説明

電動車両充電装置

【課題】 電力供給能力に限界がある施設においても、複数の電動車両に対し公平かつ効率よく充電を行う電動車両充電装置及び電動車両充電システムを提供する。
【解決手段】 電動車両充電システムは、電気自動車等の電気をエネルギーにして動作する車両である電動車両EVに対して充電を行う電動車両充電装置10と、その電動車両充電装置10による充電の履歴を管理する管理サーバ20と、電動車両EVの利用者が操作するユーザ端末30と、電動車両充電システム全体を管理する管理事業者により操作される事業者端末40と、これら各機器10〜40を相互に接続するインターネットや専用線等のネットワーク50とを有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両充電装置に関し、特に、複数の電動車両に対する充電を行う電動車両充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近代社会において、自動車の普及は、交通の利便性を高める一方で、排気ガスによる大気汚染や地球温暖化、道路周辺の騒音などの問題を顕在化させた。そのため、排気ガス対策などの環境対策が重要な課題となり、近年、できるだけCOを排出しない、低炭素社会にふさわしい自動車の開発・普及が求められている。
こうした中で、低環境負荷型の電気自動車に対する期待が高まっている。
電気自動車は、通常のガソリン車とは異なって排気ガスを発生せず、また、ガソリン車よりエネルギー効率に優れ、化石燃料の消費を低減できることから、低炭素社会にふさわしい交通手段として注目されている。また、走行時に生じるエンジン音も極めて小さく、騒音問題が生じることもない。
【0003】
電気自動車は、ガソリンエンジンではなく、充電式電池に蓄えられた電気でモーターを回して走行する。電気自動車の利用者は、家庭用の交流電源を用いたり、屋外において設置されている充電設備で充電を行ったりして電気自動車を利用する。
【0004】
このような充電設備の整備が行われる中で、一部のマンション等においても、その居住者が共同で使用可能な充電設備の設置が進められている。
しかしながら、マンション等では、利用者の数に比してマンション側等が供給できる電力量が不足しているという事情があり、複数の利用者の電気自動車全てについて同時に充電を行うと、マンション全体等の電力負荷の限界を超えてしまい、最悪の場合にはブレーカが落ちて停電してしまうおそれがある。
【0005】
このような一時に充電が集中することにより生じる問題を解決する従来技術として、特許文献1に開示される電力供給制御装置が提案されている。
この特許文献1の電力供給制御装置は、充電に必要な電力が供給可能電力を超える場合には、例えば、公共性の高い順に優先的に車両に対して充電を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−110173
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の特許文献1の電力供給制御装置には、公共性において差がない複数の電気自動車に対しては、適切に充電の優先順位を定めることができないという問題がある。
例えば、特許文献1の電力供給制御装置をマンションや商業施設等に設置する場合、これを利用するマンション居住者や客の電気自動車の大半は、公共性の面で差がないため優先順位が定まらず、供給可能電力に基づいた充電を適切に行えない可能性がある。
加えて、特許文献1の電力供給制御装置においては、優先順位の低い電気自動車よりも、後続の優先順位の高い電気自動車の充電が優先的に行われるため、利用者がマンション居住者や客といった、むしろ公平性が望まれる場面には向かないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電力供給能力に限界がある施設においても、複数の電動車両に対し公平かつ効率よく充電を行う電動車両充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、本発明は、供給可能な電力に制限のある場所に設置され、複数の電動車両に対して個別に充電を行う充電部を複数有する電動車両充電装置であって、複数の電動車両に対して循環的に充電を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明における電動車両充電装置は、予め充電順を定めたテーブルを格納し、テーブルに定められた充電順に従って所定時間ごと循環的に充電を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