電力供給装置、電子回路、電子機器
【課題】従来使用されている電力供給装置に含まれる電子素子や要素を効率的に活用しつつ最小限の回路規模にて、負荷回路に大電力と小電力とを切り分けて供給できる電力供給装置を提供する。
【解決手段】電力供給装置1は、第1経路2および第2経路3のいずれかの経路を介して、負荷回路4に電力を供給する電源5と、第1経路2と第2経路3とを切り替える切り替え部6と、第1経路2から供給される第1電力値の基準となる供給期間を制御する第1スイッチ7と、第1スイッチ7の開閉のタイミングを制御する開閉スイッチ8を含む駆動部10と、第2経路3から供給される第2電力値の基準となる供給期間を制御する第2スイッチ9と、を備え、第1電力値は、第2電力値より大であり、第1経路2は、駆動部10の外部を経由すると共に、第2経路3は、駆動部の内部を経由し、開閉スイッチ8と第2スイッチ9とは、共通要素である。
【解決手段】電力供給装置1は、第1経路2および第2経路3のいずれかの経路を介して、負荷回路4に電力を供給する電源5と、第1経路2と第2経路3とを切り替える切り替え部6と、第1経路2から供給される第1電力値の基準となる供給期間を制御する第1スイッチ7と、第1スイッチ7の開閉のタイミングを制御する開閉スイッチ8を含む駆動部10と、第2経路3から供給される第2電力値の基準となる供給期間を制御する第2スイッチ9と、を備え、第1電力値は、第2電力値より大であり、第1経路2は、駆動部10の外部を経由すると共に、第2経路3は、駆動部の内部を経由し、開閉スイッチ8と第2スイッチ9とは、共通要素である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷回路に供給する電力値を切り替えつつ供給できる電力供給装置に関し、例えば電力供給回路、スイッチング電源、スイッチング電源回路などに適用される。
【背景技術】
【0002】
従来、電源から負荷回路に電力を供給する(電圧や電流を供給する)スイッチング電源や電力供給回路などの電力供給装置が、電子回路や電子機器において用いられている。このような電力供給装置は、例えばDC−DCコンバータなどの装置として実現されることがある。
【0003】
近年の電子機器には、消費電力の削減や待機電力の削減などが求められており、負荷回路における動作も大電力を要するモードの場合と少量の電力を要するモードの場合とが存在する。特に、電子機器の大半は、中央演算処理装置(以下、「CPU」という)とCPUにより動作されるソフトウェアを含む。CPUは、大電力を要するモードと小電力を要するモードとを動作に含むことが多く、ソフトウェアも、大電力を要するモードと小電力を要するモードとを動作に含むことが多い。例えば、ソフトウェアが表示のみを行っている場合には、ソフトウェアを動作させるCPUは小電力を要し、ソフトウェアが演算を行っている場合には、ソフトウェアを動作させるCPUは大電力を要する。
【0004】
従来の電力供給装置は、電源と、電源からの電力値をパルス幅で制御する(PWM(Pulse Width Modulation))パルススイッチと、パルススイッチの開閉を制御する駆動部とを備えている。このような構成の電力供給装置では、負荷回路に供給される電力値を変化させることに限界があり、小電力モードや待機モードなどにおいて、十分に消費電力を削減できなかった。
【0005】
このため、負荷回路に電力を供給する複数の経路を設け、複数の経路のそれぞれは、供給できる電力値が異なり、複数の経路を切り替える駆動部を備えるハイブリッドタイプの電力供給装置(DC−DCコンバータ)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−221981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるDC−DCコンバータは、電力を供給する複数の経路を切り替えるスイッチに抵抗を接続して、応答時間の短縮を図っている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるDC−DCコンバータは、異なる電力値を供給する複数の経路とこの経路を形成するスイッチなどの素子が、経路毎に個別に設けられているので、回路規模やコストが増大する問題がある。更に、個別の回路は、それぞれの経路での電力供給のみに対応してしか使用されず、電子素子の使用効率を損なう問題もある。結果として、電源付近での消費電力が増加する問題も生じる。
【0008】
加えて、特許文献1に開示される技術は、電源付近においてより多くの素子や配線を形成する必要があり、ノイズ対応などが困難である問題も有する。
【0009】
本発明は、これらの問題に鑑みて、従来使用されている電力供給装置に含まれる電子素子や要素を効率的に活用しつつ最小限の回路規模にて、負荷回路に大電力と小電力とを切り分けて供給できる電力供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、本発明の電力供給装置は、第1経路および第1経路と異なる第2経路のいずれかの経路を介して、負荷回路に電力を供給する電源と、第1経路と第2経路とを切り替える切り替え部と、第1経路から供給される第1電力値の基準となる供給期間を制御する第1スイッチと、第1スイッチの開閉のタイミングを制御する開閉スイッチを含む駆動部と、第2経路から供給される第2電力値の基準となる供給期間を制御する第2スイッチと、を備え、第1電力値は、第2電力値より大であり、第1経路は、駆動部の外部を経由すると共に、第2経路は、駆動部の内部を経由し、開閉スイッチと第2スイッチとは、共通要素である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電力供給装置は、回路規模の増加を最小限に抑えつつ、負荷回路の必要性に応じて、大電力と小電力とを切り分けて負荷回路に供給できる。当然ながら、回路面積やコストも低減できる。
【0012】
また、ノイズの影響が考慮されたスイッチング電源に含まれる駆動部をそのまま流用するので、ノイズの影響を生じさせにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1の発明に係る電力供給装置は、第1経路および第1経路と異なる第2経路のいずれかの経路を介して、負荷回路に電力を供給する電源と、第1経路と第2経路とを切り替える切り替え部と、第1経路から供給される第1電力値の基準となる供給期間を制御する第1スイッチと、第1スイッチの開閉のタイミングを制御する開閉スイッチを含む駆動部と、第2経路から供給される第2電力値の基準となる供給期間を制御する第2スイッチと、を備え、第1電力値は、第2電力値より大であり、第1経路は、駆動部の外部を経由すると共に、第2経路は、駆動部の内部を経由し、開閉スイッチと第2スイッチとは、共通要素である。
【0014】
この構成により、回路規模の増大をもたらさずに、大電力である第1電力値と小電力である第2電力値とを異なる経路で、負荷回路に供給できる。また、電力値に合わせた素子によって電力値が制御できるので、不要な損失や消費電力が抑制できる。
【0015】
本発明の第2の発明に係る電力供給装置では、第1の発明に加えて、第1スイッチは、電力の供給と停止を時間によって切り替える第1パルススイッチを有し、第2スイッチは、電力の供給と停止を時間によって切り替える第2パルススイッチを有し、第1パルススイッチおよび第2パルススイッチは、供給期間をパルス幅により制御し、第1電力値および第2電力値は、パルス幅によって決定される。
【0016】
この構成により、第1電力値と第2電力値は、正確に制御される。
【0017】
本発明の第3の発明に係る電力供給装置では、第2の発明に加えて、第1パルススイッチおよび第2パルススイッチのそれぞれは、ゲート端子への入力信号によって開閉が制御されるMOSトランジスタを有する。
【0018】
この構成により、パルス幅を決定する開閉期間が、容易に制御できる。
【0019】
本発明の第4の発明に係る電力供給装置では、第3の発明に加えて、第2パルススイッチは、直列接続された一対のMOSトランジスタを有する。
【0020】
この構成により、パルス幅を決定する開閉期間が、容易に制御できる。
【0021】
本発明の第5の発明に係る電力供給装置では、第3から第4のいずれかの発明に加えて、切り替え部が、第1経路を選択する場合には、開閉スイッチの出力が、第1パルススイッチに含まれるMOSトランジスタのゲート入力となって第1パルススイッチの開閉期間を制御し、第1パルススイッチの開閉期間が、供給期間を決定して第1電力値を決定し、切り替え部が、第2経路を選択する場合には、第2パルススイッチの開閉期間が、供給期間を決定して第2電力値を決定する。
【0022】
この構成により、大電力である第1電力値と小電力である第2電力値とが容易に制御できる。また、小電力である第2電力値は、小型の素子である第2パルススイッチの開閉期間によって制御されるので、スイッチング損失が抑制できる。
【0023】
本発明の第6の発明に係る電力供給装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、負荷回路が、第1電力値および第2電力値の内、いずれの電力値を必要とするかを検出する検出部を、更に備える。
【0024】
この構成により、電力供給装置は、供給する電力値を確実に制御できる。
【0025】
本発明の第7の発明に係る電力供給装置では、第6の発明に加えて、検出部は、負荷回路の動作モードに基づいて、第1電力値および第2電力値の内、いずれの電力値を必要とするかを検出する。
【0026】
この構成により、電力供給装置は、負荷回路の動作内容を反映した電力を供給できる。
【0027】
本発明の第8の発明に係る電力供給装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、切り替え部における第1経路および第2経路からの経路の選択を制御する制御部を、更に備える。
【0028】
この構成により、経路切り替えが容易に行える。特に、検出部の検出結果に従うことで、経路は適切に切り替えられる。
【0029】
本発明の第9の発明に係る電力供給装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、第2スイッチの開閉のタイミングを制御するスイッチ制御部を更に備える。
【0030】
この構成により、第1電流値と第2電流値の制御の基礎となる供給期間が適切に制御される。
【0031】
本発明の第10の発明に係る電力供給装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、負荷回路への入力信号を、平滑化するフィルターを更に備える。
【0032】
この構成により、負荷回路への信号が平滑化されて、負荷回路での誤動作を生じさせない。
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0034】
なお、電力供給装置は、電子回路、半導体集積回路、電子素子のいずれで実現されてもよく、制御の一部がソフトウェアプログラムで実現されても良い。また、電力供給装置のみで提供されても、他の電子回路と組み合わされた状態で供給されても良い。
【0035】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1における電力供給装置の全体概要を、図1を用いて説明する図1は、本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図である。
【0036】
(全体概要)
電力供給装置1は、第1経路2と第2経路3のいずれかの経路を介して負荷回路4に電力を供給する電源5と、第1経路2と第2経路3とを切り替える切り替え部6と、第1経路2から供給される第1電力値を制御する第1スイッチ7と、第1スイッチ7の開閉タイミングを制御する開閉スイッチ8と、開閉スイッチ8を含む駆動部10と、第2経路3から供給される第2電力値を制御する第2スイッチ9を備える。ここで、開閉スイッチ8と第2スイッチ9とは、同じ要素であって共通要素である。
【0037】
なお、図1では、負荷回路4までを含んで電力供給装置1として示されているが、電力供給装置1は、負荷回路4を含んでいても含んでいなくてもよい。例えば、負荷回路4以外の部分を電力供給装置とみなして、負荷回路4を含んだ状態の場合を電子回路とみなしても良い。
【0038】
第1経路2は、図1より明らかな通り、電源5から負荷回路6へ最短で接続される経路であって、駆動部10の外側を通過する。これに対して、第2経路3は、電源5から駆動部10の内部を通過して、負荷回路4に接続される。第1経路2から供給される電力値を第1電力値とし、第2経路3から供給される電力値を第2電力値とすると、第1電力値は、第2電力値よりも大きい。
【0039】
ここで、負荷回路4は、大電力を必要とする場合と小電力を必要とする場合とがある。
【0040】
負荷回路4が大電力を必要とする場合には、大電力である第1電力値を供給する第1経路2が選択され、負荷回路4が小電力を必要とする場合には、小電力である第2電力値を供給する第2経路3が選択される。
【0041】
切り替え部6は、図1に示されるように、2つのスイッチを有する。2つのスイッチが短絡されると、電源5と負荷回路4とを接続する第1経路2が導電する。第1経路2と接地11とを接続する第1スイッチの開閉によって、電源5から負荷回路4へ第1経路2を介して供給される第1電力値が制御される。
【0042】
一方、切り替え部6が有する2つのスイッチが開放されると、第2経路3が電源5から負荷回路4までを導電する。第2経路3は、第2スイッチ9によって短絡と開放が制御されて、負荷回路4に供給する第2電力値を制御する。
【0043】
負荷回路4が小電力しか必要としない場合に、大電力である第1電力値を供給する第1経路2を用いて負荷回路4に電力を供給するよりも、小電力である第2電力値を供給する第2経路3を用いて負荷回路4に電力を供給する方が、損失低減や消費電力低減の面で優れている。
【0044】
例えば、第1経路2を経由して負荷回路4に電力が供給される場合には、切り替え部6が短絡して、電源5から負荷回路4までを最短で接続する第2経路2が導電する。導電した第2経路2を通じて負荷回路4へ供給される第2電力値は、第2経路2の途中で接地11に接続する第1スイッチ7の開閉期間によって制御される。すなわち第1スイッチ7が接続状態の場合には、第2経路2から接地11までが導電状態となり、負荷回路4へ電力が供給されず、逆に第1スイッチ7が開放状態の場合には、電源5と負荷回路4とが導電状態となって、負荷回路4へ電力が供給される。このとき、第1スイッチ7は、電源5と接地11とを直接導電する経路を形成して、電源5からの第1電力値に基づく電力(大電力である)を接地11に逃がす役割を有するので、耐圧や動作性能の面から大型の素子を必要とする。一方で、開閉スイッチ8(すなわち第2スイッチ9)は、第1スイッチ7の開閉の切り替えのみを行えばよいので、耐圧や動作性能の面から、小型の素子で十分である。
【0045】
第2経路3を経由して負荷回路4に電力が供給される場合には、切り替え部6が開放されて、駆動部10を経由する第2経路3が導電する。第2経路3は、第2スイッチ9の開閉期間で、電源5と負荷回路6との導電が制御される。すなわち、第2スイッチ9が開放されている間は、電源5から負荷回路4への電力供給は停止しており、第2スイッチ9が短絡している間は、電源5から負荷回路4への電力が供給されており、この停止期間と供給期間によって、第2電力値は定まる。第2経路3で供給される第2電力値は小さいので、この点からも、第2スイッチ9は小型の素子で十分である。
【0046】
すなわち、第1スイッチ7は、大型の素子を必要とし、第2スイッチ9は、小型の素子で足りる。スイッチを構成する素子が大きければ大きいほど、スイッチの開閉時の損失が大きくなるので、電力供給装置1全体での消費電力が大きくなる。このため、負荷回路4が小電力しか要さない場合には、大型の素子である第1スイッチ7により電力値を制御するよりも、小型の素子である第2スイッチ9により電力値を制御することが好適である。
【0047】
以上のことから、損失や消費電力の増加を防止しつつ、大電力や小電力を必要とする負荷回路4へ大電力と小電力を切り替えて供給するには、大型素子である第1スイッチ7を用いる第1経路2と、小型素子である第2スイッチ9を用いる第2経路3とが切り替えられることが好適である。
【0048】
このように、電力供給装置1は、切り替え部6によって、第1経路2と第2経路3とを切り替え、第1経路2から供給される第1電力値を、第1スイッチ7によって制御し(第1スイッチ7は、開閉スイッチ8で制御される)、第2経路3から供給される第2電力値を、第2スイッチ9によって制御する。
【0049】
また、第2スイッチ9は、第1スイッチ7の開閉タイミングを制御する開閉スイッチ8と同じ要素を流用したものなので、余分な回路素子の追加も不要である。そもそも、第2スイッチ9は、第1スイッチ7の開閉タイミングに必須の要素である開閉スイッチ8であって、第2経路3の電流値を制御するのに必要となる第2スイッチ9は、何らの回路素子追加にはつながらない。
【0050】
また、小電力供給用の第2経路3を、第2スイッチ9を経由して構成する際に、第2スイッチ9は、もともと存在している駆動部10に含まれる開閉スイッチ8であるので、電子回路上でのノイズ対策も施されている。このため、第2スイッチ9(開閉スイッチ8)を利用した第2経路3による第2電力値の供給においては、余分なノイズ発生も防止できる。
【0051】
このように、実施の形態1における電力供給装置は、回路規模の増加、ノイズの増加、損失の増加および消費電力の増加を防止しつつ、負荷回路4へ、必要に応じて大電力と小電力を切り替えて供給できる。
【0052】
次に、各部の詳細について、説明する。
【0053】
(電源)
電源5は、実際の電力を生じさせて電力を負荷回路4に供給する。電源5は、家庭用電源であったり、バッテリーや電池であったりする。
【0054】
(負荷回路)
負荷回路4は、電力供給装置1によって、電源5から電力を供給される。
【0055】
負荷回路4は、電力の供給を受けて所定の動作をする電子回路、半導体集積回路、CPU、DSP(Digital Signal Processor)などを含む。負荷回路4の有する形態にかかわらず、負荷回路4は、電力を受けて所定の動作を行う。
【0056】
負荷回路4は、種々の動作を含んでいるので、動作内容によっては、必要とする電力値が異なる。動作が複雑である場合には、負荷回路4は大きな電力を必要とし、動作が単純である場合には、負荷回路4は小さな電力を必要とする。
【0057】
ここで、負荷回路4がCPUである場合には、負荷回路4が動作させるのは、ソフトウェアプログラムとなることが多い。ソフトウェアプログラムは、ユーザーの処理内容によっては、複雑な動作を行うこともあれば、簡単な動作を行うこともある。例えば、ソフトウェアプログラムが表示のみを行っている場合には、ソフトウェアプログラムを動作させるCPUは小電力を要し、ソフトウェアプログラムが演算を行っている場合には、ソフトウェアプログラムを動作させるCPUは大電力を要する。特に、負荷回路4がCPUである場合には、ソフトウェアプログラムの動作の変化が激しいので、負荷回路4が必要とする電力の変化も激しくなる。
【0058】
このように、負荷回路4の必要とする電力の値は、動作内容の変化に応じて、頻繁に変化しうる。電力供給装置1に備えられている電源5は、家庭用電源、電池やバッテリーであるので、電源5そのものは、供給する電力値を変化させるのは困難である。電力供給装置1は、電源5から負荷回路4へ至る経路の開閉期間(導電期間)を切り替えることで、負荷回路4への電力値を制御する。しかし負荷回路4は、大電力と小電力を要する場合とがあり、経路の開閉期間を切り替えるためのスイッチングでの損失を、大電力の場合と小電力の場合とで切り分けることが効率的である。
【0059】
このため、負荷回路4が大電力を必要とする場合には、大型素子でスイッチングできる第1経路2によって電力が供給される。負荷回路4が小電力を必要とする場合には、小型素子でスイッチングできる第2経路3によって電力が供給される。
