説明

電力線通信装置

【課題】組電池から負荷への電力を遮断した状態でも、電力線通信を行うことができる電力線通信装置を提供する。
【解決手段】複数の単電池100を直列に接続する組電池1と、組電池1を電源として駆動する通信子機61と、補機電源を電源として駆動し、通信子機と電力線を介して通信信号を送受信する通信親機8と、組電池から電力線を介して負荷へ供給される電力の導通及び遮断を切り換える第1のスイッチ21と、第1のスイッチに並列に接続され、通信信号を通す第1の電気素子22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交流商用電源(AC電源)を電力源として動作する通信親機及び通信子機と照明負荷とを電力線を介して接続した通信回路において、当該通信回路を遮断するスイッチと、当該スイッチと並列に接続されるコンデンサとを設けることにより、当該スイッチを遮断した場合であっても、交流商用電源の交流電力が当該コンデンサを介して通信子機に供給する通信システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−66992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の通信システムにおいて、交流商用電源(AC電源)の代わりに直流電源(DC電源)として組電池を用いた場合、上記のスイッチが遮断されると、通信子機へ電力が供給されず、通信親機及び通信子機間での電力線通信を行うことができない可能性があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、直流電源から負荷への電力が遮断された状態でも、電力線通信を行うことができる電力線通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、組電池から電力線を介して負荷へ供給される電力の導通及び遮断を切り換える第1のスイッチと、第1のスイッチに並列に接続され、交流通信信号を通す第1の電気素子とを備えることにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1のスイッチがOFFして組電池から電力線を介して負荷へ供給される電力が遮断されると、第1のスイッチに並列に接続された第1の電気素子は交流通信信号を通すので、組電池から負荷への電力を遮断した状態でも、電力線通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】発明の実施形態に係る電力線通信装置を備えた、車両用の駆動システムのブロック図である。
【図2】図1の点線部分Aに相当し、電池モジュールとPLC機器との接続部分のブロック図である。
【図3】他の発明の実施形態に係る電力線通信装置を備えた、車両用の駆動システムのブロック図である。
【図4】他の発明の実施形態に係る電力線通信装置を備えた、車両用の駆動システムのブロック図である。
【図5】他の発明の実施形態に係る電力線通信装置を備えた、車両用の駆動システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る電力線通信装置を備えた、組電池1によるモータ4の車両用の駆動システムを示すブロック図である。同図に示す組電池1は、複数の単電池100を直列に接続し、その両極に電力供給線2を介してインバータ3を接続したものである。単電池100には、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の二次電池が用いられる。組電池1から供給される直流電流は、電力変換装置であるインバータ3により交流電流に変換されて交流モータ4に供給され、当該交流モータ4が駆動される。これにより、組電池1の負荷である、インバータ3及びモータ4は、組電池1からの電力供給を受ける。
【0011】
なお、同図に示す組電池1によるモータ4の駆動システムは、本実施形態に係る装置を説明するための一例であって、組電池1による電力の供給対象が直流モータの場合はインバータ3を省略することができ、さらに電力の供給対象はモータ4以外の負荷とすることもできる。
【0012】
次に、組電池1に含まれる電池モジュール10と、電池モジュール10に接続されるPLC機器6について、図2を用いて、説明する。図2は、図1の点線部分Aに相当し、電池モジュール10とPLC機器6との接続部分のブロック図を示す。
