説明

電力供給システム、電力供給方法及び制御装置

【課題】 系統が解列された場合でも、発電可能な新エネルギー発電システムを有効に活用できる電力供給システム等を提案する。
【解決手段】 負荷3に対して、商用電力供給源5、太陽光発電部7、燃料電池発電部9及び蓄電部11の少なくとも一つから電力を供給する電力供給システム1であって、商用電力供給源5は、負荷3に対して、接続点31までの第1電気的接続経路及び接続点31から負荷3までの共通経路により電力を供給し、蓄電部11は、負荷3に対して、接続点31までの第2電気的接続経路及び共通経路により電力を供給し、燃料電池発電部9は、共通経路に接続され、商用電力供給源5の停電等の解列条件の成立が発生した場合、スイッチMS25及び27により商用電力供給源5を解列して蓄電部11が自立運転を開始し、燃料電池発電部9は、蓄電部11を基準電源として発電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム、電力供給方法及び制御装置に関し、特に負荷に対して電力を供給する電力供給システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1(第2章第2節参照)の日本電気技術規格委員会規格にあるように、太陽光発電システム(以下、「PV」ともいう。)や燃料電池発電システム、ガスエンジン発電システム等(以下、「FC等」ともいう。)の新エネルギー発電システムは、一般に、系統が停電すると、保安のために、単独運転防止の観点から連系運転を停止する。システムによって異なるが、停止後、自立運転するもの、自立運転せずに待つものなどがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】社団法人日本電気協会 系統連系専門部会,“電気技術規定 系統連系編 系統連系規定 Grid-interconnection Code JEAC 9701-2006(JESC E0019(2006) 日本電気技術規格委員会)”,2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自立運転するものについても、PV、FC等、多くの種類の分散電源が混在すると、例えばPVの出力を優先するためにFC等を停止・再起動させなければならない等の非効率な動きが生じ、効率よく発電することができない。そのため、発電した電力を効率よく利用することができない。このような制限は、今後、新エネルギーより得られる電力を大量に導入した場合、特に問題となり得るものである。
【0005】
そこで、本願発明は、系統が解列された場合でも、発電可能な新エネルギー発電システムを有効に活用できる電力供給システム等を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、負荷に対して電力を供給する電力供給システムであって、前記負荷に対して、第1電気的接続経路及び共通経路により電力を供給可能な商用電力供給源と、前記負荷に対して、第2電気的接続経路及び前記共通経路により蓄電している電力を供給可能な蓄電手段と、前記蓄電手段に対して、前記負荷へ供給する電力を制御する蓄電制御手段と、少なくとも、前記商用電力供給源が解列されていない状態において、前記商用電力供給源に対して、前記第2電気的接続経路も前記共通経路も経由することなく、前記第1電気的接続経路との接続点を経由して、発電した電力を出力可能な第1発電源と、前記共通経路に接続され、前記負荷に対して、前記共通経路との接続点を経由して電力を供給可能な第2発電源と、前記第2発電源に対して、他の電力供給源を基準電源として発電させ、基準電源が存在しない場合には発電させない第2発電源制御手段と、前記商用電力供給源、前記蓄電手段、前記第1発電源及び前記第2発電源の少なくとも1つから前記負荷に電力を供給させる電力切替手段を備え、前記電力切替手段が、解列条件の成立が検出されて、前記第1電気的接続経路において第1切替手段により前記商用電力供給源を解列した場合、前記蓄電制御手段は、前記商用電力供給源の解列が検出されると、前記蓄電手段に対して、前記負荷へ蓄電していた電力を供給させ、前記第2発電源制御手段は、前記商用電力供給源の解列及び前記蓄電手段から前記負荷への電力供給が検出されると、前記第2発電源に対して、前記蓄電手段を基準電源として前記負荷へ電力を供給させる。
【0007】
ここで、第1電気的接続経路は、商用電力供給源から共通経路までを電気的に接続する経路である。また、第2電気的接続経路は、蓄電手段から共通経路までを電気的に接続する経路である。共通経路は、第1電気的接続経路及び第2電気的接続経路から付加までを電気的に接続する経路であり、第1電気的接続経路を経由して商用電力供給源から供給された電力及び第2電気的接続経路を経由して蓄電手段から供給された電力を負荷に供給可能な電気的に接続する経路である。また、第1発電源は、発電した電力を逆潮流することが許容されている発電システムであり、第2発電源は、発電した電力を逆潮流することが認められていない発電システムである。また、基準電源は、第1発電源及び第2発電源が発電を行う際に、系統に連携するための適正な電圧及び周波数などの電源品質の基準となる電源のことであり、商用電力供給源により商用電力が供給されている場合には商用電力供給源が、停電時には蓄電手段が基準電源となりうる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の電力供給システムであって、前記蓄電制御手段は、前記解列条件の成立を検出し、かつ、前記商用電力供給源の解列を検出していない場合、前記蓄電手段に対して前記負荷への電力供給を停止させ、前記蓄電制御手段は、前記解列条件の成立を検出し、かつ、前記商用電力供給源の解列を検出した場合、前記蓄電手段に対して前記負荷へ電力を供給させ、前記第2発電源制御手段は、前記解列条件の成立を検出し、かつ、前記商用電力供給源の解列又は前記蓄電手段の電力供給を検出していない場合、前記第2発電源に対して前記負荷への電力供給を停止させ、前記第2発電源制御手段は、前記解列条件の成立を検出し、かつ、前記商用電力供給源の解列及び前記蓄電手段の電力供給を検出した場合、前記蓄電手段を基準電源として電力供給を開始させる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の電力供給システムであって、前記第1発電源は、供給する電力値が予測困難に変化するものであり、前記第2発電源は、基準電源を元に発電する電力を増減させ、所定の出力で運用されるものである。
