説明

電動ブラインド装置

【課題】開閉部材の高さを正確に制御する。
【解決手段】MPU1は、ブラインド部の上下間を複数区分に均等分割した場合の各区分に対応する電動モータ31のパルス数と、上下間における利用者の指定位置に対応のパルス数を取得する。上下間の所定位置に対応のパルス数と、指定位置に対応のパルス数との差を取得する。予め各区分に対応して算出された回転量、取得された差、および、指定位置と上限位置の間の長さと指定位置と下限位置の間の長さの比に基づき、1次関数に従って、ブラインド部の昇降量が均一となるように各区分に対応するパルス数を再取得する。動作において、MPU1は、操作指令を受付けると、検出される電動モータ31の回転数であるパルス数をカウントし、再取得された指定区分に対応のパルス数を指示するまで電動モータ31の回転動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動ブラインド装置に関し、特に、ブラインド部の昇降による高さ制御を行う電動ブラインド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動モータの回転に応じて回転部材を回転させ、これに応じてブラインドの開閉を行なう、電動ブラインドに関する種々の技術が開示されている。
【0003】
特許文献1では、使用者によって下限値設定指令手段から指令が出されたときの現在位置を検出して記憶手段に記憶し、ブラインドを降下させる際には、記憶手段に記憶している下限値に一致するまで電動機を回転させて設定された下限位置まで降下させる。
【0004】
また特許文献2では、入力キーにより希望するブラインドの降下高さおよび希望する羽根の角度を表わす数値を入力することができ、その数値によって電動機を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭64−62587号公報
【特許文献2】特開平4−93484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1と2では、ブラインドの下降/上昇の位置および開閉されるスラットの角度を、フォトインタラプタから検出されるパルス数によって検出する。フォトインタラプタの検出を用いて高さを指定する場合は、昇降の1段毎の幅は一般的にパルス数を段数で割った値毎に設定することで均一になるようにしている。しかしながら、実際にはリフティングテープの巻き径によって、モータ1周における昇降分のリフティングテープの長さが変わってくる。そのため、一般的にブラインドの位置が上部であるほど巻き径が大きいことから1段の幅は大きくなり、下部であるほど巻き径が小さいことから1段の幅は小さくなる。
【0007】
したがって、1段毎の幅をパルス数を段数で割った値で設定すれば、この巻き径の差異に起因した誤差が生じる。たとえば、複数台の電動ブラインドが設置されている場合に、見た目均一な高さを形成することが困難となる。
【0008】
それゆえに、この発明の目的は、開閉部材の高さを正確に制御することができる電動ブラインド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面に従う電動ブラインド装置は、電動機の回転動作に連動して回動するドラム部材の周囲に同心円状に巻取りまたは巻戻しされることにより鉛直方向に昇降する開閉部材と、受付けた操作指令に基づき、前記電動機の回転動作を制御するための制御手段と、回転動作に伴う回転量を検出するための回転検出手段と、を備える。
【0010】
制御手段は、開閉部材を、鉛直方向に延びる鉛直線上の上限位置および下限位置にまで昇降させるための電動機の回転量を取得するための上下回転量取得手段と、上下回転量取得手段により取得される回転量から、上限位置から下限位置までの上下間の所定位置に対応の回転量を取得するための所定位置回転量取得手段と、上下間を複数区分に均等分割した場合の各区分に対応する回転量を、上下回転量取得手段が取得した回転量から取得するための区分回転量取得手段と、鉛直線上の指定位置に対応の前回転量を取得するための指定位置回転量取得手段と、取得された所定位置に対応の回転量と、指定位置に対応の回転量との差を取得するための差取得手段と、区分回転量取得手段が取得した各区分に対応する回転量、取得された差、および、指定位置と上限位置の間の長さと指定位置と下限位置の間の長さの比に基づき、開閉部材の昇降量が均一となるように各区分に対応する回転量を再取得するための再取得手段と、複数区分のうちの指定区分に該当する位置にまで昇降させるための操作指令を受付けると、検出される回転量が再取得された当該指定区分に対応の回転量を指示するまで電動機の回転動作を継続させる手段と、を含む。
