説明

電力供給制御システム、出力側電力供給制御装置及び表示側電力供給制御装置

【課題】通常用途の妨げとならない方法で出力端子へのケーブル接続の有無を検知し、システム全体で低消費電力化を図る。
【解決手段】出力側電力供給制御装置は、出力端子4へのケーブル20の接続有無を検知する接続検知部52と、検知結果を基に映像・音声出力装置1の電力供給を制御する制御部5と、アナログ端子を用いて、映像・音声表示装置2との間で非可聴音声信号通信を行う非可聴音声信号処理部6とを備え、接続検知部52は、出力端子4がアナログ端子である場合に、非可聴音声信号処理部6による通信結果を基に当該出力端子4へのケーブル20の接続有無を検知し、表示側電力供給制御装置は、アナログ端子を用いて、非可聴音声信号処理部6との間で非可聴音声信号通信を行う非可聴音声信号処理部11を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像・音声信号を出力し得る各種映像・音声出力端子を複数有するセットトップボックス(STB)に代表される、IP映像・音声配信コンテンツを受信して映像・音声信号を出力する装置(以下、映像・音声出力装置)と、この信号を基に映像・音声を表示するテレビやディスプレイ等のモニタ装置(以下、映像・音声表示装置)とを備えた映像・音声出力表示システムに適用される電力供給制御システム、出力側電力供給制御装置及び表示側電力供給制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、通常の地上波テレビ放送だけでなく、ケーブルテレビ放送、BS・CS放送といった様々な形態の放送サービスが存在する。その中でも特に、近年、映像・音声出力装置にてIPネットワーク経由で映像・音声コンテンツを受信し、映像・音声表示装置上で番組視聴を行うIP映像・音声配信サービスが普及してきている。この映像・音声出力表示システムは、映像・音声出力装置の各種映像・音声出力端子(以下、出力端子と称す)と映像・音声表示装置の各種映像・音声入力端子(以下、入力端子と称す)とを各種AVケーブルで接続することで構成されている。
【0003】
一方、IP映像・音声配信サービスは、映像・音声出力装置を宅内や屋内で使用することを想定して設計されている。そして、映像・音声出力装置の一般的な使用形態により、電源をONにしたまま使用することが多いことが想定される。そのため、消費電力を低減することが重要である。
この際、各出力端子へのAVケーブルの接続有無に応じて、又は、映像・音声表示装置の電源状態に応じて、一つの優先すべき映像・音声出力以外の映像・音声生成処理を停止させることが非常に有効となる。
【0004】
従来から映像・音声出力装置における消費電力の低減にはいくつか手法がある。しかしながら、上記手法は、例えばHDMI端子やD端子等のように、端子へのAVケーブルの接続検知を行う際に用いるホットプラグ検出信号をもつデジタル端子に対するものである。したがって、上記ホットプラグ検出信号をもたないコンポジット等のアナログ端子に対しての接続検知は実現が困難であった。
【0005】
それに対して、例えば特許文献1では、アナログ端子に対しても接続検知を可能とする手法が開示されている。この特許文献1に開示された手法では、ホットプラグ検出信号をもつデジタル端子の他に、上記ホットプラグ検出信号をもたないアナログ端子へテスト用映像信号を出力させる映像信号処理部を備えている。そして、出力端子から出力されたテスト用映像信号の電圧値を検出し、基準電圧と比較することで、当該出力端子がAVケーブルを介して外部の機器と接続されているか否かを判定する。この判定結果により、例えば、解像度の高い順で出力端子の出力優先度をつける等して、現状の映像出力可能な出力端子のうち、最も優先度の高い出力端子に映像・音声出力を限定する。そして、除外された出力端子に対して、映像・音声信号を生成しないことで、消費電力の低減を図っている。
また、機械的にスイッチを各端子に設け、各端子へのケーブル接続、非接続を上記スイッチのON、OFFと連動させる手法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−151646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された手法では、テスト用映像信号を送るため、映像・音声表示装置上に予期せぬ映像・色が表示されてしまう恐れがあるという課題があった。また、低消費電力を実現するためには、優先度の高い出力端子に映像・音声出力を限定し、除外された出力端子に対して、映像・音声信号を生成しないだけではなく、その出力端子の周辺回路への電源供給を停止することも必要であるという課題があった。