【0010】
ここで、第1発電源は、例えば、太陽光発電、風力発電、地熱発電等自然エネルギーを利用したものや、複数の自然エネルギーを利用した発電源を組み合わせたものである。また、第2発電源は、例えば、燃料電池システム、ガスエンジン発電システム等や、これらを組み合わせたものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかに記載の電力供給システムであって、前記解列条件には、前記商用電力供給源の停電が含まれ、又は、前記第1電気的接続経路における前記商用電力供給源への逆潮流及び電圧上昇が含まれる。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれかに記載の電力供給システムであって、前記電力切替手段は、前記解列条件の成立を検出した後に前記解列条件が成立しなくなったことを検出した場合、前記解列条件が成立しなくなったことを検出してから所定の時間である復電確認時間が経過するまで、前記商用電力供給源を解列したまま前記解列条件の不成立を確認して、前記所定の時間に前記解列条件の不成立が継続して確認されたときに、前記商用電力供給源と前記負荷との間の電気的接続を再構築する。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項5記載の電力供給システムであって、前記復電確認時間において、前記蓄電手段は、前記蓄電手段の電力供給を継続させ、前記第2発電源制御手段は、前記蓄電手段を基準電源とした電力供給を維持させる。
【0014】
請求項7に係る発明は、負荷に対して電力を供給する電力供給システムにおける電力供給方法であって、前記電力供給システムは、前記負荷に対して、第1電気的接続経路及び共通経路により電力を供給可能な商用電力供給源と、前記負荷に対して、第2電気的接続経路及び前記共通経路により蓄電している電力を供給可能な蓄電手段と、前記蓄電手段に対して、前記負荷へ供給する電力を制御する蓄電制御手段と、少なくとも、前記商用電力供給源が解列されていない状態において、前記商用電力供給源に対して、前記第2電気的接続経路も前記共通経路も経由することなく、前記第1電気的接続経路との接続点を経由して発電した電力を出力可能な第1発電源と、前記共通経路に接続され、前記負荷に対して、前記共通経路との接続点を経由して電力を供給可能な第2発電源と、前記第2発電源に対して、他の電力供給源を基準電源として発電させる第2発電源制御手段と、前記商用電力供給源、前記蓄電手段、前記第1発電源及び前記第2発電源の少なくとも1つから前記負荷に電力を供給させる電力切替手段を備え、前記電力切替手段が、解列条件の成立が検出されて、前記第1電気的接続経路において第1切替手段により前記商用電力供給源を解列する解列ステップと、前記蓄電制御手段が、前記商用電力供給源の解列が検出されると、前記蓄電手段に対して、前記負荷へ蓄電していた電力を供給させる放電ステップと、前記第2発電源制御手段が、前記商用電力供給源の解列及び前記蓄電手段から前記負荷への電力供給が検出されると、前記第2発電源に対して、前記蓄電手段を基準電源として前記負荷へ電力を供給させる発電ステップを含む。
【0015】
請求項8に係る発明は、負荷に対して電力を供給する電力供給システムにおける制御装置であって、前記電力供給システムは、前記負荷に対して、第1電気的接続経路及び共通経路により電力を供給可能な商用電力供給源と、前記負荷に対して、第2電気的接続経路及び前記共通経路により蓄電している電力を供給可能な蓄電手段と、前記蓄電手段に対して、前記負荷へ供給する電力を制御する蓄電制御手段と、少なくとも、前記商用電力供給源が解列されていない状態において、前記商用電力供給源に対して、前記第2電気的接続経路も前記共通経路も経由することなく、前記第1電気的接続経路との接続点を経由して発電した電力を出力可能な第1発電源と、前記共通経路に接続され、前記負荷に対して、前記共通経路との接続点を経由して電力を供給可能な第2発電源と、前記商用電力供給源、前記蓄電手段、前記第1発電源及び前記第2発電源の少なくとも1つから前記負荷に電力を供給させる電力切替手段を備え、前記蓄電制御手段は、前記電力切替手段が、解列条件の成立が検出されて、前記第1電気的接続経路において第1切替手段により前記商用電力供給源を解列した場合、前記商用電力供給源の解列が検出されると、前記蓄電手段に対して、前記負荷へ蓄電していた電力を供給させるものであり、前記第2発電源に対して、他の電力供給源を基準電源として発電させ、前記商用電力供給源への逆潮流が検出されると発電させないように制御するものであり、前記商用電力供給源の解列及び前記蓄電手段から前記負荷への電力供給が検出されると、前記第2発電源に対して、前記蓄電手段を基準電源として前記負荷へ電力を供給させる。
【0016】
