説明

雲台機能付きクレードル

【課題】撮像装置を確実に固定することができるとともに、該固定作業の容易化を図ることができる雲台機能付きクレードルを提供する。
【解決手段】この雲台機能付クレードルは、撮像装置が着脱自在に装着される装着部5と、該装着部5に装着された撮像装置を回転動作させる回転部2と、を備える。装着部5は、回転部2の回転動作と独立して回転可能に配置される。また、この雲台機能付クレードルは、撮像装置が非撮影領域から撮影領域に回転移動するまでの該非撮影領域での該回転部の回転力を装着部に伝達する回転力伝達機構6,7,8,19,9,10を備える。そして、回転力伝達機構によって回転部2の回転力が伝達された装着部5の回転動作により、該装着部5に撮像装置を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタルカメラ等の撮像装置が着脱自在に装着される装着部と、該装着部に装着された撮像装置を回転動作させる回転部と、を備える雲台機能付クレードルに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラを装着した雲台機能付きクレードルと外部のパソコンなどの接続機器との間で通信を行うものがある(特許文献1参照)。また、近年、室内の様子を監視するための簡易監視カメラで、留守中の室内を外出先から見ることができるものが提案されている。
【特許文献1】特開2004−096440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば、デジタルカメラを雲台機能付きクレードルに装着し、該クレードルにデジタルカメラを回転させる機構を設けることにより、既存のデジタルカメラを監視専用のカメラとして利用することができる。
【0004】
しかし、上記特許文献1では、デジタルカメラを雲台機能付きクレードルに嵌め込むだけで装着する構造であるため、デジタルカメラを水平方向や垂直方向に回転させた場合、デジタルカメラが動いてしまう。
【0005】
この場合、雲台機能付きクレードルに三脚ねじ軸を設け、該三脚ねじ軸をデジタルカメラに設けられた三脚ねじ穴に螺合することで、雲台機能付きクレードルにデジタルカメラを強固に固定することができる。
【0006】
しかし、三脚ねじ穴はデジタルカメラの底面にあり、電動雲台クレードルが下側に位置するため、デジタルカメラの固定作業が面倒である。
【0007】
そこで、本発明は、撮像装置を確実に固定することができるとともに、該固定作業の容易化を図ることができる雲台機能付きクレードルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の雲台機能付きクレードルは、撮像装置が着脱自在に装着される装着部と、該装着部に装着された前記撮像装置を回転動作させる回転部と、を備える雲台機能付クレードルであって、前記装着部を前記回転部の回転動作と独立して回転可能に配置するとともに、該回転部の回転力を前記装着部に伝達する回転力伝達機構を備え、該回転力伝達機構によって前記回転部の回転力が伝達された前記装着部の回転動作により、該装着部に前記撮像装置を固定する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の雲台機能付きクレードルは、撮像装置が着脱自在に装着される装着部と、該装着部に装着された前記撮像装置を回転動作させる回転部と、を備える雲台機能付クレードルであって、前記撮像装置を保持した状態で該撮像装置を前記装着部に対して接近離間移動可能に設けられる保持部と、該保持部の前記装着部に対する接近動作を該装着部の回転動作に変換する変換機構と、を備え、前記装着部の回転動作により、該装着部に前記撮像装置を固定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像装置を確実に固定することができるとともに、該固定作業の容易化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の態様の実施の形態である雲台機能付きクレードルの全体斜視図であり、デジタルカメラを装着した状態を示す図、図2は図1に示す雲台機能付きクレードルからデジタルカメラを取り外した状態を示す斜視図である。図3は図1の上面図、図4は図1に示す雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。図5は図3の状態から雲台機能付きクレードルをパン方向に回転させた状態を示す図、図6は図5の状態での雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。
【0013】
