説明

電子メール送信装置及び電子メール送信装置の制御方法

【課題】送信する電子メールのデータサイズの増大を可能な限り回避した電子メール送信装置を提供する。
【解決手段】電子メール送信装置は、送信しようとしている電子メールに含まれている文字列が、第1のコード体系のみで表現できる場合には、前記文字列を第1のコード体系で変換して、送信用の電子メールを生成し、前記送信しようとしている電子メールに含まれている前記文字列が、第1のコード体系のみでは表現できない場合には、前記文字列を第2のコード体系で変換して、送信用の電子メールを生成する、コード体系変換手段であって、前記第1のコード体系で前記文字列を表現する場合よりも、前記第2のコード体系で前記文字列を表現する方が、送信用の電子メールのデータサイズが大きくなる、コード体系変換手段と、前記コード体系変換手段で生成された前記送信用の電子メールを送信する、送信手段とを備えて、構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メール送信装置に関し、特に、送信する電子メールのデータサイズをできる限り小さくした電子メール送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ機能やプリンタ機能を有するいわゆる複合機では、スキャナ機能を用いて読み込んだ画像をTiff等の形式でファイル化し、電子メールとして送信できる機能が備わっているものがある。また、ファックスとして受信した原稿の画像をファイル化し、電子メールとして送信できる機能が備わっているものがある。
【0003】
この電子メール送信の機能を用いて電子メールを送信する場合には、電子メールの本文に、これらのファイルを添付ファイルとして添付する。したがって、文字列から構成された何らかの本文が、電子メールには含まれている。
【0004】
複合機は、様々な国で使用されることを前提としているため、複数の言語に対応している。このため、電子メールを送信する際には、生成した電子メールの本文を、万国共通の文字コード体系であるUTF−8に変換して、送信する必要がある(例えば、特開2007−116323号公報参照)。このような変換を、一般にbase64変換と呼んでいる。
【0005】
しかしながら、電子メールの本文をbase64変換して、UTF−8のコード体系にすると、データサイズが、およそ1.33倍になってしまうという問題がある。これは、UTF−8のコード体系では、1つの文字を1〜6バイトで表現することとなっており、バイト数が増大することになるためである。
【0006】
したがって、電子メールの本文をUTF−8のコード体系に変換すると、電子メールのデータサイズが増大し、好ましいとは言えない。このことは、電子メールを送信することのある複合機以外の電子メール送信装置でも、同様である。
【特許文献1】特開2007−116323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、送信する電子メールのデータサイズの増大を可能な限り回避した電子メール送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子メール送信装置は、
送信しようとしている電子メールに含まれている文字列が、第1のコード体系のみで表現できる場合には、前記文字列を第1のコード体系で変換して、送信用の電子メールを生成し、前記送信しようとしている電子メールに含まれている前記文字列が、第1のコード体系のみでは表現できない場合には、前記文字列を第2のコード体系で変換して、送信用の電子メールを生成する、コード体系変換手段であって、前記第1のコード体系で前記文字列を表現する場合よりも、前記第2のコード体系で前記文字列を表現する方が、送信用の電子メールのデータサイズが大きくなる、コード体系変換手段と、
前記コード体系変換手段で生成された前記送信用の電子メールを送信する、送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
この場合、前記電子メールに含まれている前記文字列は、前記電子メールの本文として含まれている文字列、及び/又は、前記電子メールのタイトルとして含まれている文字列であってもよい。
【0010】
また、前記第1のコード体系は、US−ASCIIのコード体系であり、前記第2のコード体系は、UTF−8のコード体系であってもよい。
【0011】
この場合、前記コード体系変換手段は、前記電子メールに含まれている前記文字列を、UTF−8のコード体系に変換する場合には、base64変換を行うようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る電子メール送信装置の制御方法は、
