005】
さらに、この種の構造体は、通常、合成樹脂材料でなるから、コンクリートマンホールを支持しうるだけの機械的強度は有していない。従って、堆積物の除去作業を完全に行うためには、貯留空間の外縁に沿ってマンホールを多数設置しなければならないこととなり、コスト高を招く。
【0006】
上述した問題点を解消する手段として、例えば、特許文献2及び3は、コンクリートブロック体、及び、これを用いた雨水等貯留浸透施設を開示している。
【0007】
特許文献2には、立方体の外郭を持つともに、その内部をほぼ球状のキャビティを有するとともに、立方体の各側面に円形の開口が形成されたコンクリートブロック体が開示されている。
【0008】
また、特許文献3には、立方体からなるブロック内部に、全ての外面に貫通した中空部を有するコンクリートブロック体であって、中空部は、同一外径の円柱状の分割中子をその軸線方向が直交及び一致するようにそれぞれ配置して形成したコンクリートブロック体が開示されている。
【0009】
しかし、特許文献2及び3によっても、上述した問題点を充分に解決しているとはいえない。例えば、コンクリートブロック体は地中に埋設されるものであるから、開口部の周囲の支持壁部分を肉厚化して機械的強度を確保する必要がある。一方、保守管理作業における作業員の移動スペースを確保するためには、前記支持壁部分は可能な限り薄肉化する必要がある。この相反する二つの点について、特許文献2及び3では、改善の余地が認められる。
【特許文献1】特開2005−54403号公報
【特許文献2】特許第2942745号公報
【特許文献3】特開平2942746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、作業員の移動スペースを確保しうるともに、優れた機械的強度を有する雨水等貯留浸透施設用コンクリートブロック体、及び、これを用いた雨水等貯留浸透施設を提供することである。
【0011】
本発明のもう一つの課題は、薄肉化、及び、軽量化が実現されている雨水等貯留浸透施設用コンクリートブロック体、及び、これを用いた雨水等貯留浸透施設を提供することである。
【0012】
本発明の更にもう一つの課題は、製造コスト、及び、輸送コストを低減しうる雨水等貯留浸透施設用コンクリートブロック体、及び、これを用いた雨水等貯留浸透施設を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明に係る雨水等貯留浸透施設用ブロック体(以下、単にブロック体と称する)は、基体部と、中空部と、少なくとも二つの開口部とを有する。基体部は、コンクリート材料を主成分とする六面体である。中空部は、非球形形状、又は、非円筒形形状であって、基体部の内部に備えられている。開口部は、基体部において異なる二側面に備えられ、中空部に貫通している。開口部の少なくとも一つは、直交する二方向に、相対向して平行する二辺を有する。二辺それぞれは、設置面たる側面において、隣接する辺と平行である。二辺の組が互いに交差する隅部は、斜状、又は、弧状であって、側面の隅に対応する箇所に備えられている。
【0014】
上述したように本発明に係るブロック体において、基体部はコンクリートを主成分とするから、製造コストを低減することができるともに、優れた機械的強度を有する。しかも、基体部は六面体であるから安定性に優れており、運送作業、及び、配置作業を効率的に行うことができる。
【0015】
また、少なくとも二つの開口部は、基体部において異なる二側面に備えられ、中空部に貫通している。この構成によると、作業員が、一方の開口部を通じて中空部に侵入することができるともに、他方の開口部を通じて他の方向に移動することができる。
【0016】
上述した構成、及び、作用効果は、特許文献2及び3でも知られている。本発明に係るブロック体は、上述した構成に加え、開口部の形状に工夫を加えた点に特徴がある。即ち、本発明に係るブロック体において、開口部の少なくとも一つは、直交する二方向に、相対向して平行する二辺を有する。二辺のそれぞれは、設置面たる側面において、隣接する辺と平行である。二辺の組が互いに交差する隅部は、斜状、又は、弧状であって、側面の隅に対応する箇所に備えられている。端的に言うと、本発明に係るブロック体の開口部は、開口面形状が略八角形形状であって、二辺の組が互いに交差する隅部を有するから、二辺の組の間隔を広く確保することができる。従って、作業員の移動スペースを十分に確保することができる。
【0017】
しかも、開口部において、二辺の組が互いに交差する隅部は、斜状、又は、弧状であるから、優れた機械的強度を備えることができる。
