電子メール処理装置
【課題】電子メールの処理に時間がかかった場合であっても、同一の処理の実行を回避する。
【解決手段】通信制御部102aは、受信メールがすでにメール格納部103cに格納されている状態で、メールサーバ2から新たに他の電子メールを受信する場合に、すでにメール格納部に格納されている受信メールを先受信メールとし、新たに受信する他の電子メールを後受信メールとしてメール格納部に格納する。一方、判別部102bは、後受信メールが先受信メールと同じものか否かを判別して、同じものである場合に、メール格納部に格納された後受信メールを削除するとともに、メール削除指示部102dに、後受信メールに相当する他の電子メールの削除指示をメールサーバへ送信させる。
【解決手段】通信制御部102aは、受信メールがすでにメール格納部103cに格納されている状態で、メールサーバ2から新たに他の電子メールを受信する場合に、すでにメール格納部に格納されている受信メールを先受信メールとし、新たに受信する他の電子メールを後受信メールとしてメール格納部に格納する。一方、判別部102bは、後受信メールが先受信メールと同じものか否かを判別して、同じものである場合に、メール格納部に格納された後受信メールを削除するとともに、メール削除指示部102dに、後受信メールに相当する他の電子メールの削除指示をメールサーバへ送信させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ等の電子メールを受信して処理する電子メール処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データ等を電子メールとしてメールサーバから受信して印刷する装置(以下、「電子メール処理装置」と称する)において、印刷が終了するまでメールサーバに電子メールの削除指示を送信しない装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−152450号公報(図3、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子メール処理装置は、電子メールの処理に所定以上の時間がかかった場合に、同一の処理(例えば、電子メールの印刷処理や電子メールの他の装置への転送処理等)を重複して実行するときがあるという課題があった。
【0005】
すなわち、電子メール処理装置は、例えば、電子メールの印刷処理中に、用紙詰まり等の障害が発生する場合がある。また、電子メール処理装置は、例えば、電子メールの他の装置への転送処理中に、通信障害が発生する場合がある。電子メール処理装置は、これらのように各種の障害が電子メールの処理中に発生した場合に、所定以上の時間が経過しても、受信メールの処理を終了できないときがある。
このとき、従来の電子メール処理装置は、メールサーバに対して、所定の間隔で電子メールの送信を要求する。メールサーバは、この送信要求に応答して、同一の電子メールを電子メール処理装置に再度送信する。そのため、従来の電子メール処理装置は、同一内容の複数の電子メールを格納部に格納する。
【0006】
従来の電子メール処理装置は、格納部に格納された同一内容の複数の電子メールに対して、処理を順次実行する。その結果、従来の電子メール処理装置は、同一の処理(すなわち、同一内容の複数の電子メールの印刷処理や、同一内容の複数の電子メールの他の装置への転送処理等)を重複して実行していた。
これにより、従来の電子メール処理装置は、用紙等の資源を無駄に消費したり、又は、制御部の性能が無駄な処理の実行による負荷の発生で一時的に低下していた。
【0007】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、電子メールの処理に所定以上の時間がかかった場合であっても、同一の処理の実行を回避する電子メール処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、電子メール処理装置であって、メールサーバに対して、所定の間隔で電子メールの送信を要求し、当該送信要求に応答して当該メールサーバから送信された前記電子メールを受信メールとして受信する通信制御部と、前記通信制御部によって受信された前記受信メールを格納するメール格納部と、前記通信制御部によって受信された前記受信メールの固有情報及び処理内容を判別する判別部と、前記メール格納部に格納された前記受信メールに対して、前記判別部によって判別された前記処理内容の処理を実行する処理実行部と、前記処理実行部によって処理が実行された受信メールに相当する前記電子メールの削除指示を前記メールサーバに送信するメール削除指示部とを備え、前記通信制御部は、前記受信メールがすでに前記メール格納部に格納されている状態で、前記メールサーバから新たに他の電子メールを受信する場合に、すでに前記メール格納部に格納されている前記受信メールを先受信メールとし、当該新たに受信する他の電子メールを後受信メールとして前記メール格納部に格納し、前記判別部は、前記後受信メールが前記先受信メールと同じものか否かを判別して、同じものである場合に、前記メール格納部に格納された前記後受信メールを削除するとともに、前記メール削除指示部に、前記後受信メールに相当する前記他の電子メールの削除指示を前記メールサーバへ送信させることを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、電子メールの処理に所定以上の時間がかかった場合であっても、同一の処理の実行を回避する電子メール処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1に係る電子メール処理装置と他の装置との接続関係を示す図である。
【図2】実施形態1に係る電子メール処理装置の構成ブロック図である。
【図3】電子メール処理装置の制御部の構成ブロック図である。
【図4】メールの固有情報の一例を示す図である。
【図5】実施形態1に係る電子メール処理装置の動作の説明図である。
【図6】実施形態1に係る電子メール処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】電子メール処理装置宛てのメールの一例を示す図(1)である。
【図8】電子メール処理装置宛てのメールの一例を示す図(2)である。
【図9】電子メール処理装置のメール受信時の通信例を示す図(1)である。
【図10】電子メール処理装置のメール受信時の通信例を示す図(2)である。
【図11】判別条件情報の一例を示す図である。
【図12】実施形態2に係る電子メール処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ、及び、配置関係を、本発明を理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
[実施形態1]
<電子メール処理装置の構成>
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態1に係る電子メール処理装置の構成につき説明する。なお、図1は、実施形態1に係る電子メール処理装置と他の装置との接続関係を示す図である。図2は、実施形態1に係る電子メール処理装置の構成ブロック図である。図3は、電子メール処理装置の制御部の構成ブロック図である。
【0013】
ここでは、本実施形態1に係る電子メール処理装置として、MFPを用いて説明する。なお、「MFP」とは、Multi Function Printer(又はProduct)の略称で、プリンタにファクシミリ機能やスキャナ機能、コピー機能等を付加した装置である。
MFPは、メールサーバから電子メール(以下、「メール」と称する)を受信する機能を備えている。MFPは、メールサーバからメールを受信すると、これに応答して、メールに対して、所定の処理(例えば、印刷処理や、ファイルサーバ等の他の装置への転送処理等)を実行する。なお、処理内容は、メールの送信元に応じて予め設定されている。処理内容を規定する判別条件は、例えば、後記する判別条件格納部103b(図2参照)に予め格納されている。
【0014】
(電子メール処理装置と他の装置との接続関係)
まず、図1を参照して、電子メール処理装置と他の装置との接続関係につき説明する。
図1に示すように、2つのLAN5及びLAN6は、インターネット7を介して接続されている。一方のLAN5には、本実施形態1に係る電子メール処理装置であるMFP1、メールサーバ2、ファイルサーバ4が接続されている。また、他方のLAN6には、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)3が接続されている。なお、2つの装置間の通信は、受信側の装置が通信によって受信したデータを格納部に一旦格納し、その後に、データを格納部から読み出すことによって、行われる。以下、この点については、情報処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
【0015】
MFP1とPC3とは、それぞれ、固有のメールアドレスが設定されている。ここでは、MFP1のメールアドレスを「printer@example.com」とし、PC3のメールアドレスを「user1@example.com」であるものとして説明する。MFP1とPC3は、それぞれ、メールサーバ2を介して、互いの間で、メールを送受信するための設定がなされている。
【0016】
PC3は、メールサーバ2を介して、メールを「printer@example.com」宛てに送信する。
一方、MFP1は、メールサーバ2を介して、PC3からメールを受信する。このとき、MFP1は、まず、メールの送信元のアドレス(ここでは、PC3のアドレス「user1@example.com」)を判別し、次に、メールに対する処理内容を判別する。なお、メールに対する処理内容は、前記した通り、メールの送信元に応じて予め設定されている。そのため、MFP1は、メールの送信元のアドレスを判別することにより、メールに対する処理内容(すなわち、メールに対してどのような処理を実行するのか)も判別できる。MFP1は、メールに対する処理内容を判別すると、メールに対して、判別した処理内容の処理を実施する。なお、仮に、処理内容が設定されていない送信元からメールを受信した場合に、MFP1は、定常処理として予め定められた処理(例えば、印刷処理)を実行する。
【0017】
(電子メール処理装置の全体の構成)
次に、図2を参照して、MFP1の全体の構成につき説明する。
図2に示すように、MFP1は、受信部101、制御部102、格納部103、印刷部104、及び、送信部105を有している。これらの各構成要素は、それぞれ、図示せぬバスによって接続されている。
【0018】
受信部101は、他の装置(例えば、メールサーバ2や、PC3、ファイルサーバ4等)からメールを含む各種のデータを受信するためのインタフェースである。
受信部101は、LAN5(図1参照)に接続されており、LAN5を経由して、例えば、メールサーバ2からメールを受信する。このとき、受信部101は、POP3(Post Office Protocol Version3)やIMAP(Internet Massage Access Protocol)等の通信プロトコルを用いて、メールを受信する。
また、受信部101は、図示せぬバスによって、制御部102と接続されている。受信部101は、メールサーバ2からメールを受信すると、これに応答して、メールサーバ2との通信によって取得されたメールの固有情報110(図4参照)と、受信したメールとを、制御部102に出力する。
【0019】
制御部102は、装置の動作を制御する機能手段である。制御部102は、CPUによって構成されている。なお、制御部102の構成については、図3を参照して後記する。
【0020】
格納部103は、各種のプログラムやデータを格納する格納手段である。格納部103は、RAMによって構成されている。格納部103は、好ましくは、NVRAM(Non−volatile RAM)によって構成されるとよい。なお、「NVRAM」とは、SRAMに電源を供給する電池をSRAMに内蔵し、若しくは、SRAMの外部に配置することにより、SRAMに主電源が供給されない間も記憶情報を保持する仕組みとなっている不揮発メモリである。
【0021】
格納部103は、固有情報格納部103a、判別条件格納部103b、及び、メール格納部103cを備えている。なお、格納部103の一部(例えば、固有情報格納部103a等)は、ROMによって構成されていてもよい。
【0022】
固有情報格納部103aは、メールの固有情報110(図4参照)が格納される格納領域である。固有情報格納部103aは、制御部102から出力されるメールの固有情報110を読み出し自在に格納する。固有情報格納部103aに格納されたメールの固有情報110は、送信部105に出力されて、他の装置への転送処理に用いられる。なお、図4は、メールの固有情報の一例を示す図である。図4に示す例では、メールの固有情報110は、各メールのメール本文に設定された固有の番号を表す情報(以下、「メッセージ番号」と称する)110aの値110bとして、「1」が割り付けられている。
