電子ガイドシステムと電子ガイドシステム用プログラムと記録媒体とそのリーダライタ制御方法
【課題】利用者の種類に応じた展示品の詳細なガイドを、十分な電源を内蔵していなくても送受信して表示する。
【解決手段】電子ガイド装置14は、発光機能を持たず保持電力を消費しない表示デバイス18と、表示デバイス18の表示画像を更新する書き換え制御回路20と、問い合わせ信号に応答して利用者識別情報22を送信する送信機24と、ガイドデータ28を受信して書き換え制御回路20に供給する受信機30と、電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する電源回路32とを備える。リーダライタ装置16は、電子ガイド装置14に電磁誘導により電力を供給する電力供給回路34と、問い合わせ信号を送信して利用者識別情報22を取得する問い合わせ回路36と、利用者の種別に応じた展示品26のガイドデータ28を送信するデータ書き込み回路とを備える。
【解決手段】電子ガイド装置14は、発光機能を持たず保持電力を消費しない表示デバイス18と、表示デバイス18の表示画像を更新する書き換え制御回路20と、問い合わせ信号に応答して利用者識別情報22を送信する送信機24と、ガイドデータ28を受信して書き換え制御回路20に供給する受信機30と、電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する電源回路32とを備える。リーダライタ装置16は、電子ガイド装置14に電磁誘導により電力を供給する電力供給回路34と、問い合わせ信号を送信して利用者識別情報22を取得する問い合わせ回路36と、利用者の種別に応じた展示品26のガイドデータ28を送信するデータ書き込み回路とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美術館や博物館等において、展示品の詳細なガイドを利用者に個別に表示するために用いられる電子ガイドシステムと電子ガイドシステム用プログラムと記録媒体とそのリーダライタ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
美術館や博物館等において、展示品の説明は壁や展示棚部分に表示される。しかし、表示できる文字数や文字サイズの制限により詳細な説明は難しく、多言語にも対応できない。そこで、携帯電話や携帯端末装置を使用して詳細な説明文を紹介する技術が開発されている(特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−235166号公報
【特許文献2】特開2002−329125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、携帯電話を多用すると騒音が激しくなる。また、ディスプレイが小さいから表示できる情報に限界がある。携帯端末装置を使用しても同様の問題があり、また、高い頻度で説明文の送受信を繰り返すと、バッテリの消耗が激しい。本発明は、これらの課題を解決するためになされた。本発明は、利用者の種類に応じた展示品の詳細なガイドを、十分な電源を内蔵していなくても送受信して表示できる、電子ガイドシステムと電子ガイドシステム用プログラムと記録媒体とそのリーダライタ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の構成は上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉画像を表示するとともに当該画像の画像データを記憶した状態を持続して、上記画像を継続して表示する記憶性表示部と、上記記憶性表示部に上記画像データを記憶させて、上記画像を表示させる表示制御回路部と、識別に用いる識別情報を送信する送信部と、上記画像データを受信して上記画像データを上記表示制御回路部に供給する受信部と、電磁誘導により取得した電力を供給して駆動する電源回路部とを有する電子表示装置と、上記電源回路部に電磁誘導により上記電力を供給する電力供給回路部と、上記電子表示装置に対して問い合わせ信号を送信して、上記送信部から送信された上記識別情報を取得する問い合わせ回路部と、上記受信部に対して、上記識別情報により選択された種別に応じた上記画像データを送信するデータ書き込み回路部とを有するリーダライタ装置とを備えたことを特徴とする電子ガイドシステム。
【0005】
識別情報により選択された種別に応じた画像データが、リーダライタ装置から電子表示装置に自動的に送信される。記憶性表示部は、次の画像データに書き換えられるまで、表示画像をそのまま継続して表示することができる。
【0006】
〈構成2〉発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しない表示デバイスと、この表示デバイスの表示画像を更新する書き換え制御回路と、問い合わせ信号に応答して利用者を識別するための利用者識別情報を送信する送信機と、展示品を説明するためのガイドデータを受信して書き換え制御回路に供給する受信機と、電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する電源回路とを有する電子ガイド装置と、上記電子ガイド装置の電源回路に電磁誘導により電力を供給する電力供給回路と、上記電子ガイド装置に対して問い合わせ信号を送信して、上記送信機から利用者識別情報を取得する問い合わせ回路と、上記受信機に対して、上記利用者識別情報により選択された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路とを有するリーダライタ装置とを備えたことを特徴とする電子ガイドシステム。
【0007】
高齢者、子供、外国人といった、利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを、電子ガイド装置に個別に表示するので分かり易い。表示デバイスは発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しないから、電源が不要で装置が軽量化できる。ガイドデータの書き換え処理時には、リーダライタ装置から電力を供給できる。
【0008】
〈構成3〉構成2に記載の電子ガイドシステムにおいて、上記リーダライタ装置は、それぞれ異なる展示品を説明する複数のガイドデータに所定の順位を付して記憶する記憶装置を備え、この記憶装置は、上記利用者識別情報と直前に送信をしたガイドデータの順位を示す情報とを記憶し、問い合わせ回路が、新たに上記送信機に対して問い合わせ信号を送信して、既に記憶された利用者識別情報が取得されたとき、上記データ書き込み回路は、上記ガイドデータの順位を参照して、次の順位のガイドデータを上記受信機に対して送信することを特徴とする電子ガイドシステム。
【0009】
複数の展示品があっても、1台のリーダライタ装置でこれらの展示品を説明する複数のガイドデータを送信できる。電子ガイド装置をリーダライタ装置に近づけると、最初のガイドデータが書き込まれる。その後に再び電子ガイド装置をリーダライタ装置に近づけると、次の順位のガイドデータに書き換えられる。
【0010】
〈構成4〉構成2に記載の電子ガイドシステムにおいて、上記展示品には展示品識別情報表示手段が取り付けられ、上記リーダライタ装置は、上記展示品識別情報を登録して記憶する登録手段と、上記展示品のガイドデータを記憶する記憶装置と、装置の起動時に、展示品識別情報表示手段の表示する展示品識別情報と上記登録手段により登録された展示品識別情報とを比較して、その比較結果を出力する照合手段を備えることを特徴とする電子ガイドシステム。
【0011】
リーダライタ装置は特定の展示品のガイドデータを電子ガイド装置に送信する。その展示品の展示場所が変更になったときに、リーダライタ装置と展示品との関係を自動的に確認できる。
【0012】
〈構成5〉構成4に記載の電子ガイドシステムにおいて、上記登録手段は、複数の展示品の展示品識別情報を登録して記憶し、上記記憶手段は、上記複数の展示品のガイドデータを記憶し、上記照合手段は、リーダライタ装置の起動時に、上記全ての展示品の展示品識別情報を取得して、上記登録手段により登録された展示品識別情報と比較して、その比較結果を出力することを特徴とする電子ガイドシステム。
【0013】
リーダライタ装置が複数の展示品のガイドデータを取り扱うときは、これらの展示品識別情報を全て登録しておく。そして、起動時に全ての展示品の展示品識別情報を取得して自動的に照合する。これで、ガイドデータの不一致を防止できる。
【0014】
〈構成6〉構成4に記載の電子ガイドシステムにおいて、上記照合手段は、予め定められた時刻に、繰り返し所定のタイミングで上記展示品の展示品識別情報を自動的に取得して、上記登録手段により登録された展示品識別情報と比較して、その比較結果を出力することを特徴とする電子ガイドシステム。
【0015】
リーダライタ装置が短い周期で繰り返し各展示品の識別情報を読み取って、登録した展示品識別情報と比較する。展示品が無断で移動されたような場合には比較結果に異常が生じるから、警報を発することができる。
【0016】
〈構成7〉構成2に記載の電子ガイドシステムにおいて、上記リーダライタ装置のデータ書き込み回路は、利用者の種別に応じた展示場案内を含むガイドデータを送信することを特徴とする電子ガイドシステム。
【0017】
展示場入り口付近では、展示場全体の案内を必要とする。利用者の種別に応じた展示場案内をガイドデータに含めることができるようにした。
【0018】
〈構成8〉発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しない表示デバイスと、この表示デバイスの表示画像を更新する書き換え制御回路と、問い合わせ信号に応答して利用者を識別するための利用者識別情報を送信する送信機と、展示品を説明するためのガイドデータを受信して書き換え制御回路に供給する受信機と、電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する電源回路とを備えた電子ガイド装置を制御するためのものであって、上記電子ガイド装置の電源回路に電磁誘導により電力を供給する電力供給回路と、上記送信機に対して問い合わせ信号を送信して、上記利用者識別情報を取得する問い合わせ回路と、上記受信機に対して、上記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路とを備えたリーダライタ装置。
【0019】
〈構成9〉リーダライタ装置のコンピュータを、利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶した記憶手段と、電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得する問い合わせ手段と、上記電子ガイド装置の受信機に対して、上記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路と、電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を上記ガイドデータの内容に更新させるデータ書き込み手段、として機能させる電子ガイドシステム用プログラム。
【0020】
〈構成10〉リーダライタ装置のコンピュータを、利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶した記憶手段と、電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得する問い合わせ手段と、上記電子ガイド装置の受信機に対して、上記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路と、電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を上記ガイドデータの内容に更新させるデータ書き込み手段、として機能させる電子ガイドシステム用プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【0021】
