電子ビーム発生装置
【課題】電子ビームのエミッタンスを減少させることができる電子ビーム発生装置を提供する。
【解決手段】本発明による電子ビーム発生装置は、電子ビームが生成される後面部と、生成された電子ビームが外部に排出されるように電子ビーム排出ホールが形成された前面部と、後面部と前面部を連結する側面部と、を含み、側面部には第1のホールが形成され、第1のホールにより誘発される電場不均衡を減少させるように第1のホールと向かい合う反対側側面部に第2のホールが形成されたハウジング、及び第1のホールを介してハウジング内部に電磁気波を供給するように側面部に設置されるウェーブガードを含み、ハウジング内部に入射されたレーザーによって電子ビームが生成され、ハウジング内部に供給された電磁気波によって電子ビームが加速される。
【解決手段】本発明による電子ビーム発生装置は、電子ビームが生成される後面部と、生成された電子ビームが外部に排出されるように電子ビーム排出ホールが形成された前面部と、後面部と前面部を連結する側面部と、を含み、側面部には第1のホールが形成され、第1のホールにより誘発される電場不均衡を減少させるように第1のホールと向かい合う反対側側面部に第2のホールが形成されたハウジング、及び第1のホールを介してハウジング内部に電磁気波を供給するように側面部に設置されるウェーブガードを含み、ハウジング内部に入射されたレーザーによって電子ビームが生成され、ハウジング内部に供給された電磁気波によって電子ビームが加速される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーを用いて電子ビームを発生させる電子ビーム発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子銃(electrongun)とは、電子顕微鏡、進行波管、ブラウン管などのように電子の流れを細いビーム形状に収束させて排出する装置をいう。
【0003】
従来技術による電子銃は、カプラーセル(couplercell)の内部を通過する電子ビームを加速するために電磁気波を用いる。即ち、カプラーセルに形成されたカップリングホール(couplinghole)を介して電磁気波をカプラーセルの内部に入射させる。しかし、このようなカップリングホールによってカプラーセルの内部電場の対称性がくずれるようになる。電場の対称性がくずれると、電子ビームのエミッタンス(emittance)が大きくなるため、電子ビームの品質が低下されるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ビームのエミッタンスを減少させることができる電子ビーム発生装置が要求される。
【0005】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されない他の技術的課題は、下記により当業者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明による電子ビーム発生装置は、電子ビームが生成される後面部と、生成された前記電子ビームが外部に排出されるように電子ビーム排出ホールが形成された前面部と、前記後面部と前記前面部を連結する側面部と、を含み、前記側面部には第1のホールが形成され、前記第1のホールにより誘発される電場不均衡を減少させるように前記第1のホールと向かい合う反対側側面部に第2のホールが形成されたハウジング;及び、前記第1のホールを介して前記ハウジング内部に電磁気波を供給するように前記側面部に設置されるウェーブガード;を含み、前記ハウジング内部に入射されたレーザーによって前記電子ビームが生成され、前記ハウジング内部に供給された電磁気波によって前記電子ビームが加速される。
【0007】
また、前記前面部を介してレーザーが前記ハウジング内部に入射される。
【0008】
また、前記第2のホールを介して前記ハウジング内部の空気を排出することによって前記ハウジング内部に真空を形成することができるように前記側面部に設置される第1のポンピングポートをさらに含む。
【0009】
また、前記第2のホールは、前記第1のホールと形状が異なる。
【0010】
また、前記第2のホールは、一側方向に延長されたホールの形状に形成される。
【0011】
また、前記第2のホールは、実質的に楕円形またはレーストラック(racetrack)形態に形成される。
【0012】
また、前記側面部は、第1の側面部と第2の側面部を含み、前記前面部は、前記第1の側面部に結合され、前記第1の側面部と前記第2の側面部は、連結部により連結され、前記第2の側面部は、前記後面部に結合され、前記第1のホール及び前記第2のホールは、前記第1のハウジングまたは前記第2のハウジングに形成される。
【0013】
また、前記ハウジングには、レーザーが前記ハウジング内部に入射される入射ホールと、前記ハウジング内部で反射されたレーザーが排出される排出ホールが形成される。
【0014】
また、前記電子ビーム排出ホールを介してレーザーが入射され、前記後面部で反射されたレーザーが前記電子ビーム排出ホールを介して排出される。
【0015】
また、前記第1のホールにより誘発される電場不均衡を減少させるように前記ハウジングの前記側面部に前記第1のホールと前記第2のホールとの中間に第3のホールが形成され、前記第3のホールと向かい合う反対側側面部に第4のホールが形成される。
【0016】
また、前記第3のホールと前記第4のホールは、一側方向に延長されたホールの形状に形成される。
【0017】
また、前記第3のホールと前記第4のホールは、実質的に楕円形またはレーストラック(racetrack)形態に形成される。
【0018】
また、前記第2乃至第4のホールは、同一形状に形成される。
【0019】
また、前記第3のホールが形成された位置に第2のポンピングポートが設置され、前記第4のホールが形成された位置に第3のポンピングポートが設置される。
【発明の効果】
【0020】
電場の不均衡を改善して電子ビームのエミッタンスを減少させる効果がある。
【0021】
また、別途の複雑な付加装置無しに単純なホール寸法の変更やポンピングホールの追加だけでも電場のエミッタンスを減少させることができるため、コスト節減効果がある。
【0022】
従来の電子ビーム発生装置においてハウジングの側面部にレーザー入射ホールとレーザー排出ホールを別途に形成する場合があるが、本発明は、ハウジングの正面部に一つのホールだけを開けてレーザービームを入射及び排出させ、同時に電子ビーム排出ホールとして用いることができるため、製作が容易になる効果がある。
【0023】
本発明の技術的効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されない他の技術的効果は、下記により当業者が明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】カップリングホールのない理想的な条件におけるハウジングを概略的に示す断面図である。
【図2】カップリングホールのない理想的な条件におけるハウジングの電場を示すグラフである。
【図3】一つのカップリングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図である。
【図4】一つのカップリングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【図5】カップリングホールと一つのポンピングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図である。
【図6】カップリングホールと一つのポンピングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【図7】カップリングホールと3個のポンピングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図である。
【図8】カップリングホールと3個のポンピングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【図9】本実施例に係る電子ビーム発生装置のシミュレーション装置の配置図である。
【図10】第1の実施例に係る電子ビーム発生装置の斜視図である。
【図11】第1の実施例に係る電子ビーム発生装置をx軸に対して垂直に切断した断面図である。
【図12】第1の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した断面斜視図である。
【図13】第1の実施例に係る電子ビーム発生装置のポンピングホールの形態を示す図面である。
【図14】第1の実施例に係る電子ビーム発生装置のL1とフーリエ係数との関係を示す図面である。
【図15】第2の実施例に係る電子ビーム発生装置の斜視図である。
【図16】第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をx軸に対して垂直に切断した側断面図である。
【図17】第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した側断面図である。
【図18】第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した断面斜視図である。
【図19】第2の実施例に係る電子ビーム発生装置におけるL2とフーリエ係数との関係を示す図面である。
【図20】第1の実施例及び第2の実施例において電場の角度分布を示す図面である。
【図21】第2の実施例においてz軸に対するy軸方向の標準化エミッタンスに対するシミュレーション結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、実施例は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、多様な形態で具現されることができ、但し、本実施例は、本発明の開示が完全になるようにし、通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供されるものである。図面における要素の形状などは、より明確な説明のために誇張されるように表現した部分があり、図面上で同一符号で表示された要素は同一要素を意味する。
【0026】
強力で且つ小さいエミッタンス(emittance)を有する電子ビーム発生装置が必要である。エミッタンスεは、3種類要素を有し、数式1のように表現することができる。