【0023】
判別条件格納部103bは、各メールの処理内容を判別するための条件を規定する情報(以下、「判別条件情報」と称する)190(図11参照)が予め格納される格納部である。なお、図11は、判別条件情報の一例を示す図である。制御部102の判別部102b(図3参照)は、判別条件格納部103bに予め格納された判別条件情報190に基づいて各メールの処理内容を判別する。図11に示す例では、判別条件情報190は、各メールの送信元を表す情報(以下、「From情報」と称する)191と各メールの処理内容を表す情報(以下、「処理内容情報」と称する)192とが組み合わされた構成となっている。判別部102bは、From情報191が「user1@example.com」となっているメールに対して、処理内容を印刷処理と判別する。また、判別部102bは、From情報191が「user2@example.com」となっているメールに対して、処理内容をファイルサーバへの転送処理と判別する。
【0024】
メール格納部103cは、メールサーバ2から受信された各メールが読み出し自在に格納される格納領域である。メール格納部103cに格納された各メールは、印刷部104に出力されて印刷処理に供されたり、又は、送信部105に出力されて他の装置への転送処理に供される。
【0025】
印刷部104は、メールを印刷する構成要素である。印刷部104は、メールの印刷処理が終了すると、これに応答して、印刷終了の通知を制御部102に出力する。制御部102は、印刷終了の通知を、送信部105を介して、メールサーバ2に送信する。
【0026】
送信部105は、他の装置(例えば、メールサーバ2や、PC3、ファイルサーバ4等)へメールを含む各種のデータを送信するためのインタフェースである。
送信部105は、LAN5に接続されており、LAN5を経由して、例えば、メールの削除指示をメールサーバ2に送信する。
【0027】
(電子メール処理装置の制御部の構成)
次に、図3を参照して、MFP1の制御部102の構成につき説明する。
図3に示すように、制御部102は、通信制御部102a、判別部102b、処理実行部102c、及び、メール削除指示部102dとして機能している。制御部102は、図示せぬROMに格納された制御プログラムを実行することにより、これらの各機能手段を実現する。
【0028】
通信制御部102aは、他の装置との間で行われる通信を制御する機能手段である。通信制御部102aは、メールサーバ2(図1参照)に対して、所定の間隔でメールの送信を要求し、この送信要求に応答してメールサーバ2から送信されたメールを受信する。以下、メールサーバ2から受信したメールを、「受信メール」と称する場合もある。通信制御部102aは、メールサーバ2から電子メールを受信したときに、受信した電子メール(すなわち、受信メール)の固有情報(図4参照)を固有情報格納部103aに格納するとともに、受信メールをメール格納部103cに格納する。なお、メール格納部103cに格納された受信メールは、処理実行部102cによって所定の処理が実行されると、削除される。
【0029】
判別部102bは、通信制御部102aによって受信された受信メールの固有情報(図4参照)及び処理内容を判別する機能手段である。なお、処理内容は、前記した通り、メールの送信元に応じて予め設定されている。判別部102bは、メールの送信元のアドレスを判別することにより、メールに対する処理内容を判別する。
【0030】
判別部102bの動作の概要は、以下の通りである。すなわち、判別部102bは、受信部101によってメールサーバ2からメールが受信されると、これに応答して、受信メールが処理すべきものであるか否かを判別する。なお、受信メールが処理すべきものであるか否かの判別は、受信メールの固有情報と後記する固有情報格納部103aに保存された固有情報とを用いて行われる。判別部102bは、受信メールが処理すべきものである場合に、受信メールの処理内容を判別する。なお、処理内容の設定は、前記した通り、判別条件格納部103bに予め格納されている。判別部102bは、この処理内容の設定に基づいて、受信メールを印刷するか、又は、受信メールをファイルサーバに転送するかを判別する。
【0031】
処理実行部102cは、メール格納部103cに格納された受信メールに対して、判別部102bによって判別された処理内容の処理を実行する機能手段である。処理実行部102cは、メール格納部103cに格納された受信メールに対して処理を実行したときに、固有情報格納部102aに格納されている固有情報の中から、処理実行済みの受信メールの固有情報を削除するとともに、メール格納部103cに格納されている受信メールの中から、処理実行済みの受信メールを削除する。
【0032】
処理実行部102cの動作の概要は、以下の通りである。すなわち、処理実行部102cは、受信メールに対して、判別部102bによって判別された処理内容の処理を実行する。例えば、処理実行部102cは、メールを印刷する場合に、メール格納部103cからメールを読み出して、印刷部104に出力する。一方、処理実行部102cは、メールを他の装置(例えば、ファイルサーバ4(図1参照))へ転送する場合に、メール格納部103cからメールを読み出して、読み出したメールを転送先で用いられているデータ形式に変換し、送信部105を介して転送先へ送信する。また、処理実行部102cは、メールの固有情報を固有情報格納部103aに保存する。
【0033】
メール削除指示部102dは、処理実行部102cによる処理が実行された受信メール(以下、「処理実行済みの受信メール」と称する)の削除指示をメールサーバ2に送信する機能手段である。
【0034】
メール削除指示部102dの動作の概要は、以下の通りである。すなわち、まず、各メールに対する所定の処理(具体的には、印刷処理や、他の装置への転送処理等)が終了した場合に、処理実行部102cが、これを検出して、処理の終了通知をメール削除指示部102dに出力する。メール削除指示部102dは、処理の終了通知を受けると、これに応答して、固有情報格納部103aに保存されているメールの固有情報110(図4参照)を読み出して、読み出した固有情報110に基づいて、処理が終了したメールの削除指示を生成し、さらに、送信部105を介して、生成したメールの削除指示をメールサーバ2に送信する。これによって、削除指示の送信が、行われる。なお、このとき、メール削除指示部102dは、固有情報格納部103aから、削除指示が送信されたメールの固有情報110を削除する。
【0035】
なお、制御部102の一連の動作は、図示せぬROMに読み出し自在に予め格納された制御プログラムによって規定されている。また、制御部102は、図示せぬタイマによって計測される時間に応じて動作する。また、各種の情報は、一旦、格納部(RAM103)に読み出し自在に格納されてから、その後の処理を行う所要の構成要素に出力される。以下、これらの点については、情報処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
【0036】
以上の通り、本実施形態1に係るMFP1は構成される。なお、ここでは、MFP1は、LAN5に接続されているが、LAN以外のネットワークに接続されていて、そのLAN以外のネットワークを介して、メールを送受信するようにしてもよい。
【0037】
<電子メール処理装置の動作>
以下、図5及び図6を参照して、MFP1の動作につき説明する。なお、図5は、実施形態1に係る電子メール処理装置の動作の説明図である。図6は、実施形態1に係る電子メール処理装置の動作を示すフローチャートである。図6は、MFP1がメールサーバ2からメールを受信したときの動作を示している。
【0038】
まず、図5を参照して、メールの処理に所定以上の時間を要する場合の状況につき説明する。図5は、メールの処理に所定以上の時間を要する場合のMFP1の動作を示している。
【0039】
図5に示すように、MFP1は、メールサーバ2からメールを取得する(S305)。このとき、MFP1は、メールの「受信中」状態となり、その「受信中」状態が終了すると、「処理中」状態となる。
【0040】
ここで、「処理中」状態で、紙詰まりが、MFP1に発生したものとする(S310)。この場合に、MFP1は、紙詰まりが解除されるまで、「処理中」状態となり、処理が終了しない。
【0041】
MFP1は、紙詰まりが解除されないままの状態が続くと、次のメールサーバ2からのメールの受信タイミングが到来する(S315)。このとき、メールサーバ2は、MFP1宛ての1乃至複数のメールがあれば(すなわち、MFP1宛ての1乃至複数のメールを図示せぬ格納部に格納していれば)、メールをMFP1に送信する。したがって、このとき、MFP1は、メールサーバ2から1乃至複数のメールを受信(取得)する。以下、このときMFP1がメールサーバ2から受信したメールを、「後受信メール」と称する。なお、「後受信メール」は、MFP1が処理実行中又は処理待ち中の受信メールである。また、以下、MFP1が、メールサーバ2から、処理中のメールを含む後受信メールよりも前に受信したメールを、「先受信メール」と称する。
MFP1は、メールサーバ2から1乃至複数の後受信メールを受信すると、メール格納部103c(図2参照)に格納する。したがって、MFP1は、紙詰まりが解除されなければ、メールサーバ2から後受信メールを順次受信(取得)しては、メール格納部103cに格納する。
【0042】
一方、MFP1は、紙詰まりが解除される(S320)と、処理中のメールの処理の実行を再開して処理を完了させ、さらに、後受信メールに対しても、処理を実行する。
そして、MFP1は、メール格納部103cに格納されているすべてのメールの処理が完了したら、一連の処理を終了する。
【0043】
次に、図6を参照して、MFP1の制御部102の動作の詳細につき説明する。図6は、制御部102の全体の動作を示している。
【0044】
MFP1の制御部102は、所定時間が経過する毎に、処理を開始する。
このとき、まず、制御部102の通信制御部102aは、受信タイミングか否かを判別する(S105)。
【0045】
S105の判別で、受信タイミングでない場合(“No”の場合)に、処理はS105に戻る。この場合、受信タイミングになるまで、通信制御部102aは、S105の判別を繰り返す。
一方、S105の判別で、受信タイミングである場合(“Yes”の場合)に、通信制御部102aは、自装置(MFP1)宛てのメール181(図7参照)がメールサーバ2にあるか否か(すなわち、メールサーバ2の図示せぬ格納部に格納されているか否か)を判別する(S110)。
【0046】
なお、図7は、電子メール処理装置宛てのメールの一例を示す図である。図7は、メールサーバ2がPC3から受信したMFP1宛てのメール181の一例を示している。
【0047】
図7に示す例では、MFP1宛てのメール181の1行目は、メールの送信元のメールアドレスが記述されている。図示例では、メールの送信元のメールアドレスとして、MFPのメールアドレス「user1@example.com」が記述されている。
また、2行目は、メールの宛先のメールアドレスが記述されている。図示例では、メールの宛先のメールアドレスとして、「printer@example.com」が記述されている。
3行目は、メールの件名が記述されている。
4行目は、メールが送信された時刻が記述されている。
5行目は、メールメッセージ固有の識別子が記述されている。
6行目は、メールの形式が記述されている。図示例では、メールの形式として、MIME(Multipurpose Internet Mail Extension)バージョン「1.0」が記述されて。
7行目は、メールのタイプが記述されている。図示例では、メールのタイプとして、テキストで「us−ascii」を使用していることが記述されている。
8行目は、改行コードだけの空行となっている。この空行は、メールのヘッダと本文の境界を示している。
9行目以降の行は、メールの本文が記述されている。
【0048】
S110の判別は、以下のようにして行われる。すなわち、通信制御部102aは、MFP1宛てのメールの有無確認要求(すなわち、MFP1を宛先とするメールの有無の確認処理の実行を要求する指令)を生成して、送信部105を介して、メールサーバ2に送信する。メールサーバ2は、有無確認要求を受信すると、これに応答して、図示せぬ格納部に格納されているメール群の中からMFP1宛てのメール181の有無を確認(検索)して、有無確認結果をMFP1に送信する。
