説明

電力ケーブル接続用ゴムユニット

【課題】簡易な構成で、高電圧に適用した場合でも半導電塗料塗布端部に電界が集中する虞のないようにする。
【解決手段】電力ケーブル接続用ゴムユニット1aは、絶縁筒2aと、内部半導電層3と、第1のストレスコーン4aと、第2のストレスコーン4bと、絶縁筒の外周面に設けられる半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層5aと、外部半導電層を長手方向に縁切りする縁切り部とを備えている。第1、第2のストレスコーンには、それぞれ絶縁筒の端部側から中央部外周側に向かって滑らかに拡径する円弧状内周面を有する電界緩和部40a、40bが設けられ、絶縁筒の外周部で、かつ第1のストレスコーンの第2のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成るベルマウス部6が設けられている。外部半導電層は、ベルマウス部の外周面から第2のストレスコーンの絶縁筒の他端部側の外周面または外側面に跨って設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブル接続用ゴムユニットに係わり、特に、高圧CVケーブル(架橋ポリエチレンケーブル)の導体接続部の外周に装着される縁切り部を有する電力ケーブル接続用ゴムユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、一対の電力ケーブルを接続する1ピース式の中間接続部において、ケーブルの布設長が長くクロスボンドを必要とする場合には、一対の電力ケーブルの遮蔽層を電気的に絶縁する、いわゆる縁切り部を有する電力ケーブル接続用ゴムユニットが設けられている。
【0003】
従来から、この種の縁切り部を有する電力ケーブル接続用ゴムユニットとしては、弾性材から成る絶縁筒と、絶縁筒の中央部内周に設けられる円筒状の内部半導電層と、絶縁筒の両端部側の内部に絶縁筒と同心状に埋設される一対のラッパ状のストレスコーンと、絶縁筒の外周面に半導電ゴムのモールド成型によって設けられる外部半導電層とを備えて成るものが使用されている。
【0004】
一方、近時においては、ゴム絶縁筒の外周に設けられる外部半導電層は、外部半導電層のモールド成型の工程を省略する観点から、半導電塗料の塗布層で形成されている(例えば、特許文献1、2、3)。
【0005】
しかしながら、外部半導電層を半導電塗料の塗布層で形成する場合は、縁切り部を有しない電力ケーブル接続用ゴムユニットにおいては、ゴム絶縁筒の両端部に埋設される半導電性のストレスコーンの両端部に跨って半導電塗料の塗布層が形成されるため、半導電塗料の塗布層の端部(以下「半導電塗料塗布端部」という。)は電気的に問題とならないが、縁切り部を有する電力ケーブル接続用ゴムユニットにおいては、半導電塗料の塗布層の厚さが薄くなるため半導電塗料塗布端部に電界が集中し、当該部分が絶縁の弱点部になる虞があった。
【0006】
このため、(イ)半導電塗料塗布端部を半導電性の電界緩和用環状部で同心的に取り囲んで成るものや(例えば、特許文献4)、(ロ)図10に点線で示すように、絶縁筒100の外周に塗布する半導電塗料の塗布層200を、一方のストレスコーン300aの小径部側310aの外周面から図中A部に跨って設けて成るものが案出されている。ここで、A部は、他方のストレスコーン300bの軸線と直交し、かつ他方のストレスコーン300bの大径部側320bの端面に当接する直線L10の近傍であって、当該直線L10よりも絶縁筒100の一端部側(図中左側)寄りに位置している。なお、図中、符号400は内部半導電層を示している。
【0007】
しかしながら、(イ)の電力ケーブル接続用ゴムユニットにおいては、電界緩和用環状部が半導電性テープをラップ巻きしてなる半導電性テープ巻回層や半導電性のゴム材料により形成された環状の電極部材などで構成されていることから、半導電性テープや電極部材の別部品が必要になる上、半導電性テープのラップ巻による取付け工程や電極部材の取り付け工程が必要になるという難点があった。このため、より簡易な構成の電力ケーブル接続用ゴムユニットの開発が望まれている。
【0008】
また、(ロ)の電力ケーブル接続用ゴムユニットでは、半導電塗料塗布端部が前述の直線L10よりも絶縁筒100の一端部側寄りに位置するため、電界の集中を回避できるものの、使用電圧が高くなるほど、エッジとなる半導電塗料塗布端部に電界が集中し、電気的に問題になる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭55−2357号公報
【特許文献2】特開2005−12933号公報
【特許文献3】特開2008−67597号公報
【特許文献4】特開2009−100592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の難点を解決するためになされたもので、絶縁筒の外周に半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層を形成し、かつ当該外部半導電層の端部にベルマウス部を設けることで、簡易な構成で、高電圧に適用した場合でも半導電塗料塗布端部に電界が集中する虞のない電力ケーブル接続用ゴムユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様である電力ケーブル接続用ゴムユニットは、弾性材から成る絶縁筒と、絶縁筒の中央部内周に設けられる円筒状の内部半導電層と、絶縁筒の一端部側に絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第1のストレスコーンと、絶縁筒の他端部側に第1のストレスコーンと対向し絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第2のストレスコーンと、絶縁筒の外周面に設けられる半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層と、外部半導電層を長手方向に縁切りする縁切り部とを備え、第1、第2のストレスコーンの内周側には、それぞれ絶縁筒の端部側から中央部外周側に向かって滑らかに拡径する円弧状内周面を有する電界緩和部が設けられ、絶縁筒の外周部で、かつ第1のストレスコーンの第2のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成るベルマウス部が設けられ、外部半導電層は、ベルマウス部の外周面から第2のストレスコーンの絶縁筒の他端部側の外周面または外側面に跨って設けられているものである。
【0012】