【0027】
【数1】
【0028】
ここで、εthは、熱的エミッタンス(thermalemittance)であり、εscは、空間荷電効果(spacechargeeffect)によるエミッタンスであり、εrfは、高周波動力学効果(rfdynamicseffect)によるエミッタンスである。
【0029】
εthは、カソード面(cathodesurface)に対するレーザーの入射角を制御することによって減少されることができる。全体エミッタンス(ε)は、熱的エミッタンスに比べて著しく高く現れる。この理由は、空間荷電効果と高周波動力学効果によるエミッタンスの増加が熱的エミッタンスに比べて無視することができない程度であるためである。εscは、特殊な3D均一楕円レーザーパルス(uniformellipsoidallaserpulse)と著しく強い電場を用いて減少させることができる。本発明の主な関心事は、全体エミッタンスを減少させるためにどのような方法により3番目の要素であるεrfを減少させることができるかに対することである。
【0030】
図1は、カップリングホールのない理想的な条件におけるハウジングを概略的に示す断面図であり、図2は、カップリングホールのない理想的な条件におけるハウジングの電場を示すグラフである。
【0031】
図1で地面に垂直方向は電子ビームの進行方向であり、円形枠はハウジングを示す。x軸とy軸は、ハウジング内部の共振空洞(resonantcavity)の中心を基準とする直交座標軸を示す。ρは共振空洞の中心から任意の位置Tまでの距離を意味し、Φは共振空洞の中心と座標Tを連結する直線がx軸に対してなす角度を意味する。図2における|Ez|は、共振空洞の中心から所定距離における電場を示す。電子ビーム発生装置の共振空洞に発生する電場は、一般的に数式2のように表現されることができる。
【0032】
【数2】
【0033】
ここで、xm1はJm(x)=0の1番目のルートであり、E0は最大電場を、Rは共振空洞の半径を、Am10はm番目のフーリエ係数を示す。理想的な電子ビーム発生装置における|Ez|は、図2に示すように、monopolefieldだけ存在し、角度Φが変わっても一定の値を有する。
【0034】
しかし、電子ビーム発生装置では電子ビーム加速に必要な高周波電力を供給するためにハウジングの側面にカップリングホールを形成せざるを得ない。カップリングホールは、共振空洞の内部で側方向(x-y平面方向)の力を誘発し、これによって電場の非対称性が発生することができる。電場の非対称性(asymmetryofelectricfield)は、multipolefieldで増加することができ、multipolefieldは、電子ビーム発生装置で発生される電子ビームに対してエミッタンスを増加させる横方向モメンタムキック(transversemomentumkick)を発生させる。
【0035】
Panofsky-Wenzel整理は、数式3のように共振空洞の電場で横方向モメンタムキックp⊥を提供する。
【0036】
【数3】
【0037】
ここで、ω0は空洞の共振周波数(resonantfrequency)であり、Lは共振空洞の長さであり、Ezは共振空洞の電場の長手方向要素(longitudinalcomponent)である。Panofsky-Wenzel整理は、一定速度状況(constantvelocitycase)に適用可能である。運動エネルギーの増加にもかかわらず共振空洞の内部では電子の速度が微量だけ増加するため、本実施例では共振空洞領域がこのような条件を満たす。数式3における横方向モメンタムキックは、以下で記述するように全体エミッタンスの増加量を示す。
【0038】
共振空洞の非対称形態は、multipolefieldを引き起こす。一般的に、共振空洞は、有限なクォリティーファクタ(qualityfactor)を有するため、共振空洞の内部には電力の流れがある。従って、このようなmultipolefieldは、y軸に沿って進行する進行波(travelingwave)を含む。進行波の成分に起因するy軸方向multipolefieldの位相不均衡(phaseasymmetry)は、共振空洞の電場分析において考慮しなければならない。共振空洞における電場は、数式4のようにmultipolefieldの重畳(superposition)で表現されることができる。
【0039】
【数4】
【0040】
ここで、E0は電場の最大値、Kyはy軸方向の位相分布係数(phasedistributioncoefficient)、anはmultipolefieldのフーリエ係数、ωは空洞(cavity)の共振周波数である。multipolefieldによるエミッタンス増加(emittancegrowth)は、数式4のフーリエ係数により計算することができる。
【0041】
monopolecomponentによるエミッタンスは、次のように計算することができる。
【0042】
【数5】
【0043】
ここで、kは高周波電場の波動の次数(wavenumberoftherffield)、σyはビーム大きさ、σzは実効バンチ長さ(rmsbunchlength)である。空洞の幾何学的中心と電場の中心との間には偏差、即ち、dipoleoffsety0が存在する。dipolefieldによる横方向モメンタムキックはdipoleoffsetに依存する。位相不均衡(phaseasymmetry)によるdipoleoffsetoscillationは、Guanによって数式6のように誘導された。
【0044】
【数6】
【0045】
Guanは、standingwavetypeの高周波電子銃の内部における電力の流れが極めてわずかであるため、数式6のKyが無視されることができることを証明した。従って、数式6の大きさ成分(amplitudeterm)は、multipolefieldによるエミッタンス増加の計算に十分である。Palmerの研究結果によって、dipolefieldとquadrupolefieldによるエミッタンス増加は次の通り計算される。
【0046】
【数7】
【0047】
【数8】
【0048】
ここで、Lは、不均衡高周波電場が存在する共振空洞の長さである。
【0049】
以下、dipolefieldとquadrupolefieldによるエミッタンス増加を他の方式に示す。共振空洞に一つのカップリングホールが形成された場合、|Ez|は、数式9のように表現することができる。
【0050】
【数9】
【0051】
数式9において、1番目の項はmonopolefield、2番目の項はdipolefield、3番目の項はquadrupolefieldを意味する。数式9におけるnormalizedfouriercoefficientであるM、D、Qは、数式10のように表現することができる。
【0052】
【数10】
【0053】
【数11】
【0054】
数式11は、電子ビーム発生装置でmonopolefield、dipolefield、quadrupolefieldがεRFに及ぼす影響を示す。εMはmonopolefieldにより発生するエミッタンス(emittance)を、εDはdipolefieldにより発生するエミッタンスを、εQはquadrupolefieldにより発生するエミッタンスを示す。εM、εD、εQの値は、数式12により計算することができる。
【0055】
【数12】
【0056】
数式12で、eは電子の電荷量、meは電子の質量、cは光速、kは波数、σyはy軸方向の電子ビーム大きさ、σzはz軸方向の電子ビーム大きさ、Lは共振空洞の長さである。εRFの値を減少させるためには電子ビーム加速に必ず必要なmonopolefieldを除くdipolefieldとquadrupolefieldを除去することが必要である。
【0057】
図3は、一つのカップリングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図であり、図4は、一つのカップリングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【0058】
図4と関連、X表示は|Ez|のシミュレーション結果値であり、カップリングホールにより発生するdipolefieldを意味する。この値は、数式9の1番目の項、2番目の項及び3番目の項の値だけを用いて得た結果値である。図4に示すように、カップリングホールが形成された方向に相対的に著しく強い電場が形成されるということが分かる。
【0059】
monopolefield、dipolefield、quadrupolefieldに比べてその以上のhighorderfieldは無視することができる程度に影響が少ないため、dipolefieldとquadrupolefieldの影響を除去するのが高品質の電子ビーム発生装置の製作において極めて重要である。以下、ポンピングホールを追加にハウジングに形成することによってdipolefieldとquadrupolefieldを除去する方法を説明する。
【0060】
図5は、カップリングホールと一つのポンピングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図であり、図6は、カップリングホールと一つのポンピングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【0061】
図5に示すように、ハウジングの上部には電磁気波が供給されるカップリングホールが形成され、ハウジングの下部にはポンピングホールが形成されている。ポンピングホールは、カップリングホールにより発生するdipolefieldに対して位相が180度差のあるdipolefieldを発生させるためのものである。これによって、ポンピングホールにより発生するdipolefieldを用いてカップリングホールにより発生するdipolefieldを相殺させることができる。
【0062】
ポンピングホールの形態と大きさは一般的にカップリングホールと同一に製作される。しかし、ポンピングホールとカップリングホールの各々の境界条件(boundarycondition)が異なるため、dipolefieldの減少量が不十分である。一方、ポンピングホールの寸法(dimension)を変化させる単純な方法によってdipolefieldを減少させることができる。ただし、このようなdipolefieldを減少させる方法はquadrupolefieldに影響を及ぼさない。結局、quadrupolefieldを除去するためには追加的な除去過程が必要である。