【0018】
さらに、二辺の組が互いに交差する隅部は、斜状、又は、弧状であって、側面の隅に対応する箇所に備えられている構成によると、例えば、開口部が円形形状である場合と比較して重量ロスを低減することができる。従って、適当な機械的強度を維持したままで、全体重量の軽量化を実現し、輸送コスト、及び、製造コストを低減することができる。
【0019】
本発明に係るブロック体は、その複数が組み合わされ、地中に埋設されることにより、雨水等貯留浸透施設を構成する。従って、本発明に係る雨水等貯留浸透施設は、上述したブロック体の利点を全て含むことができる。例えば、本発明に係る雨水等貯留浸透施設において、ブロック体の内部に作業員の移動スペースが確保されているから、貯留空間の下面において広範囲に堆積した堆積物を、効率的に除去することができる。
【0020】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【発明の効果】
【0021】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)作業員の移動スペースを確保しうるともに、優れた機械的強度を有する雨水等貯留浸透施設用ブロック体、及び、これを用いた雨水等貯留浸透施設を提供することができる。
(2)薄肉化、及び、軽量化が実現されている雨水等貯留浸透施設用ブロック体、及び、これを用いた雨水等貯留浸透施設を提供することができる。
(3)本発明の更にもう一つの課題は、製造コスト、及び、輸送コストを低減しうる雨水等貯留浸透施設用ブロック体、及び、これを用いた雨水等貯留浸透施設を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明の一実施形態に係るブロック体の斜視図、図2は図1に示したブロック体の正面図、図3は図2の3−3線に沿った断面図である。図1乃至図3を参照すると、本発明の一実施形態に係るブロック体は、基体部10と、中空部100と、第1〜第6の開口部11〜16とを有する。
【0023】
基体部10は、コンクリートを主成分とする六面体である。基体部10には、一般的なコンクリートのほかに、珪砂にポリエステル樹脂(PP)等の合成樹脂材料を混合したレジンコンクリートを用いることもできる。
【0024】
図1乃至図3に示したブロック体において、基体部10は、例えば一辺が900〜1100mm程度の立方体であって、矢印Hで示す高さ方向に相対向する上面101、及び、下面102の2面と、矢印Lで示す縦方向、及び、矢印Wで示す横方向にそれぞれ相対向する四つの側面103a〜dを有する六面体である。さらに、基体部10は、相対向する上面101、及び、下面102の周縁に段差104を有する。
【0025】
中空部100は、非球形形状、又は、非円筒形形状であって、基体部10の内部に備えられている。図1乃至図3に示す中空部100は、二つの八角柱状の空間が、縦方向L、及び、横方向Wに直交する内部空間であって、基体部10の中心と同心上に備えられている。
【0026】
第1の開口部11は、上面101に備えられ、中空部100に貫通している。図1乃至図3に示す第1の開口部11は、例えば直径が600mm程度の円形形状であるから、例えば、作業員が第1の開口部11を通じて中空部100に出入りすることができる。
【0027】
第2の開口部12は、下面102において、第1の開口部11に相対向して備えられている。図1乃至図3に示す第2の開口部12は、第1の開口部11と同様の基本的構成を有する。
【0028】
第3〜第6の開口部13〜16のそれぞれは、基体部10において縦方向L、及び、横方向Wに相対向する四つの側面103a〜dに備えられ、中空部100に貫通している。
【0029】
より詳細に説明すると、まず、第3の開口部13は、四つの側面103a〜dの1側面103aに備えられている。第3の開口部13は、横方向Wに相対向して平行する二辺131、131と、横方向Wに直交する高さ方向Hに相対向して平行する二辺132、132を有する。二辺131、131、及び、二辺132、132のそれぞれは、設置面たる側面103aにおいて、隣接する辺と平行である。
【0030】
二辺131、131、及び、二辺132、132の組が互いに交差する部分は、隅部133となっている。隅部133は、斜状、又は、弧状のテーパ面であって、側面103aの四隅に対応する箇所にそれぞれ備えられている。図1乃至図3に示す第3の開口部13は、略正八角形形状であって、二辺131、131は、向かい合う隅部133の終点を直線状に結ぶように形成されている。矢印D1で示す二辺131、131の間隔は、600mm程度であるから、例えば、作業員が第3の開口部13を通じて中空部100に出入りすることができる。
