説明

電力供給回路の機種判別装置、画像形成装置、及び、電力供給回路の機種判別方法

【課題】専用のポートを設けることなく電力供給装置の機種の判別が可能な電力供給回路の機種判別装置、画像形成装置、及び、電力供給回路の機種判別方法を提供する。
【解決手段】電力供給回路50は、電気的負荷33,41への供給電力を制御するための制御信号S1、S3が入力される入力端子91,93、及び、対応する入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号S2、S4を出力する出力端子95,97を有し、且つ、入力端子及び出力端子の少なくとも一方は複数設けられ、入力端子と出力端子との対応関係が機種によって異なる構成とされ、入力端子に制御信号を入力し、当該制御信号の入力に応じた出力端子の検出信号を読み取る読取工程と、読取工程での読取結果に基づき電力供給回路の機種を判別する判別工程と、実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給回路の機種を判別するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器等には複数の機種が存在し、その機種によって例えば制御用パラメータなどが異なることがあるため、機種を判別する必要がある。この点、従来から、電気機器(画像形成装置)の機種によって出力がハイ状態またはロー状態になる機種判別用ポートと、メイン基板とを備え、メイン基板が、その機種判別用ポートのハイロー状態に基づき機種判別を行う電気機器がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−31222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の電気機器では、機種判別のために専用のポートを別途設ける必要があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、専用のポートを設けることなく電力供給装置の機種の判別が可能な電力供給回路の機種判別装置、画像形成装置、及び、電力供給回路の機種判別方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記の目的を達成するための手段として、第1発明に係る電力供給回路の機種判別装置は、電気的負荷に電力を供給する電力供給回路の機種を判別する電力供給回路の機種判別装置であって、前記電力供給回路は、前記電気的負荷への供給電力を制御するための制御信号が入力される入力端子、及び、対応する入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力する出力端子を有し、且つ、前記入力端子及び前記出力端子の少なくとも一方は複数設けられ、前記入力端子と前記出力端子との対応関係が前記機種によって異なる構成とされ、前記入力端子に制御信号を入力する制御部と、前記出力端子からの検出信号を読み取る読取部と、前記読取部での読取結果に基づき、前記電力供給回路の機種を判別する判別部と、を備える。
【0006】
この発明によれば、電力供給回路は入力端子と出力端子との対応関係が機種によって異なる構成とされている。そして、この電力供給回路の入力端子に制御信号を入力し、出力端子からの検出信号を読み取る。この読取結果は、上記対応関係によって異なるから、この読取結果に基づき電力供給回路の機種を判別することが可能である。
【0007】
(2)第2の発明は、第1の発明の電力供給回路の機種判別装置であって、前記判別部での機種の判別のために前記制御部から前記入力部に入力される制御信号は、前記電力供給回路に供給電力の出力を開始させる始動レベルである、電力供給回路の機種判別装置。
この発明によれば、制御信号が電力供給回路に供給電力の出力を開始させる始動レベルで機種判別を行うので、消費電力を抑制することが可能である。
【0008】
(3)第3の発明は、画像形成媒体にカラー画像を形成可能な画像形成装置であって、各色に対応して設けられ、同一種類の複数の電気的負荷と、第1または第2の発明の電力供給回路及び機種判別装置と、を備え、前記電力供給回路は、前記入力端子及び前記出力端子を、前記複数の電気的負荷の数ずつ備え、前記機種判別装置の前記制御部は、前記機種の判別のために前記複数の入力端子のうち一部の入力端子に対し、他の入力端子とは異なるレベルの制御信号を入力する構成である。
【0009】
この発明によれば、機種に応じて対応関係が異なる入力端子及び出力端子は、同一種類の電気的負荷への電力供給に使用されるものなので、同一レベルの制御信号に対する供給電力レベル(検出信号レベル)もほぼ同等レベルとなる。従って、各出力端子が、一部の入力端子からの制御信号に応じた検出信号を出力したか否かを、共通の基準で判断することができるため、誤検出を抑制することが可能である。
【0010】
(4)第4の発明の電力供給回路の機種判別装置は、電気的負荷に電力を供給する電力供給回路の機種を判別する電力供給回路の機種判別装置であって、前記電力供給回路は、前記電気的負荷への供給電力を制御するための制御信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力し、前記第2入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力する1または複数の出力端子を有し、前記第1入力端子と前記第2入力端子とで、最小レベルの制御信号が入力されたときの検出信号が最大値側になるか最小値側になるかの検出特性が異なり、前記第1入力端子及び前記第2入力端子と前記検出特性との対応関係が前記機種によって逆転した構成とされ、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の少なくとも一方に制御信号を入力する制御部と、前記出力端子からの検出信号を読み取る読取部と、前記読取部での読取結果に基づき、前記電力供給回路の機種を判別する判別部と、を備える。
【0011】
この発明によれば、電力供給回路は、第1入力端子と第2入力端子とで検出特性(最小レベルの制御信号が入力されたときの検出信号が最大値側になるか最小値側になるかの特性)が異なり、第1入力端子及び第2入力端子と検出特性との対応関係が機種によって逆転した構成とされている。そして、この電力供給回路の第1入力端子及び第2入力端子のいずれか一方に制御信号を入力し、出力端子からの検出信号を読み取る。この読取結果は、上記対応関係によって異なるから、この読取結果に基づき電力供給回路の機種を判別することが可能である。
