電子スピン共鳴装置及び電子スピン共鳴装置における画像作成方法
【課題】 射影のデータ取得の偏りを小さくして、画像を再構成することができる電子スピン共鳴装置を提供する。
【解決手段】 ステップS11にて、θとφを生成する関数のパラメータを変更し、ステップS12にてθとφを計算する。次にステップS13にて、得られたθとφを元に、n射影の勾配ベクトルを算出する。ステップS14にて、最隣接軸間隔角度の最小値を求める。ステップS15にて、最隣接軸間隔角度の最小値が十分大きいか否かを判定する。十分大きければ(YES)処理を終える。
【解決手段】 ステップS11にて、θとφを生成する関数のパラメータを変更し、ステップS12にてθとφを計算する。次にステップS13にて、得られたθとφを元に、n射影の勾配ベクトルを算出する。ステップS14にて、最隣接軸間隔角度の最小値を求める。ステップS15にて、最隣接軸間隔角度の最小値が十分大きいか否かを判定する。十分大きければ(YES)処理を終える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子スピン共鳴装置(Electron Spin Resonance:ESR)に関し、特に三次元でn射影から画像を再構成する電子スピン共鳴装置及び電子スピン共鳴装置における画像作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ESRは試料内のラジカルの有無を観察するための装置であるが、近年では様々な角度の磁場勾配をかけることによって試料の同一位置における様々な角度でのスペクトルを得、X線CTの原理を応用することによってそれらのスペクトルから当該位置における試料の断層像を作成して表示する技術が盛んである。この断層像によれば、試料のどのような位置にラジカルが存在するか、及びそれらのラジカルの濃度を知ることができる。
【0003】
図24はESRの外部磁場に磁場勾配を印加することで位置情報を付与することを示す図である。上向きの勾配ベクトルを印加することによる、特定勾配下での射影を示している。
【0004】
ここで、位置情報は一次元の射影として与えられるので、画像を得るために画像再構成の処理を必要とする。再構成法としては、射影を平面に対して逆投影し、順次加算していくことで画像を得る逆投影法(Back-Projection法)がある。なお、以下では、ESRによる画像化(Imaging)をESRIという。
【0005】
図25はn射影からの画の再構成を示す図である。n=3の射影から画を再構成する様子である。また、フィルターを適用して再構成の操作によるノイズを低減することが行われる。これは、射影に対してフーリエ軸でフィルターを適用する。フィルター補正にはSheppの補正関数、Ramacachandranの補正関数、Cheslerの補正関数がある。フィルターを適用し逆投影法を用いたフィルター補正逆投影法(Filtered Back-Projection)が一般的に用いられている。
【0006】
一般的には、二軸の磁場勾配を用い二次元画像を得ることが行われている。しかし、二次元ESRIには、以下の問題点がある。
【0007】
図26は、二次元ESRIにおける平面情報の概念を示す図である。体積情報→平面情報のように、感度範囲の情報全てが平面情報として含まれる。
【0008】
このように、ESRIにおいてはMRI(Magnetic Resonance Imaging)などのスライス画像とは違い、感度範囲の情報が全て圧縮されて画像化される。このため、二次元ESRIでは正確な位置情報を得ることが難しい。
【0009】
そこで、ESRIにあって、正確な位置情報を得るためには、三次元による体積情報の取得が必要となる。
【0010】
図27は従来の三次元ESRIの生成を示す図である。n’射影からの面の再構成を行い、任意の軸を中心に、画の回転を行い、m’枚の画を空間へ逆投影する。二次元で一度再構成を行い、複数の面情報を得て、さらに体積に再構成を行うという手法である。鉛直方向に圧縮された情報を空間への投影で再構成する。
【0011】
この手法では、十分な画質の画像を得るために多くの射影を必要とする。そのため、画像化に長時間を要するという問題点がある。つまり、従来の3次元ESRI生成方法では、十分な画像を得るために長時間を要する。
【0012】
ところで、下記特許文献1等には、スパイラル走査型のエコープラナー(Echo-planar Imaging:EPI)法を適用し、磁気共鳴画像装置(MRI)により、画像再構成処理を行う技術が開示されている。
【0013】
従来からのスパイラル法をESRIにそのまま適用することを考える。図28はスパイラル法の勾配ベクトルの軌跡を示す図である。図29はn射影を直接空間へ逆投影することを示す図である。図28に示したスパイラル法の勾配ベクトルの軌跡と、図29に示したn射影を直接空間へ逆投影から、この手法では、軸を決め、そこから射影の向きとの成す角をθ、回転角度をφとおき、各々を定速度で変化させることになる。つまり、回転角度φと傾きθを一定(等間隔)としたスパイラル軌跡に基づいて射影ベクトルを得、n射影を直接空間へ逆投影する方法である。
【特許文献1】特開平09−140686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上記スパイラル法をESRIに適用した例では、傾き角度θが浅い場合と傾き角度θが大きい場合とでは、不必要に射影のデータの取得にばらつきがでてしまう。つまり、多くの射影を得られる角度θと、射影をあまり得られない角度θとがある。これは、スパイラル法の空間分解の偏りがあるためである。
【0015】
言い換えると、スパイラル法の空間分解の偏りは、射影の分布に由来するものであるといえる。
【0016】
図30は、図27に示した従来法による画像作成方法と、前記特許文献1等に開示のようなスパイラル法を適用した画像作成方法における、最隣接軸間隔角度分布である。スパイラル法では滑らかに角度分布しているが、分布が均一であるとはいえない。空間分解能の不均一はこの分布に由来していると考えた。
【0017】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、射影のデータ取得の偏りを小さくして、画像を再構成することができる電子スピン共鳴装置及び電子スピン共鳴装置における画像作成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る電子スピン共鳴装置は、前記課題を解決するために、スパイラル状に求める射影の向きと回転軸とのなす傾き角θと、回転角度φに基づいて、n射影から三次元の画像を再構成する電子スピン共鳴装置において、最隣接軸間隔角度の最小値を求め、それが最大になる値になるように、回転角度の最大値φmax、及び定数α、βを算出し、前記回転角度φ及び前記傾き角θを求める。
【0019】
この電子スピン共鳴装置にあっては、前記回転角度φを定速度に固定し、前記傾き角θを前記回転角度αに対して変化することが好ましい。また、前記回転角度φを開始時には速くし、徐々に遅くするようにしてもよい。
【0020】