明における電動車両充電装置は、充電が完了した電動車両については充電をスキップして次の充電順の電動車両の充電を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明における電動車両充電装置は、複数の電動車両に対して充電可能となった順に充電を行い、電動車両の充電が完了すると、次の充電順の電動車両の充電を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明における電動車両充電システムは、上記の電動車両充電装置と、電動車両充電装置から充電の状況を示す充電履歴情報をネットワークを介して受信して管理する管理サーバと、電動車両の利用者が操作するユーザ端末とを有し、管理サーバは、1台の電動車両の充電が完了すると、充電が完了した旨を、該当する電動車両の利用者のユーザ端末へ送信し、ユーザ端末は、充電が完了した旨の通知を管理サーバから受信すると、通知の画面表示及び音声出力の少なくとも一方を実行することを特徴とする。
【0014】
また、本発明における電動車両充電システムによれば、ユーザ端末は、電動車両充電装置の充電部が全て使用中のときに、空きができたときに充電を希望する旨を示す情報をネットワークを介して管理サーバへ送信するとともに、空きができたときには、空きが生じたことを示す空き通知を管理サーバから受信し、管理サーバは、空きができたときに充電を希望する旨を示す情報をユーザ端末から受信すると、受信した情報を格納し、電動車両充電装置から受信した充電履歴情報に基づいて、電動車両充電装置の充電部に空きが生じたと判断すると、空き通知をユーザ端末へ送信することを特徴とする。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、供給可能な電力に制限のある場所に設置され、複数の電動車両に対して個別に充電を行う充電部を複数有する電動車両充電装置であって、複数の電動車両に対して循環的に充電を行うので、マンション等使用できる電力に制限のある場所において、複数の電動車両に対して充電を行うときにも、上記電力制限を守りながら複数の電動車両に対して公平かつ効率よく充電を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における電動車両充電システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における電動車両充電装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における電動車両充電装置の外観を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における電動車両充電システムによる充電完了通知動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における電動車両充電装置の記憶部に記憶されている充電順の情報を管理するテーブルの一例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における電動車両の充電の順の一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における電動車両充電装置による充電動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態における電動車両充電システムによる空き通知動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態における空き通知の登録画面の一例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における空き通知を管理するデータベースの一例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における電動車両充電装置による充電動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施の形態>
(第1の実施の形態の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電動車両充電システムの構成を示す図である。
図に示すように、電動車両充電システムは、電気自動車等の電気をエネルギーにして動作する車両である電動車両EVに対して充電を行う電動車両充電装置10と、その電動車両充電装置10による充電の履歴を管理する管理サーバ20と、電動車両EVの利用者が操作するユーザ端末30と、電動車両充電システム全体を管理する管理事業者により操作される事業者端末40と、これら各機器10〜40を相互に接続するインターネットや専用線等のネットワーク50とを有して構成される。