【0012】
(5)第5の発明は、第4の発明の電力供給回路の機種判別装置であって、前記判別部は、前記制御部からの前記制御信号の最小レベルまたは最大レベルの初期レベルのときにおける前記読取部の読取結果に基づき前記機種を判別する構成である。
この発明によれば、制御信号の初期レベル(例えば電力供給回路の駆動開始時の制御信号の値)によって早期に機種判別を行うことが可能である。
【0013】
(6)第6の発明は、第1,2,4,5の発明の電力供給回路の機種判別装置、第3の発明であって、外部指令に基づき前記判別部による機種の判別を実行するか否かを切り替える切替部を備える。
この発明によれば、機種の判別を行う必要があるかどうかによって当該判別を実行するかどうかを切り替えることが可能である。
【0014】
(7)第7の発明は、第3の発明の画像形成装置であって、外部指令に基づき前記判別部による機種の判別を実行するか否かを切り替える切替部を備える。
【0015】
(8)第8の発明の電力供給回路の判別方法は、電気的負荷に電力を供給する電力供給回路の機種を判別する電力供給回路の判別方法であって、前記電力供給回路は、前記電気的負荷への供給電力を制御するための制御信号が入力される入力端子、及び、対応する入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力する出力端子を有し、且つ、前記入力端子及び前記出力端子の少なくとも一方は複数設けられ、前記入力端子と前記出力端子との対応関係が前記機種によって異なる構成とされ、前記入力端子に制御信号を入力し、当該制御信号の入力に応じた前記出力端子の検出信号を読み取る読取工程と、前記読取工程での読取結果に基づき前記電力供給回路の前記機種を判別する判別工程と、含む。
【0016】
(9)第9の発明の電力供給回路の機種判別方法は、電気的負荷に電力を供給する電力供給回路の機種を判別する電力供給回路の判別方法であって、前記電力供給回路は、前記電気的負荷への供給電力を制御するための制御信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力し、前記第2入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力する1または複数の出力端子を有し、前記第1入力端子と前記第2入力端子とで、最小レベルの制御信号が入力されたときの検出信号が最大値側になるか最小値側になるかの検出特性が異なり、前記第1入力端子及び前記第2入力端子と前記検出特性との対応関係が前記機種によって逆転した構成とされ、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の少なくとも一方に制御信号を入力し、当該制御信号に応じた前記出力端子の検出信号を読み取る読取工程と、前記読取工程での読取結果に基づき、前記電力供給回路の前記機種を判別する判別工程と、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、専用のポートを設けることなく電力供給装置の機種の判別が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係るプリンタの内部構成を表す概略断面図
【図2A】帯電器及び転写体に電力を供給するための構成を示したブロック図(バージョン1)
【図2B】帯電器及び転写体に電力を供給するための構成を示したブロック図(バージョン2)
【図3】機種判別処理を示すフローチャート
【図4A】実施形態2の帯電器に電力を供給するための構成を示したブロック図(バージョン1)
【図4B】帯電器に電力を供給するための構成を示したブロック図(バージョン2)
【図5】機種判別処理を示すフローチャート
【図6A】実施形態3の帯電器及びクリーニング体に電力を供給するための構成を示したブロック図(バージョン1)
【図6B】帯電器及びクリーニング体に電力を供給するための構成を示したブロック図(バージョン2)
【図7】機種判別処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1〜図3を参照しつつ説明する。
(1)プリンタの全体構成
図1は、本実施形態のプリンタ1(本発明の「画像形成装置」の一例)の内部構成を表す概略断面図である。以下の説明では、各構成要素について、色毎に区別する場合は各部の符号にY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),B(ブラック)の添え字を付し、区別しない場合は添え字を省略する。
【0020】
プリンタ1は、給紙部3と、画像形成部5と、搬送機構7と、定着部9と、高圧制御装置11、を備え、例えば外部から入力される画像データに応じた1または複数色(本実施形態ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色)のトナーからなるトナー像を、シート15(用紙、OHPシートなど)に形成する。更に、プリンタ1は、クリーニング機構13を備える。
【0021】
給紙部3は、プリンタ1の最下部に設けられており、シート15を収容するトレイ17と、ピックアップローラ19とを備える。トレイ17に収容されたシート15は、ピックアップローラ19により1枚ずつ取り出され、搬送ローラ21,レジストレーションローラ23を介して搬送機構7に送られる。
【0022】
搬送機構7は、シート15を搬送するためのものである。この搬送機構7は、ベルト27が、駆動ローラ29と従動ローラ31との間に架け渡された構成になっている。駆動ローラ29が回動すると、ベルト27は、感光体39と対向する側の表面が、図1中の右方向から左方向へ移動する。これにより、レジストレーションローラ23から送られてきたシート15が、画像形成部5下へと搬送される。また、搬送機構7は、4つの転写体33(例えば転写ローラ)を備える。
【0023】
画像形成部5は、4個の現像ユニット37Y,37M,37C,37Bを有する。各現像ユニット37は、感光体39、帯電器41と、露光装置43と、ユニットケース45とを備える。
【0024】