送信しようとしている電子メールに含まれている文字列が、第1のコード体系のみで表現できる場合には、前記文字列を第1のコード体系で変換して、送信用の電子メールを生成し、前記送信しようとしている電子メールに含まれている前記文字列が、第1のコード体系のみでは表現できない場合には、前記文字列を第2のコード体系で変換して、送信用の電子メールを生成する工程であって、前記第1のコード体系で前記文字列を表現する場合よりも、前記第2のコード体系で前記文字列を表現する方が、送信用の電子メールのデータサイズが大きくなる工程と、
生成された前記送信用の電子メールを送信する工程と、
を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る複合機30を備える複合機システム10のネットワーク構成図の一例を示しており、図2は、本発明の一実施形態に係る複合機30の内部構成のブロック図の一例を示している。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る複合機システム10は、内部のネットワーク20を介して、1又は複数の複合機30と、1又は複数のコンピュータ40と、1台のメールサーバ50とが、相互に接続されている。本実施形態においては、ネットワーク20は、ローカルネットワークであり、例えば、イーサネット(登録商標)などの任意の規格のネットワークで構成することが可能である。
【0016】
また、複合機30は、ファックス回線網22にも接続されている。このファックス回線網22は、ファックス専用の回線網でもよいし、或いは、電話回線網などの音声との共通回線でもよい。複合機30は、このファックス回線網22を介して、ファックスを送信したり、受信したりすることができる。
【0017】
また、メールサーバ50は、インターネットなどの外部ネットワーク60に接続されている。例えば、このメールサーバ50は、複合機30から送信された電子メールを受信し、この受信した電子メールが、自らが管理する電子メールアドレス(メールボックス)を宛先としているか、それ以外のメールサーバが管理する電子メールアドレス(メールボックス)を宛先としているかを判断する。そして、電子メールの宛先が、メールサーバ50の管理する電子メールアドレスを宛先としたものである場合には、その宛先のメールボックスに受信した電子メールを格納する。一方、電子メールの宛先が、メールサーバ50の管理する電子メールアドレスを宛先としたものではなく、例えばメールサーバ70の管理する電子メールアドレスを宛先としたものである場合には、外部ネットワーク60を介して、その電子メールをメールサーバ70に送信する。
【0018】
本実施形態においては、複合機30とメールサーバ50との間の通信プロトコルとして、例えば、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)が用いられている。この場合、複合機30は送信側SMTPクライアントとなり、メールサーバ50は受信側SMTPサーバとなる。また、複合機30がメールサーバ70から電子メールを取得する際の通信プロトコルは、例えばPOP3を用いている。
【0019】
図2に示すように、本実施形態に係る複合機30は、少なくとも、スキャナ機能部31とプリンタ機能部32とを備えて構成されている、いわゆるマルチファンクションプリンタである。この複合機30は、さらに、操作ユニット33と、ネットワークインターフェース34と、制御ユニット35と、情報格納部36とを備えて構成されている。スキャナ機能部31は、この複合機30にユーザがセットした原稿を読み取るための機能部である。一般的には、スキャナ機能部31は、原稿読み取り面にセットされた原稿を、ラインセンサで読み取り、この読み取った画像に基づいて画像情報を生成する。
【0020】
プリンタ機能部32は、この複合機30にコンピュータ40から送信された印刷データを印刷したり、スキャナ機能部31で読み取った画像に基づく画像情報を印刷したりする機能部である。一般的には、印刷データや画像に基づく情報を印刷可能なデータに展開して、レーザービーム方式やインクジェット方式などのプリントエンジンで印刷を行う。
【0021】
操作ユニット33は、ユーザがこの複合機30に各種の指示を入力するためのユニットである。本実施形態においては、この操作ユニット33は、例えば、様々な情報が表示され、ユーザがタッチすることにより指示を入力できるタッチパネルにより構成されている。
【0022】
ネットワークインターフェース34は、この複合機30をネットワーク20やファックス回線網22に接続するためのインターフェースである。複合機30は、ファックス回線網22から受信したファックスを、プリンタ機能部32で印刷することが可能である。また、複合機30は、スキャナ機能部31で読み込んだ画像を、ファックスとしてファックス回線網22に送出することが可能である。