【0019】
電動車両充電装置10は、配線を介して供給される電力を複数の電動車両EVを対象に充電を行う装置である。
例えば、電動車両充電装置10は、集合住宅や商業施設等に設置され、これら多数の利用者により利用される。
図2は、本発明の第1の実施の形態における電動車両充電装置10の構成を示す図である。
図に示すように、電動車両充電装置10は、CPU等からなり充電装置全体を制御する制御部11と、複数の電動車両EVを対象にして充電を行う充電部12と、充電利用の際に画面表示及び情報入力を行うタッチパネル等の操作表示部13と、後述する情報記録媒体から利用者を識別する利用者識別情報を読み取る読取部14と、上記操作表示部13により入力された情報、読取部14により読み取られた情報及び充電の開始・完了時期の情報等を充電の履歴情報(以下、充電履歴情報という)として記憶する記憶部15と、その記憶部15に記憶された充電履歴情報をネットワーク50を介して管理サーバ20へ送信する通信部16とを有して構成される。
【0020】
図3は、本発明の第1の実施の形態における電動車両充電装置10の外観を示す図である。
図に示すように、電動車両充電装置10には、電動車両EVに充電を行う充電部12が複数設けられている。各充電部12には、充電部扉12a及び充電口12bが設けられており、充電を行わないときは、充電部扉12aが閉扉した状態となっている。充電時には、その充電部扉12aが開扉して充電口12bが現れ、電動車両EVの充電ケーブルCAを接続できるようになる。
また、図に示すように、電動車両充電装置10には、操作表示部13及び読取部14が設けられており、前述の通り、情報の入力・読取が可能となっている。
利用者は、自身の電動車両EVの充電を行うとき、自身の識別情報が書き込まれた情報記録媒体を読取部14にかざす等して、その識別情報を読取部14に読み取らせるとともに、操作表示部13に設けられたボタンを押下する等して、使用する充電部12を選択する。
また、ここで利用者が使用する情報記録媒体は、ICカードであってもよいし、携帯端末(携帯電話機等)であってもよい。また、利用者がマンション等の集合住宅の居住者である場合には、メモリーチップが埋め込まれたその集合住宅の鍵であってもよい。
また、情報記録媒体と読取部14との間の通信方式は、特に限定されず、有線/無線の別も問わない。
【0021】
管理サーバ20は、前述の充電履歴情報を電動車両充電装置10から受信して自機内の蓄積部に蓄積し、管理するサーバ装置である。
管理サーバ20は、ユーザ端末30又は事業者端末40からの要求に応じて、充電履歴情報を送信する。この充電履歴情報には、電動車両充電装置10の現在の利用状況又は今後の利用予定等が示されている。
また、管理サーバ20は、充電が完了した利用者のユーザ端末30に対して、充電が完了した旨の通知(以下、充電完了通知という)を送信する。
さらに、管理サーバ20は、利用者の電動車両EVに合った充電部12が全て使用中であって、使用できなかった利用者のユーザ端末30に対して、充電が完了して空きができた旨の通知(以下、空き通知という)を送信する。
【0022】
ユーザ端末30は、電動車両EVの充電を行う利用者により操作される情報処理装置であり、通信機能、画面表示機能、情報入力機能、音声出力機能等を有する。ユーザ端末30は、例えば、PCや携帯端末(携帯電話機、PHS、PDA等)等であってもよい。
利用者は、ユーザ端末30を用いて、管理サーバ20にアクセスし、電動車両充電装置10の利用状況の表示等を行う。
【0023】
事業者端末40は、電動車両充電システム全体を管理する管理事業者により操作される情報処理装置であり、通信機能、画面表示機能、情報入力機能、音声出力機能等を有する。事業者端末40は、例えば、PCや携帯端末(携帯電話機、PHS、PDA等)等であってもよい。
管理事業者は、事業者端末40を用いて、管理サーバ20にアクセスし、電動車両充電装置10の利用状況の表示等を行う。
【0024】
(第1の実施の形態の動作)
(1)電動車両充電システムによる充電完了通知動作
図4は、本発明の第1の実施の形態における電動車両充電システムによる充電完了通知動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、本実施形態における電動車両充電システムによる充電完了通知動作について説明する。
【0025】
利用者は、情報記録媒体に書き込まれている利用者の識別情報を電動車両充電装置10の読取部14に読み取らせる(ステップS1)。