感光体39は、例えば、アルミニウム製の基材上に、正帯電性の感光層が形成されたものであり、このアルミニウム製の基材がプリンタ1のグランドラインに接地されている。帯電器41は、いわゆるスコロトロン型の帯電器であり、帯電ワイヤ41A及びグリッド41Bを有する。この帯電ワイヤ41Aに帯電電圧V1を印加し、グリッド41Bのグリッド電圧V2が、感光体39の表面がほぼ同電位(例えば+700V)になるように制御される。
【0025】
露光装置43は、感光体39の回転軸方向に沿って一列状に並んだ複数の発光素子(例えばLED)を有し、これらの複数の発光素子を、外部より入力される画像データの1色分に応じて発光制御することにより、感光体39の表面に静電潜像を形成する。
【0026】
ユニットケース45は、各色のトナー(本実施形態では、例えば正帯電性の非磁性1成分トナー)を収納するとともに、現像体47(例えば現像ローラ)を有する。現像体47が、トナーを「+」(正極性)に帯電させ、均一な薄層として感光体39上へ供給することにより上記静電潜像を現像してトナー象を形成する。
【0027】
上記各転写体33は、上記各感光体39との間でベルト27を挟む位置に配置されている。各転写体33は、感光体39との間にトナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧V3が印加されることで、感光体39上に形成された上記トナー像をシート15に転写する。その後、当該シート15は、搬送機構7により定着部9へと搬送され、この定着部9にてトナー像が熱定着され、プリンタ1の上面に排出される。
【0028】
クリーニング機構13は、搬送機構7の下方に設けられ、クリーニング体49(例えばクリーニングローラ)によりベルト27上の付着物(ベルト27に残存したトナーやシートの破片(紙粉)など)をクリーニングする。
【0029】
(2)高圧制御装置の構成
高圧制御装置11は、プリンタ1に備えられた各電気的負荷(帯電器41、現像体47、転写体33、クリーニング体49など)に電力を供給しつつ、その供給電力を制御する。具体的には、高圧制御装置11は、高圧基板50(本発明の「電力供給回路」の一例)と、PWM制御回路80(本発明の「機種判別装置、制御部、読取部、判別部」の一例)とを備える。なお、PWM制御回路80は、CPUを内蔵して構成されたものでも、特定用途向け集積回路(ASIC)として構成されたものでもよい。
【0030】
図2A,2Bは、高圧制御装置11のうち、帯電器41及び転写体33に電力を供給するための構成を示したブロック図である。高圧基板50(50A,50B)は、帯電回路51、グリッド電圧検出回路53、転写回路55及び転写電流検出回路57を、各トナー色に対応して1組ずつ備える(図2はそのうち1組のみ図示)。また、高圧基板50は、PWM制御回路80側に接続される、第1入力端子91、第2入力端子93、第1出力端子95、第2出力端子97を備え、更に、電気的負荷側に接続される、帯電用接続端子99、グリッド用接続端子101、転写用接続端子103を備える。
【0031】
(2−1)帯電電圧制御のための構成
帯電回路51は、帯電用接続端子99を介して帯電ワイヤ41Aに接続されており、PWM制御回路80から帯電用PWM信号S1(本発明の「制御信号」の一例)を受けることにより、当該帯電用PWM信号S1に応じた帯電電圧V1を帯電ワイヤ41Aに供給する。グリッド電圧検出回路53は、グリッド用接続端子101を介してグリッド41Bに接続されており、グリッド41Bのグリッド電圧V2に応じた検出信号S2を、PWM制御回路80に出力する。
【0032】
PWM制御回路80は、出力ポートとして第1PWMポート81及び第2PWMポート83を備え、入力ポートとして第1A/Dポート85及び第2A/Dポート87を備える。PWM制御回路80に図示しないコネクタを介して、高圧基板50を接続することにより、第1PWMポート81が第1入力端子91に接続され、第2PWMポート83が第2入力端子93に接続され、第1A/Dポート85が第1出力端子95に接続され、第2A/Dポート87が第2出力端子97に接続される。
【0033】
そして、PWM制御回路80は、グリッド電圧検出回路53から受けた検出信号S2に基づき、グリッド電圧V2がグリッド目標電圧(例えば+700[V])に近付くように帯電用PWM信号S1のPWM値(デューティ比)を適宜変更して、定電圧制御(以下、「帯電電圧制御」という)を行う。
【0034】
(2−2)転写電流制御のための構成
転写回路55は、転写用接続端子103を介して転写体33に接続されており、PWM制御回路80から転写用PWM信号S3(本発明の「制御信号」の一例)を受けることにより、当該転写用PWM信号S3に応じた転写電圧V3を転写体33に供給する。転写電流検出回路57は、転写電流Iに応じた検出信号S4を、PWM制御回路80に出力する。
【0035】
そして、PWM制御回路80は、転写電流検出回路57から受けた検出信号S4に基づき、転写電流Iが目標電流値(例えば−10〜−15μA)に近付くように転写用PWM信号S3のPWM値(デューティ比)を適宜変更して、定電流制御(以下、「転写電流制御」という)を行う。
【0036】
(3)高圧基板の機種について
高圧基板50は、高圧基板50A(図2A参照)と高圧基板50B(図2B参照)とがあり、これらは機種が相違するものの、いずれもPWM制御回路80に接続可能となっている。なお、機種の相違には、高圧基板50のタイプの相違だけでなく、同一タイプ内での改定番号の相違なども含まれる。
【0037】
本実施形態では、高圧基板50Aがバージョン1であり、高圧基板50Bがバージョン2であり、これらは、例えば出力電圧の調整可能範囲が互いに異なる。例えばバージョン1は0〜800[V]であり、バージョン2は0〜1000[V]である。このため、高圧基板50Aと高圧基板50Bとでは、例えば、帯電電圧V1や転写電流IのPWM制御で使用するパラメータ(例えばPWM値の初期値や、PWM値の最小変更量など)が互いに異なる。
【0038】
PWM制御回路80は、高圧基板50Aを制御するための構成も、高圧基板50Bを制御するための構成も備えているが、どちらが接続されているかを判別しなければならない。そして、PWM制御回路80は、次に説明するように機種判別処理を実行することにより、高圧基板50Aと高圧基板50Bとを判別することができる。なお、PWM制御回路80には、ユーザが操作可能な操作部89が接続されている。
