説明

電子カメラ

【課題】簡単な構造で塵埃などの異物の撮影画像への写り込みを防止する。
【解決手段】デジタルカメラ内部にある異物がOLPF(光学ローパスフィルター)150に付着すると、撮影画像に写り込んでしまう。よって。所定のタイミングで、自動的にCCD22の前面に配置したOPLF150をスライドさせ、OPLF150に付着した異物を清掃部材156,157で除去している。したがって、OLPF150に異物が付着しても、撮影画像に写り込まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD等の撮像素子を用いるデジタルカメラが数多く市場に出回るようになっている。デジタルカメラは、レンズ鏡胴内の塵埃等の異物が振動等により、CCD等の撮像素子の前面に配置された光学ローパスフィルターに付着すると、この異物も撮影画像に写り込んでしまうという問題がある。
【0003】
なお、従来の銀塩フィルムを使用するカメラでも、フィルム上に異物が付着すると写り込んでしまうが、フィルムの場合は1駒毎にフィルムが移動するため、全ての駒に同様の異物が写り込むのは大変希である。しかし、CCD等の撮像素子の場合は、撮影後に移動しないので、一旦異物が付着すると多くの駒に異物が写り込んでしまう。また、異物が徐々に光学ローパスフィルターに累積していくので影響が大きい。
【0004】
したがって、CCD等の撮像素子の前に防塵フィルターを設けるともに、この防塵フィルターを振動させることで、防塵フィルターに付着した異物を除去する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−23519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の特開2004−23519号公報は構造が複雑である。よって、より簡単で容易な方法で、異物の写り込みの防止することが求められている。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、簡単な構造で塵埃などの異物の撮影画像への写り込みを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の電子カメラは、撮影レンズと、前記撮影レンズによって結像した被写体像を電気信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子の前面に配置された透光板と、前記透光板を、スライドさせるスライド手段と、前記スライド手段によってスライドする前記透光板が当接し、該透光板に付着した異物を除去する清掃部材と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の電子カメラは、撮像素子の前面に配置された透光板をスライド手段でスライドさせると、清掃部材が透光板に付着した異物を除去する。したがって、透光板に付着した塵埃などの異物が撮影画像に写り込むことが防止される。
【0009】
請求項2に記載の電子カメラは、請求項1に記載の構成において、前記透光板は、光学ローパスフィルターであることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の電子カメラは、モアレの発生を防止するために、透過する光の高周波成分を除去する光学ローパスフィルターを清掃し、光学ローパスフィルターに付着した異物の写り込みを防止している。
【0011】
請求項3に記載の電子カメラは、請求項1、又は請求項2に記載の構成において、前記スライド手段は、所定のタイミングで自動的に、前記透光板をスライドさせることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の電子カメラは、所定のタイミングで自動的に透光板がスライドし、清掃部材が透光板に付着した異物を除去する。
【0013】
請求項4に記載の電子カメラは、請求項3に記載の構成において、前記所定のタイミングは、当該電子カメラの電源がONされたときであることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の電子カメラは、当該電子カメラの電源がONされたときに、換言すると撮影開始前には、必ず透光板に付着した異物を除去する。したがって、透光板に塵埃などの異物が付着していない状態で撮影を行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の電子カメラは、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の構成において、前記スライド手段は、撮影者の指示によって前記透光板をスライドさせることを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の電子カメラは、撮影者の指示によって(任意に)透光板をスライドさせて、透光板に付着した異物を除去することができる。