MFP1の通信制御部102aは、受信部101を介して、メールサーバ2から有無確認結果を受信(取得)する。通信制御部102aは、有無確認結果を取得すると、これに応答して、取得したメールの有無確認結果に基づいて、自装置(MFP1)宛てのメール181がメールサーバ2にあるか否かを判別する。
【0049】
S110の判別で、自装置(MFP1)宛てのメールがない場合(“No”の場合)に、MFP1の制御部102は、一連の処理を終了する。
一方、S110の判別で、自装置(MFP1)宛てのメールがある場合(“Yes”の場合)に、通信制御部102aは、送信部105を介して、MFP1宛てのメールの送信要求をメールサーバ2に送信する。メールサーバ2は、送信要求を受信すると、これに応答して、まず、MFP1宛てのメールにメッセージ番号182(図8参照)を割り当てて、メッセージ番号182をMFP1に送信し、続いて、MFP1宛てのメール181(図8参照)をMFP1に送信する。なお、メッセージ番号182の送信の詳細については、図9を参照して後記するMFP1のメール受信時の具体的な通信例で詳述する。
MFP1の通信制御部102aは、受信部101を介して、メールサーバ2から、まず、メッセージ番号182を取得し(S115)、続いて、メッセージ番号182に対応するMFP1宛てのメール181を取得する(S120)。
【0050】
通信制御部102aは、S115及びS120で、メールサーバ2からメッセージ番号182及びMFP1宛てのメール181を取得すると、これに応答して、取得したメッセージ番号182を固有情報格納部103aに格納するとともに、メッセージ番号182とMFP1宛てのメール181とを組み合わせたデータ(以下、「受信メール」と称する)180(図8参照)を生成して、メール格納部103cに格納する。以下、このとき生成されたデータ180を、「受信メール180」と称する。なお、図8は、電子メール処理装置宛てのメールの一例を示す図である。図8は、メール格納部103cに格納された受信メール180の一例を示している。図示例では、受信メール180は、メッセージ番号182の値として、「1」が割り付けられている。一方、MFP1宛てのメール181として、図8に示すメッセージ全体が記述されている。
【0051】
この後、制御部102の判別部102bは、受信メール180がすでに受信済みのメールであるか否か(すなわち、すでにメール格納部103cに同じメールが格納されているか否か)を判別する(S125)。このとき、判別部102bは、受信メール180に含まれているメッセージ番号182(図8参照)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110a(図4参照)の値の中にあるか否かを判別する。
【0052】
S125の判別で、受信メール180に含まれているメッセージ番号182(図8参照)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110a(図4参照)の値の中にある場合に、判別部102bは、すでに格納済みのメールである(Yes)と判別する。この場合、このときの受信メール180は、すでに受信済みのメールを重複して受信した後受信メールとなる。以下、メール格納部103cにすでに格納されている受信メール180を、「先受信メール180a」とし、この後受信メールを、「後受信メール180b」として説明する。
この場合に、判別部102bは、後受信メール180bを破棄(削除)する(S126)。この後、処理はS110に戻る。その結果、制御部102は、S110〜S126の処理を繰り返す。すなわち、制御部102の通信制御部102aが、次のメールを取得するための、MFP1宛てのメールの有無確認要求を、繰り返し行う。
【0053】
一方、S125の判別で、受信メール180に含まれているメッセージ番号182(図8参照)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110aの値110b(図4参照)の中にない場合に、判別部102bは、格納済みのメールでないと判別する。この場合、このときの受信メール180は、この受信メール180以前に受信されていない、未受信のメールとなる。
この場合に、判別部102bは、受信メール180の処理を実行するために、受信メール180のメッセージ番号182の値(以下、「識別子」と称する)を保存(格納)する(S130)。
【0054】
S130の後、判別部102bは、判別条件格納部103bに予め格納された判別条件情報190(図11参照)に基づいて、受信メール180に対する処理内容が印刷処理か否か(すなわち、メールに対してどのような処理を実行するのか)を判別する(S135)。例えば、図11に示す例では、From行が「user1@example.com」となっている受信メール180の処理内容は、印刷処理として条件が設定されている。そのため、判別部102bは、この受信メール180に対する処理内容を、印刷処理と判別する。なお、仮に、受信メール180のFrom行が転送処理に該当するアドレス(例えば、「user2@example.com」等)となっている場合に、判別部102bは、この受信メール180に対する処理内容を、転送処理と判別する。
【0055】
S135の判別で、受信メール180に対する処理内容が印刷処理である場合(“Yes”の場合)に、制御部102の処理実行部102cは、受信メール180を印刷部104に出力して、印刷部104に、受信メール180の印刷すべき箇所(図8に示す9行目以降のメール本文181)を印刷させる(S140)。
【0056】
一方、S135の判別で、受信メール180に対する処理内容が転送処理である場合(“No”の場合)に、制御部102の実行処理部102cは、受信メール180のメール本文をファイルサーバ4の格納形式に変換する。なお、「メール本文」は、MFP1宛てのメール181(図8参照)に相当する箇所である。以下、「メール本文」を、「メール本文181」と称する。
そして、実行処理部102cは、送信部105を経由して、受信メール180のメッセージ番号182及び形式変換されたメール本文181をファイルサーバ4へ送信する(S145)。
【0057】
S140又はS145の後、処理実行部102cは、処理の完了(すなわち、印刷部104による印刷処理の完了又は送信部105によるメッセージ番号182及び形式変換されたメール本文181の送信の完了)を検出すると、これに応答して、処理の完了通知をメール削除指示部102dに出力する。
メール削除指示部102dは、処理実行部102cから処理の完了通知を受け取ると、これに応答して、処理が完了した受信メール180のメッセージ番号182を指定して、このメッセージ番号182に相当するメールの削除を指示する指令(以下、「メールの削除指示」と称する)をメールサーバ2に送信する(S150)。メールサーバ2は、メールの削除指示を受信すると、これに応答して、図示せぬ格納部に格納されているメールの中から、指定されたメッセージ番号182に相当するメールを削除する。
【0058】
S150の後、メール削除指示部102dは、処理が完了した受信メール180のメッセージ番号182の値(識別子)を、固有情報格納部103aから削除して、一連の処理を終了する(S155)。
【0059】
(電子メール処理装置のメール受信時の具体的な通信例)
以下、図9及び図10を参照して、MFP1のメール受信時の具体的な通信例につき説明する。なお、図9及び図10は、それぞれ、電子メール処理装置のメール受信時の通信例を示す図である。図9は、受信メール180が未受信のメールである場合のMFP1の動作を示している。一方、図10は、受信メール180が先受信メール180aと同じものである場合のMFP1の動作を示している。なお、図示例では、MFP1は、メールサーバ2からメールを取得する通信プロトコルとしてPOP3を用いている。
【0060】
図9に示すように、受信メール180が未受信のメールである場合に、MFP1は、以下のように、メールサーバ2からメールを受信して、受信したメールの印刷処理を実行し、さらに、処理が完了したメールをメールサーバ2から削除する。
【0061】
すなわち、まず、MFP1(具体的には、制御部102の通信制御部102a)は、メールサーバ2に対してTCP(Transmission Control Protocol)のコネクションを確立する。
TCPのコネクションを確立する手順は、まず、MFP1からメールサーバ2に対してSYNコマンドを送信する(S205)。
メールサーバ2は、MFP1からSYNコマンドを受信すると、これに応答して、SYN・ACKコマンドをMFP1に返信する(S210)。
MFP1の通信制御部102aは、メールサーバ2からSYN・ACKコマンドを受信すると、これに応答して、ACKコマンドをメールサーバ2に送信する(S215)。
メールサーバ2は、MFP1からACKコマンドを受信すると、これに応答して、例えば「+OK POP server ready」等の応答をMFP1に送信する(S220)。このとき、MFP1とメールサーバ2の間に、TCPのコネクションが確立される。
【0062】
次に、MFP1の通信制御部102aは、TCPのコネクションが確立したら、これに応答して、メールサーバ2との接続に必要なユーザ名(ここでは、「printer」)を表すコマンド(ここでは、「USER printer」)をメールサーバ2に送信する(S225)。
メールサーバ2は、MFP1からユーザ名を表すコマンドを受信したら、これに応答して、ユーザ名を表すコマンドを認識し、認識結果を表す応答(ここでは、「+OK USER printer recognized」)をMFP1に送信する(S230)。
【0063】
次に、MFP1の通信制御部102aは、メールサーバ2への接続に必要なパスワード(「passwd」)を表すコマンド(ここでは、「PASS passwd」)をメールサーバ2に送信する(S235)。
メールサーバ2は、MFP1からパスワードを表すコマンドを受信したら、これに応答して、パスワードを表すコマンドを認識し、認識結果を表す応答(ここでは、「+OK Welcome printer」)をMFP1に送信する(S230)。これにより、MFP1は、メールサーバ2から自装置(MFP1)宛てのメール181を取得する準備ができたことになる。
【0064】
次に、MFP1の通信制御部102aは、自装置(MFP1)宛てのメール181がメールサーバ2にあるか否かを確認する。この動作は、図6に示すS110の動作に対応している。
このとき、まず、通信制御部102aは、MFP1宛てのメールの有無確認要求を表すコマンド(ここでは、「STAT」)をメールサーバ2に送信する(S245)。
メールサーバ2は、MFP1からMFP1宛てのメールの有無確認要求を表すコマンドを受信すると、これに応答して、図示せぬ格納部に格納されているメール群の中からMFP1宛てのメール181の有無を確認して、有無確認結果を表す応答(ここでは、「+OK 1 275」)をMFP1に送信する(S250)。この応答は、メッセージ番号182を「1」とする、サイズが275バイトのメールがメールサーバ2にある(届いている)ことを示している。
【0065】
MFP1の通信制御部102aは、自装置(MFP1)宛てのメール181がメールサーバ2にある場合に、受信部101を介して、メールサーバ2からメール181のメッセージ番号182を受信する。この動作は、図6に示すS115の動作に対応している。
このとき、通信制御部102aは、これに応答して、メッセージ番号182が「1」のメール181を受信するために、MFP1宛てのメールの送信要求を表すコマンド(ここでは、「RETR 1」)をメールサーバ2に送信する(S255)。
メールサーバ2は、MFP1からMFP1宛てのメール181の送信要求を表すコマンドを受信すると、これに応答して、まず、コマンドに対する応答(ここでは、「+OK 275 octets」)をMFP1に送信し、続いて、MFP1宛てのメール181(すなわち、メール本文181)をMFP1に送信する(S260)。
【0066】
MFP1の通信制御部102aは、受信部101を介して、メール本文181を受信する。この動作は、図6に示すS120の動作に対応している。
なお、ここでは、メール格納部103cは1乃至複数の受信メール180を格納しているものとして説明する。以下、メール格納部103cにすでに格納されている受信メール180とS250及びS260でメッセージ番号182及びメール本文181が受信されたメールとを区別する場合に、メール格納部103cにすでに格納されている受信メール180を先受信メール180aとし、S250及びS260でメッセージ番号182及びメール本文181が受信されたメールを後受信メール180bとして説明する。
【0067】