図7は図5の状態から雲台機能付きクレードルをさらにパン方向に回転させた状態を示す図、図8は図7の状態での雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図、図9は図8のD−D線断面図である。図10は雲台機能付きクレードルに装着されたデジタルカメラが正面を向いた状態を示す図、図11は図10の状態での雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。
【0014】
図12は図11の矢印F方向から見た雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図、図13および図14は雲台機能付きクレードルのチルト回転動作を説明するための断面図である。図15は雲台機能付きクレードルのデジタルカメラの撮影領域でのパン回転動作の限界位置を説明するための図、図16は図15の状態での雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。
【0015】
本発明の第1の態様の実施の形態の一例である雲台機能付きクレードルは、図1および図2に示すように、下筐体4、上筐体(第1の回転部)2およびカメラ固定台(第2の回転部)3を備える。
【0016】
上筐体2は、下筐体4に対してパン方向(図2の矢印BーB′方向)に回転可能に配置され、カメラ固定台3は、上筐体2に対してチルト方向(図2の矢印A−A′方向)に回転可能に配置されている。カメラ固定台3にはデジタルカメラ(撮像装置)1が着脱自在に装着されており、カメラ固定台3の周壁はデジタルカメラ1を装着するときの案内壁となる。
【0017】
また、図2および図3に示すように、カメラ固定台3の底壁には、デジタルカメラ1の底面に形成された三脚ねじ穴(不図示)に螺合される三脚ねじ軸(装着部)5が突設されており、該三脚ねじ軸5は上筐体2の回転動作と独立して回転可能とされている。
【0018】
三脚ねじ軸5の下端には、図4および図9に示すように、三脚ねじギヤ6が一体に設けられている。三脚ねじギヤ6が回転すると三脚ねじ5も同じく回転をするが、三脚ねじ5と三脚ねじギヤ6との間にはある一定のトルクですべるトルクリミッター(不図示)が介装されている。
【0019】
図4および図9に示すように、三脚ねじギヤ6にはギヤ7が噛合し、ギヤ7と一体のギヤ8にはギヤ19が噛合し、ギヤ19にはギヤ9が噛合している。また、下筐体4にはギヤ9が噛合するねじギヤ10が固定されている。ねじギヤ10は、上筐体2のパン回転中心軸と略同一なピッチ円中心を持つ内歯車とされている。下筐体1の底壁にはパンモータ19が設置され、パンモータ19のモータ軸には、上筐体2に固定されたパン回転ギヤ12に噛合するパンモータギヤ11が固定されている。
【0020】
また、図4および図12に示すように、上筐体2にはチルトモータ13が設置され、チルトモータ13のモータ軸にはチルトギヤ14が固定されている。チルトギヤ14にはチルトギヤ15が噛合し、チルトギヤ15にはカメラ固定台3に固定されたチルトギヤ16が噛合している。カメラ固定台3は回転支点17を中心にチルト方向に回転する。
【0021】
図3、図4のカメラ固定台3の位置はデジタルカメラ1を装着したり、取り外したりする位置を示している。図5.図6は図3、図4の状態より上筐体2が図中で反時計回り方向に回転した状態を示している。図7、図8は上筐体2がさらに反時計回り方向に回転した状態を示している。
【0022】
そして、図3、図4の位置でデジタルカメラ1をカメラ固定台3に載せると、その重さでカメラ固定台3の内部に配置された不図示のスイッチがONし、同時にパンモータ18が反時計回り方向に回転する。パンモータ18が回転すると、モータ軸と一体となっているパンモータギヤ11が回転するとともに、パンモータギヤ11に噛合するパン回転ギヤ12が回転する。これにより、パン回転ギヤ12が固定されている上筐体2がパン方向に回転する。
【0023】
上筐体2が反時計回り方向に回転を始めると、下筐体4に固定されたねじギヤ10に噛合するギヤ9が時計回り方向に回転し、ギヤ9に噛合するギヤ19が反時計回り方向に回転し、ギヤ19に噛合するギヤ8およびギヤ7が時計回り方向に回転する。ギヤ7は三脚ねじギヤ6に噛合しているので、三脚ねじ軸5は反時計回り方向に回転して、カメラ固定台3に載せられたデジタルカメラ1の三脚ねじ穴に回転しながら入り込む。
【0024】
そして、図5、図6の位置まで上筐体2が回転すると、三脚ねじ軸5の回転により該三脚ねじ軸5がデジタルカメラ1の三脚ねじ穴に締め付け固定され、デジタルカメラ1は完全にカメラ固定台3に固定される。このとき、三脚ねじ軸5と三脚ねじギヤ6の間に配置されたトルクリミッターによりデジタルカメラ1の三脚ねじ穴に対する三脚ねじ軸5の締めすぎが回避される。
【0025】
