説明

電動工具用集塵装置及び電動工具

【課題】モータの寿命が縮まることを抑制した電動工具用集塵装置、電動工具用集塵装置を装着した電動工具を提供する。
【解決手段】吸込口62が突設されて電動工具が装着可能なハウジング31に、出力軸40と一体回転する回転子の整流子に摺接するブラシを有するモータ41を保持するモータ室39と、モータの出力軸に取り付けられた集塵用ファンを収容するファン室と、ファン室の上流側で、モータの駆動に伴う集塵用ファンの回転により吸込口から吸い込んだ空気が通過して、空気中の粉塵を集塵するフィルタが装着される集塵室と、を形成した電動工具用集塵装置30であって、モータ室の内壁とモータの外周面との間に、緩衝材44を介在させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動ドリルやハンマドリル等の電動工具に装着される電動工具用集塵装置及び該電動工具用集塵装置を装着した電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、吸込口が突設されたハウジングを備えた電動工具用集塵装置に、ハンマドリルを装着したものが開示されている。この電動工具用集塵装置のハウジングには、モータを保持するモータ室と、モータの出力軸に取り付けられた集塵用ファンを収容するファン室と、ファン室の上流側でフィルタが装着される集塵室とが形成されており、集塵用ファンの回転によって前記吸込口から吸い込んだ粉塵を前記フィルタで集塵することがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7017680号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記のハンマドリル等の電動工具を装着した電動工具用集塵装置では、例えばモータをリブを介してモータ室の内壁に保持する場合には、電動工具の運転中に発生した振動が継続的にリブを通じてモータに伝達されることになる。すると、例えばモータの回転子が継続的に振れ回りする状態で、回転子に設けられた整流子がブラシに摺接することでブラシの摩耗が進む結果、モータの寿命が縮まるという不都合が生じることが懸念されていた。
【0005】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、モータの寿命が縮まることを抑制した電動工具用集塵装置、該電動工具用集塵装置を装着した電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る電動工具用集塵装置は、吸込口が突設されて電動工具が装着可能なハウジングに、出力軸と一体回転する回転子の整流子に摺接するブラシを有するモータを保持するモータ室と、前記モータの前記出力軸に取り付けられた集塵用ファンを収容するファン室と、前記ファン室の上流側で、前記モータの駆動に伴う前記集塵用ファンの回転により前記吸込口から吸い込んだ空気が通過して、前記空気中の粉塵を集塵するフィルタが装着される集塵室と、を形成した電動工具用集塵装置であって、前記モータ室の内壁と前記モータの外周面との間に、緩衝材を介在させたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記緩衝材をラバーピンで構成して、前記ラバーピンを、前記外周面に沿って所定の間隔をおいて前記出力軸と平行な状態で複数配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記ハウジングに、前記モータ室と前記ファン室とを仕切り前記出力軸が貫通する仕切壁を設けて、前記仕切壁における前記出力軸が貫通する開口に、前記モータ室と前記ファン室との連通を阻止するシール部材を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の電動工具用集塵装置を装着したことを特徴とする電動工具。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明に係る電動工具用集塵装置及び請求項4の発明に係る電動工具によれば、電動工具の運転時に発生する振動がハウジングに伝達された場合でも、緩衝材によってこの振動がモータに伝達されることを低減できる。これにより、モータの回転子が振れ回りすることが抑えられる結果、回転子に設けられた整流子と摺接するブラシの摩耗を抑制できる。したがって、モータの寿命が縮まることを抑制できる。
請求項2の発明によれば、例えば緩衝材をモータの外周面を被覆する筒状に形成する場合に比べて、緩衝材に用いるゴムを少なくできる。よって、緩衝材の製造コストが安価になる。