【0017】
請求項6に記載の電子カメラは、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構成において、透過する光を減光させる減光領域を前記透光板に設け、前記スライド手段によって、前記透光板がスライドすることで、前記減光領域を透過して前記撮像素子に結像する減光透位置と、該減光領域を透過しないで前記撮像素子に結像する非減光位置と、いずれか一方の位置を選択できることを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の電子カメラは、透光板を減光透位置と非減光位置との、いずれか一方の位置を選択することで、光量を調整することができる。
【0019】
また、このため、例えば、別途、光量を調整する為の絞り機構を不要とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、撮像素子の前面に配置した透光板をスライドさせることで、塵埃などの異物の撮影画像への写り込みを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の第1の実施形態に係るデジタルカメラについて説明する。
【0022】
図1に示すように、デジタルカメラ10は、主に静止画像を撮影する一眼レフタイプのデジタルスチルカメラである。
【0023】
図1と図2とに示すように、デジタルカメラ10は、カメラ本体12の前面(正面)部にレンズマウント部14が備えられ、レンズマウント部14を介して、複数のレンズからなるレンズ群300(図4参照)などを備えるレンズユニット16が交換可能に装着される。また、シャッターボタン18が正面に向かって左上部に配置されている。
【0024】
図3に示すように、デジタルカメラ10の背面外装部には、光学ファインダ60、表示パネル62、液晶モニター64、十字ボタン66、メニュー/実行ボタン67、バックボタン68、ファンクションボタン63などが設けられている。
【0025】
液晶モニター64には、被写体像及び記録済み画像の再生画像を表示させることができる。また、現在設定されているモードの情報、画像の圧縮率の情報、日時情報、コマ番号なども表示される。更に、ユーザーが各種の設定操作等を行う際のユーザインターフェース用表示画面としても利用され、必要に応じて設定項目などのメニュー情報も表示される。
【0026】
光学ファインダ60は、レンズユニット16(図1、図2参照)からの被写体像を、そのまま見ることができる。
【0027】
図4に示すように、カメラ本体12の内部には、クイックリターンミラー203が撮影光路内に設けられている。クイックリターンミラー203は、レンズユニット16からの被写体光を光学ファインダ60への光路系に導く位置(斜設位置)と撮影光路外に退避する位置(退避位置)との間を移動する。(いわゆる、ミラーダウンとミラーアップ)。なお、図4においては、クイックリターンミラー203はミラーダウンした斜設位置にある。また、一点破線は、光軸201を示している。
【0028】
クイックリターンミラー203の上方には、光学ファインダ60に導かれる被写体光が結像するピント板204が配設されている。ピント板204の上方には、光学ファインダ60の視認性を向上させるためのコンデンサレンズ205が設けられている。そして、ペンタゴナルダハプリズム206で、ピント板204とコンデンサレンズ205とを通った被写体光を、光学ファインダ60用の接眼レンズ208に導く。
【0029】
一方、クイックリターンミラー203の後方には、上下方向(矢印Z方向)にシャッター32が開閉するフォーカルプレーンシャッター型のシャッター機構30が配置されている。なお、図4ではシャッター32は開放した状態である。シャッター機構30の後方には、撮像素子であるCCD22が配置されている。CCD22は多数のフォトダイオード(図示省略)が平面的に配列され、ハニカム配列、ベイヤー配列その他の所定のカラーフィルター配列構造を備えている。このCCD22の前面には、カバーガラス24が配置され、更にその前方には、モアレの発生を防止するために光の高周波成分を除去する光学ローパスフィルター150(以降、OLPF150とする)が配置されている。
【0030】
そして、クイックリターンミラー203が撮影光路外に退避する位置(退避位置)にミラーアップした後、シャッター32が開き、OLPF150を介して、CCD22に電荷を蓄積する。そして、画像データが、記録メディア120(図6参照)に記録される。
