説明

電子カメラ

【課題】操作性の低下やコストアップを招くことなく、撮影の際に多数の機能を効率よく利用して被写体を撮影できる電子カメラを提供する。
【解決手段】撮像部14と、撮像部14による撮影画像を表示する表示部16と、表示部16上に配置されたタッチパネル11と、タッチパネル11のタッチ面11aに対する押圧入力による押圧荷重を検出する荷重検出部13と、押圧荷重に基づいて撮像部14による撮影動作を制御する制御部17と、を備え、制御部17は、押圧荷重がそれぞれ異なる所定の複数の撮影準備荷重基準を満たす毎に、それぞれ異なる撮影準備処理を実行し、その後、押圧荷重が撮影準備荷重基準よりも大きい所定の撮影実行荷重基準を満たすと撮影処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子カメラとして、例えば、撮影画像や再生画像を表示する液晶モニタの上面に押圧力を検知するタッチパネルを設け、液晶モニタに表示されている主被写体に対応するタッチパネルの領域へのタッチを検知すると、その主被写体にピントや露出を合わせる撮影準備動作を行い、さらに強いタッチを検知すると撮影動作を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−355617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の電子カメラは、タッチパネルの押圧力が所定の押圧力未満の場合に撮影準備動作を行い、所定の押圧力以上の場合に撮影動作を行うようにしている。つまり、タッチパネルの2段階の押圧操作で撮影動作を行うようにしている。
【0005】
しかしながら、近年、電子カメラの多機能化が顕著であり、特許文献1に開示のようなタッチパネルの2段階の押圧操作では、カメラの持つ所望の撮影機能を実行することができない場合が生じ、その結果、操作性が低下するおそれがある。
【0006】
かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、操作性低下のおそれを低減でき、撮影の際に多数の機能を効率よく利用して被写体を撮影できる電子カメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する第1の観点に係る電子カメラの発明は、
撮像部と、
該撮像部による撮影画像を表示する表示部と、
該表示部上に配置されたタッチパネルと、
該タッチパネルのタッチ面に対する押圧入力による押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記押圧荷重に基づいて前記撮像部による撮影動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記押圧荷重がそれぞれ異なる所定の複数の撮影準備荷重基準を満たす毎に、それぞれ異なる撮影準備処理を実行し、その後、前記押圧荷重が前記撮影準備荷重基準よりも大きい所定の撮影実行荷重基準を満たすと撮影処理を実行する、
ことを特徴とするものである。
【0008】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る電子カメラにおいて、
前記撮影準備処理は、前記タッチ面の押圧入力位置に対するフォーカスロック処理およびシーン設定処理を含み、
前記制御部は、
前記押圧荷重が第1撮影準備荷重基準を満たすと、前記フォーカスロック処理または前記シーン設定処理を実行し、前記押圧荷重が前記第1撮影準備荷重基準よりも大きい第2撮影準備荷重基準を満たすと、前記シーン設定処理または前記フォーカスロック処理を実行する、
ことを特徴とするものである。
【0009】
第3の観点に係る発明は、第2の観点に係る電子カメラにおいて、
前記表示部は、前記撮影画像の合焦領域を示すフォーカスマークを表示し、
前記制御部は、前記フォーカスマークに対応する前記タッチ面の押圧入力検出領域に対する前記押圧荷重に基づいて、前記フォーカスロック処理および前記シーン設定処理をそれぞれ実行する、
ことを特徴とするものである。
【0010】
第4の観点に係る発明は、第3の観点に係る電子カメラにおいて、
前記制御部は、前記シーン設定処理において、前記押圧入力検出領域からの前記押圧入力位置の移動、移動量、前記押圧入力位置の滞留時間、前記押圧荷重の変化の少なくとも一つに基づいて撮影シーンを設定する、
ことを特徴とするものである。
【0011】
第5の観点に係る発明は、第1から4のいずれかの観点に係る電子カメラにおいて、