なお、請求項6に係る発明において、復電確認時間において、蓄電制御手段は、商用電力供給源と同期させつつ、蓄電手段の電力供給を継続させるようにしてもよい。このような同期処理により、無瞬断で電力供給を継続させることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本願各請求項に係る発明によれば、蓄電手段と電力切替手段を併設し、系統連系時は、第1発電源(例えばPV)は最大限発電できるようにし、かつ最大限逆潮流させるように、第2発電源(例えばFC等)と蓄電手段の充放電により調整する。他方、解列条件が成立して商用電力供給源が解列されると、構内のみで発電可能な電力供給源を基準電源と見立てて、新エネルギー発電システムを自立運転させる。そして、第1発電源の発電量+第2発電源の発電量−負荷=蓄電手段の充放電量として調整する。この自立運転では、第1発電源及び第2発電源は、系統連系時と同様に発電を行わせることが可能となる。そして、蓄電手段の自立運転は、商用電力供給源が解列されたことが検出されて開始することから、商用電力供給源への逆潮流を避けることができる。
【0018】
特に、第2発電源が例えばFC等の場合、出力の調整は得意ではない。本願各請求項に係る発明によれば、既存の新エネルギー発電システム等による発電分を効率よく利用することが可能となる。
【0019】
なお、本願発明を、例えば、コンピュータを蓄電制御手段や第2発電源制御手段として機能させるためのプログラム及びこのプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体等として捉えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願発明の第1の実施例に係る電力供給システム1の構成を示したブロック図である。
【図2】商用電力供給源5の停電及び復電時について、図1の電力供給システム1の動作の一例を示すフロー図である。本願発明の実施の形態に係る電力供給システム1の構成を示したブロック図である。
【図3】商用電力供給源5の停電及び復電時について、図1の電力供給システム1の動作の一例を示すタイムチャートである。
【図4】商用電力供給源5の停電及び復電時について、図1の電力供給システム1の動作の他の例を示すタイムチャートである。
【図5】本願発明の第2の実施例に係る電力供給システム101の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本願発明の第1の実施例に係る電力供給システム1の構成を示したブロック図である。
【0023】
電力供給システム1は、負荷3に対して電力を供給するものである。電力供給システム1には、商用電力供給源5と、太陽光を利用して発電する太陽光発電部7と、燃料電池により発電する燃料電池発電部9と、商用電力供給源5、太陽光発電部7及び燃料電池発電部9により供給される電力を蓄電し、また、蓄電された電力を放電する蓄電部11を備える。商用電力供給源5、太陽光発電部7、燃料電池発電部9及び蓄電部11の電力は、分電盤13により電気的接続経路が調整されて負荷3へ供給される。
【0024】
商用電力供給源5は、分電盤13において、受電用ELCB21、系統電圧の有無を検出するセンサ23、家庭内自立運転に関する商用電力供給源5の解列・投入用のスイッチMS25、スイッチMS27、太陽光発電部7との接続点29、蓄電部11との接続点31、燃料電池発電部9からの逆潮流を検出するセンサ33、及び、燃料電池発電部9との接続点35を順番に経由して、負荷3に対して電力を供給する。ここで、商用電力供給源5から接続点31までの電気的接続経路が本願請求項の「第1電気的接続経路」の一例であり、蓄電部11から接続点31までの電気的接続経路が本願請求項の「第2電気的接続経路」の一例であり、接続点31から負荷3までの電気的接続経路が本願請求項の「共通経路」の一例である。なお、スイッチMS25及び27は二重化されており、どちらか一方が故障した場合には自立運転しない、より安全な機構である。なお、これらは、一つのスイッチにより実現されるものであってもよい。
【0025】
蓄電部11は、電力を蓄電し、蓄電された電力を放電する蓄電池41を備える。蓄電は、商用電力供給源5の電力(深夜料金の時間帯の電力等)、太陽光発電部7が発電した電力、燃料電池発電部9が発電した電力(余剰電力等)などにより行われる。蓄電池41に蓄電された電力は、双方向コンバータ43、単独運転防止に関する解列・投入用のスイッチMS47及びELCB49を順番に経由して、第2電気的接続経路及び共通経路により接続点31を経由して負荷3に供給される。また、蓄電部11は、蓄電部11の動作を制御する制御装置51と、センサ23の出力による系統電圧の監視及び受電用ELCB21のトリップ信号の監視を行う系統電圧監視部53と、スイッチMS25及び27の開閉を制御する解列指令部55を備える。ここで、本実施例では、センサ23、スイッチMS25、スイッチMS27、系統電圧監視部53及び解列指令部55は、切替器57を構成するとする。
【0026】
太陽光発電部7は、太陽光を利用した発電を行うものである。発電した電力は、接続点29を経由して負荷3へ供給される。また、接続点29を経由して、商用電力供給源5へ売電してもよい。また、例えば売電時は第1電気的接続経路に接続され、負荷3への電力供給時や蓄電部11への蓄電時は、第2電気的接続経路に接続して蓄電部と太陽光発電部7を一体の装置として実現したり、共通経路に接続したりしてもよい。
【0027】
燃料電池発電部9は、燃料電池(FC)を利用した発電を行うものである。燃料電池発電部9は、センサ33等の検出により燃料電池発電部9の動作を制御する制御装置61を備える。発電した電力は、接続点35を経由して負荷3へ供給される。燃料電池発電部9は、基準電源を元に発電する電力を増減させ、所定の出力で運用されるものである。単独運転防止のため、基準電源が存在しない場合やセンサ33が逆潮流を検出した場合には、通常、運転を停止する。そのため、燃料電池発電部9の発電は、負荷よりも少ないものとなる。本実施例では、センサ23が検出した電力量により蓄電部11が充放電することにより、逆潮流量がPVの発電量以上とならないよう制御している。また、家庭内に設置される燃料電池などは、系統連系中には、都市ガスなどの燃料から水素を作り出す改質部の動作速度の制約から俊敏な出力の増減ができず、短時間での発電調整が不可能なものが多い。また、燃料電池など逆潮流が認められていない発電機は、使用負荷が少ない場合、発電電力を絞り込む必要があり、効率が悪い運転を強いられる。