【0031】
さて、図5に示すように、前述したOLPF150は、固定部材152によって光軸201と直交する方向(本実施形態では矢印Z方向と直交する矢印Y方向)にスライド自在に取り付けられている。なお、矢印Y方向は、図4では図に直交する方向となる。また、固定部材152の側方に、矢印Y方向に伸縮する伸縮ロッド162を有するアクチュエーター160が設けられている。そして、このOLPF駆動用のアクチュエーター160の伸縮ロッド162の先端がOLPF150の側端部に取付部材154を介して取り付けられている。
【0032】
よって、図5(A)と図5(B)とに示すように、アクチュエーター160の伸縮ロッド162の伸縮によって、OLPF150がY方向にスライドする。なお、図5(A)のOLPF150の位置を所定位置、図5(B)のOLPF150の位置をスライド位置、とする。
【0033】
固定部材152の前面には開口152Aが、後面には開口152Bが形成されている。そして、前面の開口152Aの矢印Y方向の両外側の、OLPF150と間に、清掃部材156,157が取り付けられている。この清掃部材156,157は上下方向(矢印Z方向)に長い角柱形状をしている。
【0034】
このような構成をしているので、OLPF150をアクチュエーター160によって矢印Y方向にスライドさせると、OLPF150の表面は清掃部材156,157で擦られ、OLPF150の表面に付着したゴミなどの異物が除去(捕獲)される。また、少なくとも撮影光が透過する領域全てを清掃部材156,157が当接(清掃)するように、スライド幅や清掃部材156,157の長さが設定されている。
【0035】
なお、清掃部材156,157は、このようにOLPF150の表面に付着したゴミを除去(捕獲)できる素材であれば良く、特に限定されない。例えば、ウエス、スポンジ、フェルトなどを用いることができる。ただし、糸屑などが出ない素材が望ましく、また、OLPF150の表面を傷つけない素材が望ましい。
【0036】
さて、図6は、デジタルカメラ10(カメラ本体12及びレンズユニット16)の内部構成を示すブロック図である。レンズユニット16は、絞り機構80とフォーカシングレンズ82やズームレンズ182等からなるレンズ群300とを備える。さらに、絞り機構80を駆動する手段としてのアイリスモータ83及びその駆動回路(モータドライバ)84、フォーカシングレンズ82を駆動する手段としてのAFモーター86及びその駆動回路(モータドライバ)87、ズームレンズ182を駆動する手段としてのズームモータ186及びその駆動回路(モータドライバ)187、並びに制御用の中央処理装置(以下、レンズCPUという。)88、各種データが格納されているROM89等が内蔵されている。
【0037】
不揮発性記憶手段であるROM89は書き換え不能なものであってもよいし、EEPROMのように書き換え可能なものでもよい。ROM89には当該レンズユニット16の型名、焦点距離、Fナンバー、その他のレンズ性能に関する各種情報(以下、「レンズ情報」という。)が格納されている。
【0038】
レンズユニット16をカメラ本体12のレンズマウント部14に装着すると(図1と図2とを参照)、レンズマウント部14に設けられている電気接点部14Aとレンズユニット16の電気接点部16Aとを介してレンズユニット16とカメラ本体12が電気的に接続され、デジタルカメラ10内のCPU(以下、カメラCPUという。)90とレンズCPU88の間で信号の受渡しが可能となる。
【0039】
カメラCPU90は、所定のプログラムに従って本カメラシステムを統括制御する制御手段として機能するとともに、AE/AF演算など各種の演算を実施する演算手段として機能する。カメラCPU90に接続されているROM91には、カメラCPU90が実行するプログラム及び制御に必要な各種データ等が格納されており、RAM92はカメラCPU90の作業用領域として利用される。不揮発性記憶手段であるROM91は書き換え不能なものであってもよいし、EEPROMのように書き換え可能なものでもよい。
【0040】
カメラCPU90は、カメラ本体12に設けられている電源スイッチ93、モード選択スイッチ94、及びレリーズ検出スイッチ95その他の操作部96からの指示信号に基づいてデジタルカメラ10内の各回路の動作を制御する。なお、操作部96は図3で説明した十字ボタン66、メニュー/実行ボタン67、バックボタン68、ファンクションボタン63等の各種の操作手段を含むブロックである。
【0041】