〈構成11〉記憶手段が、利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶するステップと、問い合わせ手段が、電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得するステップと、データ書き込み回路が、上記電子ガイド装置の受信機に対して、上記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するステップと、データ書き込み手段が、電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を上記ガイドデータの内容に更新するステップ、とを含む電子ガイドシステムのリーダライタ制御方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
電子表示装置は、記憶性表示部を備えている。また、リーダライタ装置は記憶性表示部に表示させる画像の画像データを、電子表示装置に送信する装置である。記憶性表示部は画像を表示する機能を持つ。さらに、当該画像の画像データを記憶した状態をそのまま持続する。その結果、上記画像を継続して表示する。その例として、いわゆる電子ペーパが適する。以下の実施例では記憶性表示部を表示デバイスと表現して説明を進める。表示制御回路部は、記憶性表示部に画像データを記憶させて、該当する画像を表示させる機能を持つ。以下の実施例では、繰り返し表示画像を書き換えるので、書き換え制御回路と表現して説明を進める。送信部は識別情報を送信する。識別情報は画像データを選択するために使用される。何を識別する情報かは、用途に応じて自由に定めればよい。特定の情報を送信する送信部と受信部を、以下の実施例では、送信機、受信機と表現して説明を進める。電源回路部は電子表示装置の各部に駆動用電力を供給する機能を持つ。以下の実施例では同様の部分を単に電源回路と表現して説明を進める。なお、この電源回路部以外に、例えば、充電式電池が補助的に組み込まれてもいても構わない。電力供給回路部は、電源回路部に対して電磁誘導により前記電力を供給する機能を持つ。以下の実施例では、同様の部分を電力供給回路と表現して説明を進める。問い合わせ回路部は識別情報を取得する送受信機能を持つ。以下の実施例では、同様の部分を問い合わせ回路と表現して説明を進める。データ書き込み回路部は、識別情報により選択された種別に応じた画像データを電子表示装置に送信する機能を持つ。以下の実施例では、同様の部分をデータ書き込み回路と表現して説明を進める。以下の構成2以下の実施例では、展示品の利用者毎のガイドデータを表示するケースを説明する。しかし、本発明は、識別情報により選択された種別に応じた画像データが電子表示装置に自動的に送信されて表示されるという機能を生かした各種の用途に応用できる。いずれの実施例も、その用途に応じて変形を加えればよい。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は実施例1の電子ガイドシステムを示すブロック図である。
電子ガイドシステム10は、電子ガイド装置14とリーダライタ装置16とを備えている。電子ガイド装置14は、表示デバイス18と記憶装置12と各種制御回路を備える。表示デバイス18は、発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しない表示装置である。表示デバイス18には、例えば、マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ、ツイストボール型電子ペーパー、電子粉流体型電子ペーパー、インプレーン型電気泳動ディスプレイ、粒子移動型電子ペーパー、着色溶液型電気泳動ディスプレイ等が利用できる。これらは、視野角が広く、コントラストが大きくて印刷した文書のように見やすい。いずれも、書き換え時には電力が必要であるが、書き換え後は表示画像を維持できる。ここに、ガイドデータ28が表示される。ガイドデータ28は展示品26を説明するためのものである。文字でも絵でも構わない。表示デバイス18に表示できる範囲のビットマップ形式のデータが適する。ガイドデータ28は、利用者の種別に応じてそれぞれ別のものが用意されている。利用者の種別とは、高齢者、子供、外国人といった区別である。それぞれガイドデータ28の内容を最適化することにより、利用者に応じて展示品26を十分に理解できるようになる。
【0024】
図2は美術館の展示場の一部外観図である。
図1に示した電子ガイド装置14やリーダライタ装置16の内部構成を説明する前に、先にこれらの使用方法を説明する。図2に示すように、例えば、博物館に展示される展示品26は、展示台38の上に陳列されている。展示台38の正面にはネームプレート39が固定されている。ここに展示品の名前や表題が記入される。展示品26の裏側や底、あるいは展示台38の一部にICタグ40が貼り付けられている。このICタグ40は後で説明するように、リーダライタ装置16との関係付けに使用する。展示台38の側方にはスタンド43が立てられ、スタンド43の上部に案内プレート42が固定されている。ここに展示品26の簡単な説明が表示されている。
【0025】
スタンド43の上部には、リーダライタ装置16が固定されている。ボックス状の箱の中に、図1に示したような回路ブロックが組み込まれている。もちろん、スタンド43や案内プレート42の内部に組み込まれても構わない。スタンド43は防護柵の役割を果たすチェン44によって、隣りの展示品の前のスタンド43に連結されている。リーダライタ装置16の使用方法を図2の一点鎖線の円R中に示す。利用者は展示品26の前に進んで、ネームプレート39や案内プレート42に書き込まれた内容を読む。このとき各利用者は、それぞれ一台の電子ガイド装置14を所持している。電子ガイド装置14をリーダライタ装置16に近づけると、電子ガイド装置14に電力が供給されて表示デバイス18の書き換え処理が実行される。こうして利用者は表示デバイス18に表示された展示品26の詳細な説明(ガイドデータ28)を読むことができる。
【0026】
再び図1に戻る。電子ガイド装置14の記憶装置12には利用者識別情報22が記憶されている。表示すべきガイドデータ28を選択するために使用されるデータである。例えば、美術館の入り口で利用者に電子ガイド装置14が手渡されるときに、利用者識別情報22が書き込まれる。記憶装置12はデータ保持のための電力を消費しない不揮発性メモリが好ましい。利用者識別情報22は、利用者の種別を直接識別するデータでもよいし、対応表等を参照して間接的に識別できるデータでもよい。また、利用者の種別のみを区別できるデータでもよいし、全ての利用者を個々に区別できるデータでもよい。電子ガイド装置14には、その表示制御のために、書き換え制御回路20と受信機30と送信機24とが設けられている。さらに、送受信用のアンテナ17と電力供給用の電源回路32を備えている。
【0027】
書き換え制御回路20は、表示デバイス18の表示画像を更新する機能を持つ。送信機24は、リーダライタ装置16から送信される問い合わせ信号に応答して利用者識別情報22を送信する機能を持つ。受信機30は、リーダライタ装置16から展示品26を説明するためのガイドデータ28を受信して書き換え制御回路20に供給する機能を持つ。電源回路32は、コイル33を通じて電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する機能を持つ。
【0028】
リーダライタ装置16は、電力供給回路34と問い合わせ回路36とデータ書き込み回路37を備える。記憶装置29は利用者識別情報22と選択テーブル23とガイドデータ28を記憶する。電力供給回路34は、電子ガイド装置14の電源回路32にコイル35を用いて電磁誘導により電力を供給する機能を持つ。問い合わせ回路36は、電子ガイド装置14に対してアンテナ31を通じて問い合わせ信号を送信し、送信機24から利用者識別情報22を取得する機能を持つ。データ書き込み回路37は、電子ガイド装置14の受信機30に対して、ガイドデータ28を送信する機能を持つ。このガイドデータ28は、利用者識別情報22を指定すると、選択テーブル23により選択される。従って、利用者の種別に応じた展示品26の説明が表示デバイス18に表示される。
【0029】
図3は、利用者識別情報の説明図である。
この図に示すように、例えば、日本人の子供向けに美術品の展示品の説明が準備される。例えば、小学校、中学校、高校といった説明レベルを設定しておく。詳しさや言葉使いを変えればよい。子供向けにはふりがなを付けた説明書を提供する。高齢者には大きな文字で書かれた説明書を提供する。一般人であっても、特に美術品に詳しい人とそうでない人の説明の内容を変えるとよい。外国人については、英語、ドイツ語、中国語、韓国語、といった選択ができるようにするとよい。こうした利用者の種別に応じたガイドデータを多数準備するとよい。各ガイドデータにはこの図に示すような利用者識別情報22を付加するとよい。利用者識別情報22はガイドデータと対応付けて保存されていてもよいし、ガイドデータのファイルのファイル名と兼用させてもよい。
【0030】
以上の電子ガイドシステムは、展示品毎に、利用者の種別に応じたガイドデータ28を、利用者が個別に所持する電子ガイド装置に表示するので分かり易い。表示デバイス18は発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しないから、電源が不要で装置が薄型軽量化できる。発光しないから、美術館等で持ち歩いて使用するときに、美術鑑賞のための環境を阻害しない。また、ガイドデータ28の書き換え処理時には、リーダライタ装置16から簡単に電力を供給できる。表示デバイス18は、静止画表示状態で保持電力を消費しないから、展示品26の詳細な説明を表示させたままゆっくりと読むことができる。
【0031】
また、上記の実施例では、書き換え制御回路20の動作に電力が必要であるから、電磁誘導により電力を供給する既知の方式を採用した。これにより、コネクタ等を使用する必要が無く、コードレスにできる。問い合わせ信号に応答して識別情報を送信する機能は、既知のICタグと同様の機能である。この通信にも、送信機24側に電源を必要としないので、電子ガイド装置14を無電源化できる。なお、ガイドデータ28はリーダライタ装置16の内部に設けられた記憶装置12に記憶されているのが好ましい。また、例えば、USBメモリ等の着脱可能な記憶媒体に記憶されていると、それぞれ特定の展示品の前に配置されたリーダライタ装置のガイドデータを個別に記憶させた記憶媒体を用意して、例えば、開館前に装着すればよい。従って、データ管理が容易になる。また、各リーダライタ装置16にネットワークを通じて接続されたサーバに記憶されていて、要求に応じて転送するようにしても構わない。ネットワークは無線LANでもよいし、図2に示したチェン44に沿って敷設したLANケーブルでも構わない。
【実施例2】
【0032】
図4は実施例2に使用するリーダライタ装置の主要部ブロック図である。
この実施例のリーダライタ装置の記憶装置29は、それぞれ異なる展示品A、B、C、Dを説明するための複数のガイドデータ28を記憶している。即ち、1台のリーダライタ装置で複数の展示品のガイドデータを管理する。このとき、一人の利用者に複数のガイドデータを重複無く送信する必要がある。また、複数の利用者に対しても、それぞれ適切にガイドデータを送信する必要がある。そこで、次のような構成を採用する。まず、記憶装置29にガイドデータ28を所定の順位を付して記憶させる。例えば、名前順に記憶させる。あるいは、優先順位を付けて、その順番を付して記憶させる。
【0033】
同時に、利用者の電子ガイド装置14に対してガイドデータ28を送信したときにその結果を記録しておく。即ち、記憶装置12は、利用者識別情報22と直前に送信をしたガイドデータ28の順位を示す情報とを記憶する。これにより、どの利用者が現在どのガイドデータを電子ガイド装置に表示しているか分かる。そして、新たにその利用者が電子ガイド装置14をリーダライタ装置16に近づけたときには、次の順位のガイドデータ28を送信する。即ち、問い合わせ回路36が、新たに送信機24に対して問い合わせ信号を送信して、既に記憶された利用者識別情報22が取得されたかどうかを判断する。データ書き込み回路は、ガイドデータ28の順位を参照して、次の順位のガイドデータ28を受信機30に対して送信する。
【0034】