上筐体2の回転位置が図5、図6の位置をすぎると、ギヤ9とねじギヤ10との噛み合いが外れ、次いで、上筐体2はさらに反時計回り方向に回転して、図7、図8の位置まで到達する。上筐体2がさらに反時計回り方向に回転し、電動雲台クレードルの正面位置、つまり図10、図11の位置まで到達すると、その回転位置がパン回転ギヤ12に内蔵された不図示の位置センサーに検出されて、上筐体2の回転が停止する。この停止位置が雲台機能付きクレードルの動作開始位置となる。デジタルカメラ1は、図10、図11の動作開始位置からC又はC′(図15および図16)までパン回転して撮影位置を変えることができる。
【0026】
チルト方向の回転については、図12に示すように、チルトモータ13がたとえば図中で時計回り方向に回転することにより、チルトモータ13のモータ軸に固定されたチルト回転ギヤ14が時計回り方向に回転する。また、チルト回転ギヤ14に噛合するチルトギヤ15が反時計回り方向に回転し、チルトギヤ15に噛合するチルトギヤ16が時計回り方向に回転する。チルトギヤ16はカメラ固定台3と一体になっているのでカメラ固定台3は図2でのA′方向にチルト回転して図14に示す状態となり、デジタルカメラ1は上方向を撮影できるようになる。
【0027】
また、これとは逆にチルトモータ13が反時計回り方向に回転すると、カメラ固定台3は図2のA方向にチルト回転して図13に示す状態となり、デジタルカメラ1は下方向を撮影できるようになる。チルト方向の回転動作はパン方向の回転動作と独立しているので、カメラ固定台3が図10のC−C′の範囲でパン回転している間にチルト回転を組み合わせれば好みの位置での撮影が可能となる。
【0028】
デジタルカメラ1をカメラ固定台3から取り外す場合は、まず、下筐体4に配置された不図示のEJECTボタンを押すと、図12に示すようにカメラ固定台3が水平位置に戻るようにチルトモータ13が回転駆動される。
【0029】
そして、この状態で、上筐体2が図10のCの位置を越えて回転すると、上述したデジタルカメラ1のカメラ固定台3への固定手順と逆の方向に三脚ねじ軸5が回転する。これにより、図3、図4の位置でデジタルカメラ1の三脚ねじ穴に強固に締め付けられていた三脚ねじ軸5が該三脚ねじ穴から外れ、デジタルカメラ1を電動雲台クレードルから取り外すことができる。
【0030】
以上説明したように、この実施の形態では、上筐体2を回転動作させるだけで、カメラ固定台3に配置された三脚ねじ軸5をデジタルカメラ1の三脚ねじ穴に強固に締め付け固定することができる。これにより、デジタルカメラ1を雲台機能付きクレードルに確実に固定することができるとともに、該固定作業の容易化を図ることができる。
【0031】
また、上筐体2を固定時の逆方向に回転動作させるだけで、カメラ固定台3に配置された三脚ねじ軸5をデジタルカメラ1の三脚ねじ穴から離脱させることができるので、雲台機能付きクレードルからデジタルカメラ1を簡単に取り外すことができる。
【0032】
さらに、カメラ固定台3に配置された三脚ねじ軸5をデジタルカメラ1の三脚ねじ穴に強固に締め付け固定しているので、デジタルカメラ1を雲台機能付きクレードルに確実に固定することができる。従って、デジタルカメラ1をパン方向およびチルト方向に回転させても、デジタルカメラ1が雲台機能付きクレードルから外れて落下することなく、該デジタルカメラ1を安全に動作させることができる。
【0033】
次に、図17〜図27を参照して、本発明の第2の態様の実施の形態の一例である雲台機能付きクレードルについて説明する。
【0034】
図17は本発明の第2の態様の実施の形態の一例である雲台機能付きクレードルの全体斜視図であり、デジタルカメラを装着した状態を示す図、図18は図17の側面図、図19および図20は雲台機能付きクレードルのチルト回転動作を説明するための図である。
【0035】
図21は雲台機能付きクレードルに装着されたデジタルカメラが正面を向いた状態を示す図、図22は雲台機能付きクレードルのパン回転動作を説明するための図、図23は雲台機能付きクレードルのパン回転動作の限界位置を説明するための図である。
【0036】
図24は雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図、図25および図26は雲台機能付きクレードルにデジタルカメラを装着する動作を説明するための断面図、図27は雲台機能付きクレードルにデジタルカメラが装着された状態を示す断面図である。
【0037】
本発明の第2の態様の実施の形態である雲台機能付きクレードルは、図17に示すように、下筐体24、上筐体(回転部)23、デジタルカメラ(撮像装置)21を保持するカメラ保持部(保持部)22、およびカメラ固定台25を備える。
【0038】
