説明

電子メールシステム

【課題】社外から社内のイントラネットへアクセスする煩雑さを解消することができる電子メールシステムを提供する。
【解決手段】ネットワークを介して電子メールを送受信する電子メールシステムであって、ユーザが社内に居るかあるいは社外に居るかの情報と、該ユーザの携帯電話番号とを格納したユーザ情報データベースと、任意のユーザ宛ての電子メールを受信したとき、ユーザ情報データベースを参照して、該ユーザが社外に居ると判定された場合に、メール内容を音声変換して出力する音声出力部と、音声変換されたメール内容を、ユーザ情報データベースを参照して該ユーザの携帯電話に対して発信する通話発信部と、を備える電子メールシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子メールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
会社内で使用されている電子メールシステムでは、通常は、企業内に構築されたネットワーク(イントラネット)に接続されているパソコンを介して、閲覧が行われている。
【0003】
電子メールシステムに関しては、メール内容を音声で連絡できるようにした電子メールシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
外出先等、パソコンを使用できない環境下では、携帯電話にインストールされたブラウザから社内の電子メールシステムに接続し、自分宛てのメールを閲覧したり、返信や転送等の処理が行われる。
【0005】
しかしながら、携帯電話などのブラウザを使用する場合、バッテリーの消費量が多いため頻繁に見ることができない、社内のインフラのウェブページにアクセスし、ユーザIDやパスワードを入力する手間がかかる、携帯電話網の帯域が限られているため、閲覧するのに時間がかかる、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−32042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、社外から社内のイントラネットへアクセスする煩雑さを解消することができる電子メールシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の電子メールシステムは、ネットワークを介して電子メールを送受信する電子メールシステムであって、ユーザが社内に居るかあるいは社外に居るかの情報と、該ユーザの携帯電話番号とを格納したユーザ情報データベースと、任意のユーザ宛ての電子メールを受信したとき、前記ユーザ情報データベースを参照して、該ユーザが社外に居ると判定された場合に、前記メール内容を音声変換して出力する音声出力部と、前記音声変換された前記メール内容を、前記ユーザ情報データベースを参照して該ユーザの携帯電話に対して発信する通話発信部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る電子メールシステムの構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】実施形態に係る電子メールシステムにおける処理内容を表すブロック図である。
【図3】実施形態における電子メール確認処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る電子メールシステムの構成の一例を示すシステム構成図である。また、図2は、実施形態に係る電子メールシステムにおける処理内容を表すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、インターネット網10がゲートウエイ20を介して、社内のイントラネット網30に接続されている。また、携帯電話40は基地局50を経由して公衆網60に接続している。公衆網60は、IP−PBX70を介して社内のイントラネット網30に接続されている。
【0013】
インターネット網10は、専用の回線で接続されたネットワークの集合体であって、一般回線・ISDN回線・携帯電話回線などを使って、プロバイダのアクセスポイントに繋いで、接続する。
【0014】
ゲートウエイ20は、ネットワーク間の接続を中継する機器、またはソフトウェアである。異なるネットワーク間のプロトコルの違いを吸収したり、ウィルスチェックを行うために通す。
【0015】
イントラネット網30は、WWW(World Wide Web)、電子メール、掲示板・電子会議室、ファイル転送、暗号化・認証等のインターネット技術を活用して様々な情報の共有と交換を行う内部情報システムである。
【0016】
基地局50は、無線端末との間で無線通信を行うための装置である。付随する建造物とその設置場所を指すこともある。
【0017】
公衆網60は、公衆電話網であっても、IP網であっても良いし、公衆無線通信網であっても構わない。
【0018】
IP−PBX70は、構内交換機であって、公衆網60と接続されている。IP−PBX70は、社内のイントラネット網30からユーザの電話機40への通信等を中継する機能を果たしている。