【0028】
太陽光発電部7や燃料電池発電部9のような新エネルギー発電システムは、一般に、系統が停電すると、保安のために、単独運転防止の観点から連系運転を停止する。そして、これらの新エネルギー発電システムを複数接続する場合は、商用電力供給源5に対する分散電源として、並列にするのが通常である。本実施例では、燃料電池発電部9を共通経路に接続する。これにより、停電等の異常状態が発生して商用電力供給源5が解列された場合でも、自立運転を行った蓄電部11を基準電源として、新エネルギー発電システムを動作させることが可能となる。そのため、既存の新エネルギー発電システム等は、連系運転と同様の発電を行うことができ、その発電分を効率よく利用することができる。
【0029】
図2のフロー図及び図3のタイムチャートを参照して、商用電力供給源5の停電及び復電時について、図1の電力供給システム1の動作の一例を説明する。商用電源供給源5の電力を利用することができる場合は、太陽光発電部7、燃料電池発電部9及び蓄電部11は、装置そのものの動作を行う。
【0030】
図2を参照して、異常状態の一例として、商用電力供給源5が停電した場合について説明する。商用電力供給源5が停電した場合(ステップST01)、太陽光発電部7、燃料電池発電部9及び蓄電部11は、それぞれの保護リレーにより停電を検出し、単独運転検出機能により解列・停止して、連系運転を停止する(例えば、蓄電部11におけるスイッチMS47等参照)(ステップST02)。切替器57の系統電圧監視部57は、センサ23からの商業電圧検出信号により商用電源がないことを認識(検出)し、受電用ELCBのトリップ信号がないことを条件に、解列指令部55からの解列指令によりスイッチMS25及び27(システム連系リレー)を「閉」から「開」として商用電力供給源5を解列する(ステップST03)。商用電力供給源5が解列されると、蓄電部11は自立運転を開始する(ステップST04)。ただし、ブレーカトリップ時は、商用電源なしとは判断せず、運転しない。そして、系統と切離された状態での蓄電部11の自立運転により、これを基準電源として、太陽光発電部7及び燃料電池発電部9が連系運転を行う(燃料電池発電部9では、制御装置61の制御により行われる)(ステップST05)。
【0031】
図3のタイムチャートを参照して、時間経過の一例を具体的に説明する。商用電力供給源5が停電し(時刻t01)、それを検出した太陽光発電部7、燃料電池発電部9及び蓄電部11は解列・停止する(図2のステップST02)(時刻t02)。システム連系リレー(図1のスイッチMS25及び27)は「閉」から「開」となり(ステップST03)(時刻t03)、これを検出した蓄電部11は自立運転を開始する(ステップST04)(時刻t04)。太陽光発電部7及び燃料電池発電部9は、蓄電部11が自立運転を開始してから所定の時間(例えば300秒)復電を確認して、蓄電部11を基準電源として連系運転を開始する(ステップST05)(時刻t05)。
【0032】
続いて、図2を参照して、商用電力供給源5が復電した場合について説明する。商用電力供給源5が復電した場合(ステップST11)、蓄電部11は、復電確認時間(例えば、150秒間、300秒間)中、継続して復電していることを確認しつつ、自立運転を継続する(ステップST12)。蓄電部11、太陽光発電部7及び燃料電池発電部9は、復電確認時間経過後、解列・停止する。解列指令部55は、解列指令によりスイッチMS25及び27を「開」から「閉」として第1電気的接続経路を再構成する(ステップST13)。そして、(単独運転受動方式又は瞬時電圧低下検知時には所定の時間(10秒程度)経過後、)蓄電部11、太陽光発電部7及び燃料電池発電部9は、系統連系運転を開始する(ステップST14)。これは、通常状態として、装置そのものの動作である。
【0033】
図3を参照して、タイムチャートについて説明する。系統電圧が復電し(図2のステップST11)(時刻t11)、それを検出した蓄電部11は、復電を検出して所定の復電確認時間、復電の継続を確認しつつ、自立運転を継続させる。復電確認時間経過後(時刻t12)、蓄電部11、太陽光発電部7及び燃料電池発電部9は解列・停止し、解列指令部55は、システム連系リレーを「開」から「閉」とする(ステップST13)。そして、太陽光発電部7、燃料電池発電部9及び蓄電部11は、系統連系運転を行う(ステップST14)(時刻t13)。
【0034】
ここで、復電確認時間(時刻t11からt12までの時間)について、図4のタイムチャートを比較しつつ、具体的に説明する。復電時の処理としては、例えば、図4に示す処理も考えられる。すなわち、停電時の処理(時刻t01からt05までの処理)は、図3におけるものと同様である。復電が確認される(時刻t21)と、所定の時間(例えば5秒)経過後に蓄電部11は自立運転を停止し(時刻t22)、太陽光発電部7及び燃料電池部9は連系運転を停止する(時刻t23)。連系リレーは、蓄電部11が自立運転を停止してから、太陽光発電部7及び燃料電池部9が連系運転を停止するまでに通常十分な所定の時間(例えば5秒)経過後に、システム連系リレーを「開」から「閉」とする(時刻t24)。そして、蓄電部11、太陽光発電部7及び燃料電池発電部9は、系統連系運転を開始する(時刻t25)。本願発明は、このような復電時の処理によっても実施可能である。
【0035】
しかしながら、図4に示す処理によっては、系統復電から10〜15秒程度で再連系する可能性がある。そのため、単独運転の受動方式や瞬間電圧低下リレー検知した場合には、10秒程度で、蓄電部11、太陽光発電部7及び燃料電池発電部9が再連系してしまい、系統復電から10〜15秒程度(復電確認が終了する前)で再連系してしまい、再閉路事故が発生する可能性がある。これに対し、図3に示す処理によれば、復電確認時間として150〜300秒をおいてから再連系することにより、事故の発生を未然に防止することができる。