例えば、情報記録媒体と読取部14との間の通信方式が、ICカードの分野で広く用いられている非接触型無線通信である場合には、利用者が情報記録媒体を読取部14上にかざすことで、読取部14は、利用者の識別情報を読み取ることができる。
【0026】
次に、利用者は、操作表示部13を操作して、電動車両充電装置10が有する複数の充電部12のうち、使用する充電部12を選択し指定する(ステップS2)。すると、指定された充電部12の充電部扉12aが開扉する。
特に、利用者側が充電部12を使用していないときには、電動車両充電装置10側で使用していない空きの充電部12の充電部扉12aが開扉して、電動車両EVの充電ケーブルCAが接続可能になる。
【0027】
電動車両EVの充電ケーブルCAが充電口12bに接続された後、電動車両充電装置10は、その充電ケーブルCAで接続された電動車両EVに対し充電を行う(ステップS3)。
ここで、電動車両充電装置10は、複数の接続された電動車両EVに対して、それぞれ一定時間ごとに切り替えて充電を行う。つまり、電動車両充電装置10は、複数の電動車両EVに対して同時に充電を行うのではなく、充電を1台ごと行う。これにより、充電に使用可能な電力量が制限されている場合であっても、その制限電力量内で効率よく電動車両EVへの充電を行うことができる。
この充電動作の詳細については後述する。
【0028】
また、電動車両充電装置10は、充電部12の利用状況を示す充電履歴情報を管理サーバ20へ送信する(ステップS4)。
例えば、電動車両充電装置10は、この充電履歴情報を所定時間ごとに管理サーバ20へ送信する。また、充電が開始・一時停止・再開等して新たな充電履歴情報が生成されるごとに送信するようにしてもよい。その他、電動車両充電装置10は、所定時間ごとに受信する管理サーバ20からの充電履歴情報の取得要求に応じて、送信するようにしてもよい。
【0029】
管理サーバ20は、上記充電履歴情報を電動車両充電装置10から受信すると、その受信した充電履歴情報を自機内の蓄積部に蓄積する(ステップS5)。
【0030】
電動車両充電装置10は、接続されている電動車両EVのうちのいずれかの充電が完了すると(ステップS6/Yes)、その旨を示す充電履歴情報を生成し、管理サーバ20へ送信する(ステップS7)。
【0031】
管理サーバ20は、上記充電完了を示す充電履歴情報を電動車両充電装置10から受信すると、その受信した充電履歴情報を自機内の蓄積部に蓄積する(ステップS8)。
次に、管理サーバ20は、その充電履歴情報に基づいて、前述の充電完了通知を生成し、その生成した充電完了通知を、当該充電が完了した電動車両EVの利用者のユーザ端末30へ送信する(ステップS9)。
【0032】
ユーザ端末30は、その充電完了通知を受信すると、その充電完了通知を自機内の記憶部に記憶するとともに、画面表示又は音声出力する(ステップS10)。
利用者は、ユーザ端末30の画面表示又は出力された音声を確認して、自身の電動車両EVの充電が完了した事実を把握する。
以上で、電動車両充電システムによる充電完了通知動作が終了する。
【0033】
(2)電動車両充電装置10による充電動作
次に、以上説明した充電完了通知動作における充電動作(ステップS3)についてさらに詳細に説明する。
【0034】
前述のように、電動車両充電装置10は、複数の電動車両EVが充電口12bに接続されている場合であっても、同時に複数の電動車両EVに対して充電を行うのではなく、一時に1つの電動車両EVに対してのみ充電を行う。すなわち、所定時間ごとに充電対象の電動車両EVを切り替えて充電を行う。
【0035】
図5は、その電動車両充電装置10の記憶部15に記憶されている充電順の情報を管理するテーブルの一例を示す図である。
図の例は、充電の対象を4台の電動車両EV1〜EV4とした場合である。この例では、電動車両EV1,EV2,EV3,EV4の順に時系列的に各充電部12に対して接続されている。
【0036】
図6の(a),(b)は、図5の電動車両EV1〜EV4の充電の順の一例を示す図である。
(a)に示すように、この例では、2時間ごとにEV1→EV2→EV3→EV4の順に充電を行う。
ここで、(a)のように2時間ごとの充電を、EV1→EV2→EV3→EV4の順に繰り返した結果、EV3の充電が完了したとする。この場合には、(b)に示すように、充電が未完了の電動車両EVについて、EV1→EV2→EV4の順に各2時間ずつ充電を行う。
【0037】
図7は、その電動車両充電装置10による充電動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、複数の電動車両EVが電動車両充電装置10に接続されている場合について説明を進める。