電源スイッチ93は、デジタルカメラ10の主電源をON/OFFする操作手段である。カメラCPU90は電源スイッチ93の状態を監視し、その状態に応じて電源回路97を制御する。すなわち、電源スイッチ93の閉(ON)状態を検出すると、カメラCPU90は電源回路97に対して起動指令の信号を与え、電源回路97を起動させる。
【0042】
電源回路97はDC/DCコンバータを含む。デジタルカメラ10に装填されている電池98から供給される電力は、電源回路97のDC/DCコンバータによって所要の電圧に変換された後、電源回路97よりデジタルカメラ10内の各回路ブロックに供給される。電源スイッチ93の開(OFF)状態を検出すると、カメラCPU90は電源回路97に対して停止指令の信号を与え、電源回路97からの電力供給を停止させる。なお、主電源のON/OFFについては、電源スイッチ93の操作に限らず、オートパワーON機能(設定された時刻にパワーONする機能)やオートパワーOFF機能(一定時間の無操作状態が継続した場合や設定された時刻に自動的にパワーOFFする機能)によって切り換わる態様もある。
【0043】
モード選択スイッチ94は、デジタルカメラ10の動作モードを設定する手段であり、このモード切換スイッチを操作することによって「撮影モード」(撮影を行うモード)や「再生モード」(記録画像を再生するモード)などの各モードに設定できる。レリーズ検出スイッチ95は、シャッターボタン18(図1参照)の内部に配設される検出スイッチであり、シャッターボタン18の半押し時にONするS1スイッチと、全押し時にONするS2スイッチから構成される。
【0044】
モード選択スイッチ94によって「撮影モード」が選択されると、デジタルカメラ10は撮影可能な状態になる。カメラCPU90がシャッターボタン18の半押し(S1=ON)を検出すると、AE及びAF処理を実施し、その後、シャッターボタン18の全押し(S2=ON)を検知すると、記録用の画像を取り込むためのCCD露光及び読み出し制御を開始する。
【0045】
デジタルカメラ10に搭載されたAE機能はTTL方式のAEであり、デジタルカメラ10内部には、検出系としてのAEセンサ(受光素子)100と、撮影レンズの透過光を分岐してAEセンサ100まで導く検出光路を形成する光学系(不図示)とが設けられている。また、デジタルカメラ10のAF機能はTTL位相差式AFであり、デジタルカメラ10内部には位相差式AFの検出系であるAFモジュール101と、検出光路の形成に必要な光学系(不図示)とが配設されている。AEセンサ100やAFモジュール101の配置構造や光学系の構成などについては、本発明の実施において特に限定されるものではく、一眼レフカメラの分野において知られる様々な態様を適用できる。また、AE/AF機能を実現する手段は、上述の例に限定されず、他のAE/AF方式を用いてもよい。
【0046】
さて、主電源がオンされると、レンズCPU88はカメラCPU90からの信号に基づいてモータドライバ187を制御してズームモータ186を作動させ、ズームレンズ182を所定の位置に移動させる
また、シャッターボタン18が「半押し」されると(S1=ON)、カメラCPU90は、AFモジュール101からの検出信号に基づいてピント状態を判定し、フォーカシングレンズ82の移動制御信号を生成する。この移動制御信号はレンズCPU88に送られる。レンズCPU88はカメラCPU90からの信号に基づいてモータドライバ87を制御してAFモーター86を作動させ、フォーカシングレンズ82を合焦位置に移動させる。
【0047】
また、カメラCPU90は、AEセンサ100からの検出信号に基づいてAE演算を行い、絞り値やシャッタースピードを算出する。カメラCPU90で生成された絞り制御信号はレンズCPU88に送られる。レンズCPU88はカメラCPU90からの信号に基づいてモータドライバ84を制御してアイリスモータ83を作動させ、絞り機構80を所要の開口にする。
【0048】
シャッターボタン18が「全押し」されると(S2=ON)、カメラCPU90は、AE演算の結果に基づいてシャッター機構30(図4参照)を制御し、シャッター機構30のシャッター32を開閉動作させるとともに、CCD22の電荷蓄積時間を制御する。そして、レンズユニット16を介してCCD22に結像された被写体の光学像は、CCD22によって光電変換される。
【0049】
CCD22の各フォトダイオード(図示省略)に蓄積された信号電荷は、タイミングジェネレータ(TG)103から与えられるパルスに基づいて信号電荷に応じた電圧信号(撮像信号)として順次読み出される。CCD22から出力された信号はアナログ処理部104に送られ、相関二重サンプリング(CDS)処理、色分離、ゲイン調整などの所要の処理が行われる。アナログ処理部104で生成された画像信号はA/D変換器106によってデジタル信号に変換された後、画像入力コントローラ108を介してメモリ110に格納される。なお、タイミングジェネレータ103は、カメラCPU90の指令に従ってCCD22、アナログ処理部104及びA/D変換器106に対してタイミング信号を与えており、このタイミング信号によって各回路の同期がとられている。