【0011】
好ましくは、再取得手段は、差と比に基づく線形関数とを用いて各区分に対応した値を算出し、開閉部材の昇降量が均一となるように、各区分に対応する回転量を、当該区分に対応して算出された値を用いて更新する。
【0012】
好ましくは、線形関数は、1次関数を指し、1次関数の傾き係数は、ドラム部材に巻取られた状態における開閉部材の巻取り径のサイズの各区分に従う段階的な変位に相関する。
【0013】
好ましくは、所定位置は、上限位置から下限位置までの上下間の中央位置を指す。
好ましくは、上下回転量取得手段は、開閉部材を、鉛直方向に延びる鉛直線上の上限位置および下限位置にまで昇降させるための電動機の回転量を、回転検出手段により検出される回転量に基づき取得する。
【0014】
好ましくは、開閉部材の昇降を制御するための利用者の操作を受付け、操作指令を出力するための操作受付手段を、さらに備える。操作受付手段が受付ける操作には、鉛直線上の指定位置にまで開閉部材を昇降させるための操作が含まれ、指定位置回転量取得手段は、鉛直線上の指定位置に対応の回転量を、回転検出手段により検出される回転量に基づき取得する。
【0015】
好ましくは、再取得手段により取得された前記各区分に対応する回転量を記憶するための記憶部を、さらに備え、制御手段は、複数区分のうちの指定区分に該当する位置にまで昇降させるための操作指令を受付けると、検出される回転量が、記憶部の当該指定区分に対応の回転量を指示するまで電動機の回転動作を継続させる。
【0016】
好ましくは、記憶部は、不揮発性の記憶部である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、操作指令に従って、開閉部材の高さを正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る電動ブラインド装置を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る高さ位置を分割した状態を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るリフティングテープの巻き径と1パルスあたりの降下高さとの関係を示すである。
【図4】本発明の実施の形態に係る差分パルス数を割り振るための計算手法を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る高さ位置の差分パルス数を割り振った概略図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る1段の高さを均一にするための手順を示す処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては同一または対応する部分には図中同一の符号を付し、その説明は繰返さない。
【0020】
図1を参照して、本実施の形態の電動ブラインド装置は、ラダーコード51、羽根52、ボトムレール46、均一厚みの樹脂材料などからなるリフティングテープ44、回転検出部45、指令部2、電源部3、電動モータ31、電動モータ駆動部(以下、単に「駆動部」という)32、MPU(Micro Processing Unit)1、記憶部7、通信I/F(インターフェイス)3、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)5が着脱自在に装着されるCD−ROMドライバ4を備える。さらに、リフティングテープ44の巻取り/巻き戻しに関連した柱状の巻取りドラム43、スリットが形成された回転板41およびシャフト40を備える。リフティングテープ44の一方端は巻取りドラム43に固定されて、他方端はボトムレール46に固定される。リフティングテープ44は、巻取りドラム43から、開閉部を構成する複数枚の羽根52を貫通するようにしてボトムレール46まで延びている。電動ブラインドが窓枠に取り付けられた状態で、リフティングテープ44はボトムレール46まで鉛直方向に延びる。回転検出部45は、フォトインタラプタ42を含む。
【0021】
電動ブラインドのブラインド部は、複数枚の羽根52およびボトムレール46を、リフティングテープ44およびラダーコード51で連接することにより構成される。ボトムレール46は、ブラインド部を降下するときの重りまたは風などによってブラインド部が揺れるのを防止する重りとしての機能を果たす。
【0022】
動作おいては、電動モータ31の回転に連動して、リフティングテープ44は鉛直線上を移動することによりブラインド部の昇降がされる。また、複数の羽根52の傾き角度(開閉)が制御されるが、ここでは、羽根52の開閉についての詳細は説明を略す。
【0023】