【0060】
なお、負荷回路4がCPU以外の電子回路や半導体集積回路などであっても、負荷回路4が必要とする電力値は、時間によって変化しうる。
【0061】
また、負荷回路4は、回路なる用語を含んでいるが、物理的な回路以外にも、ソフトウェアプログラムを一部もしくは全部に含んでも良いし、メモリやROMなどを含んでも良い。
【0062】
(第1経路、第2経路、切り替え部)
電力供給装置1は、電源5から負荷回路4への電力供給経路として、第1経路2と第2経路3とを備える。第1経路2は、大電力である第1電力値に基づく電力を負荷回路4に供給する。第2経路3は、小電力である第2電力値に基づく電力を、負荷回路4に供給する。ここで、第1電力値は、第2電力値よりも大きい。
【0063】
切り替え部6は、第1経路2と第2経路3とを切り替える。切り替え部6は、図1に示されるように、第1経路2上にあるスイッチと第1スイッチ7の前段にあるスイッチとを有する。これら2つのスイッチのうち第1経路2上にあるスイッチが短絡し、第1スイッチ7の前段にあるスイッチが第1スイッチ側に短絡すると、電源5から負荷回路4までの第1経路2が導電する。このとき、第1スイッチ7の前段にあるスイッチは、第1スイッチと短絡するので、第1経路2が導電するのと反対に、第2経路3は開放される。第1スイッチ7の前段に設けられるスイッチは、第1スイッチ7と接続されるか第2経路3と接続されるかで切り替わるからである。更に、電源5から第1スイッチ7までが、駆動部10を介して導電する。
【0064】
一方、切り替え部6が有する2つのスイッチのうち第1経路2上にあるスイッチが開放され、第1スイッチ7の前段にあるスイッチが第2経路3側に短絡されると、電源5から負荷回路4までの第1経路2が遮断されて、駆動部10を経由して電源5から負荷回路4へつながる第2経路3が導電する。
【0065】
切り替え部6は、2つのスイッチを含むが、これ以外の要素を含んでも良く、MOSトランジスタによってスイッチが実現されてもよい。また、図1には示されていないが、切り替え部6が有するスイッチの切り替えを実行する制御部が設けられても良い。
【0066】
いずれにしても、切り替え部6は、電源5から負荷回路4への電力供給経路を、第1経路2と第2経路3とのいずれかに切り替える。
【0067】
(第1スイッチ、開閉スイッチ、第2スイッチ)
第1スイッチ7は、第1経路2から負荷回路4に供給される電力の値である第1電力値の基準となる供給期間を制御する。第1スイッチ7は、第1経路2と接地11とを接続する線路の短絡と開放を決定するスイッチであり、第1スイッチ7が短絡している場合には、第1経路2と接地11とが接続されて、電源5からの電力が接地11に逃げてしまう。すなわち、この期間は、負荷回路4への電力が供給されない。第1スイッチ7の開閉期間は、開閉スイッチ8によって制御される。
【0068】
一方、第2スイッチ9は、開閉スイッチ8と同一要素であり、開閉スイッチ8が流用される。
【0069】
第2スイッチ9は、本来は第1スイッチ7を開閉させるためのスイッチであるが、第2経路3を経由して電力を供給する場合の、供給期間を決定する。第2スイッチ9は、第2経路3の短絡と開放を直接制御できるので、第2スイッチ9が短絡している場合には、電源5から負荷回路4までの第2経路3は導電しており、第2スイッチ9が開放している場合には、電源5から負荷回路4までの第2経路3は遮断されている。
【0070】
このように、第1経路2は、開閉スイッチ8と第1スイッチ9との組み合わせにより、電源5と負荷回路4との導電期間を決定する。第2経路3は、第2スイッチ9によって、電源5と負荷回路4との導電期間を決定する。
【0071】
ここで、第1スイッチ7と第2スイッチ9とのそれぞれは、開閉期間を、パルス幅をもって決定する第1パルススイッチと第2パルススイッチを有していても良い。
【0072】
パルススイッチは、スイッチの開閉期間をパルス幅によって制御する。すなわちスイッチが短絡(閉じている状態)の期間と、開放(開いている状態)の期間は、それぞれタイミングチャート上では、時間軸上の幅として表される。
【0073】
例えば、負荷回路4に供給される電力値は、ある所定期間において電力が供給される期間を示すパルスの積分によって定まる。パルススイッチは、スイッチの開閉期間をパルス幅で制御できるので、パルススイッチは、電力値を容易に制御できる。
【0074】
例えば、短絡となるパルス幅が長ければ、それだけ電源5と負荷回路4との導電期間が長くなるので、積分値は大きくなり、所定期間における電力値は大きくなる。逆に、開放となるパルス幅が長ければ、それだけ電源5と負荷回路4との遮断期間が長くなるので、積分値は小さくなり、所定期間における電力値は小さくなる。
【0075】
実際の電子回路や電子機器においては、負荷回路と電源を直接導電したままにするのではなく、時間軸上で、電源と負荷回路との導電期間を、上述のようなパルススイッチで細かく制御して、所定期間における積分値によって、負荷回路への電力値が定まる。
【0076】
また、パルススイッチは、ゲート入力によって開閉が制御されるMOSトランジスタであることも好適である。
【0077】
MOSトランジスタは、ゲート、ソースおよびドレインの3つの端子を有し、ゲート入力の値によって、ソースとドレイン間が短絡もしくは開放される。また、MOSトランジスタは半導体集積回路への作りこみが容易で、ゲート入力の制御のみで、開閉を制御できる理想的なスイッチとなる。また、MOSトランジスタのトランジスタサイズを調整することで、耐圧や動作性能を制御できるので、第1スイッチ7、第2スイッチ9(すなわち開閉スイッチ8)が、MOSトランジスタで構成されていると、これらのスイッチが対応するべき電圧や電力に、容易に対応できる。
【0078】
図2、図4は、本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図である。図2、図4のいずれにおいても、第1スイッチ7および第2スイッチ9がMOSトランジスタを含んでいる。第1スイッチ7は、MOSトランジスタ20を含んでおり、第2スイッチ9は、直列接続された一対のMOSトランジスタ21、22を含んでいる。
【0079】
図2は、切り替え部6が第1経路2を選択している場合を示しており、図4は、切り替え部6が第2経路3を選択している場合を示している。このようなMOSトランジスタを、第1スイッチ7および第2スイッチ9が備えることで、パルス幅をもった開閉期間を容易に形成できて、電力供給装置1は、負荷回路4への電力値を容易に制御できる。
【0080】
(第1経路での電力供給)
次に、第1経路での電力供給の動作について説明する。ここでは、第1スイッチ7と第2スイッチ9がMOSトランジスタである場合について説明する。まず、図2、図3を用いて、第1経路2を介して、電源5が負荷回路4に電力を供給する動作を説明する。図3は、本発明の実施の形態1における第1経路による電力供給を示すタイムチャートである。
【0081】
図2に示されるように、切り替え部6が有する2つのスイッチは、短絡しており、第1経路2は、電源5から負荷回路4まで導電させる。また、駆動部10と第1スイッチ7との間も導電するので、第1スイッチ7は、駆動部10が有する開閉スイッチ8(第2スイッチ9)からの制御を受けるようになる。
【0082】
第1スイッチ7は、MOSトランジスタ20を有し、MOSトランジスタ20のゲート端子には、駆動部10の出力が入力する。駆動部10は、開閉スイッチ8を含んでおり、この開閉スイッチ8は、直列接続された一対のMOSトランジスタを有している。
【0083】
一対のMOSトランジスタ21、22のドレイン端子同士が接続されており、このドレイン端子からの出力が、MOSトランジスタ20のゲート端子に入力する。MOSトランジスタ20の短絡と開放(ONとOFF)は、ゲート端子に入力する電圧値(Hiレベル電圧であるかLoレベル電圧であるか)で決定される。このため、一対のMOSトランジスタ21、22の短絡および開放によって、MOSトランジスタ20の短絡と開放が決められる。ここで、MOSトランジスタ20が短絡している場合には、第1経路2と接地11とを結ぶ線路が導電して、電源5からの電力が接地11に流れてしまい、負荷回路4に電力が直接的に供給されない。この期間は、電力の非供給期間である。一方、MOSトランジスタ20が開放されている場合には、第1経路2と接地11とを結ぶ線路が遮断されるので、電源5からの電力は、負荷回路4に直接供給される。この期間は、電力の供給期間である。
【0084】
負荷回路4が所定期間に得る電力値(第1電力値)は、この非供給期間と供給期間との積分値によって定まる。
【0085】
一対のMOSトランジスタ21、22のそれぞれは、対称動作するMOSトランジスタであることが好ましい。すなわち、MOSトランジスタ21が短絡(ON)の場合には、MOSトランジスタ22が開放(OFF)となって、MOSトランジスタ21が開放(OFF)の場合には、MOSトランジスタ22が短絡(ON)となることが好ましい。このような対称性を有することで、MOSトランジスタ21のみが短絡している場合には、駆動部10の出力には、電源5の電圧に基づく信号が供給され、MOSトランジスタ22のみが短絡している場合には、駆動部10の出力には、接地電圧に基づく信号が供給されるからである。駆動部10の出力は、そのまま第1スイッチ7を構成するMOSトランジスタ20のゲート端子への入力となる。
【0086】
一対のMOSトランジスタ21、22において、MOSトランジスタ21が短絡(ON)になると、電源5からの電圧が、そのままMOSトランジスタ20のゲート端子に入力することになる。電源からの電圧がそのままMOSトランジスタ20のゲート端子に入力することで、MOSトランジスタ20のゲート端子にはHiレベル信号が入力する。
【0087】
ここで、MOSトランジスタ20がN−MOSトランジスタの場合には、ゲート端子にHiレベル信号が入力すると、MOSトランジスタ20が短絡(ON)となる。このため、MOSトランジスタ20がN−MOSトランジスタであって、MOSトランジスタ21が短絡した状態では、MOSトランジスタ20が短絡する。MOSトランジスタ20が短絡状態であると、第1経路2から接地11にかけての線路が導電し、電源5から電力は接地11に逃げる。このため、電源5は、負荷回路4に電力を供給できなくなる。すなわち、所定期間において電力の供給が行われない期間が生じる。
【0088】
一方、一対のMOSトランジスタ21、22において、MOSトランジスタ22が短絡(ON)になる(MOSトランジスタ21は開放)と、接地電圧がMOSトランジスタ20のゲート端子に入力することになる。すなわち、Loレベル信号が、MOSトランジスタ20のゲート端子に入力する。ここで、MOSトランジスタ20がN−MOSトランジスタの場合には、ゲート端子にLoレベル信号が入力すると、MOSトランジスタ20が開放(OFF)される。このため、MOSトランジスタ20がN−MOSトランジスタであって、MOSトランジスタ22が短絡した状態では、MOSトランジスタ20が開放される。MOSトランジスタ20が開放状態であると、第1経路2から接地11にかけての線路が遮断され、電源5から電力は、直接負荷回路4に供給される。すなわち、所定期間において電力の供給が行われる期間が生じる。
【0089】
このように、所定期間内において、駆動部10に含まれる開閉スイッチ8(=第2スイッチ9)の出力が、Hiレベル信号とLoレベル信号とで切り替わることで、負荷回路4に電源5からの電力が供給される供給期間と供給されない非供給期間とが切り替わる。所定期間における、電力が供給される期間の積分値が、負荷回路4に供給される電力値(この場合は、第1経路2による供給に基づく第1電力値)となる。
【0090】
第1経路2による第1電力値について、図3を用いて説明する。
【0091】
図3のタイムチャートは、上から開閉スイッチ8(第2スイッチ9)の出力、第1スイッチ7の出力、負荷回路4への入力信号、第1電力値を示している。図3では、開閉スイッチ8が短絡すると第1スイッチ7が開放される。切り替え部6が短絡しているので、開閉スイッチ8には、電源5から分流した電圧信号が供給される。ただし、開閉スイッチ8が出力する信号の電流値は、後述の第2経路として開閉スイッチ8を流れる電流値よりも小さい。
【0092】
開閉スイッチ8の信号変化に合わせて、第1スイッチ7の開閉が決定される。第1スイッチ7の開閉に合わせて、負荷回路4には電源5からの電力が供給される。ここで、図3のタイムチャートにおける所定期間での負荷回路4に供給される電力は、負荷回路4に供給される電力の積分値で決定され、タイムチャートの最下段の第1電力値は、この積分値を示す。
【0093】
第1電力値は、高い電力値に対応したスイッチ7によって制御された電力の積分値なので、図3に示されるようにその値は大きい。ここで、第1スイッチ7の開放期間が長ければ、所定期間内に負荷回路4へ与えられる電力の積分値は大きくなるので、第1電力値の大きさは、第1スイッチ7の開閉動作(すなわち、開閉スイッチ8の開閉動作)によって定まる。
【0094】
図3のタイムチャートに示されるように開閉スイッチ8、第1スイッチ7の開閉動作によって、負荷回路4への第1電力値が決定される。
【0095】
なお、Hiレベル信号とは、所定電位よりも高い電圧を有する信号であり、Loレベル信号とは所定電位よりも低い電圧を有する信号であり、MOSトランジスタの動作を制御する電圧閾値によって分けられる信号である。また、MOSトランジスタやスイッチの短絡は「ON」の状態と同義であり、MOSトランジスタやスイッチの開放は「OFF」の状態と同義である。
【0096】
また、MOSトランジスタ20がP−MOSトランジスタの場合には、N−MOSトランジスタと逆の動作をする。すなわち、ゲート端子にHiレベル信号が入力する場合にP−MOSトランジスタは開放され、ゲート端子にLoレベル信号が入力する場合にN−MOSトランジスタは短絡する。すなわち、一対のMOSトランジスタ21が短絡する場合に、MOSトランジスタ20は、開放され、一対のMOSトランジスタ22が短絡する場合に、MOSトランジスタ20は、短絡する。このように、MOSトランジスタ20がP−MOSトランジスタである場合には、電源5から負荷回路4への供給期間と非供給期間は、N−MOSトランジスタの場合と真逆になる。
【0097】
また、第1スイッチ7が備えるMOSトランジスタ20は、そのゲート端子およびソース端子に、電源5から供給される大電力に対応する必要があるので、大きな素子サイズを必要とする。このため、MOSトランジスタ20の素子サイズは大きい。このため、小電力を供給する場合にMOSトランジスタ20のスイッチング動作を必要とすると、不要な損失、不要なノイズおよび不要な消費電力を生じさせてしまう。一方で、第2スイッチ9が有する一対のMOSトランジスタ21、22は、ソース端子には電源5の出力が接続されるが、開閉を実行すればよいだけなので、大きな耐圧を必要とせず、小さな素子サイズでよい。
【0098】
このため、大電力である第1電力値(第1経路2を経由して供給される)を供給する場合には、素子サイズの大きな第1スイッチ7により電力値を制御するのが好ましいが、小電力である第2電力値を供給する場合には、第2経路3を経由して、素子サイズの小さな
第2スイッチ9により電力値を制御するのが好ましい。
【0099】
なお、開閉スイッチ8が一対のMOSトランジスタ21、22を有する構成を説明したが、開閉スイッチ8がこれ以外の構成を有していても良い。
【0100】
(第2経路での電力供給)
次に、第2経路3での負荷回路4への電力供給について、図4、図5を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1における電力供給回路のブロック図であり、図5は、第2経路による電力供給を示すタイムチャートである。
【0101】
図4に示されるように、切り替え部6が有する2つのスイッチは、開放されており、第1経路が遮断され、電源5から駆動部10を経由する第2経路3が導電する。なお、駆動部10が含む第2スイッチ9の開閉動作によって、第2経路3の実際の導電が制御される。
【0102】
第2スイッチ9は、開閉スイッチ8と共通要素であって、物理的、回路的に区別されない。第2スイッチ9は、図2で説明したのと同様に、一対のMOSトランジスタ21、22を有している。勿論、第2スイッチ9は、これ以外の構成を有していても良い。
【0103】
一対のMOSトランジスタ21、22のドレイン端子同士が接続されており、このドレイン端子からの出力が、負荷回路4へ接続する線路へ入力する。
【0104】
一対のMOSトランジスタ21、22のそれぞれは、対称動作するMOSトランジスタであることが好ましい。すなわち、MOSトランジスタ21が短絡(ON)の場合には、MOSトランジスタ22が開放(OFF)となって、MOSトランジスタ21が開放(OFF)の場合には、MOSトランジスタ22が短絡(ON)となることが好ましい。このような対称性を有することで、MOSトランジスタ21のみが短絡している場合には、駆動部10の出力には、電源5の電圧に基づく信号が供給され、MOSトランジスタ22のみが短絡している場合には、駆動部10の出力には、接地電圧に基づく信号が供給されるからである。一対のMOSトランジスタ21、22は、電源5からの出力を伝える場合と、接地電圧を伝える場合とに分かれるので、第2経路3は、第2スイッチ9の開閉だけで、負荷回路4への電力の供給期間と非供給期間を切り替えることができる。
【0105】
MOSトランジスタ21が短絡してMOSトランジスタ22が開放されている場合には、第2スイッチ9は、電源5からの信号を出力する。すなわち、MOSトランジスタ21が短絡している期間(これを第2スイッチ9がONである期間とする)には、負荷回路4に電源5から電力が供給される。すなわち、この条件では、電力の供給期間が生じる。
【0106】
一方、MOSトランジスタ21が開放されてMOSトランジスタ22が短絡している場合には、第2スイッチ9は、接地電圧に基づく信号を出力する。このため、MOSトランジスタ21が開放されている期間(これを第2スイッチ9がOFFである期間とする)には、負荷回路4に接地からの電力が供給される。すなわち、この条件では、電力の非供給期間が生じる。
【0107】
第2経路3を経由して負荷回路4に供給される第2電力値は、この電力の供給期間と非供給期間との積分値で決定される。第2電力値の決定は、図5のタイムチャートに示されるとおりである。
【0108】
第2経路3による第1電力値について、図5を用いて説明する。
【0109】
図5のタイムチャートは、上から、第2スイッチ9の出力、負荷回路4への入力信号、負荷回路4へ与えられる電力を示している。図5では、開閉スイッチ8が短絡している期間に負荷回路4へ電源5から電力が供給される。第2経路3は、小電力である第2電力値を供給するために、所定期間におけるスイッチング回数を多くする必要がある(第2電力値は、電力の供給期間と非供給期間との積分によって定まるので)。すなわち、第2スイッチ9のスイッチング回数を多くする必要がある。しかしながら、第2スイッチ9は、耐圧および増幅の小さい、小型素子で構成されるので、スイッチング回数が多くても損失や消費電力損が少ない。
【0110】
図5に示されるように、第2スイッチ9のスイッチングは細かくその回数も多い。また、スイッチ9の出力する信号の電流値も小さいので、第2スイッチ9の出力信号の電力値も小さくなる。第2スイッチ9の出力は、そのまま負荷回路4への入力となる。図5においても、第2スイッチ9の出力と負荷回路4への入力信号とは対応波形を有する。所定期間内における負荷回路4へ供給される電力の積分値が第2電力値となる。
【0111】
結果として、図5に示されるように、第1電力値に比べて低い値を有する第2電力値が、負荷回路4に供給される。
【0112】
以上のようにして、第2電力値が決定されて、小電力の電力が負荷回路4に供給される。
【0113】