【0050】
メモリ110に格納されたデータは、バス112を介して画像信号処理回路114に送られる。画像信号処理回路114は、輝度・色差信号生成回路、ガンマ補正回路、シャープネス補正回路、ホワイトバランス補正回路等を含む画像処理手段であり、カメラCPU90からのコマンドにしたがって、画像信号を処理する。
【0051】
画像信号処理回路114に入力された画像データは、輝度信号(Y信号)及び色差信号(Cr,Cb信号)に変換されるとともに、ガンマ補正等の所定の処理が施される。画像信号処理回路114で生成された画像データは圧縮伸長回路116に送られ、JPEGその他の所定の形式に従って圧縮される。圧縮された画像データは、メディアコントローラ118を介して記録メディア120に記録される。
【0052】
圧縮形式はJPEGに限定されず、MPEGその他の方式を採用してもよい。また、画像データを保存する手段は、メモリカードで代表される半導体メモリに限定されず、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなど、種々の媒体を用いることができる。また、リムーバブルメディアに限らず、デジタルカメラ10に内蔵された記録媒体(内部メモリなど)であってもよい。
【0053】
モード選択スイッチ94によって「再生モード」が選択されると、記録メディア120から画像ファイルが読み出される。読み出された画像データは、圧縮伸長回路116によって伸長処理され、VRAM122に送られる。VRAM122に格納されたデータは、
ビデオエンコーダ124によって表示用の所定方式の信号(例えば、NTSC方式のカラー複合映像信号)に変換された後、液晶モニター64に供給される。こうして記録メディア120に格納されている画像が液晶モニター64に表示される。
【0054】
また、カメラCPU90は、OLPF150をY方向にスライドさせるアクチュエーター160(図5参照)も制御している
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0055】
デジタルカメラ10は、ユーザーによって必要に応じ、レンズユニット16が交換される。その際、カメラ本体12の開口部17(図2参照)から、外部の塵埃など異物が、カメラ本体12の内部に侵入する。また、レンズユニット16の装着後も、生産時に混入した異物が振動等によってカメラ本体12の内部に進入する。
【0056】
更に、カメラ本体12の内部の駆動部分(例えば、シャッター機構30)から発生する摩擦粉などの異物もカメラ本体12の内部に存在する。
【0057】
このような異物がOLPF150に付着すると、撮影画像に写り込んでしまう。よって、図5に示すように、デジタルカメラ10のカメラCPU90は、所定のタイミングで、自動的にOPLF150をスライドさせ(図5(A)と図5(B)とに移動し)、OPLF150に付着した異物を清掃部材156,157で除去している。なお、上述したOPLF150に付着した異物を除去する動作を、以降「清掃動作」とする
つぎに、清掃動作を行う所定のタイミングの一例として、主電源がオンされた後に、清掃動作を行う例について説明する
図7に示すように、ステップ302で主電源がオンされる。ステップ304でアクチュエーター160の電源をONする。ステップ306でアクチュエーター160を制御しOLPF150を所定回数スライドさせ清掃する(図5参照)。ステップ308でアクチュエーター160を制御しOLPF150を所定の位置(図5(A)の状態)で止める。ステップ310でアクチュエーター160の電源をオフする。なお、ステップ304からステップ310を以降「清掃ステップA」と記す。
【0058】
つづいて、ステップ312で、ズームモータ186を駆動する。ステップ314でズームレンズ182を移動する。ステップ316でズーム指定位置に停止する。ステップ318でAFモーター86をオンする。ステップ320でシャッターボタン18が半押しされると、フォーカシングレンズ82を合焦位置に移動して停止する。そして、ステップ322で撮影状態となる。なお、ステップ312からステップ322を、「撮影準備スッテップB」と記す。
【0059】
つまり、このように主電源がオンされる毎に、必ずOLPF150の清掃動作を行なってから撮影可能な状態となる。
【0060】
