説明

電力制御装置及び電力制御方法

【課題】太陽電池と燃料電池とを併用して負荷の消費電力を賄うことができるようにする。
【解決手段】SOFCユニット100及びPVユニット200を併用して負荷400に電力を供給するためのHEMSコントローラ510は、PVユニット200の将来における出力電力量の予測値であるPV予測電力量を取得する取得部511と、PV予測電力量に基づいて、SOFCユニット100の出力電力量を制御する制御部512と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家に設けられる負荷への電力供給を制御する電力制御装置及び電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力の需要家(住宅など)において、電力系統(以下、「系統」)の補助電源としての燃料電池や太陽電池の普及が進んでいる。
【0003】
燃料電池は、天然ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素との化学反応により発電する発電装置である。発電の際に発生する熱を熱交換でお湯にして貯湯槽に貯えておき、貯湯槽内の貯湯を給湯に供するコジェネレーションシステムも知られている。燃料電池は発電量を制御可能であることから、負荷の負荷電力量に追従するように燃料電池の発電量を制御する「負荷追従制御」が適用されることがある。
【0004】
太陽電池は、太陽光を受けて発電する発電装置である。太陽電池の発電量は成り行き任せ(自然任せ)である。このため、太陽電池を効率的に運用するために、予測される日射量や、太陽電池の発電特性、設置条件などに基づいて、太陽電池の将来の発電量を予測する「発電量予測技術」が適用されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−18763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の大規模停電や電気料金などの電力事情、あるいは環境意識の高まりなどを考慮すると、系統からの電力に依存せずに、太陽電池と燃料電池とを併用して需要家内の負荷の消費電力を全て賄いたいというニーズがある。
【0007】
しかしながら、燃料電池は負荷追従が可能であるものの、燃料電池の発電原理に起因して燃料電池の発電量は急激に増加できない。このため、負荷の消費電力が急激に増加した場合で、太陽電池の発電量が少ない場合には、負荷の消費電力を賄うことができない問題がある。
【0008】
また、負荷の負荷電力量が一定であっても、太陽電池の発電量が急激に減少した場合には、負荷の消費電力を賄うことができない問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、太陽電池と燃料電池とを併用して負荷の消費電力を賄うことができる電力制御装置及び電力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。
【0011】
本発明に係る電力制御装置の特徴は、燃料電池ユニット(例えばSOFCユニット100)及び太陽電池ユニット(例えばPVユニット200)を併用して負荷(例えば負荷400)に電力を供給するための電力制御装置(例えばSOFCコントローラ140又はHEMSコントローラ510)であって、前記太陽電池ユニットの将来における出力電力量の予測値である太陽電池予測電力量を取得する取得部(例えば取得部141又は取得部511)と、前記太陽電池予測電力量に基づいて、前記燃料電池ユニットの出力電力量を制御する制御部(例えば制御部142又は制御部512)と、を有することを要旨とする。
【0012】
本発明に係る電力制御装置の他の特徴は、上述した特徴において、前記取得部は、さらに、前記太陽電池ユニットの現時点での出力電力量の計測値である太陽電池現在電力量を取得し、前記制御部は、前記太陽電池現在電力量に対する前記太陽電池予測電力量の変動状態に基づいて、前記燃料電池ユニットの出力電力量を制御する、ことを要旨とする。
【0013】
本発明に係る電力制御装置の他の特徴は、上述した特徴において、前記取得部は、さらに、前記負荷が消費する電力量の計測値である負荷電力量を取得し、前記制御部は、前記負荷電力量から前記太陽電池現在電力量を減じた電力量を、前記燃料電池ユニットの出力電力量の目標値である燃料電池目標電力量として設定する目標電力量設定部(例えば設定部142a又は設定部512a)を含み、前記目標電力量設定部は、前記太陽電池現在電力量に対して前記太陽電池予測電力量が所定値以上減少する場合には、前記負荷電力量から前記太陽電池現在電力量を減じた電力量よりも多い電力量を、前記燃料電池目標電力量として設定する、ことを要旨とする。
【0014】