【0023】
制御ユニット35は、この複合機30の全体的な制御を行うためのユニットである。本実施形態では、この制御ユニット35に、制御を行う本体部であるCPU(Central Processing Unit)や、制御を行うために必要な情報が揮発的に保持されるRAM(Random Access Memory)や、制御を行うためのプログラムが不揮発的に保持されるROM(Read Only Memory)や、電気的に書き換え可能なEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)などが、設けられている。本実施形態においては、特に、後述する電子メール送信処理を実行するためのプログラムが、このROMに格納されており、これらの処理を実行する上で必要となる情報がRAMに一時的に格納される。
【0024】
情報格納部36には、受信したファックスのデータや、スキャナ機能部31で読み込んだ画像のデータなどが、必要に応じて格納され、保持される。本実施形態では、この情報格納部36は、例えばハードディスクドライブなどの補助記憶装置により構成されている。
【0025】
次に、図3に基づいて、本実施形態に係る複合機30で実行される電子メール送信処理について説明する。図3は、本実施形態に係る電子メール送信処理の内容を説明するフローチャートを示す図である。この図3に示す電子メール送信処理は、複合機30における制御ユニット35で実行される処理であり、より具体的には、制御ユニット35に設けられたCPUが、同じく制御ユニット35に設けられたROMから電子メール送信処理プログラムを読み出して実行することにより実現される処理である。
【0026】
また、この電子メール送信処理は、ユーザがこの複合機30に、電子メールの送信を指示した場合に起動される処理である。すなわち、ユーザが、スキャナ機能部31を用いて読み込んだ原稿の画像を、ファイルとして電子メールで送信するように、複合機30に指示入力したり、ファックス受信した原稿をファイルとして電子メールで送信するように、複合機30に指示入力したりすることにより、起動される処理である。
【0027】
例えば、図4に示すように、操作ユニット33のタッチパネル100に、メインメニューである機能選択画面W10が表示されていたとする。この図4の例では、機能選択画面W10に、コピー機能選択ボタンB10と、プリンタ機能選択ボタンB12と、スキャナ機能選択ボタンB14と、ファックス機能選択ボタンB16と、機器設定ボタンB18とが表示されている。
【0028】
この状態で、ユーザがコピー機能選択ボタンB10をタッチすると、複合機30は、コピーを行うモードに移行し、ユーザがプリンタ機能選択ボタンB12をタッチすると、複合機30は、コンピュータ40から受信した印刷データを印刷するモードに移行する。また、機能選択画面W10で、ユーザがスキャナ機能選択ボタンB14をタッチすると、複合機30は、スキャナ機能部31を使用するモードに移行し、ユーザがファックス機能選択ボタンB16をタッチすると、複合機30は、ファックスに関する機能を使用するモードに移行する。一方、ユーザが、機器設定ボタンB18をタッチすると、複合機30は、複合機30の各種設定を行うための設定モードに移行する。
【0029】
これらのボタンのうち、ユーザがスキャナ機能選択ボタンB14をタッチすると、例えば、図5に示すようなスキャン機能選択画面W20がタッチパネル100に表示される。
【0030】
この図5の例では、スキャン機能選択画面W20に、スキャンtoファイルボタンB20と、スキャンtoファックスボタンB22と、スキャンtoメールボタンB24とが表示されている。このスキャン機能選択画面W20において、ユーザが、スキャンtoファイルボタンB20をタッチすると、スキャナ機能部31でスキャンして生成された画像情報が、ユーザの指定した保存先フォルダに、送信されて格納されるモードに移行する。また、スキャン機能選択画面W20において、ユーザが、スキャンtoファックスボタンB22をタッチすると、スキャナ機能部31でスキャンして生成された画像情報が、ユーザの指定したファックス宛先番号にファックスされ、送信されるモードに移行する。
【0031】
一方、スキャン機能選択画面W20において、ユーザが、スキャンtoメールボタンB24をタッチすると、スキャナ機能部31でスキャンして生成された画像情報が、ユーザの指定した電子メールアドレス宛に、送信されるモードに移行する。本実施形態では、ユーザが、このスキャンtoメールボタンB24にタッチすると、図3の電子メール送信処理が起動されるのである。
【0032】
これに対して、図4の機能選択画面W10において、ユーザがファックス機能選択ボタンB16をタッチすると、例えば、図6に示すようなファックス機能選択画面W30がタッチパネル100に表示される。