なお、主電源のオンは、電源スイッチ93の操作に限らず、オートパワーON機能(設定された時刻にパワーONする機能)によって主電源がオンとなる場合も含む。
【0061】
また、主電源のオン時以外に自動的に清掃動作を行ってもよい。例えば、レンズユニット16を交換した後に自動的に清掃動作を行うようにしても良い。
【0062】
つぎに、撮影者が、十字ボタン66、メニュー/実行ボタン67(図3参照)などを操作して清掃動作を行う例について説明する。
【0063】
図8に示すように、ステップ400で、十字ボタン66、メニュー/実行ボタン67(図3参照)などを操作し、OLPF150への異物の付着状態を確認する。ステップ402で撮影者が清掃の必要なしと判断した場合は、前述した「撮影準備ステップB」(図7参照)へ進み、撮影状態となる。
【0064】
ステップ402で撮影者が、清掃が必要を判断した場合は、前述した「清掃ステップA」(図7参照)と同様のステップを行いOLPF150を清掃したのち、「撮影準備ステップB」(図7参照)に進み、撮影状態となる。
【0065】
つぎに、OLPF150への異物の付着状態を確認する方法の一例を下記に説明する。
【0066】
フォーカシングレンズ82を無限遠端まで作動させて、被写体像を撮像素子であるCCD22に結像させないことにより、CCD22の前面に配置されたOLPF150に付着した異物のみを撮像することができる。その撮像を液晶モニター64に写し、撮影者が撮影に影響を与えると判断すると、前述したように、清掃作業(清掃ステップA)を行うような操作(指示)をする。
【0067】
このように、デジタルカメラ10の内部の比較的奥まったところに配置されているCCD22の前方に配置されたOLPF150に、塵埃などの異物が付着しても容易に除去できる。また、レンズユニット16を外さないで清掃できるので、新たな塵埃が付着することもない。
【0068】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係るデジタルカメラについて説明する。
【0069】
なお、第1の実施形態とはOLPFが異なるのみで、他の部材や構造は第一の実施形態と同様である。
【0070】
図9と図10とに示すように、OLPF600は正面から見て略右半分の領域にND(Neutral Density)蒸着を施している。このND蒸着した減光領域602を透過する光は減光される。
【0071】
そして、OLPF600をアクチュエーター160でスライドし、図9(B)と図10(B)とに示す、減光領域602を透過してCCD22に結像する減光位置と、図9(A)と図10(A)とに示す、減光領域602を透過しないでCCD22に結像する非減光位置と、の二つの位置で撮影が可能となっている。
【0072】
なお、OLPF600をスライドすると、第一の実施形態と同様に清掃部材156,157がOLPF600の表面を清掃し、OLPF600の表面に付着した異物を除去する。
【0073】
なお、本実施形態のデジタルカメラは、絞り機構80(図6参照)は備えていない。
【0074】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0075】
OLPF600の清掃動作については第一の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0076】
図9に示すとともに、前述したように、撮影者が、十字ボタン66、メニュー/実行ボタン67(図3参照)などを操作し、OLPF600をスライドさせ、減光領域602を透過してCCD22に結像する減光位置(図9(B)、図10(B))と、減光領域602を透過しないでCCD22に結像する非減光位置(図9(A)、図10(A))と、の二つの位置のいずれか一方位置で撮影が可能となっている。
【0077】
よって、例えば、屋外などの明るい場所での撮影はOLPF600を減光位置(図9(B)、図10(B))とし、屋内や夕方などの暗い場所での撮影はOLPF600を非減光位置(図9(A)、図10(A))とすることで、光量を調整できる。
【0078】
したがって、絞り機構80(図6参照)が不要となる。よって、低コストかつ小型化されたデジタルカメラとなっている。
【0079】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0080】
例えば、上記実施形態では、CCD22の前方に配置された光学ローパスフィルター150,600をスライドする構成としたが、光学ローパスフィルター150,600以外の、CCD22の前方に配置されている透光板をスライドし、清掃部材で清掃する構成であっても良い。
【0081】