カメラ保持部22はカメラ固定台25に一体に固定されており、カメラ保持部22に保持されたデジタルカメラ21は、図18に示すように、矢印A−A′方向にチルト回転可能とされている。図19に示すように、デジタルカメラ21を下方に向けたい場合は、図18の矢印A方向にチルト回転させ、図20に示すように、デジタルカメラ21を上方向に向けたい場合は、図18の矢印A′方向にチルト回転させる。
【0039】
また、図21に示すように、上筐体2の矢印B−B′方向の回転動作によりデジタルカメラ21は雲台機能付きクレードルの正面位置から矢印B又はB′方向にパン回転可能とされている。デジタルカメラ21を雲台機能付きクレードルの正面位置から矢印B′方向にパン回転させた場合は、図22に示すC′位置が限界位置とされる。デジタルカメラ21を雲台機能付きクレードルの正面位置から矢印B方向にパン回転させた場合は、図23に示すC位置が限界位置とされる。
【0040】
図24はデジタルカメラ21を雲台機能付きクレードルに装着しようとしている状態を示しており、上筐体23にはカメラ固定台25のベース部材26がチルト支点41を中心にチルト方向に回転可能に支持されている。また、ベース部材26の上面には、デジタルカメラ21の底面に形成された三脚ねじ穴(不図示)に螺合される三脚ねじ軸(装着部)35が突設されており、該三脚ねじ軸37は独立して回転可能とされている。
【0041】
ベース部材26とカメラ固定台25との間には、圧縮コイルばね27が介装されており、カメラ固定台25は、圧縮コイルばね27の付勢力に抗してベース部材26に接近移動し、圧縮コイルばね27の付勢力によってベース部材26から離間移動する。カメラ固定台25がベース部材26に対して接近離間移動する際には、カメラ固定台25はベース部材26に設けられたガイドローラ28によって案内される。
【0042】
カメラ固定台25の側部には、ラック29が設けられている。ラック29には、ギヤ30が噛合し、ギヤ30にはギヤ31が噛合し、ギヤ31にはギヤ52に噛合し、ギヤ52にはギヤ53が噛合し、ギヤ53にはスグバカサ歯車32が一体に固定されている。
【0043】
また、スグバカサ歯車32にはスグバカサ歯車33が噛合し、スグバカサ歯車33にはスグバカサ歯車34が噛合し、スグバカサ歯車34にはギヤ34aが一体に固定されている。ギヤ34aは、三脚ねじ軸37の下端にトルクリミッター36を介して一体に設けられた三脚ギヤ35に噛合している。
【0044】
上筐体23には、ベース部材26をチルト支点41を中心にチルト回転させるためのチルトモータ38が設置されており、チルトモータ38のモータ軸にはウォームからなるチルトモータギヤ39が固定されている。チルトモータギヤ39にはベース部材26のチルト回転軸に固定されたチルト回転ギヤ40に噛合している。
【0045】
下筐体24には、上筐体23をパン方向に回転させるためのパンモータ42が設置されており、パンモータ42のモータ軸にはウォームからなるパンモータギヤ43が固定されている。パンモータギヤ43は、上筐体23の底部に突設されたパン回転軸25に固定されているパンギヤ44に噛合している。
【0046】
また、ベース部材26には、ロックレバー47がロックレバー支点50を中心に回転可能に支持されており、ロックレバー47はロックばね46によって図の反時計回り方向に付勢されている。また、ロックレバー47には、カメラ保持部22の底部から下方に延びるロックプレート49を係脱可能に係止するロックピン48がかしめ等により一体に固定されている。なお、図において符号51は、ロックレバー47のストッパーである。
【0047】
次に、図24〜図27を参照して、デジタルカメラ21を雲台機能付きクレードルに装着する方法について説明する。
【0048】
図24において、カメラ保持部22に保持されたデジタルカメラ21を圧縮コイルばね27に付勢力に抗して、図25、図26に示すように、下方向に押すことにより、カメラ固定台25がカメラ保持部22およびデジタルカメラ21と一体となって下方に移動する。このとき、カメラ固定台25に設けられたラック29に噛合するギヤ30が、図の反時計回り方向に回転をする。
【0049】
ギヤ30が反時計回り方向に回転すると、ギヤ30に噛合するギヤ31が時計回り方向に回転し、ギヤ31に噛合するギヤ52が反時計回り方向に回転する。また、ギヤ52に噛合するギヤ53は時計回り方向に回転し、ギヤ53と一体に設けられたスグバカサ歯車32は図中で同じく時計回り方向に回転をする。
【0050】
スグバカサ歯車32に噛合するスグバカサ歯車33は図の上方向から下方向に回転し、スグバカサ歯車33に噛合するスグバカサ歯車34は該スグバカサ歯車34と一体に設けられたギヤ34aと共に図の右方向から左方向へ回転をする。これにより、ギヤ34aに噛合する三脚ギヤ35が図中で右方向から左方向へ回転をする。
【0051】