【0019】
また、社内のイントラネット網30には、電子メールシステムの受信部80、音声合成処理部90、Webサーバ100、PC(Personal Computer)110が接続されている。
【0020】
電子メールシステムの受信部80は、電子メール処理判定部81、受信BOX82、音声合成送信部83を備えている。電子メール処理判定部81は、電子メールを受信する毎に電子メールの宛先を識別し、受信BOX82に格納するとともに、当該受信メール内から各種の情報を取得し、メール管理ファイル(図示しない)にて管理する。メール管理ファイルには、例えば、差出人メールアドレス、宛先メールアドレス、件名、メール本文、開封フラグ、等の項目から成る情報が書き込まれる。受信BOX82は、電子メールシステムの個々のユーザ宛ての受信メールを保管するものである。電子メールの宛先(受取人)が後述するように社内に居る場合と、社外に居る場合とで、電子メールの処理が異なる。宛先(受取人)が社内に居るあるいは社外に居るとの情報は、電子メール処理判定部81に保持されている。電子メール処理判定部81には、宛先(受取人)が社外に居る場合の連絡先として、携帯電話番号等が登録されている。
【0021】
宛先(受取人)が社内に居る場合には、当該電子メールは受信BOX82に格納されるが、社外に居る場合には、電子メールシステムの受信部80は電子メール処理判定部81を参照し、音声合成送信部83を介して電子メールや、携帯番号を音声合成処理部90に向けて送出する。送信されてくる電子メールに対して、ユーザ毎にフィルタリングを掛けて、いわゆるジャンクメールは受信しないように設定するのが好適である。なお、このようなフィルタリング設定は、電子メール処理判定部81に登録される。
【0022】
音声合成処理部90は、受信部91と、音声合成エンジン92と、送信部93を備えている。受信部91は、音声合成送信部83から電子メールや、携帯番号を受信する。受信した電子メールは音声合成エンジン92に送られ、テキスト情報だった電子メールが音声合成される。音声合成エンジン92で音声合成された音声情報は受信部91に送られる。受信部91は、音声情報と携帯番号を送信部93に通知する。送信部93は、IP−PBX70に対して、宛先(受取人)へ発信依頼を行う。
【0023】
一般的に、電子メールは漢字かな混じり文であり、これを音声データに変換する作業が、テキスト音声合成である。音声データへの変換処理は大きく分けて、漢字かな混じり文を解析して漢字に対する読みやアクセント、ポーズを付与する「テキスト解析処理」と、それらの情報に基づいて音声を生成する「音声合成処理」から成っている。
【0024】
「テキスト解析処理」は、音声にするための文章を指定したときに、その文章に対してもっとも適した読みやアクセントを決定する処理である。正しい読みやアクセントを得るためには前後の文脈なども考慮する。そこで、単語辞書を用いて、連接する単語の文法的接続関係を手がかりに高精度な読み/アクセント/ポーズ付与を行う。
【0025】
「音声合成処理」は、テキスト解析処理の結果を実際の音声データに変換する処理である。合成音声特有の機械音らしさを軽減するため、例えば、アナウンサーによる収録音声データを使用すること、また音質の劣化防止、ノイズ防止に有効な波形重畳方式を用いることが好適である。上述したように、電子メールの全てを1つにして音声変換する必要はなく、タイトルや、送信元情報や、メール要部等に分けて音声変換することもできる。
【0026】
Webサーバ100は、電子メール処理判定部81での処理内容に関する各種設定を行えるようになっている。本実施形態では、社内イントラネット網に接続されているPC110より、ユーザが社内に居るか社外に居るかを設定することによって、当該ユーザ宛てに送信されてきた電子メールの処理方法を変更することが可能である。
【0027】
ユーザが社内に居るか社外に居るかの設定は、例えば、PC110のブラウザから社内のWebサーバ100にアクセスし、社内/社外を設定し、Webサーバ100から電子メールシステムの電子メール処理判定部81へ更新をかけることによって行うことができる。また、社内/社外を設定した時間も登録しておくのが好適である。“社外”の設定直後は、移動中であることが多い。そこで、“社外”に居るとの設定を行ってから所定時間経過後に、後述する電子メールを音声変換して携帯電話へ送信することも可能となる。
【0028】
電子メールは、社外のインターネット10や社内のイントラネット網30から送られてくる。送られてきた電子メールは、個人のID毎に管理された受信メールBOX82へ保管される。会社のPC110などから自分宛に送られてきた電子メールを、上記受信メールBOX82からメールクライアント(図示しない)が受信しメールを閲覧する。
【0029】
図2は、実施形態に係る電子メールシステムにおける処理内容を表すブロック図である。
【0030】
社内のイントラネット網30に接続している電子メールシステムの受信部80が、送られてきた電子メールを受け取り、電子メールの宛先(受取人)を確認する。その後、その宛先(受取人)が社内に居るか社外に居るかの情報を、電子メール処理判定部81にアクセスして取得する。