【0036】
さらに、単独運転の受動方式や瞬間電圧低下リレーが動作する可能性があるのは、自立運転終了から短い時間(1秒程度以内)で負荷に再送電するようなケースである。そこで、負荷への再送電を短時間で実施する場合には、系統復電後もすぐには蓄電部11の動作を終了せず、復電確認時間自立運転を継続させた後に切り替えを実施する。この切り替え操作により、負荷への復電時間を短い時間(1秒程度以内)におさえても、再閉路事故の発生を防止することができる。
【0037】
なお、図3に示す処理において、蓄電部11は、復電確認時間中、系統と同期して、自立運転を行うようにしてもよい。このような同期処理を経ることにより、可能であれば、時刻t12と時刻t13を一致させて、無瞬断により系統連系運転をするようにすることも可能となる。
【0038】
蓄電部11の動作について、通常状態及び異常状態における動作を、より具体的に説明する。蓄電部11は、パワーコンディショナ保護機能として、例えば、出力過電圧動作、出力不足電圧動作、出力過電流動作、同期異常動作及び制御電源異常動作等の保護動作を検出する。システム連系リレー監視として、リレー状態不一致動作等を検出する。また、蓄電池保護機能として、例えば、蓄電池不足電圧動作、蓄電池温度異常動作、蓄電池過電流動作、蓄電池過電圧動作、自立時蓄電池過電圧動作等を検出する。自立時蓄電池過電圧動作は自立運転時のみ検出し、出力電圧上昇機能を動作する。これは、充電による過電圧を検出するものであり、出力電圧を上昇させ、太陽光発電部7の出力上昇抑制機能を動作させるものである。太陽光発電部7の発電量を抑制し、太陽光発電部7からの充電による過電圧から蓄電池41を保護するものである。蓄電部11は、その他の動作を検出した場合、装置内連系リレー(スイッチMS47)を開き、装置故障として停止する。
【0039】
また、蓄電部11は、連系保護機能として、例えば、交流地絡動作(ELCBトリップ)、系統過電圧動作、系統不足電圧動作、系統過周波数動作、系統不足周波数動作、系統過電圧(瞬時)動作、系統不足電圧(瞬時)動作等を検出する。また、単独運転検出機能として、例えば、能動的方式動作(周波数シフト方式)、受動的方式動作(電圧位相跳躍方式)及び逆電圧動作等を検出する。
【0040】
蓄電部11は、通常状態において、交流地絡動作を検出した場合には、装置内連系リレーをオープンし、待機状態となる(図3(a)の時刻t02)。蓄電部11は、その他の連係保護機能及び単独運転検出機能のいずれかの動作を検出した場合、装置内連系リレーをオープンにし、受電用ELCB21のトリップ信号がないことを検出して所定の時間(例えば5秒)経過後、システム連系リレーを開き(時刻t03)、自立運転を開始する(時刻t04)。太陽光発電部7及び燃料電池発電部9は、蓄電部11を基準電源として自立運転する(時刻t05)。
【0041】
蓄電部11は、自立運転時には、さらに、連系運転移行機能として、例えば、系統電圧有検出等を行う。連系運転移行機能における検出があった場合、受電用ELCB21のトリップ信号がないことを検出して、所定の時間経過中、復電(電源確立)を確認しつつ、商用電力供給源5と同期する。そして、システム連系リレーを閉じる。また、例えば受動的方式検出なしで系統電圧が正常であった場合には、例えば、蓄電部11は、連係保護機能のうち交流地絡動作以外の動作及び単独運転検出機能のうち受動式方式動作以外の動作がないことを検出した場合、所定の時間(例えば300秒)後に、交流地絡動作、受動式方式動作及び装置故障がないことを確認して装置内連系リレーを閉じ、蓄電部11の連系運転を開始する(時刻t15)。系統電圧の有無は、センサ23(例えばRY接点)のON/OFF(励磁の有無)で判定する。仮にRYの誤動作、故障が原因で復電と誤って検出した場合でも、蓄電部11が単独運転検出機能等を持っているため、待機状態となり、連系運転することはない。そのため、系統に害を与えない。
【0042】
このように、単独運転の受動方式が検知した場合には、系統復電後すぐに商用電源に切り替えるのではなく、所定の復電確認時間(例えば、300秒間)は蓄電池11からの給電を行うことで、商用系統の再閉路事故防止を行うことが可能となる。さらに、同期をとることにより、無瞬断での系統連系運転の再開が可能となる。
【実施例2】
【0043】
図5は、本願発明の第2の実施例に係る電力供給システム101の構成を示したブロック図である。本実施例では、異常状態として、第1電気的接続経路における商用電力供給源への逆潮流及び電圧上昇の場合の具体的動作について説明する。
【0044】
電力供給システム101は、例えば家庭用負荷等の負荷103に対して電力を供給するものである。電力供給システム101は、商用電力供給源105と、蓄電部107と、太陽光発電部109と、燃料電池発電部111と、コントローラ部113を備える。なお、燃料電池発電部111からの電力経路の接続点113は、後に説明するように、商用電力供給源105から受電用ELCB121及びコントローラ部113を経由して負荷103へ至る電気的接続経路と、商用電力供給源105が第1スイッチ153により解列された場合に蓄電部107からコントローラ部を経由して負荷103へ至る電気的接続経路とにおいて、共通する接続点115から負荷103に至る電気的接続経路上に接続されればよい。例えば、接続点117から負荷103に至る電気的接続系路上に接続して、蓄電部107及び太陽光発電部109が解列されてスイッチ163により商用電力供給源105の家庭用負荷へ直接供給された場合にも共通して用いられるようにしてもよい。
【0045】
太陽光発電部109は、太陽光発電パネル123とパワーコンディショナ(PCS、Power Conditioning System)125を備える。太陽光発電パネル123により生じた電力は、PCS125により変換される。また、コントローラ部113の充電器133により蓄電池127へ蓄電される。