MFP1(具体的には、制御部102の判別部102b)は、S250及びS260で、メッセージ番号182及びメール本文181を受信すると、これに応答して、後受信メール180bのメッセージ番号182(図8)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110aの値110b(図4参照)の中にあるか否かを判別して、受信メール180がすでに受信済みのメールであるか否かを判別する。この動作は、図6に示すS125の動作に対応している。
【0068】
受信メール180に含まれているメッセージ番号182(図8参照)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110aの値110b(図4参照)の中にある場合に、判別部102bは、後受信メール180bがすでに受信されたメールであるとして、処理の実行を規制する指示(以下、「規制指示」と称する)を処理実行部102cに出力する。そして、判別部102bは、後受信メール180bを破棄(削除)する。この動作は、図6に示すS126の動作に対応している。
一方、受信メール180に含まれているメッセージ番号182(図8参照)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110aの値110b(図4参照)の中にない場合に、判別部102bは、後受信メール180bが未受信のメールであるとして、そのような規制処理を出力せずに、処理実行部102cに後受信メール180bの処理を実行させる。この場合、判別部102bは、受信メール180の識別子182(図4参照)を固有情報格納部103aに保存(格納)する。この動作は、図6に示すS130の動作に対応している。
なお、図9は、後受信メール180bが未受信のメールであると判別された場合の通信例を示している。したがって、ここでは、判別部102bは、後受信メール180bを処理すべきメールであると判別する。なお、メール格納部103cに受信メール180が格納されていない場合も、判別部102bは、後受信メール180bを処理すべきメールであると判別する。
【0069】
次に、判別部102bは、後受信メール180bを処理すべきメールであると判別すると、これに応答して、判別条件格納部103b(図2参照)に格納されている判別条件情報190(図11参照)に基づいて、受信メール180に対する処理内容が印刷処理であるか否かを判別する。この動作は、図6に示すS135の動作に対応している。
【0070】
判別部102bは、受信メール180に対する処理内容が印刷処理であると判別された場合に、受信メール180に対する処理内容の判別結果として、印刷処理を表す情報を処理実行部102cに出力する。
処理実行部102cは、判別部102bから印刷処理を表す情報を受け取ると、これに応答して、受信メール180の内容を印刷部104に出力して、その画像を印刷部104に印刷させる。この動作は、図6に示すS140の動作に対応している。
【0071】
一方、判別部102bは、受信メール180に対する処理内容が転送処理であると判別された場合に、受信メール180に対する処理内容の判別結果として、転送処理を表す情報を処理実行部102cに出力する。
処理実行部102cは、判別部102bから転送処理を表す情報を受け取ると、これに応答して、受信メール180のメール本文181を形式変換して、送信部105を介して、メッセージ番号182及び形式変換されたメール本文181をファイルサーバ4に送信する。この動作は、図6に示すS145の動作に対応している。
【0072】
処理実行部102cは、処理の完了(すなわち、印刷部104による印刷処理の完了又は送信部105によるメッセージ番号182及び形式変換されたメール本文181の送信の完了)を検出すると、これに応答して、処理の完了通知をメール削除指示部102dに出力する。
メール削除指示部102dは、処理実行部102cから処理の完了通知を受け取ると、これに応答して、処理が完了した受信メール180のメッセージ番号182を指定して、このメッセージ番号182に相当するメールの削除指示を表すコマンド(ここでは、「DELE 1」)をメールサーバ2に送信する(S265)。この動作は、図6に示すS150の動作に対応している。なお、「DELE 1」というコマンドは、メッセージ番号182が「1」のメールの削除指示を表している。
メールサーバ2は、メールの削除指示を表すコマンドを受信すると、これに応答して、メールの削除指示を表すコマンドに対する応答(ここでは、「+OK Massage 1 marked for Deletion」)をMFP1に送信する(S270)。
【0073】
MFP1(具体的には、制御部2の通信制御部102a)は、メールサーバ2からメールの削除指示を表すコマンドに対する応答を受信すると、これに応答して、固有情報格納部103aに格納された識別子182を削除する。この動作は、図6に示すS155の動作に対応している。続いて、通信制御部102aは、接続終了を表すコマンド(ここでは、「QUIT」)をメールサーバ2に送信する(S275)。
メールサーバ2は、MFP1から接続終了を表すコマンドを受信すると、これに応答して、接続終了を表すコマンドに対する応答(ここでは、「+OK」)をMFP1に送信する(S280)。
【0074】
最後に、MFP1の通信制御部102aは、メールサーバ2と確立したTCPコネクションを切断する。
このとき、通信制御部102aは、TCPコネクションの切断を表すコマンド(ここでは、「FIN」コマンド)をメールサーバ2に送信する(S285)。
メールサーバ2は、MFP1からFINコマンドを受信すると、これに応答して、ACKコマンドをMFP1に返信し(S290)、続いて、FINコマンドをMFP1に送信する(S295)。
MFP1の通信制御部102aは、メールサーバ2からFINコマンドを受信すると、これに応答して、ACKコマンドをメールサーバ2に返信して(S300)、TCPコネクションの切断を終了する。
これにより、MFP1の処理部102は、一連の処理を終了する。
【0075】
一方、S260の処理の後、MFP1の判別部102bは、受信メール180がすでに受信済みのメールであるか否かを判別する(図6に示すS125参照)。この判別で、受信メール180がすでに受信済みのメールである場合に、MFP1は、図10に示すように、S260の処理の後、S265及びS270の処理(図9参照)を実行することなく、S275の処理を実行する。すなわち、MFP1の通信制御部102aは、受信メール180の受信を中止する。なお、これ以外のMFP1の動作は、図9に示す動作と同じである。
【0076】
なお、ここでは、受信メール180をMFP1が印刷処理又はファイルサーバ4へ転送処理するものとして説明したが、これら以外の処理(例えば、受信したメールを別のメールで転送する処理、FAX送信処理、自装置の格納部103への格納処理等の、様々な処理)も同様に実現できる。
【0077】
以上の通り、本実施形態1の電子メール処理装置1によれば、メールサーバ2から受信した受信メール180がすでに受信済みのメールか否かを判別することによって、受信メール180を重複して処理することがなくなり、無用な印刷等の処理を繰り返し実行することを防止できる。
【0078】
[実施形態2]
本実施形態2は、実施形態1と比較すると、S125及びS126の処理(図6参照)が削除され、代わりに、S106の処理(図12参照)が追加されている点で相違している。なお、本実施形態2に係る電子メール処理装置の構成は、実施形態1のMFP1(図2参照)と同じである。
以下、本実施形態2の動作について、実施形態1と相違する動作を重点的に説明し、実施形態1と同様の動作(図6参照)については、前記した実施形態1の動作をこの実施形態2の動作に読み替えるものとして、詳細な説明を省略する。
【0079】
<電子メール処理装置の動作>
以下、図12を参照して、本実施形態2の電子メール処理装置の動作につき説明する。なお、図12は、実施形態2に係る電子メール処理装置の動作を示すフローチャートである。
【0080】
本実施形態2では、S105の後、制御部102の通信制御部102a(又は、判別部102b若しくは処理実行部102c)は、処理実行部102cが受信メール180に対する処理を実行中であるか否かを判別する(S106)。
【0081】
本実施形態2では、S106の判別で、処理実行部102cが受信メール180に対する処理を実行中である場合(“Yes”の場合)に、処理はS105に戻る。この場合、受信メール180に対する処理が完了されるまで、通信制御部102a(又は、判別部102b若しくは処理実行部102c)は、S105及びS106の判別を繰り返す。
一方、S106の判別で、処理実行部102cが受信メール180に対する処理を実行中でない場合(“No”の場合)に、処理はS110に進む。この場合、通信制御部102aは、自装置(MFP1)宛てのメールがメールサーバ2にあるか否かを判別する(S110)。
【0082】
また、本実施形態2では、S120で、通信制御部102aが受信メール180を受信すると、判別部103bは、S125の判別処理及びS126の処理((図6参照)を実行することなく、S130の処理を実行する。すなわち、判別部103bは、S125で、受信メール180がすでに受信済みのメールであるか否かを判別しない。また、判別部103bは、後受信メール180が存在しないので、S126で、後受信メール180の破棄(削除)を実行しない。したがって、判別部103bは、S120の後、ただちに、識別子を保存(格納)する(S130)。
【0083】
以上の通り、本実施形態2によれば、実施形態1と同様に、受信メール180を重複して処理することがなくなり、無用な印刷等の処理を繰り返し実行することを防止できる。さらに、本実施形態2によれば、処理実行部102cが受信メール180に対する処理を実行している最中はメールサーバ2に対するメールの送信の要求を停止することによって、装置とメールサーバ2との間の不要な通信を行うことを防止できる。
【0084】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0085】
1 MFP(電子メール処理装置)
2 メールサーバ
3 PC
4 ファイルサーバ
5,6 LAN
7 インターネット
101 受信部
102 制御部(CPU)
103 格納部(RAM)
103a 固有情報格納部
103b 判別条件格納部
103c メール格納部
104 印刷部
105 送信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ等の電子メールを受信して処理する電子メール処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データ等を電子メールとしてメールサーバから受信して印刷する装置(以下、「電子メール処理装置」と称する)において、印刷が終了するまでメールサーバに電子メールの削除指示を送信しない装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−152450号公報(図3、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子メール処理装置は、電子メールの処理に所定以上の時間がかかった場合に、同一の処理(例えば、電子メールの印刷処理や電子メールの他の装置への転送処理等)を重複して実行するときがあるという課題があった。
【0005】
すなわち、電子メール処理装置は、例えば、電子メールの印刷処理中に、用紙詰まり等の障害が発生する場合がある。また、電子メール処理装置は、例えば、電子メールの他の装置への転送処理中に、通信障害が発生する場合がある。電子メール処理装置は、これらのように各種の障害が電子メールの処理中に発生した場合に、所定以上の時間が経過しても、受信メールの処理を終了できないときがある。
このとき、従来の電子メール処理装置は、メールサーバに対して、所定の間隔で電子メールの送信を要求する。メールサーバは、この送信要求に応答して、同一の電子メールを電子メール処理装置に再度送信する。そのため、従来の電子メール処理装置は、同一内容の複数の電子メールを格納部に格納する。
【0006】
従来の電子メール処理装置は、格納部に格納された同一内容の複数の電子メールに対して、処理を順次実行する。その結果、従来の電子メール処理装置は、同一の処理(すなわち、同一内容の複数の電子メールの印刷処理や、同一内容の複数の電子メールの他の装置への転送処理等)を重複して実行していた。
これにより、従来の電子メール処理装置は、用紙等の資源を無駄に消費したり、又は、制御部の性能が無駄な処理の実行による負荷の発生で一時的に低下していた。