前記撮像部は、発光部を備え、
前記撮影実行荷重基準は、第1撮影実行荷重基準と、該第1撮影実行荷重基準よりも大きい第2撮影実行荷重基準とを有し、
前記制御部は、
前記押圧荷重が第1撮影実行荷重基準を満たすと、前記発光部を発光させることなく前記撮影処理を実行し、
前記押圧荷重が第2撮影実行荷重基準を満たすと、前記発光部を発光させて前記撮影処理を実行する、
ことを特徴とするものである。
【0012】
第6の観点に係る発明は、第5の観点に係る電子カメラにおいて、
前記第1撮影実行荷重基準は、前記複数の撮影準備荷重基準のいずれよりも大きい、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タッチ面の押圧荷重が、静止画像の撮影処理を実行する撮影実行荷重基準を満たすまでの一連の押圧操作において、複数の撮影準備荷重基準を順次満たす各段階でそれぞれ異なる撮影準備処理を実行するようにしたので、操作性低下のおそれを低減でき、撮影の際に多数の機能を効率よく利用して被写体を撮影することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子カメラの要部の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の電子カメラの撮影動作例を示すフローチャートである。
【図3】図1の電子カメラの撮影動作例を示すフローチャートである。
【図4】図2および図3の撮影動作例における表示部の表示態様とタッチ面の押圧状態との関係を模式的に示す図である。
【図5】図2および図3の撮影動作例におけるタッチ面の押圧荷重と荷重閾値との一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子カメラの要部の構成を示す機能ブロック図である。図1に示す電子カメラは、タッチパネル11、触感呈示部12、荷重検出部13、撮像部14、記憶部15、表示部16、および、制御部17を有する。
【0017】
タッチパネル11は、そのタッチ面11aに対する指やスタイラスペンなどの押圧対象によるタッチ入力を検出するもので、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等のタッチ位置(押圧対象の押圧位置)の二次元位置情報を出力する公知の透明なタッチパネルからなり、表示部16上に配置される。このタッチパネル11からの位置情報は、制御部17に供給される。
【0018】
触感呈示部12は、圧電素子や偏心モータ等の公知の振動素子を用いて構成される。圧電素子を用いる場合、圧電素子は、タッチパネル11の裏面(タッチ面11aとは反対側の面)に装着され、制御部17の制御により駆動電圧が印加されると、圧電逆効果によりタッチ面11aを振動させる。なお、圧電素子は、タッチパネル11の面積や、振動振幅等に応じて、モノモルフ、ユニモルフ、バイモルフ等の公知の構造のものが用いられる。
【0019】
荷重検出部13は、タッチ面11aに対する押圧入力による押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子等の荷重に対して反応する素子を用いて構成される。なお、触感呈示部12が圧電素子を用いて構成される場合は、該圧電素子の圧電正効果を利用してタッチ面11aに対する押圧荷重を検出することが可能である。この場合、制御部17に荷重検出部13の機能を持たせることができる。
【0020】
撮像部14は、被写体を撮像するもので、公知の撮像レンズ、ズームレンズやフォーカスレンズおよび絞り等の光学系、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を有して構成される。また、撮像部14は、被写体を選択的にフラッシュ照明するフラッシュ発光部14aを有している。撮像部14から得られる画像データは、制御部17で画像処理されて表示部16に表示されるとともに、必要に応じて記憶部15に記憶される。
【0021】
記憶部15は、各種アプリケーション、入力された各種情報、撮影された静止画像や動画像などを記憶するとともに、画像処理等のワークメモリなどとしても機能する。また、記憶部15は、各段階の入力を受け付けて撮影動作を実行するための各種の荷重閾値を記憶するとともに、触感呈示部12を駆動して押圧対象に対して様々な触感を呈示するための触感呈示情報を記憶する。
【0022】
