説明

電子デバイスを形成する方法

【課題】半導体デバイスにおいてナノメートルスケールのフィーチャーサイズを達成する
【解決手段】第1の樹脂成分と第1の光活性成分とを含む第1の感光性組成物の第1の層106を形成し、前記第1の層を、パターン化されたフォトマスク110を通した活性化放射線に露光し、現像して第1のレジストパターン112を形成し、ハードベークプロセスにおいて前記第1のレジストパターンを熱処理し、表面をアルカリ性にするのに有効な物質で、前記ハードベークされた第1のレジストパターンを処理し、第2の樹脂成分と光酸発生剤とを含み、ポジ型である第2の感光性組成物の第2の層114を前記第1のレジストパターンのアルカリ性表面と接触するように適用し、前記第2の層を、パターン化されたフォトマスク116を通した活性化放射線に露光し、露光された第2の層を現像して、第2のレジストパターン114を形成する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は35U.S.C.119(e)に基づいて、米国仮出願第61/269,600号(2009年6月26日出願)および第61/281,681号(2009年11月19日出願)の優先権の利益を主張し、これら出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は概して、電子デバイスの製造に関する。より具体的には、本発明は、複数のパターニング技術を用いてフォトリソグラフィパターンを形成する方法に関する。本発明は、高密度リソグラフィパターンおよびフィーチャーを形成するための半導体デバイスの製造における特定の用途を見いだす。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業においては、半導体基体上に配置された1以上の下層、例えば、金属層、半導体層、または誘電体層、並びに基体それ自体に像を転写するために、フォトレジスト物質が使用されている。半導体デバイスの集積密度を高め、ナノメートル範囲の寸法を有する構造の形成を可能にするために、高解像能を有するフォトレジストおよびフォトリソグラフィ処理ツールが開発されており、かつ開発され続けている。
【0003】
半導体デバイスにおいてナノメートルスケールのフィーチャーサイズを達成するための1つの手法は、化学増幅型フォトレジストの露光中での短波長、例えば、193nm以下の光の使用である。液浸リソグラフィは、像形成装置、例えば、KrFまたはArF光源を有するスキャナーのレンズの開口数を効果的に増大させる。これは、像形成装置の最終面と半導体ウェハの上面との間に、比較的高い屈折率の流体(すなわち、液浸流体)を使用することにより達成される。液浸流体は、空気または不活性ガス媒体を用いて起こるであろうよりも、より多量の光がレジスト層に焦点を合わせられることを可能にする。
【0004】
レイリー方程式(Rayleigh equation)によって定義される理論的な解像限界は以下に示される:
【数1】

式中、kはプロセス因子であり、λは像形成ツールの波長であり、NAは像形成レンズの開口数である。液浸流体として水を使用する場合には、最大開口数は、例えば、1.2から1.35に増大されうる。ラインアンドスペースパターンを印刷する場合の0.25のkについては、193nmの液浸スキャナは36nmハーフピッチラインアンドスペースパターンを解像することができるのみであろう。コンタクトホールまたは任意の2Dパターンを印刷するための解像度は、ダークフィールドマスクを用いた低空中像コントラストのせいで、さらに限定され、kについての理論的限界は0.35である。よって、コンタクトホールの最も小さいハーフピッチは約50nmに限定される。標準の液浸リソグラフィプロセスは、より高解像度を必要とするデバイスの製造に一般的に適していない。
【0005】
より高解像度を達成し、かつ既存の製造ツールの能力を理論的な解像度限界を超えて拡大させるための努力において、様々なダブルパターニングプロセス、例えば、自己整合ダブルパターニング(self−aligned double patterning;SADP)、リソ−エッチ−リソ−エッチ(litho−etch−litho−etch;LELE)およびリソ−リソ−エッチ(litho−litho−etch;LLE)技術が提案されてきた。しかし、典型的に実施されるこのような技術は1以上の不利益に悩まされる。SADPプロセスは、典型的には、比較的多数のプロセス工程を伴い、それにより、生産スループットに悪影響を及ぼす。LELE技術からは、フォトリソグラフィ処理モジュールとエッチング処理モジュールとの間で往復してウェハを輸送することから、並びにエッチングおよびレジスト除去プロセス自体から、生成物の汚染および欠陥が発生する場合がある。LLE手順は第1のリソグラフィ(L1)レジストパターンの形成および安定化と、それに続く第2のリソグラフィ(L2)パターンの形成を伴う。イオン注入、UV硬化、熱硬質化、熱硬化および化学硬化などの様々なレジスト安定化技術が提案されてきた。Brzozowyらへの米国特許出願公開第2008/0199814A1号(特許文献1)は、溶媒、レジストポリマー中のアンカー基と反応性である少なくとも2つの官能基を有する定着剤化合物、並びに任意の添加剤、例えば、触媒、界面活性剤およびポリマーを含む定着剤溶液でレジストパターンがコーティングされる、上塗り化学硬化技術を開示する。LLEプロセスはSADPおよびLELEよりも少ないプロセス工程を含むが、レジスト安定化中のパターン変形;L2レジストコーティング/ソフトベークプロセス中でのL1レジスト層とL2レジスト層との間の相互混合;およびL2露光/現像プロセス中のL1パターンの現像:を回避するのが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0199814A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最新技術に関連する上記課題の1以上に取り組む、多重パターニング方法についての、当該技術分野における継続した必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の形態に従って、電子デバイスを形成する方法が提供される。この方法は、(a)パターン形成される1以上の層を含む半導体基体を提供し;(b)第1の樹脂成分と第1の光活性成分とを含む第1の感光性組成物の第1の層を、前記パターン形成される1以上の層上に適用し;(c)前記第1の層を、パターン化されたフォトマスクを通した活性化放射線に露光し;(d)露光された第1の層を現像して第1のレジストパターンを形成し;(e)ハードベークプロセスにおいて前記第1のレジストパターンを熱処理し;(f)前記第1のレジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で、前記ハードベークされた第1のレジストパターンを処理し;(g)第2の樹脂成分と光酸発生剤とを含み、ポジ型である第2の感光性組成物の第2の層を、前記パターン形成される1以上の層上に、かつ前記第1のレジストパターンのアルカリ性表面と接触するように適用し;(h)前記第2の層を、パターン化されたフォトマスクを通した活性化放射線に露光し;並びに(i)露光された第2の層を現像して、第2のレジストパターンを形成する;ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1のA〜Iは本発明に従った二重露光シングルエッチングダブルパターニング方法についてのプロセスフローを示す。