以上の処理によって、複数の展示品26があっても、1台のリーダライタ装置16でこれらの展示品26を説明する複数のガイドデータ28を順に送信できる。例えば、図2に示したスタンド43の周囲に複数の展示品が配置されているような場合に適する。電子ガイド装置14をリーダライタ装置16に近づけると、最初のガイドデータ28が書き込まれる。その後、電子ガイド装置14をリーダライタ装置16に近づける度に、次の順位のガイドデータ28に書き換えられる。利用者は全く意識しなくてよい。ガイドデータ28の記憶順位は、展示品26の展示配置順が好ましい。ガイドデータ28の順位を示す情報は数字でも文字でも構わない。記憶装置12に記憶した全てのガイドデータ28に順位を付けてサイクリックに書き換え制御をするとよい。記憶装置には、順位カウンタ47を設ける。プログラムカウンタである。1回の送信処理毎にインクリメントされる。これは、利用者毎に設ける。利用者識別情報22と順位カウンタ47とをキーにしてセレクタ46によりガイドデータ28を選択する。こうして選択されたガイドデータ28が電子ガイド装置14に送信される。
【0035】
なお、上記の電子ガイド装置の1画面には、2以上の展示品26の説明を含めてもよい。また、1個の展示品26の説明を2画面以上に分割して表示しても構わない。いずれの場合でも、電子ガイド装置14をリーダライタ装置16に近づけるという操作で表示画面の切り替えができるので、1台のリーダライタ装置16で複数の展示品26のガイドデータ28の表示を制御することができる。利用者を個別に識別できる利用者識別情報22と直前に送信をしたガイドデータ28の順位を示す情報とを記憶しておけば、複数の利用者があっても利用者毎に、ガイドデータ28を適切に順番に書き換えできる。
【実施例3】
【0036】
図5は、実施例3のリーダライタ装置のブロック図である。
上記のようなリーダライタ装置16は特定の展示品26のガイドデータ28を電子ガイド装置14に送信する。利用者は、展示品26の前あるいは展示品26の近くに配置されたリーダライタ装置16を使用して、該当するガイドデータ28を取得する。リーダライタ装置16は展示品26毎に設けられる。複数の展示品26のガイドデータ28を取り扱うにしても、リーダライタ装置16はいずれかの展示品26専用のものになる。従って、例えば、その展示品26の展示場所が変更になったときは、対応するリーダライタ装置16を同時に展示品26の近くまで移動しなければならない。そこで、リーダライタ装置16とガイドデータ28とを結びつけるために、この実施例の構成を採用する。この実施例では、リーダライタ装置16に、展示品識別情報50の登録手段51と照合手段54とを設ける。
【0037】
登録手段51は、展示品識別情報リスト52を生成する機能を持つ。図5の例では、4種類の展示品に対する4種のガイドデータ28が記憶されている。例えば、これらの各ガイドデータのタイトルに展示品識別情報を含めておく。即ち、どのガイドデータがどの展示品を説明するものかを区別する情報を付加する。登録手段51はこの情報を読み取って、展示品識別情報リスト52を生成する。展示品識別情報リスト52は図1に示したリーダライタ装置16に記憶される。一方、各展示品には、図2を用いて説明したように、例えば、ICタグやバーコードからなる展示品識別情報表示手段が設けられている。これらは、展示品26や展示品26の展示台38等に取り付けられる。ICタグならば、問い合わせ回路36は無線で展示品識別情報50を取得することができる。バーコードならばハンディスキャナを用いて展示品識別情報50を取得することができる。簡単なコードで対照品目が少ないときは、管理者が展示品識別情報50をリーダライタ装置16に手入力してもよい。
【0038】
図5の問い合わせ回路36は、リーダライタ装置16を展示品26の近くに配置した時、展示品26を区別するためのICタグ40と通信を行い、展示品識別情報50を取得する機能を持つ。照合手段54は、装置の起動時に、あるいは所定のタイミングで、問い合わせ回路36の取得した展示品識別情報50と、展示品識別情報リスト52とを比較して、その比較結果をディスプレイ56に出力する機能を持つ。ディスプレイ56は、リーダライタ装置に設けられた小さな液晶ディスプレイ等であればよい。また、サーバとリーダライタ装置とがネットワークを介して接続されている時には、サーバ側にこのようなディスプレイやプリンタが設けられていればよい。また、このリーダライタ装置にはタイマ55が設けられている。タイマ55は、例えば5分おきに照合手段54を起動する。照合手段54はそのつど、上記の照合処理を行う。もし、美術品が盗難等により持ち去られたような場合に警報を発するような構成も可能である。
【0039】
この展示品識別情報リスト52は、リーダライタ装置16の近くにある全ての展示品の展示品識別情報を取得するとよい。また、この展示品識別情報リスト52は、例えば、これらの展示品のガイドデータを全て記憶しているとよい。照合手段54は、ガイドデータが展示品に比較して不足している場合と、展示品がガイドデータに比較して不足している場合の両方の場合に警告メッセージ等を出力する。これにより、近くに無い展示品のガイドデータを送信することがなく、また、いずれかの展示品のガイドデータが不足するといったことが無くなる。管理者は、このメッセージに従って、ガイドデータを補充したり、展示品のレイアウトを修正する。警告の出力には、発音装置を用いても、画像表示ディスプレイ等を用いて表示してもよい。
【実施例4】
【0040】
図6は、実施例4による電子ガイドシステムの変形例斜視図である。
例えば、この図に示した例では、2つのショーケース58の内部にそれぞれ展示品26が収納されている。透明ガラス状のショーケース58によって展示品26を保管し鑑賞できるようにしている。そのすぐ横に、柱状のスタンド59を配置する。スタンド59の頭部には既に説明したリーダライタ装置16が埋め込まれている。各リーダライタ装置16は、それぞれ無線LANに接続をする機能が設けられている。そして、サーバ62のルータ61と無線通信を行う。このような構成にすると、サーバ62側に全てのガイドデータ28を記憶しておくことができる。展示品の近くに配置されたスタンド59の近くに電子ガイド装置14を近づけると、表示デバイス18に表示する内容を変更することができる。
【0041】
いずれかのスタンド59で電子ガイド装置14の接近を検出すると、電子ガイド装置14から取得した利用者識別情報22がサーバに送信される。同時に、展示品識別情報50も送信される。サーバ62は、該当する展示品の説明のための該当する利用者の種別に応じたガイドデータを選択する。そして、そのガイドデータがリーダライタ装置に転送される。リーダライタ装置16はこのガイドデータを電子ガイド装置14に送信する。また、リーダライタ装置16は、予め定められた時刻に、繰り返し所定のタイミングで、近くにある展示品26の展示品識別情報50を自動的に取得する。この情報はサーバに送信される。サーバには、展示品識別情報リストを記憶させておく。リーダライタ装置16と展示品26とを対応させた展示品識別情報リストがあれば、サーバ側で展示品の適正配置を点検し監視できる。
【0042】
なお、展示場の入り口付近では、展示場全体の案内を必要とする。例えば、特殊な言語を使用する外国人等に対して、展示場案内が完備しているとは限らない。このときは、利用者の種別に応じた展示場案内をガイドデータ28に含めるとよい。そのガイドデータを送信するリーダライタ装置16を独立に設けてもよいし、展示場の入り口付近のリーダライタ装置16が、そのガイドデータを送信できるようにしておけばよい。
【0043】
図7は電子ガイド装置のハードウエアブロック図である。
電子ガイド装置14はマイクロプロセッサにより制御される。内部バス110には、CPU(中央処理装置)111と、ROM(リードオンリメモリ)112と、RAM(ランダムアクセスメモリ)113と、入出力インタフェース115とが接続されている。入出力インタフェース115には、送信機24と受信機30と表示デバイス18とが接続されている。受信機30で受信されたデータが入出力インタフェース115を介して受け入れられ、表示デバイス18の書き換え制御等を行う。利用者識別情報22はRAM113に記憶される。ROM112は書き換え制御回路20の動作プログラムを記憶している。電源回路32はコイル33を通じて電力を受け入れて、送信機24と受信機30と表示デバイス18とCPU111を駆動する。RAMは不揮発性メモリであって、書き換え時のみ電力を消費する。故に、装置各部は利用者識別情報22と表示デバイス18の送受信動作時以外は電力を消費しない。
【0044】
図8はリーダライタ装置のハードウエアブロック図である。
リーダライタ16はマイクロプロセッサにより制御される。内部バス120には、CPU(中央処理装置)121と、ROM(リードオンリメモリ)122と、RAM(ランダムアクセスメモリ)123と、USBインタフェース124と、入出力インタフェース125とが接続されている。USBインタフェース124には、データメモリ127が接続されている。データメモリ127にガイドデータが記憶されている。入出力インタフェース125には、送信部131と受信部132とが接続されている。送信部131はCPU121の処理により問い合わせ回路として動作する。また、電子ガイド装置14に対してガイドデータを送信する。受信部132はCPU121の処理によりデータ書き込み回路として動作する。利用者識別情報22や選択テーブル23はRAM123に記憶される。商用電源133は送信部131、受信部132、CPU133等を制御する。ROM122はCPU121の実行するプログラムを記憶する。
【0045】
図9は、受付端末装置のブロック図である。
図の装置は、コンピュータ141とUSBハブ142と通信装置143とを備える。例えば、このコンピュータ141は、美術館の全展示品のガイドデータを記憶しており、USBハブ142を用いて、そのガイドデータを展示品識別情報とともにデータメモリ127に記憶させる機能を有する。データメモリ127はリーダライタ装置16(図6)の数だけ用意される。そして、それぞれ各所に配置された該当するリーダライタ装置16に装着される。また、このコンピュータ141は、美術館の受け付けに配置されている。そして、利用者の入場時に利用者の種別を入力するために使用される。利用者の種別は、コンピュータ141のマウス等を使用して入力される。利用者の種別は自動生成されたシリアル番号とともに、通信装置143を通じて電子ガイド装置14に送信される。電子ガイド装置14はこの処理によって、これを所持する利用者を区別するシリアル番号とともにその利用者の種別を記憶する。この電子ガイド装置14を利用者がそれぞれ所持して、美術館の各展示品の前でガイドデータを取得する。例えば、このコンピュータ141を無線LANを通じて館内のリーダライタ装置16と接続すれば、ガイドデータ等の集中管理ができるが、この例では、館内のリーダライタ装置16を全て独立させることができる。従って、システムが非常に簡素化できる。
【実施例5】
【0046】
図10は受付端末装置の動作例フローチャートである。
上記の装置をコンピュータプログラムで制御したときの動作例を説明する。図8で説明したコンピュータを使用して、まず、ステップS11で、利用者受付処理をする。この処理では、受け付け係がコンピュータ71に、キーボードやマウスを用いて利用者の種別を入力する。その結果はコンピュータ71の記憶装置に記憶される。ステップS12では、コンピュータ71の内部でシリアル番号を付加して利用者識別情報の生成をする。ステップS13では、コンピュータ71に接続された通信装置72が電子ガイド装置14との通信を確立する。ステップS14では、コンピュータ71から電子ガイド装置14に対して利用者識別情報を送信する。続いてこのコンピュータ71は、ステップS15で展示場案内を表示するためのデータを電子ガイド装置14に送信する。これで、電子ガイド装置14に展示場案内が表示されて、利用者の受け付け処理が終了する。
【0047】
図11は電子ガイド装置の初期設定動作例フローチャートである。