【0013】
組電池1には、複数の電池モジュール10が含まれており、それぞれの電池モジュール10には、複数の単電池100が含まれている。各電池モジュール10の端子間には、PLC(Power Line Communication)機器6が接続される。PLC機器6は、PLC子機61、電池電圧検出部62及び電池温度検出部63を有する。
【0014】
電池電圧検出部62は、電池モジュール10に含まれる各単電池100の端子間の電圧を検出する。図2に示すように、単電池の100のそれぞれの端子からPLC機器に対して、配線が接続されており、電池電圧検出部62は、当該配線から単電池100の電圧を検出する。電池温度検出部63は、電池モジュール10に設けられ、電池モジュール10の温度を検出する温度センサ7から、電池モジュール10の電池温度を検出する。
【0015】
PLC子機61は、後述するPLC親機8と電力供給線2を介して交流信号による電力線通信を行い、電池電圧検出部62により検出された単電池100の検出電圧及び電池温度検出部63により検出された電池モジュール10の電池温度を含むデータを送信する。PLC子機61には、通信信号を発信する発信器(図示しない)が設けられる。当該通信信号には、電力線通信用の周波数が設定されている。PLC子機61には、通信信号を送受信する送受信器(図示しない)が設けられ、単電池100の検出電圧及び電池温度に相当するデータを変調し、当該通信信号により送信する。またPLC子機61には、PLC親機8から、電力線通信により送信される通信信号を復調し、PLC親機8からの送信される制御信号等のデータを受信する。
【0016】
図1に戻り、PLC親機8は、電力供給線2により組電池1と並列に接続され、電力供給線2を介してPLC子機61と交流信号による電力線通信を行う。PLC親機8には、通信信号を発信する発信器(図示しない)と、通信信号を送受信する送受信部(図示しない)が設けられる。PLC親機8は、PLC機器6に含まれる電池電圧検出部62、電池温度検出63に対して、電力線通信により制御信号を送信し、電池電圧検出部62及び電池温度検出63は、通信信号に含まれる当該制御信号に応じて、単電池100の電圧、電池温度を検出する。またPLC親機8は、電力線通信による通信信号をモニタし、PLC子機61との通信結果を、コントローラ9に送信する。
【0017】
DC電源13は、PLC親機8を駆動させるための電源(例:12V)であって、スイッチ11を介して接続される。DC電源13は、エアコン等の補機類の補機電源としても利用される。スイッチ11がオフの時、PLC親機8には、DC電源13より電力が供給されず、PLC親機8は動作しない。
【0018】
コントローラ9は、PLC親機8を含めた、車両内の各機器の制御処理部であり、PLC親機8と通信線12により接続されている。コントローラ9は、PLC親機8に送信される検出電圧及び検出温度から、組電池1の電池の状態を管理し、インバータ3等を制御する。またコントローラ9は、検出電圧及び検出温度から、各単電池100の電池容量を管理し、各単電池100の電池容量にバラツキが生じた場合、電池容量を調整する制御を行ってもよい。例えば、PLC親機8に送信される検出電圧及び検出温度から、所定の条件の下、バラツキが生じた単電池100を特定する。そして、コントローラ9は、調整対象の単電池100に接続されるPLC機器6を特定して、PLC親機8を経由し、電力線通信により制御信号を送信する。PLC機器6は、調整対象の単電池100に接続される抵抗(図示しない)をオンにして、当該単電池100の電力を消費させる。これにより、各単電池100の容量が調整される。
【0019】
組電池1の中間には、サービスディスコネクトスイッチ20(SDSW:Service Disconnect Switch)が接続される。SDSW20は、修理時の安全確保用のスイッチである。SDSW20は、スイッチ21と、スイッチ21に並列に接続されるコンデンサ22を備える。スイッチ21は、例えばメンテナンス時、オフにすることにより、組電池1からモータ4等の負荷への電力の供給が遮断される。コンデンサ22には、交流である通信信号を通過させるために、例えば0.1μF程度のものが用いられる。
【0020】
次に、SDSW20のオン、オフの状態における、電力線通信の通信状況及び負荷に対する電力供給の状況について、それぞれ説明する。