【0038】
まず、利用者は、電動車両EVの充電ケーブルCAを、電動車両充電装置10の充電部12に接続する。
電動車両充電装置10は、その充電部12に充電ケーブルCAが接続されたことを認識すると(ステップS101/Yes)、その新たに充電のため接続された電動車両EVの前に接続された他の電動車両EVの充電が、既に完了しているか否かを判断する(ステップS102)。
【0039】
以前に接続された他の電動車両EVの充電が、既に完了していると判断した場合には(ステップS102/Yes)、新たに接続した電動車両EVの充電を開始する(ステップS104)。
【0040】
一方、以前に接続された他の電動車両EVの充電が、まだ完了していないと判断した場合には(ステップS102/No)、当該他の電動車両EVの充電が開始してから所定時間(図6の例では2時間)経過したか否か判断する(ステップS103)。
ここで、電動車両充電装置10が、上記所定時間経過したと判断した場合には(ステップS103/Yes)、当該他の電動車両EVの充電を一時停止して、新たに接続された電動車両EVの充電を開始する(ステップS104)。
【0041】
そして、電動車両充電装置10は、新たに接続された電動車両EVの充電開始後(ステップS104)、当該電動車両EVの充電が完了したか否か判断する(ステップS105)。
【0042】
電動車両充電装置10が、当該電動車両EVの充電が既に完了していると判断した場合には(ステップS105/Yes)、他のまだ充電が未完了の電動車両EVが接続されているか否かを判断する(ステップS106)。
充電未完了の電動車両EVが他に接続されていないと判断した場合には(ステップS106/No)、接続された電動車両EV全ての充電が完了したと判断し、動作を終了する。
充電未完了の電動車両EVが他に接続されていると判断した場合には(ステップS106/Yes)、上記充電が完了した電動車両EVの充電順が最後であるか否か判断する(ステップS110)。
充電順が最後ではない場合には(ステップS110/No)、電動車両充電装置10は、次の充電順の電動車両EVの充電を開始する(ステップS111)。
一方、充電順が最後である場合には(ステップS110/Yes)、最初の充電順の電動車両EVの充電を開始する(ステップS112)。
例えば、前述の図5,6の例で説明すると、充電順が3番目の電動車両EV3の充電が完了した場合には、4番目の充電順の電動車両EV4の充電を開始する。また、充電順が4番目の電動車両EV4の充電が完了した場合には、1番目の充電順の電動車両EV1の充電を開始する。
【0043】
ここで、ステップS105に戻って、電動車両充電装置10は、新たに接続された電動車両EVの充電がまだ完了していないと判断した場合には(ステップS105/No)、当該電動車両EVの充電が開始してから所定時間(図6の例では2時間)経過したか否か判断する(ステップS107)。
ここで、電動車両充電装置10が、上記所定時間経過したと判断した場合には(ステップS107/Yes)、他のまだ充電が未完了の電動車両EVが接続されているか否かを判断する(ステップS108)。
他の充電未完了の電動車両EVが接続されていないと判断した場合には(ステップS108/No)、そのまま充電を継続する(ステップS105)。
一方、他の充電未完了の電動車両EVが接続されていると判断した場合には(ステップS108/Yes)、当該電動車両EVの充電を一時停止する(ステップS109)。
そして、電動車両充電装置10は、上記充電を中断した電動車両EVの充電順が最後であるか否か判断する(ステップS110)。
充電順が最後ではない場合には(ステップS110/No)、電動車両充電装置10は、次の充電順の電動車両EVの充電を開始する(ステップS111)。
一方、充電順が最後である場合には(ステップS110/Yes)、最初の充電順の電動車両EVの充電を開始する(ステップS112)。
【0044】
以上のように、本実施の形態においては、電動車両充電装置10は、接続された複数の電動車両EV全ての充電が完了するまで、記憶部15内のテーブルにおいて管理されている充電順に基づいて充電を循環的に繰り返す。
従って、マンション等使用できる電力に制限のある場所において、複数の電動車両EVに対して充電を行うときにも、上記電力制限を守りながら複数の電動車両EVに対して効率よく充電を行うことが可能となる。
【0045】
(3)空き通知動作
次に、電動車両充電システムによる空き通知動作を説明する。