また、スイッチを各端子に設ける方法では、機械的な構造の寿命による制約を受けるという課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、テレビやディスプレイ等の映像・音声表示装置とアナログ信号からデジタル信号まで扱うSTB等の映像・音声出力装置を有する映像・音声出力表示システムにおいて、機械的なスイッチを設けることなく、通常用途の妨げとならない方法で出力端子へのケーブル接続の有無を検知することで、システム全体での低消費電力化を図ることができる電力供給制御システム、出力側電力供給制御装置及び表示側電力供給制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る電力供給制御システムは、出力端子を複数有する映像・音声出力装置に適用された出力側電力供給制御装置と、出力端子とケーブルを介して接続される入力端子を複数有する映像・音声表示装置に適用された表示側電力供給制御装置とを備え、出力側電力供給制御装置は、出力端子へのケーブルの接続有無を検知する接続検知部と、接続検知部による検知結果に基づいて、映像・音声出力装置の電力供給を制御する制御部と、アナログ端子を用いて、映像・音声表示装置との間で非可聴帯域での音声信号通信を行う出力側非可聴音声信号処理部とを備え、接続検知部は、出力端子がアナログ端子である場合に、出力側非可聴音声信号処理部による通信結果に基づいて、当該出力端子へのケーブルの接続有無を検知し、表示側電力供給制御装置は、アナログ端子を用いて、出力側非可聴音声信号処理部との間で非可聴帯域での音声信号通信を行う表示側非可聴音声信号処理部を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、上記のように構成したので、テレビやディスプレイ等の映像・音声表示装置とアナログ信号からデジタル信号まで扱うSTB等の映像・音声出力装置を有する映像・音声出力表示システムにおいて、機械的なスイッチを設けることなく、通常用途の妨げとならない方法で出力端子へのケーブル接続の有無を検知することができる。そして、その検知結果に応じて映像・音声出力装置の電力供給を制御することで、システム全体での低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電源供給制御システムが適用された映像・音声出力表示システムの全体構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る電源供給制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係る電源供給制御システムの優先度決定基準の一例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る電源供給制御システムが適用された映像・音声出力表示システムの全体構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る電源供給制御システムの動作(映像・音声表示装置の電源がOFFからONになる場合)を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2に係る電源供給制御システムの優先度決定基準の一例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る電源供給制御システムの動作(映像・音声表示装置の電源がONからOFFになる場合)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る電力供給制御システムが適用された映像・音声出力表示システムの全体構成を示す図である。
映像・音声出力表示システムは、図1に示すように、映像・音声出力装置1及び映像・音声表示装置2から構成されている。また、映像・音声出力装置1の各種出力端子4a〜4cと、映像・音声表示装置2の各種入力端子8a〜8cとの間は、各種AVケーブル20を介して接続される。
【0013】
映像・音声出力装置1は、図1に示すように、映像・音声処理部3、複数の出力端子4a〜4c、制御部5及び非可聴音声信号処理部(出力側非可聴音声信号処理部)6から構成されている。また、出力端子4a〜4cには周辺回路7a〜7cが設けられている。なお以下では、特に区別する必要がない場合には、出力端子4a〜4c及び周辺回路7a〜7cを出力端子4及び周辺回路7と称す。また、制御部5及び非可聴音声信号処理部6は本発明の出力側電力供給制御装置を構成する。