【0007】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、電子メールの処理に所定以上の時間がかかった場合であっても、同一の処理の実行を回避する電子メール処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、電子メール処理装置であって、メールサーバに対して、所定の間隔で電子メールの送信を要求し、当該送信要求に応答して当該メールサーバから送信された前記電子メールを受信メールとして受信する通信制御部と、前記通信制御部によって受信された前記受信メールを格納するメール格納部と、前記通信制御部によって受信された前記受信メールの固有情報及び処理内容を判別する判別部と、前記メール格納部に格納された前記受信メールに対して、前記判別部によって判別された前記処理内容の処理を実行する処理実行部と、前記処理実行部によって処理が実行された受信メールに相当する前記電子メールの削除指示を前記メールサーバに送信するメール削除指示部とを備え、前記通信制御部は、前記受信メールがすでに前記メール格納部に格納されている状態で、前記メールサーバから新たに他の電子メールを受信する場合に、すでに前記メール格納部に格納されている前記受信メールを先受信メールとし、当該新たに受信する他の電子メールを後受信メールとして前記メール格納部に格納し、前記判別部は、前記後受信メールが前記先受信メールと同じものか否かを判別して、同じものである場合に、前記メール格納部に格納された前記後受信メールを削除するとともに、前記メール削除指示部に、前記後受信メールに相当する前記他の電子メールの削除指示を前記メールサーバへ送信させることを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、電子メールの処理に所定以上の時間がかかった場合であっても、同一の処理の実行を回避する電子メール処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1に係る電子メール処理装置と他の装置との接続関係を示す図である。
【図2】実施形態1に係る電子メール処理装置の構成ブロック図である。
【図3】電子メール処理装置の制御部の構成ブロック図である。
【図4】メールの固有情報の一例を示す図である。
【図5】実施形態1に係る電子メール処理装置の動作の説明図である。
【図6】実施形態1に係る電子メール処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】電子メール処理装置宛てのメールの一例を示す図(1)である。
【図8】電子メール処理装置宛てのメールの一例を示す図(2)である。
【図9】電子メール処理装置のメール受信時の通信例を示す図(1)である。
【図10】電子メール処理装置のメール受信時の通信例を示す図(2)である。
【図11】判別条件情報の一例を示す図である。
【図12】実施形態2に係る電子メール処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ、及び、配置関係を、本発明を理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
[実施形態1]
<電子メール処理装置の構成>
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態1に係る電子メール処理装置の構成につき説明する。なお、図1は、実施形態1に係る電子メール処理装置と他の装置との接続関係を示す図である。図2は、実施形態1に係る電子メール処理装置の構成ブロック図である。図3は、電子メール処理装置の制御部の構成ブロック図である。
【0013】
ここでは、本実施形態1に係る電子メール処理装置として、MFPを用いて説明する。なお、「MFP」とは、Multi Function Printer(又はProduct)の略称で、プリンタにファクシミリ機能やスキャナ機能、コピー機能等を付加した装置である。
MFPは、メールサーバから電子メール(以下、「メール」と称する)を受信する機能を備えている。MFPは、メールサーバからメールを受信すると、これに応答して、メールに対して、所定の処理(例えば、印刷処理や、ファイルサーバ等の他の装置への転送処理等)を実行する。なお、処理内容は、メールの送信元に応じて予め設定されている。処理内容を規定する判別条件は、例えば、後記する判別条件格納部103b(図2参照)に予め格納されている。
【0014】
(電子メール処理装置と他の装置との接続関係)
まず、図1を参照して、電子メール処理装置と他の装置との接続関係につき説明する。
図1に示すように、2つのLAN5及びLAN6は、インターネット7を介して接続されている。一方のLAN5には、本実施形態1に係る電子メール処理装置であるMFP1、メールサーバ2、ファイルサーバ4が接続されている。また、他方のLAN6には、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)3が接続されている。なお、2つの装置間の通信は、受信側の装置が通信によって受信したデータを格納部に一旦格納し、その後に、データを格納部から読み出すことによって、行われる。以下、この点については、情報処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
【0015】
MFP1とPC3とは、それぞれ、固有のメールアドレスが設定されている。ここでは、MFP1のメールアドレスを「printer@example.com」とし、PC3のメールアドレスを「user1@example.com」であるものとして説明する。MFP1とPC3は、それぞれ、メールサーバ2を介して、互いの間で、メールを送受信するための設定がなされている。
【0016】
PC3は、メールサーバ2を介して、メールを「printer@example.com」宛てに送信する。
一方、MFP1は、メールサーバ2を介して、PC3からメールを受信する。このとき、MFP1は、まず、メールの送信元のアドレス(ここでは、PC3のアドレス「user1@example.com」)を判別し、次に、メールに対する処理内容を判別する。なお、メールに対する処理内容は、前記した通り、メールの送信元に応じて予め設定されている。そのため、MFP1は、メールの送信元のアドレスを判別することにより、メールに対する処理内容(すなわち、メールに対してどのような処理を実行するのか)も判別できる。MFP1は、メールに対する処理内容を判別すると、メールに対して、判別した処理内容の処理を実施する。なお、仮に、処理内容が設定されていない送信元からメールを受信した場合に、MFP1は、定常処理として予め定められた処理(例えば、印刷処理)を実行する。
【0017】
(電子メール処理装置の全体の構成)
次に、図2を参照して、MFP1の全体の構成につき説明する。
図2に示すように、MFP1は、受信部101、制御部102、格納部103、印刷部104、及び、送信部105を有している。これらの各構成要素は、それぞれ、図示せぬバスによって接続されている。
【0018】
受信部101は、他の装置(例えば、メールサーバ2や、PC3、ファイルサーバ4等)からメールを含む各種のデータを受信するためのインタフェースである。
受信部101は、LAN5(図1参照)に接続されており、LAN5を経由して、例えば、メールサーバ2からメールを受信する。このとき、受信部101は、POP3(Post Office Protocol Version3)やIMAP(Internet Massage Access Protocol)等の通信プロトコルを用いて、メールを受信する。
また、受信部101は、図示せぬバスによって、制御部102と接続されている。受信部101は、メールサーバ2からメールを受信すると、これに応答して、メールサーバ2との通信によって取得されたメールの固有情報110(図4参照)と、受信したメールとを、制御部102に出力する。
【0019】
制御部102は、装置の動作を制御する機能手段である。制御部102は、CPUによって構成されている。なお、制御部102の構成については、図3を参照して後記する。
【0020】
格納部103は、各種のプログラムやデータを格納する格納手段である。格納部103は、RAMによって構成されている。格納部103は、好ましくは、NVRAM(Non−volatile RAM)によって構成されるとよい。なお、「NVRAM」とは、SRAMに電源を供給する電池をSRAMに内蔵し、若しくは、SRAMの外部に配置することにより、SRAMに主電源が供給されない間も記憶情報を保持する仕組みとなっている不揮発メモリである。
【0021】
格納部103は、固有情報格納部103a、判別条件格納部103b、及び、メール格納部103cを備えている。なお、格納部103の一部(例えば、固有情報格納部103a等)は、ROMによって構成されていてもよい。
【0022】
固有情報格納部103aは、メールの固有情報110(図4参照)が格納される格納領域である。固有情報格納部103aは、制御部102から出力されるメールの固有情報110を読み出し自在に格納する。固有情報格納部103aに格納されたメールの固有情報110は、送信部105に出力されて、他の装置への転送処理に用いられる。なお、図4は、メールの固有情報の一例を示す図である。図4に示す例では、メールの固有情報110は、各メールのメール本文に設定された固有の番号を表す情報(以下、「メッセージ番号」と称する)110aの値110bとして、「1」が割り付けられている。
【0023】
判別条件格納部103bは、各メールの処理内容を判別するための条件を規定する情報(以下、「判別条件情報」と称する)190(図11参照)が予め格納される格納部である。なお、図11は、判別条件情報の一例を示す図である。制御部102の判別部102b(図3参照)は、判別条件格納部103bに予め格納された判別条件情報190に基づいて各メールの処理内容を判別する。図11に示す例では、判別条件情報190は、各メールの送信元を表す情報(以下、「From情報」と称する)191と各メールの処理内容を表す情報(以下、「処理内容情報」と称する)192とが組み合わされた構成となっている。判別部102bは、From情報191が「user1@example.com」となっているメールに対して、処理内容を印刷処理と判別する。また、判別部102bは、From情報191が「user2@example.com」となっているメールに対して、処理内容をファイルサーバへの転送処理と判別する。
【0024】
メール格納部103cは、メールサーバ2から受信された各メールが読み出し自在に格納される格納領域である。メール格納部103cに格納された各メールは、印刷部104に出力されて印刷処理に供されたり、又は、送信部105に出力されて他の装置への転送処理に供される。
【0025】
印刷部104は、メールを印刷する構成要素である。印刷部104は、メールの印刷処理が終了すると、これに応答して、印刷終了の通知を制御部102に出力する。制御部102は、印刷終了の通知を、送信部105を介して、メールサーバ2に送信する。
【0026】
送信部105は、他の装置(例えば、メールサーバ2や、PC3、ファイルサーバ4等)へメールを含む各種のデータを送信するためのインタフェースである。
送信部105は、LAN5に接続されており、LAN5を経由して、例えば、メールの削除指示をメールサーバ2に送信する。
【0027】
(電子メール処理装置の制御部の構成)
次に、図3を参照して、MFP1の制御部102の構成につき説明する。
図3に示すように、制御部102は、通信制御部102a、判別部102b、処理実行部102c、及び、メール削除指示部102dとして機能している。制御部102は、図示せぬROMに格納された制御プログラムを実行することにより、これらの各機能手段を実現する。
【0028】
通信制御部102aは、他の装置との間で行われる通信を制御する機能手段である。通信制御部102aは、メールサーバ2(図1参照)に対して、所定の間隔でメールの送信を要求し、この送信要求に応答してメールサーバ2から送信されたメールを受信する。以下、メールサーバ2から受信したメールを、「受信メール」と称する場合もある。通信制御部102aは、メールサーバ2から電子メールを受信したときに、受信した電子メール(すなわち、受信メール)の固有情報(図4参照)を固有情報格納部103aに格納するとともに、受信メールをメール格納部103cに格納する。なお、メール格納部103cに格納された受信メールは、処理実行部102cによって所定の処理が実行されると、削除される。
【0029】
判別部102bは、通信制御部102aによって受信された受信メールの固有情報(図4参照)及び処理内容を判別する機能手段である。なお、処理内容は、前記した通り、メールの送信元に応じて予め設定されている。判別部102bは、メールの送信元のアドレスを判別することにより、メールに対する処理内容を判別する。
【0030】
