電子モジュール及び電子装置ならびにその製造方法
【課題】電子装置を小型化する。
【解決手段】複数個の半導体チップと、前記半導体チップに入出力される電気信号を補償する受動素子と、前記各半導体チップの外部電極及び受動素子間を電気的に接続する配線と、前記半導体チップ及び前記受動素子ならびに前記配線を内包するハウジングと、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子とを有する電子モジュールであって、前記ハウジングの内部に、複数の絶縁体層を設け、前記絶縁体層間に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のうち少なくとも一つを設け、前記絶縁体層に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のそれぞれを接続するための導通ビアを設けてなる電子モジュールである。
【解決手段】複数個の半導体チップと、前記半導体チップに入出力される電気信号を補償する受動素子と、前記各半導体チップの外部電極及び受動素子間を電気的に接続する配線と、前記半導体チップ及び前記受動素子ならびに前記配線を内包するハウジングと、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子とを有する電子モジュールであって、前記ハウジングの内部に、複数の絶縁体層を設け、前記絶縁体層間に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のうち少なくとも一つを設け、前記絶縁体層に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のそれぞれを接続するための導通ビアを設けてなる電子モジュールである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子モジュール及び電子装置、ならびにその製造方法に関し、特に、小型の携帯電子装置や携帯電話、電子SI(System Integration)装置に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、個人情報端末(PDA;Personal Digital Assistants )や携帯電話等の携帯電子装置は、その携帯性が重視され、小型化、薄型化が進んでいる。
【0003】前記PDAは、図25(a)及び図25(b)に示すように、例えば、文庫本程度のサイズのハウジング30の一主面(表面)に操作用の入力ボタン31や表示用の液晶ディスプレイ32が設けられており、前記ハウジング30の裏面に電源となる電池あるいは充電池33が取り付けられている。
【0004】前記PDAの内部構成は、図25(a)のE−E’線での断面図である図25(c)に示すように、例えば、複数個のDSP(Digital Signal Processor)、メモリなどの半導体装置(半導体チップ)34が搭載された配線基板35が、携帯電話の本体(ケース)となるハウジング30の内部にある空間に収納されている。また、前記入力ボタン31や、表示用の液晶ディスプレイ32などは、前記ハウジング30に取り付けられており、図25(c)では省略しているが、前記入力ボタン31や液晶ディスプレイ32の接続端子が、前記配線基板35に接続されている。前記PDAのような従来の電子装置では、搭載する半導体装置(半導体チップ)34の小型化、薄型化、ならびに前記配線基板35上の配線の微細化や高密度化、あるいは基板の薄型化によって、収納するハウジング30の小型化を図り、電子装置全体が小型化されている。
【0005】また、前記PDAの他にも、例えば、図26に示したような、移動通信端末(携帯電話)などでも、半導体装置(半導体チップ)を搭載した配線基板がハウジング40内部に設けられた空間に収納されており、前記ハウジング40の表面に操作ボタン41、液晶ディスプレイ42、無線通信用のアンテナ43が設けられている。
【0006】前記PDAや携帯電話などの携帯電子装置は、小型で携帯性が良いとともに、近年の通信技術の発達や、インターネットの普及等により、前記PDAに携帯電話を接続して、あるいは携帯電話単体でネットワークに接続して各種情報を閲覧、取得することが出来るようになってきており、今後広く普及すると予想される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の技術では、例えば、図25(c)に示したような、前記電子装置(PDA)に用いる半導体装置(半導体チップ)34を製造する工程、前記半導体装置(半導体チップ)34を搭載する配線基板35を製造する工程、前記半導体装置(半導体チップ)34を前記配線基板35に搭載する工程、前記半導体装置(半導体チップ)34を搭載した配線基板35、入力ボタン31、液晶ディスプレイ32等をハウジング30に取り付けて電子装置(PDA)を組み立てる工程が、個別の工程として行われているため、前記電子装置の製造時間が長くなるという問題があった。
【0008】また、製造時間がかかるとともに、多くの種類の部品、材料を使用するため、前記電子装置の製造コストが増大するという問題があった。