本発明に係る電力制御装置の他の特徴は、上述した特徴において、前記取得部は、さらに、前記負荷が消費する電力量の計測値である負荷電力量を取得し、前記制御部は、前記負荷電力量に等しい電力量を、前記燃料電池ユニットの出力電力量の目標値である燃料電池目標電力量として設定する目標電力量設定部(例えば設定部142a又は設定部512a)を含み、前記目標電力量設定部は、前記太陽電池現在電力量に対して前記太陽電池予測電力量が所定値以上減少する場合には、前記負荷電力量よりも多い電力量を、前記燃料電池目標電力量として設定する、ことを要旨とする。
【0015】
本発明に係る電力制御装置の他の特徴は、上述した特徴において、前記取得部は、さらに、前記太陽電池の過去の発電量の計測値である太陽電池過去発電量を取得し、前記制御部は、前記太陽電池過去発電量に対する前記太陽電池現在電力量の変動分を補うように、前記燃料電池ユニットの出力電力量の目標値である燃料電池目標電力量を設定する目標電力量設定部(例えば設定部142a又は設定部512a)を含み、前記目標電力量設定部は、前記太陽電池過去発電量に対して前記太陽電池現在電力量が減少した場合であっても、前記太陽電池現在電力量に対して前記太陽電池予測電力量が増加する場合には、前記燃料電池目標電力量を増加させずに維持する、ことを要旨とする。
【0016】
本発明に係る電力制御装置の他の特徴は、上述した特徴において、前記取得部は、前記太陽電池予測電力量を時間帯別に取得し、前記制御部は、前記太陽電池予測電力量の多い前記時間帯における前記燃料電池ユニットの出力電力量を制限するように、前記燃料電池ユニットの出力電力量の上限値である燃料電池上限電力量を前記時間帯別に設定する上限発電量設定部(例えば設定部142a又は設定部512a)を含む、ことを要旨とする。
【0017】
本発明に係る電力制御方法の特徴は、燃料電池ユニット及び太陽電池ユニットを併用して負荷に電力を供給するための電力制御方法であって、前記太陽電池ユニットの将来における出力電力量の予測値である太陽電池予測電力量を取得するステップと、前記太陽電池予測電力量に基づいて、前記燃料電池ユニットの出力電力量を制御するステップと、を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、太陽電池と燃料電池とを併用して負荷の消費電力を賄うことができる電力制御装置及び電力制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1及び第2実施形態に係る電力制御システムのブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る電力制御方法のフロー図である。
【図3】第2実施形態に係る電力制御方法のフロー図である。
【図4】第3及び第4実施形態に係る電力制御システムのブロック図である。
【図5】第3実施形態に係る電力制御方法のフロー図である。
【図6】第4実施形態に係る電力制御方法のフロー図である。
【図7】第1及び第2実施形態に係る電力供給システムの変更例のブロック図である。
【図8】第3及び第4実施形態に係る電力供給システムの変更例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照して、本発明の第1実施形態〜第4実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の各実施形態に係る図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る電力制御システムのブロック図である。以下の各実施形態に係るブロック図において、太線は電力ラインを示し、破線は通信ラインを示す。なお、通信ラインは無線としてもよい。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る電力制御システムは、固体酸化物形燃料電池(SOFC)ユニット100、太陽電池(PV)ユニット200、分電盤300、1又は複数の負荷400、及び住宅エネルギー管理システム(HEMS)500を有する。本実施形態に係る電力制御システムは、SOFCユニット100及びPVユニット200を併用して負荷400に電力を供給する。SOFCユニット100、PVユニット200、分電盤300、負荷400、及びHEMS500は、電力会社の系統10から交流(AC)電力の供給を受ける需要家に設けられる。
【0023】
本実施形態では、基本的には、SOFCユニット100及びPVユニット200のそれぞれの出力電力量の和が負荷400の消費電力量に等しくなるように、SOFCユニット100の出力電力量を制御する。すなわち、需要家と系統10との間で電力の入出力を行わないようにする。系統10から需要家に電力が入力される場合とは、電力会社からの買電を意味し、需要家から系統10に電力が出力(逆潮流)される場合とは、電力会社への売電を意味する。需要家と系統10との間で電力の入出力を行わないようにする制御は、売電料金が買電料金以下である場合や、逆潮流が禁止される場合、あるいは系統10の停電時などにおいて有効である。
【0024】
SOFCユニット100は、SOFC110、SOFCパワーコンディショナ(PCS)120、及びSOFCコントローラ140を含む。