本発明の第2の態様である電力ケーブル接続用ゴムユニットは、弾性材から成る絶縁筒と、絶縁筒の中央部内周に設けられる円筒状の内部半導電層と、絶縁筒の一端部側に絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第1のストレスコーンと、絶縁筒の他端部側に第1のストレスコーンと対向し絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第2のストレスコーンと、絶縁筒の外周面に設けられる半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層と、外部半導電層を長手方向に縁切りする縁切り部とを備え、第1、第2のストレスコーンの内周側には、それぞれ絶縁筒の端部側から中央部外周側に向かって滑らかに拡径する円弧状内周面を有する電界緩和部が設けられ、絶縁筒の外周部で、かつ第1のストレスコーンの第2のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成る第1のベルマウス部が設けられ、絶縁筒の外周部で、かつ第2のストレスコーンの第1のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成る第2のベルマウス部が設けられ、外部半導電層は、第1のベルマウス部の外周面から第2のベルマウス部の外周面に跨って設けられているものである。
【0013】
本発明の第3の態様である電力ケーブル接続用ゴムユニットは、弾性材から成る絶縁筒と、絶縁筒の中央部内周に設けられる円筒状の内部半導電層と、絶縁筒の一端部側に絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第1のストレスコーンと、絶縁筒の他端部側に第1のストレスコーンと対向し絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第2のストレスコーンと、絶縁筒の外周面に設けられる半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層と、外部半導電層を長手方向に縁切りする縁切り部とを備え、第1、第2のストレスコーンの内周側には、それぞれ絶縁筒の端部側から中央部外周側に向かって滑らかに拡径する円弧状内周面を有する電界緩和部が設けられ、絶縁筒の外周部で、かつ第1のストレスコーンの第2のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成る第1のベルマウス部が設けられ、絶縁筒の外周部で、かつ第2のストレスコーンの第1のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成る第2のベルマウス部が設けられ、外部半導電層は、第1のベルマウス部の外周面から第2のベルマウス部の外周面および絶縁筒の他端部側の外側面をとおり第2のストレスコーンの絶縁筒の他端部側の外周面または外側面に跨って設けられているものである。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1の態様である電力ケーブル接続用ゴムユニットにおいて、ベルマウス部は第1のストレスコーンの軸線と直交し、かつ第1のストレスコーンの第2のストレスコーンと対向する側の端面に当接する直線の近傍であって、直線よりも絶縁筒の一端部側寄りに設けられているものである。
【0015】
本発明の第5の態様は、第2の態様または第3の態様である電力ケーブル接続用ゴムユニットにおいて、第1のベルマウス部は、第1のストレスコーンの軸線と直交し、かつ第1のストレスコーンの第2のストレスコーンと対向する側の端面に当接する第1の直線の近傍であって、第1の直線よりも絶縁筒の一端部側寄りに設けられ、第2のベルマウス部は、第2のストレスコーンの軸線と直交し、かつ第2のストレスコーンの第1のストレスコーンと対向する側の端面に当接する第2の直線の近傍であって、第2の直線よりも絶縁筒の他端部側寄りに設けられているものである。
【0016】
本発明の第6の態様は、第1の態様または第4の態様である電力ケーブル接続用ゴムユニットにおいて、ベルマウス部の凹部には、半導電性のOリングが嵌着されているものである。
【0017】
本発明の第7の態様は、第2の態様、第3の態様または第5の態様である電力ケーブル接続用ゴムユニットにおいて、第1のベルマウス部の凹部および第2のベルマウス部の凹部の少なくとも一方には、半導電性のOリングが嵌着されているものである。
【0018】
本発明の第8の態様は、第6の態様または第7の態様である電力ケーブル接続用ゴムユニットにおいて、Oリングは、Oリングの外周に設けられた絶縁性テープの巻回層によって抑えられているものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の態様乃至第8の態様の電力ケーブル接続用ゴムユニットによれば、次のような効果がある。
【0020】
第1に、絶縁筒の外周に半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層を形成し、かつ当該外部半導電層の端部にベルマウス部を設けることで、従来のように半導電性テープや半導電ゴム等の別部品を準備しなくとも縁切り部を有する簡易な構成の電力ケーブル接続用ゴムユニットを形成することができる。
【0021】
第2に、縁切り部は半導電塗料を塗布しない部分で形成し、ベルマウス部はゴムユニット形成時の金型で対応可能であることから、従来のように外部半導電層としての半導電ゴムをモールド成型するような工程が不要となり、また、従来のように半導電塗料塗布端部を半導電性の電界緩和用環状部で同心的に取り囲む必要がなくなることから、半導電性テープや電極部材の別部品の準備や電界緩和用環状部の取付工程が不要となり、ひいては安価な電力ケーブル接続用ゴムユニットを提供することができる。
【0022】
第3に、ベルマウス部を、例えば第1のストレスコーンの軸線と直交し、かつ第1のストレスコーンの第2のストレスコーンと対向する側(第1のストレスコーンの先端部)の端面に当接する直線の近傍であって、少なくともその端部が、当該直線よりも絶縁筒の一端部側寄り(第1のストレスコーン側寄り)の位置になるように設ければ、半導電塗料塗布端部には第1のストレスコーンとベルマウス部の双方のシールド効果によって電界が集中する虞がなくなることから、電力ケーブル接続用ゴムユニットを軸方向に長尺とすることなく、縁切り距離を確保することができる。
【0023】
第4に、半導電塗料塗布端部は、例えば第1のストレスコーンのシールドと、半導電塗料が塗布されたベルマウス部によってシールドされることで、半導電塗料塗布端部に電界が集中する虞がなくなることから、高電圧に適用可能な電力ケーブル接続用ゴムユニットを提供することができる。
【0024】