本発明に係る電子スピン共鳴装置における画像作成方法は、前記課題を解決するために、スパイラル状に求める射影の向きと回転軸とのなす傾き角θと、回転角度φに基づいて、n射影から三次元の画像を再構成するための電子スピン共鳴装置における画像作成方法において、最隣接軸間隔角度の最小値を求める工程と、前記最隣接軸間隔角度の最小値が最大か否かを判定する工程と、前記最小値が最大となったときに前記傾き角θと、回転角度φを計算する工程とを備え、前記計算する工程は、回転角度の最大値φmax、及び定数α、βを算出し、前記回転角度φ及び前記傾き角θを求める。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電子スピン共鳴装置及び電子スピン共鳴装置における画像作成方法は、射影のデータ取得の偏りを小さくして、画像を再構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る電子スピン共鳴装置の実施の形態を示す図である。
【0023】
この電子スピン共鳴装置は、スパイラル状に求める射影の向きと回転軸とのなす傾き角θと、回転角度φに基づいて、n射影から三次元の画像を再構成する電子スピン共鳴装置において、最隣接軸間隔角度の最小値を求め、それが最大になる値になるように、回転角度の最大値φmax、及び定数α、βを算出し、前記回転角度φ及び前記傾き角θを求める。
【0024】
特に、回転角度φを定速度に固定し、前記傾き角θを前記回転角度αに対して変化するのが好ましい。また、前記回転角度φを開始時には速くし、徐々に遅くするようにしてもよい。
【0025】
図1において、1はホストコンピュータ、2は画像制御用マイクロプロセッサ、3はESRスペクトロメータ、4は検出器、5はフィールド制御部、6は電磁石、7はカラーモニタ、8は磁場勾配アンプ制御部、9は磁場勾配アンプ、10は勾配コイルである。
【0026】
図1において、ホストコンピュータ1は、ESRイメージング測定と画像処理をするESRイメージング測定制御用のメインコンピュータである。カラーモニタ7は、測定操作、処理画像表示、カラーとグレースケール表示を行うものである。図示しないカラープリンタがホストコンピュータに接続されていてもよく、画像をカラー印刷出力できる。
【0027】
ホストコンピュータ1に接続されているマイクロプロセッサ2は、画像制御用のマイクロプロセッサであり、測定時のホストコンピュータ1との情報交換やスペクトロメータ3、フィールド制御部5、磁場勾配アンプ制御部8の制御、測定データの送受信を行う。また、このマイクロプロセッサ2は、パルスシーケンサを有し、本発明の電子スピン共鳴装置における画像作成方法に基づいたESRイメージング測定シーケンサスを発生してバスラインを介してスペクトロメータ3を制御する。
【0028】
そのため、マイクロプロセッサ2は、DAC制御部やDAC(デジタル−アナログコンバータ)、ADC(アナログ−デジタルコンバータ)、ROM(リドオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)を有している。
【0029】
DAC制御部では、測定時に本発明の画像制御方法に基づいたシーケンスの流れにそって勾配磁場強度、射影処理、画像再構成等の制御データをデジタル信号でDACに送る。DAC出力チャンネル数として、磁場勾配用では例えば磁場掃引(R)軸、X軸、Y軸、Z軸の静磁場制御に2チャンネル、選択励起の合計7個の出力チャンネルを有する。勾配用DACは、R、X、Y、Zの各軸のデジタル信号をアナログ波形に変換して磁場勾配アンプ制御部8に送る。ADCは、ESRイメージングの測定アナログ信号をデジタルに変換してイメージ制御用マイクロプロセッサ2に取り込む。また、ROMには、磁場補正関数、SINC関数、その他の関数データを格納し、RAMには、測定用プログラムや測定データ、測定シーケンスを格納する。
【0030】
フィールド制御部5は、電磁石6により静磁場の発生、その強度の制御を行ったり、イメージ制御用マイクロプロセッサ2からの指示に基づき電磁石6により共鳴磁場を制御する。また、ホストコンピュータ1から前もって静磁場のひずみを補正計算し、最適化したファイル情報をイメージ制御用マイクロプロセッサ2に送り、フィールド制御部5で磁場強度を測定に最もよい状態に制御する。
【0031】
イメージング測定では本発明の画像作成方法に基づいたシーケンスにより、1プロジェクション(射影スペクトル)測定を行い、これを繰り返すことによって測定を行う。
【0032】
磁場勾配アンプ制御部8は、エディーカレント防止回路や勾配電源自動遮断回路、磁場勾配コイル加熱防止回路を有し、イメージ制御用マイクロプロセッサ2から供給される磁場勾配波形の整形を行って、その出力を勾配電源である複数の磁場勾配アンプ9に送る。複数の勾配コイル10は、例えばx、y、z磁場勾配を発生するコイルである。
【0033】
次に、マイクロプロセッサ2により実行される、電子スピン共鳴装置における画像作成方法について説明する。
【0034】
前述のように、従来のスパイラル法では、再構成の画像に空間分解の偏りを認められるので、精度、画質の改善が不十分であると考えられる。以下の(1)式、(2)式は従来のスパイラル法において与えられる傾き角θと、回転角度φを算出するための式である。
【0035】
θ=(θmax/N)×i(0≦i<N)(θmax=π/2) ・・・(1)
φ=(φmax/N)×i(0≦i<N)(φmax=任意の定数) ・・・(2)
図2は上記(1)式、(2)式において定義される傾き角θと回転角度φを示す図である、図3はスパイラル法における軸分布の偏りを示す図である。最小軸間隔角度分布より、スパイラル法では回転軸に対して鉛直な平面方向の分布が粗になっていると考えられる。
【0036】
そこで、回転角度φを定速度に固定して、傾き角θの与え方を変化させることを試みた。いくつかの式を検討し、θをφに対して自在に変化させるのに適当な式として以下のような(3)式、(4)式のような指数関数を用いた。
【0037】
θ=θmax(1−(1−(i/N)α)β)(0≦i<N)(θmax=π/2) ・・(3)
φ=(φmax/N)×i(0≦i<N)(φmax=任意の定数) ・・・(4)
α、β:定数
最小軸間隔角度を均一にするには、振れ幅を均一にする必要がある。一方、分布角度には上限があるため、全体の最小値を求めて、その値が最大になるパラメータも、振れ幅は均一になると考えられる。
【0038】
最適なφmax、α、βを求めるために、最隣接軸間隔角度の最小値を求め、それが最大になる値を検討した。
【0039】
図4は、前記(3)式、(4)式を適用した画像作成方法の処理手順を示すフローチャートである。図1のマイクロプロセッサ2にて実行される処理である。まず、ステップS1にて(3)式、(4)式を用いてn射影の勾配ベクトルを求める。このステップS1の工程は、後述の図5のサブルーチン処理となる。
【0040】
次に、ステップS2にてステップS1で求めたn射影の勾配ベクトルを用いてデータを取得する。ステップS3にて、ステップS2で得られたデータとn射影の勾配ベクトルを用いて直接空間へ逆投影して画像を再構成する。
【0041】
図5は、前記ステップS1のサブルーチンの処理手順である。ステップS11にて、θとφを生成する関数のパラメータを変更し、ステップS12にてθとφを計算する。次にステップS13にて、得られたθとφを元に、n射影の勾配ベクトルを算出する。ステップS14にて、最隣接軸間隔角度の最小値を求める。ステップS15にて、最隣接軸間隔角度の最小値が十分大きいか否かを判定する。十分大きければ(YES)処理を終える。
【0042】