電子ガイド装置14では、美術館の入り口で受け付け処理時に次のような動作が実行される。まず、ステップS21で、コンピュータ71の通信装置72に電子ガイド装置14を接近させることにより、電磁誘導を受けて電源回路が起動する。この電源電力は電子ガイド装置14の各部へ供給される。ステップS22では、電子ガイド装置14の受信機30が起動する。ステップS23では、書き換え制御回路20が起動をする。ステップS24では、受信機30がコンピュータ71から利用者識別情報22を受信する。ステップS25で、この利用者識別情報22を記憶装置12に記憶する。ステップS26では、コンピュータ71から展示場案内を受信する。そしてステップS27で、書き換え制御回路20は、表示デバイス18に展示場案内を転送して表示させる。
【0048】
図12はリーダライタ装置の初期設定動作例フローチャートである。
ステップS31では、例えば、通常業務の開始直前にガイドデータメモリを例えば、USBインタフェースに装着する。ガイドデータメモリには、このリーダライタ装置16の担当する展示品のガイドデータと展示品識別情報リストとが記憶されている。ステップS32で、ガイドデータメモリから展示品識別情報リストを取得する。ステップS33で、その展示品識別情報を記憶装置に記憶させて登録する。次に、ステップS34で、周辺に配置された展示品に対して問い合わせ信号を送信する。ステップS35では、展示品から展示品識別情報を受信する。その後、ステップS36で、登録された展示品識別情報リストと展示品から受信した展示品識別情報とを照合する。この処理は照合手段54(図5)が行う。
【0049】
ステップS37では、不一致分の警告表示生成をする。展示品が不足している場合とガイドデータが不足している場合とがあるから、それぞれについて、その旨のメッセージを生成する。ステップS38では、その照合結果を図5に示したようにディスプレイ56に表示する。過不足があれば、管理者が展示品の配置を修正したり、ガイドデータを補充する。過不足がないときは通常業務を開始できる。次に、ステップS39で、タイマ55をスタートする。これは、防犯警報処理である。ステップS40でタイマ55がタイムアップをすると、ステップS34に戻る。タイマ55は例えば、5分毎にタイムアップする。従って、継続的に展示品の存在を確認して、もし、盗難等があったときは、警報を発することができる。
【0050】
図13はリーダライタ装置の通常動作例フローチャートである。
ステップS41で、リーダライタ装置16は電子ガイド装置に対して問い合わせ信号を送信する。ステップS42で、リーダライタ装置16は電子ガイド装置14から利用者識別情報を受信する。ステップS43では、順位カウンタ47(図4)をインクリメントする。初期値をゼロに設定しておくと、ステップS44で1番目に配列されたガイドデータを選択する。ステップS45でガイドデータを電子ガイド装置14に送信する。その後、再度同じ利用者識別情報を受信したときは、順位カウンタ47(図4)をインクリメントして、2番目に配列されたガイドデータを選択する。こうして、順次、異なる展示品のガイドデータを送信できる。
【0051】
図14は、電子ガイド装置の通常動作例フローチャートである。
電子ガイド装置をリーダライタ装置に近づけると、ステップS51で電源回路32が起動する。ステップS52で受信機30が起動する。ステップS53で送信機24が起動する。ステップS54で書き換え制御回路20が起動する。この状態でステップS55で、リーダライタ装置16から問い合わせ信号を受信する。ステップS56では、送信機24がリーダライタ装置に利用者識別情報を送信する。その結果、リーダライタ装置からステップS57で、利用者の種別に応じたガイドデータを受信する。そして、ステップS58で、ガイドデータを表示する。
【0052】
なお、上記の装置で実行されるコンピュータプログラムは、機能ブロックで図示した単位でモジュール化されてもよいし、複数の機能ブロックを組み合わせて一体化されてもよい。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1の電子ガイドシステムを示すブロック図。
【図2】美術館の展示場の一部外観図。
【図3】使用者識別情報の説明図。
【図4】実施例2に使用するリーダライタ装置の主要部ブロック図。
【図5】実施例3のリーダライタ装置ブロック図。
【図6】実施例4による電子ガイドシステムの斜視図。
【図7】電子ガイド装置のハードウエア例ブロック図。
【図8】リーダライタ装置のハードウエア例ブロック図。
【図9】受付端末装置のブロック図。
【図10】受付端末装置の動作例フローチャート。
【図11】電子ガイド装置の初期設定動作例フローチャート。
【図12】リーダライタ装置の初期設定動作例フローチャート。
【図13】リーダライタ装置の通常動作例フローチャート。
【図14】電子ガイド装置の通常動作例フローチャート。
【符号の説明】
【0054】
10 電子ガイドシステム、12 記憶装置、14 電子ガイド装置、16 リーダライタ装置、17 アンテナ、18 表示デバイス、20 書き換え制御回路、22 利用者識別情報、23 選択テーブル、24 送信機、28 ガイドデータ、29 記憶装置、30 受信機、31 アンテナ、32 電源回路、33 コイル、34 電力供給回路、35 コイル、36 問い合わせ回路、37 データ書き込み回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、美術館や博物館等において、展示品の詳細なガイドを利用者に個別に表示するために用いられる電子ガイドシステムと電子ガイドシステム用プログラムと記録媒体とそのリーダライタ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
美術館や博物館等において、展示品の説明は壁や展示棚部分に表示される。しかし、表示できる文字数や文字サイズの制限により詳細な説明は難しく、多言語にも対応できない。そこで、携帯電話や携帯端末装置を使用して詳細な説明文を紹介する技術が開発されている(特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−235166号公報
【特許文献2】特開2002−329125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、携帯電話を多用すると騒音が激しくなる。また、ディスプレイが小さいから表示できる情報に限界がある。携帯端末装置を使用しても同様の問題があり、また、高い頻度で説明文の送受信を繰り返すと、バッテリの消耗が激しい。本発明は、これらの課題を解決するためになされた。本発明は、利用者の種類に応じた展示品の詳細なガイドを、十分な電源を内蔵していなくても送受信して表示できる、電子ガイドシステムと電子ガイドシステム用プログラムと記録媒体とそのリーダライタ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の構成は上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉画像を表示するとともに当該画像の画像データを記憶した状態を持続して、上記画像を継続して表示する記憶性表示部と、上記記憶性表示部に上記画像データを記憶させて、上記画像を表示させる表示制御回路部と、識別に用いる識別情報を送信する送信部と、上記画像データを受信して上記画像データを上記表示制御回路部に供給する受信部と、電磁誘導により取得した電力を供給して駆動する電源回路部とを有する電子表示装置と、上記電源回路部に電磁誘導により上記電力を供給する電力供給回路部と、上記電子表示装置に対して問い合わせ信号を送信して、上記送信部から送信された上記識別情報を取得する問い合わせ回路部と、上記受信部に対して、上記識別情報により選択された種別に応じた上記画像データを送信するデータ書き込み回路部とを有するリーダライタ装置とを備えたことを特徴とする電子ガイドシステム。
【0005】
識別情報により選択された種別に応じた画像データが、リーダライタ装置から電子表示装置に自動的に送信される。記憶性表示部は、次の画像データに書き換えられるまで、表示画像をそのまま継続して表示することができる。
【0006】
〈構成2〉発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しない表示デバイスと、この表示デバイスの表示画像を更新する書き換え制御回路と、問い合わせ信号に応答して利用者を識別するための利用者識別情報を送信する送信機と、展示品を説明するためのガイドデータを受信して書き換え制御回路に供給する受信機と、電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する電源回路とを有する電子ガイド装置と、上記電子ガイド装置の電源回路に電磁誘導により電力を供給する電力供給回路と、上記電子ガイド装置に対して問い合わせ信号を送信して、上記送信機から利用者識別情報を取得する問い合わせ回路と、上記受信機に対して、上記利用者識別情報により選択された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路とを有するリーダライタ装置とを備えたことを特徴とする電子ガイドシステム。
【0007】
高齢者、子供、外国人といった、利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを、電子ガイド装置に個別に表示するので分かり易い。表示デバイスは発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しないから、電源が不要で装置が軽量化できる。ガイドデータの書き換え処理時には、リーダライタ装置から電力を供給できる。
【0008】
〈構成3〉構成2に記載の電子ガイドシステムにおいて、上記リーダライタ装置は、それぞれ異なる展示品を説明する複数のガイドデータに所定の順位を付して記憶する記憶装置を備え、この記憶装置は、上記利用者識別情報と直前に送信をしたガイドデータの順位を示す情報とを記憶し、問い合わせ回路が、新たに上記送信機に対して問い合わせ信号を送信して、既に記憶された利用者識別情報が取得されたとき、上記データ書き込み回路は、上記ガイドデータの順位を参照して、次の順位のガイドデータを上記受信機に対して送信することを特徴とする電子ガイドシステム。
【0009】
複数の展示品があっても、1台のリーダライタ装置でこれらの展示品を説明する複数のガイドデータを送信できる。電子ガイド装置をリーダライタ装置に近づけると、最初のガイドデータが書き込まれる。その後に再び電子ガイド装置をリーダライタ装置に近づけると、次の順位のガイドデータに書き換えられる。
【0010】
〈構成4〉構成2に記載の電子ガイドシステムにおいて、上記展示品には展示品識別情報表示手段が取り付けられ、上記リーダライタ装置は、上記展示品識別情報を登録して記憶する登録手段と、上記展示品のガイドデータを記憶する記憶装置と、装置の起動時に、展示品識別情報表示手段の表示する展示品識別情報と上記登録手段により登録された展示品識別情報とを比較して、その比較結果を出力する照合手段を備えることを特徴とする電子ガイドシステム。
【0011】
リーダライタ装置は特定の展示品のガイドデータを電子ガイド装置に送信する。その展示品の展示場所が変更になったときに、リーダライタ装置と展示品との関係を自動的に確認できる。
【0012】
〈構成5〉構成4に記載の電子ガイドシステムにおいて、上記登録手段は、複数の展示品の展示品識別情報を登録して記憶し、上記記憶手段は、上記複数の展示品のガイドデータを記憶し、上記照合手段は、リーダライタ装置の起動時に、上記全ての展示品の展示品識別情報を取得して、上記登録手段により登録された展示品識別情報と比較して、その比較結果を出力することを特徴とする電子ガイドシステム。
【0013】
リーダライタ装置が複数の展示品のガイドデータを取り扱うときは、これらの展示品識別情報を全て登録しておく。そして、起動時に全ての展示品の展示品識別情報を取得して自動的に照合する。これで、ガイドデータの不一致を防止できる。
【0014】
〈構成6〉構成4に記載の電子ガイドシステムにおいて、上記照合手段は、予め定められた時刻に、繰り返し所定のタイミングで上記展示品の展示品識別情報を自動的に取得して、上記登録手段により登録された展示品識別情報と比較して、その比較結果を出力することを特徴とする電子ガイドシステム。
【0015】
