説明

電子デバイス

【課題】 電気的接続部の腐食耐性の向上を図ることにある。
【解決手段】 電子デバイスは、複数の第1の端子14を有する第1の配線パターン12が形成された第1の基板10と、複数の第2の端子24を有する第2の配線パターン22が形成された第2の基板20と、を含む。第1及び第2の端子14,24は、オーバーラップして電気的に接続されている。第1の基板10は、樹脂により形成されている。第1の基板10における第1の端子14が形成された面とは反対側の面には、複数の第1及び第2の端子14,24のオーバーラップする領域を被覆する被覆層40が設けられている。被覆層40は、第1の基板10の樹脂よりも水分を透過しにくい性質を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルに駆動用の半導体チップを電気的に接続するのに、TAB(Tape Automated Bonding)又はCOF(Chip On Film)実装が適用されている。TAB実装又はCOF実装では、基板に形成された配線と液晶パネルの配線とを電気的に接続する。しかしながら、従来の形態によれば、ポリイミド樹脂などから形成される基板を透過して水分が浸入し、配線の電気的接続部が腐食することがある。これにより、半導体装置の信頼性の低下を招くおそれがある。
【特許文献1】特開2004−134471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、電気的接続部の腐食耐性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る電子デバイスは、
複数の第1の端子を有する第1の配線パターンが形成された第1の基板と、
複数の第2の端子を有する第2の配線パターンが形成された第2の基板と、
を含み、
前記第1及び第2の端子は、オーバーラップして電気的に接続されており、
前記第1の基板は、樹脂により形成され、
前記第1の基板における前記第1の端子が形成された面とは反対側の面には、複数の前記第1及び第2の端子のオーバーラップする領域を被覆する被覆層が設けられ、
前記被覆層は、前記第1の基板の前記樹脂よりも水分を透過しにくい性質を有する。本発明によれば、被覆層が第1の基板の樹脂よりも水分を透過しにくいので、外部環境からの電気的接続部の吸湿量を減らすことができる。したがって、電気的接続部の腐食耐性の向上を図ることができる。
(2)この電子デバイスにおいて、
前記第1の基板には、複数の電極を有する半導体チップが実装され、
前記第1の配線パターンは、複数の半導体チップ用端子をさらに含み、
前記電極及び前記半導体チップ用端子は、オーバーラップして電気的に接続されており、
前記被覆層は、複数の前記電極及び前記半導体チップ用端子のオーバーラップする領域をさらに被覆して設けられていてもよい。これによれば、電極及び半導体チップ用端子の電気的接続部の吸湿量も減らすことができる。
(3)この電子デバイスにおいて、
前記被覆層は、金属により形成されていてもよい。
(4)この電子デバイスにおいて、
前記被覆層は、前記第1の配線パターンと同一の金属により形成されていてもよい。
(5)この電子デバイスにおいて、
前記被覆層は、ガラスにより形成されていてもよい。
(6)この電子デバイスにおいて、
前記被覆層は、基材と、前記基材と前記第1の基板との間に設けられた金属層と、を有してもよい。
(7)この電子デバイスにおいて、
前記被覆層は、接着材料により前記第1の基板に貼り付けられていてもよい。
(8)この電子デバイスにおいて、
前記第2の基板は、電気光学パネルの一部であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0006】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子デバイスを示す図であり、図2は、電子デバイスの一部を拡大した断面図である。なお、図3〜図5は、それぞれ本実施の形態の変形例を示す図である。
【0007】
電子デバイスは、第1の基板10を有する。第1の基板10は例えばフレキシブル基板又はフィルムであってもよい。第1の基板10は、熱膨張率や湿度膨張率が、第2の基板20よりも大きい材料で形成されていてもよい。第1の基板10は、例えばポリイミドなどの樹脂により形成されている。第1の基板10は、第2の基板20よりも薄くなっていてもよい。第1の基板10には、第1の配線パターン12が形成されている。第1の配線パターン12は、第1の基板10の一方の面に形成されていてもよい。第1の配線パターン12は、第1の基板10に、直接形成されているものでもよいし、接着剤を介して形成されているものでもよい。第1の配線パターン12が形成された第1の基板10は、配線基板である。
【0008】
第1の配線パターン12は、複数の第1の端子14を有する。第1の端子14は、第1の基板10の端部に形成されている。また、第1の配線パターン12は、半導体チップ30の電極32と電気的に接続する複数の半導体チップ用端子16を有する。複数の半導体チップ用端子16は、半導体チップ30の搭載領域内に形成されている。
【0009】