このようにして、負荷回路4が大電力を必要とする場合には、第1経路2を介して、開閉スイッチ8および第1スイッチ7の開閉期間によって制御された第1電力値を有する電力が負荷回路4に供給される。一方、負荷回路4が小電力を必要とする場合には、第2経路3を介して、第2スイッチ9の開閉動作によって制御された第2電力値を有する電力が、負荷回路4に供給される。
【0114】
また、第1スイッチ7および第2スイッチ9のそれぞれが、パルス幅で定まる信号を出力するパルススイッチであることで(特に、ゲート端子への入力信号によって開閉(ON/OFF)が制御されるMOSトランジスタであることで)、第1電力値および第2電力値は、これらのパルススイッチの開閉によって制御できる。このため、負荷回路4が要求する電力値は、精密に制御できる。
【0115】
(負荷回路への入力の平滑化)
次に、負荷回路4への入力信号を平滑化するフィルターを備える電力供給装置について説明する。
【0116】
図6は、本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図である。図6の電力供給装置は、負荷回路4へ入力する入力信号を平滑化するフィルターを備えている。フィルターは、インダクタ30とキャパシタ31とを有して、これらインダクタ30とキャパシタ31との動作によって、入力信号を平滑化する。ここで、インダクタ30とキャパシタ31とが並列に接続されているので、これらはいわゆる「低域通過フィルター(ローパスフィルタ)」となっている。高域成分が遮断されるので、余分なノイズが乗らず、平滑化された信号が負荷回路4に入力される。負荷回路4は、電子回路の集合体であるので、ノイズが減衰された信号を受けることは、適切な動作を行う上で重要である。
【0117】
負荷回路4は、インダクタ30とキャパシタ31とによって平滑化された入力信号を受けることで、適切な動作を行う。入力信号が平滑化されていることで、負荷回路4はノイズの影響を受けにくくなり、誤動作などが防止される。
【0118】
(切り替え部と第2スイッチの制御を有する電力供給装置)
次に、切り替え部6が、第1経路2および第2経路3のいずれかを選択する制御部と、共通要素である開閉スイッチ8と第2スイッチ9の開閉動作を制御するスイッチ制御部について図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図である。
【0119】
制御部40は、切り替え部6における、経路の選択(第1経路2および第2経路3のいずれかの選択)を制御する。
【0120】
切り替え部6は、切り替え部6が有する2つのスイッチの開閉によって第1経路2と第2経路3とを切り替える。このとき制御部40は、切り替え部6でのスイッチ開閉を制御する。例えば、制御部40に、負荷回路4が大電力を要する(これを大電力モードとする)との情報が与えられると、制御部40は、切り替え部6が有する2つのスイッチを短絡して、第1経路2を導電させる。逆に、制御部40に、負荷回路4が小電力を要する(これを小電力モードとする)との情報が与えられると、制御部40は、切り替え部6が有する2つのスイッチを開放して、第2経路3を導電させる。
【0121】
このとき、大電力モードや小電力モードに係る情報を検出して、制御部40にその情報を与える検出部が更に備わっていることも好適である。検出部は、負荷回路4を制御する情報を有するブロックであって、この制御する情報に基づいて、負荷回路4での動作モードが、大電力モードであるのか小電力モードであるのかを判定して、その情報を制御部40に出力する。
【0122】
このように、制御部40によって、切り替え部6での経路選択が適切に行われる。
【0123】
電力供給装置1は、別にスイッチ制御部41を有していても良い。
【0124】
スイッチ制御部41は、第2スイッチ9(すなわち開閉スイッチ8)の開閉動作を制御する。第2スイッチ9は、開閉スイッチ8として第1スイッチ7の開閉動作を制御する場合と、第2経路3の導電と遮断との切り替えを制御する場合とを有する。このとき、スイッチ制御部41は、切り替え部6が選択している経路の情報や、負荷回路4が必要とする電力値に関する情報を用いて、第2スイッチ9の開閉タイミングを制御する。このため、スイッチ制御部41は、制御部40や検出部からこれらの情報を得て、第2スイッチ9の開閉タイミングを制御しても良い。第2スイッチ9の開閉タイミングによって、負荷回路4に供給される電力値が決定されるからである。
【0125】
このように、制御部40やスイッチ制御部41を備える電力供給装置1は、負荷回路4が要求する電力値に従った電力値の供給を可能とする。
【0126】
(検出部を有する電力供給装置)
次に、検出部を有する電力供給装置について、図8を用いて説明する。
【0127】
図8は、本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図である。
【0128】
図8より明らかな通り、電力供給装置1は、負荷回路4が必要とする電力値を検出する検出部42を更に備えている。検出部42は、例えば、負荷回路4が第1電力値を要するのか、第2電力値を要するのかを検出する。このとき、負荷回路4がソフトウェアプログラムを動作させるCPUやDSPなどのプロセッサである場合には、ソフトウェアプログラムが指定する動作モードに基づいて、検出部42は、負荷回路4での必要電力を検出する。更に、検出部42は、検出した第1電力値および第2電力値のいずれかを制御部40に通知する。このとき検出部42は、第1電力値か第2電力値かの選択結果だけを通知するだけでなく、実際に供給すべき電力値を通知しても良い。この通知結果を受けて、制御部40は、切り替え部6の切り替えを制御すると共に、スイッチ制御部41を介して、第2スイッチ9の開閉タイミングを決定する。
【0129】
例えば、ソフトウェアプログラムが、画像処理を行う場合には、処理動作が複雑で必要とする電力が大きくなるので、検出部42は、負荷回路4が必要とするのは、第1電力値であると検出する。逆に、ソフトウェアプログラムが、ファイル保存を行うだけの場合には、処理動作が簡単であって必要とする電力が小さくなるので、検出部42は、負荷回路4が必要とするのは、第2電力値であると検出する。また、第1電力値および第2電力値における具体的な電力値をも検出してもよい。
【0130】
勿論、検出部42は、ソフトウェアプログラムの動作モード以外に基づいて、負荷回路4が必要とする電力値を検出しても良い。例えば、負荷回路4が、消費電力を削減する省エネモードに入った場合には、検出部42は、負荷回路4が第2電力値を必要とすることを検出する。
【0131】
検出部42での検出結果に従って、制御部40は、切り替え部6を制御して、第1経路2と第2経路3との選択を行わせる。同様に、検出部42での検出結果に従って、スイッチ制御部41は、第2スイッチ9での開閉タイミングを制御する。例えば、検出部42が、負荷回路4での必要電力値を大きい値として検出する場合には、スイッチ制御部41は、電力供給期間が長くなるように、第2スイッチ9の開閉タイミングを制御する。
【0132】
このように、検出部42が、負荷回路4で必要とされる電力値を検出することで、電力供給装置1が、負荷回路4に供給する電力値を、正確に制御できるようになる。特に、負荷回路4が大電力を必要とする場合には、大電力の制御に対応できる大型の素子サイズを有する第1スイッチ7によって第1電力値を制御でき、負荷回路4が小電力を必要とする場合には、小電力の制御に適した小型の素子サイズを有する第2スイッチ9によって第2電力値を制御できる。
【0133】
この結果、供給するべき電力値が異なっても、電力供給装置1は、ノイズ、損失、消費電力を増加させない。また、第2経路3で供給される第2電力値は、第2スイッチ9で制御されるが、第2スイッチ9そのものは、第1スイッチ7の開閉を制御するために、もともと必要な要素である。このため、回路規模の増加ももたらすことなく、負荷回路4が要求する電力値を供給できる。
【0134】
なお、図1〜図8を用いて説明した電力供給装置1は、第1経路2および第1経路2と異なる第2経路3のいずれかの経路を介して、負荷回路4に電力を供給する電源5と、第1経路2と第2経路3とを切り替える切り替え部6と、第1経路2から供給される第1電力値を決定するパルスタイミングを生成する第1パルススイッチと、第1パルススイッチの開閉のタイミングを制御する開閉パルススイッチを含む駆動部10と、第2経路3から供給される第2電力値を決定するパルスタイミングを生成する第2パルススイッチと、を備え、第1電力値は、第2電力値より大であり、第1経路2は、駆動部10の外部を経由すると共に、第2経路2は、駆動部10の内部を経由し、開閉パルススイッチと第2パルススイッチとは、共通要素であり、切り替え部6は、電源5と負荷回路4を直接的に接続する経路の途中に設けられる第1切り替えスイッチと、駆動部と第1パルススイッチとを接続する経路の途中に設けられる第2切り替えスイッチと、を有し、第1パルススイッチは、電源5と負荷回路4と並列接続関係にあると共に接地接続されている電力供給装置1と表現することもできる。ここで、第1パルススイッチ、開閉パルススイッチ、第2パルススイッチのそれぞれは、パルス幅による出力を有するスイッチであり、それぞれ、第1スイッチ7、開閉スイッチ8、第2スイッチ9の要素に対応する。
【0135】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、図9〜図13を用いてより具体的な回路を例として、電力供給装置を説明する。
【0136】
図9〜図13は、本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図である。図9〜図13のそれぞれは、同じ回路構成を有する回路図を示しており、それぞれ異なる動作状態を示している。図9〜図13の全てによって、電力供給装置50の動作を説明できる。
【0137】
(1)図9は、切り替え部56が第1経路52および第2経路53のいずれも選択していない状態を示している。図9〜図13で共通する回路図を示している。
【0138】
(2)図10は、切り替え部56が第1経路52を選択して、電源55が、負荷回路54に第1経路を経由して電力を供給する状態を示している。特に、第1経路52が、電源55と負荷回路54を直接導電して、電源55が負荷回路54に電力を供給している期間を示している。
【0139】
(3)図11は、切り替え部56が第1経路52を選択して、電源55が、負荷回路54に第1経路を経由して電力を供給する状態を示している。但し、図10と異なり、第1スイッチ57が短絡(ON)となって、負荷回路54は、接地と接続されてしまい、負荷回路54への電力の非供給期間となっていることを示している。
【0140】
(4)図12は、切り替え部56が第2経路53を選択して、電源55が、負荷回路54に第2経路53を経由して電力を供給する状態を示している。特に、第2経路53が、電源55と負荷回路54とを直接導電して、電源55が負荷回路54に電力を供給している期間を示している。
【0141】
(5)図13は、切り替え部56が第2経路53を選択して、電源55が、負荷回路54に第2経路53を経由して電力を供給する状態を示している。但し、図12と異なり、第2スイッチ59が短絡(ON)となって、負荷回路54は、接地と接続されてしまい、負荷回路54への電力の非供給期間となっていることを示している。
【0142】
(回路概要)
まず、図9〜図13で示される回路の全体概要について説明する。
【0143】
なお、図9〜図13で示される電力供給装置50は、負荷回路54を除いた上で電力供給装置とみなしてもよいし、負荷回路54を含んだ上で電子回路とみなしてもよい。負荷回路54は、実施の形態1で説明したのと同様に、CPUやDSPなどのソフトウェアプログラムを動作させるプロセッサであったり、特定の演算処理を行う電子回路や半導体集積回路であったりしてもよい。
【0144】
電力供給装置50は、第1経路52および第2経路53を有し、第1経路52および第2経路53のいずれかの経路を介して、負荷回路54に電力を供給する電源55を有している。電源55は、実施の形態1と同じく家庭用電源であったり、電池やバッテリーであったりする。
【0145】
電力供給装置50は、更に、第1経路52と第2経路53とを切り替える切り替え部56と、第1経路52から供給される第1電力値を制御する第1スイッチ57と、第1スイッチ57の開閉タイミングを制御する開閉スイッチ58(=第2スイッチ59)と、第2経路53から供給される第2電力値を制御する第2スイッチ59とを備える。ここで、開閉スイッチ58と第2スイッチ59は、同一の要素であって、直列接続された一対のMOSトランジスタSH,SLとを備える。また、第1スイッチ57は、電源55と負荷回路54と並列接続関係を有し、第1スイッチ57の一方は、接地接続されている。また、第2スイッチ59を備える回路は駆動部60である。
【0146】
切り替え部56は、スイッチS1、スイッチS2、スイッチS3を備え、制御信号61によってこれらのスイッチが切り替えられて、切り替え部56は、第1経路52と第2経路53とを選択する。
【0147】
切り替え部56が第1経路52を選択すると、図9に示されるように、電源55から負荷回路54まで、駆動部58の外部を通る線路である第1経路52が導電する。このとき、第1経路52の途中において、第1スイッチ57を介して接地と接続される線路が存在する。第1スイッチ57が短絡(ON)になると、第1経路52と接地とが導電されるので、負荷回路54は、電源55ではなく接地と導電する。この状態は、負荷回路54へ電力が供給されない非供給期間である。一方、第1スイッ57が開放(OFF)であると、第1経路52は、電源55と負荷回路54とを直接導電するので、負荷回路54には、電源55から電力が供給される。この状態は、電力の供給期間となる。所定期間における、この非供給期間と供給期間との積分値によって、負荷回路54へ供給される電力値(第1経路52を経由する電力値であるので、第1電力値)が決定される。
【0148】
第1スイッチ57は、MOSトランジスタSRを有しており、MOSトランジスタSRのゲート端子への入力信号によって、短絡と開放が決定される。ゲート端子への入力信号は、開閉スイッチ58によって定まる。開閉スイッチ58は、一対のMOSトランジスタSH,SLを有しており、MOSトランジスタSHとMOSトランジスタSLとは、対称的に動作する。すなわち、スイッチSC2を経由した制御信号57が、MOSトランジスタSHとMOSトランジスタSLとのゲート端子に入力してMOSトランジスタSH,SLの動作を制御する。例えば、MOSトランジスタSHが短絡の場合にはMOSトランジスタSLが開放であり、反対に、MOSトランジスタSHが開放の場合にはMOSトランジスタSLが短絡である。
【0149】
この一対のMOSトランジスタSH、SLの動作によって、第1スイッチを構成するMOSトランジスタSRのゲート端子入力が制御され、MOSトランジスタSRの短絡と開放が制御される。このMOSトランジスタSRの短絡と開放によって、第1経路52において、電源55と負荷回路54とが導電するか、接地と負荷回路54とが導電するかが決定される。
【0150】
一方、切り替え部56が第2経路53を選択すると、図9に示されるように、電源55から駆動部60を経由して負荷回路54に接続する第2経路53が導電する。このとき、第2経路53は、第2スイッチ59を経由する。第2スイッチ59は、開閉スイッチ58と同じ要素であるので、一対のMOSトランジスタSH,SLを備える。一対のMOSトランジスタSH,SLの短絡と開放によって、第2経路53は、電源55と負荷回路54との導電あるいは、接地と負荷回路54との導電が切り替ええられる。第2経路53においては、その経路においては第2スイッチ59のみが導電と非導電を切り替えるので、第2スイッチ59の動作のみで、第2経路53による負荷回路54へ供給される第2電力値が決定される。第2電力値は、第2経路を経由して電源55から負荷回路54へ電力が供給される供給期間と、第2経路53が接地に接続されて負荷回路54に電力が供給されない非供給期間との積分値によって定まる。
【0151】
ここで、一対のMOSトランジスタSH,SLは、上述の通り対照的な動作によって、その短絡と開放とが決定される。なお、MOSトランジスタSH,SLは、その短絡と開放において対照的な動作をするために、P−MOSトランジスタとN−MOSトランジスタとで構成されても良いし、図9に示されるように、ゲート端子に入力する信号の論理値が常に逆となるように構成されても良い。図9〜図13の電力供給装置50では、MOSトランジスタSLのゲート端子の前段にインバーターが挿入されて、MOSトランジスタSHとMOSトランジスタSLとのゲート端子への入力信号の論理値が逆になる。
【0152】
(動作説明)
次に、図10〜図13を用いて、電力供給装置50の動作を説明する。
【0153】
(図10に示される第1経路での電力供給期間)
図10では、切り替え部56が第1経路52を選択している。このため、電源55は、第1経路52を経由して負荷回路54に電力を供給する。制御信号61は、切り替え部56を構成するスイッチSC1、SC2,SC3において端子Aと出力とを短絡し、スイッチSC2を経由して、開閉スイッチ58を構成する一対のMOSトランジスタSH、SLとのゲート端子に入力する。
【0154】
MOSトランジスタSHのソース端子は電源55に接続されており、MOSトランジスタSLのソースは接地に接続されている。MOSトランジスタSHのドレイン端子とMOSトランジスタSLのドレイン端子とは相互に接続されて、このドレイン端子は、スイッチSC3を経由してMOSトランジスタSRのゲート端子に信号を出力する。
【0155】
制御信号61が、ある論理値をもって入力すると、MOSトランジスタSHが短絡すると共にMOSトランジスタSLが開放される。この場合には、開閉スイッチ58は、短絡したMOSトランジスタSHを通じて電源55からの信号を出力する。すなわち、開閉スイッチ58の出力する信号の論理値は、Hiレベルである。第1スイッチ57を構成するMOSトランジスタSRがP−MOSトランジスタの場合には、このHiレベル信号がMOSトランジスタSRのゲート端子に入力するので、MOSトランジスタSRは開放され、第1経路52と接地とは導電しない。すなわち、図10に示されるように、第1経路52は、電源55から負荷回路54まで、直接導電する。結果として、第1経路52を経由して、電源55は、負荷回路54に電力を供給する。この期間は、電力の供給期間である。
【0156】
なお、第1スイッチ57は、素子サイズの大きなMOSトランジスタSRを有しており、このMOSトランジスタSRによって、電力供給と非供給とを切り替えるので、スイッチングでの損失や消費電力は大きい。しかしながら、耐圧などの面で、MOSトランジスタSRの素子サイズを大きくしておく必要がある。
【0157】
以上のように、制御信号61が、切り替え部56と開閉スイッチ58とを制御することで、電源55は、第1経路52を経由して負荷回路54に電力を供給する。
【0158】
なお、制御信号61は、図示していない外部の制御部から出力されればよい。制御部は、予めソフトウェアプログラムを有しており、ソフトウェアプログラムの処理手順に従って、切り替え部56の切り替え、開閉スイッチ58の短絡・開放を制御する。
【0159】
また、第1経路52を経由した電力供給は、上述のように、電源55からの電力を、第1スイッチ57(MOSトランジスタSR)が接地と短絡することによって制御されるだけでなく、MOSトランジスタSmの切り替えによって、制御されてもよい。
【0160】
MOSトランジスタSmは、第1経路52上に位置し、MOSトランジスタSmが短絡している期間であってMOSトランジスタSRが開放されている(すなわち第1経路52と接地とが導電していない状態)期間では、電源55から負荷回路54に電力が供給される。一方、MOSトランジスタSmが開放されている期間であってMOSトランジスタSRが短絡している(すなわち第1経路52と接地が導電している状態)期間では、電源55から負荷回路54に電力が供給されない。すなわち、MOSトランジスタSmとMOSトランジスタSRとが交互に短絡と開放を繰り返すことにより、電源55から負荷回路54への第1経路52を経由した電力の供給期間と非供給期間とが繰り返される。この供給期間と非供給期間との積分値により負荷回路54に与えられる電力値が決定される。