【0046】
蓄電部107は蓄電池127を備え、本実施例では、例えばエネ・パック(登録商標)のような小電力蓄電システムである。蓄電池127は、例えば約10kWhのものであり、昼間放電し、夜間充電するものである。
【0047】
燃料電池発電部111の電力は、PCS129及びコントローラ部113を経由して負荷103へ与えられる。
【0048】
コントローラ部113は、負荷103へ供給される電力を切り替える電力切替器131と、充電器133と、商用電力供給源105からの電力供給時に蓄電部107への充電を行うときに用いられる力率改善(PFC、Power Factor Correction)回路135と、商用電力供給源105が解列された場合に蓄電部107の電力を負荷103へ供給するときに用いられるインバータ137と、充電器133、PFC135及びインバータ137の動作を制御する制御装置139を備える。
【0049】
電力切替器131の構成について説明する。商用電力供給源105の電力は、受電用ELCB121を経由して電力切替器に与えられる。商用電力供給源の電力を負荷103へ供給する場合、センサ151、潮流、電圧、停電を検出し、単独運転防止に用いられるセンサ151と、単独運転防止のための解列及び投入用の第1スイッチMS153と、潮流及び電圧を検出するセンサ155と、逆潮流防止用の静止型の高速スイッチである第2スイッチTS157と、潮流及び電圧を検出するセンサ159を順に経由する電気的接続経路により負荷103に供給される。また、内部異常(例えば太陽光発電部109又は蓄電部107の故障等)に起因する第1スイッチ153や第2スイッチ157による蓄電部107又は太陽光発電部109の解列時には、センサ151と第1スイッチ153との間の接続点161とセンサ159と負荷103の間の接続点117の間の電気的接続経路を高速にバイパスする第3スイッチTS163を経由して供給される。第1スイッチ153は、センサ151により、例えば、商用電力供給源105の停電が検出された場合、逆潮流かつ電圧上昇が検出された場合等に、異常状態として商用電力供給源105を解列する。
【0050】
太陽光発電パネル123が発電した電力は、直流の電圧・電流・電力を内部検出する太陽光発電パネル用センサ165を経由して、PCS125へ供給するか充電器133へ供給するかを切り替えるスイッチ167により切り替えられる。商用電力供給源105が解列された場合、太陽光発電パネル123が発電した電力は、充電器133により蓄電部107に蓄電される。商用電力供給源105が解列されていない場合、PCS125を経由して電力切替器131の太陽光充電用の第4スイッチ169を経由して、第1スイッチ153とセンサ155の間の接続点171により供給される。また、必要に応じて売電等がなされる。
【0051】
蓄電部107は、商用電力供給源105が解列されていない場合、PFC135及び第5スイッチMS173を経由してセンサ155と第2スイッチ157の間の接続点175に接続される。そして、通常動作として、昼間は基本的に放電し、夜間(特に深夜電力料金時間帯等の特定の時間帯)は充電する。また、売電等ができない余剰電力があれば必要に応じて充電し、電力不足時には必要に応じて放電する。
【0052】
例えば、商用停電等の異常状態により、商用電力供給源105が第1スイッチ153にて解列された場合、第5スイッチ173を閉から開にし、蓄電部107の電力をインバータ137及び第6スイッチMS177を経由して、第2スイッチ157とセンサ159の間の接続点115により負荷103へ供給する。また、系統電圧上昇時には、第5スイッチ173を閉にしておき、余剰電力を蓄電する。商用電力供給源105が投入された場合、通常動作を再開する。
【0053】
また、燃料電池発電部111の電力は、PCS129及び潮流・電圧を検出するセンサ179を経由して、接続点113により供給される。
【0054】
まず、通常運転時の動作について説明する。基本的には、太陽光発電での余剰電力は売電する。具体的には、各スイッチの状態は、第1スイッチ153、第2スイッチ157、第4スイッチ169、第5スイッチ173及び第6スイッチ177が閉、第3スイッチ163が開である。太陽光発電電力が(負荷−バッテリー放電)より大きい場合は、余剰電力は電力会社へ売電される(なお、バッテリー放電電力は電力会社には売電できない。)。太陽光発電電力が(負荷−バッテリー放電)より小さい場合は、不足電力は電力会社から買電される。バッテリー放電電力が常に負荷より大きくならないようにインバータ137にてコントロールし、上位への逆潮流を防止する。夜間時間になれば、蓄電池127に電力は充電される。太陽光発電部109、蓄電部107などの装置異常の場合は、第3スイッチ163を閉、第1スイッチ153、第2スイッチ157及び第6スイッチ177を開いてバイパス回路を形成し、負荷103に電力を支障なく供給することができる。
【0055】
次に、系統への逆潮流があり、かつ系統電圧上昇時の動作について説明する。基本的には、蓄電部107のインバータ137からの放電制限を行い、燃料電池発電部111のPCS129からの発電制限を行い、及び、太陽光発電部109の余剰電力を蓄電部107へ貯蔵する。具体的には、各スイッチの状態は、最初は、通常運転時と同様に、第1スイッチ153、第2スイッチ157、第4スイッチ169、第5スイッチ173及び第6スイッチ177が閉、第3スイッチ163が開である。上記のように、太陽光発電電力が(負荷−バッテリー放電)より大きい場合は、余剰電力は電力会社へ売電される。このとき、第1センサ151は電圧及び逆潮流を検出する。第1センサ151が逆潮流を検出し、かつ電圧が、規定値より高い又は高くなりうると判断された場合は、先ず蓄電部107のインバータ137からの放電、燃料電池発電部111のPCS129からの発電を増減させて異常事態を回避すると同時に、太陽光発電切替スイッチ167を充電器133側に切り替え、蓄電部107に太陽光で発電した電力を充電し貯蔵する。その後、第1センサ151により検出された電圧、逆潮流が規定値に戻れば、再度太陽光発電切替スイッチ167をPCS125側に切り替えて通常運転に戻り、貯蔵された電力を使用する。このように、新エネルギー発電と電力貯蔵装置間での自律運転制御により系統への影響除去対策が可能になる。