【0033】
この図6の例では、ファックス機能選択画面W30に、ファックスtoファイルボタンB30と、ファックスtoメールボタンB32とが表示されている。このファックス機能選択画面W30において、ユーザが、ファックスtoファイルボタンB30をタッチすると、指定されたファックスの画像情報が、ユーザの指定した保存先フォルダに、送信されて格納されるモードに移行する。また、ファックス機能選択画面W30において、ユーザが、ファックスtoメールボタンB32をタッチすると、指定されたファックスの画像情報が、ユーザの指定した電子メールアドレス宛に、送信されるモードに移行する。本実施形態では、ユーザが、このファックスtoメールボタンB32にタッチすると、図3の電子メール送信処理が起動されるのである。
【0034】
図3に示すように、電子メール送信処理が開始されると、複合機30は、送信しようとしている電子メール本文の文字を1文字取得する(ステップS10)。本実施形態に係る複合機30は、電子メールの本文に、ファックス画像に基づいて生成したファイルや、スキャナ機能部31で読み込んだ画像に基づいて生成したファイルを添付して、電子メールを送信する。このため、ステップ10では、この送信しようとしている電子メールの本文から、文字を1文字取得する。
【0035】
なお、電子メールの本文で送信する文字列には、ユーザが入力した任意の文字列を含めることも可能である。この場合、複合機30は、ユーザがスキャンtoメールB24やファックスtoメールB32をタッチした後に、文章などの文字列を入力できる画面をタッチパネル100に表示するようにすればよい。或いは、ユーザが、コンピュータ40で入力した文章などの文字列を、複合機30がネットワーク20を介して受信して、これを電子メール本文に組み込むようにしてもよい。
【0036】
次に、図3に示すように、複合機30は、取得すべき文字が存在したかどうかを判断する(ステップS12)。すなわち、電子メールの本文の最後まで、到達したかどうかを判断する。
【0037】
取得すべき文字が存在した場合(ステップS12:YES)には、取得した文字がUS−ASCIIのコード体系に含まれている文字であるかどうかを判断する(ステップS14)。図7は、いわゆるASCIIコードの文字コード体系のテーブルを示す図である。この図7のASCIIコードにおいて、取得した文字コードが、16進で20〜7Fのいずれかである場合には、複合機30は、その文字がUS−ASCIIの文字であると判断する。
【0038】
なお、電子メール本文には、この1バイトのASCIIコードに含まれている文字の他に、ひらがなや漢字などの文字が含まれている場合もあり、この場合、電子メール本文には、2バイトや3バイトのJIS−X0201、JIS−X0208、JIS−X0212、JIS−X0213などのコード体系の文字が含まれている。したがって、取得した文字が、これらのコード体系に含まれる文字である場合には、複合機30は、その文字はUS−ASCIIのコード体系に含まれていない文字であると判断する。
【0039】
取得した文字が、US−ASCIIに含まれている文字である場合(ステップS14:YES)には、複合機30は、上述したステップS10に戻り、次の文字を取得する。一方、取得した文字が、US−ASCIIに含まれていない文字である場合(ステップS14:NO)には、複合機30は、その電子メール本文の文字列を、base64して、UTF−8のコード体系の文字列に変換する(ステップS16)。すなわち、US−ASCIIに含まれていない文字が電子メールの本文に含まれているので、複合機30は、この電子メールの本文をbase64変換することにより、UTF−8のコード体系の文字列に変換する。
【0040】
図8は、ステップS16のbase64変換の処理内容を概略的に説明するための図である。この図8に示すように、ステップS16のbase64変換では、まず、コード変換すべき文字列からデータを3バイト(24ビット)分取得し、24ビットのビット列に展開する。続いて、この24ビットを上位から6ビットずつ取り出し、その6ビットを、UTF−8のコード体系に従った文字に置き換える。この作業を、コード変換すべき電子メール本文が無くなるまで繰り返すのである。
【0041】
なお、電子メール本文の文字列の最後のコード変換時に、変換すべき文字が2バイトしか存在しない場合には、base64変換した文字列の最後に、「=」を付加する。また、電子メール本文の文字列の最後のコード変換時に、変換すべき文字が1バイトしか存在しない場合には、base64変換した文字列の最後に、「==」を付加する。
【0042】
このbase64変換により、電子メール本文のすべての文字をUTF−8のコード体系に変換した後、図3に示すように、複合機30は、この変換した電子メールを、送信する(ステップS18)。すなわち、複合機30は、ネットワーク20を介して、メールサーバ50に電子メールを送信する。これにより、本実施形態に係る電子メール送信処理は、終了する。