【図2】図2は、本発明に従った方法において、表面処理後のベーク温度が、リソグラフィパターンの寸法の変化に及ぼす影響を示すグラフである。
【図3】図3は、半導体ウェハ上に二重層交差線構造を形成するためのフォトマスクおよび露光技術を示す。
【図4】図4は、実施例に記載されるダブルパターニング方法についてのSEM顕微鏡写真およびデータを含む表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、添付の図面を参照して説明され、図面において同様の参照番号は同様のフィーチャーを示す。
本発明の典型的な形態が図1のA〜Iに記載され、これは、本発明に従った、電子デバイスを形成するための、典型的なリソ−リソ−エッチダブルパターニングプロセスフローを示す。図1Aは、その表面上に形成された様々な層およびフィーチャーを含むことができる基体100を示す。基体は、半導体、例えばケイ素、または化合物半導体(例えば、III−VまたはII−VI)、ガラス、石英、セラミック、銅などの物質からなることができる。典型的には、基体は半導体ウェハ、例えば、単結晶シリコン、または化合物半導体ウェハであり、基体はその表面上に形成された1以上の層およびパターン形成されたフィーチャーを有することができる。パターン形成される1以上の層102が基体100上に提供されうる。場合によっては、例えば、基体物質に溝を形成することが望まれる場合には、下にあるベース基体物質自体がパターン形成されてよい。ベース基体物質自体をパターニングする場合には、このパターンは基体の層に形成されると見なされる。
【0011】
この層には、例えば、1以上の導電層、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、このような金属の合金、窒化物もしくはケイ化物、ドープされた非晶質ケイ素、またはドープされたポリシリコン、1以上の誘電層、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、もしくは金属酸化物の層、半導体層、例えば、単結晶シリコン、並びにこれらの組み合わせが挙げられ得る。エッチングされる層は様々な技術、例えば、化学蒸着(CVD)、例えば、プラズマ援用CVD、低圧CVDもしくはエピタキシャル成長;物理蒸着(PVD)、例えばスパッタリングもしくは蒸発;または電気めっきによって形成されうる。エッチングされる1以上の層102の具体的な厚みは、物質および形成される具体的なデバイスに応じて変化しうる。
【0012】
エッチングされる具体的な層、膜厚および使用されるフォトリソグラフィ物質およびプロセスに応じて、層102上に、フォトレジスト層がこの上にコーティングされる反射防止塗膜(bottom antireflective coating;BARC)104および/またはハードマスク層103を配置することが望まれる場合がある。例えば、エッチングされる層がかなりのエッチング深さを必要とし、および/または具体的なエッチング剤がレジスト選択性に劣り、非常に薄いレジスト層を使用する場合には、ハードマスク層の使用が望まれる場合がある。ハードマスク層が使用される場合には、形成されるレジストパターンはハードマスク層に写されることができ、これは次いで、下にある層102をエッチングするためのマスクとして使用されうる。好適なハードマスク物質および形成方法は当該技術分野において知られている。典型的な物質には、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、非晶質炭素、酸窒化ケイ素および窒化ケイ素が挙げられる。ハードマスク層103は単一層を構成するか、または異なる物質の複数の層を含むことができる。ハードマスク層は、例えば、化学または物理蒸着技術によって形成されうる。
【0013】
反射防止塗膜がなければ基体および/または下にある層が、フォトレジスト露光中に有意な量の入射放射線を反射し、その結果、形成されたパターンの品質が悪影響を受けるであろう場合には、反射防止塗膜104が望まれる場合がある。このような塗膜は焦点深度、露光寛容度、ライン幅均一性およびCD制御を向上させうる。レジストが深紫外光(300nm以下)、例えば、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、電子ビームおよび軟x−線に露光される場合には、反射防止塗膜が典型的に使用される。反射防止塗膜104は単一層を構成するか、または複数の異なる層を含むことができる。好適な反射防止物質および形成方法は当該技術分野において知られている。反射防止物質は市販されており、例えば、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズエルエルシー(米国、マサチューセッツ州、マルボロ)により、AR商標40AおよびAR商標124反射防止剤などのAR商標の下で販売されているものがある。
【0014】
第1の感光性組成物が基体上に、(存在する場合には)反射防止層104上に適用されて、第1の感光層106を形成する。本明細書において使用される場合、用語「感光性物質」、「感光性組成物」および「フォトレジスト」は交換可能に使用される。好適なフォトレジスト物質は当該技術分野において知られており、例えば、アクリラートベースのもの、ノボラックベースのもの、およびケイ素化学物質ベースのものが挙げられる。好適なレジストは、例えば、米国特許出願公開第20090117489A1号、第20080193872A1号、第20060246373A1号、第20090117489A1号、第20090123869A1号および米国特許第7,332,616号に記載されている。本発明の方法において有用なフォトレジスト物質には、ポジ型物質およびネガ型物質の双方が挙げられる。好適なポジ型物質には、ポジ型化学増幅型フォトレジストが挙げられ、これは組成物の1種以上の成分の酸不安定基の、光酸で促進される脱保護反応を受けて、このレジストの塗膜層の露光領域を、未露光領域よりも水性現像剤中でより可溶性にする。フォトレジスト樹脂の典型的な光酸不安定基(photoacid−labile groups)には、エステルのカルボキシル酸素に共有結合した第三級非環式アルキル炭素(例えば、t−ブチル)または第三級脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含むエステル基が挙げられる。アセタール光酸不安定基も典型的である。
【0015】
感光性組成物は樹脂成分および光活性成分を含む。樹脂は好ましくは、レジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。例えば、典型的なものは、ヒドロキシルまたはカルボキシラートのような極性官能基を含む樹脂バインダーである。樹脂成分は、組成物の露光された層を、現像剤溶液、例えば、アルカリ水溶液中で現像可能にするのに充分な量で、組成物中で使用される。樹脂成分は典型的には、レジストの全固形分の約70〜約97重量%を構成することができる。
【0016】
感光性組成物は、活性化放射線への露光の際に組成物の塗膜層に潜像を生じさせるのに充分な量で使用される光活性成分をさらに含む。例えば、光活性成分はレジストの全固形分の約1〜20重量%の量で好適に存在することができる。レジスト組成物中の典型的な光活性成分は光酸発生剤である。好適なPAGは化学増幅フォトレジストの技術分野において知られており、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウム塩、ニトロベンジル誘導体、スルホン酸エステル、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、およびハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