三脚ギヤ35にはトルクリミッター36を介して三脚ねじ軸27が連結されているので、三脚ねじ軸37は三脚ギヤ35と一体に回転してデジタルカメラ21の底部の三脚ねじ穴に入り込んで螺合され(図26参照)、図27の位置で強固に締め付け固定される。このとき、三脚ねじ軸37と三脚ギヤ35の間に配置されたトルクリミッター36によりデジタルカメラ21の三脚ねじ穴に対する三脚ねじ軸37の締めすぎが回避される。なお、三脚ねじ軸37の回転速度は、歯車機構にデジタルカメラ21の三脚ねじ穴に入り込むねじのピッチと同一になるように調整されている。
【0052】
また、図27の状態では、ロックレバー47がロックばね46の付勢力により図の反時計回り方向に回転してロックピン48がカメラ保持部22の底部から延びるロックプレート49を係止する。これにより、カメラ固定台25がベース部材26に固定される。
【0053】
また、図27において、チルトモータ38が時計回り方向に回転すると、チルトモータギヤ39も時計回り方向に回転し、チルトモータギヤ39に噛合するチルト回転ギヤ40が図の上方向から下方向へ回転をする。これにより、ベース部材26がチルト支点41を中心にデジタルカメラ21が下向きになるようにチルト回転する(図19参照)。また、チルトモータ38が反時計回り方向に回転をすると、ベース部材26がチルト支点41を中心にデジタルカメラ21が上向きになるようにチルト回転する(図20参照)。
【0054】
図27において、パンモータ42が時計回り方向に回転すると、パンモータギヤ43も同じく時計回り方向に回転し、パンモータギヤ43に噛合するパンギヤ44は図の右方向から左方向へ回転する。パン回転軸45はパンギヤ44と一体に配置されており、かつ、パン回転軸45は上筐体23に固定されているため、パンモータ42が時計回り方向に回転することにより、デジタルカメラ21は図23の位置に配置される。また、パンモータ42が反時計回り方向に回転することにより、デジタルカメラ21は図22の位置に配置される。
【0055】
図27において、雲台機能付きクレードルからデジタルカメラ21を取り外す場合は、上筐体23に配置されて、ロックレバー47と連動している不図示のロック解除ボタンを操作する。これにより、ロックレバー47がロックレバー回転支点50を中心に図の時計回り方向に回転して、ロックピン48がロックプレート49から外れ、圧縮コイルばね27に付勢力によりカメラ固定台25が上方に移動する。
【0056】
このとき、ラック29に噛合するギヤ30が時計回り方向に回転し、ギヤ30に噛合するギヤ31が反時計回り方向に回転し、ギヤ31に噛合するギヤ52が時計回り方向に回転する。ギヤ52に噛合するギヤ53は反時計回り方向に回転し、スグバカサ歯車32も反時計回り方向に回転する。
【0057】
また、スグバカサ歯車32に噛合するスグバカサ歯車33は図の下方向から上方向に回転し、スグバカサ歯車33に噛合するスグバカサ歯車34はギヤ34aと共に図の左方向から右方向へ回転する。ギヤ34aに噛合する三脚ギヤ35は図の右方向から左方向へ回転し、三脚ギヤ35にトルクリミッター36を介して連結された三脚ねじ軸37はデジタルカメラ21の三脚ねじ穴から外れる方向に回転する。
【0058】
そして、カメラ固定台25が上方向へ移動すると、三脚ねじ軸37はデジタルカメラ21の三脚ねじ穴から外れ、更に圧縮コイルばね27の付勢力によりカメラ固定台25は上方向に移動し、図24に示す状態になる。これにより、雲台機能付きクレードルからデジタルカメラ21を取り外すことができる。
【0059】
以上説明したように、この実施の形態では、デジタルカメラ21を押して、カメラ固定台25を下方に移動させるだけで、ベース部材26に配置された三脚ねじ軸37をデジタルカメラ21の三脚ねじ穴に強固に締め付け固定することができる。これにより、デジタルカメラ21を雲台機能付きクレードルに確実に固定することができるとともに、該固定作業の容易化を図ることができる。
【0060】
また、ロック解除ボタンを操作するだけで、上筐体2を固定時に逆方向に回転動作させるだけで、ベース部材26に配置された三脚ねじ軸37をデジタルカメラ21の三脚ねじ穴から離脱させることができるので、雲台機能付きクレードルからデジタルカメラ21を簡単に取り外すことができる。
【0061】
さらに、ベース部材26に配置された三脚ねじ軸37をデジタルカメラ21の三脚ねじ穴に強固に締め付け固定しているので、デジタルカメラ21を雲台機能付きクレードルに確実に固定することができる。従って、デジタルカメラ21をパン方向およびチルト方向に回転させても、デジタルカメラ21が雲台機能付きクレードルから外れて落下することなく、該デジタルカメラ21を安全に動作させることができる。
【0062】