図1に示す例では、電子デバイスは、第1の基板10に実装された半導体チップ30を含む。半導体チップ30は、直方体(平面において長方形)になっていてもよい。半導体チップ30は、集積回路チップ(ICチップ)である。半導体チップ30には、内部の集積回路と電気的に接続された複数の電極32が形成されている。半導体チップ30における平行な二辺(例えば平面において長方形の長辺)のうち一方の辺に沿って第1列の電極32が並び、他方の辺に沿って第2列の電極32が並んでいてもよい。例えば、この場合の電極配列について、半導体チップ30はペリフェラル型である。第1列の電極32と第2列の電極32のそれぞれは、例えば、アルミニウム等で形成されたパッドと、その上に金等で形成されたバンプ等を含んでもよい。このパッドとバンプ等の間にさらにアンダーバンプメタル等の金属膜又は金属化合物膜を含んでもよい。半導体チップ30は、第1の配線パターン12と電気的に接続されている。詳しくは、半導体チップ30には複数の電極32が形成され、電極32及び半導体チップ用端子16が電気的に接続されている。
【0010】
半導体チップ30は、ドライバ(例えば電気光学パネル(液晶パネル・エレクトロルミネッセンスパネル等)の駆動回路)を内部に有するものでもよい。この場合、第1列の電極32(外部端子18側の電極)は、ドライバに対する入力端子であり、第2列の電極32(第1の端子14側の電極)は、ドライバからの出力端子である。
【0011】
第1の基板10において、第1の端子14が形成された端部とは反対側の端部に、外部(例えば図示しない回路基板(マザーボード)等)に電気的に接続するための外部端子(アウターリード)18が形成されていてもよい。第1の基板10には、半導体チップ30以外の図示しない電子部品(例えば表面実装部品)が搭載されていてもよい。
【0012】
電子デバイスは、第2の基板20を有する。第2の基板20は例えばガラス基板であってもよい。第2の基板20は、電気光学パネル(液晶パネル・エレクトロルミネッセンスパネル等)の一部であってもよい。第2の基板20には、第2の配線パターン22が形成されている。第2の配線パターン22は、第2の基板20の一方の面に形成されていてもよい。なお、液晶パネルの場合、第2の配線パターン22は、液晶を駆動する電極(走査電極、信号電極、対向電極等)に電気的に接続されている。第2の配線パターン22は、ITO(Indium Tin Oxide)、Cr、Al、Taなどの金属膜や金属化合物膜によって形成されていてもよい。第2の配線パターン22は、複数の第2の端子24を有する。第2の端子24は、第2の基板20の端部に形成されている。
【0013】
図2に示すように、第1及び第2の端子14,24は、オーバーラップして電気的に接続されている。その電気的接続には、導電粒子52を含有する異方性導電材料50(例えばACF(Anisotropic Conductive Film))による接合のほか、絶縁樹脂接合(例えばNCP(Non Conductive Paste)やNCF(Non Conductive Film)等を使用した接合)、合金接合(例えばAu−Au又はAu−Sn接合等)、はんだ接合等の既知の接合方法のいずれを適用してもよい。また、電気的接続部の周囲を被覆するようにコート材54(例えばシリコン系樹脂)が設けられていてもよい。
【0014】
電子デバイスは、被覆層40を含む。被覆層40は、第1の基板10における第1の端子14(第1の配線パターン12)とは反対側の面に設けられ、複数の第1及び第2の端子14,24のオーバーラップする領域を被覆している。被覆層40は、複数の第1及び第2の端子14,24の全部同士がオーバーラップする領域の全部を被覆してもよい。図2に示すように、被覆層40における一方の端面は、複数の第1の端子14の先端が位置する第1の基板10の端面とがほぼ一致していてもよい。また、被覆層40における他方の端面は、複数の第2の端子24の先端が位置する第2の基板20の端面よりも半導体チップ30側に位置していてもよいし(図2参照)、第2の基板20の当該端面とほぼ一致していてもよい。被覆層40は、第1の端子14の配列方向と平行な方向の幅が第1の基板10よりも小さくてもよいし(図1参照)、第1の基板10とほぼ同一であってもよい。第1の基板10及び被覆層40のそれぞれの平面形状の少なくとも1辺同士が一致していてもよい。
【0015】
被覆層40は、第1の基板10の樹脂(例えばポリイミド樹脂)よりも水分を透過(吸湿)しにくい性質を有する。被覆層40は、無機物質により形成されていてもよい。具体的には、被覆層40は、図2に示すように金属(例えばCu)により形成されていてもよい。その場合、被覆層40の材料である金属は、第1の配線パターン12の材料である金属と同一であってもよい。被覆層40としての金属層は、スパッタ法、蒸着法、電気めっき法、無電解めっき法などにより形成することができる。被覆層40としての金属層を第1の配線パターン12と同一工程により(例えば同時に)形成してもよい。被覆層40は、接着材料なしに第1の基板10の面に形成されていてもよい。
【0016】
変形例として、被覆層40としての金属層を図示しない接着材料(例えば熱硬化性接着材料)により第1の基板10の面に貼り付けてもよい。電子デバイスの製造方法がフィルム(又はテープ)から複数の第1の基板10をその外形に沿って打ち抜く工程を含む場合、被覆層40の貼り付け工程は、第1の基板10の打ち抜き工程前後のいずれに行ってもよい。打ち抜き工程前の場合、第1の基板10及び被覆層40の両方を同時に打ち抜いてもよい。
【0017】