【0063】
quadrupolefieldを除去するためにポンピングホールの形態をレーストラック形態(racetrackshape)に形成する方法がある。racetrack形態のホールはquadrupolefieldを減少させることができる。
【0064】
図6に示すように、カップリングホールにより形成されたdipolefield及びポンピングホールにより形成されたdipolefieldの値が表示されている。ポンピングホールにより発生するdipolefieldとカップリングホールにより発生するdipolefieldが結合すると、dipolefield成分が相殺されながらquadrupolefieldが主成分であるquadrupoledominantfieldが残るようになる。dipolefield成分が除去されることによって、図4の結果値と比較してエミッタンスが著しく減少されることが分かる。次に、ハウジングに二つの追加的なポンピングホールを形成してquadrupolefieldを除去する方法を説明する。
【0065】
図7は、カップリングホールと3個のポンピングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図であり、図8は、カップリングホールと3個のポンピングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【0066】
図7に示すように、ハウジングの上部にカップリングホールが形成され、ハウジングの下部に第1のポンピングホール及び左右側に各々第2のポンピングホール、第3のポンピングホールが形成されている。
【0067】
図8に示すように、カップリングホールにより形成されたdipolefield及び第1、第2、第3のポンピングホールにより形成されたdipolefieldの値が表示されている。第1、第2、第3のポンピングホールにより発生するdipolefieldとカップリングホールにより発生するdipolefieldが結合すると、dipolefield及びquadrupolefieldが相殺される。これによってoctopolefieldが主成分であるoctopoledominantfieldだけ残るようになる。dipolefield及びquadrupolefieldが除去されることによって、図4の結果値と比較してエミッタンスが著しく減少されることが分かる。
【0068】
図9は、本実施例に係る電子ビーム発生装置のシミュレーション装置の配置図である。
【0069】
図9に示すように、電子ビーム発生装置100で電子ビームを排出させ、排出された電子ビームは、通路400を通しながら外側のソレノイド300により集中され、加速カラム(acceleratingcolumn)を通過しながら加速される。空間荷電によるエミッタンス増加を除去するためにソレノイド300とブースターリニアアクセラレータ(boosterlinac)が使われる。このようなシミュレーション条件下で共振空洞のmultipolefieldからのエミッタンス増加は、数学シミュレーションプログラムPARMELAにより計算することができる。
【0070】
図10は、第1の実施例に係る電子ビーム発生装置の斜視図である。
【0071】
図11は、第1の実施例に係る電子ビーム発生装置をx軸に対して垂直に切断した断面図である。
【0072】
図12は、第1の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した断面斜視図である。
【0073】
図10に示すように、本実施例は、第1のハウジング140、第2のハウジング120、ウェーブガード110、ポンピングポート160、及び電子ビーム排出管150を含む。以下、電子ビームの進行方向をz軸で説明する。
【0074】
図11に示すように、第2のハウジング120は、円筒形状に形成されており、電極121、円板124、側壁122を含む。電極121は、図11を基準に第2のハウジング120の右側面に該当する。電極121は、入射されたレーザービームが衝突して電子ビームが発生される部分である。電極121から左側に所定距離離隔されて向かい合う円板124が形成され、前記電極121と円板124を連結する側壁122が形成される。内側には第2の共振空洞123が形成される。連結部130は、曲面部131と連結空洞132を含む。曲面部131は、断面が半円型である環形状に形成され、一側が円板124に結合され、他側の円板141に結合される。連結空洞132は、第1の共振空洞144と第2の共振空洞123を連結する空間である。
【0075】
第1のハウジング140は、円板141、円板143、及び側壁142を含む。円板141は曲面部131と連結され、円板143は前記円板141と向かい合いながら図11を基準に左側に位置し、側壁142は円板141と円板143を連結する。内側には第1の共振空洞144が形成される。第1のハウジング140と第2のハウジング120で構成せずに一つの円筒形ハウジングで構成することもできる。
【0076】
ウェーブガード110は、側壁111、底板113を含む。側壁111は、四角形の箱形状に形成され、下面に底板113が連結される。内側には電磁気波発生部(未図示)で発生された電磁気波を第1の共振空洞144に伝達するために電磁気波空洞112が形成される。底板113には前記電磁気波空洞112と第1の共振空洞144を連通させるようにカップリングホール114が形成され、これは高周波電力を共振空洞に提供するためである。カップリングホール114は、第1の共振空洞144に高周波不均衡を引き起こし、さらに電場不均衡を引き起こすことができる。
【0077】
第1のポンピングポート160は、側壁161、底板164を含む。側壁161の内側には第1のポンピング空洞163が形成される。第1のポンピング空洞163は、第1の共振空洞144の真空度を維持するために真空排気のための空間であり、真空ポンプ(未図示)と連結される部分である。底板164には第1の共振空洞144と第1のポンピング空洞163を連通させる第1のポンピングホール165が形成される。第1のポンピングポート160の第1のポンピングホール165の調整によって2周期成分を除去することができる。
【0078】
電子ビーム排出管150は、側壁151を含む。側壁151は、一側が放射形であり、軟らかい曲面に拡張されながら円板143に結合され、他側には電子ビームが排出されるようにホール154が形成される。ホール154を介してレーザービームが内側にz軸に対して斜めに入射され、前記レーザービームにより発生された電子ビームがホール154を介して排出されることができる。即ち、前記ホール154は、レーザービームが入射される入射ホール、反射されるレーザービームが排出される排出ホール、及び電子ビームが排出される電子ビーム排出ホールの機能を同時にすることができる。
【0079】
他の実施例として、ホール154が1個ではなく3個に形成されることができる。この場合、電子ビーム排出管150、第1のハウジング140または第2のハウジング120の側面部に、一つのホールはレーザービームが入射される入射ホール、他の一つのホールはレーザービームが反射されて排出される排出ホール、残りのホールは電子ビームが排出される電子ビーム排出ホールとして形成されることもできる。
【0080】
図12における電子ビームはZ軸方向に進行する。エミッタンスのビーム動力学計算に使われたフィールドマップは、3D高周波計算機により生成したものである。
【0081】
図13は、第1の実施例に係る電子ビーム発生装置のポンピングホールの形態を示す図面である。
【0082】
図13に示すように、第1のポンピングホール165の長軸長さ(W)と短軸長さ(H)の差がL1である。R1は、第1のポンピングホール165の両端曲面部の半径である。multipolefieldの除去は、L1を調整することによって行われる。
【0083】
図14は、第1の実施例に係る電子ビーム発生装置のL1とフーリエ係数との関係を示す図面である。計算機を使用した数学的分析によって得られたdipolefieldoffsetoscillationは、図14で四角形で表示された部分である。図14の連結線は、数式6により求めるものである。y軸方向の位相分布係数Kyは、このような分析により計算可能である。Kyは10-5のように相対的に小さい値であるため、本実験では無視することができる。
【0084】
ポンピングホールの電場は、減殺モード(evanescentmode)でなければならず、カップリングホールとポンピングホールの各々の境界条件(boundarycondition)が異なるため、より多くの最適化プロセスが必要である。ポンピングホール寸法(L1)の調整によってdipolemodeを最適化するのが可能である。カップリングホールの寸法調整は、共振空洞の共振周波数を変更させるため、共振空洞の寸法調整がより必要である。quadrupolefieldは変わらない反面、最適寸法におけるdipolefieldは図14に示すように減少する。図14に示すように、dipolefield除去過程の以後、quadrupolefieldはdipolefieldより大きいということが分かる。ポンピングホールとカップリングホールに対して90度位置に形成された二つの追加ポンピングホールはquadrupolefieldを効果的に除去することができる。第2の実施例は、単純な円筒形態に形成され、製作が容易な二つの追加ポンピングホールを含む構成である。
【0085】
図15は、第2の実施例に係る電子ビーム発生装置の斜視図である。図16は、第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をx軸に対して垂直に切断した側断面図である。図17は、第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した側断面図である。図18は、第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した断面斜視図である。図16及び図17で第1の実施例と類似の構成に対する重畳した説明は省略する。
【0086】