指令部2は、利用者により操作される各種のスイッチまたはボタンを含む。具体的には、ブラインド部の昇降動作を停止するための操作される停止スイッチ21、ブラインド部の上昇動作を開始させるために操作される上昇スイッチ22、ブラインド部の下降動作を開始させるために操作される下降スイッチ23、ブラインド部の高さ(後述の降下高さ)を複数区分により段階的に指定するために操作される高さスイッチ24、および降下高さを決定するために操作される決定スイッチ25を含む。指令部2は、これらスイッチ等の操作によって、ブラインド部の昇降・停止・高さ指定の各操作指令を利用者より受付けて、受付けた操作指令をMPU1に出力する。MPU1は、入力した操作指令を解析し、解析結果に基づく制御信号を出力する。
【0024】
駆動部32はMPU1からの制御信号に基づく駆動信号を生成して、電動モータ31に出力する。電動モータ31は、たとえばパルスモータを含んで構成され、当該駆動信号はパルス信号からなる。電動モータ31は、駆動信号に従って回転量(回転方向と回転角度)が制御される。回転方向は、操作指令(“上昇”、“下降”)に応じた正転、反転などである。また、操作指令に応じて電動モータ31は回転を開始/停止する。
【0025】
シャフト40の一端には電動モータ31の回転軸が連結されて、その他方端には円盤状の巻取りドラム43の柱部材の中心部が連結されている。したがって、電動モータ31の回転に連動して巻取りドラム43が回動し、巻取りドラム43の回動に連動して、リフティングテープ44は柱部材の周囲に同心円状に巻取り(巻上げ)されて、または巻戻しされてブラインド部の昇降が行われる。
【0026】
巻取りドラム43には、スリットが設けられた回転板41が固定されている。回転板41に関連して、フォトインタラプタ42が設けられており、フォトインタラプタ42の図示のない投光部と受光部との間を回転板41が回転するようになっている。
【0027】
電動モータ31が回転すると、シャフト40および巻取りドラム43が回転し、同時に回転板41が回転する。回転板41の回転に応じて、回転板41に形成されているスリットによりフォトインタラプタ42で光が断続される。回転検出部45は、フォトインタラプタ42の出力するパルス信号を電気信号に変換して出力する。この電気信号は、回転板41の回転量を指す。以降、この電気信号を回転信号という。このように、回転信号により、巻取りドラム43の回転量すなわち巻取りドラム43に巻取られているリフティングテープ44の量を指示することができる。
【0028】
回転検出部45が出力する回転信号は、MPU1に与えられ、MPU1は回転信号のパルスを計数し、その計数値によってブラインド部の降下高さを判別することができる。ここでは、降下高さとは、リフティングテープ44が延在する方向におけるボトムレール46の相対的な位置を指す。
【0029】
なお、ここでは、フォトインタラプタ42の光学的機構により巻取りドラム43の回転を検出したが、光学的検出方法に限らず、磁気的方法または電気的方法により検出するようにしてもよい。
【0030】
(パルス数の計数と計数値の設定)
パルス数の計数について説明する。ここで、記憶部7のEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性の記憶領域には、パルス信号の計数値について、降下高さの上限値に相当する計数値MAXHと、降下高さの下限値に相当する計数値MINHとが格納される。また、パルス信号の計数値を用いて判別した現在の降下高さを指す計数値CHが格納される。降下高さは、鉛直方向に延びる鉛直線上の位置に相当する。
【0031】
工場から出荷された時点では、リフティングテープ44は完全に巻取れらた状態である。したがって、ボトムレール46は最上位に位置し、記憶部7の計数値CHと計数値MAXHには0が予めセットされている。
【0032】
ブラインド装置が窓枠に取付けられると、利用者の指令部2の操作によりブラインド部が下降し、計数値MINHが設定される。具体的には、下降スイッチ23が操作されると、操作指令に基づきMPU1は、制御信号を駆動部32に出力する。駆動部32は、制御信号に基づき電動モータ31を回転駆動する。これにより、ブラインド部のボトムレール46は最上位の位置から下降を開始する。このとき、MPU1は、記憶部7から読出した計数値CHを、入力した操作指令(“下降”)に基づきカウントアップ(インクリメント)する。具体的には、回転検出部45から入力する回転信号のパルス信号に同期してカウントアップする。カウントアップ動作は、停止スイッチ21の操作指令を入力するまで継続される。
【0033】