【0161】
なお、MOSトランジスタSmの短絡と開放は、駆動部60に含まれるスイッチ65で切り替わる。スイッチ65は、一対のMOSトランジスタSH、SLを有し、一対のMOSトランジスタSH、SLの出力が、MOSトランジスタSmのゲート端子に入力することで、MOSトランジスタSmの短絡と開放が制御される。また、スイッチ65は、スイッチSc1を介して制御信号61によって制御される。制御信号61の論理値が所定値の場合には、スイッチ65のMOSトランジスタSHが短絡してMOSトランジスタSmのゲート端子にはHiレベル信号が入力し、制御信号61の論理値が所定値と逆の論理値を有する場合には、スイッチ65のMOSトランジスタSLが短絡してMOSトランジスタSmのゲート端子にはLoレベル信号が入力する。MOSトランジスタSmは、ゲート端子に入力する信号の論理値によって、短絡と開放とが切り替えられる。
【0162】
(図11に示される第1経路での電力非供給期間)
図11では、切り替え部56は、図10と同じく第1経路52を選択している。制御信号61は、切り替え部56を構成するスイッチSC1、SC2,SC3において端子Aと出力とを短絡し、スイッチSC2を経由して、開閉スイッチ58を構成する一対のMOSトランジスタSH、SLのゲート端子に入力する。
【0163】
MOSトランジスタSHのソース端子は電源55に接続されており、MOSトランジスタSLのソースは接地に接続されている。MOSトランジスタSHのドレイン端子とMOSトランジスタSLのドレイン端子とは相互に接続されて、このドレイン端子は、スイッチSC3を経由してMOSトランジスタSRのゲート端子に信号を出力する。
【0164】
ここで、制御信号61は、図10での信号と逆の論理値を有する信号を出力する。
【0165】
すなわち、制御信号61がMOSトランジスタSHとMOSトランジスタSLとのゲート端子に入力すると、MOSトランジスタSHは開放され、MOSトランジスタSLは短絡する。MOSトランジスタSLが短絡すると、MOSトランジスタSLのソース端子に入力している接地電圧に基づく信号が、MOSトランジスタSLのドレイン端子に出力される。すなわち、開閉スイッチ58は、Loレベル信号を出力する。このLoレベル信号は、MOSトランジスタSRのゲート端子に入力する。MOSトランジスタSRは、上述の通りP−MOSトランジスタであるので、ゲート端子にLoレベル信号が入力すると短絡し、ソース端子とドレイン端子とが短絡する。MOSトランジスタSRのソース端子は、接地接続されているので、第1経路52の途中部分と接地とが接続され、接地経路70が導電する。
【0166】
このように接地経路70が導電すると、負荷回路54は電源55ではなく接地と接続することになってしまうので、電力は供給されない。この電力が供給されない期間が非供給期間となる。この非供給期間においては、負荷回路54は電力の供給が途切れる(勿論、コンデンサなどに残っている電力の放電は受ける)。
【0167】
所定期間において、第1スイッチ57は、短絡と開放とで細かく切り替えられる。この切り替えにより、図10、図11に示されるような、電力の供給期間と非供給期間とが生じる。負荷回路54に与えられる電力である第1電力値は、所定期間におけるこの供給期間と非供給期間との積分値で求まる。これは図3を用いて説明したのと同様である。所定期間内における電力の供給期間が長ければ、結果として負荷回路54へ供給される第1電力値は大きくなる。
【0168】
このように、制御信号61が、切り替え部56と開閉スイッチ58とを制御することで、第1経路52を経由した電力の供給および供給される電力値が制御される。
【0169】
また、第1経路52での電力供給期間で説明したように、第1スイッチ57から接地へ電力を導電させるだけでなく、第1経路52上にあるMOSトランジスタSmの開放と短絡(スイッチ65によって切り替わる)によって、第1経路52での電力非供給期間が制御されてもよい。
【0170】
(図12に示される第2経路での電力供給期間)
次に、図12を用いて、第2経路での電力供給期間について説明する。
【0171】
図12では、切り替え部56が第2経路53を選択している。このため、電源55は、第2経路53を経由して負荷回路54に電力を供給する。制御信号61は、切り替え部56を構成するスイッチSC1、SC2,SC3において端子Bと出力とを短絡し、スイッチSC2を経由して、第2スイッチ59を構成する一対のMOSトランジスタSH、SLとのゲート端子に入力する。
【0172】
MOSトランジスタSHのソース端子は電源55に接続されており、MOSトランジスタSLのソースは接地に接続されている。MOSトランジスタSHのドレイン端子とMOSトランジスタSLのドレイン端子とは相互に接続されて、このドレイン端子は、スイッチSC3のB端子に信号を出力する。スイッチSC3のB端子は、やがて負荷回路54へ信号を出力する。
【0173】
制御信号61が、ある論理値をもって入力すると、MOSトランジスタSHが短絡すると共にMOSトランジスタSLが開放される。この場合には、第2スイッチ59は、短絡したMOSトランジスタSHを通じて電源55からの信号を出力する。すなわち、電源55からの電力は、第2経路53の途中にある第2スイッチ59を経由して、そのまま負荷回路54に出力される。図12に示されるように、電源55から第2スイッチ59を経由して負荷回路54までが導電する。第2経路53での電力供給は、この第2スイッチ59の開閉のみによって制御される。MOSトランジスタSHが短絡して第2スイッチ59が電源55からの信号を出力している場合には、負荷回路54にとって電力の供給期間となる。
【0174】
なお、第2スイッチ59は、素子サイズの小さなMOSトランジスタSH,SLを有している。第2経路53で電力を供給する場合には、小電力である第2電力値を供給するので、MOSトランジスタSH,SLは大きな耐圧を必要としない。このため、MOSトランジスタSH,SLとは、小型の素子で構成される。MOSトランジスタSH,SLが小型の素子であるので、これらのトランジスタでのスイッチングでは、損失や消費電力は小さい。特に、大型の素子であるMOSトランジスタSRは、第2経路53を経由した電力供給では使用されないので、損失や消費電力が小さくて済む。
【0175】
このように、大電力ではない小電力を供給する場合に、大型の素子を使う経路と異なる別の経路(第2経路53)が使用されることで、電力供給装置50や電子回路においての損失や消費電力が削減できる。更には、第2経路53での電力供給を制御する第2スイッチ59は、第1経路52での電力供給を制御する第1スイッチを制御する開閉スイッチ58と同一要素であって共用しているので、回路規模も増加しない。また、開閉スイッチ58は、駆動部60として回路基板や半導体集積回路で実現される回路であるので、最初からノイズ対策なども施されている。このため、開閉スイッチ58を第2スイッチ59として流用するとしても、ノイズが増加することもない。
【0176】
以上のように、制御信号61が、切り替え部56と第2スイッチ59とを制御することで、電源55は、第2経路53を経由して負荷回路54に電力を供給する。
【0177】
なお、制御信号61は、図示していない外部の制御部から出力されればよい。制御部は、予めソフトウェアプログラムを有しており、ソフトウェアプログラムの処理手順に従って、切り替え部56の切り替え、第2スイッチ59の短絡・開放を制御する。
【0178】
(図13に示される第2経路での電力の非供給期間)
図13では、切り替え部56は、図12と同じく第2経路53を選択している。制御信号61は、切り替え部56を構成するスイッチSC1、SC2,SC3において端子Bと出力とを短絡し、スイッチSC2を経由して、第2スイッチ59を構成する一対のMOSトランジスタSH、SLとのゲート端子に入力する。
【0179】
MOSトランジスタSHのソース端子は電源55に接続されており、MOSトランジスタSLのソース端子は接地に接続されている。MOSトランジスタSHのドレイン端子とMOSトランジスタSLのドレイン端子とは相互に接続されて、このドレイン端子は、スイッチSC3のB端子に信号を出力する。スイッチSC3のB端子は、やがて負荷回路54へ信号を出力する。
【0180】
ここで、制御信号61は、図12での信号と逆の論理値を有する信号を出力する。
【0181】
すなわち、制御信号61がMOSトランジスタSHとMOSトランジスタSLとのゲート端子に入力すると、MOSトランジスタSHは開放され、MOSトランジスタSLは短絡する。MOSトランジスタSLが短絡すると、MOSトランジスタSLのソース端子に入力している接地電圧に基づく信号が、MOSトランジスタSLのドレイン端子に出力される。すなわち、第2スイッチ59は、接地と負荷回路54とを導電する。この結果、接地線路71を導電する。
【0182】
このように接地経路71が導電すると、負荷回路54は電源55ではなく接地と接続することになってしまうので、電力は供給されない。この電力が供給されない期間が非供給期間となる。この非供給期間においては、負荷回路54は電力の供給が途切れる(勿論、コンデンサなどに残っている電力の放電は受ける)。
【0183】
所定期間において、第2スイッチ59は、短絡と開放とで細かく切り替えられる。この切り替えにより、図12、図13に示されるような、電力の供給期間と非供給期間とが生じる。負荷回路54に与えられる電力である第2電力値は、所定期間におけるこの供給期間と非供給期間との積分値で求まる。これは図5を用いて説明したのと同様である。
【0184】
このように、制御信号61が、切り替え部56と第2スイッチ59とを制御することで、第2経路53を経由した電力の供給および供給される電力値が制御される。実際には、図12で示される電力の供給期間と図13で示される電力の非供給期間との積分値によって、第2電力値が定まる。例えば、電力の供給期間が長ければ、負荷回路54へ供給される第2電力値は大きくなる。
【0185】
以上から分かるように、第1経路52を経由して第1電力値が供給されるには、切り替え部56、開閉スイッチ58、第1スイッチ57の制御によって、電源55と負荷回路54とが導電する場合と、接地と負荷回路54とが導電する場合とが切り替えられる。
【0186】
一方、第2経路53を経由して第2電力値が供給されるには、切り替え部56と第2スイッチ59(=開閉スイッチ58)のみの制御によって、電源55と負荷回路54とが導電する場合と、接地と負荷回路54とが導電する場合とが切り替えられる。このため、小電力である第2電力値を供給する場合には、余分なスイッチング損失やスイッチングノイズが発生しにくいメカニズムを、電力供給装置50は有する。
【0187】
以上のように、実施の形態2における電力供給装置は、回路規模の増加、損失や消費電力の増加をもたらさずに、効率的に、負荷回路が必要とする大電力や小電力のそれぞれを供給できる。
【0188】
なお、実施の形態1および2で説明した電力供給装置や電子回路は、半導体集積回路によって実現されても良い。
【0189】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
【0190】
実施の形態1、2で説明した電力供給装置や電子回路は、電子機器に組み込まれて使用されればよい。特に、ノートブックパソコン、携帯端末、カーナビゲーションシステム、PDA、車載テレビ、携帯電話機などのバッテリーによって電力が供給される装置では、使用時間を長くするために、電力が細かく制御される必要がある。このため、このような電子機器では動作内容によって大電力を必要とする場合と小電力を必要とする場合とが生じる。大電力が必要な場合には、電力供給装置は、第1経路を経由して第1電力値である電力を供給し、小電力が必要な場合には、電力供給装置は、第2経路を経由して第2電力値である電力を供給する。
【0191】
ここで(1)電力供給装置が大電力と省電力とを切り分けて供給できるので、電子機器全体での消費電力が削減できる、(2)小電力を供給する場合に、損失や消費電力が抑えられるので(小型の素子である第2スイッチのスイッチングにより第2電流値が制御されるので)電力供給装置での消費電力が削減できる、の2点によって、電子機器全体としての消費電力が削減できる。
【0192】
この結果、電子機器におけるバッテリーの使用効率が高まり、電子機器の使用時間が延びるメリットがある。
【0193】
電子機器の一例を説明する。
【0194】
電子機器の一例を図14に示す。図14は、本発明の実施の形態3における電子機器の斜視図である。電子機器82は、カーテレビやパーソナルモニターなどの薄型、小型が要求される電子機器である。
【0195】
電子機器82は、ディスプレイ83、発光素子84、スピーカ85を備えている。この電子機器82の内部に電力供給装置1、50が格納されており、効率的な電力供給を実現する。結果として、電子機器82は、低消費電力を実現できる。
【0196】
このように、実施の形態1、2で説明した電力供給装置1、50が、電子機器に組み込まれることで、電子機器の性能向上が実現でき、ユーザビリティも向上する。また、当然ながら、実施の形態1,2で説明した電力供給装置1、50は、家庭やオフィスでの据え置き型の電子機器においても有効に使用される。このような据え置き型の電子機器(デスクトップパソコン、テレビ受像機、オーディオ機器、情報処理機器など)において、実施の形態1,2で説明した電力供給装置1、50が使用されることで、これらの電子機器での消費電力の削減が実現される。
【0197】
なお、実施の形態1〜3で説明された電力供給装置や電子機器は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における第1経路による電力供給を示すタイムチャート
【図4】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図5】第2経路による電力供給を示すタイムチャート
【図6】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図7】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図8】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図9】本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図
【図10】本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図
【図11】本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図
【図12】本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図
【図13】本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図
【図14】本発明の実施の形態3における電子機器の斜視図
【符号の説明】
【0199】
1 電力供給装置
2 第1経路
3 第2経路
4 負荷回路
5 電源
6 切り替え部
7 第1スイッチ
8 開閉スイッチ
9 第2スイッチ
10 駆動部
11 接地
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷回路に供給する電力値を切り替えつつ供給できる電力供給装置に関し、例えば電力供給回路、スイッチング電源、スイッチング電源回路などに適用される。
【背景技術】
【0002】
従来、電源から負荷回路に電力を供給する(電圧や電流を供給する)スイッチング電源や電力供給回路などの電力供給装置が、電子回路や電子機器において用いられている。このような電力供給装置は、例えばDC−DCコンバータなどの装置として実現されることがある。
【0003】
近年の電子機器には、消費電力の削減や待機電力の削減などが求められており、負荷回路における動作も大電力を要するモードの場合と少量の電力を要するモードの場合とが存在する。特に、電子機器の大半は、中央演算処理装置(以下、「CPU」という)とCPUにより動作されるソフトウェアを含む。CPUは、大電力を要するモードと小電力を要するモードとを動作に含むことが多く、ソフトウェアも、大電力を要するモードと小電力を要するモードとを動作に含むことが多い。例えば、ソフトウェアが表示のみを行っている場合には、ソフトウェアを動作させるCPUは小電力を要し、ソフトウェアが演算を行っている場合には、ソフトウェアを動作させるCPUは大電力を要する。
【0004】
従来の電力供給装置は、電源と、電源からの電力値をパルス幅で制御する(PWM(Pulse Width Modulation))パルススイッチと、パルススイッチの開閉を制御する駆動部とを備えている。このような構成の電力供給装置では、負荷回路に供給される電力値を変化させることに限界があり、小電力モードや待機モードなどにおいて、十分に消費電力を削減できなかった。
【0005】
このため、負荷回路に電力を供給する複数の経路を設け、複数の経路のそれぞれは、供給できる電力値が異なり、複数の経路を切り替える駆動部を備えるハイブリッドタイプの電力供給装置(DC−DCコンバータ)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−221981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるDC−DCコンバータは、電力を供給する複数の経路を切り替えるスイッチに抵抗を接続して、応答時間の短縮を図っている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるDC−DCコンバータは、異なる電力値を供給する複数の経路とこの経路を形成するスイッチなどの素子が、経路毎に個別に設けられているので、回路規模やコストが増大する問題がある。更に、個別の回路は、それぞれの経路での電力供給のみに対応してしか使用されず、電子素子の使用効率を損なう問題もある。結果として、電源付近での消費電力が増加する問題も生じる。
【0008】
加えて、特許文献1に開示される技術は、電源付近においてより多くの素子や配線を形成する必要があり、ノイズ対応などが困難である問題も有する。
【0009】
本発明は、これらの問題に鑑みて、従来使用されている電力供給装置に含まれる電子素子や要素を効率的に活用しつつ最小限の回路規模にて、負荷回路に大電力と小電力とを切り分けて供給できる電力供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、本発明の電力供給装置は、第1経路および第1経路と異なる第2経路のいずれかの経路を介して、負荷回路に電力を供給する電源と、第1経路と第2経路とを切り替える切り替え部と、第1経路から供給される第1電力値の基準となる供給期間を制御する第1スイッチと、第1スイッチの開閉のタイミングを制御する開閉スイッチを含む駆動部と、第2経路から供給される第2電力値の基準となる供給期間を制御する第2スイッチと、を備え、第1電力値は、第2電力値より大であり、第1経路は、駆動部の外部を経由すると共に、第2経路は、駆動部の内部を経由し、開閉スイッチと第2スイッチとは、共通要素である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電力供給装置は、回路規模の増加を最小限に抑えつつ、負荷回路の必要性に応じて、大電力と小電力とを切り分けて負荷回路に供給できる。当然ながら、回路面積やコストも低減できる。
【0012】