【0021】
まず、SDSW20のオン状態、つまりスイッチ21がオンになっている状態について、説明する。スイッチ21がオンになっている状態では、組電池1は、回路上、導通しており、インバータ3及びモータ4へ電力を供給する。PLC子機61及びPLC親機8は、電力線通信を行い、通信信号を送受信する。そして、通信信号は、上記の通り、交流信号であるため、組電池1からの直流電流とは干渉せずに、電力供給線2を導通する。
【0022】
SDSW20のオフ状態、つまりスイッチ21がオフになっている状態について、説明する。スイッチ21がオフになっている状態では、組電池1は、電力供給線22を含む回路から遮断された状態であり、インバータ3及びモータ4へ電力を供給しない。一方、PLC子機61及びPLC親機8は、スイッチ21のオン及びオフと関係なく、電池モジュール10及びDC電源13から、それぞれ電力供給を受けているため、駆動することができる。またスイッチ21はオフになっているが、交流の通信信号はコンデンサ22を通るため、PLC子機61とPLC親機8は、電力線通信2及びコンデンサ22を介して通信信号を送受信する。これにより、SDSW20のオン状態及びオフ状態とは関係なく、PLC子機61とPLC親機8との間の電力線通信ができる。
【0023】
上記のように、本例は、スイッチ21と通信信号を通すコンデンサ22とを並列接続させたSDSW20を組電池1に接続し、電池モジュール10によりPLC子機61を駆動させ、DC電源12によるPLC親機8を駆動させて、PLC子機61とPLC親機8との間で、電力供給線2を介して交流の電力線通信を行う。これにより、組電池1からの直流電力がスイッチ21により遮断され、モータ4等の負荷と組電池1との回路が遮断された状態において、PLC親機8及びPLC子機61は、電力供給線2及びコンデンサ22を介して、電力線通信をすることができる。また、スイッチ21が遮断された状態において、PLC子機61及びPLC親機8には、電力が供給されているため、PLC子機61及びPLC親機8はスタンバイ状態を維持することができ、PLC子機61又はPLC親機8から送信される起動信号に基づいて、動作開始することができ、起動時間を短縮することができる。
【0024】
また、本例は、負荷の動力源である組電池1をPLC子機61の電源として利用し、補機電源としても利用されるDC電源13をPLC親機8の電源として利用するため、PLC親機8及びPLC子機61を駆動させるための専用電源を必ずしも設ける必要がないため、電力線通信機器を設けることによる体積増加を抑制し、またコストを抑えることができる。
【0025】
また本例は、電池モジュール10の間に、SDSW20を設け、PLC子機61を電池モジュール10と並列に接続する。これにより、組電池1、PLC機器6及びSDSW20を電池パックとし、当該電池パックを図示しないリレースイッチを介して負荷に接続することができるため、安全性を高めつつ、作業性を向上させることができる。
【0026】
なお、本例において、SDSW20は組電池1の中間に接続されるが、必ずしも中間である必要なく、一の電池モジュール10と他の電池モジュール10の間に接続されれば、組電池1の任意の位置に接続してもよい。
【0027】
また、本例は、PLC親機8とコントローラ9との間を、通信用の信号線12で接続するが、コントローラ9の一部をPLC親機8としてもよい。また信号線12の代わりに、PLC8とコントローラ9との間を電力供給線2で接続し、当該電力供給線2を介して電力線通信により、信号を送受信してもよい。
【0028】
また、本例は、電力線通信に用いる通信信号を通過させる電気素子として、コンデンサ22を設けたが、他の電気素子でもよい。すなわち、少なくとも当該通信信号の周波数を通過させ、組電池1から出力される直流成分を通過させない、フィルタをスイッチ21に並列に接続させればよい。
【0029】
また、PLC親機8及びPLC子機61は、スイッチ21をオフにした状態で、回路上に設けられる他のPLC機器と、電力線通信2を介して、電力線通信を行ってもよい。
【0030】
なお、本例の単電池100又は電池モジュール10が本発明の「単電池」に相当し、PLC子機62が「通信子機」に、DC電源13が「補機電源」に、電力供給線2が「電力線」に、スイッチ21が「第1のスイッチ」に、コンデンサ22が「第1の電気素子」に相当する。
【0031】