空き通知動作とは、全ての充電部12が使用中のために充電ができなかった場合に、その後に充電部12に空きができたことを利用者側に通知する動作である。
図8は、その本発明の第1の実施の形態における電動車両充電システムによる空き通知動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、その空き通知動作の説明を進める。
【0046】
まず、利用者は、ユーザ端末30を用いて、空き通知の登録画面の取得を要求する旨の情報を入力する(ステップS21)。
すると、ユーザ端末30は、その空き通知の登録画面の取得要求を管理サーバ20へ送信する(ステップS22)。
【0047】
管理サーバ20は、その空き通知の登録画面の取得要求をユーザ端末30から受信すると、その空き通知の登録画面を示す情報をユーザ端末30へ送信する(ステップS23)。
ユーザ端末30は、当該情報を管理サーバ20から受信すると、その空き通知の登録画面を自端末のディスプレイ上に表示する(ステップS24)。
図9は、その空き通知の登録画面の一例を示す図である。
図の例では、その登録画面上には、電動車両充電装置10に備えられた充電部12の番号とともに、各充電部12の使用状態(使用中か否か)が示される。また、図の例では、各充電部12ごとに「通知」ボタンが設けられており、利用者がユーザ端末30を用いて「通知」ボタンを押すと、その「通知」ボタンに対応した充電部12の空き通知を指定したことになる。
【0048】
図8の説明に戻る。
利用者は、その表示された空き通知の登録画面上のボタンや入力欄等において、空き通知を希望する旨の情報を入力する(ステップS25)。
例えば、この情報入力の際、利用者は、空き通知の登録画面上で複数ある使用中の充電部12のうち、後で使用したい充電部12(空き通知の対象の充電部12)を指定する。また、どの充電部12を使用するかは特に指定せずに、単に空き通知を希望する旨の情報を入力するようにしてもよい。
ユーザ端末30は、これら空き通知の登録画面上で入力された情報とともに、その利用者の識別情報及びメールアドレスを管理サーバ20へ送信して、管理サーバ20に対して空き通知の登録を要求する(ステップS26)。
【0049】
管理サーバ20は、その空き通知の登録要求をユーザ端末30から受信すると、当該登録要求を記憶部15内のデータベースに登録する(ステップS27)。
図10は、その空き通知を管理するデータベースの一例を示す図である。
図の例では、当該データベースは、各充電部12の番号と、現在の使用状態と、使用している利用者の識別番号と、空き通知の送信の有無とを互いに対応付けて管理する。
ここで、「充電部12が使用中」とは、実際に充電が行われている最中である状態に加え、充電はまだ開始されていない又は既に完了しているが電動車両EVの充電ケーブルCAが接続されている状態をも含む。
管理事業者は、事業者端末40を用いて管理サーバ20にアクセスして、上記空き通知を管理するデータベースを参照し、電動車両充電装置10の各充電部12の使用状態や空き通知の送信の有無等を確認することができる。
【0050】
図8の説明に戻る。
管理サーバ20は、充電履歴情報を電動車両充電装置10から受信すると、その受信した充電履歴情報の内容に応じて、その度ごとに上記空き通知のデータベースを更新する。
管理サーバ20は、所定時間おき又は更新があるごとに上記データベースを参照して、充電部12に空きがあるか否かを判断する(ステップS28)。
指定された充電部12に空きがあるとき、又は特に指定がない場合に充電部12のいずれかに空きがあるときには(ステップS28/Yes)、管理サーバ20は、その充電部12に空きができた旨を知らせる空き通知をユーザ端末30へ送信する(ステップS29)。
ただし、空いている充電部12であっても、既に空き通知をユーザ端末30へ送信した充電部12については、再度他のユーザ端末30へは送信しない。
【0051】
ユーザ端末30は、上記空き通知を管理サーバ20から受信すると、自端末のディスプレイ上に表示又は音声出力して、利用者に空き通知の受信を知らせる(ステップS30)。
その後、利用者は、その空き通知を確認して、該当する電動車両充電装置10の設置場所を訪れ、充電を行う。
【0052】
このように、管理サーバ20は、充電部12の空き状態を確認し、空きができたときには、空き通知をユーザ端末30へ送信するので、利用者は、電動車両充電装置10の設置場所をわざわざ訪れなくとも、充電部12に空きがあるか否かを把握できるとともに、空きができたときには容易に確認でき、充電作業を効率よく行うことが可能となる。
【0053】