図17に示すように、第2のポンピングポート270は、側壁271、底板274を含む。内側には第2のポンピング空洞273が形成され、底板274には第2のポンピングホール275が形成される。第3のポンピングポート280は、側壁281、底板284を含む。内側には第3のポンピング空洞283が形成され、底板284には第3のポンピングホール285が形成される。第2のポンピング空洞273と第3のポンピング空洞283は、真空ポンプ(未図示)と連結されて共振空洞の真空度を維持するようになる。
【0087】
図19は、第2の実施例に係る電子ビーム発生装置におけるL2とフーリエ係数との関係を示す図面である。ここで、第1のポンピングホール165、第2のポンピングホール275及び第3のポンピングホール285のL2が全部同一寸法であり、L1は11.65に固定されており、三個のポンピングホールのL2を同一に変更しながら測定した。他の実施例として、第1のポンピングホール165、第2のポンピングホール275及び第3のポンピングホール285の各々のL2数値を異にしながら最適の条件をさがすこともできる。
【0088】
図19に示すように、dipolefieldとquadrupolefieldが同時に最小化される最適の条件をさがすことができる。しかし、三個のポンピングホールのL2が11.4〜11.5ミリメートルの場合、高次フィールドが増加する傾向がある。dipolefieldとquadrupolefieldは、略1/10倍〜1/100倍程度に減少される。図19の左側にはdipolefieldを除去する前のL2の値とdipolefieldを除去した後のL2の値を示した。これによって、dipolefield除去過程によってdipolefieldは相当減少されるが、quadrupolefieldには大きい影響を与えないということが分かる。
【0089】
図20は、第1の実施例及び第2の実施例において電場の角度分布を示す図面である。
【0090】
図20に示すように、角度による電場の偏差は、略L2が11.4〜11.6範囲で相当部分除去されることが分かる。このような結果から、高次multipolefieldはほとんど除去されることが分かる。
【0091】
dipolefield及びquadrupolefieldが最小化されるL2の条件は、図19に示すように少しの差がある。このような場合、ビーム動力学シミュレーションでエミッタンスが最小化される条件をquadrupolefield最適化条件と判断するのが好ましい。本実施例でsextupolemodeとoctupolemodeは有意味に増加しなかった。
【0092】
図21は、第2の実施例においてz軸に対するy軸方向の標準化エミッタンスに対するシミュレーション結果を示す図面である。
【0093】
四角形部分は、カップリングホールとポンピングホールがない理想的な場合を示す。図21の三角形部分は、dipolefield除去過程による結果を示す。図21の円は、dipolefieldとquadrupolefield除去の場合を示す。
【0094】
BNLGUN-IIIを使用した場合はダイアモンドで表示した。BNLGUN-III(BNL/SLAC/UCLA1.6cellS-band光陰極高周波電子銃)は、韓国浦項工大の加速機研究所で使われているモデルである。
【0095】
図21に示すように、理想的な場合にはPARMELAシミュレーションによると最小横方向実効エミッタンスが略0.53mm-mradであり、この場合、図21に四角形で表示したように、高次のmultipolefieldは現れなかった。調整する以前の場合には、図21にダイアモンドで表示したように略1.65mm-mradであり、これは理想的な場合より3倍以上大きい値である。
【0096】
前記dipolefield除去過程は、図21に三角形で表示したように、横方向実効エミッタンスを略0.98mm-mradまで減少させることができる。結局、dipolefield除去過程によってエミッタンスを略40%程度減少させることができる。dipolefieldとquadrupolefieldの最適化過程の場合、図21に円で表示したように、エミッタンスは略0.60mm-mradである。このような最適化条件でエミッタンスは、単純にBNLGUN-IIIを使用した場合より略60%減少された。
【0097】
以下、本実施例に係る電子ビーム発生装置を用いた電子ビーム発生方法に対して説明する。
【0098】
まず、ホール154、254を介して前記電子ビーム発生装置の内側にレーザービームが入射される段階が実施されることができる。
【0099】
次に、入射された前記レーザービームによって前記電子ビーム発生装置の内側で発生された電子ビームが前記ホール154、254を介して排出する段階が実施されることができる。
【0100】
他の実施例として、ホールが1個ではなく3個に形成されることができる。
【0101】
この場合、電子ビーム排出管、第1のハウジングまたは第2のハウジングの側面部に、一つのホールはレーザービームが入射される入射ホール、他の一つのホールはレーザービームが反射されて排出する排出ホール、残りのホールは電子ビームが排出される電子ビーム排出ホールとして形成されることもできる。
【0102】
前記電子ビームが排出される段階は、ウェーブガードに入射される電磁気波によって前記電子ビームが加速されながら排出する段階であってもよい。
【0103】
以上で説明され、図面に示した本発明の一実施例は、本発明の技術的思想を限定すると解釈されてはならない。本発明の保護範囲は、請求範囲に記載された事項に限って制限され、本発明の技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想を多様な形態に改良変更するのが可能である。従って、このような改良及び変更は、通常の知識を有する者に自明な場合、本発明の保護範囲に属するようになる。
【符号の説明】
【0104】
100 電子ビーム発生装置
110 ウェーブガード
120 第2のハウジング
140 第1のハウジング
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーを用いて電子ビームを発生させる電子ビーム発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子銃(electrongun)とは、電子顕微鏡、進行波管、ブラウン管などのように電子の流れを細いビーム形状に収束させて排出する装置をいう。
【0003】
従来技術による電子銃は、カプラーセル(couplercell)の内部を通過する電子ビームを加速するために電磁気波を用いる。即ち、カプラーセルに形成されたカップリングホール(couplinghole)を介して電磁気波をカプラーセルの内部に入射させる。しかし、このようなカップリングホールによってカプラーセルの内部電場の対称性がくずれるようになる。電場の対称性がくずれると、電子ビームのエミッタンス(emittance)が大きくなるため、電子ビームの品質が低下されるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ビームのエミッタンスを減少させることができる電子ビーム発生装置が要求される。
【0005】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されない他の技術的課題は、下記により当業者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明による電子ビーム発生装置は、電子ビームが生成される後面部と、生成された前記電子ビームが外部に排出されるように電子ビーム排出ホールが形成された前面部と、前記後面部と前記前面部を連結する側面部と、を含み、前記側面部には第1のホールが形成され、前記第1のホールにより誘発される電場不均衡を減少させるように前記第1のホールと向かい合う反対側側面部に第2のホールが形成されたハウジング;及び、前記第1のホールを介して前記ハウジング内部に電磁気波を供給するように前記側面部に設置されるウェーブガード;を含み、前記ハウジング内部に入射されたレーザーによって前記電子ビームが生成され、前記ハウジング内部に供給された電磁気波によって前記電子ビームが加速される。
【0007】
また、前記前面部を介してレーザーが前記ハウジング内部に入射される。
【0008】
また、前記第2のホールを介して前記ハウジング内部の空気を排出することによって前記ハウジング内部に真空を形成することができるように前記側面部に設置される第1のポンピングポートをさらに含む。
【0009】
また、前記第2のホールは、前記第1のホールと形状が異なる。
【0010】
また、前記第2のホールは、一側方向に延長されたホールの形状に形成される。
【0011】
また、前記第2のホールは、実質的に楕円形またはレーストラック(racetrack)形態に形成される。
【0012】
また、前記側面部は、第1の側面部と第2の側面部を含み、前記前面部は、前記第1の側面部に結合され、前記第1の側面部と前記第2の側面部は、連結部により連結され、前記第2の側面部は、前記後面部に結合され、前記第1のホール及び前記第2のホールは、前記第1のハウジングまたは前記第2のハウジングに形成される。
【0013】
また、前記ハウジングには、レーザーが前記ハウジング内部に入射される入射ホールと、前記ハウジング内部で反射されたレーザーが排出される排出ホールが形成される。
【0014】
また、前記電子ビーム排出ホールを介してレーザーが入射され、前記後面部で反射されたレーザーが前記電子ビーム排出ホールを介して排出される。
【0015】
また、前記第1のホールにより誘発される電場不均衡を減少させるように前記ハウジングの前記側面部に前記第1のホールと前記第2のホールとの中間に第3のホールが形成され、前記第3のホールと向かい合う反対側側面部に第4のホールが形成される。
【0016】
また、前記第3のホールと前記第4のホールは、一側方向に延長されたホールの形状に形成される。
【0017】
また、前記第3のホールと前記第4のホールは、実質的に楕円形またはレーストラック(racetrack)形態に形成される。
【0018】
また、前記第2乃至第4のホールは、同一形状に形成される。
【0019】
また、前記第3のホールが形成された位置に第2のポンピングポートが設置され、前記第4のホールが形成された位置に第3のポンピングポートが設置される。
【発明の効果】
【0020】
電場の不均衡を改善して電子ビームのエミッタンスを減少させる効果がある。
【0021】