また、ノイズの影響が考慮されたスイッチング電源に含まれる駆動部をそのまま流用するので、ノイズの影響を生じさせにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1の発明に係る電力供給装置は、第1経路および第1経路と異なる第2経路のいずれかの経路を介して、負荷回路に電力を供給する電源と、第1経路と第2経路とを切り替える切り替え部と、第1経路から供給される第1電力値の基準となる供給期間を制御する第1スイッチと、第1スイッチの開閉のタイミングを制御する開閉スイッチを含む駆動部と、第2経路から供給される第2電力値の基準となる供給期間を制御する第2スイッチと、を備え、第1電力値は、第2電力値より大であり、第1経路は、駆動部の外部を経由すると共に、第2経路は、駆動部の内部を経由し、開閉スイッチと第2スイッチとは、共通要素である。
【0014】
この構成により、回路規模の増大をもたらさずに、大電力である第1電力値と小電力である第2電力値とを異なる経路で、負荷回路に供給できる。また、電力値に合わせた素子によって電力値が制御できるので、不要な損失や消費電力が抑制できる。
【0015】
本発明の第2の発明に係る電力供給装置では、第1の発明に加えて、第1スイッチは、電力の供給と停止を時間によって切り替える第1パルススイッチを有し、第2スイッチは、電力の供給と停止を時間によって切り替える第2パルススイッチを有し、第1パルススイッチおよび第2パルススイッチは、供給期間をパルス幅により制御し、第1電力値および第2電力値は、パルス幅によって決定される。
【0016】
この構成により、第1電力値と第2電力値は、正確に制御される。
【0017】
本発明の第3の発明に係る電力供給装置では、第2の発明に加えて、第1パルススイッチおよび第2パルススイッチのそれぞれは、ゲート端子への入力信号によって開閉が制御されるMOSトランジスタを有する。
【0018】
この構成により、パルス幅を決定する開閉期間が、容易に制御できる。
【0019】
本発明の第4の発明に係る電力供給装置では、第3の発明に加えて、第2パルススイッチは、直列接続された一対のMOSトランジスタを有する。
【0020】
この構成により、パルス幅を決定する開閉期間が、容易に制御できる。
【0021】
本発明の第5の発明に係る電力供給装置では、第3から第4のいずれかの発明に加えて、切り替え部が、第1経路を選択する場合には、開閉スイッチの出力が、第1パルススイッチに含まれるMOSトランジスタのゲート入力となって第1パルススイッチの開閉期間を制御し、第1パルススイッチの開閉期間が、供給期間を決定して第1電力値を決定し、切り替え部が、第2経路を選択する場合には、第2パルススイッチの開閉期間が、供給期間を決定して第2電力値を決定する。
【0022】
この構成により、大電力である第1電力値と小電力である第2電力値とが容易に制御できる。また、小電力である第2電力値は、小型の素子である第2パルススイッチの開閉期間によって制御されるので、スイッチング損失が抑制できる。
【0023】
本発明の第6の発明に係る電力供給装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、負荷回路が、第1電力値および第2電力値の内、いずれの電力値を必要とするかを検出する検出部を、更に備える。
【0024】
この構成により、電力供給装置は、供給する電力値を確実に制御できる。
【0025】
本発明の第7の発明に係る電力供給装置では、第6の発明に加えて、検出部は、負荷回路の動作モードに基づいて、第1電力値および第2電力値の内、いずれの電力値を必要とするかを検出する。
【0026】
この構成により、電力供給装置は、負荷回路の動作内容を反映した電力を供給できる。
【0027】
本発明の第8の発明に係る電力供給装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、切り替え部における第1経路および第2経路からの経路の選択を制御する制御部を、更に備える。
【0028】
この構成により、経路切り替えが容易に行える。特に、検出部の検出結果に従うことで、経路は適切に切り替えられる。
【0029】
本発明の第9の発明に係る電力供給装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、第2スイッチの開閉のタイミングを制御するスイッチ制御部を更に備える。
【0030】
この構成により、第1電流値と第2電流値の制御の基礎となる供給期間が適切に制御される。
【0031】
本発明の第10の発明に係る電力供給装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、負荷回路への入力信号を、平滑化するフィルターを更に備える。
【0032】
この構成により、負荷回路への信号が平滑化されて、負荷回路での誤動作を生じさせない。
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0034】
なお、電力供給装置は、電子回路、半導体集積回路、電子素子のいずれで実現されてもよく、制御の一部がソフトウェアプログラムで実現されても良い。また、電力供給装置のみで提供されても、他の電子回路と組み合わされた状態で供給されても良い。
【0035】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1における電力供給装置の全体概要を、図1を用いて説明する図1は、本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図である。
【0036】
(全体概要)
電力供給装置1は、第1経路2と第2経路3のいずれかの経路を介して負荷回路4に電力を供給する電源5と、第1経路2と第2経路3とを切り替える切り替え部6と、第1経路2から供給される第1電力値を制御する第1スイッチ7と、第1スイッチ7の開閉タイミングを制御する開閉スイッチ8と、開閉スイッチ8を含む駆動部10と、第2経路3から供給される第2電力値を制御する第2スイッチ9を備える。ここで、開閉スイッチ8と第2スイッチ9とは、同じ要素であって共通要素である。
【0037】
なお、図1では、負荷回路4までを含んで電力供給装置1として示されているが、電力供給装置1は、負荷回路4を含んでいても含んでいなくてもよい。例えば、負荷回路4以外の部分を電力供給装置とみなして、負荷回路4を含んだ状態の場合を電子回路とみなしても良い。
【0038】
第1経路2は、図1より明らかな通り、電源5から負荷回路6へ最短で接続される経路であって、駆動部10の外側を通過する。これに対して、第2経路3は、電源5から駆動部10の内部を通過して、負荷回路4に接続される。第1経路2から供給される電力値を第1電力値とし、第2経路3から供給される電力値を第2電力値とすると、第1電力値は、第2電力値よりも大きい。
【0039】
ここで、負荷回路4は、大電力を必要とする場合と小電力を必要とする場合とがある。
【0040】
負荷回路4が大電力を必要とする場合には、大電力である第1電力値を供給する第1経路2が選択され、負荷回路4が小電力を必要とする場合には、小電力である第2電力値を供給する第2経路3が選択される。
【0041】
切り替え部6は、図1に示されるように、2つのスイッチを有する。2つのスイッチが短絡されると、電源5と負荷回路4とを接続する第1経路2が導電する。第1経路2と接地11とを接続する第1スイッチの開閉によって、電源5から負荷回路4へ第1経路2を介して供給される第1電力値が制御される。
【0042】
一方、切り替え部6が有する2つのスイッチが開放されると、第2経路3が電源5から負荷回路4までを導電する。第2経路3は、第2スイッチ9によって短絡と開放が制御されて、負荷回路4に供給する第2電力値を制御する。
【0043】
負荷回路4が小電力しか必要としない場合に、大電力である第1電力値を供給する第1経路2を用いて負荷回路4に電力を供給するよりも、小電力である第2電力値を供給する第2経路3を用いて負荷回路4に電力を供給する方が、損失低減や消費電力低減の面で優れている。
【0044】
例えば、第1経路2を経由して負荷回路4に電力が供給される場合には、切り替え部6が短絡して、電源5から負荷回路4までを最短で接続する第2経路2が導電する。導電した第2経路2を通じて負荷回路4へ供給される第2電力値は、第2経路2の途中で接地11に接続する第1スイッチ7の開閉期間によって制御される。すなわち第1スイッチ7が接続状態の場合には、第2経路2から接地11までが導電状態となり、負荷回路4へ電力が供給されず、逆に第1スイッチ7が開放状態の場合には、電源5と負荷回路4とが導電状態となって、負荷回路4へ電力が供給される。このとき、第1スイッチ7は、電源5と接地11とを直接導電する経路を形成して、電源5からの第1電力値に基づく電力(大電力である)を接地11に逃がす役割を有するので、耐圧や動作性能の面から大型の素子を必要とする。一方で、開閉スイッチ8(すなわち第2スイッチ9)は、第1スイッチ7の開閉の切り替えのみを行えばよいので、耐圧や動作性能の面から、小型の素子で十分である。
【0045】
第2経路3を経由して負荷回路4に電力が供給される場合には、切り替え部6が開放されて、駆動部10を経由する第2経路3が導電する。第2経路3は、第2スイッチ9の開閉期間で、電源5と負荷回路6との導電が制御される。すなわち、第2スイッチ9が開放されている間は、電源5から負荷回路4への電力供給は停止しており、第2スイッチ9が短絡している間は、電源5から負荷回路4への電力が供給されており、この停止期間と供給期間によって、第2電力値は定まる。第2経路3で供給される第2電力値は小さいので、この点からも、第2スイッチ9は小型の素子で十分である。
【0046】
すなわち、第1スイッチ7は、大型の素子を必要とし、第2スイッチ9は、小型の素子で足りる。スイッチを構成する素子が大きければ大きいほど、スイッチの開閉時の損失が大きくなるので、電力供給装置1全体での消費電力が大きくなる。このため、負荷回路4が小電力しか要さない場合には、大型の素子である第1スイッチ7により電力値を制御するよりも、小型の素子である第2スイッチ9により電力値を制御することが好適である。
【0047】
以上のことから、損失や消費電力の増加を防止しつつ、大電力や小電力を必要とする負荷回路4へ大電力と小電力を切り替えて供給するには、大型素子である第1スイッチ7を用いる第1経路2と、小型素子である第2スイッチ9を用いる第2経路3とが切り替えられることが好適である。
【0048】
このように、電力供給装置1は、切り替え部6によって、第1経路2と第2経路3とを切り替え、第1経路2から供給される第1電力値を、第1スイッチ7によって制御し(第1スイッチ7は、開閉スイッチ8で制御される)、第2経路3から供給される第2電力値を、第2スイッチ9によって制御する。
【0049】
また、第2スイッチ9は、第1スイッチ7の開閉タイミングを制御する開閉スイッチ8と同じ要素を流用したものなので、余分な回路素子の追加も不要である。そもそも、第2スイッチ9は、第1スイッチ7の開閉タイミングに必須の要素である開閉スイッチ8であって、第2経路3の電流値を制御するのに必要となる第2スイッチ9は、何らの回路素子追加にはつながらない。
【0050】
また、小電力供給用の第2経路3を、第2スイッチ9を経由して構成する際に、第2スイッチ9は、もともと存在している駆動部10に含まれる開閉スイッチ8であるので、電子回路上でのノイズ対策も施されている。このため、第2スイッチ9(開閉スイッチ8)を利用した第2経路3による第2電力値の供給においては、余分なノイズ発生も防止できる。
【0051】
このように、実施の形態1における電力供給装置は、回路規模の増加、ノイズの増加、損失の増加および消費電力の増加を防止しつつ、負荷回路4へ、必要に応じて大電力と小電力を切り替えて供給できる。
【0052】
次に、各部の詳細について、説明する。
【0053】
(電源)
電源5は、実際の電力を生じさせて電力を負荷回路4に供給する。電源5は、家庭用電源であったり、バッテリーや電池であったりする。
【0054】
(負荷回路)
負荷回路4は、電力供給装置1によって、電源5から電力を供給される。
【0055】
負荷回路4は、電力の供給を受けて所定の動作をする電子回路、半導体集積回路、CPU、DSP(Digital Signal Processor)などを含む。負荷回路4の有する形態にかかわらず、負荷回路4は、電力を受けて所定の動作を行う。
【0056】
負荷回路4は、種々の動作を含んでいるので、動作内容によっては、必要とする電力値が異なる。動作が複雑である場合には、負荷回路4は大きな電力を必要とし、動作が単純である場合には、負荷回路4は小さな電力を必要とする。
【0057】
ここで、負荷回路4がCPUである場合には、負荷回路4が動作させるのは、ソフトウェアプログラムとなることが多い。ソフトウェアプログラムは、ユーザーの処理内容によっては、複雑な動作を行うこともあれば、簡単な動作を行うこともある。例えば、ソフトウェアプログラムが表示のみを行っている場合には、ソフトウェアプログラムを動作させるCPUは小電力を要し、ソフトウェアプログラムが演算を行っている場合には、ソフトウェアプログラムを動作させるCPUは大電力を要する。特に、負荷回路4がCPUである場合には、ソフトウェアプログラムの動作の変化が激しいので、負荷回路4が必要とする電力の変化も激しくなる。
【0058】
このように、負荷回路4の必要とする電力の値は、動作内容の変化に応じて、頻繁に変化しうる。電力供給装置1に備えられている電源5は、家庭用電源、電池やバッテリーであるので、電源5そのものは、供給する電力値を変化させるのは困難である。電力供給装置1は、電源5から負荷回路4へ至る経路の開閉期間(導電期間)を切り替えることで、負荷回路4への電力値を制御する。しかし負荷回路4は、大電力と小電力を要する場合とがあり、経路の開閉期間を切り替えるためのスイッチングでの損失を、大電力の場合と小電力の場合とで切り分けることが効率的である。
【0059】
このため、負荷回路4が大電力を必要とする場合には、大型素子でスイッチングできる第1経路2によって電力が供給される。負荷回路4が小電力を必要とする場合には、小型素子でスイッチングできる第2経路3によって電力が供給される。
【0060】
なお、負荷回路4がCPU以外の電子回路や半導体集積回路などであっても、負荷回路4が必要とする電力値は、時間によって変化しうる。
【0061】
また、負荷回路4は、回路なる用語を含んでいるが、物理的な回路以外にも、ソフトウェアプログラムを一部もしくは全部に含んでも良いし、メモリやROMなどを含んでも良い。
【0062】
(第1経路、第2経路、切り替え部)
電力供給装置1は、電源5から負荷回路4への電力供給経路として、第1経路2と第2経路3とを備える。第1経路2は、大電力である第1電力値に基づく電力を負荷回路4に供給する。第2経路3は、小電力である第2電力値に基づく電力を、負荷回路4に供給する。ここで、第1電力値は、第2電力値よりも大きい。
【0063】
切り替え部6は、第1経路2と第2経路3とを切り替える。切り替え部6は、図1に示されるように、第1経路2上にあるスイッチと第1スイッチ7の前段にあるスイッチとを有する。これら2つのスイッチのうち第1経路2上にあるスイッチが短絡し、第1スイッチ7の前段にあるスイッチが第1スイッチ側に短絡すると、電源5から負荷回路4までの第1経路2が導電する。このとき、第1スイッチ7の前段にあるスイッチは、第1スイッチと短絡するので、第1経路2が導電するのと反対に、第2経路3は開放される。第1スイッチ7の前段に設けられるスイッチは、第1スイッチ7と接続されるか第2経路3と接続されるかで切り替わるからである。更に、電源5から第1スイッチ7までが、駆動部10を介して導電する。
【0064】
一方、切り替え部6が有する2つのスイッチのうち第1経路2上にあるスイッチが開放され、第1スイッチ7の前段にあるスイッチが第2経路3側に短絡されると、電源5から負荷回路4までの第1経路2が遮断されて、駆動部10を経由して電源5から負荷回路4へつながる第2経路3が導電する。
【0065】
切り替え部6は、2つのスイッチを含むが、これ以外の要素を含んでも良く、MOSトランジスタによってスイッチが実現されてもよい。また、図1には示されていないが、切り替え部6が有するスイッチの切り替えを実行する制御部が設けられても良い。
【0066】
いずれにしても、切り替え部6は、電源5から負荷回路4への電力供給経路を、第1経路2と第2経路3とのいずれかに切り替える。
【0067】
(第1スイッチ、開閉スイッチ、第2スイッチ)
第1スイッチ7は、第1経路2から負荷回路4に供給される電力の値である第1電力値の基準となる供給期間を制御する。第1スイッチ7は、第1経路2と接地11とを接続する線路の短絡と開放を決定するスイッチであり、第1スイッチ7が短絡している場合には、第1経路2と接地11とが接続されて、電源5からの電力が接地11に逃げてしまう。すなわち、この期間は、負荷回路4への電力が供給されない。第1スイッチ7の開閉期間は、開閉スイッチ8によって制御される。
【0068】
一方、第2スイッチ9は、開閉スイッチ8と同一要素であり、開閉スイッチ8が流用される。
【0069】
第2スイッチ9は、本来は第1スイッチ7を開閉させるためのスイッチであるが、第2経路3を経由して電力を供給する場合の、供給期間を決定する。第2スイッチ9は、第2経路3の短絡と開放を直接制御できるので、第2スイッチ9が短絡している場合には、電源5から負荷回路4までの第2経路3は導電しており、第2スイッチ9が開放している場合には、電源5から負荷回路4までの第2経路3は遮断されている。
【0070】
このように、第1経路2は、開閉スイッチ8と第1スイッチ9との組み合わせにより、電源5と負荷回路4との導電期間を決定する。第2経路3は、第2スイッチ9によって、電源5と負荷回路4との導電期間を決定する。
【0071】
ここで、第1スイッチ7と第2スイッチ9とのそれぞれは、開閉期間を、パルス幅をもって決定する第1パルススイッチと第2パルススイッチを有していても良い。
【0072】
パルススイッチは、スイッチの開閉期間をパルス幅によって制御する。すなわちスイッチが短絡(閉じている状態)の期間と、開放(開いている状態)の期間は、それぞれタイミングチャート上では、時間軸上の幅として表される。
【0073】
例えば、負荷回路4に供給される電力値は、ある所定期間において電力が供給される期間を示すパルスの積分によって定まる。パルススイッチは、スイッチの開閉期間をパルス幅で制御できるので、パルススイッチは、電力値を容易に制御できる。
【0074】
例えば、短絡となるパルス幅が長ければ、それだけ電源5と負荷回路4との導電期間が長くなるので、積分値は大きくなり、所定期間における電力値は大きくなる。逆に、開放となるパルス幅が長ければ、それだけ電源5と負荷回路4との遮断期間が長くなるので、積分値は小さくなり、所定期間における電力値は小さくなる。
【0075】
実際の電子回路や電子機器においては、負荷回路と電源を直接導電したままにするのではなく、時間軸上で、電源と負荷回路との導電期間を、上述のようなパルススイッチで細かく制御して、所定期間における積分値によって、負荷回路への電力値が定まる。
【0076】
また、パルススイッチは、ゲート入力によって開閉が制御されるMOSトランジスタであることも好適である。
【0077】
MOSトランジスタは、ゲート、ソースおよびドレインの3つの端子を有し、ゲート入力の値によって、ソースとドレイン間が短絡もしくは開放される。また、MOSトランジスタは半導体集積回路への作りこみが容易で、ゲート入力の制御のみで、開閉を制御できる理想的なスイッチとなる。また、MOSトランジスタのトランジスタサイズを調整することで、耐圧や動作性能を制御できるので、第1スイッチ7、第2スイッチ9(すなわち開閉スイッチ8)が、MOSトランジスタで構成されていると、これらのスイッチが対応するべき電圧や電力に、容易に対応できる。
【0078】
図2、図4は、本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図である。図2、図4のいずれにおいても、第1スイッチ7および第2スイッチ9がMOSトランジスタを含んでいる。第1スイッチ7は、MOSトランジスタ20を含んでおり、第2スイッチ9は、直列接続された一対のMOSトランジスタ21、22を含んでいる。