なお、本発明の撮像装置、装着部、回転部、回転力伝達機構、保持部、変換機構、付勢手段、係止部等の構成は上記実施の形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の態様の実施の形態である雲台機能付きクレードルの全体斜視図であり、デジタルカメラを装着した状態を示す図である。
【図2】図1に示す雲台機能付きクレードルからデジタルカメラを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図1の上面図である。
【図4】図1に示す雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。
【図5】図3の状態から雲台機能付きクレードルをパン方向に回転させた状態を示す図である。
【図6】図5の状態での雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。
【図7】図5の状態から雲台機能付きクレードルをさらにパン方向に回転させた状態を示す図である。
【図8】図7の状態での雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。
【図9】図8のD−D線断面図である。
【図10】雲台機能付きクレードルに装着されたデジタルカメラが正面を向いた状態を示す図である。
【図11】図10の状態での雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。
【図12】図11の矢印F方向から見た雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。
【図13】雲台機能付きクレードルのチルト回転動作を説明するための断面図である。
【図14】雲台機能付きクレードルのチルト回転動作を説明するための断面図である。
【図15】雲台機能付きクレードルのデジタルカメラの撮影領域でのパン回転動作の限界位置を説明するための図である。
【図16】図15の状態での雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第2の態様の実施の形態の一例である雲台機能付きクレードルの全体斜視図であり、デジタルカメラを装着した状態を示す図である。
【図18】図17の側面図である。
【図19】雲台機能付きクレードルのチルト回転動作を説明するための図である。
【図20】雲台機能付きクレードルのチルト回転動作を説明するための図である。
【図21】雲台機能付きクレードルに装着されたデジタルカメラが正面を向いた状態を示す図である。
【図22】雲台機能付きクレードルのパン回転動作を説明するための図である。
【図23】雲台機能付きクレードルのパン回転動作の限界位置を説明するための図である。
【図24】雲台機能付きクレードルの内部構造を説明するための断面図である。
【図25】雲台機能付きクレードルへのデジタルカメラの装着動作を説明するための断面図である。
【図26】雲台機能付きクレードルへのデジタルカメラの装着動作を説明するための断面図である。
【図27】雲台機能付きクレードルにデジタルカメラが装着された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 デジタルカメラ(撮像装置)
2 上筐体(第1の回転部)
3 カメラ固定台 (第2の回転部)
4 下筐体
5 三脚ねじ軸(装着部)
6 三脚ねじギヤ
7 ギヤ
8 ギヤ
9 ギヤ
10 ねじギヤ(内歯車)
11 パンモータギヤ
12 パン回転ギヤ
13 チルトモータ
14 チルトギヤ
15 チルトギヤ
16 チルトギヤ
17 チルト回転支点
18 パンモータ
19 ギヤ
21 デジタルカメラ(撮像装置)
22 カメラ保持部(保持部)
23 上筐体(回転部)
24 下筐体
25 カメラ固定台
26 ベース部材
27 圧縮コイルばね(付勢手段)
28 ガイドローラ
29 ラック
30 ギヤ
31 ギヤ
32 スグバカサ歯車
33 スグバカサ歯車
34 スグバカサ歯車
35 三脚ギヤ
36 トルクリミッター
37 三脚ねじ軸(装着部)
38 チルトモータ
39 チルトモータギヤ
40 チルトギヤ
41 チルト支点
42 パンモータ
43 パンモータギヤ
44 パンギヤ
45 パン回転軸
46 ロックバネ
47 ロックレバー
48 ロックピン(係止部)
49 ロックプレート
50 ロックレバー支点
51 ロックレバーストッパー
52 ギヤ
53 ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置が着脱自在に装着される装着部と、該装着部に装着された前記撮像装置を回転動作させる回転部と、を備える雲台機能付クレードルであって、