【0039】
(4)高圧基板の機種判別について
(4−1)高圧基板の入力端子と出力端子との対応関係
高圧基板50Aと高圧基板50Bとでは、第1入力端子91及び第2入力端子93と、第1出力端子95及び第2出力端子97との対応関係が異なる。具体的には、図2Aに示すように、高圧基板50Aは、第1入力端子91が帯電回路51の入力側に接続され、第1出力端子95がグリッド電圧検出回路53の出力側に接続されている。また、第2入力端子93が転写回路55の入力側に接続され、第2出力端子97が転写電流検出回路57の出力側に接続されている。つまり、高圧基板50Aは、第1入力端子91及び第1出力端子95を帯電電圧制御に利用し、第2入力端子93及び第2出力端子97を転写電流制御に利用するのである。
【0040】
これに対して、図2Bに示すように、高圧基板50Bは、高圧基板50Aに対し、第1入力端子91が帯電回路51の入力側に接続されている点で共通するが、第2出力端子97がグリッド電圧検出回路53の出力側に接続されている点で異なる。また、第2入力端子93が転写回路55の入力側に接続されている点で共通するが、第1出力端子95が転写電流検出回路57の出力側に接続されている点で異なる。つまり、高圧基板50Bは、第1入力端子91及び第2出力端子97を帯電電圧制御に利用し、第2入力端子93及び第1出力端子95を転写電流制御に利用するのである。
【0041】
(4−2)機種判別処理
図3は機種判別処理を示すフローチャートである。PWM制御回路80に高圧基板50A及び高圧基板50Bのいずれか一方を接続した状態で、例えばプリンタ1の電源をオンすると、PWM制御回路80は機種判別処理を実行する。なお、PWM制御回路80は、当初は第1A/Dポート85をグリッド電圧検出用に設定し、第2A/Dポート87を転写電流検出用に設定しているものとする。
【0042】
また、本実施形態では、ユーザは、操作部89にて、機種判別処理をプリンタ1の電源オン時に実行しない設定や、電源オン時以外に実行する設定などを行うことができる。PWM制御回路80は、上記ユーザの操作により操作部89から受ける外部指令に応じて機種判別処理を実行するか否かを切り替える。このときPWM制御回路80は本発明の「切替部」として機能する。これにより、必要に応じて機種判別を実行するかどうかを切り替えることが可能である。
【0043】
機種判別処理では、第1入力端子91及び第2入力端子93のいずれか一方にPWM信号S1(S3)を入力し、或いは、第1入力端子91と第2入力端子93とに互いに異なるPWM値のPWM信号S1、S3を入力し、第1A/Dポート85及び第2A/Dポート87の少なくとも一方の読取結果(読取パターン)に基づき高圧基板50の機種判別を行う。
【0044】
より具体的には、PWM制御回路80は、S11で第1PWMポート81から帯電用PWM信号S1を出力する。このときPWM制御回路80は「制御部」として機能する。但し、このときの帯電用PWM信号S1のPWM値は、帯電回路51が帯電電圧V1の出力を開始する始動レベル(例えば30%)に設定されている。換言すれば、帯電電圧V1を出力可能なPWM置の最小レベルであり、この始動レベルを下回ると、帯電回路51が内蔵するスイッチング素子(図示せず)の不感帯領域に入ってしまい、帯電電圧V1が出力されなくなる。なお、上記始動レベルは、唯一1レベルに限らず、上限・下限を有するレベル範囲であってもよい。このように始動レベルの帯電用PWM信号S1を利用することにより機種判別処理時における消費電力を抑制することが可能である。
【0045】
そして、S13で所定時間待機後に、S15でグリッド電圧V2が変化したかを判断する。具体的には、グリッド電圧検出用に設定された第1A/Dポート85に与えられる検出信号を読み取って、その検出信号レベルが所定の閾値以上になったかどうかを判断する。このときPWM制御回路80は「読取部、判別部」として機能し、このときの工程が本発明の「読取工程」の一例である。現在接続されている高圧基板50がバージョン1(高圧基板50A)であれば、第1入力端子91への帯電用PWM信号S1の入力に対し、これに応じてレベル変化した検出信号S2が第1A/Dポート85に与えられるはずである。
【0046】
そこで、グリッド電圧V2が変化すれば(S15:YES)、S17で現在接続されている高圧基板50を、バージョン1の高圧基板50Aであると判別し、当該バージョン1用のパラメータを設定する。これにより、PWM制御回路80は、高圧基板50Aに対して帯電電圧制御及び転写電流制御を正常に実行可能になる。その後、S25で帯電用PWM信号S1の出力を停止し、本機種判別処理を終了する。
【0047】
一方、グリッド電圧V2が変化していなければ(S15:NO)、S19で転写電流Iが変化したかを判断する。具体的には、転写電流検出用に設定された第2A/Dポート87に与えられる検出信号を読み取って、その検出信号レベルが所定の閾値以上になったかどうかを判断する。このときPWM制御回路80は「読取部、判別部」として機能し、このときの工程が本発明の「判別工程」の一例である。現在接続されている高圧基板50がバージョン2(高圧基板50B)であれば、第1入力端子91への帯電用PWM信号S1の入力に対し、これに応じてレベル変化した検出信号S2が第2A/Dポート87に与えられるはずである。
【0048】
そこで、転写電流Iが変化すれば(S19:YES)、S21で現在接続されている高圧基板50を、バージョン2の高圧基板50Bであると判別し、当該バージョン2用のパラメータを設定する。これにより、PWM制御回路80は、高圧基板50Bに対して帯電電圧制御及び転写電流制御を正常に実行可能になる。その後、S25で帯電用PWM信号S1の出力を停止し、本機種判別処理を終了する。
【0049】
なお、グリッド電圧V2及び転写電流Iのいずれも変化していなければ(S15:NO,S19:NO)、高圧基板50の故障等が考えられるため、S23で高圧基板エラー通知を外部に報知する。例えばプリンタ1の図示しない表示部にエラー表示を行ったり、プリンタ1に通信可能に接続されているコンピュータにエラー通知をしたりする。
【0050】
(5)本実施形態の効果
本実施形態によれば、高圧基板50は入力端子と出力端子との対応関係が機種によって異なる構成とされている。そして、この高圧基板50の入力端子にPWM信号を入力し、出力端子からの検出信号を読み取る。この読取結果は、上記対応関係によって異なるから、この読取結果に基づき高圧基板50の機種を判別することが可能である。