【0079】
図2は、切り替え部6が第1経路2を選択している場合を示しており、図4は、切り替え部6が第2経路3を選択している場合を示している。このようなMOSトランジスタを、第1スイッチ7および第2スイッチ9が備えることで、パルス幅をもった開閉期間を容易に形成できて、電力供給装置1は、負荷回路4への電力値を容易に制御できる。
【0080】
(第1経路での電力供給)
次に、第1経路での電力供給の動作について説明する。ここでは、第1スイッチ7と第2スイッチ9がMOSトランジスタである場合について説明する。まず、図2、図3を用いて、第1経路2を介して、電源5が負荷回路4に電力を供給する動作を説明する。図3は、本発明の実施の形態1における第1経路による電力供給を示すタイムチャートである。
【0081】
図2に示されるように、切り替え部6が有する2つのスイッチは、短絡しており、第1経路2は、電源5から負荷回路4まで導電させる。また、駆動部10と第1スイッチ7との間も導電するので、第1スイッチ7は、駆動部10が有する開閉スイッチ8(第2スイッチ9)からの制御を受けるようになる。
【0082】
第1スイッチ7は、MOSトランジスタ20を有し、MOSトランジスタ20のゲート端子には、駆動部10の出力が入力する。駆動部10は、開閉スイッチ8を含んでおり、この開閉スイッチ8は、直列接続された一対のMOSトランジスタを有している。
【0083】
一対のMOSトランジスタ21、22のドレイン端子同士が接続されており、このドレイン端子からの出力が、MOSトランジスタ20のゲート端子に入力する。MOSトランジスタ20の短絡と開放(ONとOFF)は、ゲート端子に入力する電圧値(Hiレベル電圧であるかLoレベル電圧であるか)で決定される。このため、一対のMOSトランジスタ21、22の短絡および開放によって、MOSトランジスタ20の短絡と開放が決められる。ここで、MOSトランジスタ20が短絡している場合には、第1経路2と接地11とを結ぶ線路が導電して、電源5からの電力が接地11に流れてしまい、負荷回路4に電力が直接的に供給されない。この期間は、電力の非供給期間である。一方、MOSトランジスタ20が開放されている場合には、第1経路2と接地11とを結ぶ線路が遮断されるので、電源5からの電力は、負荷回路4に直接供給される。この期間は、電力の供給期間である。
【0084】
負荷回路4が所定期間に得る電力値(第1電力値)は、この非供給期間と供給期間との積分値によって定まる。
【0085】
一対のMOSトランジスタ21、22のそれぞれは、対称動作するMOSトランジスタであることが好ましい。すなわち、MOSトランジスタ21が短絡(ON)の場合には、MOSトランジスタ22が開放(OFF)となって、MOSトランジスタ21が開放(OFF)の場合には、MOSトランジスタ22が短絡(ON)となることが好ましい。このような対称性を有することで、MOSトランジスタ21のみが短絡している場合には、駆動部10の出力には、電源5の電圧に基づく信号が供給され、MOSトランジスタ22のみが短絡している場合には、駆動部10の出力には、接地電圧に基づく信号が供給されるからである。駆動部10の出力は、そのまま第1スイッチ7を構成するMOSトランジスタ20のゲート端子への入力となる。
【0086】
一対のMOSトランジスタ21、22において、MOSトランジスタ21が短絡(ON)になると、電源5からの電圧が、そのままMOSトランジスタ20のゲート端子に入力することになる。電源からの電圧がそのままMOSトランジスタ20のゲート端子に入力することで、MOSトランジスタ20のゲート端子にはHiレベル信号が入力する。
【0087】
ここで、MOSトランジスタ20がN−MOSトランジスタの場合には、ゲート端子にHiレベル信号が入力すると、MOSトランジスタ20が短絡(ON)となる。このため、MOSトランジスタ20がN−MOSトランジスタであって、MOSトランジスタ21が短絡した状態では、MOSトランジスタ20が短絡する。MOSトランジスタ20が短絡状態であると、第1経路2から接地11にかけての線路が導電し、電源5から電力は接地11に逃げる。このため、電源5は、負荷回路4に電力を供給できなくなる。すなわち、所定期間において電力の供給が行われない期間が生じる。
【0088】
一方、一対のMOSトランジスタ21、22において、MOSトランジスタ22が短絡(ON)になる(MOSトランジスタ21は開放)と、接地電圧がMOSトランジスタ20のゲート端子に入力することになる。すなわち、Loレベル信号が、MOSトランジスタ20のゲート端子に入力する。ここで、MOSトランジスタ20がN−MOSトランジスタの場合には、ゲート端子にLoレベル信号が入力すると、MOSトランジスタ20が開放(OFF)される。このため、MOSトランジスタ20がN−MOSトランジスタであって、MOSトランジスタ22が短絡した状態では、MOSトランジスタ20が開放される。MOSトランジスタ20が開放状態であると、第1経路2から接地11にかけての線路が遮断され、電源5から電力は、直接負荷回路4に供給される。すなわち、所定期間において電力の供給が行われる期間が生じる。
【0089】
このように、所定期間内において、駆動部10に含まれる開閉スイッチ8(=第2スイッチ9)の出力が、Hiレベル信号とLoレベル信号とで切り替わることで、負荷回路4に電源5からの電力が供給される供給期間と供給されない非供給期間とが切り替わる。所定期間における、電力が供給される期間の積分値が、負荷回路4に供給される電力値(この場合は、第1経路2による供給に基づく第1電力値)となる。
【0090】
第1経路2による第1電力値について、図3を用いて説明する。
【0091】
図3のタイムチャートは、上から開閉スイッチ8(第2スイッチ9)の出力、第1スイッチ7の出力、負荷回路4への入力信号、第1電力値を示している。図3では、開閉スイッチ8が短絡すると第1スイッチ7が開放される。切り替え部6が短絡しているので、開閉スイッチ8には、電源5から分流した電圧信号が供給される。ただし、開閉スイッチ8が出力する信号の電流値は、後述の第2経路として開閉スイッチ8を流れる電流値よりも小さい。
【0092】
開閉スイッチ8の信号変化に合わせて、第1スイッチ7の開閉が決定される。第1スイッチ7の開閉に合わせて、負荷回路4には電源5からの電力が供給される。ここで、図3のタイムチャートにおける所定期間での負荷回路4に供給される電力は、負荷回路4に供給される電力の積分値で決定され、タイムチャートの最下段の第1電力値は、この積分値を示す。
【0093】
第1電力値は、高い電力値に対応したスイッチ7によって制御された電力の積分値なので、図3に示されるようにその値は大きい。ここで、第1スイッチ7の開放期間が長ければ、所定期間内に負荷回路4へ与えられる電力の積分値は大きくなるので、第1電力値の大きさは、第1スイッチ7の開閉動作(すなわち、開閉スイッチ8の開閉動作)によって定まる。
【0094】
図3のタイムチャートに示されるように開閉スイッチ8、第1スイッチ7の開閉動作によって、負荷回路4への第1電力値が決定される。
【0095】
なお、Hiレベル信号とは、所定電位よりも高い電圧を有する信号であり、Loレベル信号とは所定電位よりも低い電圧を有する信号であり、MOSトランジスタの動作を制御する電圧閾値によって分けられる信号である。また、MOSトランジスタやスイッチの短絡は「ON」の状態と同義であり、MOSトランジスタやスイッチの開放は「OFF」の状態と同義である。
【0096】
また、MOSトランジスタ20がP−MOSトランジスタの場合には、N−MOSトランジスタと逆の動作をする。すなわち、ゲート端子にHiレベル信号が入力する場合にP−MOSトランジスタは開放され、ゲート端子にLoレベル信号が入力する場合にN−MOSトランジスタは短絡する。すなわち、一対のMOSトランジスタ21が短絡する場合に、MOSトランジスタ20は、開放され、一対のMOSトランジスタ22が短絡する場合に、MOSトランジスタ20は、短絡する。このように、MOSトランジスタ20がP−MOSトランジスタである場合には、電源5から負荷回路4への供給期間と非供給期間は、N−MOSトランジスタの場合と真逆になる。
【0097】
また、第1スイッチ7が備えるMOSトランジスタ20は、そのゲート端子およびソース端子に、電源5から供給される大電力に対応する必要があるので、大きな素子サイズを必要とする。このため、MOSトランジスタ20の素子サイズは大きい。このため、小電力を供給する場合にMOSトランジスタ20のスイッチング動作を必要とすると、不要な損失、不要なノイズおよび不要な消費電力を生じさせてしまう。一方で、第2スイッチ9が有する一対のMOSトランジスタ21、22は、ソース端子には電源5の出力が接続されるが、開閉を実行すればよいだけなので、大きな耐圧を必要とせず、小さな素子サイズでよい。
【0098】
このため、大電力である第1電力値(第1経路2を経由して供給される)を供給する場合には、素子サイズの大きな第1スイッチ7により電力値を制御するのが好ましいが、小電力である第2電力値を供給する場合には、第2経路3を経由して、素子サイズの小さな
第2スイッチ9により電力値を制御するのが好ましい。
【0099】
なお、開閉スイッチ8が一対のMOSトランジスタ21、22を有する構成を説明したが、開閉スイッチ8がこれ以外の構成を有していても良い。
【0100】
(第2経路での電力供給)
次に、第2経路3での負荷回路4への電力供給について、図4、図5を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1における電力供給回路のブロック図であり、図5は、第2経路による電力供給を示すタイムチャートである。
【0101】
図4に示されるように、切り替え部6が有する2つのスイッチは、開放されており、第1経路が遮断され、電源5から駆動部10を経由する第2経路3が導電する。なお、駆動部10が含む第2スイッチ9の開閉動作によって、第2経路3の実際の導電が制御される。
【0102】
第2スイッチ9は、開閉スイッチ8と共通要素であって、物理的、回路的に区別されない。第2スイッチ9は、図2で説明したのと同様に、一対のMOSトランジスタ21、22を有している。勿論、第2スイッチ9は、これ以外の構成を有していても良い。
【0103】
一対のMOSトランジスタ21、22のドレイン端子同士が接続されており、このドレイン端子からの出力が、負荷回路4へ接続する線路へ入力する。
【0104】
一対のMOSトランジスタ21、22のそれぞれは、対称動作するMOSトランジスタであることが好ましい。すなわち、MOSトランジスタ21が短絡(ON)の場合には、MOSトランジスタ22が開放(OFF)となって、MOSトランジスタ21が開放(OFF)の場合には、MOSトランジスタ22が短絡(ON)となることが好ましい。このような対称性を有することで、MOSトランジスタ21のみが短絡している場合には、駆動部10の出力には、電源5の電圧に基づく信号が供給され、MOSトランジスタ22のみが短絡している場合には、駆動部10の出力には、接地電圧に基づく信号が供給されるからである。一対のMOSトランジスタ21、22は、電源5からの出力を伝える場合と、接地電圧を伝える場合とに分かれるので、第2経路3は、第2スイッチ9の開閉だけで、負荷回路4への電力の供給期間と非供給期間を切り替えることができる。
【0105】
MOSトランジスタ21が短絡してMOSトランジスタ22が開放されている場合には、第2スイッチ9は、電源5からの信号を出力する。すなわち、MOSトランジスタ21が短絡している期間(これを第2スイッチ9がONである期間とする)には、負荷回路4に電源5から電力が供給される。すなわち、この条件では、電力の供給期間が生じる。
【0106】
一方、MOSトランジスタ21が開放されてMOSトランジスタ22が短絡している場合には、第2スイッチ9は、接地電圧に基づく信号を出力する。このため、MOSトランジスタ21が開放されている期間(これを第2スイッチ9がOFFである期間とする)には、負荷回路4に接地からの電力が供給される。すなわち、この条件では、電力の非供給期間が生じる。
【0107】
第2経路3を経由して負荷回路4に供給される第2電力値は、この電力の供給期間と非供給期間との積分値で決定される。第2電力値の決定は、図5のタイムチャートに示されるとおりである。
【0108】
第2経路3による第1電力値について、図5を用いて説明する。
【0109】
図5のタイムチャートは、上から、第2スイッチ9の出力、負荷回路4への入力信号、負荷回路4へ与えられる電力を示している。図5では、開閉スイッチ8が短絡している期間に負荷回路4へ電源5から電力が供給される。第2経路3は、小電力である第2電力値を供給するために、所定期間におけるスイッチング回数を多くする必要がある(第2電力値は、電力の供給期間と非供給期間との積分によって定まるので)。すなわち、第2スイッチ9のスイッチング回数を多くする必要がある。しかしながら、第2スイッチ9は、耐圧および増幅の小さい、小型素子で構成されるので、スイッチング回数が多くても損失や消費電力損が少ない。
【0110】
図5に示されるように、第2スイッチ9のスイッチングは細かくその回数も多い。また、スイッチ9の出力する信号の電流値も小さいので、第2スイッチ9の出力信号の電力値も小さくなる。第2スイッチ9の出力は、そのまま負荷回路4への入力となる。図5においても、第2スイッチ9の出力と負荷回路4への入力信号とは対応波形を有する。所定期間内における負荷回路4へ供給される電力の積分値が第2電力値となる。
【0111】
結果として、図5に示されるように、第1電力値に比べて低い値を有する第2電力値が、負荷回路4に供給される。
【0112】
以上のようにして、第2電力値が決定されて、小電力の電力が負荷回路4に供給される。
【0113】
このようにして、負荷回路4が大電力を必要とする場合には、第1経路2を介して、開閉スイッチ8および第1スイッチ7の開閉期間によって制御された第1電力値を有する電力が負荷回路4に供給される。一方、負荷回路4が小電力を必要とする場合には、第2経路3を介して、第2スイッチ9の開閉動作によって制御された第2電力値を有する電力が、負荷回路4に供給される。
【0114】
また、第1スイッチ7および第2スイッチ9のそれぞれが、パルス幅で定まる信号を出力するパルススイッチであることで(特に、ゲート端子への入力信号によって開閉(ON/OFF)が制御されるMOSトランジスタであることで)、第1電力値および第2電力値は、これらのパルススイッチの開閉によって制御できる。このため、負荷回路4が要求する電力値は、精密に制御できる。
【0115】
(負荷回路への入力の平滑化)
次に、負荷回路4への入力信号を平滑化するフィルターを備える電力供給装置について説明する。
【0116】
図6は、本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図である。図6の電力供給装置は、負荷回路4へ入力する入力信号を平滑化するフィルターを備えている。フィルターは、インダクタ30とキャパシタ31とを有して、これらインダクタ30とキャパシタ31との動作によって、入力信号を平滑化する。ここで、インダクタ30とキャパシタ31とが並列に接続されているので、これらはいわゆる「低域通過フィルター(ローパスフィルタ)」となっている。高域成分が遮断されるので、余分なノイズが乗らず、平滑化された信号が負荷回路4に入力される。負荷回路4は、電子回路の集合体であるので、ノイズが減衰された信号を受けることは、適切な動作を行う上で重要である。
【0117】
負荷回路4は、インダクタ30とキャパシタ31とによって平滑化された入力信号を受けることで、適切な動作を行う。入力信号が平滑化されていることで、負荷回路4はノイズの影響を受けにくくなり、誤動作などが防止される。
【0118】
(切り替え部と第2スイッチの制御を有する電力供給装置)
次に、切り替え部6が、第1経路2および第2経路3のいずれかを選択する制御部と、共通要素である開閉スイッチ8と第2スイッチ9の開閉動作を制御するスイッチ制御部について図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図である。
【0119】
制御部40は、切り替え部6における、経路の選択(第1経路2および第2経路3のいずれかの選択)を制御する。
【0120】
切り替え部6は、切り替え部6が有する2つのスイッチの開閉によって第1経路2と第2経路3とを切り替える。このとき制御部40は、切り替え部6でのスイッチ開閉を制御する。例えば、制御部40に、負荷回路4が大電力を要する(これを大電力モードとする)との情報が与えられると、制御部40は、切り替え部6が有する2つのスイッチを短絡して、第1経路2を導電させる。逆に、制御部40に、負荷回路4が小電力を要する(これを小電力モードとする)との情報が与えられると、制御部40は、切り替え部6が有する2つのスイッチを開放して、第2経路3を導電させる。
【0121】
このとき、大電力モードや小電力モードに係る情報を検出して、制御部40にその情報を与える検出部が更に備わっていることも好適である。検出部は、負荷回路4を制御する情報を有するブロックであって、この制御する情報に基づいて、負荷回路4での動作モードが、大電力モードであるのか小電力モードであるのかを判定して、その情報を制御部40に出力する。
【0122】
このように、制御部40によって、切り替え部6での経路選択が適切に行われる。
【0123】
電力供給装置1は、別にスイッチ制御部41を有していても良い。
【0124】
スイッチ制御部41は、第2スイッチ9(すなわち開閉スイッチ8)の開閉動作を制御する。第2スイッチ9は、開閉スイッチ8として第1スイッチ7の開閉動作を制御する場合と、第2経路3の導電と遮断との切り替えを制御する場合とを有する。このとき、スイッチ制御部41は、切り替え部6が選択している経路の情報や、負荷回路4が必要とする電力値に関する情報を用いて、第2スイッチ9の開閉タイミングを制御する。このため、スイッチ制御部41は、制御部40や検出部からこれらの情報を得て、第2スイッチ9の開閉タイミングを制御しても良い。第2スイッチ9の開閉タイミングによって、負荷回路4に供給される電力値が決定されるからである。
【0125】
このように、制御部40やスイッチ制御部41を備える電力供給装置1は、負荷回路4が要求する電力値に従った電力値の供給を可能とする。
【0126】
(検出部を有する電力供給装置)
次に、検出部を有する電力供給装置について、図8を用いて説明する。
【0127】
図8は、本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図である。
【0128】
図8より明らかな通り、電力供給装置1は、負荷回路4が必要とする電力値を検出する検出部42を更に備えている。検出部42は、例えば、負荷回路4が第1電力値を要するのか、第2電力値を要するのかを検出する。このとき、負荷回路4がソフトウェアプログラムを動作させるCPUやDSPなどのプロセッサである場合には、ソフトウェアプログラムが指定する動作モードに基づいて、検出部42は、負荷回路4での必要電力を検出する。更に、検出部42は、検出した第1電力値および第2電力値のいずれかを制御部40に通知する。このとき検出部42は、第1電力値か第2電力値かの選択結果だけを通知するだけでなく、実際に供給すべき電力値を通知しても良い。この通知結果を受けて、制御部40は、切り替え部6の切り替えを制御すると共に、スイッチ制御部41を介して、第2スイッチ9の開閉タイミングを決定する。
【0129】
例えば、ソフトウェアプログラムが、画像処理を行う場合には、処理動作が複雑で必要とする電力が大きくなるので、検出部42は、負荷回路4が必要とするのは、第1電力値であると検出する。逆に、ソフトウェアプログラムが、ファイル保存を行うだけの場合には、処理動作が簡単であって必要とする電力が小さくなるので、検出部42は、負荷回路4が必要とするのは、第2電力値であると検出する。また、第1電力値および第2電力値における具体的な電力値をも検出してもよい。