(第1の実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、電動車両充電装置10が有する複数の充電部12それぞれに複数の電動車両EVが接続されている場合、複数の電動車両EVを所定時間ごと循環的に充電を行うように構成されているので、例えばマンションのように複数の利用者により利用される一方で使用できる電力に制限がある場合においても、全ての電動車両EVに対して公平かつ効率よく充電を行うことが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態において、電動車両充電装置10は、電動車両EVへの充電が完了すると、その電動車両EVの利用者のユーザ端末30へ充電完了通知を送信するので、利用者は、自身の電動車両EVの充電が完了したか否かを確認するためにわざわざ電動車両充電装置10の設置場所を訪れることなく、容易に充電完了を把握することが可能となる。
【0055】
また、本実施の形態において、管理サーバ20は、利用者が使用したい充電部12が全て使用中であり、その後充電部12に空きができたときに、その利用者のユーザ端末30へ空き通知を送信するので、利用者は、自身の電動車両EVの充電が可能になったか否かを確認するためにわざわざ電動車両充電装置10の設置場所を訪れることなく、充電可能となったことを容易に把握することが可能となる。
【0056】
<第2の実施の形態>
(第2の実施の形態の概要)
前述のように、本発明の第1の実施の形態における電動車両充電装置10は、複数の電動車両EVが充電の対象である場合、所定時間ごとに循環的に充電を行うものである。
これに対し、本発明の第2の実施の形態における電動車両充電装置10は、複数の電動車両EVに対し、接続した順に充電を行う。
以下、特記しない限り、本実施の形態の構成及び動作は、本発明の第1の実施の形態と同様であるとして説明を進める。
【0057】
図11は、本発明の第2の実施の形態における電動車両充電装置10による充電動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、本実施の形態における充電動作について説明する。
【0058】
まず、利用者は、電動車両EVの充電ケーブルCAを、電動車両充電装置10の充電部12に接続する。
電動車両充電装置10は、その充電部12に充電ケーブルCAが接続されたことを認識した後(ステップS201/Yes)、その新たに充電のため接続された電動車両EVの前に接続された他の全ての電動車両EVの充電が、既に完了しているか否かを判断する(ステップS202)。
【0059】
以前に接続された他の電動車両EVの充電が、既に完了していると判断した場合には(ステップS202/Yes)、新たに接続した電動車両EVの充電を開始する(ステップS203)。
【0060】
そして、電動車両充電装置10は、新たに接続された電動車両EVの充電開始後(ステップS203)、当該電動車両EVの充電が完了したか否か判断する(ステップS204)。
【0061】
電動車両充電装置10が、当該電動車両EVの充電が完了していないと判断した場合には(ステップS204/No)、充電を継続する。
【0062】
一方、電動車両充電装置10は、当該電動車両EVの充電が既に完了したと判断した場合には(ステップS204/Yes)、充電未完了の電動車両EVが他に接続されているか否かを判断する(ステップS205)。
充電未完了の電動車両EVが他に接続されていないと判断した場合には(ステップS205/No)、接続された電動車両EV全ての充電が完了したと判断し、動作を終了する。
【0063】
充電未完了の電動車両EVが他に接続されていると判断した場合には(ステップS205/Yes)、その充電が完了した電動車両EVの次に電動車両充電装置10に接続された電動車両EVの充電を開始する(ステップS206)。
本実施の形態においても、電動車両充電装置10は、第1の実施の形態と同様に、図5に示すような、充電順の情報を管理するテーブルを記憶部15に記憶し、管理している。
本実施の形態では、電動車両充電装置10への接続順が1番目の電動車両EVが完了した場合には、2番目の接続順の電動車両EVを充電し、充電が完了し次第、次の接続順の電動車両EVの充電を行う(1番目開始→1番目完了→2番目開始→2番目完了→3番目開始→3番目完了→4番目開始→4番目完了)。
【0064】
以上のように、本実施の形態においては、電動車両充電装置10は、接続された順に電動車両EVの充電を行う。つまり、電動車両EVの充電が完了すると、次に接続された電動車両EVの充電を行う。
従って、マンション等使用できる電力に制限のある場所において、複数の電動車両EVに対して充電を行うときにも、上記電力制限を守りながら複数の電動車両EVに対して効率よく充電を行うことが可能となる。