前記装着部を前記回転部の回転動作と独立して回転可能に配置するとともに、該回転部の回転力を前記装着部に伝達する回転力伝達機構を備え、該回転力伝達機構によって前記回転部の回転力が伝達された前記装着部の回転動作により、該装着部に前記撮像装置を固定する、
ことを特徴とする雲台機能付クレードル。
【請求項2】
前記回転力伝達機構は、前記撮像装置が撮影領域から非撮影領域に回転移動する際の該非撮影領域での前記回転部の回転力を前記装着部に伝達し、該回転力伝達機構によって前記回転部の回転力が伝達された前記装着部の回転動作により、該装着部から前記撮像装置が離脱する、
ことを特徴とする請求項1に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項3】
前記回転部は、パン方向およびチルト方向の少なくとも一方の方向に回転動作する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項4】
前記回転力伝達機構が歯車機構である、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項5】
前記回転部の回転方向がパン方向とされ、前記歯車機構は、固定側に設けられた内歯車と、該回転部側に設けられた外歯車と、を有し、前記内歯車のピッチ円中心が、前記回転部の回転中心と略同一である、
ことを特徴とする請求項4に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項6】
前記装着部がねじ軸である、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項7】
前記ねじ軸が、前記撮像装置に設けられた三脚ねじ穴に螺合される三脚ねじ軸である、 ことを特徴とする請求項6に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項8】
前記回転部は、パン方向に回転動作する第1の回転部と、前記装着部が設けられて、チルト方向に回転動作する第2の回転部と、を有し、前記回転力伝達機構は、前記第1の回転部の回転力を前記装着部に伝達する、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項9】
前記装着部からの前記撮像装置の離脱動作が終了する前に、前記第2の回転部を略水平位置に回転動作させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項10】
撮像装置が着脱自在に装着される装着部と、該装着部に装着された前記撮像装置を回転動作させる回転部と、を備える雲台機能付クレードルであって、
前記撮像装置を保持した状態で該撮像装置を前記装着部に対して接近離間移動可能に設けられる保持部と、該保持部の前記装着部に対する接近動作を該装着部の回転動作に変換する変換機構と、を備え、前記装着部の回転動作により、該装着部に前記撮像装置を固定する、
ことを特徴とする雲台機能付きクレードル。
【請求項11】
前記変換機構は、前記保持部の前記装着部に対する離間動作を該装着部の回転動作に変換し、前記装着部の回転動作により、該装着部から前記撮像装置が離脱する、
ことを特徴とする請求項10に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項12】
前記保持部を前記装着部から離間する方向に付勢する付勢手段と、前記撮像装置が前記装着部に固定されたときに前記保持部を係脱可能に係止する係止部と、を備える、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項13】
前記変換機構が歯車機構である、
ことを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項14】
前記歯車機構は、前記保持部に設けられたラックを有する、
ことを特徴とする請求項13に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項15】
前記装着部がねじ軸である、
ことを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載の雲台機能付きクレードル。
【請求項16】
前記ねじ軸が、前記撮像装置に設けられた三脚ねじ穴に螺合される三脚ねじ軸である、
ことを特徴とする請求項15に記載の雲台機能付きクレードル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2008−99183(P2008−99183A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281524(P2006−281524)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】