触感呈示情報は、例えば、触感呈示部12が圧電素子を用いて構成される場合、操作者が「ブル」や「ブニ」と感じられる軟質的な触感を呈示するものとして、200Hz〜500Hz程度の三角波信号や正弦波信号の2〜3周期分の情報が記憶される。また、操作者が「カツ」と感じられる硬質な触感を呈示する触感呈示情報として、200Hz〜500Hz程度の矩形波信号の2〜3周期分の情報が記憶される。また、操作者が、押しボタンスイッチのような「カチ」と感じるクリック触感を呈示する触感呈示情報として、100Hz〜200Hz程度の正弦波信号または矩形波信号の1周期分の情報が記憶される。これらの触感呈示情報は一例であって、種々の振動振幅や振動パターン等の触感呈示情報が記憶される。なお、記憶部14は、制御部17の内蔵メモリで構成される場合もある。
【0023】
表示部16は、例えば、液晶モニタや有機ELモニタ等により構成され、撮影シーン等の撮影条件や撮像部14で撮像された撮影画像等が表示される。ここで、表示部16による撮影画像の表示態様には、撮像画像をリアルタイムに動画像として表示する、いわゆるライブビュー画像の表示態様や、撮像画像をいわゆるシャッターを切る動作(静止画像を取得する動作)により静止画像として表示する態様がある。また、表示部16には、静止画像の撮影モードにおいて、制御部17で画像処理された撮影画像の合焦領域を示すフォーカスマークが、撮影画像に重畳して表示される。なお、表示部16にライブビューにより表示された撮影画像に対する押圧対象によるタッチは、タッチパネル11から出力される位置情報に基づいて制御部17により検出される。
【0024】
制御部17は、例えばCPU等からなり、タッチパネル11からの位置情報、荷重検出部12からの押圧荷重情報に基づいて各部の動作を制御する。また、制御部17は、撮像部14からの画像データに基づいて、撮像部14の光学系を制御して、被写体に対する焦点を自動で調整するオートフォーカス処理を行う。なお、オートフォーカス処理としては、公知の種々のオートフォーカス処理が適用可能である。このオートフォーカス処理によって、表示部16にフォーカスされた領域(合焦領域)を示すフォーカスマークが、撮影画像に重畳して表示される。また、制御部17は、撮像部14からの画像データに基づいて、撮影シーンを自動的に設定し、その設定した撮影シーンを表示部16に表示する。
【0025】
次に、本実施の形態に係る電子カメラによる静止画像の撮影モードについて、図2〜図5を参照して説明する。図2および図3は、静止画像の撮影動作例を示すフローチャートである。図4(a)〜(g)は、表示部16の表示態様とタッチ面11aの押圧状態との関係を模式的に示す図である。図5は、タッチ面11aの押圧荷重と荷重閾値との一例を示す図である。本撮影動作例では、荷重閾値として第1荷重P1、第2荷重P2、第3荷重P3および第4荷重P4の4つの荷重閾値を設定する。ただし、各荷重閾値は、P1<P2<P3<P4、の関係にあるものとする。以下、図2および図3に示すフローチャートに従って静止画像の撮影動作例を説明する。
【0026】
図2に示すように、静止画像の撮影モードでは、制御部17は、撮像部14からの画像データを画像処理して、表示部16にライブビュー画像を表示する(ステップS201)。図4(a)は、この場合のライブビュー画像の表示例を示す。そして、制御部17は、ライブビュー画像に対してオートフォーカス処理を実行して、図4(b)に示すように、表示部16に合焦領域を示すフォーカスマークMを表示する(ステップS203)。なお、図4(b)は、顔認識に基づくオートフォーカス処理によって、被写体である複数の人物の顔の部分にフォーカスされた状態を例示している。
【0027】
制御部17は、フォーカスマークMを表示すると、当該フォーカスマークMに対応するタッチ面11aの座標位置を検出して(ステップS205)、検出されたタッチ面11aの座標位置を押圧入力検出領域として設定する(ステップS207)。
【0028】
その後、制御部17は、フォーカスマークの位置が移動したか否か、すなわち被写体や撮影構図が変更されたか否かを監視する(ステップS209)。その結果、フォーカスマークの位置が移動したのを検知すると、ステップS205へ移行する。また、ステップS209において、フォーカスマークの位置が移動していない場合、制御部17は押圧入力検出領域に対して押圧があったか否かを監視する。さらに、制御部17は、タッチパネル11からの押圧入力位置の位置情報および荷重検出部13による押圧荷重Pに基づいて、設定したタッチ面11aの押圧入力検出領域における押圧荷重Pが、P1≦P<P2を満たすか否か、つまり第1撮影準備荷重基準を満たすか否かを監視する(ステップS211)。