リーダライタ装置が短い周期で繰り返し各展示品の識別情報を読み取って、登録した展示品識別情報と比較する。展示品が無断で移動されたような場合には比較結果に異常が生じるから、警報を発することができる。
【0016】
〈構成7〉構成2に記載の電子ガイドシステムにおいて、上記リーダライタ装置のデータ書き込み回路は、利用者の種別に応じた展示場案内を含むガイドデータを送信することを特徴とする電子ガイドシステム。
【0017】
展示場入り口付近では、展示場全体の案内を必要とする。利用者の種別に応じた展示場案内をガイドデータに含めることができるようにした。
【0018】
〈構成8〉発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しない表示デバイスと、この表示デバイスの表示画像を更新する書き換え制御回路と、問い合わせ信号に応答して利用者を識別するための利用者識別情報を送信する送信機と、展示品を説明するためのガイドデータを受信して書き換え制御回路に供給する受信機と、電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する電源回路とを備えた電子ガイド装置を制御するためのものであって、上記電子ガイド装置の電源回路に電磁誘導により電力を供給する電力供給回路と、上記送信機に対して問い合わせ信号を送信して、上記利用者識別情報を取得する問い合わせ回路と、上記受信機に対して、上記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路とを備えたリーダライタ装置。
【0019】
〈構成9〉リーダライタ装置のコンピュータを、利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶した記憶手段と、電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得する問い合わせ手段と、上記電子ガイド装置の受信機に対して、上記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路と、電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を上記ガイドデータの内容に更新させるデータ書き込み手段、として機能させる電子ガイドシステム用プログラム。
【0020】
〈構成10〉リーダライタ装置のコンピュータを、利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶した記憶手段と、電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得する問い合わせ手段と、上記電子ガイド装置の受信機に対して、上記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路と、電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を上記ガイドデータの内容に更新させるデータ書き込み手段、として機能させる電子ガイドシステム用プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【0021】
〈構成11〉記憶手段が、利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶するステップと、問い合わせ手段が、電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得するステップと、データ書き込み回路が、上記電子ガイド装置の受信機に対して、上記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するステップと、データ書き込み手段が、電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を上記ガイドデータの内容に更新するステップ、とを含む電子ガイドシステムのリーダライタ制御方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
電子表示装置は、記憶性表示部を備えている。また、リーダライタ装置は記憶性表示部に表示させる画像の画像データを、電子表示装置に送信する装置である。記憶性表示部は画像を表示する機能を持つ。さらに、当該画像の画像データを記憶した状態をそのまま持続する。その結果、上記画像を継続して表示する。その例として、いわゆる電子ペーパが適する。以下の実施例では記憶性表示部を表示デバイスと表現して説明を進める。表示制御回路部は、記憶性表示部に画像データを記憶させて、該当する画像を表示させる機能を持つ。以下の実施例では、繰り返し表示画像を書き換えるので、書き換え制御回路と表現して説明を進める。送信部は識別情報を送信する。識別情報は画像データを選択するために使用される。何を識別する情報かは、用途に応じて自由に定めればよい。特定の情報を送信する送信部と受信部を、以下の実施例では、送信機、受信機と表現して説明を進める。電源回路部は電子表示装置の各部に駆動用電力を供給する機能を持つ。以下の実施例では同様の部分を単に電源回路と表現して説明を進める。なお、この電源回路部以外に、例えば、充電式電池が補助的に組み込まれてもいても構わない。電力供給回路部は、電源回路部に対して電磁誘導により前記電力を供給する機能を持つ。以下の実施例では、同様の部分を電力供給回路と表現して説明を進める。問い合わせ回路部は識別情報を取得する送受信機能を持つ。以下の実施例では、同様の部分を問い合わせ回路と表現して説明を進める。データ書き込み回路部は、識別情報により選択された種別に応じた画像データを電子表示装置に送信する機能を持つ。以下の実施例では、同様の部分をデータ書き込み回路と表現して説明を進める。以下の構成2以下の実施例では、展示品の利用者毎のガイドデータを表示するケースを説明する。しかし、本発明は、識別情報により選択された種別に応じた画像データが電子表示装置に自動的に送信されて表示されるという機能を生かした各種の用途に応用できる。いずれの実施例も、その用途に応じて変形を加えればよい。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は実施例1の電子ガイドシステムを示すブロック図である。
電子ガイドシステム10は、電子ガイド装置14とリーダライタ装置16とを備えている。電子ガイド装置14は、表示デバイス18と記憶装置12と各種制御回路を備える。表示デバイス18は、発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しない表示装置である。表示デバイス18には、例えば、マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ、ツイストボール型電子ペーパー、電子粉流体型電子ペーパー、インプレーン型電気泳動ディスプレイ、粒子移動型電子ペーパー、着色溶液型電気泳動ディスプレイ等が利用できる。これらは、視野角が広く、コントラストが大きくて印刷した文書のように見やすい。いずれも、書き換え時には電力が必要であるが、書き換え後は表示画像を維持できる。ここに、ガイドデータ28が表示される。ガイドデータ28は展示品26を説明するためのものである。文字でも絵でも構わない。表示デバイス18に表示できる範囲のビットマップ形式のデータが適する。ガイドデータ28は、利用者の種別に応じてそれぞれ別のものが用意されている。利用者の種別とは、高齢者、子供、外国人といった区別である。それぞれガイドデータ28の内容を最適化することにより、利用者に応じて展示品26を十分に理解できるようになる。
【0024】
図2は美術館の展示場の一部外観図である。
図1に示した電子ガイド装置14やリーダライタ装置16の内部構成を説明する前に、先にこれらの使用方法を説明する。図2に示すように、例えば、博物館に展示される展示品26は、展示台38の上に陳列されている。展示台38の正面にはネームプレート39が固定されている。ここに展示品の名前や表題が記入される。展示品26の裏側や底、あるいは展示台38の一部にICタグ40が貼り付けられている。このICタグ40は後で説明するように、リーダライタ装置16との関係付けに使用する。展示台38の側方にはスタンド43が立てられ、スタンド43の上部に案内プレート42が固定されている。ここに展示品26の簡単な説明が表示されている。
【0025】
スタンド43の上部には、リーダライタ装置16が固定されている。ボックス状の箱の中に、図1に示したような回路ブロックが組み込まれている。もちろん、スタンド43や案内プレート42の内部に組み込まれても構わない。スタンド43は防護柵の役割を果たすチェン44によって、隣りの展示品の前のスタンド43に連結されている。リーダライタ装置16の使用方法を図2の一点鎖線の円R中に示す。利用者は展示品26の前に進んで、ネームプレート39や案内プレート42に書き込まれた内容を読む。このとき各利用者は、それぞれ一台の電子ガイド装置14を所持している。電子ガイド装置14をリーダライタ装置16に近づけると、電子ガイド装置14に電力が供給されて表示デバイス18の書き換え処理が実行される。こうして利用者は表示デバイス18に表示された展示品26の詳細な説明(ガイドデータ28)を読むことができる。
【0026】
再び図1に戻る。電子ガイド装置14の記憶装置12には利用者識別情報22が記憶されている。表示すべきガイドデータ28を選択するために使用されるデータである。例えば、美術館の入り口で利用者に電子ガイド装置14が手渡されるときに、利用者識別情報22が書き込まれる。記憶装置12はデータ保持のための電力を消費しない不揮発性メモリが好ましい。利用者識別情報22は、利用者の種別を直接識別するデータでもよいし、対応表等を参照して間接的に識別できるデータでもよい。また、利用者の種別のみを区別できるデータでもよいし、全ての利用者を個々に区別できるデータでもよい。電子ガイド装置14には、その表示制御のために、書き換え制御回路20と受信機30と送信機24とが設けられている。さらに、送受信用のアンテナ17と電力供給用の電源回路32を備えている。
【0027】
書き換え制御回路20は、表示デバイス18の表示画像を更新する機能を持つ。送信機24は、リーダライタ装置16から送信される問い合わせ信号に応答して利用者識別情報22を送信する機能を持つ。受信機30は、リーダライタ装置16から展示品26を説明するためのガイドデータ28を受信して書き換え制御回路20に供給する機能を持つ。電源回路32は、コイル33を通じて電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する機能を持つ。
【0028】
リーダライタ装置16は、電力供給回路34と問い合わせ回路36とデータ書き込み回路37を備える。記憶装置29は利用者識別情報22と選択テーブル23とガイドデータ28を記憶する。電力供給回路34は、電子ガイド装置14の電源回路32にコイル35を用いて電磁誘導により電力を供給する機能を持つ。問い合わせ回路36は、電子ガイド装置14に対してアンテナ31を通じて問い合わせ信号を送信し、送信機24から利用者識別情報22を取得する機能を持つ。データ書き込み回路37は、電子ガイド装置14の受信機30に対して、ガイドデータ28を送信する機能を持つ。このガイドデータ28は、利用者識別情報22を指定すると、選択テーブル23により選択される。従って、利用者の種別に応じた展示品26の説明が表示デバイス18に表示される。
【0029】
図3は、利用者識別情報の説明図である。
この図に示すように、例えば、日本人の子供向けに美術品の展示品の説明が準備される。例えば、小学校、中学校、高校といった説明レベルを設定しておく。詳しさや言葉使いを変えればよい。子供向けにはふりがなを付けた説明書を提供する。高齢者には大きな文字で書かれた説明書を提供する。一般人であっても、特に美術品に詳しい人とそうでない人の説明の内容を変えるとよい。外国人については、英語、ドイツ語、中国語、韓国語、といった選択ができるようにするとよい。こうした利用者の種別に応じたガイドデータを多数準備するとよい。各ガイドデータにはこの図に示すような利用者識別情報22を付加するとよい。利用者識別情報22はガイドデータと対応付けて保存されていてもよいし、ガイドデータのファイルのファイル名と兼用させてもよい。