また、別途の複雑な付加装置無しに単純なホール寸法の変更やポンピングホールの追加だけでも電場のエミッタンスを減少させることができるため、コスト節減効果がある。
【0022】
従来の電子ビーム発生装置においてハウジングの側面部にレーザー入射ホールとレーザー排出ホールを別途に形成する場合があるが、本発明は、ハウジングの正面部に一つのホールだけを開けてレーザービームを入射及び排出させ、同時に電子ビーム排出ホールとして用いることができるため、製作が容易になる効果がある。
【0023】
本発明の技術的効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されない他の技術的効果は、下記により当業者が明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】カップリングホールのない理想的な条件におけるハウジングを概略的に示す断面図である。
【図2】カップリングホールのない理想的な条件におけるハウジングの電場を示すグラフである。
【図3】一つのカップリングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図である。
【図4】一つのカップリングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【図5】カップリングホールと一つのポンピングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図である。
【図6】カップリングホールと一つのポンピングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【図7】カップリングホールと3個のポンピングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図である。
【図8】カップリングホールと3個のポンピングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【図9】本実施例に係る電子ビーム発生装置のシミュレーション装置の配置図である。
【図10】第1の実施例に係る電子ビーム発生装置の斜視図である。
【図11】第1の実施例に係る電子ビーム発生装置をx軸に対して垂直に切断した断面図である。
【図12】第1の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した断面斜視図である。
【図13】第1の実施例に係る電子ビーム発生装置のポンピングホールの形態を示す図面である。
【図14】第1の実施例に係る電子ビーム発生装置のL1とフーリエ係数との関係を示す図面である。
【図15】第2の実施例に係る電子ビーム発生装置の斜視図である。
【図16】第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をx軸に対して垂直に切断した側断面図である。
【図17】第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した側断面図である。
【図18】第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した断面斜視図である。
【図19】第2の実施例に係る電子ビーム発生装置におけるL2とフーリエ係数との関係を示す図面である。
【図20】第1の実施例及び第2の実施例において電場の角度分布を示す図面である。
【図21】第2の実施例においてz軸に対するy軸方向の標準化エミッタンスに対するシミュレーション結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、実施例は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、多様な形態で具現されることができ、但し、本実施例は、本発明の開示が完全になるようにし、通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供されるものである。図面における要素の形状などは、より明確な説明のために誇張されるように表現した部分があり、図面上で同一符号で表示された要素は同一要素を意味する。
【0026】
強力で且つ小さいエミッタンス(emittance)を有する電子ビーム発生装置が必要である。エミッタンスεは、3種類要素を有し、数式1のように表現することができる。
【0027】
【数1】
【0028】
ここで、εthは、熱的エミッタンス(thermalemittance)であり、εscは、空間荷電効果(spacechargeeffect)によるエミッタンスであり、εrfは、高周波動力学効果(rfdynamicseffect)によるエミッタンスである。
【0029】
εthは、カソード面(cathodesurface)に対するレーザーの入射角を制御することによって減少されることができる。全体エミッタンス(ε)は、熱的エミッタンスに比べて著しく高く現れる。この理由は、空間荷電効果と高周波動力学効果によるエミッタンスの増加が熱的エミッタンスに比べて無視することができない程度であるためである。εscは、特殊な3D均一楕円レーザーパルス(uniformellipsoidallaserpulse)と著しく強い電場を用いて減少させることができる。本発明の主な関心事は、全体エミッタンスを減少させるためにどのような方法により3番目の要素であるεrfを減少させることができるかに対することである。
【0030】
図1は、カップリングホールのない理想的な条件におけるハウジングを概略的に示す断面図であり、図2は、カップリングホールのない理想的な条件におけるハウジングの電場を示すグラフである。
【0031】
図1で地面に垂直方向は電子ビームの進行方向であり、円形枠はハウジングを示す。x軸とy軸は、ハウジング内部の共振空洞(resonantcavity)の中心を基準とする直交座標軸を示す。ρは共振空洞の中心から任意の位置Tまでの距離を意味し、Φは共振空洞の中心と座標Tを連結する直線がx軸に対してなす角度を意味する。図2における|Ez|は、共振空洞の中心から所定距離における電場を示す。電子ビーム発生装置の共振空洞に発生する電場は、一般的に数式2のように表現されることができる。
【0032】
【数2】
【0033】
ここで、xm1はJm(x)=0の1番目のルートであり、E0は最大電場を、Rは共振空洞の半径を、Am10はm番目のフーリエ係数を示す。理想的な電子ビーム発生装置における|Ez|は、図2に示すように、monopolefieldだけ存在し、角度Φが変わっても一定の値を有する。
【0034】
しかし、電子ビーム発生装置では電子ビーム加速に必要な高周波電力を供給するためにハウジングの側面にカップリングホールを形成せざるを得ない。カップリングホールは、共振空洞の内部で側方向(x-y平面方向)の力を誘発し、これによって電場の非対称性が発生することができる。電場の非対称性(asymmetryofelectricfield)は、multipolefieldで増加することができ、multipolefieldは、電子ビーム発生装置で発生される電子ビームに対してエミッタンスを増加させる横方向モメンタムキック(transversemomentumkick)を発生させる。
【0035】
Panofsky-Wenzel整理は、数式3のように共振空洞の電場で横方向モメンタムキックp⊥を提供する。
【0036】
【数3】
【0037】
ここで、ω0は空洞の共振周波数(resonantfrequency)であり、Lは共振空洞の長さであり、Ezは共振空洞の電場の長手方向要素(longitudinalcomponent)である。Panofsky-Wenzel整理は、一定速度状況(constantvelocitycase)に適用可能である。運動エネルギーの増加にもかかわらず共振空洞の内部では電子の速度が微量だけ増加するため、本実施例では共振空洞領域がこのような条件を満たす。数式3における横方向モメンタムキックは、以下で記述するように全体エミッタンスの増加量を示す。
【0038】
共振空洞の非対称形態は、multipolefieldを引き起こす。一般的に、共振空洞は、有限なクォリティーファクタ(qualityfactor)を有するため、共振空洞の内部には電力の流れがある。従って、このようなmultipolefieldは、y軸に沿って進行する進行波(travelingwave)を含む。進行波の成分に起因するy軸方向multipolefieldの位相不均衡(phaseasymmetry)は、共振空洞の電場分析において考慮しなければならない。共振空洞における電場は、数式4のようにmultipolefieldの重畳(superposition)で表現されることができる。
【0039】
【数4】
【0040】
ここで、E0は電場の最大値、Kyはy軸方向の位相分布係数(phasedistributioncoefficient)、anはmultipolefieldのフーリエ係数、ωは空洞(cavity)の共振周波数である。multipolefieldによるエミッタンス増加(emittancegrowth)は、数式4のフーリエ係数により計算することができる。
【0041】
monopolecomponentによるエミッタンスは、次のように計算することができる。
【0042】
【数5】
【0043】
ここで、kは高周波電場の波動の次数(wavenumberoftherffield)、σyはビーム大きさ、σzは実効バンチ長さ(rmsbunchlength)である。空洞の幾何学的中心と電場の中心との間には偏差、即ち、dipoleoffsety0が存在する。dipolefieldによる横方向モメンタムキックはdipoleoffsetに依存する。位相不均衡(phaseasymmetry)によるdipoleoffsetoscillationは、Guanによって数式6のように誘導された。
【0044】
【数6】
【0045】
Guanは、standingwavetypeの高周波電子銃の内部における電力の流れが極めてわずかであるため、数式6のKyが無視されることができることを証明した。従って、数式6の大きさ成分(amplitudeterm)は、multipolefieldによるエミッタンス増加の計算に十分である。Palmerの研究結果によって、dipolefieldとquadrupolefieldによるエミッタンス増加は次の通り計算される。