【0025】
SOFC110は、燃料電池の一種であり、天然ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素との化学反応により発電を行い、発電した直流(DC)電力を出力する。SOFC110の発電量は、SOFC110に入力されるガス及び空気の量に応じて変化する。ガス及び空気の量は、SOFCコントローラ140によって制御される。
【0026】
SOFC PCS120は、SOFC110が出力するDC電力が入力され、当該入力されたDC電力をAC電力に変換し、SOFC電力ライン12を介して当該AC電力を分電盤300に出力する。
【0027】
SOFCコントローラ140は、SOFCユニット100の各種機能を制御する。本実施形態では、SOFCコントローラ140は、取得部141及び制御部142を含む。
【0028】
取得部141は、分電盤300に設けられた計測部310と、需要家に設けられたHEMS500と、から各種の情報を取得する。本実施形態では、取得部141は、負荷400が現時点で消費する電力量の計測値である「負荷電力量」と、PVユニット200の現時点での出力電力量の計測値である「PV現在電力量」と、を計測部310から取得する。また、取得部141は、PVユニット200の将来における出力電力量の予測値である「PV予測電力量」をHEMS500から取得する。
【0029】
制御部142は、取得部141が取得した情報に基づいて、SOFCユニット100の出力電力量を制御する。本実施形態では、制御部142は、負荷電力量からPV現在電力量を減じた電力量を、SOFCユニット100の出力電力量の目標値である「SOFC目標電力量」として設定する設定部142aを含む。制御部142は、SOFCユニット100の出力電力量が当該SOFC目標電力量になるように、SOFC110及びSOFC PCS120を制御する。
【0030】
設定部142aは、PV現在電力量に対してPV予測電力量が所定値以上減少する場合には、負荷電力量からPV現在電力量を減じた電力量よりも多い電力量を、SOFC目標電力量として設定する。ここで、所定値とは、単位時間当たりにSOFCユニット100が増加可能な出力電力量の上限(以下、「SOFC電力増加上限速度」)に相当する値である。よって、設定部142aは、将来的にPV現在電力量に対してPV予測電力量がSOFC電力増加上限速度よりも高速に(急激に)減少する場合には、当該急激な減少にSOFCユニット100が追従できないと見なして、本来設定されるべきSOFC目標電力量よりも多い電力量をSOFC目標電力量とする。
【0031】
PVユニット200は、PV210及びPV PCS220を含む。
【0032】
PV210は、太陽光を受けて発電を行い、発電したDC電力を出力する。PV210の発電量は、PV210に照射される日射量に応じて変化する。
【0033】
PV PCS220は、PV210が出力するDC電力が入力され、当該入力されたDC電力をAC電力に変換し、PV電力ライン13を介して当該AC電力を分電盤300に出力する。
【0034】
分電盤300は、系統電力ライン11、SOFC電力ライン12、PV電力ライン13、及び負荷電力ライン14が接続される。分電盤300は、SOFCユニット100及びPVユニット200のそれぞれの出力電力(AC電力)を負荷400に分配したり、系統10からのAC電力を負荷400に分配したりする。
【0035】
分電盤300は、負荷電力量及びPV現在電力量を定期的に計測する計測部310を含む。計測部310は、計測した負荷電力量及びPV現在電力量を、SOFCコントローラ140との間の通信ラインを介してSOFCコントローラ140に出力する。なお、負荷電力量及びPV現在電力量を、計測部310からSOFCコントローラ140へ直接的に伝送する場合に限らず、計測部310からHEMS500を経由してSOFCコントローラ140へ間接的に伝送してもよい。
【0036】
負荷400は、負荷電力ライン14が接続される。負荷400は、負荷電力ライン14を介してAC電力が入力され、当該入力されたAC電力を消費して動作する。負荷400は、例えば、照明、あるいはエアコンや冷蔵庫、テレビ等の家電機器である。
【0037】
HEMS500は、需要家内の電力を管理するためのものである。HEMS500は、負荷400の消費電力量を管理して表示したり、省電力のための制御を負荷400に対して行ったりする。本実施形態では、HEMS500は、需要家の外部のネットワーク(インターネットなど)に設けられたサーバ(不図示)から、当該需要家が属する地域の日射量に関する日射量情報を取得し、当該日射量情報に基づいてPV予測電力量を定期的に取得する。そして、HEMS500は、当該PV予測電力量を、SOFCコントローラ140との間の通信ラインを介してSOFCコントローラ140に出力する。
【0038】
次に、本実施形態に係る電力制御方法を説明する。図2は、本実施形態に係る電力制御方法のフロー図である。SOFCコントローラ140は、本フローを定期的に実行する。