【0017】
レジストの典型的な任意の添加剤は追加塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクタートであり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。193nmで像形成されるレジストについては、典型的な追加塩基はヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。追加塩基は比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03〜5重量%で好適に使用される。
【0018】
本発明に従って使用されるフォトレジストは他の任意の物質を含むこともできる。例えば、他の任意の添加剤には、ストリエーション防止剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤などが挙げられる。この様な任意の添加剤は、典型的には、比較的高濃度、例えば、レジストの乾燥成分の合計重量を基準にして約0.1〜10重量%の量で存在することができる充填剤および染料を除いて、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0019】
好適なネガ型レジストは典型的には架橋性成分を含みうる。架橋性成分は典型的には別のレジスト成分として存在する。メラミンのようなアミンベースの架橋剤、例えば、サイメル(Cymel)メラミン樹脂が典型的である。本発明において有用なネガ型フォトレジスト組成物は、酸への曝露により硬化し、架橋しまたは固化しうる物質と、本発明の光活性成分との混合物を含む。特に有用なネガ型組成物はフェノール系樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分および光活性成分を含む。このような組成物およびその使用は欧州特許第0164248B1号および第0232972B1号、並びに米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するのに典型的なフェノール系樹脂には、上述のもののようなノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)が挙げられる。典型的な架橋剤には、アミンベースの物質、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン−ベースの物質および尿素ベースの物質が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、一般的に最も典型的である。このような架橋剤は商業的に入手可能であり、例えば、サイメル(Cymel)300、301および303の商品名で、サイテックインダストリーズ(Cytec Industries)により販売されているメラミン樹脂;サイメル1170、1171、1172の商品名でサイテックインダストリーズにより販売されているグリコールウリル樹脂;ビートル(Beetle)60、65および80の商品名でテクノールアペックスカンパニー(Teknor Apex Company)によって販売されている尿素ベースの樹脂;並びに、サイメル1123および1125の商品名でサイテックインダストリーズにより販売されているベンゾグアナミン樹脂が挙げられる。サブ200nmの波長、例えば、193nmでの像形成のために、典型的なネガ型フォトレジストは国際公開第03077029号に開示されている。
【0020】
本発明において有用なフォトレジストは一般的には、公知の手順に従って製造される。例えば、レジストは、フォトレジストの成分を好適な溶媒に溶解することによりコーティング組成物として製造されることができ、この好適な溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸エチルまたは乳酸メチル;プロピオン酸エステル、特にプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルおよびエチルエトキシプロピオナート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが挙げられる。フォトレジストの固形分量は、典型的には、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして約2〜25重量%で変化する。このような溶媒のブレンドも好適である。
【0021】
本発明の方法は様々な像形成波長、例えば、サブ(sub)400nm、サブ300nmまたはサブ200nmの露光波長の波長を有する放射線と共に使用されることができ、EUVおよび157nm、並びに、I線(365nm)、248nmおよび193nmが典型的な露光波長である。典型的な形態においては、フォトレジストはサブ200の波長、例えば193nmを用いて像形成されるのに好適である。このような波長において、ドライ処理が使用されうるが、液浸リソグラフィの使用が典型的である。液浸リソグラフィにおいては、約1〜約2の屈折率を有する流体(すなわち、液浸流体)は、露光中に、露光ツールとフォトレジスト層との間に維持される。トップコート層が典型的にはフォトレジスト層上に配置され、液浸流体とフォトレジスト層との直接の接触を妨げ、フォトレジストの成分の液浸流体への漏出を回避する。
【0022】
感光性組成物は、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング、または他の従来のコーティング技術によって基体に適用されうる。もちろん、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングについては、コーティング溶液の固形分量は、所望の膜厚を提供するために、使用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度および回転の時間量に基づいて調節されうる。第1の感光層106の典型的な厚みは約500〜1500Åである。第1の感光層は、次いで、ソフトベークされることができ、層内の溶媒含量を最小限にすることができ、それにより、粘着性のない塗膜を形成し、この層の基体に対する接着性を向上させることができる。ソフトベークはホットプレート上でまたはオーブン内で行われることができ、ホットプレートが典型的である。ソフトベーク温度および時間は、例えば、感光層の具体的な物質および厚みに応じて変動しうる。典型的なソフトベークは約90〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。
【0023】