ブラインド部が十分に下降し、ボトムレール46が窓枠の下枠にまで達すると、利用者は停止スイッチ21を操作する。MPU1は、停止スイッチ21の操作指令を入力すると、MPU1は、計数値CHのカウントアップを停止し、計数値CHを計数値MINHに設定する。これにより、利用者は降下高さの下限値に相当する計数値MINHを決定することができる。
【0034】
なお、ここでは、降下高さの上限値に相当する計数値MAXHは固定値としているが、計数値MINHと同様に、利用者が指令部2の下降スイッチ23および停止スイッチ21を操作することにより、可変に設定するとしてもよい。また、降下高さの下限値に相当する計数値MINHは利用者が可変に変更できるとしているが、固定値であってもよい。
【0035】
(昇降制御)
ブラインド部の昇降動作は、計数値CHと、計数値MAXHまたはMINHとが比較されながら制御される。
【0036】
動作において、利用者が下降スイッチ23を操作するとブラインド部は下降を開始する。MPU1は、記憶部7から読出した計数値CHを、入力する操作指令(“降下”)に基づきカウントアップ開始する。計数値CHは、回転検出部45からの回転信号のパルス信号に同期してカウントアップされる。MPU1は、停止スイッチ21の操作信号(“停止”)を入力するまでカウントアップ動作を継続する。
【0037】
一方、利用者が上昇スイッチ22を操作するとブラインド部は上昇を開始する。MPU1は、記憶部7から読出した計数値CHを、入力する操作指令(“上昇”)に基づきカウントダウン(デクリメント)開始する。計数値CHは、回転検出部45からの回転信号のパルス信号に同期してカウントダウンされる。MPU1は、停止スイッチ21の操作信号(“停止”)を入力するまでカウントダウン動作を継続する。
【0038】
これにより、記憶部7の計数値CHによって、ブラインド部の現在の降下高さが指示されることになる。
【0039】
また、ブラインド部の昇降動作中は、MPU1は、計数値CHと計数値MAXHおよびMINHのそれぞれとを比較し、比較結果に基づき、ブラインド部の降下高さが上限位置または下限位置に達したか否かを判別する。上限位置または下限位置に達したと判別すると、MPU1は制御信号を駆動部32に出力し、駆動部32を介して電動モータ31を停止させる。これにより、ブラインド部の昇降動作を、降下高さが上限位置または下限位置を指示した時点で、自動的に停止させることができる。
【0040】
(昇降動作の段階的な制御)
利用者は、高さスイッチ24を操作することにより、降下高さを段階的に制御することができる。段階的な制御のために、記憶部7の不揮発性の記憶領域にはテーブルTBが格納される。
【0041】
テーブルTBには、ブラインド部の上限位置または下限位置までの範囲を複数の段階に区分し、区分された各段階に対応してパルス数(計数値)が格納されている。利用者は、高さスイッチ24の操作によって、この複数の段階のうちのいずれか1つの段階を指定することができる。テーブルTBのデータ設定の詳細は後述する。
【0042】
動作において、MPU1は、高さスイッチ24の操作による操作指令を入力すると、操作指令に含まれる指定の段階に基づきテーブルTBを検索し、対応するパルス数を読出す。読出したパルス数と計数値CHとを比較し、比較結果に基づきブラインド部を上昇させるか、または下降させるかを判別し、判別結果に基づく制御信号を出力する。これにより、ブラインド部は、降下高さが指定の段階となるように昇降動作を開始する。
【0043】
このような昇降動作に伴って、MPU1は、回転検出部45からの回転信号に基づき計数値CHを逐次更新する。MPU1は、更新される計数値CHと、テーブルTBから読出された指定の段階に対応のカウント値と比較し、一致すると判別するまで、昇降動作を継続させる。一致を判別するとMPU1は制御信号を出力し、昇降動作を停止させる。これにより、ブラインド部を、降下高さが、利用者が指定する段階に達した時点で、自動的に停止させることができる。
【0044】
このように、高さスイッチ24の操作指令で昇降動作がされる場合であっても、計数値CHによって、ブラインド部の現在の降下高さを指示することができる。
【0045】
(均等分割による高さ指定制御)
図2は、高さスイッチ24の操作で段階的に指定可能な降下高さを説明する模式図である。図2では、ブラインド部の上限位置から下限位置までを0から10までの11段階に分割した状態が示される。なお、分割数は11段階に限定されるものではない。
【0046】
ここで、上限位置に相当する計数値MAXHに0、下限位置に相当する計数値MINHに100に割当てるとする。パルス数(計数値)を11段階について均等分割すれば、各段階にはパルス数「10」が割当てられるから、パルス数が10個ずつ計数したと判別したことに基づけば、降下高さが1段階だけ増減したことを容易に判別することができる。