【0051】
<実施形態2>
図4,5は実施形態2を示す。前記実施形態との相違は、機種判別処理に利用する電気的負荷にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。なお、本実施形態2における入力端子91,93、出力端子95,97、PWMポート81,83、A/Dポート85,87は、上記実施形態1とは異なる電力制御に使用され得るが、説明を簡単にするために同じ符号を付けて説明する。
【0052】
上記実施形態1では、機種判別処理に利用する電気的負荷が種類(機能)の異なる帯電器41、転写体33であったが、本実施形態2では、同種類(同機能)の電気的負荷を利用する。具体的には複数(2台)の帯電器41を利用する。高圧基板50C、50Dは、例えばイエロー用の帯電回路51Y及びグリッド電圧検出回路53Yと、マゼンタ用の帯電回路51M及びグリッド電圧検出回路53Mとを備える。
【0053】
(1)高圧基板の入力端子と出力端子との対応関係
図4A,4Bは、高圧制御装置11のうち、4つの帯電器41(同図ではイエロー用とマゼンタ用の帯電器41のみ図示)に電力を供給するための構成を示したブロック図である。図4Aに示すように、バージョン1の高圧基板50Cは、第1入力端子91及び第1出力端子95をイエロー用の帯電電圧制御に利用し、第2入力端子93及び第2出力端子97をマゼンタ用の帯電電圧制御に利用する。一方、図4Bに示すように、バージョン2の高圧基板50Dは、第1入力端子91及び第2出力端子97をイエロー用の帯電電圧制御に利用し、第2入力端子93及び第1出力端子95をマゼンタ用の帯電電圧制御に利用する。
【0054】
(2)機種判別処理
図5は機種判別処理を示すフローチャートである。なお、PWM制御回路80は、当初は第1A/Dポート85をイエローグリッド電圧検出用に設定し、第2A/Dポート87をマゼンタグリッド電圧検出用に設定しているものとする。
【0055】
PWM制御回路80は、S31で第1PWMポート81から、上記始動レベルのイエロー帯電用PWM信号S1を出力する。そして、S33で所定時間待機後に、S35で、第1A/Dポート85に与えられる検出信号を読み取って、イエローグリッド電圧V2Yが変化したかを判断し、変化すれば(S35:YES)、S37でバージョン設定値を「1」に仮設定し、S43に進む。
【0056】
S43では、イエロー帯電用PWM信号S1の出力を停止し、第2PWMポート83から、上記始動レベルのマゼンタ帯電用PWM信号S1を出力する。そして、S45で所定時間待機後に、S47でバージョン設定値が「1」であれば(S47:YES)、S49で再び第1A/Dポート85に与えられる検出信号を読み取って、イエローグリッド電圧V2Yが変化したかを判断する。変化しなければ(S49:NO)、S51で現在接続されている高圧基板50を、バージョン1の高圧基板50Cであると判別し、当該バージョン1用のパラメータを設定し、マゼンタ帯電用PWM信号S1の出力を停止し、本機種判別処理を終了する。なお、S49でイエローグリッド電圧V2Yが変化すれば(S49:YES)、S53で高圧基板エラー通知を行う。
【0057】
一方、S35でイエローグリッド電圧V2Yが変化しない場合には(S49:NO)、S39で、第2A/Dポート87に与えられる検出信号を読み取って、マゼンタグリッド電圧V2Mが変化したかを判断し、変化すれば(S39:YES)、S41でバージョン設定値を「2」に仮設定し、S43に進む。
【0058】
そしてS43でマゼンタ帯電用PWM信号S1を出力し、S45で所定時間待機後に、S47でバージョン設定値が「2」であれば(S47:NO)、S55で再び第1A/Dポート85に与えられる検出信号を読み取って、イエローグリッド電圧V2Yが変化したかを判断する。変化すれば(S55:YES)、S57で現在接続されている高圧基板50を、バージョン2の高圧基板50Dであると判別し、当該バージョン2用のパラメータを設定し、S59に進む。なお、S55でイエローグリッド電圧V2Yが変化しなければ(S49:NO)、S53で高圧基板エラー通知を行う。
【0059】
(3)本実施形態の効果
本実施形態によれば、機種に応じて対応関係が異なる入力端子及び出力端子は、同一種類の電気的負荷への電力供給に使用されるものなので、同一レベルのPWM信号S1に対する供給電力レベル(検出信号レベル)もほぼ同等レベルとなる。従って、各出力端子が、一部の入力端子からの制御信号に応じた検出信号を出力したか否かを、共通の基準で判断することができるため、誤検出を抑制することが可能である。
【0060】
しかも、本実施形態では電気的負荷として同種類の帯電器41を利用している。これにより、機種判別処理において、各色の帯電器41は、他の色帯電用のPWM信号S1により制御されることはあるが、転写体33など、種類の異なる電気的負荷用のPWM信号により制御されることはない。従って、帯電器41に不適切な帯電電圧が印加されることで感光体39が損傷することを抑制することが可能である。
【0061】
<実施形態3>
図6,7は実施形態3を示す。前記実施形態1との相違は、機種判別処理に利用する電気的負荷にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。なお、本実施形態3における入力端子91,93、出力端子95,97、PWMポート81,83、A/Dポート85,87は、上記実施形態1とは異なる電力制御に利用され得るが、説明を簡単にするために同じ符号を付けて説明する。
【0062】
(1)高圧制御回路の構成
図6A,6Bは、高圧制御装置11のうち、帯電器41及びクリーニング体49に電力を供給するための構成を示したブロック図である。高圧基板50(50E,50F)は、帯電回路51、グリッド電圧検出回路53、クリーニング回路111及びクリーニング電圧検出回路113を備える。また、高圧基板50は、PWM制御回路80側に接続される、第1入力端子91、第2入力端子93、第1出力端子95、第2出力端子97を備え、更に、電気的負荷側に接続される、帯電用接続端子99、グリッド用接続端子101、クリーニング用接続端子115を備える。
【0063】
(1−1)帯電電圧制御のための構成