【0039】
図2に示すように、ステップS101において、取得部141は、負荷電力量及びPV現在電力量を計測部310から取得し、PV予測電力量をHEMS500から取得する。取得部141は、取得した負荷電力量、PV現在電力量、及びPV予測電力量を制御部142に出力する。
【0040】
ステップS102において、制御部142の設定部142aは、負荷電力量からPV現在電力量を減じた電力量を、現時点での不足電力量として計算する。
【0041】
ステップS103において、設定部142aは、PV現在電力量とPV予測電力量との間の時間差と、当該PV現在電力量及び当該PV予測電力量の差分と、に基づいて、PV現在電力量に対するPV予測電力量の変動速度(予測変動速度)を計算し、当該予測変動速度に基づいて、将来的にPV出力電力量がSOFC電力増加上限速度よりも高速に(急激に)減少するか否かを判定する。
【0042】
PV現在電力量に対してPV予測電力量がSOFC電力増加上限速度よりも高速に(急激に)減少しない場合(ステップS103;NO)、ステップS104において、設定部142aは、ステップS102で計算した不足電力量に等しい電力量をSOFC目標電力量として設定する。
【0043】
これに対し、PV現在電力量に対してPV予測電力量がSOFC電力増加上限速度よりも高速に(急激に)減少する場合(ステップS103;YES)、ステップS105において、設定部142aは、ステップS102で計算した不足電力量よりも多い電力量(現時点での不足電力量+α)をSOFC目標電力量として設定する。すなわち、α分だけ多めに発電するようにする。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係るSOFCコントローラ140は、負荷電力量からPV現在電力量を減じた電力量(現時点での不足電力量)をSOFC目標電力量として設定する。これにより、PVユニット200の出力電力量が急激に減少しない場合には、SOFCユニット100及びPVユニット200のそれぞれの出力電力量によって負荷400の消費電力量を賄うことができる。言い換えると、SOFCユニット100及びPVユニット200のそれぞれの出力電力量を負荷400の消費電力量に追従させることができる。
【0045】
これに対し、PV現在電力量に対してPV予測電力量がSOFC電力増加上限速度よりも高速に(急激に)減少する場合、すなわち、PV現在電力量に対してPV予測電力量がSOFCユニット100の負荷追従性能を超えて減少する場合には、SOFCコントローラ140は、SOFC目標電力量を現時点での不足電力量よりも多く補正して設定する。これにより、PVユニット200の出力電力量が将来的に急激に減少すると予測される場合には、当該急激な減少に備えて、予めSOFC目標電力量を多くしておくことで、SOFCユニット100及びPVユニット200のそれぞれの出力電力量によって負荷400の消費電力量を賄うことができるようになる。
【0046】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について、上述した実施形態との相違点を主として説明する。
【0047】
本実施形態に係る電力供給システムは、第1実施形態と同様に構成されるが、電力制御方法が第1実施形態とは異なる。本実施形態では、基本的には、SOFCユニット100の出力電力量が負荷400の消費電力量に等しくなるように、SOFCユニット100の出力電力量を制御する。すなわち、PVユニット200の出力電力を全て系統10へ逆潮流(買電)するよう制御する。このような制御は、例えば、SOFCユニット100の出力電力の逆潮流が禁止される場合であって、且つ、売電料金が買電料金よりも高い場合に有効である。
【0048】
次に、本実施形態に係る電力制御方法を説明する。図3は、本実施形態に係る電力制御方法のフロー図である。SOFCコントローラ140は、本フローを定期的に実行する。
【0049】
図3に示すように、ステップS201において、取得部141は、負荷電力量及びPV現在電力量を計測部310から取得し、PV予測電力量をHEMS500から取得する。取得部141は、取得した負荷電力量、PV現在電力量、及びPV予測電力量を制御部142に出力する。
【0050】
ステップS202において、制御部142の設定部142aは、PV現在電力量に対してPV予測電力量がSOFC電力増加上限速度よりも高速に(急激に)減少するか否かを判定する。詳細には、設定部142aは、PV現在電力量とPV予測電力量との間の時間差と、当該PV現在電力量及び当該PV予測電力量の差分と、に基づいて、PV現在電力量に対するPV予測電力量の変動速度(予測変動速度)を計算し、当該予測変動速度に基づいて、将来的にPV出力電力量がSOFC電力増加上限速度よりも高速に(急激に)減少するか否かを判定する。
【0051】
PV現在電力量に対してPV予測電力量がSOFC電力増加上限速度よりも高速に(急激に)減少しない場合(ステップS202;NO)、ステップS203において、設定部142aは、負荷電力量に等しい電力量をSOFC目標電力量として設定する。