請求項3の発明によれば、仮にフィルタを通過した粉塵がファン室に到達した場合でも、この粉塵が誤ってモータ室に入り込むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の電動工具用集塵装置を装着したハンマドリルの側断面図である。
【図2】同電動工具用集塵装置の要部縦断面図である。
【図3】同電動工具用集塵装置のハウジングを構成する半割ハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図1ないし図3を参照しつつ説明する。図1には電動工具用集塵装置30(以下、集塵装置30という。)をハンマドリル1に装着した状態を示した。ハンマドリル1は、本発明の電動工具の一例で樹脂によって形成された本体ハウジング2を備えている。図1では、左側を本体ハウジング2の前側とし、右側を本体ハウジング2の後側とする。図1に示すように本体ハウジング2内の前側下部には、出力軸3を上向きにしたモータ4を収容している。本体ハウジング2内で出力軸3の上方には、出力軸3と交差する方向に中間軸5が軸支されて、中間軸5はベベルギヤ6、6を介して出力軸3からトルク伝達される。中間軸5は、前側から順に第1ギヤ7、クラッチ8、ボススリーブ9を備えている。本体ハウジング2内で中間軸5の上方には、中間軸5と平行にツールホルダ10が軸支されて、ツールホルダ10の先端にはビット11が挿着可能とされている。ツールホルダ10の後側にはピストンシリンダ12が遊挿されて、ピストンシリンダ12の後端には、ボススリーブ9に外装されたアーム13が連結されている。ピストンシリンダ12の内部には、前側にインパクトボルト14が、その後側にインパクトボルト14を打撃するストライカ16がそれぞれ前後進可能に収容されている。第1ギヤ7は、ツールホルダ10に装着した第2ギヤ17と噛合している。
【0013】
一方、図1に示すように本体ハウジング2の後側上部には、スイッチ18及びスイッチレバー19を備えたハンドル20が形成されており、ハンドル20の下方には、電源となるバッテリーパック21が装着されている。また、本体ハウジング2の前側下部は、前面が前下がり傾斜してバッテリーパック21の前方に突出し、集塵装置30が装着される装着部22となっている。装着部22の内部にはコントローラ23が収容されて、コントローラ23には、モータ4のコイル、スイッチ18、バッテリーパック21が電気的に接続されている。さらに、装着部22の下面で左右方向の中央には、前端が前側へ開放する案内溝24が前後方向に凹設されている。
【0014】
装着部22におけるコントローラ23の前側上部には、電源用と通信用との3つのメス端子を左右方向に所定間隔をおいて並設したコネクタ25が設けられている。コネクタ25は前側が開口した角筒状とされて、コネクタ25の上面前端にはシャッター部26が上向きに一体形成されている。また装着部22の下面中央でコネクタ25の下方には、押圧片27が上下方向へ移動可能に支持されている。
【0015】
さらに、装着部22の前面におけるコネクタ25の前側には、四角形状の差込口28が開口形成されている。コネクタ25は、シャッター部26が差込口28の上側に退避して開口を差込口28の真後ろに位置させる接続位置と、シャッター部26が差込口28の真後ろに位置して開口を差込口28の下方へ退避させる非接続位置とに回転可能となっている。但し、集塵装置30をハンマドリル1に装着しない状態ではコネクタ25は、図示しないトーションスプリングによって、シャッター部26が差込口28を閉塞する非接続位置に回転付勢されている。この非接続位置で押圧片27は、下側へ退避したコネクタ25で押圧されて、装着部22を貫通して案内溝24内に突出する。
【0016】
集塵装置30は、図1に示すように側面視L字状のハウジング31を備えている。ハウジング31は、図2及び図3に示すように樹脂製の左右の半割ハウジング32、33を組み付けて形成されている。図2では、左側をハウジング31の左側とし、右側をハウジング31の右側とする。また図3では、右側をハウジング31の前側とし、左側をハウジング31の後側とする。図2及び図3に示すようにハウジング31の後側上部には、ハンマドリル1の装着部22(図1参照。)に嵌合する嵌合凹部34が形成されている。
【0017】
図3に示すように左側の半割ハウジング32の後側内壁面には、上下方向の中心付近に半円形の切り欠きが設けられたリブ35が突設されている。一方、右側の半割ハウジング33の後側内壁面にも、前記切り欠きが設けられたリブ35(図2参照。)が突設されている。図1及び図2に示す左右の半割ハウジング32、33の組み付け状態では、左側の半割ハウジング32のリブ35と右側の半割ハウジング33のリブ35とが対向することでハウジング31内の後側に、中心に貫通孔36(図3参照。)を有する第1仕切壁37(図1及び図3参照。)が形成される。図1に示すようにハウジング31内の後側は、第1仕切壁37でハウジング31の前後方向に隣接するファン室38とモータ室39とに仕切られている。なお、第1仕切壁37は本発明の仕切壁の一例である。