【0014】
映像・音声処理部3は、IPネットワーク経由で所定の映像・音声コンテンツを受信し、各コンテンツデータのデコード処理を行うものである。この映像・音声処理部3は、対応する出力端子4a〜4cの種別に応じた形式でコンテンツデータをデコードする処理部31a〜31cを複数有している。なお以下では、特に区別する必要がない場合には、各処理部31a〜31cを処理部31と称す。
出力端子4は、映像・音声処理部3からの映像・音声信号をAVケーブル20を介して外部の映像・音声表示装置2に出力するものである。
【0015】
制御部5は、接続検知部52による検知結果に基づいて、映像・音声出力装置1の電力供給を制御するものである。ここで、制御部5は、映像・音声処理部3の動作制御(各処理部31の動作開始・動作停止制御)及び各周辺回路7への電源供給制御を行う。この制御部5は、優先度保持部51及び接続検知部52を有している。
【0016】
優先度保持部51は、予めユーザにより設定された各出力端子4の出力優先度を示す情報(優先度テーブル)を保持するものである。
接続検知部52は、各出力端子4へのAVケーブル20の接続有無を検知することによって、映像・音声表示装置2との接続有無を検知するものである。この際、接続検知部52は、優先度保持部51に保持された優先度テーブルに従った順で、各出力端子4に対する接続検知を行う。なお、接続検知部52は、出力端子4がアナログ端子である場合には、非可聴音声信号処理部6に対して非可聴音声信号通信の実施を指示し、この非可聴音声信号処理部6による通信結果に基づいて接続検知を行う。
【0017】
非可聴音声信号処理部6は、出力端子4がアナログ端子である場合に対応するものであり、接続検知部52からの指示を受けて、音声・映像表示装置2の非可聴音声信号処理部11との間で非可聴音声信号通信を行うものである。すなわち、非可聴音声信号処理部6は、人間の可聴帯域である20kHzを超える非可聴の音声信号をアナログ音声信号にミキシングすることで簡易双方向通信を行う。この非可聴音声信号処理部6による通信結果は接続検知部52に通知される。
【0018】
周辺回路7は、対応する処理部31から対応する出力端子4までの間に存在する電力を消費する部品のうち、当該出力端子4へ映像・音声信号を送出する際にのみ影響のある回路を指す。一例として、RCA端子の場合には、DAC(Degital to analog converter)が挙げられる。
【0019】
映像・音声表示装置2は、図1に示すように、入力端子8a〜8c、映像・音声受信部9、映像・音声表示部10及び非可聴音声信号処理部(表示側非可聴音声信号処理部)11から構成されている。なお以下では、特に区別する必要がない場合には、各入力端子8a〜8cを入力端子8と称す。また、非可聴音声信号処理部11は本発明の表示側電力供給制御装置を構成する。
【0020】
入力端子8は、対応する出力端子4からの映像・音声信号をAVケーブル20を介して入力するものである。
映像・音声受信部9は、各入力端子8に入力された映像・音声信号を受信するものである。
映像・音声表示部10は、映像・音声受信部9により受信された映像・音声信号に基づいて、映像・音声を表示するものである。
【0021】
非可聴音声信号処理部11は、出力端子4がアナログ端子である場合に対応するものであり、非可聴音声信号処理部6との間で非可聴音声信号通信を行うものである。すなわち、非可聴音声信号処理部11は、人間の可聴帯域である20kHzを超える非可聴の音声信号をアナログ音声信号にミキシングすることで簡易双方向通信を行う。
【0022】
なお、本発明は、STBに限るものではなく、出力端子を複数有する映像・音声出力装置と入力端子を複数有する映像・音声表示装置とを備えた映像・音声出力表示システムであれば、他の機器にも適用可能である。
また、図1では省略しているが、映像・音声出力装置1は、電源ボタンの押下やリモコンの操作等により起動し、映像・音声コンテンツをインターネット経由で受信してデコード処理を行う能力を有するものとしてもよい。
【0023】
また、図1では、各端子4,8をそれぞれ、種別ごとに1本ずつ計3本設けた場合について示したが、これに限るものではない。また、各処理部31や出力端子4の数は、図1に示す数に限るものではないが、出力端子4の数だけ処理部31も細分化し、1対1対応となるように構成する。
【0024】