【0031】
宛先(受取人)が社内に居る場合は、宛先(受取人)の受信メールBOX82へ受信メールを格納する。宛先(受取人)が例えば営業中で、社外に居る場合は、宛先(受取人)宛先の携帯電話番号と受信したメールを音声合成処理部90に渡す。宛先が社外に居る場合、受信したメールを音声合成処理部90に渡すだけでなく、併せて受信メールBOX82に格納するようにしてもよい。
【0032】
音声合成処理部90は、電子メールの発信元とメールの内容に対して、音声合成処理を実施し音声化する。電子メールは、全ての部分を音声変換する必要はなく、例えば、電子メールのタイトルだけでも、要約部だけでもよい。
【0033】
音声合成処理部90の送信部93は、送信すべき音声と携帯電話番号の情報を受信部91から取得し、IP−PBX70へ送信する。IP−PBX70は、携帯電話40へ発信し、音声合成処理をかけた電子メールの内容を送話する。尚、当該音声化された電子メールは、繰り返し聞くことが出来るようにするのが好適である。
【0034】
次に、社外にいる受取人による電子メールの確認の仕方について説明する。図3は、実施形態における電子メール確認処理の流れを示したフローチャートである。
【0035】
まず、電子メールシステムから、受取人の携帯電話に着信がある(ステップS31)。次に、オフフック、すなわち電話回線の接続が可能か否かを判定する(ステップS32)。オフフックされれば(ステップS32でYes)、社外にいる受取人は電子メールの内容を聞く(ステップS33)。
【0036】
一方、オフフックされなければ(ステップS32でNo)、携帯電話の留守録へ録音する(ステップS34)。その後、社外にいる受取人は、録音された音声を聞くことができる(ステップS35)。尚、当該音声は繰り返し聞くことが出来るようにするのが好適である。
【0037】
従来は、能動的に携帯電話のブラウザにて社内の電子メールアドレス閲覧用のURLへアクセスし、ユーザID及びパスワードの入力を行ってログインし、それからメールの一覧を表示し、ようやく目的とする自分宛てのメールを表示する必要があった。
【0038】
それに対して、本実施形態では、携帯電話の通常の通話と同様の処理となるため、リアルタイムに電子メールの内容を確認することができ、また煩わしい操作も不要となる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、社外から自分宛の電子メールを確認するのにWebから社内の電子メールシステムにアクセスするのではなく、音声合成技術を使用して電子メールのテキストを音声で読み上げることによって、煩わしい社内のイントラへアクセスする手間や閲覧するのに時間がかかると言った問題点を解決することができる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
10・・・インターネット網
20・・・ゲートウエイ、
30・・・社内イントラネット網、
40・・・携帯電話、
50・・・基地局、
60・・・公衆網、
70・・・IP−PBX、
80・・・電子メールシステム受信部、
90・・・音声合成処理部、
100・・・Webサーバ、
110・・・PC。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して電子メールを送受信する電子メールシステムであって、
ユーザが社内に居るかあるいは社外に居るかの情報と、該ユーザの携帯電話番号とを格納されるユーザ情報データベースと、
任意のユーザ宛ての電子メールを受信した場合、前記ユーザ情報データベースを参照して、該ユーザが社外に居るか社内に居るかを判定し、該ユーザが社外にいると判定された場合に、前記電子メールの内容を音声変換して出力する音声出力部と、
前記音声変換された前記電子メールの内容を、前記ユーザ情報データベースを参照して該ユーザの携帯電話に対して発信する通話発信部と、
を備える電子メールシステム。
【請求項2】
前記電子メールシステムの受信部は、イントラネット網に接続される請求項1記載の電子メールシステム。
【請求項3】
前記ユーザ情報データベースは、社内に設けるウエブサーバに構築される請求項1又は請求項2記載の電子メールシステム。
【請求項4】
前記電子メールのタイトル、送信元情報、メール要部のいずれかを音声変換する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子メールシステム。
【請求項5】
前記ユーザの携帯電話がオフフックされなければ、該携帯電話の留守録へ録音する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子メールシステム。
【請求項6】
前記音声出力部は、フィルタリングされた前記電子メールについて音声変換して出力する請求項1に記載の電子メールシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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