図6はθ分布特性である。また、図7は最小軸間隔分布特性図である。これらの特性は、最適なφmax、α、βを用いて計算したものである。図6のθ分布と、図7の最小軸間隔角度分布のグラフより、上式(3)、(4)を用いた、改良スパイラル法(mSpiral)がスパイラル法(Spiral)と比較してデータ取得に偏りが少ないことがわかる。
【0043】
以下には、前記改良スパイラル法を含めた本発明の画像作成方法を適用した、図1の電子スピン共鳴装置による実験結果をまとめて説明する。複数の形状を被検体として、本実施例で実行した画像作成方法を適用して作成した画像を、前述の従来方法、及びスパイラル法を各比較例として、比較して説明する。
【0044】
ここで、複数の形状は、図8乃至図11に示すように、球体、立方体、惰球体、双惰球体とする。単一の形状のみでは、評価に偏りが生じる可能性があるため複数の形状について画質を検討する。
【0045】
この実験では射影によるデータ取得法に限定するために、射影を計算によって作成し、Shepp-Lorganフィルターのみを適用して画像再構成を行い検討、評価している。いわゆる従来法においては一度、平面情報を再構成し、さらにフィルターを適用した上で、空間へ再構成を行っているが、今回は実験条件を揃えるために、一次元情報にのみフィルターを適用した。
【0046】
図12は、球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)である。各手法とも、射影の数は81とした(各手法81射影の画像である)。三次元画像は図示することが困難であるため、最大強度を通る点をXY、YZ、ZXで切断したスライス画像を示した。(B),(C)及び(D)にあっては、左上から時計回りに、XY、YZ、ZXの切断面である。また、左下のパースペクティブ(透視図)はピーク強度の半値を画像化している。
【0047】
図13は、図12に表した球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画像から元のファントムの形状を減算し、残差の自乗の和として算出した最小自乗誤差(MSE)の特性を、横軸を射影の数(Number of Projection)として示している。81射影の画像はもちろん、70射影画像から500射影画像までは、最小自乗誤差(MSE)が、従来法>スパイラル法>改良スパイラル法の順に低下しており、改良スパイラル法が顕著に改善されていることがわかった。
【0048】
図14は、図12に表した球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像に関する、S/N比を横軸を射影数として表している。S/N比はシグナル領域の強度から、周囲のノイズの平均値で除した値を示している。S/N比については、121射影より少ない射影数においては、3つの手法ともにほぼ同じ値を示した。しかし、324射影においては改良スパイラル法において改善が見られた。
【0049】
図15は、立方体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)である。各手法とも、射影の数は81とした(各手法81射影の画像である)。三次元画像は図示することが困難であるため、最大強度を通る点をXY、YZ、ZXで切断したスライス画像を示した。(B),(C)及び(D)にあっては、左上から時計回りに、XY、YZ、ZXの切断面である。また、左下のパースペクティブ(透視図)はピーク強度の半値を画像化している。
【0050】
図16は、図15に表した立方体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像から元のファントムの形状を減算し、残差の自乗の和として算出した最小自乗誤差(MSE)の特性を、横軸を射影の数(Number of Projection)として示している。81射影の画像はもちろん、70射影画像から500射影画像までは、最小自乗誤差(MSE)が、従来法>スパイラル法>改良スパイラル法の順に低下しており、改良スパイラル法が顕著に改善されていることがわかった。
【0051】
図17は、図15に表した立方体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像に関する、S/N比を横軸を射影数として表している。S/N比はシグナル領域の強度から、周囲のノイズの平均値で除した値を示している。S/N比については、121射影より少ない射影数においては、3つの手法ともにほぼ同じ値を示した。しかし、324射影においてはスパイラル法及び改良スパイラル法において改善が見られた。
【0052】
図18は、惰球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)である。各手法81射影の画像である。これまでと同様に、三次元画像は図示することが困難であるため、最大強度を通る点をXY、YZ、ZXで切断したスライス画像を示した。(B),(C)及び(D)にあっては、左上から時計回りに、XY、YZ、ZXの切断面である。また、左下のパースペクティブ(透視図)はピーク強度の半値を画像化している。
【0053】
図19は、図18に表した惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像から算出した最小自乗誤差(MSE)の特性を、横軸を射影の数(Number of Projection)として示している。81射影の画像はもちろん、70射影画像から500射影画像までは、最小自乗誤差(MSE)が、従来法>スパイラル法>改良スパイラル法の順に低下しており、改良スパイラル法が顕著に改善されていることがわかった。
【0054】
図20は、図18に表した惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像に関する、S/N比を横軸を射影数として表している。S/N比については、121射影より少ない射影数においては、3つの手法ともにほぼ同じ値を示した。しかし、324射影においては改良スパイラル法において改善が見られた。
【0055】
図21は、双惰球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)である。各手法81射影の画像である。これまでと同様に、三次元画像は図示することが困難であるため、最大強度を通る点をXY、YZ、ZXで切断したスライス画像を示した。(B),(C)及び(D)にあっては、左上から時計回りに、XY、YZ、ZXの切断面である。また、左下のパースペクティブ(透視図)はピーク強度の半値を画像化している。
【0056】
図22は、図21に表した双惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像から算出した最小自乗誤差(MSE)の特性を、横軸を射影の数(Number of Projection)として示している。81射影の画像はもちろん、70射影画像から500射影画像までは、最小自乗誤差(MSE)が、従来法>スパイラル法>改良スパイラル法の順に低下しており、改良スパイラル法が顕著に改善されていることがわかった。
【0057】
図23は、図21に表した双惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像に関する、S/N比を横軸を射影数として表している。S/N比については、121射影より少ない射影数においては、3つの手法ともにほぼ同じ値を示した。しかし、324射影においては改良スパイラル法において改善が見られた。