次に、上記のように構成された電源供給制御システムの動作について説明する。図2はこの発明の実施の形態1に係る電源供給制御システムの動作を示すフローチャートであり、図3は優先度保持部51が保持している優先度テーブルの一例を示す図である。図3の例では、出力優先度が高い順に優先度1(HDMI)、優先度2(D端子)、優先度3(RCA)が設定されている。
なお以下の動作説明では、映像・音声出力装置1の出力端子4aはHDMI端子であり、出力端子4bはD端子であり、出力端子4cはRCA端子であるとする。また、処理部31aはHDMI端子4aに対応したHDMI出力処理部であり、処理部31bはD端子4bに対応したD端子出力処理部であり、処理部31cはRCA端子4cに対応したRCA出力処理部であるとする。
【0025】
電源供給制御システムの動作では、図2に示すように、まず、接続検知部52は、まず、優先度保持部51に保持されている優先度テーブルを参照することで、各出力端子4a〜4cの出力優先度を確認する(ステップST201)。
【0026】
次いで、接続検知部52は、最も出力優先度の高い端子(HDMI端子4a)にAVケーブル20が接続されているか否かを検知することで、映像・音声表示装置2が接続されているか否かを検知する(ステップST202)。ここで、接続検知部52は、HDMI端子4aのホットプラグ検出用ピンがハイであるかローであるかを判定することで接続検知を行う。
【0027】
このステップST202において、接続検知部52は、検知信号から、HDMI端子4aにAVケーブル20を介して映像・音声表示装置2が接続されていると判定した場合には、その旨を制御部5に通知する。そして、制御部5は、映像・音声処理部3の制御を行う(ステップST203,204)。すなわち、制御部5は、HDMI出力処理部31aを動作させ、その他の処理部31b,31cの動作を停止させる。
【0028】
さらに、制御部5は、ステップST203,204に伴って、HDMI端子4a以外の出力端子4b,4cの周辺回路7b,7cへの電源供給を停止する(ステップST205)。
【0029】
一方、ステップST202において、接続検知部52は、検知信号から、HDMI端子4aにAVケーブル20が接続されていないと判定した場合には、次に優先度の高い端子(D端子4b)にAVケーブル20が接続されているか否かを検知することで、映像・音声表示装置2が接続されているか否かを検知する(ステップST206)。ここで、接続検知部52は、D端子4bのプラグ検出用ピンの電圧値を検出することで接続検知を行う。
【0030】
このステップST206において、接続検知部52は、検知信号から、D端子4bにAVケーブル20を介して映像・音声表示装置2が接続されていると判定した場合には、その旨を制御部5に通知する。そして、制御部5は、映像・音声処理部3の制御を行う(ステップST207,208)。すなわち、制御部5は、D端子出力処理部31bを動作させ、その他の処理部31a,31cの動作を停止させる。
【0031】
さらに、制御部5は、ステップST207,208に伴って、D端子4b以外の出力端子4a,4cの周辺回路7a,7cへの電源供給を停止する(ステップST209)。ここで、D端子4bは映像出力のみであるため、音声が必要な場合には、音声・映像表示装置2が接続されている出力端子4のうち、音声出力が可能で出力優先度の高い出力端子4の処理部31を動作させ、出力のみ追加で開始することも可能とする。
【0032】
一方、ステップST206において、接続検知部52は、検知信号から、D端子4bにAVケーブル20が接続されていないと判定した場合には、次に優先度の高い端子(RCA端子4c)にAVケーブル20が接続されているか否かを検知することで、映像・音声表示装置2が接続されているか否かを検知する(ステップST210)。ただし、RCA端子4cはアナログ端子であるため、非可聴音声信号処理部6を用いてRCA端子4cの接続検知を行う。
【0033】
すなわち、まず、非可聴音声信号処理部6にて、人間の可聴帯域である20kHzを超える非可聴音声信号を映像・音声表示装置2の非可聴音声信号処理部11に送信する。ここで、信号の送信は連続的である必要はなく、例えば、IPネットワークで行うPing信号等のテストパケットのような確認信号を用いてもよい。また、送信間隔や周波数帯を調節し様々なパターンのやり取りを可能にすることで、簡易的な通信手段を確立することができる。