【0031】
第4の開口部14は、側面103aと隣接する側面103bに備えられている。第4の開口部14は、第3の開口部13と同様の基本的構成を有する。即ち、第4の開口部14は、縦方向Lにおいて相対向して平行する二辺141、141と、高さ方向Hにおいて相対向して平行する二辺142、142と、隅部143とを有する略正八角形形状であって、二辺141、141の間隔D1は600mm程度である。
【0032】
第5の開口部15は、側面103aと相対向する側面103cに備えられており、相対向する第3の開口部13と同様の基本的構成を有する。即ち、第5の開口部15は、横方向Wにおいて相対向して平行する二辺151、151と、高さ方向Hにおいて相対向して平行する二辺152、152と、隅部153とを有する。
【0033】
また、第6の開口部16は、側面103bと相対向する側面103dに備えられており、相対向する第4の開口部14と同様の基本的構成を有する。即ち、第6の開口部16は、縦方向Lにおいて相対向して平行する二辺161、161と、高さ方向Hにおいて相対向して平行する二辺162、162と、隅部163とを有する。
【0034】
図1乃至図3に示したブロック体において、第1及び第2の開口部11、12は、第3〜第6の開口部13〜16と同様の構成を有することができる。
【0035】
上述したように、図1乃至図3の実施形態に係るブロック体において、基体部10はコンクリートを主成分とするから、製造コストを低減することができるともに、優れた機械的強度を有する。しかも、基体部10は六面体であるから安定性に優れており、運送作業を効率的に行うことができる。
【0036】
また、少なくとも二つの開口部、例えば、第1及び第3の開口部11、13のそれぞれは、基体部10において隣接する上面101と、側面103aとに備えられており、且、中空部100に貫通している。この構成によると、ブロック体は、異なる面に第1及び第3の開口部11、13を有するから、例えば、第1の開口部11を通じて中空部100に侵入することができるともに、第3の開口部13を通じて他の方向に移動することができる。
【0037】
本発明の一実施形態に係るブロック体は、上述した構成に加え、開口部の形状に工夫を加えた点に特徴がある。以下、説明の都合上、第3の開口部13を例に説明すると、第3の開口部13は、二辺131、131と、二辺132、132と、隅部133とを有する。二辺131、131と、二辺132、132とは、それぞれ設置面たる側面103aを構成する辺に平行している。隅部133は、斜状のテーパ面であって、二辺131、131と、二辺132、132との交差する部分において、側面103aの四隅に対応する箇所に備えられている。
【0038】
端的に言うと、第3の開口部13は、開口面形状が略八角形形状であって、二辺131、131、及び、二辺132、132の組が互いに交差する隅部133を有するから、二辺131、131、及び、二辺132、132の間隔D1を広く確保することができる。従って、作業員の移動スペースを十分に確保することができる。
【0039】
しかも、第3の開口部13において、隅部133は、斜状、又は、弧状であるから、優れた機械的強度を備えることができる。
【0040】
さらに、隅部133は、斜状、又は、弧状であって、側面103aの四隅に対応する箇所に備えられている構成によると、例えば、図3に示すように第3の開口部13が円形形状Cである場合と比較して重量ロスとなる領域Tを削減することができる。従って、適当な機械的強度を維持したままで、全体重量の軽量化を実現し、もって、輸送コスト、さらには製造コストを低減することができる。
【0041】
中空部100は、第3の開口部13を端面とし、縦方向Lに延びる略八角柱状の空間と、第4の開口部14を端面とし、横方向Wに延びる略八角柱状の空間とが、直交する内部空間である。この構成によると、中空部100が球形形状、又は、円筒形状の場合と比較して、適当な機械的強度を維持したままで、中空部100の容積を広く確保することができる。
【0042】
また、中空部100の容積を広く確保することができることにより、軽量化が図られるからブロック体の製造コスト、輸送コスト、及び、施工コストを低減することができる。
【0043】
図1乃至図3を参照して説明したように、本発明の一実施形態に係るブロック体は、開口部の形状に工夫を加えた点に特徴を有するから、少なくとも第1〜第6の開口部11〜16の一つが、上述した特徴を有するものであれば、具体的な開口部の設置数、及び、設置面は、ブロック体の配置態様に合わせて適宜選択することができる。