第5に、ベルマウス部の凹部に半導電性のOリングを嵌着した場合には、例えばベルマウス部の凹部における半導電塗料の塗布層の端部(半導電塗料塗布端部)に等電位線が入り込んで半導電塗料塗布端部に電界が集中するようなゴムユニットの形状であっても、丸く形成された半導電性のOリングがエッジとなる半導電塗料塗布端部に密着して覆うため、電界が緩和される。従って、このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニットによれば、ベルマウス部を例えば第1のストレスコーンの軸線と直交し、かつ第1のストレスコーンの第2のストレスコーンの先端部側の端面に当接する直線の近傍であって、少なくともその端部が、当該直線よりも絶縁筒の一端部側寄り(第1のストレスコーン側寄り)の位置になるように設ければ、半導電塗料塗布端部には第1のストレスコーンとベルマウス部に電気的に接続された半導電性のOリングの双方のシールド効果によって電界が集中する虞がなくなることから、電力ケーブル接続用ゴムユニットを軸方向に長尺とすることなく、縁切り距離を確保することができる。また、Oリングがベルマウス部の凹部に嵌着されるため、Oリングによる絶縁筒の径方向への出っ張りを殆どなくすことができる。従って、単に、半導電性テープや半導電ゴム等で半導電塗料塗布端部の外周を覆う従来の電力ケーブル接続用ゴムユニットに比べ、それ自身の外径を細くすることができる。さらに、Oリングをベルマウス部の凹部に嵌着することで、ゴムユニットの外部半導電層(遮蔽層)の端部、すなわち縁切り部の端部を形成することができることから、従来のような半導電性テープのラップ巻による取付け作業が不要になり、また、Oリングは汎用品であるため、従来のような電界緩和用環状部(環状の電極部材)を新たに成型しなくてもよい。さらにまた、Oリングの外周に絶縁性テープの巻回層を設けた場合においては、Oリングがベルマウス部の凹部から離脱するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図。
【図2】図1に示す電力ケーブル接続用ゴムユニットを用いた高圧CVケーブルの中間接続部の一部断面図。
【図3】本発明の第2の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図。
【図4】本発明の第3の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図。
【図5】本発明の第4の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図。
【図6】本発明の第5の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図。
【図7】本発明の第6の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図。
【図8】本発明の第7の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図。
【図9】本発明の第8の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図。
【図10】従来の電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の電力ケーブル接続用ゴムユニットを適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
[実施例1]
図1は、高圧CVケーブルの中間接続部に好適する本発明の電力ケーブル接続用ゴムユニットの縦断面図である。
【0027】
同図において、本発明の電力ケーブル接続用ゴムユニット1aは、円筒状の絶縁筒2aと、絶縁筒2aの中央部内周に絶縁筒2aと同心状に一体に埋め込み成型される円筒状の内部半導電層3と、絶縁筒2aの一端部側に絶縁筒2aと同心状に一体に埋め込み成型されるラッパ状の第1のストレスコーン4aと、絶縁筒2aの他端部側に第1のストレスコーン4aと対向し絶縁筒2aと同心状に一体に埋め込み成型されるラッパ状の第2のストレスコーン4bと、絶縁筒2aの外周面に所定区間に亘って設けられる半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層5aとを備えている。
【0028】
絶縁筒2aは、弾性材、例えばシリコーンゴム材料で形成されている。
【0029】
内部半導電層3は、半導電性の弾性材、例えば半導電性シリコーンゴム材料で形成され、当該内部半導電層3の内周面は絶縁筒2aの内周面と面一になるように形成されている。
【0030】
第1、第2のストレスコーン4a、4bは、それぞれ半導電性の弾性材、例えば半導電性シリコーンゴム材料で形成され、それぞれ、第1、第2のストレスコーン4a、4bの小径部側の内周面は絶縁筒2aの内周面とそれぞれ面一になるように形成されている。
【0031】
また、第1、第2のストレスコーン4a、4bの内周面には、それぞれ絶縁筒2aの端部側から中央部外周側に向かって滑らかに拡径する円弧状内周面を有する電界緩和部40a、40bが設けられており、第1、第2のストレスコーン4a、4bの大径部側41a、41bが絶縁筒2a内において内部半導電層3を挟んで対向するように配置され、第1、第2のストレスコーン4a、4bの絶縁筒2aの端部側、すなわち第1、第2のストレスコーン4a、4bの小径部側42a、42bが絶縁筒2aの端部の内周部から軸方向外方に向けて延出するように形成されている。
【0032】
符号6は、絶縁筒2aの外周部で、第1のストレスコーン4aの第2のストレスコーン4bと対向する側の端部近傍、すなわち第1のストレスコーン4aの大径部側41a近傍の外周部に設けられる環状の凹部から成るベルマウス部を示しており、当該ベルマウス部6は、全体として断面視U字状を呈している。
【0033】
この実施例では、当該ベルマウス部6は、第1のストレスコーン4aの軸線Lと直交し、かつ第1のストレスコーン4aの第2のストレスコーン4bと対向する側、すなわち第1のストレスコーン4aの大径部側41aの端面に当接する直線Lの近傍であって、当該直線Lよりも絶縁筒2aの一端部側(図中左側)寄り(第1のストレスコーン4a側寄り)に設けられている。
【0034】
このように構成された絶縁筒2aの外周面には、図中点線で示すように、ベルマウス部6の外周面から第2のストレスコーン4bの絶縁筒2aの他端部側(図中右側)、すなわち第2のストレスコーン4bの小径部側42bの外周面に跨ってカーボン等が混入された半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層5aが設けられている。半導電塗料としては、本実施例の場合、絶縁筒を形成する絶縁シリコーンゴムに密着するカーボン系シリコーンコーティング材が望ましい。
【0035】
このような外部半導電層5aの形成により、半導電塗料を塗布しない、外部半導電層端部(本実施例の場合、ベルマウス6の端部)から第1のストレスコーン4aの小径部側42aにかけて、縁切り部が形成される。
【0036】
次に、本発明における電力ケーブル接続用ゴムユニット1aの形成方法について説明する。
【0037】
先ず、内部半導電層3および第1、第2のストレスコーン4a、4bをそれぞれ所望の個数若しくは大量にモールド成型しておくと共に、ベルマウス部6に対応する位置の外側の金型に突起部を設けた絶縁体成型用金型を準備する。