また、例えば、上記実施形態では、主に静止画像を撮影する一眼レフタイプのデジタルカメラを例にとって説明したが、これに限定されない。主に動画を撮影するデジタルビデオカメラやDVDカメラなど、各種の電子カメラに本発明は適用することができる。
【0082】
また、一眼レフタイプに限らず、他のタイプのレンズ交換式の電子カメラにも同様に適用することもできる。
【0083】
更に、レンズ交換ができないレンズ固定タイプの電子カメラ(例えば、コンパクトタイプのデジタルカメラ)にも適用できる。なお、レンズ固定タイプの電子カメラでは、レンズ交換の際の塵埃の侵入は無い。しかし、生産時に混入したゴミや駆動部分から発生する摩擦粉などの異物がOLPF150,600に付着してしまうことがあり、しかも、本発明が適用されていない場合、ユーザー自身ではOLPF150,600に付着した異物を除去できない。したがって、本発明を適用することは有効である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第一の実施形態のデジタルカメラの斜視図である。
【図2】レンズユニットを外した状態のデジタルカメラの斜視図である。
【図3】第一の実施形態のデジタルカメラの背面を示す図である。
【図4】第一の実施形態のデジタルカメラの内部を模式的に示す図である。
【図5】第一の実施形態のデジタルカメラの内部の要部を上方から見た図であり、(A)はOLPFが固定位置にある状態を示し、(B)はOLPFがスライド位置にある状態を示す図である。
【図6】第一の実施形態のデジタルカメラのブロック図である。
【図7】電源ON時に自動的に清掃動作を行う場合のフローチャートである。
【図8】撮影者が指示をすると清掃動作を行う場合のフローチャートである。
【図9】第二の実施形態のデジタルカメラの内部の要部を上方から見た図であり、(A)はOLPFが非減光位置にある状態を示し、(B)はOLPFが減光位置にある状態を示す図である。
【図10】第二の実施形態のデジタルカメラの内部の要部を正面から見た図であり、(A)はOLPFが非減光位置にある状態を模式的に示し、(B)はOLPFが減光位置にある状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0085】
10 デジタルカメラ(電子カメラ)
22 CCD(撮像素子)
150 光学ローパスフィルター(透光板)
156 清掃部材
157 清掃部材
160 アクチュエーター(スライド手段)
300 レンズ群(撮影レンズ)
602 減光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズと、
前記撮影レンズによって結像した被写体像を電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子の前面に配置された透光板と、
前記透光板を、スライドさせるスライド手段と、
前記スライド手段によってスライドする前記透光板が当接し、該透光板に付着した異物を除去する清掃部材と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
前記透光板は、光学ローパスフィルターであることを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記スライド手段は、所定のタイミングで自動的に、前記透光板をスライドさせることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記所定のタイミングは、当該電子カメラの電源がONされたときであることを特徴とする請求項3に記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記スライド手段は、撮影者の指示によって前記透光板をスライドさせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子カメラ。
【請求項6】
透過する光を減光させる減光領域を前記透光板に設け、
前記スライド手段によって、前記透光板がスライドすることで、
前記減光領域を透過して前記撮像素子に結像する減光透位置と、該減光領域を透過しないで前記撮像素子に結像する非減光位置と、のいずれか一方の位置を選択できることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−124194(P2007−124194A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312430(P2005−312430)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】