【0018】
モータ室39には、図1に示すように出力軸40を前側へ向けたモータ41が横向きに収容されている。モータ室39には、モータ41の後側にコントローラ47が収容されている。図2及び図3に示すように左側の半割ハウジング32におけるモータ室39の内壁面には、上下方向に互いに離れた位置からモータ室39内に突出する複数の柱状の突起部42、43が二列になるように並設されている。突起部42と突起部43とは、左側の半割ハウジング32の前後方向に互いに離れて位置し、本実施形態では、左側の半割ハウジング32の前側に突起部42が2つ設けられ、前記半割ハウジング32の後側に突起部43が2つ設けられている。そして各突起部42、43の先端部には、緩衝材としてのラバーピン44(図1及び図2参照。)が張り出した状態で嵌入可能な横溝45が形成されている。
【0019】
一方、右側の半割ハウジング33の内面にも、左側の半割ハウジング32と同様に、2つの突起部42(図2参照。)と2つの突起部43とが設けられて、各突起部42、43に横溝45が形成されている。左右の半割ハウジング32、33の組み付け状態では、左側の半割ハウジング32の突起部42、42と右側の半割ハウジング33の突起部42、42とが対向し、加えて左側の半割ハウジング32の突起部43、43と右側の半割ハウジング33の突起部43、43とが対向する。この組み付け状態ではモータ41の外周面に取り付けられたモータカバー46が、左側の半割ハウジング32の突起部42、43と右側の半割ハウジング33の突起部42、43との間に挟まれながら保持される。このとき突起部42、43の各横溝45に嵌入された8つのラバーピン44が、弾性変形してモータカバー46の外周面に密着した状態で各突起部42、43とモータカバー46の外周面との間に介在する。本実施形態では、前記組み付け状態で突起部42、43の各横溝45がモータ41の出力軸40と平行に配置されるため、8つのラバーピン44は、出力軸40と平行な状態で配設されている。加えて図3に示すように、横溝45を有する突起部42、42同士が上下方向に互いに離れた位置に配置され、横溝45を有する突起部43、43同士が上下方向に互いに離れた位置に配置されることで、8つのラバーピン44は、モータカバー46の外周面に沿って所定の間隔をおいて配置される。
【0020】
また図1に示すようにファン室38には、第1仕切壁37の貫通孔36から出力軸40が進入する。出力軸40に取り付けられた集塵用ファン50は、ファン室38に収容されている。出力軸40をファン室38に進入させた状態では、モータケースの先端面から突設されて出力軸40が貫通する筒状部51が、貫通孔36に挿通されている。そして、貫通孔36の内周面と筒状部36の外周面との間に、ゴム製でリング状のシール部材52が嵌められている。このシール部材52で、ファン室38とモータ室39とが貫通孔36を介して連通することを阻止する。なお、貫通孔36は本発明の仕切壁における出力軸が貫通する開口の一例である。
【0021】
加えてハウジング31におけるファン室38の上流側に、後述するダストボックス70の結合部53(図1参照。)が形成されている。この結合部53は、前側のみが開口した凹状を呈し、結合部53の底となる第2仕切壁54には、集塵用ファン50の同軸上で結合部53をファン室38と連通させる連通孔55が形成されている。
【0022】
図1及び図2に示すようにハウジング31の上部後面には、電源用と通信用との3つの板状のオス端子56が後側に突出した状態で左右方向に所定間隔をおいて並設されている。ハウジング31の後部上面には、ハンマドリル1の装着部22に設けた案内溝24に嵌合する押圧レール57が、ハウジング31の前後方向に突設されている。この押圧レール57の後端には、後側へ行くに従って高さが低くなる傾斜面が形成されている。押圧レール57の左右両側には、装着部22の下部が嵌合可能な間隔で一対のガイドレール58、58が前記左右方向に立設されて、各ガイドレール58の上端には、装着部22の側面に設けた結合溝(図示せず。)が嵌合可能な凸条59(図2及び図3参照。)が内側に向けて突設されている。
【0023】