【0038】
次いで、予めモールド成型した内部半導電層3および第1、第2のストレスコーン4a、4bをそれぞれ絶縁体成型用金型の対応する位置にセットし、内部半導電層3および第1、第2のストレスコーン4a、4b間にシリコーンゴム材料などの絶縁ゴムを注入して絶縁筒2aを成型し、これを加硫することで、図1に示すように、絶縁筒2a、内部半導電層3および第1、第2のストレスコーン4a、4bが一体化される。
【0039】
このようにしてモールド成型により一体化された絶縁筒2aの外周面に、ベルマウス部6の外周面から第2のストレスコーン4bの小径部側42bの外周面に跨ってハケ塗り、吹付け等によりカーボン等が混入された半導電塗料が塗布され、これにより、絶縁筒2aの外周面に所定区間に亘って外部半導電層5aが設けられることになる。
【0040】
なお、前述の実施例では、ベルマウス部6を、直線Lの近傍であって、当該直線Lよりも絶縁筒2aの一端部側(図中左側)寄り(第1のストレスコーン4a側寄り)に設けているが、半導電塗料塗布端部での電界集中を回避するには、当該ベルマウス部6は、当該直線L上に設ける等、少なくとも半導電塗料塗布端部が、当該直線Lよりも絶縁筒2aの一端部側(図中左側)寄り(第1のストレスコーン4a側寄り)の位置になるように設ければよい。
【0041】
図2は、本発明の電力ケーブル接続用ゴムユニット1aを用いた高圧CVケーブルの中間接続部の一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
図2において、高圧CVケーブルの中間接続部は次のようにして形成されている。先ず、接続すべき一対の高圧CVケーブルは、それぞれケーブル導体(不図示)と、ケーブル導体の外周に順次設けられたケーブル内部半導電層(不図示)、ケーブル絶縁体8a、8b、ケーブル外部半導電層9a、9b、ケーブル遮蔽層(不図示)およびケーブルシース(不図示)を備えている。
【0043】
次に、接続すべき一対の高圧CVケーブルは段剥処理することでそれぞれケーブル遮蔽層(不図示)、ケーブル外部半導電層9a、9b、ケーブル絶縁体8a、8bおよびケーブル導体(不図示)が露出されている。また、本実施例においては、電力ケーブル接続用ゴムユニット1aは予め工場において拡径手段(不図示)によって拡径されている。
【0044】
そして、露出されたケーブル導体を導体接続子10により接続することで高圧CVケーブルの導体接続部11が得られる。なお、符号12は内部半導電層3と導体接続子10間の隙間を埋めるため、すなわち内部半導電層3と導体接続子10とを電気的に接触するための半導電性若しくは導電性のスペーサを示している。
【0045】
しかして、予め一方のケーブル側に嵌挿しておいた電力ケーブル接続用ゴムユニット1aを正規位置まで、すなわち電力ケーブル接続用ゴムユニット1aの中央部が導体接続部10の中央部と対応する位置まで移動させ、電力ケーブル接続用ゴムユニット1aの拡径手段を取り外す。これにより、電力ケーブル接続用ゴムユニット1aの内径が縮小され内部半導電層3の内周がスペーサ12を介して導体接続部10に電気的に接触されると共に絶縁筒2aの内周がケーブル絶縁体8a、8bの外周に接触し、さらに第1、第2のストレスコーン4a、4bの小径部側42a、42bの内周がケーブル外部半導電層9a、9bに接触することになる。
【0046】
このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1aによれば、次のような効果がある。
【0047】
第1に、絶縁筒2aの外周に半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層5aを形成し、かつ当該外部半導電層5aの端部にベルマウス部6を設けることで、従来のように半導電性テープや半導電ゴム等の別部品を準備しなくとも片端に縁切り部を有する簡易な構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1aを形成することができる。
【0048】
第2に、縁切り部は半導電塗料を塗布しない部分で形成し、ベルマウス部6はゴムユニット形成時の金型で対応可能であることから、従来のように外部半導電層としての半導電ゴムをモールド成型するような工程が不要となり、また、従来のように半導電塗料塗布端部を半導電性の電界緩和用環状部で同心的に取り囲む必要がなくなることから、半導電性テープや電極部材の別部品の準備や電界緩和用環状部の取付工程が不要となり、ひいては安価な電力ケーブル接続用ゴムユニット1aを提供することができる。
【0049】
第3に、ベルマウス部6を、直線Lの近傍であって、少なくともその端部が、当該直線Lよりも絶縁筒2aの一端部側寄り(第1のストレスコーン4a側寄り)の位置になるように設ければ、半導電塗料塗布端部には第1のストレスコーン4aとベルマウス部6の双方のシールド効果によって電界が集中する虞がなくなることから、電力ケーブル接続用ゴムユニット1aを軸方向に長尺とすることなく、縁切り距離を確保することができる。
【0050】
第4に、半導電塗料塗布端部は、第1のストレスコーン4aのシールドと、半導電塗料が塗布されたベルマウス部6によってシールドされることで、半導電塗料塗布端部に電界が集中する虞がなくなることから、高電圧に適用可能な電力ケーブル接続用ゴムユニット1aを提供することができる。
[実施例2]
図3は、本発明の第2の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
この実施例においては、絶縁筒2bの外周部に、図1に示すベルマウス部6と同様の構成の第1、第2のベルマウス部6a、6bが離間して設けられている。
【0052】
具体的には、第1のベルマウス部6aは、図1に示すベルマウス部6と同様に、第1のストレスコーン4aの軸線Lと直交し、かつ第1のストレスコーン4aの第2のストレスコーン4bと対向する側、すなわち第1のストレスコーン4aの大径部側41aの端面に当接する第1の直線Laの近傍であって、当該直線Laよりも絶縁筒2aの一端部側(図中左側)寄り(第1のストレスコーン4a側寄り)に設けられている。また、第2のベルマウス部6bは、第2のストレスコーン4bの軸線Lと直交し、かつ第2のストレスコーン4bの第1のストレスコーン4aと対向する側、すなわち第2のストレスコーン4bの大径部側41bの端面に当接する第2の直線Lbの近傍であって、当該直線Lbよりも絶縁筒2bの他端部側(図中右側)寄り(第2のストレスコーン4b側寄り)に設けられている。
【0053】
このように構成された絶縁筒2bの外周面には、図中点線で示すように、第1のベルマウス部6aの外周面から第2のベルマウス部6bの外周面に跨ってカーボン等が混入された半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層5bが設けられている。
【0054】