帯電回路51は、PWM制御回路80から帯電用PWM信号S1を受けることにより、当該帯電用PWM信号S1に応じた正極性の帯電電圧V1を帯電ワイヤ41Aに供給する。グリッド電圧検出回路53は、グリッド41Bのグリッド電圧V2に応じた正極性の検出信号S2を、PWM制御回路80に出力する。帯電回路51は、帯電用PWM信号S1のPWM値が大きいほど、高い帯電電圧V1を出力する、正の出力特性を有し、これに伴って、グリッド電圧検出回路53は、上記PWM値が大きいほど、レベルの高い検出信号を出力する。即ち、PWM値が最小値(例えば0%)である帯電用PWM信号S1が入力されたときの検出信号S2が最小値(例えば0[V])側になる、正の検出特性(フィードバック特性)を有する。
【0064】
(1−2)クリーニング電圧制御のための構成
クリーニング回路111は、クリーニング用接続端子115を介してクリーニング体49に接続されており、PWM制御回路80からクリーニング用PWM信号S5(本発明の「制御信号」の一例)を受けることにより、当該クリーニング用PWM信号S5に応じた負極性のクリーニング電圧V5をクリーニング体49に供給する。クリーニング電圧検出回路113は、クリーニング電圧V5に応じた正極性の検出信号S6を、PWM制御回路80に出力する。
【0065】
そして、PWM制御回路80は、クリーニング電圧検出回路113から受けた検出信号S6に基づき、クリーニング電圧V5が目標電圧値に近付くようにクリーニング用PWM信号S5のPWM値(デューティ比)を適宜変更して、定電圧制御(以下、「クリーニング電圧制御」という)を行う。
【0066】
また、クリーニング回路111は、クリーニング用PWM信号S5のPWM値が大きいほど、低い帯電電圧V1を出力する、負の出力特性を有し、これに伴って、クリーニング電圧検出回路113は、上記PWM値が大きいほど、レベルの低い検出信号を出力する。即ち、PWM値が最小値(例えば0%)であるクリーニング用PWM信号S5が入力されたときの検出信号S6が最大値側になる、負の検出特性(フィードバック特性)を有する。
【0067】
(2)高圧基板の機種判別について
(2−1)高圧基板の入力端子と検出特性との対応関係
高圧基板50Eと高圧基板50Fとでは、第1入力端子91及び第2入力端子93と、検出特性との対応関係が逆転している。具体的には、図6Aに示すように、バージョン1の高圧基板50Eは、第1入力端子91が帯電回路51の入力側に接続され、第1出力端子95がグリッド電圧検出回路53の出力側に接続されている。また、第2入力端子93がクリーニング回路111の入力側に接続され、第2出力端子97がクリーニング電圧検出回路113の出力側に接続されている。つまり、高圧基板50Eは、第1入力端子91及び第1出力端子95を正の検出特性を有する帯電電圧制御に利用し、第2入力端子93及び第2出力端子97を負の検出特性を有するクリーニング電圧制御に利用するのである。
【0068】
これに対して、図6Bに示すように、バージョン2の高圧基板50Fは、第1入力端子91がクリーニング回路111の入力側に接続され、第1出力端子95がクリーニング電圧検出回路113の出力側に接続されている。また、第2入力端子93が帯電回路51の入力側に接続され、第2出力端子97がグリッド電圧検出回路53の出力側に接続されている。つまり、高圧基板50Fは、第1入力端子91及び第1出力端子95を負の検出特性を有するクリーニング電圧制御に利用し、第2入力端子93及び第2出力端子97を正の検出特性を有する帯電電圧制御に利用するのである。
【0069】
(2−2)機種判別処理
図7は機種判別処理を示すフローチャートである。PWM制御回路80に高圧基板50E及び高圧基板50Fのいずれか一方を接続した状態で、例えばプリンタ1の電源をオンすると、PWM制御回路80は機種判別処理を実行する。なお、PWM制御回路80は、当初は、第1PWMポート81及び第1A/Dポート85をグリッド電圧検出用に設定し、第2PWMポート83及び第2A/Dポート87をクリーニング電圧検出用に設定しているものとする。
【0070】
PWM制御回路80は、機種判別処理の当初、帯電用PWM信号S1及びクリーニング用PWM信号S5のPWM値を最小値(例えば0% 最大値100%であってもよい)に初期設定している。そして、PWM制御回路80は、S71で上記PWM値を初期レベルのままで所定時間待機し、S73でグリッド電圧V2が変化したかを判断する。具体的には、グリッド電圧検出用に設定された第1A/Dポート85に与えられる検出信号を読み取って(本発明の「読取工程」の一例)、その検出信号レベルが所定の閾値以上になったかどうかを判断する(本発明の「判別工程」の一例)。現在接続されている高圧基板50がバージョン1(高圧基板50E)であれば、正の検出特性により、最小レベルの検出信号S2が第1A/Dポート85に与えられるはずである。
【0071】
そこで、グリッド電圧V2が変化しなければ(S73:NO)、S79で現在接続されている高圧基板50を、バージョン1の高圧基板50Eであると判別し、当該バージョン1用のパラメータを設定する。これにより、PWM制御回路80は、高圧基板50Aに対して帯電電圧制御及びクリーニング電圧制御を正常に実行可能になる。その後、本機種判別処理を終了する。
【0072】
一方、グリッド電圧V2が変化すれば(S73:YES)、S75でクリーニング電圧V5が変化したかを判断する。具体的には、クリーニング電圧検出用に設定された第2A/Dポート87に与えられる検出信号を読み取って、その検出信号レベルが所定の閾値以上になったかどうかを判断する。現在接続されている高圧基板50がバージョン2(高圧基板50F)であれば、負の検出特性により、最大レベルの検出信号S6が第2A/Dポート87に与えられるはずである。
【0073】
そこで、クリーニング電圧V5が変化すれば(S75:YES)、S81で現在接続されている高圧基板50を、バージョン2の高圧基板50Fであると判別し、当該バージョン2用のパラメータを設定する。これにより、PWM制御回路80は、高圧基板50Bに対して帯電電圧制御及びクリーニング電圧制御を正常に実行可能になる。その後、本機種判別処理を終了する。
【0074】
なお、グリッド電圧V2及びクリーニング電圧V5のいずれも変化していなければ(S73:YES,S75:NO)、高圧基板50の故障等が考えられるため、S77で高圧基板エラー通知を外部に報知する。
【0075】