【0029】
その結果、P1≦P<P2を満たしたのを検知すると、制御部17は、フォーカスロック処理を実行して(ステップS213)、撮像部14のフォーカス状態を現在の状態に固定する。また、制御部17は、触感呈示部12を所定の触感呈示情報により駆動して、タッチ面11aを押圧している押圧対象に第1触感を呈示する(ステップS215)。これにより、図4(c)に示すように、フォーカスマークMに対応するタッチ面11aへの一段押下の押圧入力を受け付けて、フォーカスをロックするとともに、押圧対象Fに触感を呈示してフォーカスがロックされたことを撮影者に通知する。
【0030】
その後、制御部17は、押圧入力検出領域の押圧状態下で、その押圧荷重PがP2≦P<P3を満たすか否か、つまり第2撮影準備荷重基準を満たすか否かを監視する(ステップS217)。その結果、当該基準を満たすと、制御部17は、フォーカスロックした画像データに基づいて自動シーン設定処理を実行する(ステップS219)。これにより、撮影シーンを自動的に設定して、その設定した撮影シーンを、図4(d)に示すように、表示部16の所定の領域に表示する。図4(d)は、表示部16の左上部に、撮影シーンが「人物」に設定されたことを表示した例を示している。
【0031】
また、制御部17は、自動シーン設定処理を終了すると、触感呈示部12を所定の触感呈示情報により駆動して、タッチ面11aを押圧している押圧対象に第2触感を呈示する(ステップS221)。これにより、自動シーン設定処理が終了したことを、撮影者に通知する。なお、この場合に呈示する第2触感は、フォーカスロックの際に呈示する第1触感と同じ触感でもよいし、異なる触感でもよい。
【0032】
その後、制御部17は、押圧入力検出領域の押圧荷重Pを監視しながら、撮影シーン設定後の所定時間内に、押圧入力検出領域からの押圧入力位置の移動(スイープ操作)の有無を監視する(ステップS223)。その結果、押圧荷重PがP2≦P<P3を満たす状態で、スイープ操作が検出された場合、制御部17は、シーン切替処理を実行して(ステップS225)、ステップS221へ移行する。これにより、図4(e)に示すように、表示部16の撮影シーンの表示を、切替えた撮影シーンに切替える。図4(e)は、撮影シーンが「屋内」に設定変更された場合の表示例を示している。また、撮影シーンの設定変更に同期して、ステップS221において、第2触感を呈示することにより、撮影シーンが設定変更されたことを、撮影者に通知する。
【0033】
本実施の形態においては、押圧荷重PがP2≦P<P3を満たす状態で、押圧入力検出領域に対して押圧入力位置が出し入れされる毎に、撮影シーンの設定が変更される。これにより、一段押下によるフォーカスロックに引き続く二段押下によって撮影シーンを設定するとともに、押圧対象Fに触感を呈示して撮影シーンが設定されたことを撮影者に通知する。
【0034】
なお、撮影シーンは、押圧荷重PがP2≦P<P3を満たす状態で、押圧入力検出領域からの押圧入力位置の移動量に応じて、設定変更することも可能である。あるいは、押圧荷重PがP2≦P<P3を満たす状態での押圧入力位置の滞留時間に応じて、設定変更することも可能である。この場合、押圧入力位置は、押圧入力検出領域にあっても、該領域から外れた領域であってもよいが、押圧入力検出領域以外で撮影シーンを選択し、押圧入力検出領域に戻ることで、選択された撮影シーンを確定するようにしてもよい。
【0035】
一方、制御部17は、撮影シーンの自動設定後、自動設定された撮影シーンの変更設定後、または、フォーカスロック処理の終了後、所定時間経過すると、図3に示すように、押圧入力検出領域における押圧荷重Pが、P3<P<P4を経過してP≦P3を満たすか否か、つまり第1撮影実行荷重基準を満たすか否かを監視する(ステップS227)とともに、P4<Pを経過してP≦P4を満たすか否か、つまり第2撮影実行荷重基準を満たすか否かを監視する(ステップS229)。
【0036】
その結果、ステップS227において、第1撮影実行荷重基準を満たす場合、制御部17は、シャッタ処理(撮影処理)を実行する(ステップS231)。また、制御部17は、触感呈示部12を所定の触感呈示情報により駆動して、タッチ面11aを押圧している押圧対象に第3触感を呈示する(ステップS233)。これにより、図4(f)に示すように、二段押下によるシーン設定に引き続く三段押下によって静止画像を撮影するとともに、押圧対象Fに触感を呈示して撮影が実行されたことを撮影者に通知する。なお、この場合に呈示する第3触感は、フォーカスロックやシーン設定の際に呈示する第1触感や第2触感と同じ触感でもよいし、異なる触感でもよい。