ここでは、非可聴音声信号処理部6にて、出力端子4cと入力端子8cとの間が接続されているかを確認する問い合わせ信号として、20kHzの音声信号を非可聴音声信号処理部11に送信するものとする。また、非可聴音声信号処理部11にて、上記問い合わせ信号に対する確認信号として、25kHzの音声信号を送信するものとする。
【0034】
そして、非可聴音声信号処理部11からの確認信号を非可聴音声信号処理部6で受信できた場合には、出力端子4cと入力端子8cとの間が接続されていると判定することができる。
一方、問い合わせ信号の送出後、非可聴音声信号処理部6は確認信号の待ち状態となり、任意の時間待っても非可聴音声信号処理部11からの確認信号を受信できなかった場合には、出力端子4cと入力端子8cとの間が非接続であると判定することができる。
【0035】
なお上記では、非可聴音声信号処理部6が送信する信号と、非可聴音声信号処理部11が送信する信号とは、周波数が異なる信号としたが、これに限るものではない。例えば、時間軸を考慮して、数秒信号を流し続ける長信号と数ミリ秒の短い信号を流す短信号とを組み合わせて、「1」,「0」や「Hi」,「Low」等のような違いを表すことも可能であり、これらの組み合わせで簡易的な通信も行うことができる。
この非可聴音声信号処理部6による通信結果は接続検知部52に通知される。
【0036】
このステップST210において、接続検知部52は、非可聴音声信号処理部6による通信結果から、RCA端子4cにAVケーブル20を介して映像・音声表示装置2が接続されていると判定した場合には、その旨を制御部5に通知する。そして、制御部5は、映像・音声処理部3の制御を行う(ステップST211,212)。すなわち、制御部5は、RCA出力処理部31cを動作させ、その他の処理部31a,31bの動作を停止させる。
【0037】
さらに、制御部5は、ステップST211,212に伴って、RCA端子4c以外の出力端子4a,4bの周辺回路7a,7bへの電源供給を停止する(ステップST213)。
一方、ステップST210において、接続検知部52は、非可聴音声信号処理部6による検知結果から、RCA端子4cにAVケーブル20が接続されていないと判定した場合には、その旨を制御部5に通知する。そして、制御部5は、映像・音声処理部3の制御を行う(ステップST214)。すなわち、制御部5は、映像・音声処理部3をスリープモードやスタンバイモードのように必要最低限の電力のみ使用するモードに設定する。また、シャットダウンするようにしてもよい。
【0038】
以上のように、この実施の形態1によれば、アナログ端子の接続検知に対して、非可聴音声信号処理部6,11による非可聴音声信号通信を利用するように構成したので、非可聴音声信号処理部6からの音声信号が映像・音声表示装置2で音声として出力されたとしても、視聴者には聴こえない。そのため、通常用途の妨げとならない方法で、各出力端子4と各入力端子8との間のケーブル接続の有無を検知することができる。そして、この検知結果に応じて映像・音声処理部3の動作制御や周辺回路7への電源供給制御を行うことができる。よって、効率的な電源供給を実現することができ、システム全体での低消費電力化を図ることができる。
また、機械的なスイッチを用いるものではないため、機械的な構造の寿命による制約を受けることもない。
【0039】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2に係る電力供給制御システムが適用された映像・音声出力表示システムの全体構成を示す図である。図4に示す実施の形態2に係る映像・音声出力表示システムは、図1に示す実施の形態1に係る映像・音声出力表示システムの映像・音声表示装置2に電源オフ制御部12を追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0040】
電源オフ制御部12は、ユーザが電源ボタンの押下やリモコンの操作等により映像・音声表示装置2の電源をOFFにする動作を行った場合に、映像・音声出力装置1の動作が終了するまで、映像・音声表示装置2を電源OFFの準備状態とするものである。
【0041】
また、図4では、映像・音声出力装置1の出力端子4として、例えばHDMI端子のようにCEC機能により双方向通信が可能な出力端子4a、及び、RCA端子のようなアナログ端子4bのみを具備した場合を示している。また、映像・音声表示装置2は、出力端子4a,4bに対応した入力端子8a,8bを備えている。
【0042】
なお、本発明は、STBに限るものではなく、出力端子を複数有する映像・音声出力装置と入力端子を複数有する映像・音声表示装置とを備えた映像・音声出力表示システムであれば、他の機器にも適用可能である。また、図1では、各端子4,8をそれぞれ、種別ごとに1本ずつ計2本設けた場合について示したが、これに限るものではない。