【0046】
【数7】
【0047】
【数8】
【0048】
ここで、Lは、不均衡高周波電場が存在する共振空洞の長さである。
【0049】
以下、dipolefieldとquadrupolefieldによるエミッタンス増加を他の方式に示す。共振空洞に一つのカップリングホールが形成された場合、|Ez|は、数式9のように表現することができる。
【0050】
【数9】
【0051】
数式9において、1番目の項はmonopolefield、2番目の項はdipolefield、3番目の項はquadrupolefieldを意味する。数式9におけるnormalizedfouriercoefficientであるM、D、Qは、数式10のように表現することができる。
【0052】
【数10】
【0053】
【数11】
【0054】
数式11は、電子ビーム発生装置でmonopolefield、dipolefield、quadrupolefieldがεRFに及ぼす影響を示す。εMはmonopolefieldにより発生するエミッタンス(emittance)を、εDはdipolefieldにより発生するエミッタンスを、εQはquadrupolefieldにより発生するエミッタンスを示す。εM、εD、εQの値は、数式12により計算することができる。
【0055】
【数12】
【0056】
数式12で、eは電子の電荷量、meは電子の質量、cは光速、kは波数、σyはy軸方向の電子ビーム大きさ、σzはz軸方向の電子ビーム大きさ、Lは共振空洞の長さである。εRFの値を減少させるためには電子ビーム加速に必ず必要なmonopolefieldを除くdipolefieldとquadrupolefieldを除去することが必要である。
【0057】
図3は、一つのカップリングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図であり、図4は、一つのカップリングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【0058】
図4と関連、X表示は|Ez|のシミュレーション結果値であり、カップリングホールにより発生するdipolefieldを意味する。この値は、数式9の1番目の項、2番目の項及び3番目の項の値だけを用いて得た結果値である。図4に示すように、カップリングホールが形成された方向に相対的に著しく強い電場が形成されるということが分かる。
【0059】
monopolefield、dipolefield、quadrupolefieldに比べてその以上のhighorderfieldは無視することができる程度に影響が少ないため、dipolefieldとquadrupolefieldの影響を除去するのが高品質の電子ビーム発生装置の製作において極めて重要である。以下、ポンピングホールを追加にハウジングに形成することによってdipolefieldとquadrupolefieldを除去する方法を説明する。
【0060】
図5は、カップリングホールと一つのポンピングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図であり、図6は、カップリングホールと一つのポンピングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【0061】
図5に示すように、ハウジングの上部には電磁気波が供給されるカップリングホールが形成され、ハウジングの下部にはポンピングホールが形成されている。ポンピングホールは、カップリングホールにより発生するdipolefieldに対して位相が180度差のあるdipolefieldを発生させるためのものである。これによって、ポンピングホールにより発生するdipolefieldを用いてカップリングホールにより発生するdipolefieldを相殺させることができる。
【0062】
ポンピングホールの形態と大きさは一般的にカップリングホールと同一に製作される。しかし、ポンピングホールとカップリングホールの各々の境界条件(boundarycondition)が異なるため、dipolefieldの減少量が不十分である。一方、ポンピングホールの寸法(dimension)を変化させる単純な方法によってdipolefieldを減少させることができる。ただし、このようなdipolefieldを減少させる方法はquadrupolefieldに影響を及ぼさない。結局、quadrupolefieldを除去するためには追加的な除去過程が必要である。
【0063】
quadrupolefieldを除去するためにポンピングホールの形態をレーストラック形態(racetrackshape)に形成する方法がある。racetrack形態のホールはquadrupolefieldを減少させることができる。
【0064】
図6に示すように、カップリングホールにより形成されたdipolefield及びポンピングホールにより形成されたdipolefieldの値が表示されている。ポンピングホールにより発生するdipolefieldとカップリングホールにより発生するdipolefieldが結合すると、dipolefield成分が相殺されながらquadrupolefieldが主成分であるquadrupoledominantfieldが残るようになる。dipolefield成分が除去されることによって、図4の結果値と比較してエミッタンスが著しく減少されることが分かる。次に、ハウジングに二つの追加的なポンピングホールを形成してquadrupolefieldを除去する方法を説明する。
【0065】
図7は、カップリングホールと3個のポンピングホールが形成されたハウジングを概略的に示す断面図であり、図8は、カップリングホールと3個のポンピングホールが形成されたハウジングの電場を示すグラフである。
【0066】
図7に示すように、ハウジングの上部にカップリングホールが形成され、ハウジングの下部に第1のポンピングホール及び左右側に各々第2のポンピングホール、第3のポンピングホールが形成されている。
【0067】
図8に示すように、カップリングホールにより形成されたdipolefield及び第1、第2、第3のポンピングホールにより形成されたdipolefieldの値が表示されている。第1、第2、第3のポンピングホールにより発生するdipolefieldとカップリングホールにより発生するdipolefieldが結合すると、dipolefield及びquadrupolefieldが相殺される。これによってoctopolefieldが主成分であるoctopoledominantfieldだけ残るようになる。dipolefield及びquadrupolefieldが除去されることによって、図4の結果値と比較してエミッタンスが著しく減少されることが分かる。
【0068】
図9は、本実施例に係る電子ビーム発生装置のシミュレーション装置の配置図である。
【0069】
図9に示すように、電子ビーム発生装置100で電子ビームを排出させ、排出された電子ビームは、通路400を通しながら外側のソレノイド300により集中され、加速カラム(acceleratingcolumn)を通過しながら加速される。空間荷電によるエミッタンス増加を除去するためにソレノイド300とブースターリニアアクセラレータ(boosterlinac)が使われる。このようなシミュレーション条件下で共振空洞のmultipolefieldからのエミッタンス増加は、数学シミュレーションプログラムPARMELAにより計算することができる。
【0070】
図10は、第1の実施例に係る電子ビーム発生装置の斜視図である。
【0071】
図11は、第1の実施例に係る電子ビーム発生装置をx軸に対して垂直に切断した断面図である。
【0072】
図12は、第1の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した断面斜視図である。
【0073】
図10に示すように、本実施例は、第1のハウジング140、第2のハウジング120、ウェーブガード110、ポンピングポート160、及び電子ビーム排出管150を含む。以下、電子ビームの進行方向をz軸で説明する。
【0074】
図11に示すように、第2のハウジング120は、円筒形状に形成されており、電極121、円板124、側壁122を含む。電極121は、図11を基準に第2のハウジング120の右側面に該当する。電極121は、入射されたレーザービームが衝突して電子ビームが発生される部分である。電極121から左側に所定距離離隔されて向かい合う円板124が形成され、前記電極121と円板124を連結する側壁122が形成される。内側には第2の共振空洞123が形成される。連結部130は、曲面部131と連結空洞132を含む。曲面部131は、断面が半円型である環形状に形成され、一側が円板124に結合され、他側の円板141に結合される。連結空洞132は、第1の共振空洞144と第2の共振空洞123を連結する空間である。
【0075】
第1のハウジング140は、円板141、円板143、及び側壁142を含む。円板141は曲面部131と連結され、円板143は前記円板141と向かい合いながら図11を基準に左側に位置し、側壁142は円板141と円板143を連結する。内側には第1の共振空洞144が形成される。第1のハウジング140と第2のハウジング120で構成せずに一つの円筒形ハウジングで構成することもできる。
【0076】
ウェーブガード110は、側壁111、底板113を含む。側壁111は、四角形の箱形状に形成され、下面に底板113が連結される。内側には電磁気波発生部(未図示)で発生された電磁気波を第1の共振空洞144に伝達するために電磁気波空洞112が形成される。底板113には前記電磁気波空洞112と第1の共振空洞144を連通させるようにカップリングホール114が形成され、これは高周波電力を共振空洞に提供するためである。カップリングホール114は、第1の共振空洞144に高周波不均衡を引き起こし、さらに電場不均衡を引き起こすことができる。
【0077】
第1のポンピングポート160は、側壁161、底板164を含む。側壁161の内側には第1のポンピング空洞163が形成される。第1のポンピング空洞163は、第1の共振空洞144の真空度を維持するために真空排気のための空間であり、真空ポンプ(未図示)と連結される部分である。底板164には第1の共振空洞144と第1のポンピング空洞163を連通させる第1のポンピングホール165が形成される。第1のポンピングポート160の第1のポンピングホール165の調整によって2周期成分を除去することができる。