図1に示すようにハウジング31における結合部53の上方には、前側が開口し後側がU字状にターンして結合部53の後方へ回り込む案内通路60が、ハウジング31の前後方向に形成されている。案内通路60の前端には、側面視L字状のノズル61が連結されて、ノズル61の先端に設けた吸込口62をハウジング31から上向きに突出させている。このノズル61及び案内通路60には、両者に跨ってフレキシブルホース63が収容されており、フレキシブルホース63の後端に、案内通路60の後端形状に沿ってU字状に折り返した筒状のダクト64が連結されている。ダクト64の後端には吹出口65が開口して、この吹出口65は、第2仕切壁54を貫通して結合部53内に突出する。
【0024】
図1に示す結合部53には、ダストボックス70が着脱可能に装着される。ダストボックス70は、直方体形状のボックス本体71と、ボックス本体71の開口にヒンジ結合される蓋体72とを備えている。蓋体72には、上下方向の一端側に入口73が、他端側に出口74がそれぞれ形成されている。ダストボックス70内には、出口74を覆う位置にフィルタユニット75が、紙製のフィルタ76のフィルタ面77を突出させた状態で装着されている。ダストボックス70を結合部53に装着した状態では、入口73にダクト64の後端が嵌合して吹出口65がダストボックス70内に突出し、出口74が連通孔55と対向する。
【0025】
次に集塵装置30をハンマドリル1に装着して、被加工材から生じた粉塵を集塵する動作を説明する。集塵装置30をハンマドリル1に装着する際には、ハンマドリル1の装着部22の下部にハウジング31のガイドレール58、58を合わせて装着部22がハウジング31の後部上に位置する状態で、装着部22に対して嵌合凹部34を前方から嵌合させるように集塵装置30を後方側へスライドさせる。すると、集塵装置30の押圧レール57が装着部22の案内溝24に、ガイドレール58の凸条59が装着部22の結合溝にそれぞれ嵌合して後方側へそれぞれスライドする。このとき押圧レール57は押圧片27に当接するが、押圧レール57の傾斜面が押圧片27を上方へ押し上げるため、コネクタ25は、シャッター部26が上方へ退避して開口が差込口28の真後ろに位置する接続位置へ移動する。その後、集塵装置30のオス端子56が開放した差込口28からハンマドリル1の本体ハウジング2内に進入し、装着部22が嵌合凹部34に嵌合すると同時にオス端子56がメス端子に挿入されて電気的に接続される。
【0026】
そして、ハンマドリル1のスイッチレバー19を押し込み操作してスイッチ18をオンさせると、モータ4が駆動して中間軸5を回転させる。このとき、本体ハウジング2の外部からクラッチ8がスライド操作されることで、第1ギヤ7のみと係合する前進位置、ボススリーブ9のみと係合する後退位置、第1ギヤ7及びボススリーブ9と同時に係合するる中間位置のいずれかを選択することで、第2ギヤ17を介してツールホルダ10が回転してビット11を回転させるドリルモード、アーム13の揺動によってピストンシリンダ12を往復動させ、連動するストライカ16によってインパクトボルト14を介してビット11を打撃するハンマーモード、ツールホルダ10の回転とビット11の打撃とを同時に行うハンマードリルモードの選択が可能になる。
【0027】
一方、スイッチ18のオンによってコントローラ23は、集塵装置30のコントローラ47へ電源を供給する。よってコントローラ47は、モータ41の出力軸40と一体回転する回転子の整流子(図示せず。)にブラシ(図示せず。)を通じて通電して、出力軸40を回転駆動させることで集塵用ファン50を回転させる。これにより、ノズル61の吸込口62から吸い込まれた外気は、フレキシブルホース63及びダクト64を通って吹出口65からダストボックス70内に排出される。ダストボックス70内に排出された空気は、フィルタユニット75の前側へ回り込んでフィルタ面77からフィルタ76を通過する。フィルタ76を通過した空気は、出口74から連通孔55を介してファン室38に至り、集塵装置30の外部とファン室38とを連通させる空気排出口(図示せず。)からファン室38の外部に排出される。したがって、ビット11によって被加工材の穿孔箇所から生じた粉塵は、吸込口62から外気と共に吸い込まれてダストボックス70内に進入し、フィルタ76で捕捉されて貯留されることになる。なお、ダストボックス70は本発明の集塵室の一例である。
【0028】
上述したビット11によって被加工材の穿孔を行う等のハンマドリル1の運転時には、ビット11を被加工材に接触させるときの衝撃等に起因して振動が発生する。この振動は集塵装置30のハウジング31から各突起部42、43を通じてモータ41へ継続的に伝達されることになる。この振動が原因で、モータ41の回転子が継続的に振れ回りすると、この振れ回り状態で整流子がブラシに摺接する結果、ブラシの摩耗が進むという不都合が生じる。これを防止するために本実施形態では、各突起部42、43とモータカバー46の外周面との間に介在させた8つのラバーピン44で振動を和らげることで、振動がモータ41に伝達され難い状態を作り出することができる。したがって、振動による回転子の振れ回り状態が抑えられることで、整流子と摺接するブラシの摩耗を抑制できる。