【0044】
上述した他の構成に係るブロック体の代表的な実施形態を図4〜図6に示す。図4〜図6は、本発明の更にもう一つの実施形態に係るブロック体の斜視図である。図4〜図6において、図1乃至図3に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0045】
図4は、二つの開口部を有するブロック体の実施形態であって、高さ方向Hに開口する第1の開口部11と、縦方向Lに開口する第3の開口部13とが、隣接する上面101と、側面103aとに備えられている。図4に示す中空部100は、第3の開口部13を端面とし、これが縦方向Lに延びる略八角柱状の内部空間である。
【0046】
さらに、図5は、三つの開口部を有するブロック体の実施形態であって、側面103bにおいて、横方向Wに開口する第4の開口部14を有する。図5に示す中空部100は、第3の開口部13を端面とし、縦方向Lに延びる略八角柱状の空間と、第4の開口部14を端面とし、横方向Wに延びる略八角柱状の空間とが、端部で結合された形状を有する内部空間である。
【0047】
さらに、図6は、四つの開口部を有するブロック体の実施形態であって、側面103cにおいて、縦方向Lに開口する第5の開口部15を有する。図6に示す中空部100は、第4の開口部14を端面とする八角柱状体の空間が、第3及び第5の開口部131、1315を両端面とする八角柱状体の空間の中間部に、結合されている内部空間である。
【0048】
図4乃至図6を参照して説明したブロック体は、図1乃至図3を参照して説明した利点を全て有する。なお、図4乃至図6に示したブロック体は、上下反転、及び、左右反転することによりに、第1の開口部11、及び、第3〜第5の開口部13〜15の相対的な配置を変更することができる。従って、型代に係る製造コストを低減することができる。
【0049】
図1乃至図6を参照して説明したブロック体は、複数が組み合わされて雨水等貯留浸透施設に用いられる。次に、図7〜図11を参照して本発明の一実施形態に係るブロック体を用いた雨水等貯留浸透施設について説明する。図7は本発明の一実施形態に係る雨水等貯留浸透施設の側面断面図、図8は図7に示した雨水等貯留浸透施設の平面断面図、図9は図7及び図8に示した雨水等貯留浸透施設の内部構造を示す斜視図である。
【0050】
また、図10は図9に示した雨水等貯留浸透施設の一部を取り出して示す図、図11は図9に示した雨水等貯留浸透施設の一部を拡大して示す図である。図7〜図11において、図1乃至図6に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0051】
図7乃至図9を参照すると、本発明の一実施形態に係る雨水等貯留浸透施設は、ブロック体1a〜cと、複数の雨水等貯留浸透施設用充填構造体2(以下、単に充填構造体2と称する)と、保護板3と、マンホール斜壁ブロック4とを含み、これらが地中Gにおいて、縦方向L、及び、横方向Wに平面配置されるともに、高さ方向Hに積み重ねられている。
【0052】
図7乃至図9に示した雨水等貯留浸透施設に用いられているブロック体1a〜cについて、さらに図10を参照して説明する。図10に示す複数のブロック体は、開口部の設置数に応じて、ブロック体1a〜1cの3種類を含む。
【0053】
ブロック体1aは、図1〜図3を参照して説明したものでなり、六面全てに第1〜第6の開口部11〜16を有している。ブロック体1bは、貯留空間の底面に備えられる配置態様に応じて、ブロック体1aの構成から第2の開口部12を省略したものである。同様に、ブロック体1cは、貯留空間内での配置態様に対応して、ブロック体1aの構成から、第1及び第2の開口部11、12と、第6の開口部16を省略したものである。図10を参照するとブロック体1cは、同一の構成を有する二つが、縦方向Lの両端において反転され、相対向して配置されている。
【0054】
ブロック体1aは、ブロック体1bの上面101に積み重ねられている。より詳細に説明すると、ブロック体1aは、第2の開口部12が、ブロック体1bの第1の開口部11に位置決めして配置されることにより、その中空部100が、ブロック体1bの中空部100と連通している。
【0055】
さらに、ブロック体1b〜1cは、縦方向Lに連続して平面配置されている。より詳細に説明すると、ブロック体1bは、第1及び第5の開口部13、15のそれぞれが、縦方向Lに隣接するブロック体1cの第4の開口部14に位置決めして配置されることにより、その中空部100が、ブロック体1cの中空部100と連通している。この構成により、組み合わされたブロック体1a〜1cの内部には、縦方向L、及び、高さ方向Hに連続する一体的な中空部100−100が形成される。