【0078】
電子ビーム排出管150は、側壁151を含む。側壁151は、一側が放射形であり、軟らかい曲面に拡張されながら円板143に結合され、他側には電子ビームが排出されるようにホール154が形成される。ホール154を介してレーザービームが内側にz軸に対して斜めに入射され、前記レーザービームにより発生された電子ビームがホール154を介して排出されることができる。即ち、前記ホール154は、レーザービームが入射される入射ホール、反射されるレーザービームが排出される排出ホール、及び電子ビームが排出される電子ビーム排出ホールの機能を同時にすることができる。
【0079】
他の実施例として、ホール154が1個ではなく3個に形成されることができる。この場合、電子ビーム排出管150、第1のハウジング140または第2のハウジング120の側面部に、一つのホールはレーザービームが入射される入射ホール、他の一つのホールはレーザービームが反射されて排出される排出ホール、残りのホールは電子ビームが排出される電子ビーム排出ホールとして形成されることもできる。
【0080】
図12における電子ビームはZ軸方向に進行する。エミッタンスのビーム動力学計算に使われたフィールドマップは、3D高周波計算機により生成したものである。
【0081】
図13は、第1の実施例に係る電子ビーム発生装置のポンピングホールの形態を示す図面である。
【0082】
図13に示すように、第1のポンピングホール165の長軸長さ(W)と短軸長さ(H)の差がL1である。R1は、第1のポンピングホール165の両端曲面部の半径である。multipolefieldの除去は、L1を調整することによって行われる。
【0083】
図14は、第1の実施例に係る電子ビーム発生装置のL1とフーリエ係数との関係を示す図面である。計算機を使用した数学的分析によって得られたdipolefieldoffsetoscillationは、図14で四角形で表示された部分である。図14の連結線は、数式6により求めるものである。y軸方向の位相分布係数Kyは、このような分析により計算可能である。Kyは10-5のように相対的に小さい値であるため、本実験では無視することができる。
【0084】
ポンピングホールの電場は、減殺モード(evanescentmode)でなければならず、カップリングホールとポンピングホールの各々の境界条件(boundarycondition)が異なるため、より多くの最適化プロセスが必要である。ポンピングホール寸法(L1)の調整によってdipolemodeを最適化するのが可能である。カップリングホールの寸法調整は、共振空洞の共振周波数を変更させるため、共振空洞の寸法調整がより必要である。quadrupolefieldは変わらない反面、最適寸法におけるdipolefieldは図14に示すように減少する。図14に示すように、dipolefield除去過程の以後、quadrupolefieldはdipolefieldより大きいということが分かる。ポンピングホールとカップリングホールに対して90度位置に形成された二つの追加ポンピングホールはquadrupolefieldを効果的に除去することができる。第2の実施例は、単純な円筒形態に形成され、製作が容易な二つの追加ポンピングホールを含む構成である。
【0085】
図15は、第2の実施例に係る電子ビーム発生装置の斜視図である。図16は、第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をx軸に対して垂直に切断した側断面図である。図17は、第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した側断面図である。図18は、第2の実施例に係る電子ビーム発生装置をz軸に対して垂直に切断した断面斜視図である。図16及び図17で第1の実施例と類似の構成に対する重畳した説明は省略する。
【0086】
図17に示すように、第2のポンピングポート270は、側壁271、底板274を含む。内側には第2のポンピング空洞273が形成され、底板274には第2のポンピングホール275が形成される。第3のポンピングポート280は、側壁281、底板284を含む。内側には第3のポンピング空洞283が形成され、底板284には第3のポンピングホール285が形成される。第2のポンピング空洞273と第3のポンピング空洞283は、真空ポンプ(未図示)と連結されて共振空洞の真空度を維持するようになる。
【0087】
図19は、第2の実施例に係る電子ビーム発生装置におけるL2とフーリエ係数との関係を示す図面である。ここで、第1のポンピングホール165、第2のポンピングホール275及び第3のポンピングホール285のL2が全部同一寸法であり、L1は11.65に固定されており、三個のポンピングホールのL2を同一に変更しながら測定した。他の実施例として、第1のポンピングホール165、第2のポンピングホール275及び第3のポンピングホール285の各々のL2数値を異にしながら最適の条件をさがすこともできる。
【0088】
図19に示すように、dipolefieldとquadrupolefieldが同時に最小化される最適の条件をさがすことができる。しかし、三個のポンピングホールのL2が11.4〜11.5ミリメートルの場合、高次フィールドが増加する傾向がある。dipolefieldとquadrupolefieldは、略1/10倍〜1/100倍程度に減少される。図19の左側にはdipolefieldを除去する前のL2の値とdipolefieldを除去した後のL2の値を示した。これによって、dipolefield除去過程によってdipolefieldは相当減少されるが、quadrupolefieldには大きい影響を与えないということが分かる。
【0089】
図20は、第1の実施例及び第2の実施例において電場の角度分布を示す図面である。
【0090】
図20に示すように、角度による電場の偏差は、略L2が11.4〜11.6範囲で相当部分除去されることが分かる。このような結果から、高次multipolefieldはほとんど除去されることが分かる。
【0091】
dipolefield及びquadrupolefieldが最小化されるL2の条件は、図19に示すように少しの差がある。このような場合、ビーム動力学シミュレーションでエミッタンスが最小化される条件をquadrupolefield最適化条件と判断するのが好ましい。本実施例でsextupolemodeとoctupolemodeは有意味に増加しなかった。
【0092】
図21は、第2の実施例においてz軸に対するy軸方向の標準化エミッタンスに対するシミュレーション結果を示す図面である。
【0093】
四角形部分は、カップリングホールとポンピングホールがない理想的な場合を示す。図21の三角形部分は、dipolefield除去過程による結果を示す。図21の円は、dipolefieldとquadrupolefield除去の場合を示す。
【0094】
BNLGUN-IIIを使用した場合はダイアモンドで表示した。BNLGUN-III(BNL/SLAC/UCLA1.6cellS-band光陰極高周波電子銃)は、韓国浦項工大の加速機研究所で使われているモデルである。
【0095】
図21に示すように、理想的な場合にはPARMELAシミュレーションによると最小横方向実効エミッタンスが略0.53mm-mradであり、この場合、図21に四角形で表示したように、高次のmultipolefieldは現れなかった。調整する以前の場合には、図21にダイアモンドで表示したように略1.65mm-mradであり、これは理想的な場合より3倍以上大きい値である。
【0096】
前記dipolefield除去過程は、図21に三角形で表示したように、横方向実効エミッタンスを略0.98mm-mradまで減少させることができる。結局、dipolefield除去過程によってエミッタンスを略40%程度減少させることができる。dipolefieldとquadrupolefieldの最適化過程の場合、図21に円で表示したように、エミッタンスは略0.60mm-mradである。このような最適化条件でエミッタンスは、単純にBNLGUN-IIIを使用した場合より略60%減少された。
【0097】
以下、本実施例に係る電子ビーム発生装置を用いた電子ビーム発生方法に対して説明する。
【0098】
まず、ホール154、254を介して前記電子ビーム発生装置の内側にレーザービームが入射される段階が実施されることができる。
【0099】
次に、入射された前記レーザービームによって前記電子ビーム発生装置の内側で発生された電子ビームが前記ホール154、254を介して排出する段階が実施されることができる。
【0100】
他の実施例として、ホールが1個ではなく3個に形成されることができる。
【0101】
この場合、電子ビーム排出管、第1のハウジングまたは第2のハウジングの側面部に、一つのホールはレーザービームが入射される入射ホール、他の一つのホールはレーザービームが反射されて排出する排出ホール、残りのホールは電子ビームが排出される電子ビーム排出ホールとして形成されることもできる。
【0102】
前記電子ビームが排出される段階は、ウェーブガードに入射される電磁気波によって前記電子ビームが加速されながら排出する段階であってもよい。
【0103】
以上で説明され、図面に示した本発明の一実施例は、本発明の技術的思想を限定すると解釈されてはならない。本発明の保護範囲は、請求範囲に記載された事項に限って制限され、本発明の技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想を多様な形態に改良変更するのが可能である。従って、このような改良及び変更は、通常の知識を有する者に自明な場合、本発明の保護範囲に属するようになる。
【符号の説明】
【0104】
100 電子ビーム発生装置
110 ウェーブガード
120 第2のハウジング
140 第1のハウジング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームが生成される後面部と、生成された前記電子ビームが外部に排出されるように電子ビーム排出ホールが形成された前面部と、前記後面部と前記前面部を連結する側面部と、を含み、前記側面部には第1のホールが形成され、前記第1のホールにより誘発される電場不均衡を減少させるように前記第1のホールと向かい合う反対側側面部に第2のホールが形成されたハウジング;及び、