判別部102bの動作の概要は、以下の通りである。すなわち、判別部102bは、受信部101によってメールサーバ2からメールが受信されると、これに応答して、受信メールが処理すべきものであるか否かを判別する。なお、受信メールが処理すべきものであるか否かの判別は、受信メールの固有情報と後記する固有情報格納部103aに保存された固有情報とを用いて行われる。判別部102bは、受信メールが処理すべきものである場合に、受信メールの処理内容を判別する。なお、処理内容の設定は、前記した通り、判別条件格納部103bに予め格納されている。判別部102bは、この処理内容の設定に基づいて、受信メールを印刷するか、又は、受信メールをファイルサーバに転送するかを判別する。
【0031】
処理実行部102cは、メール格納部103cに格納された受信メールに対して、判別部102bによって判別された処理内容の処理を実行する機能手段である。処理実行部102cは、メール格納部103cに格納された受信メールに対して処理を実行したときに、固有情報格納部102aに格納されている固有情報の中から、処理実行済みの受信メールの固有情報を削除するとともに、メール格納部103cに格納されている受信メールの中から、処理実行済みの受信メールを削除する。
【0032】
処理実行部102cの動作の概要は、以下の通りである。すなわち、処理実行部102cは、受信メールに対して、判別部102bによって判別された処理内容の処理を実行する。例えば、処理実行部102cは、メールを印刷する場合に、メール格納部103cからメールを読み出して、印刷部104に出力する。一方、処理実行部102cは、メールを他の装置(例えば、ファイルサーバ4(図1参照))へ転送する場合に、メール格納部103cからメールを読み出して、読み出したメールを転送先で用いられているデータ形式に変換し、送信部105を介して転送先へ送信する。また、処理実行部102cは、メールの固有情報を固有情報格納部103aに保存する。
【0033】
メール削除指示部102dは、処理実行部102cによる処理が実行された受信メール(以下、「処理実行済みの受信メール」と称する)の削除指示をメールサーバ2に送信する機能手段である。
【0034】
メール削除指示部102dの動作の概要は、以下の通りである。すなわち、まず、各メールに対する所定の処理(具体的には、印刷処理や、他の装置への転送処理等)が終了した場合に、処理実行部102cが、これを検出して、処理の終了通知をメール削除指示部102dに出力する。メール削除指示部102dは、処理の終了通知を受けると、これに応答して、固有情報格納部103aに保存されているメールの固有情報110(図4参照)を読み出して、読み出した固有情報110に基づいて、処理が終了したメールの削除指示を生成し、さらに、送信部105を介して、生成したメールの削除指示をメールサーバ2に送信する。これによって、削除指示の送信が、行われる。なお、このとき、メール削除指示部102dは、固有情報格納部103aから、削除指示が送信されたメールの固有情報110を削除する。
【0035】
なお、制御部102の一連の動作は、図示せぬROMに読み出し自在に予め格納された制御プログラムによって規定されている。また、制御部102は、図示せぬタイマによって計測される時間に応じて動作する。また、各種の情報は、一旦、格納部(RAM103)に読み出し自在に格納されてから、その後の処理を行う所要の構成要素に出力される。以下、これらの点については、情報処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
【0036】
以上の通り、本実施形態1に係るMFP1は構成される。なお、ここでは、MFP1は、LAN5に接続されているが、LAN以外のネットワークに接続されていて、そのLAN以外のネットワークを介して、メールを送受信するようにしてもよい。
【0037】
<電子メール処理装置の動作>
以下、図5及び図6を参照して、MFP1の動作につき説明する。なお、図5は、実施形態1に係る電子メール処理装置の動作の説明図である。図6は、実施形態1に係る電子メール処理装置の動作を示すフローチャートである。図6は、MFP1がメールサーバ2からメールを受信したときの動作を示している。
【0038】
まず、図5を参照して、メールの処理に所定以上の時間を要する場合の状況につき説明する。図5は、メールの処理に所定以上の時間を要する場合のMFP1の動作を示している。
【0039】
図5に示すように、MFP1は、メールサーバ2からメールを取得する(S305)。このとき、MFP1は、メールの「受信中」状態となり、その「受信中」状態が終了すると、「処理中」状態となる。
【0040】
ここで、「処理中」状態で、紙詰まりが、MFP1に発生したものとする(S310)。この場合に、MFP1は、紙詰まりが解除されるまで、「処理中」状態となり、処理が終了しない。
【0041】
MFP1は、紙詰まりが解除されないままの状態が続くと、次のメールサーバ2からのメールの受信タイミングが到来する(S315)。このとき、メールサーバ2は、MFP1宛ての1乃至複数のメールがあれば(すなわち、MFP1宛ての1乃至複数のメールを図示せぬ格納部に格納していれば)、メールをMFP1に送信する。したがって、このとき、MFP1は、メールサーバ2から1乃至複数のメールを受信(取得)する。以下、このときMFP1がメールサーバ2から受信したメールを、「後受信メール」と称する。なお、「後受信メール」は、MFP1が処理実行中又は処理待ち中の受信メールである。また、以下、MFP1が、メールサーバ2から、処理中のメールを含む後受信メールよりも前に受信したメールを、「先受信メール」と称する。
MFP1は、メールサーバ2から1乃至複数の後受信メールを受信すると、メール格納部103c(図2参照)に格納する。したがって、MFP1は、紙詰まりが解除されなければ、メールサーバ2から後受信メールを順次受信(取得)しては、メール格納部103cに格納する。
【0042】
一方、MFP1は、紙詰まりが解除される(S320)と、処理中のメールの処理の実行を再開して処理を完了させ、さらに、後受信メールに対しても、処理を実行する。
そして、MFP1は、メール格納部103cに格納されているすべてのメールの処理が完了したら、一連の処理を終了する。
【0043】
次に、図6を参照して、MFP1の制御部102の動作の詳細につき説明する。図6は、制御部102の全体の動作を示している。
【0044】
MFP1の制御部102は、所定時間が経過する毎に、処理を開始する。
このとき、まず、制御部102の通信制御部102aは、受信タイミングか否かを判別する(S105)。
【0045】
S105の判別で、受信タイミングでない場合(“No”の場合)に、処理はS105に戻る。この場合、受信タイミングになるまで、通信制御部102aは、S105の判別を繰り返す。
一方、S105の判別で、受信タイミングである場合(“Yes”の場合)に、通信制御部102aは、自装置(MFP1)宛てのメール181(図7参照)がメールサーバ2にあるか否か(すなわち、メールサーバ2の図示せぬ格納部に格納されているか否か)を判別する(S110)。
【0046】
なお、図7は、電子メール処理装置宛てのメールの一例を示す図である。図7は、メールサーバ2がPC3から受信したMFP1宛てのメール181の一例を示している。
【0047】
図7に示す例では、MFP1宛てのメール181の1行目は、メールの送信元のメールアドレスが記述されている。図示例では、メールの送信元のメールアドレスとして、MFPのメールアドレス「user1@example.com」が記述されている。
また、2行目は、メールの宛先のメールアドレスが記述されている。図示例では、メールの宛先のメールアドレスとして、「printer@example.com」が記述されている。
3行目は、メールの件名が記述されている。
4行目は、メールが送信された時刻が記述されている。
5行目は、メールメッセージ固有の識別子が記述されている。
6行目は、メールの形式が記述されている。図示例では、メールの形式として、MIME(Multipurpose Internet Mail Extension)バージョン「1.0」が記述されて。
7行目は、メールのタイプが記述されている。図示例では、メールのタイプとして、テキストで「us−ascii」を使用していることが記述されている。
8行目は、改行コードだけの空行となっている。この空行は、メールのヘッダと本文の境界を示している。
9行目以降の行は、メールの本文が記述されている。
【0048】
S110の判別は、以下のようにして行われる。すなわち、通信制御部102aは、MFP1宛てのメールの有無確認要求(すなわち、MFP1を宛先とするメールの有無の確認処理の実行を要求する指令)を生成して、送信部105を介して、メールサーバ2に送信する。メールサーバ2は、有無確認要求を受信すると、これに応答して、図示せぬ格納部に格納されているメール群の中からMFP1宛てのメール181の有無を確認(検索)して、有無確認結果をMFP1に送信する。
MFP1の通信制御部102aは、受信部101を介して、メールサーバ2から有無確認結果を受信(取得)する。通信制御部102aは、有無確認結果を取得すると、これに応答して、取得したメールの有無確認結果に基づいて、自装置(MFP1)宛てのメール181がメールサーバ2にあるか否かを判別する。
【0049】
S110の判別で、自装置(MFP1)宛てのメールがない場合(“No”の場合)に、MFP1の制御部102は、一連の処理を終了する。
一方、S110の判別で、自装置(MFP1)宛てのメールがある場合(“Yes”の場合)に、通信制御部102aは、送信部105を介して、MFP1宛てのメールの送信要求をメールサーバ2に送信する。メールサーバ2は、送信要求を受信すると、これに応答して、まず、MFP1宛てのメールにメッセージ番号182(図8参照)を割り当てて、メッセージ番号182をMFP1に送信し、続いて、MFP1宛てのメール181(図8参照)をMFP1に送信する。なお、メッセージ番号182の送信の詳細については、図9を参照して後記するMFP1のメール受信時の具体的な通信例で詳述する。
MFP1の通信制御部102aは、受信部101を介して、メールサーバ2から、まず、メッセージ番号182を取得し(S115)、続いて、メッセージ番号182に対応するMFP1宛てのメール181を取得する(S120)。
【0050】
通信制御部102aは、S115及びS120で、メールサーバ2からメッセージ番号182及びMFP1宛てのメール181を取得すると、これに応答して、取得したメッセージ番号182を固有情報格納部103aに格納するとともに、メッセージ番号182とMFP1宛てのメール181とを組み合わせたデータ(以下、「受信メール」と称する)180(図8参照)を生成して、メール格納部103cに格納する。以下、このとき生成されたデータ180を、「受信メール180」と称する。なお、図8は、電子メール処理装置宛てのメールの一例を示す図である。図8は、メール格納部103cに格納された受信メール180の一例を示している。図示例では、受信メール180は、メッセージ番号182の値として、「1」が割り付けられている。一方、MFP1宛てのメール181として、図8に示すメッセージ全体が記述されている。
【0051】
この後、制御部102の判別部102bは、受信メール180がすでに受信済みのメールであるか否か(すなわち、すでにメール格納部103cに同じメールが格納されているか否か)を判別する(S125)。このとき、判別部102bは、受信メール180に含まれているメッセージ番号182(図8参照)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110a(図4参照)の値の中にあるか否かを判別する。
【0052】
S125の判別で、受信メール180に含まれているメッセージ番号182(図8参照)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110a(図4参照)の値の中にある場合に、判別部102bは、すでに格納済みのメールである(Yes)と判別する。この場合、このときの受信メール180は、すでに受信済みのメールを重複して受信した後受信メールとなる。以下、メール格納部103cにすでに格納されている受信メール180を、「先受信メール180a」とし、この後受信メールを、「後受信メール180b」として説明する。
この場合に、判別部102bは、後受信メール180bを破棄(削除)する(S126)。この後、処理はS110に戻る。その結果、制御部102は、S110〜S126の処理を繰り返す。すなわち、制御部102の通信制御部102aが、次のメールを取得するための、MFP1宛てのメールの有無確認要求を、繰り返し行う。
【0053】
一方、S125の判別で、受信メール180に含まれているメッセージ番号182(図8参照)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110aの値110b(図4参照)の中にない場合に、判別部102bは、格納済みのメールでないと判別する。この場合、このときの受信メール180は、この受信メール180以前に受信されていない、未受信のメールとなる。