【0052】
これに対し、PV現在電力量に対してPV予測電力量がSOFC電力増加上限速度よりも高速に(急激に)減少する場合(ステップS202;YES)、ステップS204において、設定部142aは、負荷電力量よりも多い電力量(負荷電力量+α)をSOFC目標電力量として設定する。すなわち、α分だけ多めに発電するようにする。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係るSOFCコントローラ140は、通常は、負荷電力量に等しい電力量をSOFC目標電力量として設定する。ただし、PV現在電力量に対してPV予測電力量がSOFC電力増加上限速度よりも高速に(急激に)減少する場合、すなわち、PV現在電力量に対してPV予測電力量がSOFCユニット100の負荷追従性能を超えて減少する場合には、SOFCコントローラ140は、SOFC目標電力量を通常よりも多く補正して設定する。
【0054】
これにより、PVユニット200の出力電力量が将来的に急激に減少すると予測される場合には、当該急激な減少に備えて、予めSOFC目標電力量を多くしておくことで、SOFCユニット100の出力電力量によって負荷400の消費電力量を賄うことができる。その結果、SOFCユニット100の出力電力量が負荷電力量に対して不足する状態を回避できるため、PVユニット200の出力電力を負荷400が消費してしまったり、系統10からの買電を行ってしまったりすることを回避できる。
【0055】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態について、上述した実施形態との相違点を主として説明する。
【0056】
図4は、本実施形態に係る電力制御システムのブロック図である。図4に示すように、本実施形態に係る電力制御システムは、貯湯ユニット150をさらに有する点で上述した実施形態とは異なる。本実施形態に係る電力制御システムは、SOFCユニット100での発電(化学反応)の際に発生する熱を熱交換によりお湯にする構成(いわゆる、コジェネレーションシステム)である。
【0057】
貯湯ユニット150は、SOFCユニット100に設けられた熱交換器130と連結された貯湯槽151を含む。SOFCコントローラ140は、貯湯槽151内のお湯が満杯になったことを検知すると、発電を停止するように構成されている。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0058】
本実施形態では、SOFCコントローラ140は、基本的には、SOFCユニット100及びPVユニット200のそれぞれの出力電力量の和が一定量になるように、SOFCユニット100の出力電力量を制御する。詳細には、SOFCコントローラ140の設定部142aは、PV過去電力量に対するPV現在電力量の変動分を補うように、SOFC目標電力量を設定する。
【0059】
次に、本実施形態に係る電力制御方法を説明する。図5は、本実施形態に係る電力制御方法のフロー図である。SOFCコントローラ140は、本フローを定期的に実行する。
【0060】
図5に示すように、ステップS301において、取得部141は、PV現在電力量を計測部310から取得し、PV予測電力量をHEMS500から取得する。また、取得部141は、前回取得したPV現在電力量を「PV過去電力量」として改めて取得する。PV過去電力量は、例えば、SOFCコントローラ140に設けられるメモリ(不図示)に記憶されている。取得部141は、取得したPV現在電力量、PV予測電力量、及びPV過去電力量を制御部142に出力する。
【0061】
ステップS302において、制御部142の設定部142aは、PV過去電力量に対するPV現在電力量の変動分を「PV電力変動量」として計算する。
【0062】
ステップS303において、設定部142aは、PV過去電力量に対してPV現在電力量が減少したか否かを判定する。
【0063】
PV過去電力量に対してPV現在電力量が減少していない場合(ステップS303;NO)、ステップS304において、設定部142aは、ステップS302で計算したPV電力変動量を補うようにSOFC目標電力量を設定する。例えば、PV過去電力量に対してPV現在電力量がX[W]増加している場合には、SOFC目標電力量を前回の値からX[W]を減じた値をSOFC目標電力量とする。
【0064】
これに対し、PV過去電力量に対してPV現在電力量が減少している場合(ステップS303;YES)、ステップS305において、設定部142aは、PV現在電力量に対してPV予測電力量が増加するか否かを判定する。
【0065】
PV現在電力量に対してPV予測電力量が増加しない場合(ステップS305;NO)、ステップS304において、設定部142aは、ステップS302で計算したPV電力変動量を補うようにSOFC目標電力量を設定する。例えば、PV過去電力量に対してPV現在電力量がY[W]減少している場合には、SOFC目標電力量を前回の値に対してY[W]を加えた値をSOFC目標電力量とする。