《第2実施形態》
発明の他の実施形態に係る電力線通信装置を、図3を用いて説明する。本例は上述した第1実施形態に対して、スイッチ11を設けず、PLC親機8と負荷との間にリレースイッチ5を設ける点が異なる。これ以外の構成で上述した第1実施形態と同じ構成は、その記載を適宜、援用する。図3は、発明の他の実施形態に係る電力線通信装置を備えた、組電池1によるモータ4の車両用の駆動システムを示すブロック図である。
【0032】
リレースイッチ5は、電力供給線2に設けられ、スイッチの一端側が組電池1及びPLC機器6に接続され、スイッチの他端側がインバータ3に接続される。また電池パック30は、PLC機器6、組電池1、SDSW20及びPLC親機8を備える。電池パック30は、リレースイッチ5を介して、インバータ3等の回路に接続される。
【0033】
DC電源13は、配線31によりPLC親機8に接続され、PLC親機8に電力を供給する。コントローラ9は、通信線12によりPLC親機8に接続される。またアース線32も、PLC親機8に接続される。配線31、アース線32及び通信線12は、例えば電池パック30に設けられているコネクタ(図示しない)により、電池パック30に接続され、PLC親機8と電気的に導通される。
【0034】
次に、リレースイッチ5のオン、オフの状態における、電力線通信の通信状況及び負荷に対する電力供給の状況について、それぞれ説明する。
【0035】
まず、リレースイッチ5のオン状態について、説明する。SDSW20のスイッチ21がオンになっている場合、組電池1からの電力は、モータ4等の負荷に供給される。またPLC親機8及びPLC子機61は、コンデンサ21及び電力供給線2を介して、電力線通信を行う。
【0036】
一方、SDSW20のスイッチ21がオフになっている場合、組電池1からの電力は、モータ4等の負荷に供給されないが、PLC親機8及びPLC子機61は、コンデンサ21及び電力供給線2を介して、電力線通信を行うことができる。
【0037】
次に、リレースイッチ5のオフ状態について、説明する。スイッチ21のオン、オフとは関係なく、DC電源13からの電力がPLC親機8に供給されている場合、PLC親機8及びPLC子機61は、コンデンサ21及び電力供給線2を介して、電力線通信を行うことができる。一方、組電池1は、リレースイッチ5により、負荷側の回路から遮断されるため、組電池1からの電力は、モータ4等の負荷に供給されない。
【0038】
上記のように、本例は、組電池1とモータ4等の負荷との間に、リレースイッチ5を備えるため、例えば、負荷側の回路で異常が発生した場合、組電池1を負荷側の回路から遮断することができ、より安全性を向上させることができる。また、負荷側で電力を使用しない場合、リレースイッチ5により組電池1を負荷側の回路から遮断することによって、負荷の待機電力による組電池1の電力消費を抑制することができる。
【0039】
また、本例は、リレースイッチ5をオフにした場合であっても、電池パック30内で、電力線通信を行うことができる。これにより、PLC機器6は、当該電力線通信の結果に応じて、例えば、単電池100の電池容量を調整することができる。
【0040】
なお、PLC親機8及びPLC機器6は、スイッチ21をオフにし、リレースイッチ5をオンにした状態で、回路上に設けられる他のPLC機器と、電力線通信2を介して、電力線通信を行ってもよい。
【0041】
なお、本例のリレースイッチ5が本発明の「第2のスイッチ」に相当する。
【0042】
《第3実施形態》
発明の他の実施形態に係る電力線通信装置を、図4を用いて説明する。本例は上述した第2実施形態に対して、リレースイッチ5の構成が異なる。これ以外の構成で上述した第2実施形態と同じ構成は、その記載を適宜、援用する。図4は、発明の他の実施形態に係る電力線通信装置を備えた、組電池1によるモータ4の車両用の駆動システムを示すブロック図である。
【0043】
リレースイッチ5は、電力供給線2に設けられ、スイッチの一端側が組電池1及びPLC機器6に接続され、スイッチの他端側がインバータ3に接続される。また当該リレースイッチ5は、スイッチ51及びコンデンサ52を備える。スイッチ51は、リレースイッチ5のオン、オフを切り換えるスイッチであって、組電池1からモータ4等の負荷への電力の供給が切り換えられる。コンデンサ52には、交流である通信信号を通過させるために、例えば0.1μF程度のものが用いられる。