【0043】
これに対して、ステップS12において、取得すべき文字が存在しなかったと判断した場合(ステップS12:NO)には、電子メールの本文の最後まで、到達したと判断できるので、複合機30は、電子メール本文の文字列をUS−ASCIIのコード体系に変換する(ステップS20)。すなわち、図7のASCII文字コードにおいて、16進の20〜7Fの文字だけが電子メール本文の文字列に存在したことになるため、この電子メールの本文を、US−ASCIIのコード体系に変換する。
【0044】
そして、複合機30は、このUTF−8のコード体系に変換した電子メールを、送信する(ステップS18)。すなわち、複合機30は、ネットワーク20を介して、メールサーバ50に電子メールを送信する。これにより、本実施形態に係る電子メール送信処理は、終了する。
【0045】
図9は、電子メールの本文をUS−ASCIIのコード体系で送信した場合における、電子メールの一例を示す図である。この図9に示すように、電子メールのデータは、複数のエレメントに分割され、この分割されたエレメントの1つに、電子メールの本文が挿入される。図9の例では、この電子メールの中央部分に、「Image File」という文字列が本文として挿入されている。また、この「Image File」という文字列の前では、「Content-Type: text/plain; charset="us-ascii" Content-Transfer-Encoding:7bit」と定義されており、この電子メールを受信したメールサーバは、電子メール本文がUS−ASCIIのコード体系の文字列であると識別できるようになっている。
【0046】
図10は、図9と同じ電子メールの本文を、UTF−8のコード体系に変換して送信した場合を示す図である。この図10から分かるように、UTF−8のコード体系で送信する場合、base64変換により、「Image File」という文字列が、「SW1hZ2VGaWxl」という文字列に変換されている。このように、base64変換をしてUTF−8にのコード体系にすると、電子メールの本文の文字列が長くなってしまうのである。
【0047】
また、図10か分かるように、電子メールがUTF−8のコード体系である場合には、電子メールの本文の前で、「Content-Type: text/plain; charset="utf-8" Content-Transfer-Encoding:base64」という定義がなされている。このため、この電子メールを受信したメールサーバは、電子メール本文がUTF−8のコード体系の文字列であること識別できる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る複合機30では、電子メールの本文に含まれている文字列が、US−ASCIIのみで表現できる場合には、UTF−8に変換せずに、US−ASCIIに変換して、送信することとした。このため、電子メール本文の文字数が長くなるのを回避することができ、電子メールのデータサイズを大きくすることなく、電子メールを送信することができる。
【0049】
また、電子メールの本文に含まれている文字列が、US−ASCIIのみでは表現できない場合には、その電子メール本文の文字列をbase64変換することにより、UTF−8のコード体系の文字列に変換することとした。このため、US−ASCIIのコード体系のみで表現できない文字列を含む電子メールであっても、正常に送信することができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず種々に変形可能である。例えば、上述した実施形態では、電子メールの本文における文字列を変換する場合を例に本発明を説明したが、電子メールのタイトルにおける文字列を変換する場合にも、本発明を適用することができる。すなわち、本発明は、電子メールの本文に含まれている文字列、及び/又は、電子メールのタイトルに含まれている文字列を変換する場合に、適用することができる。
【0051】
また、上述した実施形態では、電子メールに含まれる文字列を変換した場合に、第1のコード体系より電子メールのデータサイズが大きくなってしまう第2のコード体系の例として、第1のコード体系がUS−ASCIIであり、第2のコード体系がUTF−8である場合を例に本発明を説明したが、第1のコード体系と第2のコード体系の組み合わせは、これに限るものではない。例えば、第1のコード体系がJISコードであり、第2のコード体系がUTF−8である場合にも、本発明を適用することができる。
【0052】