【0047】
しかしながら、均等分割の場合には、計数値CHが指示する降下高さによって、1パルス当たりのリフティングテープ44の昇降量は相違するために、リフティングテープ44の昇降量は均等分割とはなりえない。したがって、ブラインド部の降下高さを、高さスイッチ24の操作による指定の段階に位置づけることが困難となる。この均等分割に係る課題を、図3を参照して説明する。
【0048】
図3の(A)に示すように、降下高さが上限位置よりの比較的に高い位置であれば、リフティングテープ44の多くの部分が巻取られているため、巻取りドラム43に巻かれているリフティングテープ44の巻き径が大きくなり、1パルスあたりのリフティングテープ44の昇降量は多くなる。一方、図3の(B)にように、降下高さが下限位置よりの比較的に低い位置であれば、リフティングテープ44の巻取られている部分は少なく、巻取りドラム43に巻かれているリフティングテープ44の巻き径は小さくなり、1パルスあたりのリフティングテープ44の昇降量も少なくなる。
【0049】
このように降下高さが高い位置と低い位置とでは同じ回転量(パルス数)であるにも関わらず、1段階の実際の幅Wに、すなわちリフティングテープ44の長さに差がでてしまう。したがって、上述のように単純に均等分割する場合には、降下高さを指定される段階に位置づけることが困難となる。
【0050】
(テーブルTBの設定)
上述の課題を解消するために、利用者は指令部2の操作によって、11段階のうちの中央の段階に対応のパルス数を設定する。MPU1は、設定されたパルス数を用いて、テーブルTBの中央の段階よりも上段側または下段側それぞれの各段階に対応のパルス数を線形的に補正する。これにより、実際の1段階の幅Wすなわちリフティングテープ44の長さを均一にすることができる。詳細を以下に説明する。
【0051】
まず、図2に示すように、上限値のパルス数「0」、下限値のパルス数「100」として、テーブルTBに、均等分割により、各段階に対応のパルス数は「10」が格納される。
【0052】
図2に示すように、降下高さを決定する0〜10段階を表す高さ「0」〜「10」のうち中央の段階の高さ「5」に対応のパルス数は、均等分割によれば「50」を指す。図2の均等分割の値を格納したテーブルTBに従って動作した場合には、高さ「5」に対応の降下高さは、実際には、上述の理由から中央の段階よりも下の高さを示すことになる。そこで利用者は指令部2を操作して、テーブルTBの中央値である高さ「5」に対応のパルス数「50」を更新する。
【0053】
具体的には、利用者は指令部2のスイッチを操作して、ブラインド部を昇降させて、降下高さを利用者が所望する中央位置で停止させる。停止させたときに、利用者が決定スイッチ25を操作すると、MPU1は操作指令に基づき、そのときの計数値CHの値を、記憶部7に中央値MHとして格納する。このとき、たとえば中央値MHが“44”を示すと想定する。
【0054】
MPU1は、当初の均等分割による高さ「5」に対応のパルス数「50」をテーブルTBから読出し、読出したパルス数「50」と中央値MH“44”との差分“6”を算出する。そして、差分“6”の値を中央の高さ「5」より上段側(高さ「0」〜高さ「4」)の各段に対して線形的に“−6”で割り振り、下段側(高さ「6」〜高さ「10」)には線形的に“+6”で割り振る。
【0055】
割り振り方を説明する。図4の(A)の直線Lは、中央の高さ「5」より上段側の各段階に対しては差分“6”が線形的に減少するように割り振られ、下段側の各段階に対しては差分“6”が線形的に増加するように割り振られるような一次関数の式を指す。MPU1は、直線Lにより囲まれた斜線部分の2つの三角形の各面積が、パルス数の差分と一致するような直線Lの式を算出する。算出された式から直線Lの傾き係数を導出する。このように、傾き係数は、リフティングテープ44の巻取りドラム43に巻取られた状態における巻取り径のサイズの段階的な変位に相関する。
【0056】
ここでは、上段側および下段側それぞれの5段階分に対して割り振る値(三角形の面積)は“6”とであるから、中央から最も離れた高さ位置における直線Lの値は、(5x/2=6)よりx=2.4と算出され、傾きは(2.4/5=0.48)と算出される。
【0057】
この傾きを用いて各段階に対応する直線Lの値は、中央高さ「5」より近いほうから各段階について順に0.48、0.96、1.44、1.92、2.4と算出される。なお、パルス数は整数であるから、MPU1は、たとえば小数点一桁を四捨五入をするなどして、中央の高さ「5」より近いほうから各段について順に0、1、1、2、2の整数として算出する(図4の(B)参照)。これにより、差分“6”を各段に割り振ることができる。
【0058】