【0065】
<実施形態のまとめ>
以上説明したように、上述した本発明の実施の形態によれば、電動車両充電装置10は、電動車両EVに対し1台ずつ循環的に充電を行う。
従って、マンション等使用できる電力に制限のある場所において、複数の電動車両EVに対して充電を行うときにも、上記電力制限を守りながら複数の電動車両EVに対して公平かつ効率よく充電を行うことが可能となる。
【0066】
上記の電動車両充電装置10、管理サーバ20、ユーザ端末30及び事業者端末40は、主にCPUとメモリにロードされたプログラムによって実現される。ただし、それ以外の任意のハードウェアおよびソフトウェアの組合せによってこの装置またはサーバを構成することも可能であり、その設計自由度の高さは当業者には容易に理解されるところである。
また、上記の電動車両充電装置10、管理サーバ20、ユーザ端末30及び事業者端末40をソフトウェアモジュール群として構成する場合、このプログラムは、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または半導体等の記録媒体に記録され、上記の記録媒体からロードされるようにしてもよいし、所定のネットワークを介して接続されている外部機器からロードされるようにしてもよい。
【0067】
なお、上記の実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
10 電動車両充電装置
11 制御部
12 充電部
12a 充電部扉
12b 充電口
13 操作表示部
14 読取部
15 記憶部
16 通信部
20 管理サーバ
30 ユーザ端末
40 事業者端末
50 ネットワーク
CA 充電ケーブル
EV 電動車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給可能な電力に制限のある場所に設置され、複数の電動車両に対して個別に充電を行う充電部を複数有する電動車両充電装置であって、
複数の電動車両に対して循環的に充電を行うことを特徴とする電動車両充電装置。
【請求項2】
予め充電順を定めたテーブルを格納し、該テーブルに定められた充電順に従って所定時間ごと循環的に充電を行うことを特徴とする請求項1記載の電動車両充電装置。
【請求項3】
充電が完了した電動車両については充電をスキップして次の充電順の電動車両の充電を行うことを特徴とする請求項2記載の電動車両充電装置。
【請求項4】
複数の電動車両に対して充電可能となった順に充電を行い、電動車両の充電が完了すると、次の充電順の電動車両の充電を行うことを特徴とする請求項1記載の電動車両充電装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電動車両充電装置と、該電動車両充電装置から充電の状況を示す充電履歴情報をネットワークを介して受信して管理する管理サーバと、電動車両の利用者が操作するユーザ端末とを有し、
前記管理サーバは、1台の電動車両の充電が完了すると、該充電が完了した旨を、該当する電動車両の利用者の前記ユーザ端末へ送信し、
前記ユーザ端末は、前記充電が完了した旨の通知を前記管理サーバから受信すると、該通知の画面表示及び音声出力の少なくとも一方を実行することを特徴とする電動車両充電システム。
【請求項6】
前記ユーザ端末は、前記電動車両充電装置の充電部が全て使用中のときに、空きができたときに充電を希望する旨を示す情報を前記ネットワークを介して前記管理サーバへ送信するとともに、空きができたときには、空きが生じたことを示す空き通知を前記管理サーバから受信し、
前記管理サーバは、前記空きができたときに充電を希望する旨を示す情報を前記ユーザ端末から受信すると、該受信した情報を格納し、前記電動車両充電装置から受信した充電履歴情報に基づいて、前記電動車両充電装置の充電部に空きが生じたと判断すると、前記空き通知を前記ユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項5記載の電動車両充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−147555(P2012−147555A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3404(P2011−3404)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(390005094)株式会社フルタイムシステム (11)
【Fターム(参考)】