この場合に、判別部102bは、受信メール180の処理を実行するために、受信メール180のメッセージ番号182の値(以下、「識別子」と称する)を保存(格納)する(S130)。
【0054】
S130の後、判別部102bは、判別条件格納部103bに予め格納された判別条件情報190(図11参照)に基づいて、受信メール180に対する処理内容が印刷処理か否か(すなわち、メールに対してどのような処理を実行するのか)を判別する(S135)。例えば、図11に示す例では、From行が「user1@example.com」となっている受信メール180の処理内容は、印刷処理として条件が設定されている。そのため、判別部102bは、この受信メール180に対する処理内容を、印刷処理と判別する。なお、仮に、受信メール180のFrom行が転送処理に該当するアドレス(例えば、「user2@example.com」等)となっている場合に、判別部102bは、この受信メール180に対する処理内容を、転送処理と判別する。
【0055】
S135の判別で、受信メール180に対する処理内容が印刷処理である場合(“Yes”の場合)に、制御部102の処理実行部102cは、受信メール180を印刷部104に出力して、印刷部104に、受信メール180の印刷すべき箇所(図8に示す9行目以降のメール本文181)を印刷させる(S140)。
【0056】
一方、S135の判別で、受信メール180に対する処理内容が転送処理である場合(“No”の場合)に、制御部102の実行処理部102cは、受信メール180のメール本文をファイルサーバ4の格納形式に変換する。なお、「メール本文」は、MFP1宛てのメール181(図8参照)に相当する箇所である。以下、「メール本文」を、「メール本文181」と称する。
そして、実行処理部102cは、送信部105を経由して、受信メール180のメッセージ番号182及び形式変換されたメール本文181をファイルサーバ4へ送信する(S145)。
【0057】
S140又はS145の後、処理実行部102cは、処理の完了(すなわち、印刷部104による印刷処理の完了又は送信部105によるメッセージ番号182及び形式変換されたメール本文181の送信の完了)を検出すると、これに応答して、処理の完了通知をメール削除指示部102dに出力する。
メール削除指示部102dは、処理実行部102cから処理の完了通知を受け取ると、これに応答して、処理が完了した受信メール180のメッセージ番号182を指定して、このメッセージ番号182に相当するメールの削除を指示する指令(以下、「メールの削除指示」と称する)をメールサーバ2に送信する(S150)。メールサーバ2は、メールの削除指示を受信すると、これに応答して、図示せぬ格納部に格納されているメールの中から、指定されたメッセージ番号182に相当するメールを削除する。
【0058】
S150の後、メール削除指示部102dは、処理が完了した受信メール180のメッセージ番号182の値(識別子)を、固有情報格納部103aから削除して、一連の処理を終了する(S155)。
【0059】
(電子メール処理装置のメール受信時の具体的な通信例)
以下、図9及び図10を参照して、MFP1のメール受信時の具体的な通信例につき説明する。なお、図9及び図10は、それぞれ、電子メール処理装置のメール受信時の通信例を示す図である。図9は、受信メール180が未受信のメールである場合のMFP1の動作を示している。一方、図10は、受信メール180が先受信メール180aと同じものである場合のMFP1の動作を示している。なお、図示例では、MFP1は、メールサーバ2からメールを取得する通信プロトコルとしてPOP3を用いている。
【0060】
図9に示すように、受信メール180が未受信のメールである場合に、MFP1は、以下のように、メールサーバ2からメールを受信して、受信したメールの印刷処理を実行し、さらに、処理が完了したメールをメールサーバ2から削除する。
【0061】
すなわち、まず、MFP1(具体的には、制御部102の通信制御部102a)は、メールサーバ2に対してTCP(Transmission Control Protocol)のコネクションを確立する。
TCPのコネクションを確立する手順は、まず、MFP1からメールサーバ2に対してSYNコマンドを送信する(S205)。
メールサーバ2は、MFP1からSYNコマンドを受信すると、これに応答して、SYN・ACKコマンドをMFP1に返信する(S210)。
MFP1の通信制御部102aは、メールサーバ2からSYN・ACKコマンドを受信すると、これに応答して、ACKコマンドをメールサーバ2に送信する(S215)。
メールサーバ2は、MFP1からACKコマンドを受信すると、これに応答して、例えば「+OK POP server ready」等の応答をMFP1に送信する(S220)。このとき、MFP1とメールサーバ2の間に、TCPのコネクションが確立される。
【0062】
次に、MFP1の通信制御部102aは、TCPのコネクションが確立したら、これに応答して、メールサーバ2との接続に必要なユーザ名(ここでは、「printer」)を表すコマンド(ここでは、「USER printer」)をメールサーバ2に送信する(S225)。
メールサーバ2は、MFP1からユーザ名を表すコマンドを受信したら、これに応答して、ユーザ名を表すコマンドを認識し、認識結果を表す応答(ここでは、「+OK USER printer recognized」)をMFP1に送信する(S230)。
【0063】
次に、MFP1の通信制御部102aは、メールサーバ2への接続に必要なパスワード(「passwd」)を表すコマンド(ここでは、「PASS passwd」)をメールサーバ2に送信する(S235)。
メールサーバ2は、MFP1からパスワードを表すコマンドを受信したら、これに応答して、パスワードを表すコマンドを認識し、認識結果を表す応答(ここでは、「+OK Welcome printer」)をMFP1に送信する(S230)。これにより、MFP1は、メールサーバ2から自装置(MFP1)宛てのメール181を取得する準備ができたことになる。
【0064】
次に、MFP1の通信制御部102aは、自装置(MFP1)宛てのメール181がメールサーバ2にあるか否かを確認する。この動作は、図6に示すS110の動作に対応している。
このとき、まず、通信制御部102aは、MFP1宛てのメールの有無確認要求を表すコマンド(ここでは、「STAT」)をメールサーバ2に送信する(S245)。
メールサーバ2は、MFP1からMFP1宛てのメールの有無確認要求を表すコマンドを受信すると、これに応答して、図示せぬ格納部に格納されているメール群の中からMFP1宛てのメール181の有無を確認して、有無確認結果を表す応答(ここでは、「+OK 1 275」)をMFP1に送信する(S250)。この応答は、メッセージ番号182を「1」とする、サイズが275バイトのメールがメールサーバ2にある(届いている)ことを示している。
【0065】
MFP1の通信制御部102aは、自装置(MFP1)宛てのメール181がメールサーバ2にある場合に、受信部101を介して、メールサーバ2からメール181のメッセージ番号182を受信する。この動作は、図6に示すS115の動作に対応している。
このとき、通信制御部102aは、これに応答して、メッセージ番号182が「1」のメール181を受信するために、MFP1宛てのメールの送信要求を表すコマンド(ここでは、「RETR 1」)をメールサーバ2に送信する(S255)。
メールサーバ2は、MFP1からMFP1宛てのメール181の送信要求を表すコマンドを受信すると、これに応答して、まず、コマンドに対する応答(ここでは、「+OK 275 octets」)をMFP1に送信し、続いて、MFP1宛てのメール181(すなわち、メール本文181)をMFP1に送信する(S260)。
【0066】
MFP1の通信制御部102aは、受信部101を介して、メール本文181を受信する。この動作は、図6に示すS120の動作に対応している。
なお、ここでは、メール格納部103cは1乃至複数の受信メール180を格納しているものとして説明する。以下、メール格納部103cにすでに格納されている受信メール180とS250及びS260でメッセージ番号182及びメール本文181が受信されたメールとを区別する場合に、メール格納部103cにすでに格納されている受信メール180を先受信メール180aとし、S250及びS260でメッセージ番号182及びメール本文181が受信されたメールを後受信メール180bとして説明する。
【0067】
MFP1(具体的には、制御部102の判別部102b)は、S250及びS260で、メッセージ番号182及びメール本文181を受信すると、これに応答して、後受信メール180bのメッセージ番号182(図8)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110aの値110b(図4参照)の中にあるか否かを判別して、受信メール180がすでに受信済みのメールであるか否かを判別する。この動作は、図6に示すS125の動作に対応している。
【0068】
受信メール180に含まれているメッセージ番号182(図8参照)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110aの値110b(図4参照)の中にある場合に、判別部102bは、後受信メール180bがすでに受信されたメールであるとして、処理の実行を規制する指示(以下、「規制指示」と称する)を処理実行部102cに出力する。そして、判別部102bは、後受信メール180bを破棄(削除)する。この動作は、図6に示すS126の動作に対応している。
一方、受信メール180に含まれているメッセージ番号182(図8参照)の値と一致するものが、固有情報格納部103aに格納されている固有情報110のメッセージ番号110aの値110b(図4参照)の中にない場合に、判別部102bは、後受信メール180bが未受信のメールであるとして、そのような規制処理を出力せずに、処理実行部102cに後受信メール180bの処理を実行させる。この場合、判別部102bは、受信メール180の識別子182(図4参照)を固有情報格納部103aに保存(格納)する。この動作は、図6に示すS130の動作に対応している。
なお、図9は、後受信メール180bが未受信のメールであると判別された場合の通信例を示している。したがって、ここでは、判別部102bは、後受信メール180bを処理すべきメールであると判別する。なお、メール格納部103cに受信メール180が格納されていない場合も、判別部102bは、後受信メール180bを処理すべきメールであると判別する。
【0069】
次に、判別部102bは、後受信メール180bを処理すべきメールであると判別すると、これに応答して、判別条件格納部103b(図2参照)に格納されている判別条件情報190(図11参照)に基づいて、受信メール180に対する処理内容が印刷処理であるか否かを判別する。この動作は、図6に示すS135の動作に対応している。
【0070】
判別部102bは、受信メール180に対する処理内容が印刷処理であると判別された場合に、受信メール180に対する処理内容の判別結果として、印刷処理を表す情報を処理実行部102cに出力する。
処理実行部102cは、判別部102bから印刷処理を表す情報を受け取ると、これに応答して、受信メール180の内容を印刷部104に出力して、その画像を印刷部104に印刷させる。この動作は、図6に示すS140の動作に対応している。
【0071】
一方、判別部102bは、受信メール180に対する処理内容が転送処理であると判別された場合に、受信メール180に対する処理内容の判別結果として、転送処理を表す情報を処理実行部102cに出力する。
処理実行部102cは、判別部102bから転送処理を表す情報を受け取ると、これに応答して、受信メール180のメール本文181を形式変換して、送信部105を介して、メッセージ番号182及び形式変換されたメール本文181をファイルサーバ4に送信する。この動作は、図6に示すS145の動作に対応している。
【0072】
処理実行部102cは、処理の完了(すなわち、印刷部104による印刷処理の完了又は送信部105によるメッセージ番号182及び形式変換されたメール本文181の送信の完了)を検出すると、これに応答して、処理の完了通知をメール削除指示部102dに出力する。
メール削除指示部102dは、処理実行部102cから処理の完了通知を受け取ると、これに応答して、処理が完了した受信メール180のメッセージ番号182を指定して、このメッセージ番号182に相当するメールの削除指示を表すコマンド(ここでは、「DELE 1」)をメールサーバ2に送信する(S265)。この動作は、図6に示すS150の動作に対応している。なお、「DELE 1」というコマンドは、メッセージ番号182が「1」のメールの削除指示を表している。