第1の感光層106が液浸リソグラフィツール、例えば、193nmの液浸スキャナーを用いて露光されるものである場合には、トップコート層(示されない)が感光層106上に配置されうる。このようなトップコート層の使用は、液浸流体と下にある感光層との間のバリアとして機能しうる。この方法において、場合によっては、結果的に、光学レンズの汚染、並びに液浸流体の有効屈折率および透過性の変化をもたらす、感光性組成物の成分の液浸流体への漏出は最小化されまたは回避されうる。好適なトップコート組成物は市販されており、例えば、OPTICOAT商標トップコート物質、例えば、OC商標2000(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)および当該技術分野で知られた他のもの、例えば、米国特許出願公開第2006/0246373A1号および米国仮出願第61/204,007号(出願日、2008年12月31日)に記載されているものがある。このような組成物は、感光性組成物について上述したような任意の好適な方法によって、感光層上に適用されることができ、スピンコーティングが典型的である。トップコート層の厚みは典型的にはλ/4n(またはその奇数倍)であり、ここでλは露光放射線の波長であり、nはトップコート層の屈折率である。トップコート層が存在する場合には、トップコート適用の前よりもむしろ、トップコート層組成物が適用された後に、第1の感光層106はソフトベークされうる。この方法において、双方の層からの溶媒は単一の熱処理工程において除去されうる。
【0024】
第1の感光層106は次いで、第1のフォトマスク110を通した活性化放射線108に露光されて、露光領域と未露光領域との間に溶解度の差を作り出す。ポジ型物質については、示されるように、フォトマスクは光学的に透明な領域および光学的に不透明な領域を有し、光学的に透明な領域は、その後の現像工程において除去される感光層の領域に対応する。ネガ型物質については、光学的に不透明な領域は、現像して除去されるレジスト層の部分に対応する。露光エネルギーは典型的には約1〜100mJ/cmであり、露光ツールおよび感光性組成物の成分に応じて変動する。本明細書において、組成物を活性化する放射線に感光性組成物を露光することについての言及は、光活性成分の反応を生じさせることにより、例えば、光酸発生剤化合物から光酸を生じさせることによるなどして、放射線が感光性組成物中に潜像を形成することができることを示す。感光性組成物は典型的には短い露光波長、特にサブ400nm、サブ300nm、またはサブ200nmの露光波長によって典型的に光活性化され、EUVおよび157nm、並びに、I線(365nm)、248nmおよび193nmが典型的な露光波長である。
【0025】
第1の感光層106の露光に続いて、典型的に、この層の軟化点より高い温度で、感光層の露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上でまたはオーブン内でおこなわれうる。PEBの条件は、例えば、感光層の具体的な物質および厚みに応じて変化しうる。PEBは典型的には、約80〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。
【0026】
露光された感光層106は、次いで、現像されて、図1Bに示されるように、第1のレジストパターン106’を形成する。現像剤物質は感光層106の具体的な物質に依存しうるが、好適な現像剤および現像技術は当該技術分野において知られている。典型的な現像剤には、例えば、水性塩基現像剤、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
【0027】
現像に続いて、第1のレジストパターン106’は第1のハードベークプロセスにおいて熱処理されて、レジストから溶媒をさらに除去し、図1Cに示されるように硬化したレジストパターン106’’を形成する。このハードベークは典型的にはホットプレートまたはオーブンを用いて行われ、典型的には、約150℃以上、例えば、約170〜180℃の温度で、約30〜120秒の時間で行われる。
【0028】
図1Dを参照すると、ハードベークされたレジストパターン106’’は、第1のレジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で処理される。このアルカリ性の表面は、後にレジストパターン上に適用される感光層の露光中の反応を妨げる。例えば、ポジ型感光層の場合には、下にあるアルカリ性に処理されたレジストパターンのごく近傍の領域において、酸触媒脱保護反応が妨げられる。その結果、感光層の部分は現像後にこれらの領域に留まる。
【0029】
これらに限定されないが、表面処理のために特に好適な物質はアルカリ性物質およびこのアルカリ性物質とは異なる界面活性剤を含む。界面活性剤は、アルカリ性物質で処理されたレジストパターン上に、第2のレジストの実質的に均一な塗膜層を形成するのを促進することが考えられる。
【0030】
アルカリ性物質は様々な形態をとることができ、固体化合物を好適な溶媒に溶解して形成される溶液の形態であることができる。レジストパターン処理に好適なアルカリ性物質には、例えば、水性塩基現像剤、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、0.26規定(N)(2.38重量%)のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)が挙げられる。アルカリ性物質のために、および他には組成物中に使用される溶媒物質は、下にあるフォトレジストを溶解するべきではなく、またはその溶解を最小限にするべきである。アルカリ性物質(何ら溶媒、例えば、水、アルコールなどが存在しない)は典型的には組成物中に、全組成物を基準にして約1〜10重量%の量で存在する。
【0031】
レジストパターン処理組成物に好適な界面活性剤には、両親媒性を示す界面活性剤が挙げられ、両親媒性とは、界面活性剤が同時に親水性および疎水性であり得ることを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に強い親和性を有する親水性ヘッド基と、有機物親和性で水をはじく長鎖疎水性テイルを有する。好適な界面活性剤はイオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)または非イオン性であることができる。界面活性剤のさらなる例としては、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤およびフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。水溶液に使用するのに好適な非イオン性界面活性剤には、これらに限定されないが、オクチルおよびノニルフェノールエトキシラート、例えば、トライトン(TRITON登録商標)X−114、X−100、X−45、X−15、並びに分岐第二級アルコールエトキシラート、例えば、テルジトル(TERGITOL商標)TMN−6(ザダウケミカルカンパニー、米国、ミシガン州、ミッドランド)が挙げられる。さらに典型的な界面活性剤には、アルコール(第一級および第二級)エトキシラート、アミンエトキシラート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、またはニュージャージー州、グレンロックのマニュファクチャーズコンフェクショナーズパブリシングカンパニー(Manufacturers Confectioners Publishing Co.)によって出版されたマカッチャンの乳化剤および洗浄剤(McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents)2000年北米版に開示される他の界面活性剤が挙げられる。
【0032】
アセチレンジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も好適であることができ、例えば、下記式の界面活性剤が挙げられる:
【化1】

式中、RおよびRは、3〜10の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル鎖であり;RおよびRは、Hまたは1〜5の炭素原子を好適に有するアルキル鎖であり;m、n、p、およびqは0〜20の範囲の数である。このような界面活性剤はアレンタウン、ペンシルバニア州のエアプロダクツアンドケミカルズインコポレーテッド(Air Products and Chemicals,Inc.)から商品名サーフィノール(SURFYNOL登録商標)およびダイノール(DYNOL登録商標)で市販されている。
【0033】
本発明のコーティング組成物において使用するのに好適なさらなる界面活性剤には、他のポリマー系化合物、例えば、トリブロックEO−PO−EOコポリマーである、プルロニック(PLURONIC登録商標)25R2、L121、L123、L31、L81、L101およびP123(BASF、Inc.)が挙げられる。
【0034】
特に好適な界面活性剤には、アミン、典型的には第一級および第二級アミン、すなわち、それぞれ、1以上の第一級アミン基および1以上の第二級アミン基を含むアミン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。第一級および/または第二級アミン基に加えて、第三級アミン基が存在することができる。典型的には、アミンは多官能性アミンである。アミンはポリアミン、例えば、ジアミン、トリアミンまたはテトラアミンであることができる。好適な第一級アミンには、下記式(I)の化合物が挙げられる:
【化2】

式中、Rは場合によって置換されたアルキル、例えば、場合によって置換されたC1−C6アルキル、例えば、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、エチルが典型的である。
【0035】
他の好適な第一級アミンには、下記式(II)で表されるポリ(アリルアミン)が挙げられる:
【化3】

式中、Rは水素および場合によって置換されたアルキル、例えば、C1〜C3アルキルから選択され;Rは場合によって置換されたアルキレン、例えばC1−C6アルキレン、典型的にはメチレンまたはエチレンから選択され;nは3以上の整数である。式(N−II)の典型的な第一級アミンにおいては、Rは水素であり、Rはメチレンである。
【0036】
他の好適なアミンには、下記一般式(III)、(IV)および(V)で表されるものが挙げられる:
【化4】

式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または1〜10の炭素原子を有するアルキル基であり、nは1〜10の整数である。
【0037】
他の好適なアミンには次のものが挙げられる:
【化5】

これらのなかで、トリス(2−アミノエチル)アミン(TAEA)が特に好ましい。
【0038】
界面活性剤は典型的には、組成物中に比較的少量で、例えば、組成物中の全固形分(全固形分は溶媒キャリアを除いた全組成物成分である)の重量を基準にして0.01〜5重量%、例えば、0.01〜1重量%で存在する。
【0039】
レジストパターン処理組成物は、アルカリ性物質および界面活性剤成分に加えて、1種以上の任意成分を含むことができる。例えば、この組成物は、アルカリ性物質および界面活性剤のために使用されるあらゆる溶媒に加えて、1種以上の溶媒を含むことができる。上述のように、アルカリ性物質および組成物中のほかのもののために使用される溶媒物質は、下にあるフォトレジストを溶解すべきではないし、またはその溶解を最小限にすべきである。よって、好適な溶媒は下にある具体的なレジスト物質に応じて変化することができ、例えば、水およびn−ブタノールのようなアルコールが挙げられ得る。任意成分には、1種以上の塩基発生剤化合物、例えば、熱塩基発生剤化合物および/または光塩基発生剤化合物も挙げられる。
【0040】
フォトレジストパターン処理組成物は、アルカリ性物質および界面活性剤成分、並びに、追加の成分、例えば、溶媒および塩基発生剤化合物を任意の順序で混合することにより製造されうる。成分の1種以上は、固体として、または好適な溶媒を用いてあらかじめ混合された溶液として添加されうる。
【0041】
好ましくは、アルカリ性処理には、第四級アンモニウムヒドロキシドおよびアミンでの処理が挙げられる。第四級アンモニウムヒドロキシド物質およびアミンは、例えば、あらかじめ混合された組成物から、または物質を同時ではあるが互いに別々に適用することにより(この場合、その場で組成物が形成される)、基体に同時に適用されることができる。好ましくは、第四級アンモニウムヒドロキシド物質およびアミンはその順で逐次的に適用される。第四級アンモニウムヒドロキシドおよびアミン物質は液体、気体または蒸気として適用されることができ、かつ、例えば、スピンコーティング、ディッピング、蒸気コーティング、化学蒸着(CVD)または他の従来のコーティング技術によって適用されうる。もちろん、液体物質のスピンコーティングが典型的である。典型的には、第四級アンモニウムヒドロキシドおよびアミン物質は水溶液として適用されうる。第四級アンモニウムヒドロキシドおよびアミンが同時に適用される場合には、表面処理された基体は、例えば、脱イオン水ですすがれることができる。第四級アンモニウムヒドロキシドおよびアミン物質が逐次的に適用される場合には、このアミンは、水すすぎとしても機能する水溶液として適用されることができる。表面処理された基体は場合によっては、例えば、脱イオン水ですすがれることができ、過剰な組成物を除去する。
【0042】
第1のレジストパターン106’’の臨界寸法(critical dimension;CD)は、表面処理の結果として、レジストパターン106’の元のCDと比較してわずかに小さくなる。このCD損失は、表面処理中の第1のレジストパターンのさらなる現像に起因すると考えられる。この表面処理は、改変された第1のレジストパターン表面112を形成し、このレジストパターン表面はアルカリ性であり、かつ処理前表面のよりも小さいライン幅ラフネスを有する。
【0043】
表面処理の後で、基体は場合によっては第2のハードベークプロセスにおいて熱処理されうる。以下により詳細に記載されるように、このプロセスから得られた第1のレジストパターンの寸法は、第2のハードベークの好適な条件の選択によって精密に調節され、制御されることができる。この熱処理プロセスは、典型的には、ホットプレート上でまたはオーブン内で行われ、条件は、レジストパターンの具体的な物質および厚み、並びにそのパターンのCDの所望の変化に依存しうる。任意の熱処理の典型的な条件には、約120〜200℃の温度、および約60〜120秒の時間が挙げられる。
【0044】
上述のような第2の感光性組成物は第1のレジストパターン106’’およびBARC層104上にコーティングされて、図1Eに示されるような第2の感光層114を形成する。第2の感光性組成物は第1の感光性組成物と同じであってもよいし、異なっていてもよく、他に示される場合を除いて、第2の感光性組成物は、第1の感光層に関して上述した物質および条件などと同じように適用され、処理されることができる。第1の感光性組成物のトーンはポジ型またはネガ型であることができるが、第2の感光性組成物のトーンはポジ型である。一般に、この組成物の選択は、具体的な適用方法および関連する形状に依存しうる。図示された方法においては、第1および第2の感光性組成物の双方がポジ型である。