【0030】
以上の電子ガイドシステムは、展示品毎に、利用者の種別に応じたガイドデータ28を、利用者が個別に所持する電子ガイド装置に表示するので分かり易い。表示デバイス18は発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しないから、電源が不要で装置が薄型軽量化できる。発光しないから、美術館等で持ち歩いて使用するときに、美術鑑賞のための環境を阻害しない。また、ガイドデータ28の書き換え処理時には、リーダライタ装置16から簡単に電力を供給できる。表示デバイス18は、静止画表示状態で保持電力を消費しないから、展示品26の詳細な説明を表示させたままゆっくりと読むことができる。
【0031】
また、上記の実施例では、書き換え制御回路20の動作に電力が必要であるから、電磁誘導により電力を供給する既知の方式を採用した。これにより、コネクタ等を使用する必要が無く、コードレスにできる。問い合わせ信号に応答して識別情報を送信する機能は、既知のICタグと同様の機能である。この通信にも、送信機24側に電源を必要としないので、電子ガイド装置14を無電源化できる。なお、ガイドデータ28はリーダライタ装置16の内部に設けられた記憶装置12に記憶されているのが好ましい。また、例えば、USBメモリ等の着脱可能な記憶媒体に記憶されていると、それぞれ特定の展示品の前に配置されたリーダライタ装置のガイドデータを個別に記憶させた記憶媒体を用意して、例えば、開館前に装着すればよい。従って、データ管理が容易になる。また、各リーダライタ装置16にネットワークを通じて接続されたサーバに記憶されていて、要求に応じて転送するようにしても構わない。ネットワークは無線LANでもよいし、図2に示したチェン44に沿って敷設したLANケーブルでも構わない。
【実施例2】
【0032】
図4は実施例2に使用するリーダライタ装置の主要部ブロック図である。
この実施例のリーダライタ装置の記憶装置29は、それぞれ異なる展示品A、B、C、Dを説明するための複数のガイドデータ28を記憶している。即ち、1台のリーダライタ装置で複数の展示品のガイドデータを管理する。このとき、一人の利用者に複数のガイドデータを重複無く送信する必要がある。また、複数の利用者に対しても、それぞれ適切にガイドデータを送信する必要がある。そこで、次のような構成を採用する。まず、記憶装置29にガイドデータ28を所定の順位を付して記憶させる。例えば、名前順に記憶させる。あるいは、優先順位を付けて、その順番を付して記憶させる。
【0033】
同時に、利用者の電子ガイド装置14に対してガイドデータ28を送信したときにその結果を記録しておく。即ち、記憶装置12は、利用者識別情報22と直前に送信をしたガイドデータ28の順位を示す情報とを記憶する。これにより、どの利用者が現在どのガイドデータを電子ガイド装置に表示しているか分かる。そして、新たにその利用者が電子ガイド装置14をリーダライタ装置16に近づけたときには、次の順位のガイドデータ28を送信する。即ち、問い合わせ回路36が、新たに送信機24に対して問い合わせ信号を送信して、既に記憶された利用者識別情報22が取得されたかどうかを判断する。データ書き込み回路は、ガイドデータ28の順位を参照して、次の順位のガイドデータ28を受信機30に対して送信する。
【0034】
以上の処理によって、複数の展示品26があっても、1台のリーダライタ装置16でこれらの展示品26を説明する複数のガイドデータ28を順に送信できる。例えば、図2に示したスタンド43の周囲に複数の展示品が配置されているような場合に適する。電子ガイド装置14をリーダライタ装置16に近づけると、最初のガイドデータ28が書き込まれる。その後、電子ガイド装置14をリーダライタ装置16に近づける度に、次の順位のガイドデータ28に書き換えられる。利用者は全く意識しなくてよい。ガイドデータ28の記憶順位は、展示品26の展示配置順が好ましい。ガイドデータ28の順位を示す情報は数字でも文字でも構わない。記憶装置12に記憶した全てのガイドデータ28に順位を付けてサイクリックに書き換え制御をするとよい。記憶装置には、順位カウンタ47を設ける。プログラムカウンタである。1回の送信処理毎にインクリメントされる。これは、利用者毎に設ける。利用者識別情報22と順位カウンタ47とをキーにしてセレクタ46によりガイドデータ28を選択する。こうして選択されたガイドデータ28が電子ガイド装置14に送信される。
【0035】
なお、上記の電子ガイド装置の1画面には、2以上の展示品26の説明を含めてもよい。また、1個の展示品26の説明を2画面以上に分割して表示しても構わない。いずれの場合でも、電子ガイド装置14をリーダライタ装置16に近づけるという操作で表示画面の切り替えができるので、1台のリーダライタ装置16で複数の展示品26のガイドデータ28の表示を制御することができる。利用者を個別に識別できる利用者識別情報22と直前に送信をしたガイドデータ28の順位を示す情報とを記憶しておけば、複数の利用者があっても利用者毎に、ガイドデータ28を適切に順番に書き換えできる。
【実施例3】
【0036】
図5は、実施例3のリーダライタ装置のブロック図である。
上記のようなリーダライタ装置16は特定の展示品26のガイドデータ28を電子ガイド装置14に送信する。利用者は、展示品26の前あるいは展示品26の近くに配置されたリーダライタ装置16を使用して、該当するガイドデータ28を取得する。リーダライタ装置16は展示品26毎に設けられる。複数の展示品26のガイドデータ28を取り扱うにしても、リーダライタ装置16はいずれかの展示品26専用のものになる。従って、例えば、その展示品26の展示場所が変更になったときは、対応するリーダライタ装置16を同時に展示品26の近くまで移動しなければならない。そこで、リーダライタ装置16とガイドデータ28とを結びつけるために、この実施例の構成を採用する。この実施例では、リーダライタ装置16に、展示品識別情報50の登録手段51と照合手段54とを設ける。
【0037】
登録手段51は、展示品識別情報リスト52を生成する機能を持つ。図5の例では、4種類の展示品に対する4種のガイドデータ28が記憶されている。例えば、これらの各ガイドデータのタイトルに展示品識別情報を含めておく。即ち、どのガイドデータがどの展示品を説明するものかを区別する情報を付加する。登録手段51はこの情報を読み取って、展示品識別情報リスト52を生成する。展示品識別情報リスト52は図1に示したリーダライタ装置16に記憶される。一方、各展示品には、図2を用いて説明したように、例えば、ICタグやバーコードからなる展示品識別情報表示手段が設けられている。これらは、展示品26や展示品26の展示台38等に取り付けられる。ICタグならば、問い合わせ回路36は無線で展示品識別情報50を取得することができる。バーコードならばハンディスキャナを用いて展示品識別情報50を取得することができる。簡単なコードで対照品目が少ないときは、管理者が展示品識別情報50をリーダライタ装置16に手入力してもよい。
【0038】
図5の問い合わせ回路36は、リーダライタ装置16を展示品26の近くに配置した時、展示品26を区別するためのICタグ40と通信を行い、展示品識別情報50を取得する機能を持つ。照合手段54は、装置の起動時に、あるいは所定のタイミングで、問い合わせ回路36の取得した展示品識別情報50と、展示品識別情報リスト52とを比較して、その比較結果をディスプレイ56に出力する機能を持つ。ディスプレイ56は、リーダライタ装置に設けられた小さな液晶ディスプレイ等であればよい。また、サーバとリーダライタ装置とがネットワークを介して接続されている時には、サーバ側にこのようなディスプレイやプリンタが設けられていればよい。また、このリーダライタ装置にはタイマ55が設けられている。タイマ55は、例えば5分おきに照合手段54を起動する。照合手段54はそのつど、上記の照合処理を行う。もし、美術品が盗難等により持ち去られたような場合に警報を発するような構成も可能である。
【0039】
この展示品識別情報リスト52は、リーダライタ装置16の近くにある全ての展示品の展示品識別情報を取得するとよい。また、この展示品識別情報リスト52は、例えば、これらの展示品のガイドデータを全て記憶しているとよい。照合手段54は、ガイドデータが展示品に比較して不足している場合と、展示品がガイドデータに比較して不足している場合の両方の場合に警告メッセージ等を出力する。これにより、近くに無い展示品のガイドデータを送信することがなく、また、いずれかの展示品のガイドデータが不足するといったことが無くなる。管理者は、このメッセージに従って、ガイドデータを補充したり、展示品のレイアウトを修正する。警告の出力には、発音装置を用いても、画像表示ディスプレイ等を用いて表示してもよい。
【実施例4】
【0040】
図6は、実施例4による電子ガイドシステムの変形例斜視図である。
例えば、この図に示した例では、2つのショーケース58の内部にそれぞれ展示品26が収納されている。透明ガラス状のショーケース58によって展示品26を保管し鑑賞できるようにしている。そのすぐ横に、柱状のスタンド59を配置する。スタンド59の頭部には既に説明したリーダライタ装置16が埋め込まれている。各リーダライタ装置16は、それぞれ無線LANに接続をする機能が設けられている。そして、サーバ62のルータ61と無線通信を行う。このような構成にすると、サーバ62側に全てのガイドデータ28を記憶しておくことができる。展示品の近くに配置されたスタンド59の近くに電子ガイド装置14を近づけると、表示デバイス18に表示する内容を変更することができる。
【0041】
いずれかのスタンド59で電子ガイド装置14の接近を検出すると、電子ガイド装置14から取得した利用者識別情報22がサーバに送信される。同時に、展示品識別情報50も送信される。サーバ62は、該当する展示品の説明のための該当する利用者の種別に応じたガイドデータを選択する。そして、そのガイドデータがリーダライタ装置に転送される。リーダライタ装置16はこのガイドデータを電子ガイド装置14に送信する。また、リーダライタ装置16は、予め定められた時刻に、繰り返し所定のタイミングで、近くにある展示品26の展示品識別情報50を自動的に取得する。この情報はサーバに送信される。サーバには、展示品識別情報リストを記憶させておく。リーダライタ装置16と展示品26とを対応させた展示品識別情報リストがあれば、サーバ側で展示品の適正配置を点検し監視できる。
【0042】
なお、展示場の入り口付近では、展示場全体の案内を必要とする。例えば、特殊な言語を使用する外国人等に対して、展示場案内が完備しているとは限らない。このときは、利用者の種別に応じた展示場案内をガイドデータ28に含めるとよい。そのガイドデータを送信するリーダライタ装置16を独立に設けてもよいし、展示場の入り口付近のリーダライタ装置16が、そのガイドデータを送信できるようにしておけばよい。
【0043】
図7は電子ガイド装置のハードウエアブロック図である。
電子ガイド装置14はマイクロプロセッサにより制御される。内部バス110には、CPU(中央処理装置)111と、ROM(リードオンリメモリ)112と、RAM(ランダムアクセスメモリ)113と、入出力インタフェース115とが接続されている。入出力インタフェース115には、送信機24と受信機30と表示デバイス18とが接続されている。受信機30で受信されたデータが入出力インタフェース115を介して受け入れられ、表示デバイス18の書き換え制御等を行う。利用者識別情報22はRAM113に記憶される。ROM112は書き換え制御回路20の動作プログラムを記憶している。電源回路32はコイル33を通じて電力を受け入れて、送信機24と受信機30と表示デバイス18とCPU111を駆動する。RAMは不揮発性メモリであって、書き換え時のみ電力を消費する。故に、装置各部は利用者識別情報22と表示デバイス18の送受信動作時以外は電力を消費しない。
【0044】
図8はリーダライタ装置のハードウエアブロック図である。