MPU1は、上述のようにして算出した各段階に割当てされた値と中央値MHとを用いて、テーブルTBの11段階のそれぞれに対応する、パルス数を更新(再設定)する。
【0059】
このように、利用者の操作により中央の段階に対応のパルス値を可変に設定されると、設定されたパルス数を用いて中央の段階よりも上段側または下段側の各段階に対応するパルス数を線形的に補正する。これにより、図2の均等分割によるテーブルTBの内容は、図5に示すように、実際の1段の幅Wすなわちリフティングテープ44の長さをほぼ均一に割当てる内容に更新(再設定)することができる。
【0060】
テーブルTBは、電動ブラインドを窓枠に取付けたときなどに更新(再設定)しておけば、以降は、高さスイッチ24の操作に基づく動作制御を再設定されたテーブルTBを参照して行うことができる。
【0061】
なお、上述の方法では、計算の簡便さから、取付けられた窓枠に合うように、おおよその中央値を利用者に指定してもらう手法を示した。したがって、利用者が指定した段階の位置と上限位置の間の長さと当該指定した段階の位置と下限位置の間の長さの比は上段側:下段側=1:1であることから、差分を上段側と下段側で同じ“6”を割り振ったが、利用者が所望するような所定の高さ位置を指定してもらっても、増減の配分を高さ位置に比例させることで実現可能である。たとえば、下限位置より1/4の高さ位置を指定した場合、上段側:下段側=3:1の比率で増減させることで実現するようにしてもよい。
【0062】
(処理フローチャート)
図6には、テーブルTBの作成処理のフローチャートが示される。図6のフローチャートに従うプログラムは予め記憶部7に格納される。MPU1は当該プログラムを記憶部7から読出しプログラム中の各命令コードを実行することにより、処理が実現される。
【0063】
図6を参照して、まず、MPU1は、記憶部7の上限値MAXHと下限値MINHと段数とから、各段に、均等分割により割当てた各段階に対応するパルス数を算出し、テーブルTBを作成する。また、上限値MAXHと下限値MINHの中央値を算出し中央値MHに設定する(ステップS3)。なお、段数は、記憶部7に予め設定されていると想定する。
【0064】
利用者は、テーブルTBのパルス数を再設定するために、上昇スイッチ22および下降スイッチ23を操作してブラインド部を昇降させ、ブラインド部の降下高さが所望の中央位置にまで達すると、停止スイッチ21を操作する(ステップS5)。MPU1は、当該操作による操作指令を入力すると、その時点での計数値CHを記憶部7から読出し、中央値MHに設定する(ステップS7)。計数値CHは、当該所望の中央位置に相当する値を指示することから、中央値MHは利用者が指定の所望中央位置を指示する。
【0065】
MPU1は、ステップS3で設定した中央値と、ステップS7で設定した中央値MHとの差を算出し、算出した差を用いて、図4で説明した手順に従って、中央の段階より上段側の各段階、および中央より下段側の各段階のパルス数を増減する(ステップS9)。
【0066】
増減された各段に対応するパルス数を用いて記憶部7のテーブルTBの内容が再設定(更新)される(ステップS11)。
【0067】
以上のようにして更新されたテーブルTBを参照することにより、MPU1は、複数段階のうちの指定段階に該当する位置にまで昇降させるための操作指令を受付けると、回転検出部45を介して検出されるパルス数が再設定後の当該指定段階に対応のステップ数を指示するまで電動モータ31の回転動作を継続させることで、指定された段階に停止させることができる。
【0068】
これにより、実際の1段階の幅すなわちリフティングテープ44の長さを均一にして段階的にブラインド部を昇降させて、正確な降下高さ制御が可能になる。
【0069】
(変形例)
複数台の電動ブラインドが、ネットワークを介して相互に通信する場合には、1台の電動ブラインドで設定されたテーブルTBを、通信I/F3およびネットワークを介して他の電動ブラインドに送信することができる。他の電動ブラインドのMPU1は、ネットワークおよび通信I/F3を介してテーブルTBを受信すると、受信したテーブルTBを記憶部7に格納する。これにより、1台の電動ブラインドにおいて設定されたテーブルTBを、他の電動ブラインドのテーブルTBとして設定することができる。なお、テーブルTBの他の電動ブラインドへの供給は、ネットワークを経由する方式に限定されず、CD−ROM5を用いて供給するようにしてもよい。
【0070】
また、ブラインド部の開閉部は、複数枚の羽根52がラダーコード51およびリフティングテープ44で連接されることにより構成されているが、窓枠サイズの1枚のシートまたはスクリーン状の部材が巻取りドラム43のような巻取り部材を用いて昇降する開閉部であってもよい。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