【0043】
この実施の形態2では、HDMI端子等の出力端子4aのCEC機能又は非可聴音声信号処理部6による映像・音声表示装置2との双方向通信によって、映像・音声表示装置2の電源状態を検知する。これにより、通常用途で想定されるように映像・音声出力装置1の電源がONのままであっても、映像・音声表示装置2の電源状態に連動して、映像・音声処理部3の動作制御や各周辺回路7への電源供給制御等が可能となる。よって、効率的な電源供給を実現することができ、システム全体での低消費電力化を図ることができる。
【0044】
次に、上記のように構成された電源供給制御システムの動作について説明する。まず、映像・音声表示装置2の電源がOFFからONになる場合での動作について図5を参照しながら説明する。
なお、図6は優先度保持部51が保持している優先度テーブルの一例を示す図である。図6の例では、出力優先度が高い順に優先度1(HDMI)、優先度2(RCA)が設定されている。
なお以下の動作説明では、映像・音声出力装置1の出力端子4aはHDMI端子であり、出力端子4bはRCA端子であるとする。また、処理部31aはHDMI端子4aに対応したHDMI出力処理部であり、処理部31bはRCA端子4bに対応したRCA出力処理部であるとする。
【0045】
映像・音声表示装置2の電源がOFFからONになる場合での電源供給制御システムの動作では、図5に示すように、まず、ユーザにより電源ボタンの押下やリモコンの操作等がなされることで、映像・音声表示装置2の電源がONになる(ステップST501)。
一方、接続検知部52は、優先度保持部51に保持されている優先度テーブルを参照し、優先度1に設定されたHDMI端子4aのCEC機能が有効であるか否かを判定する(ステップST502)。ここで、接続検知部52は、所定の間隔で、HDMI端子4aを介して接続先に例えば「CEC enable?」を示す信号をポーリングし、当該接続先から例えば「CEC enable.」を示す信号を受信できた場合にCEC機能が有効であると判定する。
【0046】
このステップST502において、接続検知部52が、HDMI端子4aのCEC機能が有効であると判定した場合は、制御部5は、HDMI出力処理部31aを動作させて、HDMI端子4aに映像・音声信号を出力させる(ステップST503)。
また、制御部5は、HDMI出力処理部31a以外の処理部31bの動作を停止させ、HDMI端子4a以外の出力端子4bの周辺回路7bへの電源供給を停止する(ステップST504)。
【0047】
次いで、映像・音声表示装置2の入力切替を行う(ステップST505)。すなわち、HDMI端子4aのCEC機能により、HDMI端子4aに対応した入力切替を行う。これにより、映像・音声表示装置2はHDMI入力に切り替えられ、映像表示が可能となる
その後、映像・音声表示装置2に映像・音声が表示される(ステップST506)。
【0048】
一方、ステップST502において、接続検知部52が、HDMI端子4aのCEC機能が有効ではないと判定した場合には、非可聴音声信号処理部6による非可聴音声信号通信が有効であるか否かを判定する(ステップST507)。ここで、接続検知部52は、非可聴音声信号処理部6から例えば「enable?」に相当する周波数の非可聴音声信号を映像・音声表示装置2の非可聴音声信号処理部11に送信し、非可聴音声信号処理部11から例えば「enable.」に相当する周波数の非可聴音声信号を非可聴音声信号処理部6で受信できた場合には、非可聴音声信号通信が有効であると判定する。なお、非可聴音声信号は、連続的に出力されるものに限らず、一定間隔で送出するようなものでもよいし、ランダムでもよい。また、送信間隔や周波数帯を調節し様々なパターンのやり取りをし、一つ一つ非可聴音声信号と装置の動作を対応させていくことで、非可聴音声信号通信を有効とすることもできる。
【0049】
このステップST507において、接続検知部52が、非可聴音声信号通信が有効であると判定した場合には、制御部5は、RCA出力処理部31bを動作させて、RCA端子4bに映像・音声信号を出力させる(ステップST508)。
また、出力端子数が3本以上の場合には、制御部5は、RCA出力処理部31b以外の処理部31の動作を停止させ、RCA端子4b以外の出力端子4の周辺回路7への電源供給を停止する(ステップST509)。なお、図4の例では、HDMI端子4a及びRCA端子4bのみであるため、ステップST509における処理は行われない。