【0056】
次に、系統側停電時(系統瞬断時)の動作について説明する。基本的には、第1スイッチ153を解列し、負荷103への電力供給は太陽光発電部109及び蓄電部107から無停電にて行う。具体的には、各スイッチの状態は、最初は、通常運転時と同様に、第1スイッチ153、第2スイッチ157、第4スイッチ169、第5スイッチ173及び第6スイッチ177が閉、第3スイッチ163が開である。太陽光発電電力が(負荷−バッテリー放電)より大きい場合は、余剰電力は電力会社へ売電される。第1センサ151が単独運転を感知した場合は、第1スイッチ153を開して系統側から切り離し、バッテリー放電によって自立運転を開始する。太陽光発電部109及び燃料電池発電部111は、蓄電部107を基準電源として発電を継続する。なお、太陽光発電電力は、スイッチ167により、充電器133を経由させて蓄電部107に蓄電させて、蓄電部107より供給させるようにしてもよい。停電が復旧したことを規定時間確認できたら通常運転に戻る。これにより、需要側は、無瞬断電源装置(UPS)機能による自立運転が可能となる。
【0057】
このように、例えば家庭用太陽光発電システムや燃料電池発電システムのような既存の太陽光発電部109や燃料電池発電部111に、例えばエネ・パック(登録商標)のような電力貯蔵装置を併設して、電力切替器131の動作により、その地点(ポイント)で電圧を抑制し、出力変動への対策が可能となる。そして、燃料電池などの新エネルギーによる発電システムを大量導入した場合にも有効に活用することができる。さらに、電気自動車やヒートポンプなどの夜間電力需要と同様に、深夜電力で貯蔵することにより、需要側は電力料金を削減することが可能となり、電力供給側は深夜電力を底上げし、昼間電力のピークシフトが可能となり、負荷平準化が効果的に動作することとなる。さらに、太陽光発電や蓄電部によりCO2の削減効果があり、環境保全に寄与することができる。特に、電圧上昇抑制対策は、発生余剰電力を蓄電部107に蓄電し、後で放電することにより、新エネルギーを有効に利用することができる。
【0058】
また、本実施例では、電力供給システム101において、太陽光発電部109により発電された場合を例にして説明したが、例えば、風力発電システムなど、その他の新エネルギーにより発電される場合であってもよい。また、燃料電池発電部111は、燃料電池発電に限らず、例えばガスエンジン発電システム等やこれらを組み合わせたものであってもよい。
【0059】
このように、電力供給システム1のように太陽光発電部109を接続することにより、例えば既存の太陽光発電システムなどを活用しつつ、太陽光発電などの自然エネルギーの大量導入により生じる様々な問題点を解決する自律制御を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1 電力供給システム、3 負荷、5 商用電力供給源、7 太陽光発電部、9 燃料電池発電部、11 蓄電部、25,27 スイッチ、31,35 接続点、41 蓄電池、51 蓄電部制御装置、61 制御装置、101 電力供給システム、103 負荷、105 商用電力供給源、107 蓄電部、109 太陽光発電部、111 燃料電池発電部、127 蓄電池、131 電力切替器、113 接続点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対して電力を供給する電力供給システムであって、
前記負荷に対して、第1電気的接続経路及び共通経路により電力を供給可能な商用電力供給源と、
前記負荷に対して、第2電気的接続経路及び前記共通経路により蓄電している電力を供給可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段に対して、前記負荷へ供給する電力を制御する蓄電制御手段と、
少なくとも、前記商用電力供給源が解列されていない状態において、前記商用電力供給源に対して、前記第2電気的接続経路も前記共通経路も経由することなく、前記第1電気的接続経路との接続点を経由して発電した電力を出力可能な第1発電源と、
前記共通経路に接続され、前記負荷に対して、前記共通経路との接続点を経由して電力を供給可能な第2発電源と、
前記第2発電源に対して、前記商用電力源又は前記蓄電手段を基準電源として発電する電力を増減させ、基準電源が存在しない場合には発電させない第2発電源制御手段と、
前記商用電力供給源、前記蓄電手段、前記第1発電源及び前記第2発電源の少なくとも1つから前記負荷に電力を供給させる電力切替手段を備え、
前記電力切替手段が、解列条件の成立が検出されて、前記第1電気的接続経路において第1切替手段により前記商用電力供給源を解列した場合、
前記蓄電制御手段は、前記商用電力供給源の解列が検出されると、前記蓄電手段に対して、前記負荷へ蓄電していた電力を供給させ、
前記第2発電源制御手段は、前記商用電力供給源の解列及び前記蓄電手段から前記負荷への電力供給が検出されると、前記第2発電源に対して、前記蓄電手段を基準電源として前記負荷へ電力を供給させる、電力供給システム。
【請求項2】
前記蓄電制御手段は、前記解列条件の成立を検出し、かつ、前記商用電力供給源の解列を検出していない場合、前記蓄電手段に対して前記負荷への電力供給を停止させ、
前記蓄電制御手段は、前記解列条件の成立を検出し、かつ、前記商用電力供給源の解列を検出した場合、前記蓄電手段に対して前記負荷へ電力を供給させ、
前記第2発電源制御手段は、前記解列条件の成立を検出し、かつ、前記商用電力供給源の解列又は前記蓄電手段の電力供給を検出していない場合、前記第2発電源に対して前記負荷への電力供給を停止させ、