【0009】また、前記電子装置では、前記ハウジング内に、別工程で製造された配線基板を収納するための収納スペースと、前記配線基板と他の液晶ディスプレイ、入力キー、アンテナ等を接続するためのスペースも必要である。さらに、近年では半導体チップの小型化、配線基板の薄型化などが難しくなってきているため、前記電子装置の小型化が難しくなってきているという問題があった。
【0010】また、前記図25(a)及び図25(b)に示したような前記PDAでは、その大きさが、文庫本程度であり、片手での操作が難しい、洋服のポケットなどに携帯しにくいといった問題があった。
【0011】また、図26に示したような、携帯電話などでは一般的に、前記操作ボタン41と前記表示用の液晶ディスプレイ42が前記ハウジング40の同じ面に形成されており、液晶ディスプレイ42の表示面積の大型化が難しい。また、液晶ディスプレイ42を見ながら操作する際に、前記入力ボタン41が液晶ディスプレイ42と同じ面に設けられているため、片手で操作する場合には親指で前記入力キー41を操作するのが一般的である。そのため、指一本で操作することが多く、操作性が低いという問題があった。
【0012】本発明の目的は、電子装置の小型化をすることが可能な技術を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、電子装置の携帯性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、電子装置の製造時間を短縮することが可能な技術を提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、電子装置の製造コストを削減することが可能な技術を提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、電子装置の組み立てを簡略化することが可能な技術を提供することにある。
【0017】本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【0018】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明の概要を説明すれば、以下のとおりである。
【0019】(1)複数個の半導体チップと、前記半導体チップに入出力される電気信号を補償する受動素子と、前記各半導体チップの外部電極及び受動素子間を電気的に接続する配線と、前記半導体チップ及び前記受動素子ならびに前記配線を内包するハウジングと、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子とを有する電子モジュールであって、前記ハウジングの内部に、複数の絶縁体層を設け、前記絶縁体層間に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のうち少なくとも一つを設け、前記絶縁体層に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のそれぞれを接続するための導通ビアを設けてなる電子モジュールである。
【0020】(2)複数個の半導体チップ、受動素子、前記各半導体チップの外部電極、及び受動素子間を電気的に接続する配線、前記半導体チップ及び前記受動素子ならびに前記配線を内包するハウジング、及び前記配線と外部装置を接続する外部接続端子を有する電子モジュールと、前記電子モジュールの外部接続端子と接続される端子電極を外部装置とを備える電子装置であって、前記ハウジングの内部に、複数の絶縁体層を設け、前記絶縁体層間に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のうち少なくとも一つを設け、前記絶縁体層に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線間のそれぞれを接続する導通ビアを設け、前記ハウジングの所定の位置に、前記外部装置を取り付ける取り付け部を設け、前記取り付け部に前記外部接続端子を設け、前記外部装置が前記取り付け部に取り付けられ、前記外部装置の端子電極と前記外部接続端子が接続されている電子装置である。
【0021】(3)複数個の半導体チップ、受動素子、前記各半導体チップの外部電極及び前記受動素子間を電気的に接続する配線をハウジング内に埋め込む工程と、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子を形成する工程を備える電子モジュールの製造方法であって、所定の形状をした凹部を有するハウジングを準備する準備工程と、前記ハウジングの前記凹部内に前記半導体チップあるいは前記受動素子を配置する配置工程と、前記半導体チップ及び受動素子上に、液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第1絶縁層を形成する第1絶縁層形成工程と、前記第1絶縁層の所定位置にビア穴を形成するビア穴形成工程と、前記第1絶前記第1絶縁層の所定位置にビア穴を形成するビア穴形成工程と、前記第1絶縁層上及びビア穴の側壁に導電膜を形成した後、前記第1絶縁層上の前記導電膜をエッチングして配線を形成する配線形成工程と、前記配線及び第1絶縁層上に液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第2絶縁層を形成する第2絶縁層形成工程と、前記第2絶縁層の所定位置に外部接続端子形成用の開口部を形成し、前記開口部に外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程とを備える電子モジュールの製造方法である。