リーダライタ16はマイクロプロセッサにより制御される。内部バス120には、CPU(中央処理装置)121と、ROM(リードオンリメモリ)122と、RAM(ランダムアクセスメモリ)123と、USBインタフェース124と、入出力インタフェース125とが接続されている。USBインタフェース124には、データメモリ127が接続されている。データメモリ127にガイドデータが記憶されている。入出力インタフェース125には、送信部131と受信部132とが接続されている。送信部131はCPU121の処理により問い合わせ回路として動作する。また、電子ガイド装置14に対してガイドデータを送信する。受信部132はCPU121の処理によりデータ書き込み回路として動作する。利用者識別情報22や選択テーブル23はRAM123に記憶される。商用電源133は送信部131、受信部132、CPU133等を制御する。ROM122はCPU121の実行するプログラムを記憶する。
【0045】
図9は、受付端末装置のブロック図である。
図の装置は、コンピュータ141とUSBハブ142と通信装置143とを備える。例えば、このコンピュータ141は、美術館の全展示品のガイドデータを記憶しており、USBハブ142を用いて、そのガイドデータを展示品識別情報とともにデータメモリ127に記憶させる機能を有する。データメモリ127はリーダライタ装置16(図6)の数だけ用意される。そして、それぞれ各所に配置された該当するリーダライタ装置16に装着される。また、このコンピュータ141は、美術館の受け付けに配置されている。そして、利用者の入場時に利用者の種別を入力するために使用される。利用者の種別は、コンピュータ141のマウス等を使用して入力される。利用者の種別は自動生成されたシリアル番号とともに、通信装置143を通じて電子ガイド装置14に送信される。電子ガイド装置14はこの処理によって、これを所持する利用者を区別するシリアル番号とともにその利用者の種別を記憶する。この電子ガイド装置14を利用者がそれぞれ所持して、美術館の各展示品の前でガイドデータを取得する。例えば、このコンピュータ141を無線LANを通じて館内のリーダライタ装置16と接続すれば、ガイドデータ等の集中管理ができるが、この例では、館内のリーダライタ装置16を全て独立させることができる。従って、システムが非常に簡素化できる。
【実施例5】
【0046】
図10は受付端末装置の動作例フローチャートである。
上記の装置をコンピュータプログラムで制御したときの動作例を説明する。図8で説明したコンピュータを使用して、まず、ステップS11で、利用者受付処理をする。この処理では、受け付け係がコンピュータ71に、キーボードやマウスを用いて利用者の種別を入力する。その結果はコンピュータ71の記憶装置に記憶される。ステップS12では、コンピュータ71の内部でシリアル番号を付加して利用者識別情報の生成をする。ステップS13では、コンピュータ71に接続された通信装置72が電子ガイド装置14との通信を確立する。ステップS14では、コンピュータ71から電子ガイド装置14に対して利用者識別情報を送信する。続いてこのコンピュータ71は、ステップS15で展示場案内を表示するためのデータを電子ガイド装置14に送信する。これで、電子ガイド装置14に展示場案内が表示されて、利用者の受け付け処理が終了する。
【0047】
図11は電子ガイド装置の初期設定動作例フローチャートである。
電子ガイド装置14では、美術館の入り口で受け付け処理時に次のような動作が実行される。まず、ステップS21で、コンピュータ71の通信装置72に電子ガイド装置14を接近させることにより、電磁誘導を受けて電源回路が起動する。この電源電力は電子ガイド装置14の各部へ供給される。ステップS22では、電子ガイド装置14の受信機30が起動する。ステップS23では、書き換え制御回路20が起動をする。ステップS24では、受信機30がコンピュータ71から利用者識別情報22を受信する。ステップS25で、この利用者識別情報22を記憶装置12に記憶する。ステップS26では、コンピュータ71から展示場案内を受信する。そしてステップS27で、書き換え制御回路20は、表示デバイス18に展示場案内を転送して表示させる。
【0048】
図12はリーダライタ装置の初期設定動作例フローチャートである。
ステップS31では、例えば、通常業務の開始直前にガイドデータメモリを例えば、USBインタフェースに装着する。ガイドデータメモリには、このリーダライタ装置16の担当する展示品のガイドデータと展示品識別情報リストとが記憶されている。ステップS32で、ガイドデータメモリから展示品識別情報リストを取得する。ステップS33で、その展示品識別情報を記憶装置に記憶させて登録する。次に、ステップS34で、周辺に配置された展示品に対して問い合わせ信号を送信する。ステップS35では、展示品から展示品識別情報を受信する。その後、ステップS36で、登録された展示品識別情報リストと展示品から受信した展示品識別情報とを照合する。この処理は照合手段54(図5)が行う。
【0049】
ステップS37では、不一致分の警告表示生成をする。展示品が不足している場合とガイドデータが不足している場合とがあるから、それぞれについて、その旨のメッセージを生成する。ステップS38では、その照合結果を図5に示したようにディスプレイ56に表示する。過不足があれば、管理者が展示品の配置を修正したり、ガイドデータを補充する。過不足がないときは通常業務を開始できる。次に、ステップS39で、タイマ55をスタートする。これは、防犯警報処理である。ステップS40でタイマ55がタイムアップをすると、ステップS34に戻る。タイマ55は例えば、5分毎にタイムアップする。従って、継続的に展示品の存在を確認して、もし、盗難等があったときは、警報を発することができる。
【0050】
図13はリーダライタ装置の通常動作例フローチャートである。
ステップS41で、リーダライタ装置16は電子ガイド装置に対して問い合わせ信号を送信する。ステップS42で、リーダライタ装置16は電子ガイド装置14から利用者識別情報を受信する。ステップS43では、順位カウンタ47(図4)をインクリメントする。初期値をゼロに設定しておくと、ステップS44で1番目に配列されたガイドデータを選択する。ステップS45でガイドデータを電子ガイド装置14に送信する。その後、再度同じ利用者識別情報を受信したときは、順位カウンタ47(図4)をインクリメントして、2番目に配列されたガイドデータを選択する。こうして、順次、異なる展示品のガイドデータを送信できる。
【0051】
図14は、電子ガイド装置の通常動作例フローチャートである。
電子ガイド装置をリーダライタ装置に近づけると、ステップS51で電源回路32が起動する。ステップS52で受信機30が起動する。ステップS53で送信機24が起動する。ステップS54で書き換え制御回路20が起動する。この状態でステップS55で、リーダライタ装置16から問い合わせ信号を受信する。ステップS56では、送信機24がリーダライタ装置に利用者識別情報を送信する。その結果、リーダライタ装置からステップS57で、利用者の種別に応じたガイドデータを受信する。そして、ステップS58で、ガイドデータを表示する。
【0052】
なお、上記の装置で実行されるコンピュータプログラムは、機能ブロックで図示した単位でモジュール化されてもよいし、複数の機能ブロックを組み合わせて一体化されてもよい。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1の電子ガイドシステムを示すブロック図。
【図2】美術館の展示場の一部外観図。
【図3】使用者識別情報の説明図。
【図4】実施例2に使用するリーダライタ装置の主要部ブロック図。
【図5】実施例3のリーダライタ装置ブロック図。
【図6】実施例4による電子ガイドシステムの斜視図。
【図7】電子ガイド装置のハードウエア例ブロック図。
【図8】リーダライタ装置のハードウエア例ブロック図。
【図9】受付端末装置のブロック図。
【図10】受付端末装置の動作例フローチャート。
【図11】電子ガイド装置の初期設定動作例フローチャート。
【図12】リーダライタ装置の初期設定動作例フローチャート。
【図13】リーダライタ装置の通常動作例フローチャート。
【図14】電子ガイド装置の通常動作例フローチャート。
【符号の説明】
【0054】
10 電子ガイドシステム、12 記憶装置、14 電子ガイド装置、16 リーダライタ装置、17 アンテナ、18 表示デバイス、20 書き換え制御回路、22 利用者識別情報、23 選択テーブル、24 送信機、28 ガイドデータ、29 記憶装置、30 受信機、31 アンテナ、32 電源回路、33 コイル、34 電力供給回路、35 コイル、36 問い合わせ回路、37 データ書き込み回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するとともに当該画像の画像データを記憶した状態を持続して、前記画像を継続して表示する記憶性表示部と、
前記記憶性表示部に前記画像データを記憶させて、前記画像を表示させる表示制御回路部と、
識別に用いる識別情報を送信する送信部と、
前記画像データを受信して前記画像データを前記表示制御回路部に供給する受信部と、
電磁誘導により取得した電力を供給して駆動する電源回路部と、
を有する電子表示装置と、
前記電源回路部に電磁誘導により前記電力を供給する電力供給回路部と、
前記電子表示装置に対して問い合わせ信号を送信して、前記送信部から送信された前記識別情報を取得する問い合わせ回路部と、
前記受信部に対して、前記識別情報により選択された種別に応じた前記画像データを送信するデータ書き込み回路部と、
を有するリーダライタ装置とを備えたことを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項2】
発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しない表示デバイスと、この表示デバイスの表示画像を更新する書き換え制御回路と、問い合わせ信号に応答して利用者を識別するための利用者識別情報を送信する送信機と、展示品を説明するためのガイドデータを受信して書き換え制御回路に供給する受信機と、電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する電源回路とを有する電子ガイド装置と、
前記電子ガイド装置の電源回路に電磁誘導により電力を供給する電力供給回路と、前記電子ガイド装置に対して問い合わせ信号を送信して、前記送信機から利用者識別情報を取得する問い合わせ回路と、前記受信機に対して、前記利用者識別情報により選択された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路とを有するリーダライタ装置とを備えたことを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の電子ガイドシステムにおいて、
前記リーダライタ装置は、それぞれ異なる展示品を説明する複数のガイドデータに所定の順位を付して記憶する記憶装置を備え、この記憶装置は、前記利用者識別情報と直前に送信をしたガイドデータの順位を示す情報とを記憶し、問い合わせ回路が、新たに前記送信機に対して問い合わせ信号を送信して、既に記憶された利用者識別情報が取得されたとき、前記データ書き込み回路は、前記ガイドデータの順位を参照して、次の順位のガイドデータを前記受信機に対して送信することを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項4】
請求項2に記載の電子ガイドシステムにおいて、
前記展示品には展示品識別情報表示手段が取り付けられ、
前記リーダライタ装置は、前記展示品識別情報を登録して記憶する登録手段と、前記展示品のガイドデータを記憶する記憶装置と、装置の起動時に、展示品識別情報表示手段の表示する展示品識別情報と前記登録手段により登録された展示品識別情報とを比較して、その比較結果を出力する照合手段を備えることを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の電子ガイドシステムにおいて、
前記登録手段は、複数の展示品の展示品識別情報を登録して記憶し、前記記憶手段は、前記複数の展示品のガイドデータを記憶し、前記照合手段は、リーダライタ装置の起動時に、前記全ての展示品の展示品識別情報を取得して、前記登録手段により登録された展示品識別情報と比較して、その比較結果を出力することを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項6】