メールサーバ2は、メールの削除指示を表すコマンドを受信すると、これに応答して、メールの削除指示を表すコマンドに対する応答(ここでは、「+OK Massage 1 marked for Deletion」)をMFP1に送信する(S270)。
【0073】
MFP1(具体的には、制御部2の通信制御部102a)は、メールサーバ2からメールの削除指示を表すコマンドに対する応答を受信すると、これに応答して、固有情報格納部103aに格納された識別子182を削除する。この動作は、図6に示すS155の動作に対応している。続いて、通信制御部102aは、接続終了を表すコマンド(ここでは、「QUIT」)をメールサーバ2に送信する(S275)。
メールサーバ2は、MFP1から接続終了を表すコマンドを受信すると、これに応答して、接続終了を表すコマンドに対する応答(ここでは、「+OK」)をMFP1に送信する(S280)。
【0074】
最後に、MFP1の通信制御部102aは、メールサーバ2と確立したTCPコネクションを切断する。
このとき、通信制御部102aは、TCPコネクションの切断を表すコマンド(ここでは、「FIN」コマンド)をメールサーバ2に送信する(S285)。
メールサーバ2は、MFP1からFINコマンドを受信すると、これに応答して、ACKコマンドをMFP1に返信し(S290)、続いて、FINコマンドをMFP1に送信する(S295)。
MFP1の通信制御部102aは、メールサーバ2からFINコマンドを受信すると、これに応答して、ACKコマンドをメールサーバ2に返信して(S300)、TCPコネクションの切断を終了する。
これにより、MFP1の処理部102は、一連の処理を終了する。
【0075】
一方、S260の処理の後、MFP1の判別部102bは、受信メール180がすでに受信済みのメールであるか否かを判別する(図6に示すS125参照)。この判別で、受信メール180がすでに受信済みのメールである場合に、MFP1は、図10に示すように、S260の処理の後、S265及びS270の処理(図9参照)を実行することなく、S275の処理を実行する。すなわち、MFP1の通信制御部102aは、受信メール180の受信を中止する。なお、これ以外のMFP1の動作は、図9に示す動作と同じである。
【0076】
なお、ここでは、受信メール180をMFP1が印刷処理又はファイルサーバ4へ転送処理するものとして説明したが、これら以外の処理(例えば、受信したメールを別のメールで転送する処理、FAX送信処理、自装置の格納部103への格納処理等の、様々な処理)も同様に実現できる。
【0077】
以上の通り、本実施形態1の電子メール処理装置1によれば、メールサーバ2から受信した受信メール180がすでに受信済みのメールか否かを判別することによって、受信メール180を重複して処理することがなくなり、無用な印刷等の処理を繰り返し実行することを防止できる。
【0078】
[実施形態2]
本実施形態2は、実施形態1と比較すると、S125及びS126の処理(図6参照)が削除され、代わりに、S106の処理(図12参照)が追加されている点で相違している。なお、本実施形態2に係る電子メール処理装置の構成は、実施形態1のMFP1(図2参照)と同じである。
以下、本実施形態2の動作について、実施形態1と相違する動作を重点的に説明し、実施形態1と同様の動作(図6参照)については、前記した実施形態1の動作をこの実施形態2の動作に読み替えるものとして、詳細な説明を省略する。
【0079】
<電子メール処理装置の動作>
以下、図12を参照して、本実施形態2の電子メール処理装置の動作につき説明する。なお、図12は、実施形態2に係る電子メール処理装置の動作を示すフローチャートである。
【0080】
本実施形態2では、S105の後、制御部102の通信制御部102a(又は、判別部102b若しくは処理実行部102c)は、処理実行部102cが受信メール180に対する処理を実行中であるか否かを判別する(S106)。
【0081】
本実施形態2では、S106の判別で、処理実行部102cが受信メール180に対する処理を実行中である場合(“Yes”の場合)に、処理はS105に戻る。この場合、受信メール180に対する処理が完了されるまで、通信制御部102a(又は、判別部102b若しくは処理実行部102c)は、S105及びS106の判別を繰り返す。
一方、S106の判別で、処理実行部102cが受信メール180に対する処理を実行中でない場合(“No”の場合)に、処理はS110に進む。この場合、通信制御部102aは、自装置(MFP1)宛てのメールがメールサーバ2にあるか否かを判別する(S110)。
【0082】
また、本実施形態2では、S120で、通信制御部102aが受信メール180を受信すると、判別部103bは、S125の判別処理及びS126の処理((図6参照)を実行することなく、S130の処理を実行する。すなわち、判別部103bは、S125で、受信メール180がすでに受信済みのメールであるか否かを判別しない。また、判別部103bは、後受信メール180が存在しないので、S126で、後受信メール180の破棄(削除)を実行しない。したがって、判別部103bは、S120の後、ただちに、識別子を保存(格納)する(S130)。
【0083】
以上の通り、本実施形態2によれば、実施形態1と同様に、受信メール180を重複して処理することがなくなり、無用な印刷等の処理を繰り返し実行することを防止できる。さらに、本実施形態2によれば、処理実行部102cが受信メール180に対する処理を実行している最中はメールサーバ2に対するメールの送信の要求を停止することによって、装置とメールサーバ2との間の不要な通信を行うことを防止できる。
【0084】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0085】
1 MFP(電子メール処理装置)
2 メールサーバ
3 PC
4 ファイルサーバ
5,6 LAN
7 インターネット
101 受信部
102 制御部(CPU)
103 格納部(RAM)
103a 固有情報格納部
103b 判別条件格納部
103c メール格納部
104 印刷部
105 送信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メールサーバに対して、所定の間隔で電子メールの送信を要求し、当該送信要求に応答して当該メールサーバから送信された前記電子メールを受信メールとして受信する通信制御部と、
前記通信制御部によって受信された前記受信メールを格納するメール格納部と、
前記通信制御部によって受信された前記受信メールの固有情報及び処理内容を判別する判別部と、
前記メール格納部に格納された前記受信メールに対して、前記判別部によって判別された前記処理内容の処理を実行する処理実行部と、
前記処理実行部によって処理が実行された受信メールに相当する前記電子メールの削除指示を前記メールサーバに送信するメール削除指示部とを備え、
前記通信制御部は、前記受信メールがすでに前記メール格納部に格納されている状態で、前記メールサーバから新たに他の電子メールを受信する場合に、すでに前記メール格納部に格納されている前記受信メールを先受信メールとし、当該新たに受信する他の電子メールを後受信メールとして前記メール格納部に格納し、
前記判別部は、前記後受信メールが前記先受信メールと同じものか否かを判別して、同じものである場合に、前記メール格納部に格納された前記後受信メールを削除するとともに、前記メール削除指示部に、前記後受信メールに相当する前記他の電子メールの削除指示を前記メールサーバへ送信させる
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
さらに、前記判別部によって判別された前記受信メールの固有情報を格納する固有情報格納部とを備え、
前記判別部は、前記固有情報格納部に格納された前記受信メールの固有情報に基づいて、前記後受信メールが前記先受信メールと同じものか否かを判別する
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子メール処理装置において、
前記処理実行部は、前記固有情報格納部に格納されている前記固有情報の中から、処理を実行した前記受信メールの固有情報を削除することにより、処理が未実行の前記受信メールの固有情報のみを前記固有情報格納部に残す
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
前記通信制御部は、前記処理実行部が前記受信メールに対する処理を実行している最中は、前記メールサーバに対する前記電子メールの送信の要求を停止する
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
前記処理実行部は、前記判別部によって判別された前記処理内容の処理として、前記受信メールの印刷処理を実行する
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
前記処理実行部は、前記判別部によって判別された前記処理内容の処理として、前記受信メールの他の装置への転送処理を実行する
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項1】
メールサーバに対して、所定の間隔で電子メールの送信を要求し、当該送信要求に応答して当該メールサーバから送信された前記電子メールを受信メールとして受信する通信制御部と、
前記通信制御部によって受信された前記受信メールを格納するメール格納部と、
前記通信制御部によって受信された前記受信メールの固有情報及び処理内容を判別する判別部と、
前記メール格納部に格納された前記受信メールに対して、前記判別部によって判別された前記処理内容の処理を実行する処理実行部と、
前記処理実行部によって処理が実行された受信メールに相当する前記電子メールの削除指示を前記メールサーバに送信するメール削除指示部とを備え、
前記通信制御部は、前記受信メールがすでに前記メール格納部に格納されている状態で、前記メールサーバから新たに他の電子メールを受信する場合に、すでに前記メール格納部に格納されている前記受信メールを先受信メールとし、当該新たに受信する他の電子メールを後受信メールとして前記メール格納部に格納し、
前記判別部は、前記後受信メールが前記先受信メールと同じものか否かを判別して、同じものである場合に、前記メール格納部に格納された前記後受信メールを削除するとともに、前記メール削除指示部に、前記後受信メールに相当する前記他の電子メールの削除指示を前記メールサーバへ送信させる
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
さらに、前記判別部によって判別された前記受信メールの固有情報を格納する固有情報格納部とを備え、
前記判別部は、前記固有情報格納部に格納された前記受信メールの固有情報に基づいて、前記後受信メールが前記先受信メールと同じものか否かを判別する
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子メール処理装置において、
前記処理実行部は、前記固有情報格納部に格納されている前記固有情報の中から、処理を実行した前記受信メールの固有情報を削除することにより、処理が未実行の前記受信メールの固有情報のみを前記固有情報格納部に残す
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
前記通信制御部は、前記処理実行部が前記受信メールに対する処理を実行している最中は、前記メールサーバに対する前記電子メールの送信の要求を停止する
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
前記処理実行部は、前記判別部によって判別された前記処理内容の処理として、前記受信メールの印刷処理を実行する
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
前記処理実行部は、前記判別部によって判別された前記処理内容の処理として、前記受信メールの他の装置への転送処理を実行する
ことを特徴とする電子メール処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−160631(P2010−160631A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1738(P2009−1738)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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