【0050】
次いで、映像・音声表示装置2の入力切替を行う(ステップST510)。すなわち、まず、非可聴音声信号処理部6から、非可聴音声信号を用いて、RCA端子4bに映像・音声信号を送出することを非可聴音声信号処理部11に通知する。そして、その信号を受け取った非可聴音声信号処理部11は、直接、又は映像・音声表示装置2のチャンネル制御を行う制御部を介して、RCA端子4bに対応した入力切替を行う。これにより、映像・音声表示装置2はRCA入力に切り替えられ、映像表示が可能となる。
その後、映像・音声表示装置2に映像・音声が表示される(ステップST511)。
【0051】
一方、ステップST507において、接続検知部52が、非可聴音声信号通信が有効でないと判定した場合は、制御部5は、全ての処理部31の動作を停止させ、全ての周辺回路7への電源供給を停止する(ステップST512)。すなわち、制御部5は、スリープモードやスタンバイモード等の電源がONするのに必要な最低限の消費電力で動作するモード等に設定することで、全ての出力端子4への出力処理停止及び全ての周辺回路7への電源供給停止を実現する。
なお、図6の優先度テーブルではHDMI端子4aを最も高い優先度とした場合について示したが、この優先度は任意に設定可能である。
【0052】
以上より、映像・音声表示装置2の電源ONに連動して、必要な時に必要な部分だけ映像・音声処理・出力を行うことができ、さらには周辺回路7に対しても、映像・音声表示装置2の電源ONに連動して、必要な時に必要な部分だけ電源供給が可能となる。そのため、システム全体として消費電力を効率良く抑えたシステム運用が可能となる。
【0053】
次に、映像・音声表示装置2の電源がONからOFFになる場合での動作について図7を参照しながら説明する。
映像・音声表示装置2の電源がONからOFFになる場合での電源供給制御システムの動作では、図7に示すように、まず、ユーザが電源ボタンの押下やリモコンの操作等により映像・音声表示装置2の電源をOFFにする動作を行うことで、電源オフ制御部12が動作して、映像・音声表示装置2を電源OFFの準備状態にする(ステップST701)。
一方、接続検知部52は、HDMI端子4aのCEC機能が有効であるか否かを判定する(ステップST702)。なお、CEC機能の有効判定を行うポーリング間隔をT1(sec)とし、電源オフ制御部12が動作し始めてから映像・音声表示装置2の電源がOFFになるまでの時間をT2(sec)とした場合、T1<T2となるようにポーリング間隔を設定しておく。
【0054】
このステップST702において、接続検知部52は、HDMI端子4aのCEC機能が有効であると判定した場合は、HDMI端子4aのCEC機能により、映像・音声表示装置2の電源がOFFとなることを検知する。次いで、制御部5は、全ての処理部31の動作を停止させ、全ての周辺回路7への電源供給を停止する(ステップST703)。すなわち、制御部5は、スリープモードやスタンバイモード等の電源がONするのに必要な最低限の消費電力で動作するモード等に設定することで、全ての出力端子4への出力処理停止及び全ての周辺回路7への電源供給停止を実現する。
その後、電源オフ制御部12は、映像・音声表示装置2の電源をOFFにさせる(ステップST704)。
【0055】
一方、ステップST702において、接続検知部52が、HDMI端子4aのCEC機能が有効ではないと判定した場合には、非可聴音声信号処理部6による非可聴音声信号通信が有効であるか否かを判定する(ステップST705)。
【0056】
このステップST705において、接続検知部52が、非可聴音声信号通信が有効であると判定した場合には、非可聴音声信号処理部11から、非可聴音声信号を用いて、映像・音声表示装置2の電源がOFFとなることが非可聴音声信号処理部6に通知される。次いで、制御部5は、全ての処理部31の動作を停止させ、全ての周辺回路7への電源供給を停止する(ステップST706)。すなわち、制御部5は、スリープモードやスタンバイモード等の電源がONするのに必要な最低限の消費電力で動作するモード等に設定することで、全ての出力端子4への出力処理停止及び全ての周辺回路7への電源供給停止を実現する。
その後、電源オフ制御部12は、映像・音声表示装置2の電源をOFFにさせる(ステップST707)。
【0057】
以上より、映像・音声表示装置2の電源OFFに連動して、映像・音声出力装置1への電力供給を、次回、映像・音声表示装置2の電源がONとなった際に電源をONするのに必要な最低限の電力とすることで、システム全体として消費電力を効率良く抑えたシステム運用が可能となる。