【0045】
第2の感光層114は次いで、ソフトベークされうる。第2の感光層114が液浸リソグラフィツールで露光されるものである場合には、上述のようなトップコート層(示されない)が第2の感光層114上に配置されうる。トップコート層が使用される場合には、トップコート層組成物の適用前よりもむしろトップコート層組成物が適用された後で、第2の感光層114がソフトベークされうる。
【0046】
図1Fを参照すると、第2の感光層114は、第2のフォトマスク116を通った活性化放射線108に選択的に露光され、第2のフォトマスクは、現像後に残る第2の感光層の部分に対応する工学的に不透明な領域を有する。第1のレジストパターン106’’のアルカリ性に改変された表面領域112は、その表面領域の近傍における第2のレジスト層114の光反応を妨げる。その結果、未反応の第2の感光性組成物の層114’は第1のレジストパターン106’’上に残る。露光された第2の感光層114は露光後ベークにおいて熱処理され、現像されて、第1のレジストパターン106’’に接した未反応の第2の感光性組成物の層114a’およびレジストライン114b’を残し、図1Gに示されるような、第1のレジストパターン106’’の線の間に位置する第2のレジストパターンを形成する。得られる現像された第1のレジストパターンの像は、第1のフォトレジスト層の最初の現像後のものと比較して向上した(すなわち、低減した)表面ラフネスを有する。
【0047】
第2の感光層の現像の後で、第1および第2のレジストパターン106’’、114a’および114b’を同時にエッチングマスクとして使用して、BARC層104が選択的にエッチングされ、下にあるハードマスク層103を露出させる。このハードマスク層は、次いで、第1および第2のレジストパターンを再び同時にエッチングマスクとして使用して、選択的にエッチングされて、結果として、図1Hに示されるように、パターン形成されたBARC104’およびハードマスク層103’を生じさせる。BARC層およびハードマスク層をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は、当該技術分野において知られており、かつ、例えば、これらの層の具体的な物質に応じて変化する。反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。第1および第2のレジストパターン、並びにパターン形成されたBARC層104’は、次いで、公知の技術、例えば、酸素プラズマアッシングを用いて、基体から除去される。ハードマスクパターン103’をエッチングマスクとして使用して、次いで、1以上の層102が選択的にエッチングされる。下にある層102をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は当該技術分野において知られており、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。パターン形成されたハードマスク層103’は、次いで、公知の技術、例えば、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスを用いて、基体表面から除去されうる。得られるダブルパターニングされた構造は、図1Iに示されるようなエッチングされたフィーチャー102’のパターンである。別の典型的な方法においては、ハードマスク層103を使用することなく、改変された第1のレジストパターン106’’および第2のパターン114b’を用いて直接に、層102をパターニングするすることが望まれる場合がある。レジストパターンを用いた直接パターニングが使用されうるかどうかは、関連する物質、レジスト選択性、レジストパターン厚みおよびパターン寸法などの要因に依存しうる。
【0048】
上記方法は二重露光シングルエッチングダブルパターニングに限定されず、第1のハードベークに始まりさらなる感光層の現像に至る、一点鎖線によって示される、このプロセス中の一連の工程を1回以上繰り返す、さらなるフォトレジスト層の適用およびパターニングによって、三重露光シングルエッチングトリプルパターニング、またはさらに高次の多重露光パターニング方法に適用されうることは当業者に明らかである。
【0049】
図2を参照すると、第2のハードベーク(アルカリ性表面処理後)温度が高くなるにつれて、この表面処理プロセスの前のCDと比較して、第2のレジスト層114の現像後に、第1のレジストパターンのCDが小さくなり、第2のハードベーク温度が低くなるにつれて第1のレジストパターンのCDが大きくなることが認められた。この知見に基づいて、第2のハードベークプロセスを用いて、好適な第2のハードベーク条件の選択によって、第1のレジストパターンのCD成長を精密に制御することが可能である。より具体的には、当業者は、CDの所望の変化なし、増大または低下の結果をもたらすであろう好適なベーク温度を選択することができる。CD変化とハードベーク温度との間の正確な関連性は、第1のレジストパターンに使用される具体的な物質、表面処理化学物質および第2のフォトレジスト組成物に応じて変化しうるが、図2はこの一般的な関連性を示す。この関連性の結果として、図1において一点鎖線矢印で示されるような第1のハードベークに始まり現像に至る上記プロセスの繰り返しによって、第2のレジスト層の現像後に得られるレジストパターンの寸法をさらに調節することが可能である。このシークエンスは1回以上繰り返されることができ、第1のレジストパターンについて所望のCDを得ることができる。
【0050】
本発明は、電子デバイスの製造の様々な状況に適用されることができる。例えば、本発明は、二重またはより高次のパターニング(または、ピッチ分割)、例えば、二重、三重またはより高次の露光のシングルエッチングダブルパターニングの基礎としての、またはレジストパターンライン幅ラフネスを改良するための具体的な用途を見いだす。レジストパターンは所望のように、制御可能に幅を狭くされ、または幅を広くされうる。
【0051】
本発明の方法は、形成されたレジストパターンを、そのレジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で処理することを伴う。これに限定されないが、レジストパターンを処理するための典型的な物質が以下に記載される。
次の非限定的な実施例は本発明の例示である。
【実施例】
【0052】
比較例1、実施例1−6
L1レジストポリマー(ポリ(IAM/α−GBLMA/ODOTMA/HAMA))合成
10.51gの2−メチル−アクリル酸1−イソプロピル−アダマンタニルエステル(IAM)、6.82gの2−メチル−アクリル酸2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(α−GBLMA)、6.36gの2−メチル−アクリル酸3−オキソ−4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デセ−8−イルエステル(ODOTMA)および6.31gの2−メチル−アクリル酸3−ヒドロキシ−アダマンタニルエステル(HAMA)を27gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。この混合物を窒素で20分間バブリングすることにより脱ガスした。凝縮器、窒素入口、および機械式攪拌機を備えた500mlのフラスコに11gのTHFを入れ、溶液を67℃の温度にした。5.23gのジメチル−2,2−アゾジイソブチラート(全モノマーを基準にして17mol%)を5gのTHFに溶解し、フラスコに入れた。モノマー溶液を反応器に、1時間あたり16.0ミリリットル(mL/時)の割合で3時間30分間供給した。次いで、重合混合物をさらに30分間67℃で攪拌した。次いで、反応器に5gのTHFを添加し、重合混合物を室温まで冷却した。1.0Lのイソプロピルアルコール中で沈殿を行った。ろ過後、ポリマーを乾燥させ、50gのTHFに再溶解させ、1.1Lのイソプロピルアルコール中で再沈殿させ、ろ過し、真空オーブン中45℃で48時間乾燥させて、25.4gの以下に示されるポリ(IAM/α−GBLMA/ODOTMA/HAMA)ポリマー(Mw=7,934およびMw/Mn=〜1.46)を得た:
【化6】

【0053】
L1レジスト配合
3.169gの上述のように形成されたポリマーを、70重量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)と30重量%のシクロヘキサノンとの溶媒混合物96.38gに溶解した。この混合物に、0.405gのトリフェニルスルホニウム(アダマンタン−1−イルメトキシカルボニル)−ジフルオロ−メタンスルホナート、0.041gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンおよび0.005gのポリフォックス(POLYFOX登録商標)PF−656界面活性剤(オムノバソリューションズインコーポレーテッド;Omnova Solutions Inc.)を添加した。得られた混合物をローラー上で6時間延ばして、次いで、0.2ミクロン孔サイズのテフロン登録商標フィルターを通してろ過し、それにより、ポジ型フォトレジスト組成物を形成した。
【0054】
表面処理用液配合
表面処理溶液は、(TAEA)(シグマアルドリッチ)0.01gを99.99gの界面活性剤溶液(オプティパターン(OptiPattern商標)クリア−I;エアプロダクツアンドケミカルズインコーポレーテッド;米国、ペンシルベニア州、アレンタウン)に添加することによって製造された。得られた溶液は0.1ミクロン孔サイズのナイロンフィルターを通してろ過された。
【0055】
ウェハ準備
TEL CLEAN TRACK商標LITHIUS商標i+コーター/デベロッパにおいて、300mmのシリコンウェハにAR商標40A反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)をスピンコートし、第1の反射防止塗膜(BARC)を形成した。この第1のBARCコーティングされたウェハを215℃で60秒間ベークし、75nmの第1のBARC膜厚を生じさせた。この第1のBARC上にAR商標124反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を用いて、第2のBARC層がコーティングされた。このウェハは205℃で60秒間ベークされ、23nmの上部BARC層を生じさせた。このウェハが、後述の、その後の第1のリソグラフィ(L1)像のパターニングに使用された。
【0056】
第1のリソグラフィ(L1)
前記コーター/デベロッパにおいて、L1レジスト配合物が二層BARCコーティングウェハ上にコーティングされ、110℃で60秒間ソフトベークされ、950Åの第1のレジスト層厚を生じさせた。トップコート層が第1のレジスト層上に形成され、開口数1.35を有するASML TWINSCAN商標XT:1900i液浸スキャナーおよびダイポール(dipole)照明(0.89アウターシグマ/0.76インナーシグマ)を用いて、図3に示されるようなラインアンドスペースパターンを有するバイナリレチクルを通して露光された。このレチクルの臨界寸法(CD)は90nmピッチで45nmラインを含んでいた(45nm 1:1ラインアンドスペース)。このレチクルは、図3Aに示されるように、それぞれのダイにおいて、パターン形成されたラインアンドスペースが水平方向であるような向きであった。16〜38mJ/cmの様々な露光線量を用いて、90nmピッチで様々なCDがウェハ上に印刷された。ダイは一定の焦点深度で、かつウェハ上のノッチが下の位置にあり、それぞれの列において、左から右に露光線量が増加するように徐々に変化する露光線量で像形成された。ウェハは、次いで、100℃で60秒間露光後ベーク(PEB)され、マイクロポジット(Microposit商標)MF CD−26現像剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を用いて12秒間現像され、L1パターンを像形成した。
【0057】
硬化および表面処理
L1パターン形成されたウェハは180℃で60秒間硬化ベークプロセスにかけられ、その後第2のリソグラフィプロセスにかけられた。比較例1を除いて、熱で硬化したウェハは、ウェハを回転しつつ、ウェハトラック上を表面処理溶液で処理され、次いで、図4に示されるような様々な温度でハードベークされた。
【0058】
第2のリソグラフィ(L2)
L1パターン形成されたウェハは次いで、裸のシリコンウェハ上で測定して650Åの膜厚を生じさせるように、前記コーター/デベロッパにおいて、EPIC商標2098フォトレジスト(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でコーティングされ、110℃で60秒間ソフトベークされた。トップコート層が第2のレジスト層上に形成された。L1プロセスにおけるのと同じであるが、図3B〜Cに示されるようにウェハがL1の向きについて90度回転させられたことのみが異なる、スキャナセッティングおよびレチクルを用いて、トップコートおよび第2のレジスト層が露光、現像されて、第2の(L2)レジストパターンを生じさせた。得られたL2パターンは、それぞれのダイにおいて、ノッチが下で、垂直方向に向けられ、それにより、水平方向を向いているL1パターンにおけるラインアンドスペースと一緒になって、図3Dに示されるような交差グリッドを形成した。
【0059】
計測
ウェハをダブるパターニングした後、CG4000SEM(日立ハイテクノロジーズアメリカインコーポレーテッド)でウェハのCDが測定された。それぞれのダイについて、3つの領域が検査された:(1)L2プロセス中にフラッド露光されたL1パターン(ダイの左下コーナー);(2)L1後のオープンスペースにプリントされたL2パターン(ダイの右上コーナー);および(3)L1ラインとL2ラインが交差するコンタクトホール領域(ダイの右下コーナー)。
【0060】
結果は図4に示される表にまとめられ、この表はSEM像とCD測定データを含む。L1像およびL2像は、それぞれ、22mJ/cmのL1露光線量および23mJ/cmのL2露光線量で得られた。コンタクトホール像はそれぞれ、22mJ/cmのL1線量および23mJ/cmのL2線量で得られた。元のL1像は硬化前に49.0nmのCDを示し、180℃で60秒の硬化後に熱縮小のせいで47.6nmのCDを示した。純粋に熱硬化を使用する比較例1はダブルパターニングの後にL1パターンの有意な縮小を示す。L1CDはダブルパターニングの前の硬化L1CDから6nm縮小して41.6nmと測定された。ダブルパターニングプロセス中にL1パターンの縮小があったが、成功したダブルパターニングの結果が得られた。実施例1はL1およびコンタクトホールCDに対する表面処理の効果を示す。認められ得るように、アルカリ性処理されたL1パターンを用いたダブルパターニング後に、約10nmのCD成長がL1パターンについて測定された。実施例2〜6はL1およびコンタクトホールCDに対するレジストパターン処理後のハードベーク温度の影響を示す。120〜150℃のハードベーク温度について、L1CDは、約0.3nm/℃の割合で温度に対して実質的に線形的に変化することが見いだされた。これらの結果に基づいて、最終的なコンタクトホールCDは、アルカリ性処理および処理後のハードベークプロセスを用いて精密に制御され、調節されうると考えられる。