【0066】
これに対し、PV現在電力量に対してPV予測電力量が増加する場合(ステップS305;YES)、ステップS306において、設定部142aは、SOFC目標電力量を前回の値から変更せずに維持する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係るSOFCコントローラ140は、PV過去電力量に対してPV現在電力量が減少した場合であっても、PV現在電力量に対してPV予測電力量が増加する場合には、SOFC目標電力量を増加させずに維持する。このように、PVユニット200の出力電力量が将来的に増加すると予測される場合には、SOFC目標電力量を増加させずに維持することにより、貯湯槽151の湯量を必要以上に増やさないため、貯湯槽151内のお湯が満杯になる可能性を低下させることができる。その結果、必要なときに湯量を増やしながら発電を行うことができる。
【0068】
[第4実施形態]
以下、第4実施形態について、上述した実施形態との相違点を主として説明する。
【0069】
本実施形態に係る電力供給システムは、第3実施形態と同様に構成されるが、電力制御方法が第3実施形態とは異なる。本実施形態では、SOFCコントローラ140は、時間帯別のPV予測電力量に基づいて、SOFCユニット100の発電スケジュールを決定するように構成される。
【0070】
次に、本実施形態に係る電力制御方法を説明する。図6は、本実施形態に係る電力制御方法のフロー図である。SOFCコントローラ140は、本フローを定期的に実行する。
【0071】
ステップS401において、取得部141は、時間帯別のPV予測電力量をHEMS500から取得する。取得部141は、取得した時間帯別のPV予測電力量を制御部142に出力する。
【0072】
ステップS402において、制御部142の設定部142aは、時間帯別のPV予測電力量に基づいて、PV予測電力量の多い時間帯を特定する。PV予測電力量の多い時間帯とは、PV予測電力量が所定閾値よりも多い時間帯、又は、PV予測電力量が相対的に他の時間帯よりも多い時間帯を意味する。
【0073】
ステップS403において、設定部142aは、PV予測電力量の多い時間帯について、SOFCユニット100の出力電力量の上限値であるSOFC上限電力量を設定する。その後、設定部142aは、SOFC上限電力量が設定された時間帯において、当該SOFC上限電力量を超えない範囲で、SOFC目標電力量を設定する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係るSOFCコントローラ140は、PV予測電力量を時間帯別に取得し、制御部512は、PV予測電力量の多い時間帯におけるSOFCユニット100の出力電力量を制限するように、SOFCユニット100の出力電力量の上限値であるSOFC上限電力量を時間帯別に設定する。このように、PVユニット200の出力電力量が増加すると予測される時間帯では、貯湯槽151の湯量を必要以上に増やさないことで、PVユニット200の出力電力量が減少すると予測される時間帯において貯湯槽151の湯量を少ない状態にしておくことができる。その結果、PVユニット200の出力電力量が減少すると予測される時間帯においてはSOFCユニット100の出力電力量を多くすることができ、必要なときに湯量を増やしながら発電を行うことができる。
【0075】
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0076】
上述した各実施形態では、本発明に係る電力制御方法をSOFCコントローラ140が実施する、すなわち、本発明に係る電力制御装置の一例としてのSOFCコントローラ140を説明したが、本発明に係る電力制御方法をHEMS500が実施してもよい。
【0077】
図7は、上述した第1及び第2実施形態に係る電力供給システムの変更例のブロック図である。図7に示すように、HEMS500は、HEMS500の各種機能を制御するHEMSコントローラ510を含む。また、HEMSコントローラ510は、取得部511及び制御部512を含む。
【0078】
取得部511は、負荷電力量及びPV現在電力量を計測部310から取得する。また、取得部511は、需要家の外部のネットワーク(インターネットなど)に設けられたサーバ(不図示)から、当該需要家の地域の日射量に関する日射量情報を取得し、当該日射量情報に基づいてPV予測電力量を取得する。
【0079】
制御部512は、取得部511が取得した情報に基づいて、SOFCユニット100の出力電力量を制御する。制御部512は、SOFC目標電力量を設定する設定部142aを含む。設定部142aは、第1実施形態又は第2実施形態で説明した電力制御方法に従って、SOFC目標電力量をSOFCコントローラ140に設定する。
【0080】