前記第1のホールを介して前記ハウジング内部に電磁気波を供給するように前記側面部に設置されるウェーブガード;を含み、
前記ハウジング内部に入射されたレーザーによって前記電子ビームが生成され、前記ハウジング内部に供給された電磁気波によって前記電子ビームが加速される電子ビーム発生装置。
【請求項2】
前記前面部を介してレーザーが前記ハウジング内部に入射されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項3】
前記第2のホールを介して前記ハウジング内部の空気を排出することによって前記ハウジング内部に真空を形成することができるように前記側面部に設置される第1のポンピングポートをさらに含む請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項4】
前記第2のホールは、前記第1のホールと形状が異なることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項5】
前記第2のホールは、一側方向に延長されたホールの形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項6】
前記第2のホールは、実質的に楕円形またはレーストラック(racetrack)形態に形成されることを特徴とする請求項5に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項7】
前記側面部は、第1の側面部と第2の側面部を含み、前記前面部は、前記第1の側面部に結合され、前記第1の側面部と前記第2の側面部は連結部により連結され、前記第2の側面部は、前記後面部に結合され、
前記第1のホール及び前記第2のホールは、前記第1のハウジングまたは前記第2のハウジングに形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項8】
前記ハウジングには、レーザーが前記ハウジング内部に入射される入射ホールと、前記ハウジング内部で反射されたレーザーが排出される排出ホールが形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項9】
前記電子ビーム排出ホールを介してレーザーが入射され、前記後面部で反射されたレーザーが前記電子ビーム排出ホールを介して排出されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項10】
前記第1のホールにより誘発される電場不均衡を減少させるように前記ハウジングの前記側面部に前記第1のホールと前記第2のホールとの中間に第3のホールが形成され、前記第3のホールと向かい合う反対側側面部に第4のホールが形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項11】
前記第3のホールと前記第4のホールは、一側方向に延長されたホールの形状に形成されることを特徴とする請求項10に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項12】
前記第3のホールと前記第4のホールは、実質的に楕円形またはレーストラック(racetrack)形態に形成されることを特徴とする請求項11に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項13】
前記第2乃至第4のホールは、同一形状に形成されることを特徴とする請求項10に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項14】
前記第3のホールが形成された位置に第2のポンピングポートが設置され、前記第4のホールが形成された位置に第3のポンピングポートが設置されることを特徴とする請求項10に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項1】
電子ビームが生成される後面部と、生成された前記電子ビームが外部に排出されるように電子ビーム排出ホールが形成された前面部と、前記後面部と前記前面部を連結する側面部と、を含み、前記側面部には第1のホールが形成され、前記第1のホールにより誘発される電場不均衡を減少させるように前記第1のホールと向かい合う反対側側面部に第2のホールが形成されたハウジング;及び、
前記第1のホールを介して前記ハウジング内部に電磁気波を供給するように前記側面部に設置されるウェーブガード;を含み、
前記ハウジング内部に入射されたレーザーによって前記電子ビームが生成され、前記ハウジング内部に供給された電磁気波によって前記電子ビームが加速される電子ビーム発生装置。
【請求項2】
前記前面部を介してレーザーが前記ハウジング内部に入射されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項3】
前記第2のホールを介して前記ハウジング内部の空気を排出することによって前記ハウジング内部に真空を形成することができるように前記側面部に設置される第1のポンピングポートをさらに含む請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項4】
前記第2のホールは、前記第1のホールと形状が異なることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項5】
前記第2のホールは、一側方向に延長されたホールの形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項6】
前記第2のホールは、実質的に楕円形またはレーストラック(racetrack)形態に形成されることを特徴とする請求項5に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項7】
前記側面部は、第1の側面部と第2の側面部を含み、前記前面部は、前記第1の側面部に結合され、前記第1の側面部と前記第2の側面部は連結部により連結され、前記第2の側面部は、前記後面部に結合され、
前記第1のホール及び前記第2のホールは、前記第1のハウジングまたは前記第2のハウジングに形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項8】
前記ハウジングには、レーザーが前記ハウジング内部に入射される入射ホールと、前記ハウジング内部で反射されたレーザーが排出される排出ホールが形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項9】
前記電子ビーム排出ホールを介してレーザーが入射され、前記後面部で反射されたレーザーが前記電子ビーム排出ホールを介して排出されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項10】
前記第1のホールにより誘発される電場不均衡を減少させるように前記ハウジングの前記側面部に前記第1のホールと前記第2のホールとの中間に第3のホールが形成され、前記第3のホールと向かい合う反対側側面部に第4のホールが形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項11】
前記第3のホールと前記第4のホールは、一側方向に延長されたホールの形状に形成されることを特徴とする請求項10に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項12】
前記第3のホールと前記第4のホールは、実質的に楕円形またはレーストラック(racetrack)形態に形成されることを特徴とする請求項11に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項13】
前記第2乃至第4のホールは、同一形状に形成されることを特徴とする請求項10に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項14】
前記第3のホールが形成された位置に第2のポンピングポートが設置され、前記第4のホールが形成された位置に第3のポンピングポートが設置されることを特徴とする請求項10に記載の電子ビーム発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2012−506122(P2012−506122A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532032(P2011−532032)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/KR2010/005236
【国際公開番号】WO2011/021802
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(511096031)ポステック アカデミー−インダストリー ファウンデーション (1)
【氏名又は名称原語表記】POSTECH ACADEMY−INDUSTRY FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】San31 Hyoja−dong,Nam−gu Pohang−si,Gyeongsangbuk−do 790−784 Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/KR2010/005236
【国際公開番号】WO2011/021802
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(511096031)ポステック アカデミー−インダストリー ファウンデーション (1)
【氏名又は名称原語表記】POSTECH ACADEMY−INDUSTRY FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】San31 Hyoja−dong,Nam−gu Pohang−si,Gyeongsangbuk−do 790−784 Korea
【Fターム(参考)】
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