【0056】
なお、図10から必ずしも明らかではないが、ブロック体1a〜1cは、周知の結合具を用いて、相互に結合されていることが好ましい。
【0057】
マンホール斜壁ブロック4は、所謂分割型マンホールに用いられる斜壁ブロックを用いることができる。マンホール斜壁ブロック4は、蓋40を有するともに、ブロック体1aの第1の開口部11に位置決めして、その上面101に載置されている。
【0058】
再び図7乃至図9を参照して説明する。充填構造体2は、例えば、面内に貫通孔20を有する合成樹脂板の複数を組み合わせたものである。複数の充填構造体2は、縦方向L、及び、横方向Wに平面配置されるともに、高さ方向Hに積み重ね配置されている。図8を参照すると、充填構造体2は、縦方向Lに連続して配置されるともに、間隔D2ごとに複数のブロック体1a〜cが配置される。間隔D2は、例えば20m程度である。
【0059】
充填構造体2は、生産性、及び、輸送コストの観点から用いられるものであって、充填構造体2の代わりに、例えばブロック体1aを用いることもできる。
【0060】
保護板3は、好ましくは合成樹脂材料でなり、充填構造体2の上面、及び、下面に備えられ、充填構造体2の内部に土砂などが流入する不都合を回避するともに、機械的強度を確保するために用いられる。
【0061】
さらに、図11を参照すると、図9に示すブロック体1aと、充填構造体2との隣接部分において、充填構造体2の上面を被覆する保護板3の端部30が、段差104に密着して配置されている。このようにブロック体1aが、上面101及び下面102の周縁に段差104を有する構成によると、充填構造体2を密着し、且、安定して積み重ねることができる。
【0062】
また、ブロック体1、充填構造体2、保護板3、及び、マンホール斜壁ブロック4の周囲には、通常、雨水等貯留浸透施設の用途に合わせて、遮水層(図示しない)、又は、透水層(図示しない)が備えられる。即ち、雨水等貯留浸透施設が、集水した雨水等の貯留空間として地中に設置される貯留施設である場合には、ビニールシート等の遮水層が備えられる。一方、雨水等貯留浸透施設が、集水した雨水等を一時的に貯留してのち、地中に緩やかに浸透させて排出する浸透施設である場合には不織布等の透水層が備えられる。
【0063】
図7〜図11を参照して説明した雨水等貯留浸透施設は、図1乃至図6を参照して説明したブロック体1の利点を全て含む。例えば、ブロック体1a〜cは、六面体であるから安定性に優れている。従って、地中Gに掘削された貯留空間の底面に確実に配置することができる。
【0064】
図1乃至図3を参照して説明したように、本発明の一実施形態に係るブロック体1a〜cは、開口部の形状に工夫を加えた点に特徴がある。以下、説明の都合上、第3の開口部13を参照して説明すると、第3の開口部13は、直交する二方向において二辺131、131と、二辺132、132と、隅部133とを有する略正八角形形状であるから、優れた機械的強度を備えることができる。
【0065】
しかも、第3の開口部13は、略正八角形形状であって、二辺131、131は、向かい合う隅部133の終点を直線状に結ぶように形成されているから、保守管理作業員の移動スペースが広く確保されている。即ち、作業員は、複数のブロック体1a〜cにより一体的に形成された中空部100−100の内部において、第3の開口部13を通じて、隣接するブロック体1a〜cに侵入するなど、縦方向L、横方向W、及び、高さ方向Wに移動することができる。従って、この種の雨水等貯留浸透施設の保守管理作業において、貯留空間の広範囲に堆積した堆積物を、ドレインホース等を用いて効率的に除去することができる。
【0066】
また、第3の開口部13は、二辺131、131と、二辺132、132とが交差する部分に、それぞれ隅部133が備えられている構成によると、機械的強度を維持したままで、全体重量の軽量化を実現することができる。従って、複数のブロック体1a〜cの平面配置作業、及び、積み重ね作業に係る施工コストを低減することができる。
【0067】
さらに、マンホール斜壁ブロック4は、ブロック体1aに載置されるから、例えば、充填構造体2にマンホール斜壁ブロック4を支持するだけの機械的強度がない場合であっても、雨水等貯留浸透施設に充填構造体2を用いることができるとともに、充填構造体2の内部に堆積した塵埃等を効率的に除去することができる。
【0068】