このような外部半導電層5bの形成により、半導電塗料を塗布しない、外部半導電層端部(本実施例の場合、第1のベルマウス6aの端部)から、第1のストレスコーン4aの小径部側42aにかけて、一方(図中左側)の縁切り部が形成され、半導電塗料を塗布しない、外部半導電層端部(本実施例の場合、第2のベルマウス6bの端部)から、第2のストレスコーン4bの小径部側42bにかけて、他方(図中右側)の縁切り部が形成される。
【0055】
このような構成の絶縁筒2b、内部半導電層3および第1、第2のストレスコーン4a、4bは、第1、第2のベルマウス部6a、6bに対応する位置の外側の金型に二つの突起部を離間して設けた絶縁体成型用金型を準備した上で、前述の第1の実施例と同様の方法で一体化され、前述の第1の実施例と同様の方法で半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層5bが設けられる。
【0056】
なお、前述の実施例では、第1のベルマウス部6aを、第1の直線Laの近傍であって、当該第1の直線Laよりも絶縁筒2bの一端部側(図中左側)寄り(第1のストレスコーン4a側寄り)に設け、第2のベルマウス部6bを、第2の直線Lbの近傍であって、当該第2の直線Lbよりも絶縁筒2bの他端部側(図中右側)寄り(第2のストレスコーン4b側寄り)に設けているが、半導電塗料塗布端部での電界集中を回避するには、第1のベルマウス部6aは、当該直線La上に設ける等、少なくとも半導電塗料塗布端部が、当該直線Laよりも絶縁筒2bの一端部側(図中左側)寄り(第1のストレスコーン4a側寄り)の位置になるように設け、第2のベルマウス部6bは、当該直線Lb上に設ける等、少なくとも半導電塗料塗布端部が、当該直線Lbよりも絶縁筒2bの他端部側(図中右側)寄り(第2のストレスコーン4b側寄り)の位置になるように設ければよい。
【0057】
このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1bによれば、次のような効果がある。
【0058】
第1に、絶縁筒2bの外周に半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層5bを形成し、かつ当該外部半導電層5bの両端部に第1、第2のベルマウス部6a、6bを設けることで、従来のように半導電性テープや半導電ゴム等の別部品を準備しなくとも両端に縁切り部を有する簡易な構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1bを形成することができる。
【0059】
第2に、縁切り部は半導電塗料を塗布しない部分で形成し、第1、第2のベルマウス部6a、6bはゴムユニット形成時の金型で対応可能であることから、従来のように外部半導電層としての半導電ゴムをモールド成型するような工程が不要となり、また、従来のように半導電塗料塗布端部を半導電性の電界緩和用環状部で同心的に取り囲む必要がなくなることから、半導電性テープや電極部材の別部品の準備や電界緩和用環状部の取付工程が不要となり、ひいては安価な電力ケーブル接続用ゴムユニット1bを提供することができる。
【0060】
第3に、第1のベルマウス部6aを、第1の直線Laの近傍であって、少なくともその端部が、当該第1の直線Laよりも絶縁筒2bの一端部側寄り(第1のストレスコーン4a側寄り)の位置になるように設け、また、第2のベルマウス部6bを、第2の直線Lbの近傍であって、少なくともその端部が、当該第2の直線Lbよりも絶縁筒2bの他端部側寄り(第2のストレスコーン4b側寄り)の位置になるように設ければ、半導電塗料塗布端部にはそれぞれ第1、第2のストレスコーン4a、4bと、第1、第2のベルマウス部6a、6bの双方のシールド効果によって電界が集中する虞がなくなることから、電力ケーブル接続用ゴムユニット1bを軸方向に長尺とすることなく、縁切り距離を確保することができる。
【0061】
第4に、半導電塗料塗布端部は、それぞれ第1、第2のストレスコーン4a、4bのシールドと、半導電塗料が塗布された第1、第2のベルマウス部6a、6bによってシールドされることで、半導電塗料塗布端部に電界が集中する虞がなくなることから、高電圧に適用可能な電力ケーブル接続用ゴムユニット1bを提供することができる。
【0062】
第5に、現地において、本発明の電力ケーブル接続用ゴムユニット1bを電力ケーブルの導体接続部に装着した後、第1、第2のベルマウス部6a、6bのうち、何れか一方のベルマウス部からケーブル遮蔽層(もしくはケーブル外部半導電層)間に跨って遮蔽テープ(もしくは半導電性テープ)等を巻回すれば、現地において電力ケーブル接続用ゴムユニット1bの向きを気にせずに装着することができる。
[実施例3]
図4は、本発明の第3の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図を示している。なお、同図において、図3と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
この実施例においては、絶縁筒2bの外周面に、外部半導電層5cとしての半導電塗料の塗布層が第1のベルマウス部6aの外周面から第2のベルマウス部6bの外周面および絶縁筒2bの他端部側(図中右側)の外側面をとおり第2のストレスコーン4bの絶縁筒2bの他端部側の小径部42bの外周面に跨って設けられている。
【0064】
このような外部半導電層5cの形成により、半導電塗料を塗布しない、外部半導電層端部(本実施例の場合、第1のベルマウス6aの端部)から第1のストレスコーン4aの小径部側42aにかけて、縁切り部が形成される。
【0065】
このような構成の絶縁筒2b、内部半導電層3および第1、第2のストレスコーン4a、4bは、前述の第2の実施例と同様の方法で一体化され、前述の第2の実施例と同様の方法で半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層5cが設けられる。
【0066】
このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1cによれば、第1の実施例の電力ケーブル接続用ゴムユニット1aの効果に加え、次の効果がある。
【0067】
すなわち、絶縁筒2bの外周面に、第1、第2のベルマウス部6a、6bが設けられており、外部半導電層5cとしての半導電塗料の塗布層を、第1のベルマウス部6aの外周面から第2のベルマウス部6bの外周面に跨って設けるか、第1のベルマウス部6aの外周面から第2のベルマウス部6bおよび絶縁筒2bの他端部側の外側面をとおり第2のストレスコーン4bの小径部42b側の外周面に跨って設けるかによって、前者の場合は実施例2のように両端に縁切り部を有する電力ケーブル接続用ゴムユニットを提供することができ、後者の場合は片端に縁切り部を有する電力ケーブル接続用ゴムユニットを提供することができることから、金型成型の段階で電力ケーブル接続用ゴムユニットの用途を気にせずに製作することができる。
[実施例4]