【0058】
以上の実験結果により、球体、立方体、惰球体、双惰球体に関して、最小自乗誤差(MSE)は、従来法>スパイラル法>改良スパイラル法の順に低下しており、改良スパイラル法が顕著に改善されていることがわかった。
【0059】
また、S/N比については、121射影より少ない射影数においては、3つの手法ともにほぼ同じ値を示した。しかし、324射影においては改良スパイラル法において改善が見られた。
【0060】
すなわち、改良スパイラル法を用いた画像作成方法を適用した、電子スピン共鳴装置にあっては、同じ射影数においても、より高精度な画像を得ることに成功した。改良スパイラル法を用いることにより、短時間で従来法と同じ精度の画像を得ることが可能となった。
【0061】
また、一射影あたりのデータ取得が1秒程度の条件下では、324射影においても5分程度である、生理的条件を考えても、改良スパイラル法がより高精度な画像を得ることができる。このため、この電子スピン共鳴装置は、生体計測などにおいて、より高精度な位置情報取得などに役立つものと考えられる。つまり、改良スパイラル法を含んだ画像作成方法を電子スピン共鳴装置にて実行することにより、同じ画質を保ちつつ、短時間で画像取得することができる。
【0062】
最後に、本発明の実施例を説明する。表1は、各射影数におけるφmax、α、βについての値を示す。射影数324を超えると画像の解像度については変動が見られなくなるため、φmaxは2000〜45400、αは0.1〜0.4、βは0.5〜0.71の範囲が望ましい。最適値は、121射影時であってφmaxは5900、αは0.33、βは0.67である。なお、表1において、M.Aは最隣接軸間隔角度を示し、D.Aは各投影点における最隣接軸間角度のバラツキを示す。
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】電子スピン共鳴装置の構成図である。
【図2】傾き角θと回転角度φを示す図である。
【図3】スパイラル法における軸分布の偏りを示す図である。
【図4】画像作成方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】n射影の勾配ベクトルの算出処理手順を示すフローチャートである。
【図6】θ分布特性図である。
【図7】最小軸間隔分布特性図である。
【図8】球体形状図である。
【図9】立方体形状図である。
【図10】惰球体形状図である。
【図11】双惰球体形状図である。
【図12】球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)を示す図である。
【図13】図12に表した球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したMSE特性図である。
【図14】図12に表した球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したS/N比特性図である。
【図15】立方体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)を示す図である。
【図16】図15に表した立方体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したMSE特性図である。
【図17】図15に表した立方体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したS/N比特性図である。
【図18】惰球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)を示す図である。
【図19】図18に表した惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したMSE特性図である。
【図20】図19に表した惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したS/N比特性図である。
【図21】双惰球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)を示す図である。
【図22】図21に表した双惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したMSE特性図である。
【図23】図21に表した双惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したS/N比特性図である。
【図24】ESRの外部磁場に磁場勾配を印加することで位置情報を付与することを示す図である。
【図25】n射影からの画の再構成を示す図である。
【図26】二次元ESRI−CTにおける平面情報の概念を示す図である。
【図27】従来の三次元ESRIの生成を示す図である。
【図28】スパイラル法の勾配ベクトルの軌跡を示す図である。
【図29】n射影を直接空間へ逆投影することを示す図である。
【図30】図27に示した従来法による画像作成方法と、前記特許文献1等に開示のようなスパイラル法を適用した画像作成方法における、最隣接軸間隔角度分布図である。
【符号の説明】
【0064】
1・・・ホストコンピュータ
2・・・マイクロプロセッサ
3・・・スペクトロメータ
4・・・検出器
5・・・フィールド制御部
6・・・電磁石
7・・・カラーモニタ
8・・・磁場勾配アンプ制御部
9・・・磁場勾配アンプ
10・・・コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子スピン共鳴装置(Electron Spin Resonance:ESR)に関し、特に三次元でn射影から画像を再構成する電子スピン共鳴装置及び電子スピン共鳴装置における画像作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ESRは試料内のラジカルの有無を観察するための装置であるが、近年では様々な角度の磁場勾配をかけることによって試料の同一位置における様々な角度でのスペクトルを得、X線CTの原理を応用することによってそれらのスペクトルから当該位置における試料の断層像を作成して表示する技術が盛んである。この断層像によれば、試料のどのような位置にラジカルが存在するか、及びそれらのラジカルの濃度を知ることができる。
【0003】
図24はESRの外部磁場に磁場勾配を印加することで位置情報を付与することを示す図である。上向きの勾配ベクトルを印加することによる、特定勾配下での射影を示している。
【0004】
ここで、位置情報は一次元の射影として与えられるので、画像を得るために画像再構成の処理を必要とする。再構成法としては、射影を平面に対して逆投影し、順次加算していくことで画像を得る逆投影法(Back-Projection法)がある。なお、以下では、ESRによる画像化(Imaging)をESRIという。
【0005】
図25はn射影からの画の再構成を示す図である。n=3の射影から画を再構成する様子である。また、フィルターを適用して再構成の操作によるノイズを低減することが行われる。これは、射影に対してフーリエ軸でフィルターを適用する。フィルター補正にはSheppの補正関数、Ramacachandranの補正関数、Cheslerの補正関数がある。フィルターを適用し逆投影法を用いたフィルター補正逆投影法(Filtered Back-Projection)が一般的に用いられている。