図8は、上述した第3及び第4実施形態に係る電力供給システムの変更例のブロック図である。本変更例では、図7と比較して、貯湯ユニット150が追加されている点が異なる。設定部142aは、第3実施形態又は第4実施形態で説明した電力制御方法に従って、SOFC目標電力量をSOFCコントローラ140に設定する。
【0081】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0082】
10…系統、11…系統電力ライン、12…SOFC電力ライン、13…PV電力ライン、14…負荷電力ライン、100…SOFCユニット、110…SOFC、120…SOFC PCS、130…熱交換器、140…SOFCコントローラ、141…取得部、142…制御部、142a…設定部、150…貯湯ユニット、151…貯湯槽、200…PVユニット、210…PV、220…PV PCS、300…分電盤、310…計測部、400…負荷、500…HEMS、510…HEMSコントローラ、511…取得部、512…制御部、512a…設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池ユニット及び太陽電池ユニットを併用して負荷に電力を供給するための電力制御装置であって、
前記太陽電池ユニットの将来における出力電力量の予測値である太陽電池予測電力量を取得する取得部と、
前記太陽電池予測電力量に基づいて、前記燃料電池ユニットの出力電力量を制御する制御部と、
を有することを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、さらに、前記太陽電池ユニットの現時点での出力電力量の計測値である太陽電池現在電力量を取得し、
前記制御部は、前記太陽電池現在電力量に対する前記太陽電池予測電力量の変動状態に基づいて、前記燃料電池ユニットの出力電力量を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、さらに、前記負荷が消費する電力量の計測値である負荷電力量を取得し、
前記制御部は、前記負荷電力量から前記太陽電池現在電力量を減じた電力量を、前記燃料電池ユニットの出力電力量の目標値である燃料電池目標電力量として設定する目標電力量設定部を含み、
前記目標電力量設定部は、前記太陽電池現在電力量に対して前記太陽電池予測電力量が所定値以上減少する場合には、前記負荷電力量から前記太陽電池現在電力量を減じた電力量よりも多い電力量を、前記燃料電池目標電力量として設定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記取得部は、さらに、前記負荷が消費する電力量の計測値である負荷電力量を取得し、
前記制御部は、前記負荷電力量に等しい電力量を、前記燃料電池ユニットの出力電力量の目標値である燃料電池目標電力量として設定する目標電力量設定部を含み、
前記目標電力量設定部は、前記太陽電池現在電力量に対して前記太陽電池予測電力量が所定値以上減少する場合には、前記負荷電力量よりも多い電力量を、前記燃料電池目標電力量として設定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記取得部は、さらに、前記太陽電池の過去の発電量の計測値である太陽電池過去発電量を取得し、
前記制御部は、前記太陽電池過去発電量に対する前記太陽電池現在電力量の変動分を補うように、前記燃料電池ユニットの出力電力量の目標値である燃料電池目標電力量を設定する目標電力量設定部を含み、
前記目標電力量設定部は、前記太陽電池過去発電量に対して前記太陽電池現在電力量が減少した場合であっても、前記太陽電池現在電力量に対して前記太陽電池予測電力量が増加する場合には、前記燃料電池目標電力量を増加させずに維持する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記太陽電池予測電力量を時間帯別に取得し、
前記制御部は、前記太陽電池予測電力量の多い前記時間帯における前記燃料電池ユニットの出力電力量を制限するように、前記燃料電池ユニットの出力電力量の上限値である燃料電池上限電力量を前記時間帯別に設定する上限発電量設定部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項7】
燃料電池ユニット及び太陽電池ユニットを併用して負荷に電力を供給するための電力制御方法であって、
前記太陽電池ユニットの将来における出力電力量の予測値である太陽電池予測電力量を取得するステップと、
前記太陽電池予測電力量に基づいて、前記燃料電池ユニットの出力電力量を制御するステップと、
を有することを特徴とする電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−41723(P2013−41723A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177074(P2011−177074)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】