図5は、本発明の第4の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
この実施例においては、ベルマウス部6の凹部に半導電性のOリング7が嵌着されている。
【0069】
Oリング7は、半導電性の弾性材、例えば半導電性シリコーンゴム材料で形成され、外部半導電層5aとしての半導電塗料の塗布層が設けられたベルマウス部6の凹部に押し込まれるようにして嵌着され、これにより、半導電性のOリング7が外部半導電層5aとしての半導電塗料の塗布層と電気的に接続されることになる。
【0070】
なお、嵌着されたOリング7は、Oリング7の外周に設けられた絶縁性テープの巻回層(不図示)によって抑えられることが好ましい。
【0071】
このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1dによれば、第1の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニット1aの効果に加え、次の効果がある。
【0072】
第1に、ベルマウス部6の凹部における半導電塗料の塗布層の端部(半導電塗料塗布端部)に等電位線が入り込んで半導電塗料塗布端部に電界が集中するようなゴムユニットの形状であっても、丸く形成された半導電性のOリング7がエッジとなる半導電塗料塗布端部に密着して覆うため、電界が緩和される。従って、このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1dによれば、ベルマウス部6を、直線Lの近傍であって、少なくともその端部が、当該直線Lよりも絶縁筒2aの一端部側寄り(第1のストレスコーン4a側寄り)の位置になるように設ければ、半導電塗料塗布端部には第1のストレスコーン4aとベルマウス部6に電気的に接続された半導電性のOリング7の双方のシールド効果によって電界が集中する虞がなくなることから、電力ケーブル接続用ゴムユニット1dを軸方向に長尺とすることなく、縁切り距離を確保することができる。
【0073】
第2に、Oリング7がベルマウス部6の凹部に嵌着されるため、Oリング7による絶縁筒2aの径方向への出っ張りを殆どなくすことができる。従って、単に、半導電性テープや半導電ゴム等で半導電塗料塗布端部の外周を覆う従来の電力ケーブル接続用ゴムユニットに比べ、それ自身の外径を細くすることができる。
【0074】
第3に、Oリング7をベルマウス部6の凹部に嵌着することで、ゴムユニットの外部半導電層(遮蔽層)の端部、すなわち縁切り部の端部を形成することができることから、従来のような半導電性テープのラップ巻による取付け作業が不要になり、また、Oリングは汎用品であるため、従来のような電界緩和用環状部(環状の電極部材)を新たに成型しなくてもよい。
【0075】
第4に、Oリング7の外周に絶縁性テープの巻回層を設けた場合においては、Oリング7がベルマウス部6の凹部から離脱するのを防止することができる。
[実施例5]
図6は、本発明の第5の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図を示している。なお、同図において、図3および図5と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0076】
この実施例においては、第1、第2のベルマウス部6a、6bの凹部に、それぞれ図5に示す半導電性のOリング7と同様の構成の第1、第2の半導電性のOリング7a、7bが嵌着されている。
【0077】
具体的には、第1の半導電性のOリング7aは、図5に示す半導電性のOリング7と同様に、外部半導電層5bとしての半導電塗料の塗布層が設けられた第1のベルマウス部6aの凹部に押し込まれるようにして嵌着されており、第2の半導電性のOリング7bも、第1の半導電性のOリング7aと同様に、外部半導電層5bとしての半導電塗料の塗布層が設けられた第2のベルマウス部6bの凹部に押し込まれるようにして嵌着されている。
【0078】
このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1eによれば、第2の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニット1bの効果に加え、次の効果がある。
【0079】
第1に、第1、第2のベルマウス部6a、6bの凹部における半導電塗料の塗布層の端部(半導電塗料塗布端部)に等電位線が入り込んで半導電塗料塗布端部に電界が集中するようなゴムユニットの形状であっても、丸く形成された第1、第2の半導電性のOリング7a、7bがエッジとなる半導電塗料塗布端部に密着して覆うため、電界が緩和される。従って、このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1eによれば、第1のベルマウス部6aを、第1の直線Laの近傍であって、少なくともその端部が、当該第1の直線Laよりも絶縁筒2bの一端部側寄り(第1のストレスコーン4a側寄り)の位置になるように設け、第2のベルマウス部6bを、第2の直線Lbの近傍であって、少なくともその端部が、当該第2の直線Lbよりも絶縁筒2bの他端部側寄り(第2のストレスコーン4b側寄り)の位置になるように設ければ、半導電塗料塗布端部には第1、第2のストレスコーン4a、4bと第1、第2のベルマウス部6a、6bに電気的に接続された半導電性の第1、第2のOリング7a、7bの双方のシールド効果によって電界が集中する虞がなくなることから、電力ケーブル接続用ゴムユニット1eを軸方向に長尺とすることなく、縁切り距離を確保することができる。
【0080】
第2に、第1、第2のOリング7a、7bがそれぞれ第1、第2のベルマウス部6a、6bの凹部に嵌着されるため、第1、第2のOリング7a、7bによる絶縁筒2bの径方向への出っ張りを殆どなくすことができる。従って、単に、半導電性テープや半導電ゴム等で半導電塗料塗布端部の外周を覆う従来の電力ケーブル接続用ゴムユニットに比べ、それ自身の外径を第2の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニット1bと殆ど同じ外径にすることができる。
【0081】
第3に、第1、第2のOリング7a、7bを第1、第2のベルマウス部6a、6bの凹部に嵌着することで、ゴムユニットの外部半導電層(遮蔽層)の端部、すなわち縁切り部の端部を形成することができることから、従来のような半導電性テープのラップ巻による取付け作業が不要になり、また、第1、第2のOリング7a、7bは汎用品であるため、従来のような電界緩和用環状部(環状の電極部材)を新たに成型しなくてもよい。
【0082】
第4に、第1、第2のOリング7a、7bの外周に絶縁性テープの巻回層を設けた場合においては、第1、第2のOリング7a、7bが第1、第2のベルマウス部6a、6bの凹部から離脱するのを防止することができる。
[実施例6]