【0006】
一般的には、二軸の磁場勾配を用い二次元画像を得ることが行われている。しかし、二次元ESRIには、以下の問題点がある。
【0007】
図26は、二次元ESRIにおける平面情報の概念を示す図である。体積情報→平面情報のように、感度範囲の情報全てが平面情報として含まれる。
【0008】
このように、ESRIにおいてはMRI(Magnetic Resonance Imaging)などのスライス画像とは違い、感度範囲の情報が全て圧縮されて画像化される。このため、二次元ESRIでは正確な位置情報を得ることが難しい。
【0009】
そこで、ESRIにあって、正確な位置情報を得るためには、三次元による体積情報の取得が必要となる。
【0010】
図27は従来の三次元ESRIの生成を示す図である。n’射影からの面の再構成を行い、任意の軸を中心に、画の回転を行い、m’枚の画を空間へ逆投影する。二次元で一度再構成を行い、複数の面情報を得て、さらに体積に再構成を行うという手法である。鉛直方向に圧縮された情報を空間への投影で再構成する。
【0011】
この手法では、十分な画質の画像を得るために多くの射影を必要とする。そのため、画像化に長時間を要するという問題点がある。つまり、従来の3次元ESRI生成方法では、十分な画像を得るために長時間を要する。
【0012】
ところで、下記特許文献1等には、スパイラル走査型のエコープラナー(Echo-planar Imaging:EPI)法を適用し、磁気共鳴画像装置(MRI)により、画像再構成処理を行う技術が開示されている。
【0013】
従来からのスパイラル法をESRIにそのまま適用することを考える。図28はスパイラル法の勾配ベクトルの軌跡を示す図である。図29はn射影を直接空間へ逆投影することを示す図である。図28に示したスパイラル法の勾配ベクトルの軌跡と、図29に示したn射影を直接空間へ逆投影から、この手法では、軸を決め、そこから射影の向きとの成す角をθ、回転角度をφとおき、各々を定速度で変化させることになる。つまり、回転角度φと傾きθを一定(等間隔)としたスパイラル軌跡に基づいて射影ベクトルを得、n射影を直接空間へ逆投影する方法である。
【特許文献1】特開平09−140686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上記スパイラル法をESRIに適用した例では、傾き角度θが浅い場合と傾き角度θが大きい場合とでは、不必要に射影のデータの取得にばらつきがでてしまう。つまり、多くの射影を得られる角度θと、射影をあまり得られない角度θとがある。これは、スパイラル法の空間分解の偏りがあるためである。
【0015】
言い換えると、スパイラル法の空間分解の偏りは、射影の分布に由来するものであるといえる。
【0016】
図30は、図27に示した従来法による画像作成方法と、前記特許文献1等に開示のようなスパイラル法を適用した画像作成方法における、最隣接軸間隔角度分布である。スパイラル法では滑らかに角度分布しているが、分布が均一であるとはいえない。空間分解能の不均一はこの分布に由来していると考えた。
【0017】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、射影のデータ取得の偏りを小さくして、画像を再構成することができる電子スピン共鳴装置及び電子スピン共鳴装置における画像作成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る電子スピン共鳴装置は、前記課題を解決するために、スパイラル状に求める射影の向きと回転軸とのなす傾き角θと、回転角度φに基づいて、n射影から三次元の画像を再構成する電子スピン共鳴装置において、最隣接軸間隔角度の最小値を求め、それが最大になる値になるように、回転角度の最大値φmax、及び定数α、βを算出し、前記回転角度φ及び前記傾き角θを求める。
【0019】
この電子スピン共鳴装置にあっては、前記回転角度φを定速度に固定し、前記傾き角θを前記回転角度αに対して変化することが好ましい。また、前記回転角度φを開始時には速くし、徐々に遅くするようにしてもよい。
【0020】
本発明に係る電子スピン共鳴装置における画像作成方法は、前記課題を解決するために、スパイラル状に求める射影の向きと回転軸とのなす傾き角θと、回転角度φに基づいて、n射影から三次元の画像を再構成するための電子スピン共鳴装置における画像作成方法において、最隣接軸間隔角度の最小値を求める工程と、前記最隣接軸間隔角度の最小値が最大か否かを判定する工程と、前記最小値が最大となったときに前記傾き角θと、回転角度φを計算する工程とを備え、前記計算する工程は、回転角度の最大値φmax、及び定数α、βを算出し、前記回転角度φ及び前記傾き角θを求める。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電子スピン共鳴装置及び電子スピン共鳴装置における画像作成方法は、射影のデータ取得の偏りを小さくして、画像を再構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る電子スピン共鳴装置の実施の形態を示す図である。
【0023】
この電子スピン共鳴装置は、スパイラル状に求める射影の向きと回転軸とのなす傾き角θと、回転角度φに基づいて、n射影から三次元の画像を再構成する電子スピン共鳴装置において、最隣接軸間隔角度の最小値を求め、それが最大になる値になるように、回転角度の最大値φmax、及び定数α、βを算出し、前記回転角度φ及び前記傾き角θを求める。
【0024】
特に、回転角度φを定速度に固定し、前記傾き角θを前記回転角度αに対して変化するのが好ましい。また、前記回転角度φを開始時には速くし、徐々に遅くするようにしてもよい。
【0025】
図1において、1はホストコンピュータ、2は画像制御用マイクロプロセッサ、3はESRスペクトロメータ、4は検出器、5はフィールド制御部、6は電磁石、7はカラーモニタ、8は磁場勾配アンプ制御部、9は磁場勾配アンプ、10は勾配コイルである。
【0026】
図1において、ホストコンピュータ1は、ESRイメージング測定と画像処理をするESRイメージング測定制御用のメインコンピュータである。カラーモニタ7は、測定操作、処理画像表示、カラーとグレースケール表示を行うものである。図示しないカラープリンタがホストコンピュータに接続されていてもよく、画像をカラー印刷出力できる。
【0027】
ホストコンピュータ1に接続されているマイクロプロセッサ2は、画像制御用のマイクロプロセッサであり、測定時のホストコンピュータ1との情報交換やスペクトロメータ3、フィールド制御部5、磁場勾配アンプ制御部8の制御、測定データの送受信を行う。また、このマイクロプロセッサ2は、パルスシーケンサを有し、本発明の電子スピン共鳴装置における画像作成方法に基づいたESRイメージング測定シーケンサスを発生してバスラインを介してスペクトロメータ3を制御する。
【0028】
そのため、マイクロプロセッサ2は、DAC制御部やDAC(デジタル−アナログコンバータ)、ADC(アナログ−デジタルコンバータ)、ROM(リドオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)を有している。
【0029】