1 MPU,2 指令部、3 電源部、7 記憶部、21 停止スイッチ、22 上昇スイッチ、23 下降スイッチ、24 高さスイッチ、25 決定スイッチ、31 電動モータ、32 駆動部、40 シャフト、41 回転板、42 フォトインタラプタ、43 巻取りドラム、44 リフティングテープ、45 回転検出部、46 ボトムレール、51 ラダーコード、52 羽根、MAXH 上限値、MH 中央値、MINH 下限値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機の回転動作に連動して回動するドラム部材の周囲に同心円状に巻取りまたは巻戻しされることにより鉛直方向に昇降する開閉部材と、
受付けた操作指令に基づき、前記電動機の回転動作を制御するための制御手段と、
前記回転動作に伴う回転量を検出するための回転検出手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記開閉部材を、前記鉛直方向に延びる鉛直線上の上限位置および下限位置にまで昇降させるための前記電動機の回転量を取得するための上下回転量取得手段と、
前記上下回転量取得手段により取得される前記回転量から、前記上限位置から前記下限位置までの上下間の所定位置に対応の前記回転量を取得するための所定位置回転量取得手段と、
前記上下間を複数区分に均等分割した場合の各区分に対応する前記回転量を、前記上下回転量取得手段が取得した回転量から取得するための区分回転量取得手段と、
鉛直線上の指定位置に対応の前記回転量を取得するための指定位置回転量取得手段と、
取得された前記所定位置に対応の前記回転量と、指定位置に対応の前記回転量との差を取得するための差取得手段と、
前記区分回転量取得手段が取得した前記各区分に対応する前記回転量、取得された差、および、前記指定位置と前記上限位置の間の長さと前記指定位置と前記下限位置の間の長さの比に基づき、前記開閉部材の昇降量が均一となるように前記各区分に対応する前記回転量を再取得するための再取得手段と、
前記複数区分のうちの指定区分に該当する位置にまで昇降させるための操作指令を受付けると、検出される前記回転量が再取得された当該指定区分に対応の前記回転量を指示するまで前記電動機の回転動作を継続させる手段と、を含む、電動ブラインド装置。
【請求項2】
前記再取得手段は、
前記差と前記比に基づく線形関数とを用いて前記各区分に対応した値を算出し、
前記開閉部材の昇降量が均一となるように、前記各区分に対応する前記回転量を、当該区分に対応して算出された値を用いて更新する、請求項1に記載の電動ブラインド装置。
【請求項3】
前記線形関数は、1次関数を指し、
前記1次関数の傾き係数は、前記ドラム部材に巻取られた状態における開閉部材の巻取り径のサイズの各区分に従う段階的な変位に相関する、請求項2に記載の電動ブラインド装置。
【請求項4】
前記所定位置は、前記上限位置から前記下限位置までの上下間の中央位置を指す、請求項1から3のいずれかに記載の電動ブラインド装置。
【請求項5】
前記上下回転量取得手段は、
前記開閉部材を、前記鉛直方向に延びる鉛直線上の上限位置および下限位置にまで昇降させるための前記電動機の回転量を、前記回転検出手段により検出される前記回転量に基づき取得する、請求項1から4のいずれかに記載の電動ブラインド装置。
【請求項6】
前記開閉部材の昇降を制御するための利用者の操作を受付け、操作指令を出力するための操作受付手段を、さらに備え、
前記操作受付手段が受付ける操作には、鉛直線上の指定位置にまで前記開閉部材を昇降させるための操作が含まれ、
前記指定位置回転量取得手段は、
鉛直線上の指定位置に対応の前記回転量を、前記回転検出手段により検出される前記回転量に基づき取得する、請求項1から5のいずれかに記載の電動ブラインド装置。
【請求項7】
前記再取得手段により取得された前記各区分に対応する前記回転量を記憶するための記憶部を、さらに備え、
前記制御手段は、
前記複数区分のうちの指定区分に該当する位置にまで昇降させるための操作指令を受付けると、検出される前記回転量が、前記記憶部の当該指定区分に対応の前記回転量を指示するまで前記電動機の回転動作を継続させる、請求項1から6のいずれかに記載の電動ブラインド装置。
【請求項8】
前記記憶部は、不揮発性の記憶部である、請求項7に記載の電動ブラインド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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