図7は、本発明の第6の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図を示している。なお、同図において、図4および図6と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0083】
この実施例においては、図4に示す第1、第2のベルマウス部6a、6bの凹部に、図6に示す第1、第2の半導電性のOリング7a、7bが嵌着されている。
【0084】
このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1fにおいても、第3、第5の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニット1c、1eと同様の効果が得られる。
[実施例7]
図8は、本発明の第7の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0085】
この実施例においては、図1に示すラッパ状の第1、第2のストレスコーン4a、4bに代えて、円筒状の第1、第2のストレスコーン4c、4dが絶縁筒2aと同心状に埋設されている。なお、以下の説明においては、この実施例における円筒状の第1、第2のストレスコーン4c、4dを図1に示すラッパ状の第1、第2のストレスコーン4a、4bと区別するために、それぞれ第3、第4のストレスコーン4c、4dとして説明する。
【0086】
第3、第4のストレスコーン4c、4dは、図1に示す第1、第2のストレスコーン4a、4bと同様に、それぞれ半導電性の弾性材、例えば半導電性シリコーンゴム材料で形成されている。
【0087】
また、第3、第4のストレスコーン4c、4dの外径は、図1に示す第1、第2のストレスコーン4a、4bの大径部側41a、41bの外径と同径とされ、第3、第4のストレスコーン4c、4dの内周面側にはそれぞれ第1、第2のストレスコーン4a、4bと同様に、絶縁筒2aの端部側から中央部外周側に向かって滑らかに拡径する円弧状内周面を有する電界緩和部40c、40dが設けられている。これにより、第3、第4のストレスコーン4c、4dの絶縁筒2aの端部側が厚肉とされ、外周部がストレート形状とされた円筒状の第3、第4のストレスコーン4c、4dが得られる。
【0088】
このような構成の第3、第4のストレスコーン4c、4dの厚肉部側の外側面43c、43dは、絶縁筒2aの端部側の側面とそれぞれ面一になるように、また、第3、第4のストレスコーン4c、4dの厚肉部側の内周面は、絶縁筒2a内周面とそれぞれ面一になるように形成されている。
【0089】
そして、このように構成された絶縁筒2aの外周面には、図中点線で示すように、ベルマウス部6の外周面から第2のストレスコーン4dの絶縁筒2aの他端部側(図中右側)の外側面をとおり第2のストレスコーン4dの厚肉部側の外側面43dに跨ってカーボン等が混入された半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層5dが設けられている。
【0090】
このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1gにおいても、第1の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニット1aと同様の効果が得られる。また、ベルマウス部6の凹部に図5に示す半導電性のOリング7と同様の半導電性のOリング(不図示)を嵌着することで、第4の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニット1dと同様の効果が得られる。
[実施例8]
図9は、本発明の第8の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニットの一部断面図を示している。なお、同図において、図1および図8と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0091】
この実施例においては、絶縁筒2aの一端部側(図中左側)に、図1に示す第1のストレスコーン4aが絶縁筒2aと同心状に埋設されており、絶縁筒2aの他端部側(図中右側)に、図8に示す第4のストレスコーン4dが絶縁筒2aと同心状に埋設されている。
【0092】
そして、このように構成された絶縁筒2aの外周面には、図中点線で示すように、ベルマウス部6の外周面から第4のストレスコーン4dの絶縁筒2aの他端部側(図中右側)の外側面をとおり第4のストレスコーン4dの厚肉部側の外側面43dに跨ってカーボン等が混入された半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層5dが設けられている。
【0093】
このような構成の電力ケーブル接続用ゴムユニット1hにおいても、第1の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニット1aと同様の効果が得られる。また、ベルマウス部6の凹部に図5に示す半導電性のOリング7と同様の半導電性のOリング(不図示)を嵌着することで、第4の実施例における電力ケーブル接続用ゴムユニット1dと同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
前述の実施例においては、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、次のように構成してもよい。
【0095】
第1に、前述の実施例においては、ベルマウス部6、6a、6bを断面視U字状に形成しているが断面視半円状に形成してもよい。
【0096】
第2に、前述の実施例においては、絶縁筒2a、内部半導電層3、ストレスコーン4a、4b、4cおよびOリング7a、7bをシリコーンゴムで形成した場合について説明しているが、エチレンプロピレンゴム(EPR)等で形成してもよい。
【0097】
第3に、前述の実施例においては、半導電性のOリング7のベルマウス部6の凹部への取付手順について特に説明していないが、Oリング7は現場でのケーブル接続部組立時に嵌着することが好ましい。
【0098】
第4に、前述の実施例においては、第4のストレスコーン4dの外径が第1、第2のストレスコーン4a、4bの大径部側41a、41bの外径と同径とされているが、絶縁筒2aの外径と同径にしてもよい。
【0099】
第5に、前述の実施例においては、電力ケーブル接続用ゴムユニットを工場で予め拡径しておく「拡径式」の形態について説明しているが、電力ケーブル接続用ゴムユニットとしては、現場において拡径しながら差し込む形態でも、あるいは現場においてそのまま差し込む形態でもよく、ゴムユニットの形態は限定されない。
【0100】
第6に、前述の実施例においては、外部半導電層5aをハケ塗り、吹付け等によって形成しているが、外部半導電層5aの形成方法としては、これらのハケ塗り、吹付け等に限定されない。
【0101】