図12は、本発明の更にもう一つの実施形態に係るブロック体の組み合わせ態様を示す斜視図である。図12において、図1〜図11に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0069】
図1乃至図11を参照して説明したように、本発明に係るブロック体は、配置態様に応じて、第1〜第6の開口部11〜16の設置数、及び、設置面を適宜設定することができる。従って、図12に示したブロック体1a〜gの組み合わせ態様においても、図1乃至図11を参照して説明した利点を全て有する。
【0070】
しかも、図12に示したブロック体1a〜gは、例えば、図1乃至図6を参照して説明したブロック体1を上下反転、又は、左右反転することにより得ることができる。従って、この種のブロック体において型代に関する製造コストを低減することができる。
【0071】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係るブロック体の斜視図である。
【図2】図1に示したブロック体の正面図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】本発明のもう一つの実施形態に係るブロック体の斜視図である。
【図5】本発明の更にもう一つの実施形態に係るブロック体の斜視図である。
【図6】本発明の更にもう一つの実施形態に係るブロック体の斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る雨水等貯留浸透施設の側面断面図である。
【図8】図7に示した雨水等貯留浸透施設の平面断面図である。
【図9】図7及び図8に示した雨水等貯留浸透施設の内部構造を示す斜視図である。
【図10】図9に示した雨水等貯留浸透施設の一部を取り出して示す図である。
【図11】図9に示した雨水等貯留浸透施設の一部を拡大して示す図である。
【図12】本発明の更にもう一つの実施形態に係るブロック体の斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
1(a〜f) ブロック体
10 基体部
100 中空部
104 切欠
11〜16 第1〜第6の開口部
131〜161 高さ方向において平行する二辺
132〜162 横方向において平行する二辺
133〜163 隅部
4 マンホール斜壁ブロック


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体部と、中空部と、少なくとも二つの開口部とを有する雨水等貯留浸透施設用コンクリートブロック体であって、
前記基体部は、コンクリートを主成分とする六面体であり、
前記中空部は、非球形形状、又は、非円筒形形状であって、前記基体部の内部に備えられており、
前記開口部は、前記基体部において異なる二側面に備えられ、前記中空部に貫通しており、
前記開口部の少なくとも一つは、直交する二方向に、相対向して平行する二辺を有し、
前記二辺のそれぞれは、前記側面の辺と平行であり、
前記二辺の組が互いに交差する隅部は、斜状、又は、弧状であって、前記側面の隅に対応する箇所に備えられている、
コンクリートブロック体。
【請求項2】
請求項1に記載されたブロック体であって、前記基体部は、相対向する側面の少なくとも一方の周縁に段差を有する、
コンクリートブロック体。
【請求項3】
複数のブロック体を含む雨水等貯留浸透施設であって、
前記ブロック体は、請求項1又は2に記載されたものでなり、その複数が組み合わされ、地中に埋設されている、雨水等貯留浸透施設。
【請求項4】
請求項3に記載された雨水等貯留浸透施設であって、
前記複数のブロック体は、縦方向、横方向、又は、高さ方向の少なくとも一方向に配置されている、雨水等貯留浸透施設。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された雨水等貯留浸透施設であって、さらにマンホール斜壁ブロックを含み、
前記マンホール斜壁ブロックは、ブロック体に載置されている、
雨水等貯留浸透施設。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−107342(P2007−107342A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301637(P2005−301637)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(591084654)エバタ株式会社 (35)
【Fターム(参考)】