【0044】
電池パック30は、PLC機器6、組電池1及びSDSW20を備える。電池パック30は、リレースイッチ5を介して、インバータ3等の回路に接続される。
【0045】
DC電源13は、配線31によりPLC親機8に接続され、PLC親機8に電力を供給する。コントローラ9は、通信線12によりPLC親機8に接続される。またアース線32も、PLC親機8に接続される。
【0046】
次に、各スイッチのオン、オフ状態における、電力線通信の通信状況及び負荷に対する電力供給の状況について、それぞれ説明する。
【0047】
SDSW20のスイッチ21及びリレースイッチ5のスイッチ51がオンになっている場合、組電池1からの電力は、負荷側の回路に供給される。また、PLC親機8及びPLC子機61は、コンデンサ22、コンデンサ52及び電力供給線2を介して、電力線通信を行うことができる。
【0048】
一方、SDSW20のスイッチ21及びリレースイッチ5のスイッチ51のうち、少なくとも一方のスイッチがオフになっている場合、組電池1からの電力は、負荷側の回路に供給されない。PLC親機8及びPLC子機61の電力線通信に使用される通信信号は、コンデンサ22及びコンデンサ52を通過するため、PLC親機8及びPLC子機61は、コンデンサ22、コンデンサ52及び電力供給線2を介して、電力線通信を行うことができる。
【0049】
上記のように、本例は、組電池1とモータ4等の負荷との間に、スイッチ51及びコンデンサ52を有するリレースイッチ5を備え、リレースイッチ5とモータ4等の負荷との間に、PLC親機8を接続する。これにより、例えば、負荷側の回路で異常が発生した場合、組電池1を負荷側の回路から遮断することができるため、より安全性が向上する。また、負荷側で電力を使用しない場合、スイッチ51により組電池1を負荷側の回路から遮断することによって、負荷の待機電力による組電池1の電力消費を抑制することができる。
【0050】
またPLC親機8は、電池パック30外に配置されるため、電池パック30のコストを抑え、電池パック30の軽量化を図ることができる。また本例は、モータ4等の負荷を含むケース内に、PLC親機8を格納することができるため、PLC親機8との配線部品の軽減を図り、当該ケースの軽量化、小型化、低コスト化を実現することができる。
【0051】
なお、PLC親機8及びPLC機器6は、スイッチ21及びスイッチ51をオフにした状態で、回路上に設けられる他のPLC機器と、電力線通信2を介して、電力線通信を行ってもよい。
【0052】
また、本例は、電力線通信に用いる通信信号を通過させる電気素子として、コンデンサ52を設けたが、他の電気素子でもよい。すなわち、少なくとも当該通信信号の周波数を通過させ、組電池1から出力される直流成分を通過させない、フィルタをスイッチ51に並列に接続させればよい。
【0053】
なお、本例のスイッチ51が本発明の「第2のスイッチ」に相当し、コンデンサ52が「第2の電気素子」に相当する。
【0054】
《第4実施形態》
発明の他の実施形態に係る電力線通信装置を、図5を用いて説明する。本例は上述した第3実施形態に対して、コンデンサ41、コンデンサ42、コンデンサ43及びコイル44を接続する点が異なる。これ以外の構成で上述した第3実施形態と同じ構成は、その記載を適宜、援用する。図5は、発明の他の実施形態に係る電力線通信装置を備えた、組電池1によるモータ4の車両用の駆動システムを示すブロック図である。
【0055】
コンデンサ41及びコンデンサ42は、電力供給線2とインバータ3等の負荷との間であって、インバータ3に並列に接続される。またコンデンサ41及びコンデンサ42の中間の接続点には、アース線45が接地される。コンデンサ41及びコンデンサ42は、ラインバイパスコンデンサ(Yコンデンサ)となる。コンデンサ43は、電解コンデンサであって、電力供給線2とインバータ3等の負荷との間で、電力供給線2のライン間に接続される。
【0056】
コイル44は、電力供給線2とインバータ3等の負荷との間であって、PLC親機8とコンデンサ41〜43の間に接続される。またコイル44は、電力供給線2の一方のラインに接続される。
【0057】
インバータ3は、5〜20kHzのキャリア周波数及び当該キャリア周波数の高周波数成分を含むノイズを発生し、当該キャリア周波数に基づくノイズより高い周波数のスイッチングサージ電圧によるノイズを発生する。コンデンサ41、コンデンサ42及びコンデンサ43は、これらのノイズを減衰させるフィルタとして機能する。