【0037】
その後、制御部17は、撮影した静止画像をJPEGデータ等の画像データに圧縮して記憶部15へ保存する処理を実行し(ステップS235)、さらに、表示部16に対する表示データおよび押圧入力検出領域の初期化処理を実行して(ステップS237)、一枚の静止画像の撮影動作を終了し、次の撮影に備える。
【0038】
これに対し、ステップS229において、第2撮影実行荷重基準を満たす場合、制御部17は、フラッシュ発光部14aを駆動してフラッシュ発光させてシャッタ処理を実行し(ステップS239)、ステップS233へ移行する。これにより、図4(g)に示すように、二段押下によるシーン設定に引き続く三段押下を通過した四段押下によって、静止画像をフラッシュ撮影するとともに、押圧対象Fに触感を呈示して撮影が実行されたことを撮影者に通知する。なお、ステップS233での第3触感の呈示とともに、あるいは、第3触感の呈示に代えて、シャッタ音を擬似的に発生させてもよい。
【0039】
他方、上記の第1撮影実行荷重基準および第2撮影実行荷重基準をともに満たさない場合、例えば、フォーカスロック状態が所定時間を経過した場合や、図5において、押圧入力検出領域の押圧荷重Pが、第3荷重P3を超えることなく第2荷重を下回った場合、制御部17は、フォーカスロックおよびシーン設定を解除し(ステップS241)、静止画像の撮影処理を行うことなく、ステップS237へ移行して次の撮影に備える。
【0040】
以上のように、本実施の形態に係る電子カメラによれば、タッチパネル11の押圧入力検出領域を押圧して、静止画像を撮影するシャッタ処理やフラッシュ・シャッタ処理が実行されるまでの一連の押圧操作のなかで、一段目の荷重基準でフォーカスロック処理が実行され、二段目の荷重基準でシーン設定処理が実行される。つまり、撮影処理に至る一連の押圧操作のなかで、撮影に必要な複数の処理が異なる荷重基準で順次実行される。したがって、別途にハードキーを設ける必要がないので、操作性の低下やコストアップを招くことなく、多数の機能を効率よく利用して被写体を撮影することができる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記実施の形態において、撮影シーンの設定変更は、押圧入力検出領域あるいは押圧入力検出領域外での押圧荷重Pが、P1<P<P3の間で、P2を超える毎に撮影シーンを切替えて変更することも可能である。また、押圧入力検出領域は、フォーカスマークに対応する領域に限らず、タッチパネル11の任意の位置に設定することが可能である。例えば、表示部16にレリーズボタンを表示し、そのレリーズボタンに対応するタッチパネル11の領域を押圧入力検出領域として設定してもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、触感呈示部12により、各段階の処理において触感を呈示するようにしたが、触感呈示部12に代えて音源部を設けて、各段階の処理の実行を音や音声によって報知することも可能である。さらに、上記実施の形態では、撮影準備処理として、フォーカスロック処理の後にシーン設定処理を実行したが、その順番を逆にして、シーン設定処理の後にフォーカスロック処理を実行するようにしてもよい。また、撮影準備処理は、フォーカスロック処理およびシーン設定処理に限らず、解像度(画質)等の他の項目を設定することもできるし、三段階以上の荷重基準を設定して、一連の押圧操作のなかで、より多くの撮影条件を設定することも可能である。
【0043】
また、本発明は、静止画像の取得に限られず、例えば、適宜、動画の取得に用いられてもよい。この場合、フラッシュ発光部ではなく、照明用の常時点灯する発光部(光源)が用いられてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態の説明における表示部16およびタッチパネル11は、表示部16とタッチパネル11との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部16とタッチパネル11との両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することによって、タッチ位置を検出することができる。
【0045】