本実施の形態に係る電子デバイスによれば、被覆層40が第1の基板10の樹脂よりも水分を透過(吸湿)しにくいので、外部環境からの電気的接続部(第1及び第2の端子14,24の電気的接続部)の吸湿量を減らすことができる。言い換えれば、外部から第1の基板10を透過して浸入する水分を被覆層40により遮ることができる。したがって、電気的接続部の腐食耐性の向上を図ることができる。また、吸湿量を減らすことができるので、第1及び第2の端子14,24の機械的強度(剛性)も向上する。
【0018】
次に、本実施の形態に係る電子デバイスの変形例を説明する。
【0019】
図3の変形例では、被覆層42はガラスにより形成されている。これによれば、ガラスは樹脂よりも水分を透過しにくいので上述したように電気的接続部の腐食耐性の向上を図ることができる。
【0020】
図4の変形例では、被覆層60は、基材62と、基材62と第1の基板10との間に設けられた金属層64(例えばCu層)と、を有する。基材62の材質は、上述した第1の基板10の内容が該当し、例えば樹脂により形成されたフレキシブル基板又はフィルムであってもよい。また、被覆層60は、接着材料66により第1の基板10に貼り付けられていてもよい。これによれば、基材62により支持されているので、金属層64における第1の基板10への貼り付けが簡単である。
【0021】
図5の変形例では、被覆層70は、複数の電極32及び半導体チップ用端子16のオーバーラップする領域をさらに被覆して設けられている。すなわち、被覆層70は、第1及び第2の端子14,24のオーバーラップする領域と、電極32及び半導体チップ用端子16のオーバーラップする領域とを一体的に被覆する形状を有する。被覆層70は、第1の配線パターン12のうち半導体チップ用端子16から第1の端子14まで連続する部分の全部を被覆していてもよい。これによれば、第1及び第2の端子12,14の電気的接続部のみならず、電極32及び半導体チップ用端子16の電気的接続部の腐食耐性の向上を図ることができる。
【0022】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る電子デバイスを示す図である。
【図2】図2は、電子デバイスの一部を拡大した断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態の変形例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態の変形例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
10…第1の基板 12…第1の配線パターン 14…第1の端子
16…半導体チップ用端子 20…第2の基板 22…第2の配線パターン
24…第2の端子 30…半導体チップ 32…電極 40…被覆層 42…被覆層
60…被覆層 62…基材 64…金属層 66…接着材料 70…被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の端子を有する第1の配線パターンが形成された第1の基板と、
複数の第2の端子を有する第2の配線パターンが形成された第2の基板と、
を含み、
前記第1及び第2の端子は、オーバーラップして電気的に接続されており、
前記第1の基板は、樹脂により形成され、
前記第1の基板における前記第1の端子が形成された面とは反対側の面には、複数の前記第1及び第2の端子のオーバーラップする領域を被覆する被覆層が設けられ、
前記被覆層は、前記第1の基板の前記樹脂よりも水分を透過しにくい性質を有する電子デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の電子デバイスにおいて、
前記第1の基板には、複数の電極を有する半導体チップが実装され、
前記第1の配線パターンは、複数の半導体チップ用端子をさらに含み、
前記電極及び前記半導体チップ用端子は、オーバーラップして電気的に接続されており、
前記被覆層は、複数の前記電極及び前記半導体チップ用端子のオーバーラップする領域をさらに被覆して設けられている電子デバイス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電子デバイスにおいて、
前記被覆層は、金属により形成されている電子デバイス。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子デバイスにおいて、
前記被覆層は、前記第1の配線パターンと同一の金属により形成されている電子デバイス。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載の電子デバイスにおいて、
前記被覆層は、ガラスにより形成されている電子デバイス。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載の電子デバイスにおいて、
前記被覆層は、基材と、前記基材と前記第1の基板との間に設けられた金属層と、を有する電子デバイス。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子デバイスにおいて、
前記被覆層は、接着材料により前記第1の基板に貼り付けられている電子デバイス。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の電子デバイスにおいて、
前記第2の基板は、電気光学パネルの一部である電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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