【0061】
レジストパターン処理プロセスのライン幅ラフネス(LWR)効果を分析するために、実施例1がさらに使用された。36mJ/cmでのL1露光および現像後に、L1パターンのライン幅およびライン幅ラフネスがそれぞれ34.6nmおよび4.5nm(3シグマ)であると測定された。測定は、16mJ/cmでのL2露光、現像後に再びなされて、得られたライン幅およびライン幅ラフネスはそれぞれ45.7nmおよび2.7nm(3シグマ)であった。これらの結果に基づいて、L1レジスト像は、目標のCDよりも小さいラインを提供するように過剰露光され、次いで、本明細書において記載される方法に従って処理さることができ、目標のCDにおいて向上したLWRを有するL1ラインを生じさせることができる。
【0062】
実施例7〜58
表面処理溶液が、表1の成分を一緒にし、0.1ミクロン孔サイズのナイロンフィルタを通してろ過することにより調製されることを除いて、実施例1の手順が繰り返される。コンタクトホール像が生じるであろうことが予想される。
【0063】
実施例59〜101
(1)第2の(L2)リソグラフィ露光について、マスクが回転されずに、L2ラインがL1ラインの間でかつL1ラインの中央に配置されるようにハーフピッチの距離だけ横方向にずらされること;および(2)表面処理溶液が表1の成分を一緒にし、0.1ミクロン孔サイズのナイロンフィルタを通してろ過することにより調製されること:を除いて、実施例1の手順が繰り返される。密になったラインアンドスペースのパターンが生じるであろうことが予想される。
【0064】
【表1】

【0065】
アミンは水中の1重量%溶液であり、上記定義の構造を有する;
S−1=テルジトル(Tergitol商標)TMN−6、水中10重量%(ザダウケミカルカンパニー、米国、ミシガン州、ミッドランド);
S−2=トライトン(Triton商標)X−100、水中10重量%(ザダウケミカルカンパニー);
S−3=テトロニクス(Tetronics商標)304、水中10重量%(BASFコーポレーション、米国、ニュージャージー州、フロハムパーク);
S−4=テトロニクス1307(BASFコーポレーション、米国、ニュージャージー州、フロハムパーク);
S−5=サーフィノール(Surfynol商標)2502(エアプロダクツアンドケミカルズインコーポレーデッド、米国、ペンシルベニア州、アレンタウン)。
【符号の説明】
【0066】
100 基体
102 層
102’ エッチングされたフィーチャーのパターン
103 ハードマスク
103’ パターン形成されたハードマスク
104 反射防止塗膜(BARC)
104’パターン形成された反射防止塗膜(BARC)
106 第1の感光層
106’第1のレジストパターン
106’’ ハードベークされた第1のレジストパターン
108 活性化放射線
110 第1のフォトマスク
112 改変された第1のレジストパターン表面
114 第2の感光層
114a’ 未反応の第2の感光性組成物の層
114b’ レジストライン
116 第2のフォトマスク
118 空間
120 エッチングされたフィーチャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)パターン形成される1以上の層を含む半導体基体を提供し;
(b)第1の樹脂成分と第1の光活性成分とを含む第1の感光性組成物の第1の層を、前記パターン形成される1以上の層上に適用し;
(c)前記第1の層を、パターン化されたフォトマスクを通した活性化放射線に露光し;
(d)露光された第1の層を現像して第1のレジストパターンを形成し;
(e)ハードベークプロセスにおいて前記第1のレジストパターンを熱処理し;
(f)前記第1のレジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で、前記ハードベークされた第1のレジストパターンを処理し;
(g)第2の樹脂成分と光酸発生剤とを含み、ポジ型である第2の感光性組成物の第2の層を、前記パターン形成される1以上の層上に、かつ前記第1のレジストパターンのアルカリ性表面と接触するように適用し;
(h)前記第2の層を、パターン化されたフォトマスクを通した活性化放射線に露光し;並びに
(i)露光された第2の層を現像して、第2のレジストパターンを形成する;
ことを含む電子デバイスを形成する方法。
【請求項2】
第1のレジストパターンおよび第2のレジストパターンがそれぞれ複数のラインを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2のレジストパターンの複数のラインが第1のレジストパターンの複数のラインと交差している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1のレジストパターンおよび第2のレジストパターンが複数のコンタクトホールパターンを画定する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第2のレジストパターンの隣り合うラインが、第1のレジストパターンの隣り合うそれぞれのラインの間に配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
第1のハードベークプロセスが約150℃以上の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アルカリ性にするのに有効な物質で処理する工程の後で、かつ第2の感光性組成物の層を適用する工程の前に、ハードベークされた第1のレジストパターンを熱処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のレジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で、前記ハードベークされた第1のレジストパターンを処理することが、アルカリ性物質および界面活性剤で前記第1のレジストパターンを処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のレジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で、前記ハードベークされた第1のレジストパターンを処理することが、第一級または第二級アミンで前記第1のレジストパターンを処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のレジストパターンの表面をアルカリ性にするのに有効な物質で、前記ハードベークされた第1のレジストパターンを処理することが、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液で、次いで第一級または第二級アミンで逐次的に前記第1のレジストパターンを処理することを含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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