【0130】
勿論、検出部42は、ソフトウェアプログラムの動作モード以外に基づいて、負荷回路4が必要とする電力値を検出しても良い。例えば、負荷回路4が、消費電力を削減する省エネモードに入った場合には、検出部42は、負荷回路4が第2電力値を必要とすることを検出する。
【0131】
検出部42での検出結果に従って、制御部40は、切り替え部6を制御して、第1経路2と第2経路3との選択を行わせる。同様に、検出部42での検出結果に従って、スイッチ制御部41は、第2スイッチ9での開閉タイミングを制御する。例えば、検出部42が、負荷回路4での必要電力値を大きい値として検出する場合には、スイッチ制御部41は、電力供給期間が長くなるように、第2スイッチ9の開閉タイミングを制御する。
【0132】
このように、検出部42が、負荷回路4で必要とされる電力値を検出することで、電力供給装置1が、負荷回路4に供給する電力値を、正確に制御できるようになる。特に、負荷回路4が大電力を必要とする場合には、大電力の制御に対応できる大型の素子サイズを有する第1スイッチ7によって第1電力値を制御でき、負荷回路4が小電力を必要とする場合には、小電力の制御に適した小型の素子サイズを有する第2スイッチ9によって第2電力値を制御できる。
【0133】
この結果、供給するべき電力値が異なっても、電力供給装置1は、ノイズ、損失、消費電力を増加させない。また、第2経路3で供給される第2電力値は、第2スイッチ9で制御されるが、第2スイッチ9そのものは、第1スイッチ7の開閉を制御するために、もともと必要な要素である。このため、回路規模の増加ももたらすことなく、負荷回路4が要求する電力値を供給できる。
【0134】
なお、図1〜図8を用いて説明した電力供給装置1は、第1経路2および第1経路2と異なる第2経路3のいずれかの経路を介して、負荷回路4に電力を供給する電源5と、第1経路2と第2経路3とを切り替える切り替え部6と、第1経路2から供給される第1電力値を決定するパルスタイミングを生成する第1パルススイッチと、第1パルススイッチの開閉のタイミングを制御する開閉パルススイッチを含む駆動部10と、第2経路3から供給される第2電力値を決定するパルスタイミングを生成する第2パルススイッチと、を備え、第1電力値は、第2電力値より大であり、第1経路2は、駆動部10の外部を経由すると共に、第2経路2は、駆動部10の内部を経由し、開閉パルススイッチと第2パルススイッチとは、共通要素であり、切り替え部6は、電源5と負荷回路4を直接的に接続する経路の途中に設けられる第1切り替えスイッチと、駆動部と第1パルススイッチとを接続する経路の途中に設けられる第2切り替えスイッチと、を有し、第1パルススイッチは、電源5と負荷回路4と並列接続関係にあると共に接地接続されている電力供給装置1と表現することもできる。ここで、第1パルススイッチ、開閉パルススイッチ、第2パルススイッチのそれぞれは、パルス幅による出力を有するスイッチであり、それぞれ、第1スイッチ7、開閉スイッチ8、第2スイッチ9の要素に対応する。
【0135】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、図9〜図13を用いてより具体的な回路を例として、電力供給装置を説明する。
【0136】
図9〜図13は、本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図である。図9〜図13のそれぞれは、同じ回路構成を有する回路図を示しており、それぞれ異なる動作状態を示している。図9〜図13の全てによって、電力供給装置50の動作を説明できる。
【0137】
(1)図9は、切り替え部56が第1経路52および第2経路53のいずれも選択していない状態を示している。図9〜図13で共通する回路図を示している。
【0138】
(2)図10は、切り替え部56が第1経路52を選択して、電源55が、負荷回路54に第1経路を経由して電力を供給する状態を示している。特に、第1経路52が、電源55と負荷回路54を直接導電して、電源55が負荷回路54に電力を供給している期間を示している。
【0139】
(3)図11は、切り替え部56が第1経路52を選択して、電源55が、負荷回路54に第1経路を経由して電力を供給する状態を示している。但し、図10と異なり、第1スイッチ57が短絡(ON)となって、負荷回路54は、接地と接続されてしまい、負荷回路54への電力の非供給期間となっていることを示している。
【0140】
(4)図12は、切り替え部56が第2経路53を選択して、電源55が、負荷回路54に第2経路53を経由して電力を供給する状態を示している。特に、第2経路53が、電源55と負荷回路54とを直接導電して、電源55が負荷回路54に電力を供給している期間を示している。
【0141】
(5)図13は、切り替え部56が第2経路53を選択して、電源55が、負荷回路54に第2経路53を経由して電力を供給する状態を示している。但し、図12と異なり、第2スイッチ59が短絡(ON)となって、負荷回路54は、接地と接続されてしまい、負荷回路54への電力の非供給期間となっていることを示している。
【0142】
(回路概要)
まず、図9〜図13で示される回路の全体概要について説明する。
【0143】
なお、図9〜図13で示される電力供給装置50は、負荷回路54を除いた上で電力供給装置とみなしてもよいし、負荷回路54を含んだ上で電子回路とみなしてもよい。負荷回路54は、実施の形態1で説明したのと同様に、CPUやDSPなどのソフトウェアプログラムを動作させるプロセッサであったり、特定の演算処理を行う電子回路や半導体集積回路であったりしてもよい。
【0144】
電力供給装置50は、第1経路52および第2経路53を有し、第1経路52および第2経路53のいずれかの経路を介して、負荷回路54に電力を供給する電源55を有している。電源55は、実施の形態1と同じく家庭用電源であったり、電池やバッテリーであったりする。
【0145】
電力供給装置50は、更に、第1経路52と第2経路53とを切り替える切り替え部56と、第1経路52から供給される第1電力値を制御する第1スイッチ57と、第1スイッチ57の開閉タイミングを制御する開閉スイッチ58(=第2スイッチ59)と、第2経路53から供給される第2電力値を制御する第2スイッチ59とを備える。ここで、開閉スイッチ58と第2スイッチ59は、同一の要素であって、直列接続された一対のMOSトランジスタSH,SLとを備える。また、第1スイッチ57は、電源55と負荷回路54と並列接続関係を有し、第1スイッチ57の一方は、接地接続されている。また、第2スイッチ59を備える回路は駆動部60である。
【0146】
切り替え部56は、スイッチS1、スイッチS2、スイッチS3を備え、制御信号61によってこれらのスイッチが切り替えられて、切り替え部56は、第1経路52と第2経路53とを選択する。
【0147】
切り替え部56が第1経路52を選択すると、図9に示されるように、電源55から負荷回路54まで、駆動部58の外部を通る線路である第1経路52が導電する。このとき、第1経路52の途中において、第1スイッチ57を介して接地と接続される線路が存在する。第1スイッチ57が短絡(ON)になると、第1経路52と接地とが導電されるので、負荷回路54は、電源55ではなく接地と導電する。この状態は、負荷回路54へ電力が供給されない非供給期間である。一方、第1スイッ57が開放(OFF)であると、第1経路52は、電源55と負荷回路54とを直接導電するので、負荷回路54には、電源55から電力が供給される。この状態は、電力の供給期間となる。所定期間における、この非供給期間と供給期間との積分値によって、負荷回路54へ供給される電力値(第1経路52を経由する電力値であるので、第1電力値)が決定される。
【0148】
第1スイッチ57は、MOSトランジスタSRを有しており、MOSトランジスタSRのゲート端子への入力信号によって、短絡と開放が決定される。ゲート端子への入力信号は、開閉スイッチ58によって定まる。開閉スイッチ58は、一対のMOSトランジスタSH,SLを有しており、MOSトランジスタSHとMOSトランジスタSLとは、対称的に動作する。すなわち、スイッチSC2を経由した制御信号57が、MOSトランジスタSHとMOSトランジスタSLとのゲート端子に入力してMOSトランジスタSH,SLの動作を制御する。例えば、MOSトランジスタSHが短絡の場合にはMOSトランジスタSLが開放であり、反対に、MOSトランジスタSHが開放の場合にはMOSトランジスタSLが短絡である。
【0149】
この一対のMOSトランジスタSH、SLの動作によって、第1スイッチを構成するMOSトランジスタSRのゲート端子入力が制御され、MOSトランジスタSRの短絡と開放が制御される。このMOSトランジスタSRの短絡と開放によって、第1経路52において、電源55と負荷回路54とが導電するか、接地と負荷回路54とが導電するかが決定される。
【0150】
一方、切り替え部56が第2経路53を選択すると、図9に示されるように、電源55から駆動部60を経由して負荷回路54に接続する第2経路53が導電する。このとき、第2経路53は、第2スイッチ59を経由する。第2スイッチ59は、開閉スイッチ58と同じ要素であるので、一対のMOSトランジスタSH,SLを備える。一対のMOSトランジスタSH,SLの短絡と開放によって、第2経路53は、電源55と負荷回路54との導電あるいは、接地と負荷回路54との導電が切り替ええられる。第2経路53においては、その経路においては第2スイッチ59のみが導電と非導電を切り替えるので、第2スイッチ59の動作のみで、第2経路53による負荷回路54へ供給される第2電力値が決定される。第2電力値は、第2経路を経由して電源55から負荷回路54へ電力が供給される供給期間と、第2経路53が接地に接続されて負荷回路54に電力が供給されない非供給期間との積分値によって定まる。
【0151】
ここで、一対のMOSトランジスタSH,SLは、上述の通り対照的な動作によって、その短絡と開放とが決定される。なお、MOSトランジスタSH,SLは、その短絡と開放において対照的な動作をするために、P−MOSトランジスタとN−MOSトランジスタとで構成されても良いし、図9に示されるように、ゲート端子に入力する信号の論理値が常に逆となるように構成されても良い。図9〜図13の電力供給装置50では、MOSトランジスタSLのゲート端子の前段にインバーターが挿入されて、MOSトランジスタSHとMOSトランジスタSLとのゲート端子への入力信号の論理値が逆になる。
【0152】
(動作説明)
次に、図10〜図13を用いて、電力供給装置50の動作を説明する。
【0153】
(図10に示される第1経路での電力供給期間)
図10では、切り替え部56が第1経路52を選択している。このため、電源55は、第1経路52を経由して負荷回路54に電力を供給する。制御信号61は、切り替え部56を構成するスイッチSC1、SC2,SC3において端子Aと出力とを短絡し、スイッチSC2を経由して、開閉スイッチ58を構成する一対のMOSトランジスタSH、SLとのゲート端子に入力する。
【0154】
MOSトランジスタSHのソース端子は電源55に接続されており、MOSトランジスタSLのソースは接地に接続されている。MOSトランジスタSHのドレイン端子とMOSトランジスタSLのドレイン端子とは相互に接続されて、このドレイン端子は、スイッチSC3を経由してMOSトランジスタSRのゲート端子に信号を出力する。
【0155】
制御信号61が、ある論理値をもって入力すると、MOSトランジスタSHが短絡すると共にMOSトランジスタSLが開放される。この場合には、開閉スイッチ58は、短絡したMOSトランジスタSHを通じて電源55からの信号を出力する。すなわち、開閉スイッチ58の出力する信号の論理値は、Hiレベルである。第1スイッチ57を構成するMOSトランジスタSRがP−MOSトランジスタの場合には、このHiレベル信号がMOSトランジスタSRのゲート端子に入力するので、MOSトランジスタSRは開放され、第1経路52と接地とは導電しない。すなわち、図10に示されるように、第1経路52は、電源55から負荷回路54まで、直接導電する。結果として、第1経路52を経由して、電源55は、負荷回路54に電力を供給する。この期間は、電力の供給期間である。
【0156】
なお、第1スイッチ57は、素子サイズの大きなMOSトランジスタSRを有しており、このMOSトランジスタSRによって、電力供給と非供給とを切り替えるので、スイッチングでの損失や消費電力は大きい。しかしながら、耐圧などの面で、MOSトランジスタSRの素子サイズを大きくしておく必要がある。
【0157】
以上のように、制御信号61が、切り替え部56と開閉スイッチ58とを制御することで、電源55は、第1経路52を経由して負荷回路54に電力を供給する。
【0158】
なお、制御信号61は、図示していない外部の制御部から出力されればよい。制御部は、予めソフトウェアプログラムを有しており、ソフトウェアプログラムの処理手順に従って、切り替え部56の切り替え、開閉スイッチ58の短絡・開放を制御する。
【0159】
また、第1経路52を経由した電力供給は、上述のように、電源55からの電力を、第1スイッチ57(MOSトランジスタSR)が接地と短絡することによって制御されるだけでなく、MOSトランジスタSmの切り替えによって、制御されてもよい。
【0160】
MOSトランジスタSmは、第1経路52上に位置し、MOSトランジスタSmが短絡している期間であってMOSトランジスタSRが開放されている(すなわち第1経路52と接地とが導電していない状態)期間では、電源55から負荷回路54に電力が供給される。一方、MOSトランジスタSmが開放されている期間であってMOSトランジスタSRが短絡している(すなわち第1経路52と接地が導電している状態)期間では、電源55から負荷回路54に電力が供給されない。すなわち、MOSトランジスタSmとMOSトランジスタSRとが交互に短絡と開放を繰り返すことにより、電源55から負荷回路54への第1経路52を経由した電力の供給期間と非供給期間とが繰り返される。この供給期間と非供給期間との積分値により負荷回路54に与えられる電力値が決定される。
【0161】
なお、MOSトランジスタSmの短絡と開放は、駆動部60に含まれるスイッチ65で切り替わる。スイッチ65は、一対のMOSトランジスタSH、SLを有し、一対のMOSトランジスタSH、SLの出力が、MOSトランジスタSmのゲート端子に入力することで、MOSトランジスタSmの短絡と開放が制御される。また、スイッチ65は、スイッチSc1を介して制御信号61によって制御される。制御信号61の論理値が所定値の場合には、スイッチ65のMOSトランジスタSHが短絡してMOSトランジスタSmのゲート端子にはHiレベル信号が入力し、制御信号61の論理値が所定値と逆の論理値を有する場合には、スイッチ65のMOSトランジスタSLが短絡してMOSトランジスタSmのゲート端子にはLoレベル信号が入力する。MOSトランジスタSmは、ゲート端子に入力する信号の論理値によって、短絡と開放とが切り替えられる。
【0162】
(図11に示される第1経路での電力非供給期間)
図11では、切り替え部56は、図10と同じく第1経路52を選択している。制御信号61は、切り替え部56を構成するスイッチSC1、SC2,SC3において端子Aと出力とを短絡し、スイッチSC2を経由して、開閉スイッチ58を構成する一対のMOSトランジスタSH、SLのゲート端子に入力する。
【0163】
MOSトランジスタSHのソース端子は電源55に接続されており、MOSトランジスタSLのソースは接地に接続されている。MOSトランジスタSHのドレイン端子とMOSトランジスタSLのドレイン端子とは相互に接続されて、このドレイン端子は、スイッチSC3を経由してMOSトランジスタSRのゲート端子に信号を出力する。
【0164】
ここで、制御信号61は、図10での信号と逆の論理値を有する信号を出力する。
【0165】
すなわち、制御信号61がMOSトランジスタSHとMOSトランジスタSLとのゲート端子に入力すると、MOSトランジスタSHは開放され、MOSトランジスタSLは短絡する。MOSトランジスタSLが短絡すると、MOSトランジスタSLのソース端子に入力している接地電圧に基づく信号が、MOSトランジスタSLのドレイン端子に出力される。すなわち、開閉スイッチ58は、Loレベル信号を出力する。このLoレベル信号は、MOSトランジスタSRのゲート端子に入力する。MOSトランジスタSRは、上述の通りP−MOSトランジスタであるので、ゲート端子にLoレベル信号が入力すると短絡し、ソース端子とドレイン端子とが短絡する。MOSトランジスタSRのソース端子は、接地接続されているので、第1経路52の途中部分と接地とが接続され、接地経路70が導電する。
【0166】
このように接地経路70が導電すると、負荷回路54は電源55ではなく接地と接続することになってしまうので、電力は供給されない。この電力が供給されない期間が非供給期間となる。この非供給期間においては、負荷回路54は電力の供給が途切れる(勿論、コンデンサなどに残っている電力の放電は受ける)。
【0167】
所定期間において、第1スイッチ57は、短絡と開放とで細かく切り替えられる。この切り替えにより、図10、図11に示されるような、電力の供給期間と非供給期間とが生じる。負荷回路54に与えられる電力である第1電力値は、所定期間におけるこの供給期間と非供給期間との積分値で求まる。これは図3を用いて説明したのと同様である。所定期間内における電力の供給期間が長ければ、結果として負荷回路54へ供給される第1電力値は大きくなる。
【0168】
このように、制御信号61が、切り替え部56と開閉スイッチ58とを制御することで、第1経路52を経由した電力の供給および供給される電力値が制御される。
【0169】
また、第1経路52での電力供給期間で説明したように、第1スイッチ57から接地へ電力を導電させるだけでなく、第1経路52上にあるMOSトランジスタSmの開放と短絡(スイッチ65によって切り替わる)によって、第1経路52での電力非供給期間が制御されてもよい。
【0170】
(図12に示される第2経路での電力供給期間)
次に、図12を用いて、第2経路での電力供給期間について説明する。
【0171】
図12では、切り替え部56が第2経路53を選択している。このため、電源55は、第2経路53を経由して負荷回路54に電力を供給する。制御信号61は、切り替え部56を構成するスイッチSC1、SC2,SC3において端子Bと出力とを短絡し、スイッチSC2を経由して、第2スイッチ59を構成する一対のMOSトランジスタSH、SLとのゲート端子に入力する。
【0172】
MOSトランジスタSHのソース端子は電源55に接続されており、MOSトランジスタSLのソースは接地に接続されている。MOSトランジスタSHのドレイン端子とMOSトランジスタSLのドレイン端子とは相互に接続されて、このドレイン端子は、スイッチSC3のB端子に信号を出力する。スイッチSC3のB端子は、やがて負荷回路54へ信号を出力する。
【0173】
制御信号61が、ある論理値をもって入力すると、MOSトランジスタSHが短絡すると共にMOSトランジスタSLが開放される。この場合には、第2スイッチ59は、短絡したMOSトランジスタSHを通じて電源55からの信号を出力する。すなわち、電源55からの電力は、第2経路53の途中にある第2スイッチ59を経由して、そのまま負荷回路54に出力される。図12に示されるように、電源55から第2スイッチ59を経由して負荷回路54までが導電する。第2経路53での電力供給は、この第2スイッチ59の開閉のみによって制御される。MOSトランジスタSHが短絡して第2スイッチ59が電源55からの信号を出力している場合には、負荷回路54にとって電力の供給期間となる。
【0174】
なお、第2スイッチ59は、素子サイズの小さなMOSトランジスタSH,SLを有している。第2経路53で電力を供給する場合には、小電力である第2電力値を供給するので、MOSトランジスタSH,SLは大きな耐圧を必要としない。このため、MOSトランジスタSH,SLとは、小型の素子で構成される。MOSトランジスタSH,SLが小型の素子であるので、これらのトランジスタでのスイッチングでは、損失や消費電力は小さい。特に、大型の素子であるMOSトランジスタSRは、第2経路53を経由した電力供給では使用されないので、損失や消費電力が小さくて済む。