(3)本実施形態の効果
本実施形態によれば、高圧基板50は、第1入力端子91と第2入力端子93とで検出特性が異なり、第1入力端子91及び第2入力端子93と検出特性との対応関係が機種によって逆転した構成とされている。そして、この高圧基板50の第1入力端子91及び第2入力端子03のいずれか一方にPWM信号S1、S5を入力し、出力端子95,97からの検出信号S2、S6を読み取る。この読取結果は、上記対応関係によって異なるから、この読取結果に基づき高圧基板50の機種を判別することが可能である。
【0076】
しかも、その読取結果は検出特性が正か負かによって大きく異なるから、精度の高い機種判別が可能である。また、PWM信号S1、S5のPWM値を変化させることなく、また、スイッチング素子の不感帯領域に関係なく、初期レベル(例えば電力供給回路の駆動開始時のPWM値)によって早期に機種判別を行うことが可能である。
【0077】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。特に、各実施形態の構成要素のうち、最上位の発明の構成要素以外の構成要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
(1)上記実施形態では、プリンタ1に内蔵されるPWM制御回路80を「機種判別装置」の一例として説明したが、本発明はこれに限られない。PWM制御回路80と同様の機能を有する機種判別装置単体であってもよい。
【0078】
(2)上記実施形態では、機種判別処理に利用する電気的負荷は2台であったが、本発明はこれに限られない。例えば3台以上を利用して3機種以上の電力供給回路を判別するようにしてもよい。
【0079】
(3)上記実施形態1では、高圧基板50Aと高圧基板50Bとで、グリッド電圧検出回路53と転写電流検出回路57との出力先(第1出力端子95、第2出力端子97)を異ならせたが、本発明はこれに限られない。帯電回路51と転写回路55との入力元(第1入力端子91、第2入力端子93)を異ならせてもよい。要するに、高圧基板50Aと高圧基板50Bとで、[0]第1入力端子91及び第2入力端子93と、第1出力端子95及び第2出力端子97との対応関係が異なればよい。
【0080】
(4)上記実施形態1では、機種判別処理において、第1PWMポート81から帯電用PWM信号S1を出力したが、本発明はこれに限られない。例えば、[0]第2PWMポート93から転写用PWM信号S3を出力してもよい。[0]また、より正確性を向上させるために、上記の両方を実行して、その両結果を元に高圧基板50の機種判別を行ってもよい。
【0081】
(5)上記実施形態1では、入力端子と出力端子とを同数ずつ備える電力供給回路を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。入力端子に対して出力端子の数が多くてもよい。例えば転写電流制御において、転写電流経路のインピーダンスを測定するために転写電圧検出回路を備える電力供給回路があり、この電力供給回路では、転写回路55の入力側に接続される1つの入力端子に対し、転写電流検出回路57及び転写電圧検出回路それぞれに対応して2つの出力端子を備える構成が可能である。このような構成であっても、各検出回路と出力端子との対応関係を機種によって異ならせることで、実施形態1と同様の機種判別が可能である。
【0082】
(6)上記実施形態2では、帯電器41を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。プリンタ1に備えられる同種類の複数の電気的負荷であればよく、例えば色ごとの複数の転写体33や、色ごとの複数の現像体47などであってもよい。
【0083】
(7)上記実施形態2では、機種判別処理において、イエロー帯電用PWM信号S1及びマゼンタ帯電用PWM信号の一方を出力(PWM値>0)しているときには、他の方を停止(PWM値=0)したが、本発明はこれに限られない。両PWM信号のPWM地が互いに異なれば機種判別は可能である。
【0084】
(8)上記実施形態3では、帯電器41とクリーニング体49とを利用して機種判別を行う例であったが、本発明はこれに限られない。例えば、帯電器41と感光体クリーニング体とを利用してもよい。感光体クリーニング体(図示せず)は、例えば各感光体39に対応して設けられ、帯電電圧V1とは逆極性のクリーニング電圧が印加されることで当該感光体39上の付着物をクリーニングする。従って、実施形態3と同様の適用が可能である。要するに、互いに逆極性の電圧が印加される電気的負荷であれば実施形態3と同様の構成を実現可能である。
【0085】
また、必ずしも逆極性の電圧が印加される電気的負荷を利用する必要はない。要するに、逆極性の電圧が印加されるか否かを問わず、検出特性が正と負とで異なる電力制御によって制御される電気的負荷であればよい。但し、同極性の電気的負荷同士の場合には、機種判別処理時に、帯電回路51等の出力が限界を超えない程度の制御信号を入力する必要がある。
【0086】
(9)上記実施形態3では、高圧基板50E,50F間で、入力端子と出力端子との対応関係が同じ構成であったが、本発明はこれに限られない。実施形態1と同様に、入力端子と出力端子との対応関係が異なる構成であってもよい。例えば構成高圧基板50E,50Fにおいて出力端子95,97と検出回路53,113との対応関係が同じであってもよい。
【0087】
(10)上記実施形態3では、入力端子と出力端子とを同数ずつ備える電力供給回路を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。入力端子に対して出力端子の数が少なくてもよい。例えば、感光体クリーニング体など、プリンタ1の機種によって正極性の電圧が印加されるものと負極性の電圧が印加されるものとがあり、この両タイプに対応するために正電圧出力回路と負電圧出力回路とを備えると共に、両電圧検出回路の出力電圧に応じた検出信号を出力する共通の検出回路とを備える電力供給回路がある。この電力供給回路は、各電圧出力回路に対応して2つの入力端子を備える一方で、共通の検出回路に対応して1つの出力端子を備える構成が可能である。このような構成であっても、実施形態3の構成を適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1...プリンタ(画像形成装置)