DAC制御部では、測定時に本発明の画像制御方法に基づいたシーケンスの流れにそって勾配磁場強度、射影処理、画像再構成等の制御データをデジタル信号でDACに送る。DAC出力チャンネル数として、磁場勾配用では例えば磁場掃引(R)軸、X軸、Y軸、Z軸の静磁場制御に2チャンネル、選択励起の合計7個の出力チャンネルを有する。勾配用DACは、R、X、Y、Zの各軸のデジタル信号をアナログ波形に変換して磁場勾配アンプ制御部8に送る。ADCは、ESRイメージングの測定アナログ信号をデジタルに変換してイメージ制御用マイクロプロセッサ2に取り込む。また、ROMには、磁場補正関数、SINC関数、その他の関数データを格納し、RAMには、測定用プログラムや測定データ、測定シーケンスを格納する。
【0030】
フィールド制御部5は、電磁石6により静磁場の発生、その強度の制御を行ったり、イメージ制御用マイクロプロセッサ2からの指示に基づき電磁石6により共鳴磁場を制御する。また、ホストコンピュータ1から前もって静磁場のひずみを補正計算し、最適化したファイル情報をイメージ制御用マイクロプロセッサ2に送り、フィールド制御部5で磁場強度を測定に最もよい状態に制御する。
【0031】
イメージング測定では本発明の画像作成方法に基づいたシーケンスにより、1プロジェクション(射影スペクトル)測定を行い、これを繰り返すことによって測定を行う。
【0032】
磁場勾配アンプ制御部8は、エディーカレント防止回路や勾配電源自動遮断回路、磁場勾配コイル加熱防止回路を有し、イメージ制御用マイクロプロセッサ2から供給される磁場勾配波形の整形を行って、その出力を勾配電源である複数の磁場勾配アンプ9に送る。複数の勾配コイル10は、例えばx、y、z磁場勾配を発生するコイルである。
【0033】
次に、マイクロプロセッサ2により実行される、電子スピン共鳴装置における画像作成方法について説明する。
【0034】
前述のように、従来のスパイラル法では、再構成の画像に空間分解の偏りを認められるので、精度、画質の改善が不十分であると考えられる。以下の(1)式、(2)式は従来のスパイラル法において与えられる傾き角θと、回転角度φを算出するための式である。
【0035】
θ=(θmax/N)×i(0≦i<N)(θmax=π/2) ・・・(1)
φ=(φmax/N)×i(0≦i<N)(φmax=任意の定数) ・・・(2)
図2は上記(1)式、(2)式において定義される傾き角θと回転角度φを示す図である、図3はスパイラル法における軸分布の偏りを示す図である。最小軸間隔角度分布より、スパイラル法では回転軸に対して鉛直な平面方向の分布が粗になっていると考えられる。
【0036】
そこで、回転角度φを定速度に固定して、傾き角θの与え方を変化させることを試みた。いくつかの式を検討し、θをφに対して自在に変化させるのに適当な式として以下のような(3)式、(4)式のような指数関数を用いた。
【0037】
θ=θmax(1−(1−(i/N)α)β)(0≦i<N)(θmax=π/2) ・・(3)
φ=(φmax/N)×i(0≦i<N)(φmax=任意の定数) ・・・(4)
α、β:定数
最小軸間隔角度を均一にするには、振れ幅を均一にする必要がある。一方、分布角度には上限があるため、全体の最小値を求めて、その値が最大になるパラメータも、振れ幅は均一になると考えられる。
【0038】
最適なφmax、α、βを求めるために、最隣接軸間隔角度の最小値を求め、それが最大になる値を検討した。
【0039】
図4は、前記(3)式、(4)式を適用した画像作成方法の処理手順を示すフローチャートである。図1のマイクロプロセッサ2にて実行される処理である。まず、ステップS1にて(3)式、(4)式を用いてn射影の勾配ベクトルを求める。このステップS1の工程は、後述の図5のサブルーチン処理となる。
【0040】
次に、ステップS2にてステップS1で求めたn射影の勾配ベクトルを用いてデータを取得する。ステップS3にて、ステップS2で得られたデータとn射影の勾配ベクトルを用いて直接空間へ逆投影して画像を再構成する。
【0041】
図5は、前記ステップS1のサブルーチンの処理手順である。ステップS11にて、θとφを生成する関数のパラメータを変更し、ステップS12にてθとφを計算する。次にステップS13にて、得られたθとφを元に、n射影の勾配ベクトルを算出する。ステップS14にて、最隣接軸間隔角度の最小値を求める。ステップS15にて、最隣接軸間隔角度の最小値が十分大きいか否かを判定する。十分大きければ(YES)処理を終える。
【0042】
図6はθ分布特性である。また、図7は最小軸間隔分布特性図である。これらの特性は、最適なφmax、α、βを用いて計算したものである。図6のθ分布と、図7の最小軸間隔角度分布のグラフより、上式(3)、(4)を用いた、改良スパイラル法(mSpiral)がスパイラル法(Spiral)と比較してデータ取得に偏りが少ないことがわかる。
【0043】
以下には、前記改良スパイラル法を含めた本発明の画像作成方法を適用した、図1の電子スピン共鳴装置による実験結果をまとめて説明する。複数の形状を被検体として、本実施例で実行した画像作成方法を適用して作成した画像を、前述の従来方法、及びスパイラル法を各比較例として、比較して説明する。
【0044】
ここで、複数の形状は、図8乃至図11に示すように、球体、立方体、惰球体、双惰球体とする。単一の形状のみでは、評価に偏りが生じる可能性があるため複数の形状について画質を検討する。
【0045】
この実験では射影によるデータ取得法に限定するために、射影を計算によって作成し、Shepp-Lorganフィルターのみを適用して画像再構成を行い検討、評価している。いわゆる従来法においては一度、平面情報を再構成し、さらにフィルターを適用した上で、空間へ再構成を行っているが、今回は実験条件を揃えるために、一次元情報にのみフィルターを適用した。
【0046】
図12は、球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)である。各手法とも、射影の数は81とした(各手法81射影の画像である)。三次元画像は図示することが困難であるため、最大強度を通る点をXY、YZ、ZXで切断したスライス画像を示した。(B),(C)及び(D)にあっては、左上から時計回りに、XY、YZ、ZXの切断面である。また、左下のパースペクティブ(透視図)はピーク強度の半値を画像化している。
【0047】
図13は、図12に表した球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画像から元のファントムの形状を減算し、残差の自乗の和として算出した最小自乗誤差(MSE)の特性を、横軸を射影の数(Number of Projection)として示している。81射影の画像はもちろん、70射影画像から500射影画像までは、最小自乗誤差(MSE)が、従来法>スパイラル法>改良スパイラル法の順に低下しており、改良スパイラル法が顕著に改善されていることがわかった。
【0048】
図14は、図12に表した球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像に関する、S/N比を横軸を射影数として表している。S/N比はシグナル領域の強度から、周囲のノイズの平均値で除した値を示している。S/N比については、121射影より少ない射影数においては、3つの手法ともにほぼ同じ値を示した。しかし、324射影においては改良スパイラル法において改善が見られた。