また、上述した実施形態では、電子メール送信装置の一例として複合機30に本発明を適用した場合を例に説明したが、他の種類の電子メール送信装置に対しても本発明を適用することができる。
【0053】
また、上述した実施形態では、複合機30とメールサーバ50との間の通信プロトコルがSMTPであり、複合機30がメールサーバ70から電子メールを取得する際の通信プロトコルがPOP3である場合を例に本発明を説明したが、他の通信プロトコルを用いた場合でも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機システムのネットワーク構成の一例を示す図。
【図2】図1の複合機システムに含まれている複合機の内部構成の一例を示すブロック図。
【図3】本実施形態に係る複合機で実行される電子メール送信処理の一例を説明するフローチャートを示す図。
【図4】本実施形態に係る複合機のタッチパネルに表示される機能選択画面の一例を示す図。
【図5】本実施形態に係る複合機のタッチパネルに表示されるスキャン機能選択画面の一例を示す図。
【図6】本実施形態に係る複合機のタッチパネルに表示されるファックス機能選択画面の一例を示す図。
【図7】ASCIIコード体系と、US−ASCIIコード体系の関係を説明するためのコードテーブルを示す図。
【図8】base64変換の処理内容を説明するための図。
【図9】US−ASCIIコード体系で送信した電子メールの一例を示す図。
【図10】図9の電子メールをUTF−8コード体系で送信した場合の電子メールの一例を示す図。
【符号の説明】
【0055】
10 複合機システム
20 ネットワーク
22 ファックス回線網
30 複合機
31 スキャナ機能部
32 プリンタ機能部
33 操作ユニット
34 ネットワークインターフェース
35 制御ユニット
36 情報格納部
40 コンピュータ
50 メールサーバ
51 ネットワークインターフェース
52 制御ユニット
53 情報格納部
60 外部ネットワーク
70 メールサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信しようとしている電子メールに含まれている文字列が、第1のコード体系のみで表現できる場合には、前記文字列を第1のコード体系で変換して、送信用の電子メールを生成し、前記送信しようとしている電子メールに含まれている前記文字列が、第1のコード体系のみでは表現できない場合には、前記文字列を第2のコード体系で変換して、送信用の電子メールを生成する、コード体系変換手段であって、前記第1のコード体系で前記文字列を表現する場合よりも、前記第2のコード体系で前記文字列を表現する方が、送信用の電子メールのデータサイズが大きくなる、コード体系変換手段と、
前記コード体系変換手段で生成された前記送信用の電子メールを送信する、送信手段と、
を備えることを特徴とする電子メール送信装置。
【請求項2】
前記電子メールに含まれている前記文字列は、前記電子メールの本文として含まれている文字列、及び/又は、前記電子メールのタイトルとして含まれている文字列である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子メール送信装置。
【請求項3】
前記第1のコード体系は、US−ASCIIのコード体系であり、前記第2のコード体系は、UTF−8のコード体系である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子メール送信装置。
【請求項4】
前記コード体系変換手段は、前記電子メールに含まれている前記文字列を、UTF−8のコード体系に変換する場合には、base64変換を行う、ことを特徴とする請求項3に記載の電子メール送信装置。
【請求項5】
送信しようとしている電子メールに含まれている文字列が、第1のコード体系のみで表現できる場合には、前記文字列を第1のコード体系で変換して、送信用の電子メールを生成し、前記送信しようとしている電子メールに含まれている前記文字列が、第1のコード体系のみでは表現できない場合には、前記文字列を第2のコード体系で変換して、送信用の電子メールを生成する工程であって、前記第1のコード体系で前記文字列を表現する場合よりも、前記第2のコード体系で前記文字列を表現する方が、送信用の電子メールのデータサイズが大きくなる工程と、
生成された前記送信用の電子メールを送信する工程と、
を備えることを特徴とする電子メール送信装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−100202(P2009−100202A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269210(P2007−269210)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】