【0175】
このように、大電力ではない小電力を供給する場合に、大型の素子を使う経路と異なる別の経路(第2経路53)が使用されることで、電力供給装置50や電子回路においての損失や消費電力が削減できる。更には、第2経路53での電力供給を制御する第2スイッチ59は、第1経路52での電力供給を制御する第1スイッチを制御する開閉スイッチ58と同一要素であって共用しているので、回路規模も増加しない。また、開閉スイッチ58は、駆動部60として回路基板や半導体集積回路で実現される回路であるので、最初からノイズ対策なども施されている。このため、開閉スイッチ58を第2スイッチ59として流用するとしても、ノイズが増加することもない。
【0176】
以上のように、制御信号61が、切り替え部56と第2スイッチ59とを制御することで、電源55は、第2経路53を経由して負荷回路54に電力を供給する。
【0177】
なお、制御信号61は、図示していない外部の制御部から出力されればよい。制御部は、予めソフトウェアプログラムを有しており、ソフトウェアプログラムの処理手順に従って、切り替え部56の切り替え、第2スイッチ59の短絡・開放を制御する。
【0178】
(図13に示される第2経路での電力の非供給期間)
図13では、切り替え部56は、図12と同じく第2経路53を選択している。制御信号61は、切り替え部56を構成するスイッチSC1、SC2,SC3において端子Bと出力とを短絡し、スイッチSC2を経由して、第2スイッチ59を構成する一対のMOSトランジスタSH、SLとのゲート端子に入力する。
【0179】
MOSトランジスタSHのソース端子は電源55に接続されており、MOSトランジスタSLのソース端子は接地に接続されている。MOSトランジスタSHのドレイン端子とMOSトランジスタSLのドレイン端子とは相互に接続されて、このドレイン端子は、スイッチSC3のB端子に信号を出力する。スイッチSC3のB端子は、やがて負荷回路54へ信号を出力する。
【0180】
ここで、制御信号61は、図12での信号と逆の論理値を有する信号を出力する。
【0181】
すなわち、制御信号61がMOSトランジスタSHとMOSトランジスタSLとのゲート端子に入力すると、MOSトランジスタSHは開放され、MOSトランジスタSLは短絡する。MOSトランジスタSLが短絡すると、MOSトランジスタSLのソース端子に入力している接地電圧に基づく信号が、MOSトランジスタSLのドレイン端子に出力される。すなわち、第2スイッチ59は、接地と負荷回路54とを導電する。この結果、接地線路71を導電する。
【0182】
このように接地経路71が導電すると、負荷回路54は電源55ではなく接地と接続することになってしまうので、電力は供給されない。この電力が供給されない期間が非供給期間となる。この非供給期間においては、負荷回路54は電力の供給が途切れる(勿論、コンデンサなどに残っている電力の放電は受ける)。
【0183】
所定期間において、第2スイッチ59は、短絡と開放とで細かく切り替えられる。この切り替えにより、図12、図13に示されるような、電力の供給期間と非供給期間とが生じる。負荷回路54に与えられる電力である第2電力値は、所定期間におけるこの供給期間と非供給期間との積分値で求まる。これは図5を用いて説明したのと同様である。
【0184】
このように、制御信号61が、切り替え部56と第2スイッチ59とを制御することで、第2経路53を経由した電力の供給および供給される電力値が制御される。実際には、図12で示される電力の供給期間と図13で示される電力の非供給期間との積分値によって、第2電力値が定まる。例えば、電力の供給期間が長ければ、負荷回路54へ供給される第2電力値は大きくなる。
【0185】
以上から分かるように、第1経路52を経由して第1電力値が供給されるには、切り替え部56、開閉スイッチ58、第1スイッチ57の制御によって、電源55と負荷回路54とが導電する場合と、接地と負荷回路54とが導電する場合とが切り替えられる。
【0186】
一方、第2経路53を経由して第2電力値が供給されるには、切り替え部56と第2スイッチ59(=開閉スイッチ58)のみの制御によって、電源55と負荷回路54とが導電する場合と、接地と負荷回路54とが導電する場合とが切り替えられる。このため、小電力である第2電力値を供給する場合には、余分なスイッチング損失やスイッチングノイズが発生しにくいメカニズムを、電力供給装置50は有する。
【0187】
以上のように、実施の形態2における電力供給装置は、回路規模の増加、損失や消費電力の増加をもたらさずに、効率的に、負荷回路が必要とする大電力や小電力のそれぞれを供給できる。
【0188】
なお、実施の形態1および2で説明した電力供給装置や電子回路は、半導体集積回路によって実現されても良い。
【0189】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
【0190】
実施の形態1、2で説明した電力供給装置や電子回路は、電子機器に組み込まれて使用されればよい。特に、ノートブックパソコン、携帯端末、カーナビゲーションシステム、PDA、車載テレビ、携帯電話機などのバッテリーによって電力が供給される装置では、使用時間を長くするために、電力が細かく制御される必要がある。このため、このような電子機器では動作内容によって大電力を必要とする場合と小電力を必要とする場合とが生じる。大電力が必要な場合には、電力供給装置は、第1経路を経由して第1電力値である電力を供給し、小電力が必要な場合には、電力供給装置は、第2経路を経由して第2電力値である電力を供給する。
【0191】
ここで(1)電力供給装置が大電力と省電力とを切り分けて供給できるので、電子機器全体での消費電力が削減できる、(2)小電力を供給する場合に、損失や消費電力が抑えられるので(小型の素子である第2スイッチのスイッチングにより第2電流値が制御されるので)電力供給装置での消費電力が削減できる、の2点によって、電子機器全体としての消費電力が削減できる。
【0192】
この結果、電子機器におけるバッテリーの使用効率が高まり、電子機器の使用時間が延びるメリットがある。
【0193】
電子機器の一例を説明する。
【0194】
電子機器の一例を図14に示す。図14は、本発明の実施の形態3における電子機器の斜視図である。電子機器82は、カーテレビやパーソナルモニターなどの薄型、小型が要求される電子機器である。
【0195】
電子機器82は、ディスプレイ83、発光素子84、スピーカ85を備えている。この電子機器82の内部に電力供給装置1、50が格納されており、効率的な電力供給を実現する。結果として、電子機器82は、低消費電力を実現できる。
【0196】
このように、実施の形態1、2で説明した電力供給装置1、50が、電子機器に組み込まれることで、電子機器の性能向上が実現でき、ユーザビリティも向上する。また、当然ながら、実施の形態1,2で説明した電力供給装置1、50は、家庭やオフィスでの据え置き型の電子機器においても有効に使用される。このような据え置き型の電子機器(デスクトップパソコン、テレビ受像機、オーディオ機器、情報処理機器など)において、実施の形態1,2で説明した電力供給装置1、50が使用されることで、これらの電子機器での消費電力の削減が実現される。
【0197】
なお、実施の形態1〜3で説明された電力供給装置や電子機器は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における第1経路による電力供給を示すタイムチャート
【図4】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図5】第2経路による電力供給を示すタイムチャート
【図6】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図7】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図8】本発明の実施の形態1における電力供給装置のブロック図
【図9】本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図
【図10】本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図
【図11】本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図
【図12】本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図
【図13】本発明の実施の形態2における電力供給装置のブロック図
【図14】本発明の実施の形態3における電子機器の斜視図
【符号の説明】
【0199】
1 電力供給装置
2 第1経路
3 第2経路
4 負荷回路
5 電源
6 切り替え部
7 第1スイッチ
8 開閉スイッチ
9 第2スイッチ
10 駆動部
11 接地
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1経路および前記第1経路と異なる第2経路のいずれかの経路を介して、負荷回路に電力を供給する電源と、
前記第1経路と前記第2経路とを切り替える切り替え部と、
前記第1経路から供給される第1電力値の基準となる供給期間を制御する第1スイッチと、
前記第1スイッチの開閉のタイミングを制御する開閉スイッチを含む駆動部と、
前記第2経路から供給される第2電力値の基準となる供給期間を制御する第2スイッチと、を備え、
前記第1電力値は、前記第2電力値より大であり、
前記第1経路は、前記駆動部の外部を経由すると共に、前記第2経路は、前記駆動部の内部を経由し、
前記開閉スイッチと前記第2スイッチとは、共通要素である電力供給装置。
【請求項2】
前記第1スイッチは、電力の供給と停止を時間によって切り替える第1パルススイッチを有し、前記第2スイッチは、電力の供給と停止を時間によって切り替える第2パルススイッチを有し、前記第1パルススイッチおよび前記第2パルススイッチは、前記供給期間をパルス幅により制御し、
前記第1電力値および前記第2電力値は、前記パルス幅によって決定される請求項1記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記第1パルススイッチおよび前記第2パルススイッチのそれぞれは、ゲート端子への入力信号によって開閉が制御されるMOSトランジスタを有する請求項2記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記第2パルススイッチは、直列接続された一対のMOSトランジスタを有する請求項3記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記切り替え部が、前記第1経路を選択する場合には、前記開閉スイッチの出力が、前記第1パルススイッチに含まれるMOSトランジスタのゲート入力となって前記第1パルススイッチの開閉期間を制御し、前記第1パルススイッチの開閉期間が、前記供給期間を決定して前記第1電力値を決定し、
前記切り替え部が、前記第2経路を選択する場合には、前記第2パルススイッチの開閉期間が、前記供給期間を決定して前記第2電力値を決定する請求項3から4のいずれか記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記負荷回路が、前記第1電力値および前記第2電力値の内、いずれの電力値を必要とするかを検出する検出部を、更に備える請求項1から5のいずれか記載の電力供給装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記負荷回路の動作モードに基づいて、前記第1電力値および前記第2電力値の内、いずれの電力値を必要とするかを検出する請求項6記載の電力供給装置。
【請求項8】
前記切り替え部における前記第1経路および前記第2経路からの経路の選択を制御する制御部を、更に備える請求項1から7のいずれか記載の電力供給装置。
【請求項9】
前記第2スイッチの開閉のタイミングを制御するスイッチ制御部を更に備える請求項1から8のいずれか記載の電力供給装置。
【請求項10】
前記負荷回路への入力信号を、平滑化するフィルターを更に備える請求項1から9のいずれか記載の電力供給装置。
【請求項11】
第1経路および前記第1経路と異なる第2経路のいずれかの経路を介して、負荷回路に電力を供給する電源と、
前記第1経路と前記第2経路とを切り替える切り替え部と、
前記第1経路から供給される第1電力値を決定するパルスタイミングを生成する第1パルススイッチと、
前記第1パルススイッチの開閉のタイミングを制御する開閉パルススイッチを含む駆動部と、
前記第2経路から供給される第2電力値を決定するパルスタイミングを生成する第2パルススイッチと、を備え、
前記第1電力値は、前記第2電力値より大であり、
前記第1経路は、前記駆動部の外部を経由すると共に、前記第2経路は、前記駆動部の内部を経由し、
前記開閉パルススイッチと前記第2パルススイッチとは、共通要素であり、
前記切り替え部は、前記電源と前記負荷回路を直接的に接続する経路の途中に設けられる第1切り替えスイッチと、前記駆動部と前記第1パルススイッチとを接続する経路の途中に設けられる第2切り替えスイッチと、を有し、
前記第1パルススイッチは、前記電源と前記負荷回路と並列接続関係にあると共に接地接続されている電力供給装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか記載の電力供給装置と、
前記電力供給装置から電力を供給されて所定の動作を行う負荷回路とを備える電子回路。
【請求項13】
前記負荷回路は、所定の情報に基づいて演算を実行する中央演算処理装置(以下、「CPU」という)である請求項12記載の電子回路。
【請求項14】
請求項12から13のいずれか記載の電子回路と、
前記電子回路を制御する制御回路と、
前記電子回路および前記制御回路を格納する筐体と、を備える電子機器。
【請求項15】
前記電子機器は、ノートブックパソコン、携帯端末、カーナビゲーションシステムおよびPDAのいずれかである請求項14記載の電子機器。
【請求項1】
第1経路および前記第1経路と異なる第2経路のいずれかの経路を介して、負荷回路に電力を供給する電源と、
前記第1経路と前記第2経路とを切り替える切り替え部と、
前記第1経路から供給される第1電力値の基準となる供給期間を制御する第1スイッチと、
前記第1スイッチの開閉のタイミングを制御する開閉スイッチを含む駆動部と、
前記第2経路から供給される第2電力値の基準となる供給期間を制御する第2スイッチと、を備え、
前記第1電力値は、前記第2電力値より大であり、
前記第1経路は、前記駆動部の外部を経由すると共に、前記第2経路は、前記駆動部の内部を経由し、
前記開閉スイッチと前記第2スイッチとは、共通要素である電力供給装置。
【請求項2】
前記第1スイッチは、電力の供給と停止を時間によって切り替える第1パルススイッチを有し、前記第2スイッチは、電力の供給と停止を時間によって切り替える第2パルススイッチを有し、前記第1パルススイッチおよび前記第2パルススイッチは、前記供給期間をパルス幅により制御し、
前記第1電力値および前記第2電力値は、前記パルス幅によって決定される請求項1記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記第1パルススイッチおよび前記第2パルススイッチのそれぞれは、ゲート端子への入力信号によって開閉が制御されるMOSトランジスタを有する請求項2記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記第2パルススイッチは、直列接続された一対のMOSトランジスタを有する請求項3記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記切り替え部が、前記第1経路を選択する場合には、前記開閉スイッチの出力が、前記第1パルススイッチに含まれるMOSトランジスタのゲート入力となって前記第1パルススイッチの開閉期間を制御し、前記第1パルススイッチの開閉期間が、前記供給期間を決定して前記第1電力値を決定し、
前記切り替え部が、前記第2経路を選択する場合には、前記第2パルススイッチの開閉期間が、前記供給期間を決定して前記第2電力値を決定する請求項3から4のいずれか記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記負荷回路が、前記第1電力値および前記第2電力値の内、いずれの電力値を必要とするかを検出する検出部を、更に備える請求項1から5のいずれか記載の電力供給装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記負荷回路の動作モードに基づいて、前記第1電力値および前記第2電力値の内、いずれの電力値を必要とするかを検出する請求項6記載の電力供給装置。
【請求項8】
前記切り替え部における前記第1経路および前記第2経路からの経路の選択を制御する制御部を、更に備える請求項1から7のいずれか記載の電力供給装置。
【請求項9】
前記第2スイッチの開閉のタイミングを制御するスイッチ制御部を更に備える請求項1から8のいずれか記載の電力供給装置。
【請求項10】
前記負荷回路への入力信号を、平滑化するフィルターを更に備える請求項1から9のいずれか記載の電力供給装置。
【請求項11】
第1経路および前記第1経路と異なる第2経路のいずれかの経路を介して、負荷回路に電力を供給する電源と、
前記第1経路と前記第2経路とを切り替える切り替え部と、
前記第1経路から供給される第1電力値を決定するパルスタイミングを生成する第1パルススイッチと、
前記第1パルススイッチの開閉のタイミングを制御する開閉パルススイッチを含む駆動部と、
前記第2経路から供給される第2電力値を決定するパルスタイミングを生成する第2パルススイッチと、を備え、
前記第1電力値は、前記第2電力値より大であり、
前記第1経路は、前記駆動部の外部を経由すると共に、前記第2経路は、前記駆動部の内部を経由し、
前記開閉パルススイッチと前記第2パルススイッチとは、共通要素であり、
前記切り替え部は、前記電源と前記負荷回路を直接的に接続する経路の途中に設けられる第1切り替えスイッチと、前記駆動部と前記第1パルススイッチとを接続する経路の途中に設けられる第2切り替えスイッチと、を有し、
前記第1パルススイッチは、前記電源と前記負荷回路と並列接続関係にあると共に接地接続されている電力供給装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか記載の電力供給装置と、
前記電力供給装置から電力を供給されて所定の動作を行う負荷回路とを備える電子回路。
【請求項13】
前記負荷回路は、所定の情報に基づいて演算を実行する中央演算処理装置(以下、「CPU」という)である請求項12記載の電子回路。
【請求項14】
請求項12から13のいずれか記載の電子回路と、
前記電子回路を制御する制御回路と、
前記電子回路および前記制御回路を格納する筐体と、を備える電子機器。
【請求項15】
前記電子機器は、ノートブックパソコン、携帯端末、カーナビゲーションシステムおよびPDAのいずれかである請求項14記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−154605(P2010−154605A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327639(P2008−327639)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】
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