【0049】
図15は、立方体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)である。各手法とも、射影の数は81とした(各手法81射影の画像である)。三次元画像は図示することが困難であるため、最大強度を通る点をXY、YZ、ZXで切断したスライス画像を示した。(B),(C)及び(D)にあっては、左上から時計回りに、XY、YZ、ZXの切断面である。また、左下のパースペクティブ(透視図)はピーク強度の半値を画像化している。
【0050】
図16は、図15に表した立方体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像から元のファントムの形状を減算し、残差の自乗の和として算出した最小自乗誤差(MSE)の特性を、横軸を射影の数(Number of Projection)として示している。81射影の画像はもちろん、70射影画像から500射影画像までは、最小自乗誤差(MSE)が、従来法>スパイラル法>改良スパイラル法の順に低下しており、改良スパイラル法が顕著に改善されていることがわかった。
【0051】
図17は、図15に表した立方体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像に関する、S/N比を横軸を射影数として表している。S/N比はシグナル領域の強度から、周囲のノイズの平均値で除した値を示している。S/N比については、121射影より少ない射影数においては、3つの手法ともにほぼ同じ値を示した。しかし、324射影においてはスパイラル法及び改良スパイラル法において改善が見られた。
【0052】
図18は、惰球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)である。各手法81射影の画像である。これまでと同様に、三次元画像は図示することが困難であるため、最大強度を通る点をXY、YZ、ZXで切断したスライス画像を示した。(B),(C)及び(D)にあっては、左上から時計回りに、XY、YZ、ZXの切断面である。また、左下のパースペクティブ(透視図)はピーク強度の半値を画像化している。
【0053】
図19は、図18に表した惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像から算出した最小自乗誤差(MSE)の特性を、横軸を射影の数(Number of Projection)として示している。81射影の画像はもちろん、70射影画像から500射影画像までは、最小自乗誤差(MSE)が、従来法>スパイラル法>改良スパイラル法の順に低下しており、改良スパイラル法が顕著に改善されていることがわかった。
【0054】
図20は、図18に表した惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像に関する、S/N比を横軸を射影数として表している。S/N比については、121射影より少ない射影数においては、3つの手法ともにほぼ同じ値を示した。しかし、324射影においては改良スパイラル法において改善が見られた。
【0055】
図21は、双惰球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)である。各手法81射影の画像である。これまでと同様に、三次元画像は図示することが困難であるため、最大強度を通る点をXY、YZ、ZXで切断したスライス画像を示した。(B),(C)及び(D)にあっては、左上から時計回りに、XY、YZ、ZXの切断面である。また、左下のパースペクティブ(透視図)はピーク強度の半値を画像化している。
【0056】
図22は、図21に表した双惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像から算出した最小自乗誤差(MSE)の特性を、横軸を射影の数(Number of Projection)として示している。81射影の画像はもちろん、70射影画像から500射影画像までは、最小自乗誤差(MSE)が、従来法>スパイラル法>改良スパイラル法の順に低下しており、改良スパイラル法が顕著に改善されていることがわかった。
【0057】
図23は、図21に表した双惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた再構成画像に関する、S/N比を横軸を射影数として表している。S/N比については、121射影より少ない射影数においては、3つの手法ともにほぼ同じ値を示した。しかし、324射影においては改良スパイラル法において改善が見られた。
【0058】
以上の実験結果により、球体、立方体、惰球体、双惰球体に関して、最小自乗誤差(MSE)は、従来法>スパイラル法>改良スパイラル法の順に低下しており、改良スパイラル法が顕著に改善されていることがわかった。
【0059】
また、S/N比については、121射影より少ない射影数においては、3つの手法ともにほぼ同じ値を示した。しかし、324射影においては改良スパイラル法において改善が見られた。
【0060】
すなわち、改良スパイラル法を用いた画像作成方法を適用した、電子スピン共鳴装置にあっては、同じ射影数においても、より高精度な画像を得ることに成功した。改良スパイラル法を用いることにより、短時間で従来法と同じ精度の画像を得ることが可能となった。
【0061】
また、一射影あたりのデータ取得が1秒程度の条件下では、324射影においても5分程度である、生理的条件を考えても、改良スパイラル法がより高精度な画像を得ることができる。このため、この電子スピン共鳴装置は、生体計測などにおいて、より高精度な位置情報取得などに役立つものと考えられる。つまり、改良スパイラル法を含んだ画像作成方法を電子スピン共鳴装置にて実行することにより、同じ画質を保ちつつ、短時間で画像取得することができる。
【0062】
最後に、本発明の実施例を説明する。表1は、各射影数におけるφmax、α、βについての値を示す。射影数324を超えると画像の解像度については変動が見られなくなるため、φmaxは2000〜45400、αは0.1〜0.4、βは0.5〜0.71の範囲が望ましい。最適値は、121射影時であってφmaxは5900、αは0.33、βは0.67である。なお、表1において、M.Aは最隣接軸間隔角度を示し、D.Aは各投影点における最隣接軸間角度のバラツキを示す。
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】電子スピン共鳴装置の構成図である。
【図2】傾き角θと回転角度φを示す図である。
【図3】スパイラル法における軸分布の偏りを示す図である。
【図4】画像作成方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】n射影の勾配ベクトルの算出処理手順を示すフローチャートである。
【図6】θ分布特性図である。
【図7】最小軸間隔分布特性図である。
【図8】球体形状図である。
【図9】立方体形状図である。
【図10】惰球体形状図である。
【図11】双惰球体形状図である。
【図12】球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)を示す図である。
【図13】図12に表した球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したMSE特性図である。