【0029】
<本実施形態の効果>
本実施形態の集塵装置30及び集塵装置30を装着したハンマドリル1では、ハンマドリル1の運転時に発生する振動が集塵装置30のハウジング31に伝達された場合でも、8つのラバーピン44によって振動がモータ41に伝達されることを低減できる。これにより、モータ41の回転子が振れ回りすることが抑えられる結果、回転子に設けた整流子と摺接するブラシの摩耗を抑制できる。したがって、モータ41の寿命が縮まることを抑制できる。
【0030】
また、例えば各突起部42、43とモータカバー46の外周面との間に介在させる緩衝材を、例えばモータカバー46の外周面を被覆する筒状に形成する場合に比べて、緩衝材に用いるゴムを少なくできる。よって、緩衝材の製造コストが安価になる。
【0031】
さらに、シール部材52でファン室38とモータ室39とが第1仕切壁37の貫通孔36を介して連通することを阻止したため、仮にフィルタ76で捕捉できずにフィルタ76を通過した粉塵がファン室38に到達した場合でも、この粉塵が誤ってモータ室39に入り込むことを防止できる。
【0032】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。例えば上述した実施形態とは異なり、ラバーピン44を、8つに限らずモータカバー46の外周面とモータ室39内に突出する柱状の突起部との間に例えば4つ等の適宜の数だけ介在させてもよい。また、ラバーピン44に代えて、緩衝材として例えばモータカバー46の外周面を被覆するゴム製やスポンジ製の筒状部材を用い、この筒状部材を前記外周面と前記突起部との間に介在させてもよい。
【0033】
さらに、貫通孔36の内周面とモータケースの筒状部51の外周面との間に嵌められるシール部材は、ゴム製に限らず合成樹脂等で成形したものであってもよい。加えて、上述した実施形態では集塵装置30をハンマドリル1に装着した例を示したが、これに限らず、集塵装置が装着可能であれば、電動ドリル等の電動工具に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1・・ハンマドリル、30・・集塵装置、31・・ハウジング、36・・第1仕切壁の貫通孔、37・・第1仕切壁、38・・ファン室、39・・モータ室、40・・出力軸、41・・モータ、42、43・・モータ室内の突起部、44・・ラバーピン、46・・モータカバー、50・・集塵用ファン、52・・シール部材、62・・吸込口、70・・ダストボックス、76・・フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口が突設されて電動工具が装着可能なハウジングに、出力軸と一体回転する回転子の整流子に摺接するブラシを有するモータを保持するモータ室と、前記モータの前記出力軸に取り付けられた集塵用ファンを収容するファン室と、前記ファン室の上流側で、前記モータの駆動に伴う前記集塵用ファンの回転により前記吸込口から吸い込んだ空気が通過して、前記空気中の粉塵を集塵するフィルタが装着される集塵室と、を形成した電動工具用集塵装置であって、
前記モータ室の内壁と前記モータの外周面との間に、緩衝材を介在させたことを特徴とする電動工具用集塵装置。
【請求項2】
前記緩衝材をラバーピンで構成して、前記ラバーピンを、前記外周面に沿って所定の間隔をおいて前記出力軸と平行な状態で複数配置したことを特徴とする請求項1に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項3】
前記ハウジングに、前記モータ室と前記ファン室とを仕切り前記出力軸が貫通する仕切壁を設けて、前記仕切壁における前記出力軸が貫通する開口に、前記モータ室と前記ファン室との連通を阻止するシール部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電動工具用集塵装置を装着したことを特徴とする電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−56386(P2013−56386A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195282(P2011−195282)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】