説明

電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管

【課題】架台に取り付けるのに支持碍子を必要としない電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管を提供する。
【解決手段】FRP筒体29と、このFRP筒体の外周に一体に形成された多数の傘部31aを有するポリマー被覆体31と、FRP筒体の上端に取り付けられた上部金具35と、FRP筒体に固定されたフランジ37とを備えた電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管において、FRP筒体29にフランジ37よりも下に延び出す延長部29aを設け、この延長部29aの下端に下部金具33を取り付け、FRP筒体の延長部29aの外周に第二のポリマー被覆体49を形成して、フランジ37と下部金具33を電気的に絶縁した。フランジ37を架台47に直接固定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブル終端接続部に使用されるポリマー碍管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管を図2に示す。図において、11は電力ケーブル、13はポリマー碍管である。
【0003】
電力ケーブル11の終端部は段剥ぎされて、シース15の先に、外部半導電層17、ケーブル絶縁層19、ケーブル導体21が順次露出している。23はシース15から外部半導電層17にかけて装着された金属管(通常は銅管)、25は外部半導電層17からケーブル絶縁層19にかけて装着されたストレスコーン、27はケーブル導体21に接続された導体引出棒である。
【0004】
ポリマー碍管13は、繊維強化プラスチック製の筒体(以下、FRP筒体という)29と、このFRP筒体29の外周に一体に形成されたポリマー被覆体31と、FRP筒体29の上端に取り付けられた上部金具35と、FRP筒体29の下端部外周に固定されたフランジ37等から構成されている。ポリマー被覆体31の材質はシリコーン等であり、ポリマー被覆体31の外周には多数の傘部31aが形成されている。フランジ37は下部金具33に接合されている。下部金具33の中央には前記金属管23が貫通している。下部金具33と金属管23の下端部からケーブル11にかけて、これらの間の隙間を閉じる油止め・防水用のテープ巻き層41が設けられている。金属管23の上端部には油止め用のテープ巻き層39が設けられている。FRP筒体29内には絶縁油43が充填されている。
【0005】
ポリマー碍管13のフランジ37は支持碍子45を介して架台47に固定され、これによってポリマー碍管13は架台47上に垂直に設置される(特許文献1参照)。通常、1本のポリマー碍管を支持するのに4本の支持碍子が使用される。支持碍子45を使用する理由は、ケーブル遮蔽層(下部金具33及びフランジ37はケーブル遮蔽層と電気的に接続されている)と大地(架台47)間を電気的に絶縁し、ケーブル遮蔽層に大地を帰路とする循環電流が流れないようにするためである。
【0006】
【特許文献1】特開2006−33899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管は、フランジを架台に固定するのに、支持碍子が必要である。支持碍子はポリマー碍管と別部品であるため、部品点数が多くなり、コスト高になるだけでなく、大地との電気的絶縁の要求性能が高くなると、支持碍子を大きくする必要が生じ、耐震強度面などが問題となることもある。
【0008】
本発明の目的は、架台に取り付けるのに支持碍子を必要としない電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明は、FRP筒体と、このFRP筒体の外周に一体に形成された多数の傘部を有するポリマー被覆体と、前記FRP筒体の下端に取り付けられた下部金具と、前記FRP筒体の上端に取り付けられた上部金具と、前記FRP筒体に固定されたフランジとを備えた電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管において、前記FRP筒体に前記フランジよりも下に延び出す延長部を設け、この延長部の下端に下部金具を取り付け、FRP筒体の延長部の外周に第二のポリマー被覆体を形成して、フランジと下部金具を電気的に絶縁したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ケーブル遮蔽層と同電位になる下部金具とポリマー碍管を支持するフランジとが、FRP筒体の延長部とその外周に被覆された第二のポリマー被覆体によって絶縁されているため、フランジを架台に直接固定してもケーブル遮蔽層と架台とを絶縁することができる。したがって従来使用されていた支持碍子が不要となり、コストダウンを図ることができると共に、ポリマー碍管を架台に取り付ける工事を簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の一実施形態を示す。この電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管13の特徴は、FRP筒体29にフランジ37よりも下に延び出す延長部29aを設け、この延長部29aの下端に下部金具33を取り付け、FRP筒体の延長部29aの外周に第二のポリマー被覆体49を形成して、フランジ37と下部金具33とを電気的に絶縁した点にある。第二のポリマー被覆体49も外周に傘部を有している。別の表現をすれば、この実施形態の碍管13の特徴は、FRP筒体29の中間部分にフランジ37を設けてあることである。なお、51は延長部29aの下端に下部金具33を取り付けるために延長部29aの下端部外周に固定された取付金具である。上記以外の構成は図2のポリマー碍管と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0012】
電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管13を上記のような構成にすると、フランジ37を架台47に直接取り付けても、ケーブル遮蔽層(下部金具33と導通)と架台47を電気的に絶縁できるので、従来使用されていた支持碍子を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管の一実施形態を示す断面図。
【図2】従来の電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管を示す断面図。
【符号の説明】
【0014】
11:電力ケーブル
13:ポリマー碍管
29:FRP筒体
31:ポリマー被覆体
31a:傘部
33:下部金具
35:上部金具
37:フランジ
47:架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FRP筒体と、このFRP筒体の外周に一体に形成された多数の傘部を有するポリマー被覆体と、前記FRP筒体の上端に取り付けられた上部金具と、前記FRP筒体に固定されたフランジとを備えた電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管において、前記FRP筒体に前記フランジよりも下に延び出す延長部を設け、この延長部の下端に下部金具を取り付け、FRP筒体の延長部の外周に第二のポリマー被覆体を形成して、フランジと下部金具を電気的に絶縁したことを特徴とする電力ケーブル終端接続部用ポリマー碍管。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−27828(P2008−27828A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201545(P2006−201545)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(502308387)株式会社ビスキャス (205)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】