【図14】図12に表した球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したS/N比特性図である。
【図15】立方体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)を示す図である。
【図16】図15に表した立方体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したMSE特性図である。
【図17】図15に表した立方体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したS/N比特性図である。
【図18】惰球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)を示す図である。
【図19】図18に表した惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したMSE特性図である。
【図20】図19に表した惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したS/N比特性図である。
【図21】双惰球体形状(A)に関しての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)を示す図である。
【図22】図21に表した双惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したMSE特性図である。
【図23】図21に表した双惰球体(A)についての、従来法による画像(B)、スパイラル法による画像(C)、改良スパイラル法による画像(D)に基づいた各再構成画から算出したS/N比特性図である。
【図24】ESRの外部磁場に磁場勾配を印加することで位置情報を付与することを示す図である。
【図25】n射影からの画の再構成を示す図である。
【図26】二次元ESRI−CTにおける平面情報の概念を示す図である。
【図27】従来の三次元ESRIの生成を示す図である。
【図28】スパイラル法の勾配ベクトルの軌跡を示す図である。
【図29】n射影を直接空間へ逆投影することを示す図である。
【図30】図27に示した従来法による画像作成方法と、前記特許文献1等に開示のようなスパイラル法を適用した画像作成方法における、最隣接軸間隔角度分布図である。
【符号の説明】
【0064】
1・・・ホストコンピュータ
2・・・マイクロプロセッサ
3・・・スペクトロメータ
4・・・検出器
5・・・フィールド制御部
6・・・電磁石
7・・・カラーモニタ
8・・・磁場勾配アンプ制御部
9・・・磁場勾配アンプ
10・・・コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパイラル状に求めるスペクトル軸の向きと回転軸とのなす傾き角θと、回転角度φに基づいて、n射影から三次元の画像を再構成する電子スピン共鳴装置において、
最隣接軸間隔角度の最小値を求め、それが最大になる値になるように、回転角度の最大値φmax、及び定数α、βを算出し、前記回転角度φ及び前記傾き角θを求めることを特徴とする電子スピン共鳴装置。
【請求項2】
前記回転角度φを定速度に固定し、前記傾き角θを前記回転角度αに対して変化することを特徴とする請求項1記載の電子スピン共鳴装置。
【請求項3】
前記回転角度φを開始時には速くし、徐々に遅くすることを特徴とする請求項1記載の電子スピン共鳴装置。
【請求項4】
スパイラル状に求める射影の向きと回転軸とのなす傾き角θと、回転角度φに基づいて、n射影から三次元の画像を再構成するための電子スピン共鳴装置における画像作成方法において、
全てのスペクトル軸に対して最隣接軸間隔角度の最小値を求める工程と、
前記最隣接軸間隔角度の最小値が最大か否かを判定する工程と、
前記最小値が最大となったときに前記傾き角θと、回転角度φを計算する工程とを備え、
前記計算する工程は、回転角度の最大値φmax、及び定数α、βを算出し、前記回転角度φ及び前記傾き角θを求めることを特徴とする電子スピン共鳴装置における画像作成方法。
【請求項5】
前記回転角度φを定速度に固定し、前記傾き角θを前記回転角度φに対して変化することを特徴とする請求項4記載の電子スピン共鳴装置における画像作成方法。
【請求項6】
前記回転角度φを開始時には速くし、徐々に遅くすることを特徴とする請求項4記載の電子スピン共鳴装置における画像作成方法。
【請求項1】
スパイラル状に求めるスペクトル軸の向きと回転軸とのなす傾き角θと、回転角度φに基づいて、n射影から三次元の画像を再構成する電子スピン共鳴装置において、
最隣接軸間隔角度の最小値を求め、それが最大になる値になるように、回転角度の最大値φmax、及び定数α、βを算出し、前記回転角度φ及び前記傾き角θを求めることを特徴とする電子スピン共鳴装置。
【請求項2】
前記回転角度φを定速度に固定し、前記傾き角θを前記回転角度αに対して変化することを特徴とする請求項1記載の電子スピン共鳴装置。
【請求項3】
前記回転角度φを開始時には速くし、徐々に遅くすることを特徴とする請求項1記載の電子スピン共鳴装置。
【請求項4】
スパイラル状に求める射影の向きと回転軸とのなす傾き角θと、回転角度φに基づいて、n射影から三次元の画像を再構成するための電子スピン共鳴装置における画像作成方法において、
全てのスペクトル軸に対して最隣接軸間隔角度の最小値を求める工程と、
前記最隣接軸間隔角度の最小値が最大か否かを判定する工程と、
前記最小値が最大となったときに前記傾き角θと、回転角度φを計算する工程とを備え、
前記計算する工程は、回転角度の最大値φmax、及び定数α、βを算出し、前記回転角度φ及び前記傾き角θを求めることを特徴とする電子スピン共鳴装置における画像作成方法。
【請求項5】
前記回転角度φを定速度に固定し、前記傾き角θを前記回転角度φに対して変化することを特徴とする請求項4記載の電子スピン共鳴装置における画像作成方法。
【請求項6】
前記回転角度φを開始時には速くし、徐々に遅くすることを特徴とする請求項4記載の電子スピン共鳴装置における画像作成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2007−71607(P2007−71607A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257116(P2005−257116)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年3月5日 社団法人日本薬学会第125年会Webページ(http://nenkai.pharm.or.jp/125/pc/ipdfview.asp?i=3578)にて発表
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年3月5日 社団法人日本薬学会第125年会Webページ(http://nenkai.pharm.or.jp/125/pc/ipdfview.asp?i=3578)にて発表
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】
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