33...転写体(電気的負荷)
41...帯電器(電気的負荷)
49...クリーニング体(電気的負荷)
50...高圧基板(電力供給回路)
80...PWM制御回路(機種判別装置、制御部、読取部、判別部)
91,93...入力端子
95,97...出力端子
S1,S3,S5...PWM信号(制御信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的負荷に電力を供給する電力供給回路の機種を判別する電力供給回路の機種判別装置であって、
前記電力供給回路は、前記電気的負荷への供給電力を制御するための制御信号が入力される入力端子、及び、対応する入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力する出力端子を有し、且つ、前記入力端子及び前記出力端子の少なくとも一方は複数設けられ、前記入力端子と前記出力端子との対応関係が前記機種によって異なる構成とされ、
前記入力端子に制御信号を入力する制御部と、
前記出力端子からの検出信号を読み取る読取部と、
前記読取部での読取結果に基づき、前記電力供給回路の機種を判別する判別部と、を備える電力供給回路の機種判別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力供給回路の機種判別装置であって、
前記判別部での機種の判別のために前記制御部から前記入力部に入力される制御信号は、前記電力供給回路に供給電力の出力を開始させる始動レベルである、電力供給回路の機種判別装置。
【請求項3】
画像形成媒体にカラー画像を形成可能な画像形成装置であって、
各色に対応して設けられ、同一種類の複数の電気的負荷と、
請求項1または請求項2に記載の電力供給回路及び機種判別装置と、を備え、
前記電力供給回路は、前記入力端子及び前記出力端子を、前記複数の電気的負荷の数ずつ備え、
前記機種判別装置の前記制御部は、前記機種の判別のために前記複数の入力端子のうち一部の入力端子に対し、他の入力端子とは異なるレベルの制御信号を入力する構成である、画像形成装置。
【請求項4】
電気的負荷に電力を供給する電力供給回路の機種を判別する電力供給回路の機種判別装置であって、
前記電力供給回路は、前記電気的負荷への供給電力を制御するための制御信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力し、前記第2入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力する1または複数の出力端子を有し、前記第1入力端子と前記第2入力端子とで、最小レベルの制御信号が入力されたときの検出信号が最大値側になるか最小値側になるかの検出特性が異なり、前記第1入力端子及び前記第2入力端子と前記検出特性との対応関係が前記機種によって逆転した構成とされ、
前記第1入力端子及び前記第2入力端子の少なくとも一方に制御信号を入力する制御部と、
前記出力端子からの検出信号を読み取る読取部と、
前記読取部での読取結果に基づき、前記電力供給回路の機種を判別する判別部と、を備える電力供給回路の機種判別装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電力供給回路の機種判別装置であって、
前記判別部は、前記制御部からの前記制御信号の最小レベルまたは最大レベルの初期レベルのときにおける前記読取部の読取結果に基づき前記機種を判別する構成である、電力供給回路の機種判別装置。
【請求項6】
請求項1,2,4,5のいずれか一項に記載の電力供給回路の機種判別装置であって、
外部指令に基づき前記判別部による機種の判別を実行するか否かを切り替える切替部を備える、電力供給回路の機種判別装置。
【請求項7】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
外部指令に基づき前記判別部による機種の判別を実行するか否かを切り替える切替部を備える、画像形成装置。
【請求項8】
電気的負荷に電力を供給する電力供給回路の機種を判別する電力供給回路の判別方法であって、
前記電力供給回路は、前記電気的負荷への供給電力を制御するための制御信号が入力される入力端子、及び、対応する入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力する出力端子を有し、且つ、前記入力端子及び前記出力端子の少なくとも一方は複数設けられ、前記入力端子と前記出力端子との対応関係が前記機種によって異なる構成とされ、
前記入力端子に制御信号を入力し、当該制御信号の入力に応じた前記出力端子の検出信号を読み取る読取工程と、
前記読取工程での読取結果に基づき前記電力供給回路の前記機種を判別する判別工程と、含む電力供給回路の判別方法。
【請求項9】
電気的負荷に電力を供給する電力供給回路の機種を判別する電力供給回路の判別方法であって、
前記電力供給回路は、前記電気的負荷への供給電力を制御するための制御信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子を有し、前記第1入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力し、前記第2入力端子への制御信号に応じた供給電力の検出信号を出力する1または複数の出力端子を有し、前記第1入力端子と前記第2入力端子とで、最小レベルの制御信号が入力されたときの検出信号が最大値側になるか最小値側になるかの検出特性が異なり、前記第1入力端子及び前記第2入力端子と前記検出特性との対応関係が前記機種によって逆転した構成とされ、
前記第1入力端子及び前記第2入力端子の少なくとも一方に制御信号を入力し、当該制御信号に応じた前記出力端子の検出信号を読み取る読取工程と、
前記読取工程での読取結果に基づき、前記電力供給回路の前記機種を判別する判別工程と、を含む電力供給回路の機種判別方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−176555(P2010−176555A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20563(P2009−20563)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】