請求項4に記載の電子ガイドシステムにおいて、
前記照合手段は、予め定められた時刻に、繰り返し所定のタイミングで前記展示品の展示品識別情報を自動的に取得して、前記登録手段により登録された展示品識別情報と比較して、その比較結果を出力することを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項7】
請求項2に記載の電子ガイドシステムにおいて、
前記リーダライタ装置のデータ書き込み回路は、利用者の種別に応じた展示場案内を含むガイドデータを送信することを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項8】
発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しない表示デバイスと、この表示デバイスの表示画像を更新する書き換え制御回路と、問い合わせ信号に応答して利用者を識別するための利用者識別情報を送信する送信機と、展示品を説明するためのガイドデータを受信して書き換え制御回路に供給する受信機と、電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する電源回路とを備えた電子ガイド装置を制御するためのものであって、
前記電子ガイド装置の電源回路に電磁誘導により電力を供給する電力供給回路と、前記送信機に対して問い合わせ信号を送信して、前記利用者識別情報を取得する問い合わせ回路と、前記受信機に対して、前記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路とを備えたリーダライタ装置。
【請求項9】
リーダライタ装置のコンピュータを、
利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶した記憶手段と、
電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得する問い合わせ手段と、
前記電子ガイド装置の受信機に対して、前記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路と、
電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を前記ガイドデータの内容に更新させるデータ書き込み手段、
として機能させる電子ガイドシステム用プログラム。
【請求項10】
リーダライタ装置のコンピュータを、
利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶した記憶手段と、
電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得する問い合わせ手段と、
前記電子ガイド装置の受信機に対して、前記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路と、
電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を前記ガイドデータの内容に更新させるデータ書き込み手段、
として機能させる電子ガイドシステム用プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
記憶手段が、利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶するステップと、
問い合わせ手段が、電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得するステップと、
データ書き込み回路が、前記電子ガイド装置の受信機に対して、前記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するステップと、
データ書き込み手段が、電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を前記ガイドデータの内容に更新するステップ、
とを含む電子ガイドシステムのリーダライタ制御方法。
【請求項1】
画像を表示するとともに当該画像の画像データを記憶した状態を持続して、前記画像を継続して表示する記憶性表示部と、
前記記憶性表示部に前記画像データを記憶させて、前記画像を表示させる表示制御回路部と、
識別に用いる識別情報を送信する送信部と、
前記画像データを受信して前記画像データを前記表示制御回路部に供給する受信部と、
電磁誘導により取得した電力を供給して駆動する電源回路部と、
を有する電子表示装置と、
前記電源回路部に電磁誘導により前記電力を供給する電力供給回路部と、
前記電子表示装置に対して問い合わせ信号を送信して、前記送信部から送信された前記識別情報を取得する問い合わせ回路部と、
前記受信部に対して、前記識別情報により選択された種別に応じた前記画像データを送信するデータ書き込み回路部と、
を有するリーダライタ装置とを備えたことを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項2】
発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しない表示デバイスと、この表示デバイスの表示画像を更新する書き換え制御回路と、問い合わせ信号に応答して利用者を識別するための利用者識別情報を送信する送信機と、展示品を説明するためのガイドデータを受信して書き換え制御回路に供給する受信機と、電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する電源回路とを有する電子ガイド装置と、
前記電子ガイド装置の電源回路に電磁誘導により電力を供給する電力供給回路と、前記電子ガイド装置に対して問い合わせ信号を送信して、前記送信機から利用者識別情報を取得する問い合わせ回路と、前記受信機に対して、前記利用者識別情報により選択された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路とを有するリーダライタ装置とを備えたことを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の電子ガイドシステムにおいて、
前記リーダライタ装置は、それぞれ異なる展示品を説明する複数のガイドデータに所定の順位を付して記憶する記憶装置を備え、この記憶装置は、前記利用者識別情報と直前に送信をしたガイドデータの順位を示す情報とを記憶し、問い合わせ回路が、新たに前記送信機に対して問い合わせ信号を送信して、既に記憶された利用者識別情報が取得されたとき、前記データ書き込み回路は、前記ガイドデータの順位を参照して、次の順位のガイドデータを前記受信機に対して送信することを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項4】
請求項2に記載の電子ガイドシステムにおいて、
前記展示品には展示品識別情報表示手段が取り付けられ、
前記リーダライタ装置は、前記展示品識別情報を登録して記憶する登録手段と、前記展示品のガイドデータを記憶する記憶装置と、装置の起動時に、展示品識別情報表示手段の表示する展示品識別情報と前記登録手段により登録された展示品識別情報とを比較して、その比較結果を出力する照合手段を備えることを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の電子ガイドシステムにおいて、
前記登録手段は、複数の展示品の展示品識別情報を登録して記憶し、前記記憶手段は、前記複数の展示品のガイドデータを記憶し、前記照合手段は、リーダライタ装置の起動時に、前記全ての展示品の展示品識別情報を取得して、前記登録手段により登録された展示品識別情報と比較して、その比較結果を出力することを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項6】
請求項4に記載の電子ガイドシステムにおいて、
前記照合手段は、予め定められた時刻に、繰り返し所定のタイミングで前記展示品の展示品識別情報を自動的に取得して、前記登録手段により登録された展示品識別情報と比較して、その比較結果を出力することを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項7】
請求項2に記載の電子ガイドシステムにおいて、
前記リーダライタ装置のデータ書き込み回路は、利用者の種別に応じた展示場案内を含むガイドデータを送信することを特徴とする電子ガイドシステム。
【請求項8】
発光機能を持たず、静止画表示状態で保持電力を消費しない表示デバイスと、この表示デバイスの表示画像を更新する書き換え制御回路と、問い合わせ信号に応答して利用者を識別するための利用者識別情報を送信する送信機と、展示品を説明するためのガイドデータを受信して書き換え制御回路に供給する受信機と、電磁誘導により取得した電力を装置各部に供給して駆動する電源回路とを備えた電子ガイド装置を制御するためのものであって、
前記電子ガイド装置の電源回路に電磁誘導により電力を供給する電力供給回路と、前記送信機に対して問い合わせ信号を送信して、前記利用者識別情報を取得する問い合わせ回路と、前記受信機に対して、前記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路とを備えたリーダライタ装置。
【請求項9】
リーダライタ装置のコンピュータを、
利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶した記憶手段と、
電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得する問い合わせ手段と、
前記電子ガイド装置の受信機に対して、前記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路と、
電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を前記ガイドデータの内容に更新させるデータ書き込み手段、
として機能させる電子ガイドシステム用プログラム。
【請求項10】
リーダライタ装置のコンピュータを、
利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶した記憶手段と、
電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得する問い合わせ手段と、
前記電子ガイド装置の受信機に対して、前記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するデータ書き込み回路と、
電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を前記ガイドデータの内容に更新させるデータ書き込み手段、
として機能させる電子ガイドシステム用プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
記憶手段が、利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを記憶するステップと、
問い合わせ手段が、電子ガイド装置の送信機に対して問い合わせ信号を送信して、利用者を識別するための利用者識別情報を取得するステップと、
データ書き込み回路が、前記電子ガイド装置の受信機に対して、前記利用者識別情報により判定された利用者の種別に応じた展示品のガイドデータを送信するステップと、
データ書き込み手段が、電磁誘導により電力を供給して起動した電子ガイド装置の書き換え制御回路により、電子ガイド装置の表示デバイスの表示画像を前記ガイドデータの内容に更新するステップ、
とを含む電子ガイドシステムのリーダライタ制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−77564(P2008−77564A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258814(P2006−258814)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]