【0058】
以上のように、この実施の形態2によれば、CEC機能による双方向通信、又は、非可聴音声信号処理部6,11による双方向簡易通信によって、映像・音声表示装置2の電源状態を検知するように構成したので、映像・音声表示装置2の電源状態に連動して、映像・音声処理部3の動作制御や各周辺回路7への電源供給制御等が可能となる。そのため、効率的な電源供給を実現することができ、システム全体での低消費電力化を図ることができる。
【0059】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 映像・音声出力装置、2 映像・音声表示装置、3 映像・音声処理部、4,4a〜4c 出力端子、5 制御部、6 非可聴音声信号処理部(出力側非可聴音声信号処理部)、7,7a〜7c 周辺回路、8,8a〜8c 入力端子、9 映像・音声受信部、10 映像・音声表示部、11 非可聴音声信号処理部(表示側非可聴音声信号処理部)、12 電源オフ制御部、20 AVケーブル、31,31a〜31c 処理部、51 優先度保持部、52 接続検知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子を複数有する映像・音声出力装置に適用された出力側電力供給制御装置と、前記出力端子とケーブルを介して接続される入力端子を複数有する映像・音声表示装置に適用された表示側電力供給制御装置とを備えた電力供給制御システムにおいて、
前記出力側電力供給制御装置は、
前記出力端子への前記ケーブルの接続有無を検知する接続検知部と、
前記接続検知部による検知結果に基づいて、前記映像・音声出力装置の電力供給を制御する制御部と、
アナログ端子を用いて、前記映像・音声表示装置との間で非可聴帯域での音声信号通信を行う出力側非可聴音声信号処理部とを備え、
前記接続検知部は、前記出力端子が前記アナログ端子である場合に、前記出力側非可聴音声信号処理部による通信結果に基づいて、当該出力端子への前記ケーブルの接続有無を検知し、
前記表示側電力供給制御装置は、
アナログ端子を用いて、前記出力側非可聴音声信号処理部との間で非可聴帯域での音声信号通信を行う表示側非可聴音声信号処理部を備えた
ことを特徴とする電力供給制御システム。
【請求項2】
前記接続検知部は、前記各出力端子に対して設定した優先度に従った順で、前記ケーブルの接続有無を検知する
ことを特徴とする請求項1記載の電力供給制御システム。
【請求項3】
前記出力端子は、CEC機能を有する端子又はアナログ端子であり、
前記制御部は、前記CEC機能又は前記出力側非可聴音声信号処理部による前記映像・音声表示装置との双方向通信により検知された前記映像・音声表示装置の電源状態に基づいて、前記映像・音声出力装置の電力供給を制御する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電力供給制御システム。
【請求項4】
映像・音声表示装置の入力端子とケーブルを介して接続される出力端子を複数有する映像・音声出力装置に適用された出力側電力供給制御装置において、
前記出力端子への前記ケーブルの接続有無を検知する接続検知部と、
前記接続検知部による検知結果に基づいて、前記映像・音声表示装置の電力供給を制御する制御部と、
アナログ端子を用いて、前記映像・音声表示装置との間で非可聴帯域での音声信号通信を行う出力側非可聴音声信号処理部とを備え、
前記接続検知部は、前記出力端子が前記アナログ端子である場合に、前記出力側非可聴音声信号処理部による通信結果に基づいて、当該出力端子への前記ケーブルの接続有無を検知する
ことを特徴とする出力側電力供給制御装置。
【請求項5】
映像・音声出力装置の出力端子とケーブルを介して接続される入力端子を複数有する映像・音声表示装置に適用された表示側電力供給制御装置において、
アナログ端子を用いて、前記映像・音声出力装置との間で非可聴帯域での音声信号通信を行う表示側非可聴音声信号処理部を
備えたことを特徴とする表示側電力供給制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−102265(P2013−102265A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243475(P2011−243475)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】