また、上記実施の形態では、荷重検出部13により検出される押圧荷重が、所定の基準を満たした際に、触感呈示部12を駆動させるが、荷重検出部13により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際とは、荷重検出部13により検出される押圧荷重が所定値に達した際であってもよいし、荷重検出部13により検出される押圧荷重が所定値を超えた際でもよいし、荷重検出部13により所定値が検出された際でもよい。
【0046】
したがって、上記実施の形態の説明において、例えば、荷重閾値「以上」または荷重閾値「未満」のような表現の技術的思想が意味する内容は必ずしも厳密な意味ではなく、装置の仕様に応じて、基準となる値を含む場合または含まない場合の意味を包含するものとする。例えば、荷重閾値「以上」とは、押圧荷重が荷重閾値に達した場合のみならず、荷重閾値を超えた場合も含意し得るものとする。また、例えば荷重閾値「未満」とは、押圧荷重が荷重閾値を下回った場合のみならず、荷重閾値に達した場合、つまり荷重閾値以下になった場合も含意し得るものとする。
【符号の説明】
【0047】
11 タッチパネル
11a タッチ面
12 触感呈示部
13 荷重検出部
14 撮像部
14a フラッシュ発光部
15 記憶部
16 表示部
17 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
該撮像部による撮影画像を表示する表示部と、
該表示部上に配置されたタッチパネルと、
該タッチパネルのタッチ面に対する押圧入力による押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記押圧荷重に基づいて前記撮像部による撮影動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記押圧荷重がそれぞれ異なる所定の複数の撮影準備荷重基準を満たす毎に、それぞれ異なる撮影準備処理を実行し、その後、前記押圧荷重が前記撮影準備荷重基準よりも大きい所定の撮影実行荷重基準を満たすと撮影処理を実行する、
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
前記撮影準備処理は、前記タッチ面の押圧入力位置に対するフォーカスロック処理およびシーン設定処理を含み、
前記制御部は、
前記押圧荷重が第1撮影準備荷重基準を満たすと、前記フォーカスロック処理または前記シーン設定処理を実行し、前記押圧荷重が前記第1撮影準備荷重基準よりも大きい第2撮影準備荷重基準を満たすと、前記シーン設定処理または前記フォーカスロック処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記表示部は、前記撮影画像の合焦領域を示すフォーカスマークを表示し、
前記制御部は、前記フォーカスマークに対応する前記タッチ面の押圧入力検出領域に対する前記押圧荷重に基づいて、前記フォーカスロック処理および前記シーン設定処理をそれぞれ実行する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記制御部は、前記シーン設定処理において、前記押圧入力検出領域からの前記押圧入力位置の移動、移動量、前記押圧入力位置の滞留時間、前記押圧荷重の変化の少なくとも一つに基づいて撮影シーンを設定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記撮像部は、発光部を備え、
前記撮影実行荷重基準は、第1撮影実行荷重基準と、該第1撮影実行荷重基準よりも大きい第2撮影実行荷重基準とを有し、
前記制御部は、
前記押圧荷重が第1撮影実行荷重基準を満たすと、前記発光部を発光させることなく前記撮影処理を実行し、
前記押圧荷重が第2撮影実行荷重基準を満たすと、前記発光部を発光させて前記撮影処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項6】
前記第1撮影実行荷重基準は、前記複数の撮影準備荷重基準のいずれよりも大きい、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子カメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−134861(P2012−134861A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286485(P2010−286485)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】