第7に、前述の実施例においては、電力ケーブル接続用ゴムユニットを高圧CVケーブルの中間接続部に適用した場合について説明しているが、機器側ブッシングと電力ケーブルとの接続部に適用してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1a〜1h・・・電力ケーブル接続用ゴムユニット
2a、2b・・・絶縁筒
3・・・内部半導電層
4a〜4d・・・ストレスコーン
5a〜5d・・・外部半導電層
40a〜40d・・・電界緩和部
6、6a、6b・・・ベルマウス部
7、7a、7b・・・半導電性のOリング
L・・・ストレスコーンの軸線
、La、Lb・・・一のストレスコーンの他のストレスコーンと対向する側の端面に当接する直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材から成る絶縁筒と、前記絶縁筒の中央部内周に設けられる円筒状の内部半導電層と、前記絶縁筒の一端部側に前記絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第1のストレスコーンと、前記絶縁筒の他端部側に前記第1のストレスコーンと対向し前記絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第2のストレスコーンと、前記絶縁筒の外周面に設けられる半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層と、前記外部半導電層を長手方向に縁切りする縁切り部とを備え、
前記第1、第2のストレスコーンの内周側には、それぞれ前記絶縁筒の端部側から中央部外周側に向かって滑らかに拡径する円弧状内周面を有する電界緩和部が設けられ、
前記絶縁筒の外周部で、かつ前記第1のストレスコーンの前記第2のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成るベルマウス部が設けられ、
前記外部半導電層は、前記ベルマウス部の外周面から前記第2のストレスコーンの前記絶縁筒の他端部側の外周面または外側面に跨って設けられていることを特徴とする電力ケーブル接続用ゴムユニット。
【請求項2】
弾性材から成る絶縁筒と、前記絶縁筒の中央部内周に設けられる円筒状の内部半導電層と、前記絶縁筒の一端部側に前記絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第1のストレスコーンと、前記絶縁筒の他端部側に前記第1のストレスコーンと対向し前記絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第2のストレスコーンと、前記絶縁筒の外周面に設けられる半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層と、前記外部半導電層を長手方向に縁切りする縁切り部とを備え、
前記第1、第2のストレスコーンの内周側には、それぞれ前記絶縁筒の端部側から中央部外周側に向かって滑らかに拡径する円弧状内周面を有する電界緩和部が設けられ、
前記絶縁筒の外周部で、かつ前記第1のストレスコーンの前記第2のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成る第1のベルマウス部が設けられ、
前記絶縁筒の外周部で、かつ前記第2のストレスコーンの前記第1のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成る第2のベルマウス部が設けられ、
前記外部半導電層は、前記第1のベルマウス部の外周面から前記第2のベルマウス部の外周面に跨って設けられていることを特徴とする電力ケーブル接続用ゴムユニット。
【請求項3】
弾性材から成る絶縁筒と、前記絶縁筒の中央部内周に設けられる円筒状の内部半導電層と、前記絶縁筒の一端部側に前記絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第1のストレスコーンと、前記絶縁筒の他端部側に前記第1のストレスコーンと対向し前記絶縁筒と同心状に埋設される筒状の第2のストレスコーンと、前記絶縁筒の外周面に設けられる半導電塗料の塗布層から成る外部半導電層と、前記外部半導電層を長手方向に縁切りする縁切り部とを備え、
前記第1、第2のストレスコーンの内周側には、それぞれ前記絶縁筒の端部側から中央部外周側に向かって滑らかに拡径する円弧状内周面を有する電界緩和部が設けられ、
前記絶縁筒の外周部で、かつ前記第1のストレスコーンの前記第2のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成る第1のベルマウス部が設けられ、
前記絶縁筒の外周部で、かつ前記第2のストレスコーンの前記第1のストレスコーンと対向する側の端部近傍の外周部には環状の凹部から成る第2のベルマウス部が設けられ、
前記外部半導電層は、前記第1のベルマウス部の外周面から前記第2のベルマウス部の外周面および前記絶縁筒の他端部側の外側面をとおり前記第2のストレスコーンの前記絶縁筒の他端部側の外周面または外側面に跨って設けられていることを特徴とする電力ケーブル接続用ゴムユニット。
【請求項4】
前記ベルマウス部は、前記第1のストレスコーンの軸線と直交し、かつ前記第1のストレスコーンの前記第2のストレスコーンと対向する側の端面に当接する直線の近傍であって、前記直線よりも前記絶縁筒の一端部側寄りに設けられていることを特徴とする請求項1記載の電力ケーブル接続用ゴムユニット。
【請求項5】
前記第1のベルマウス部は、前記第1のストレスコーンの軸線と直交し、かつ前記第1のストレスコーンの前記第2のストレスコーンと対向する側の端面に当接する第1の直線の近傍であって、前記第1の直線よりも前記絶縁筒の一端部側寄りに設けられ、
前記第2のベルマウス部は、前記第2のストレスコーンの軸線と直交し、かつ前記第2のストレスコーンの前記第1のストレスコーンと対向する側の端面に当接する第2の直線の近傍であって、前記第2の直線よりも前記絶縁筒の他端部側寄りに設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の電力ケーブル接続用ゴムユニット。
【請求項6】
前記ベルマウス部の凹部には、半導電性のOリングが嵌着されていることを特徴とする請求項1または請求項4記載の電力ケーブル接続用ゴムユニット。
【請求項7】
前記第1のベルマウス部の凹部および前記第2のベルマウス部の凹部の少なくとも一方には、半導電性のOリングが嵌着されていることを特徴とする請求項2、請求項3または請求項5記載の電力ケーブル接続用ゴムユニット。
【請求項8】
前記Oリングは、前記Oリングの外周に設けられた絶縁性テープの巻回層によって抑えられていることを特徴とする請求項6または請求項7記載の電力ケーブル接続用ゴムユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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