前記第2発電源制御手段は、前記解列条件の成立を検出し、かつ、前記商用電力供給源の解列及び前記蓄電手段の電力供給を検出した場合、前記蓄電手段を基準電源として電力供給を開始させる、請求項1記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記第1発電源は、供給する電力値が予測困難に変化するものであり、
前記第2発電源は、基準電源を元に発電する電力を増減させ、所定の電圧及び周波数で運用されるものである、請求項1又は2記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記解列条件には、前記商用電力供給源の停電が含まれ、又は、前記第1電気的接続経路における前記商用電力供給源への逆潮流及び電圧上昇が含まれる、請求項1から3のいずれかに記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記電力切替手段は、前記解列条件の成立を検出した後に前記解列条件が成立しなくなったことを検出した場合、前記解列条件が成立しなくなったことを検出してから所定の時間である復電確認時間が経過するまで、前記商用電力供給源を解列したまま前記解列条件の不成立を確認して、前記所定の時間に前記解列条件の不成立が継続して確認されたときに、前記商用電力供給源と前記負荷との間の電気的接続を再構築する、請求項1から4のいずれかに記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記復電確認時間において、
前記蓄電手段は、前記蓄電手段の電力供給を継続させ、
前記第2発電源制御手段は、前記蓄電手段を基準電源とした電力供給を維持させる、請求項5記載の電力供給システム。
【請求項7】
負荷に対して電力を供給する電力供給システムにおける電力供給方法であって、
前記電力供給システムは、
前記負荷に対して、第1電気的接続経路及び共通経路により電力を供給可能な商用電力供給源と、
前記負荷に対して、第2電気的接続経路及び前記共通経路により蓄電している電力を供給可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段に対して、前記負荷へ供給する電力を制御する蓄電制御手段と、
少なくとも、前記商用電力供給源が解列されていない状態において、前記商用電力供給源に対して、前記第2電気的接続経路も前記共通経路も経由することなく、前記第1電気的接続経路との接続点を経由して発電した電力を出力可能な第1発電源と、
前記共通経路に接続され、前記負荷に対して、前記共通経路との接続点を経由して電力を供給可能な第2発電源と、
前記第2発電源に対して、前記商用電力源又は前記蓄電手段を基準電源として発電する電力を増減させる第2発電源制御手段と、
前記商用電力供給源、前記蓄電手段、前記第1発電源及び前記第2発電源の少なくとも1つから前記負荷に電力を供給させる電力切替手段を備え、
前記電力切替手段が、解列条件の成立が検出されて、前記第1電気的接続経路において第1切替手段により前記商用電力供給源を解列する解列ステップと、
前記蓄電制御手段が、前記商用電力供給源の解列が検出されると、前記蓄電手段に対して、前記負荷へ蓄電していた電力を供給させる放電ステップと、
前記第2発電源制御手段が、前記商用電力供給源の解列及び前記蓄電手段から前記負荷への電力供給が検出されると、前記第2発電源に対して、前記蓄電手段を基準電源として前記負荷へ電力を供給させる発電ステップを含む電力供給方法。
【請求項8】
負荷に対して電力を供給する電力供給システムにおける制御装置であって、
前記電力供給システムは、
前記負荷に対して、第1電気的接続経路及び共通経路により電力を供給可能な商用電力供給源と、
前記負荷に対して、第2電気的接続経路及び前記共通経路により蓄電している電力を供給可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段に対して、前記負荷へ供給する電力を制御する蓄電制御手段と、
少なくとも、前記商用電力供給源が解列されていない状態において、前記商用電力供給源に対して、前記第2電気的接続経路も前記共通経路も経由することなく、前記第1電気的接続経路との接続点を経由して発電した電力を出力可能な第1発電源と、
前記共通経路に接続され、前記負荷に対して、前記共通経路との接続点を経由して電力を供給可能な第2発電源と、
前記商用電力供給源、前記蓄電手段、前記第1発電源及び前記第2発電源の少なくとも1つから前記負荷に電力を供給させる電力切替手段を備え、
前記蓄電制御手段は、前記電力切替手段が、解列条件の成立が検出されて、前記第1電気的接続経路において第1切替手段により前記商用電力供給源を解列した場合、前記商用電力供給源の解列が検出されると、前記蓄電手段に対して、前記負荷へ蓄電していた電力を供給させるものであり、
前記第2発電源に対して、前記商用電力源又は前記蓄電手段を基準電源として発電する電力を増減させ、前記商用電力供給源への逆潮流が検出されると発電させないように制御するものであり、前記商用電力供給源の解列及び前記蓄電手段から前記負荷への電力供給が検出されると、前記第2発電源に対して、前記蓄電手段を基準電源として前記負荷へ電力を供給させる制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−188607(P2011−188607A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50434(P2010−50434)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(591212718)株式会社正興電機製作所 (25)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】