【0058】
コイル44は、電力線通信の通信信号の周波数帯域において、100Ω程度以上のインピーダンスを有するインダクタンス素子である。コイル44は、PLC親機8とコンデンサ41〜43の間に接続されるため、PLC親機8又はPLC子機61から送信される通信信号は、コンデンサ41〜43及びインバータ3等の負荷側に伝送されず、PLC親機8又はPLC子機61に向かって伝送される。
【0059】
上記のように、本例は、負荷側の回路に、コンデンサ41〜43を接続するため、インバータ3等により発生するノイズが、PLC親機8及びPLC子機61による電力線通信を行う回路側に漏れ、ノイズによる通信への影響を軽減させることができる。また本例は、電力供給線2にコイル44を接続することにより、PLC親機8とPLC子機61との間の電力線通信を行う回路内に、通信信号を導くことができるため、通信信号の減衰を抑制することができる。
【0060】
また本例は、モータ4等の負荷を含むケース内に、PLC親機8を格納することができるため、PLC親機8との配線部品の軽減を図り、当該ケースの軽量化、小型化、低コスト化を実現することができる。
【0061】
なお、本例は、負荷側で発生させるノイズが電力線通信の回路に漏れることを防ぎ、また電力線通信の信号の減衰を抑制する回路を、図5に示すが、接続されるコンデンサ41〜43及びコイル44の数は、上記数に限られず、また回路構成は、図5以外の回路であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…組電池
10…電池モジュール
100…単電池
2…電力供給線
3…インバータ
4…モータ
5…リレースイッチ
51…スイッチ
52…コンデンサ
6…PLC機器
61…PLC子機
62…電池電圧検出部
63…電池温度検出部
7…温度センサ
8…PLC親機
9…コントローラ
12…通信線
13…DC電源
20…サービスディスコネクトスイッチ
21…スイッチ
22…コンデンサ
30…電池パック
31…配線
32…アース線
41、42、43…コンデンサ
44…コイル
45…アース線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を直列に接続する組電池と、
前記組電池を電源として駆動する通信子機と、
補機電源を電源として駆動し、前記通信子機と電力線を介して交流通信信号を送受信する通信親機と、
前記組電池から前記電力線を介して負荷へ供給される電力の導通及び遮断を切り換える第1のスイッチと、
前記第1のスイッチに並列に接続され、前記交流通信信号を通す第1の電気素子とを備えることを特徴とする
電力線通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の電力線通信装置において、
前記第1のスイッチは、前記複数の単電池の間に接続され、
前記通信子機は、前記単電池と並列に接続され、
前記第1の電気素子は、コンデンサを含むことを特徴とする電力線通信装置。
【請求項3】
請求項1記載の電力線通信装置において、
前記組電池と前記負荷との間に接続される第2のスイッチをさらに備え、
前記第1のスイッチは、前記複数の単電池の間に接続され、
前記通信親機は、前記組電池と前記第2のスイッチとの間に接続されることを特徴とする電力線通信装置。
【請求項4】
請求項1記載の電力線通信装置において、
前記組電池と前記負荷との間に接続される第2のスイッチと、
前記第2のスイッチに並列に接続され、前記通信信号を通す第2の電気素子とをさらに備え、
前記第1のスイッチは、前記複数の単電池の間に接続され、
前記通信親機は、前記負荷と前記第2のスイッチとの間に接続されることを特徴とする電力線通信装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力線通信装置において、
前記電力線と前記負荷との間に、コンデンサ及びインダクタンス素子を含む回路を接続し、
前記通信親機は、前記組電池と前記回路との間に接続されることを特徴とする電力線通信回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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