【0022】前記(1)に記載の電子モジュールによれば、前記電子モジュールの本体(ケース)となるハウジングの内部に、複数層の絶縁層を設け、前記複数層間に設けられる半導体チップ、受動素子、配線を前記絶縁層に設けた導通ビアで接続することにより、配線基板を用いることなく前記電子モジュールを製造することができるため、前記電子装置を小型化することができる。
【0023】また、近年では、前記半導体チップの薄型化が進み、厚さが約50μm程度になっているため、前記各半導体チップを複数の絶縁体層間に設けて、前記半導体チップを積層した構成にすることも可能である。言い換えると、従来配線基板上に平面的に配置されていた半導体チップ同士を縦方向に積層することができるため、配線長を短くすることができ、電気信号の伝送時間の遅延を少なくすることができ、電気的特性を向上させることができる。
【0024】また、前記(1)の手段では、前記複数の絶縁体層のうち、少なくとも一層または同一層内の一部分が、異なる誘電率を有するような構成にして、前記絶縁体層と、この絶縁体層間に設けられる配線とにより、抵抗、容量、インダクタンスなどの受動素子を形成し、前記半導体チップに入出力される電気信号の補償を行いやすくなる。
【0025】また、前記(1)の手段の電子モジュールは、前記(2)の手段のように、外部装置を接続して電子装置として用い、前記外部装置には、前記電子モジュールを動作させる電源装置や、入力装置、表示装置、無線通信用のアンテナなどがあげられ、前記各外部装置は、前記ハウジングの所定位置に設けられた取り付け部に取り付けられる。
【0026】また、前記(2)の手段の電子装置は、前記電子モジュールを小型化して、その大きさ(外観形状)を、例えば、名刺サイズのカード状にすることができ、洋服のポケット等に入れてもかさばらず、携帯性が向上する。また、前記電子モジュールに取り付ける表示装置を、前記カード状の電子モジュールの一主面全面に取り付けることにより、表示される情報が見やすくなる。またこのとき、前記入力装置を、前記電子モジュールの側面部に取り付けることにより、片手でも、複数本の指を使って操作することが出来るようになり、操作性が向上する。
【0027】前記(1)の手段の電子モジュールは、前記(3)の手段のように、まず、所定の形状の凹部を持ったハウジングを準備して、前記凹部内に、半導体チップを配置し、絶縁樹脂を流し込み、ビア穴をあけて配線及び導通ビアを形成し、これらの工程を複数回繰り返して、複数の絶縁層間に半導体チップ、配線のいずれかが設けられる構成にすることにより、半導体装置(半導体チップ)を搭載する配線基板を製造する工程、前記配線基板に半導体装置(半導体チップ)を搭載する工程、前記半導体装置(半導体チップ)を搭載した配線基板を前記ハウジングに収納するといった、従来複数の別の工程として行われていたものを、前記ハウジング内で一つの工程として行うことができるので、製造時間を短縮することができる。また、製造時間を短縮するとともに、前記電子モジュールの製造に必要な部品、材料の数を減らすことができるので製造コストを低減させることができる。
【0028】また、前記絶縁層を形成するときに、他の絶縁層と誘電率が異なる絶縁樹脂を用いる、あるいは部分的に誘電率が異なる絶縁層を形成することにより、前記配線を用いて受動素子を構成することができる。
【0029】また、前記(2)の手段の電子装置を製造する場合には、前記(3)の手段により製造する電子装置で使用するハウジングに、あらかじめ前記外部装置を取り付ける取り付け部を設けておき、前記(3)の手段に沿って前記電子モジュールを製造した後、前記ハウジングに設けられた取り付け部に、前記外部装置をはめ込むように取り付ける。このとき、前記外部装置の端子電極が前記外部接続端子と接続されるように前記外部接続端子を前記取り付け部に形成しておく。
【0030】以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
【0031】なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号をつけ、その繰り返しの説明は省略する。
【0032】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1は、本発明による実施例1の電子装置の概略構成を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)の正面図、図1(c)は図1(a)の左側面図である。
【0033】図1において、1は電子モジュール、2はハウジング、3は電源装置(充電池)、4は入力装置、401は入力ボタン、5は表示装置(液晶ディスプレイ)である。
【0034】本実施例1の電子装置は、図1(a)、図1(b)、図1(c)に示すように、複数個の半導体チップや受動素子が収納された電子モジュール1と、前記電子モジュール1を動作させる電源装置3と、前記電子モジュール1の側面に取り付けられた入力装置4と、前記電子モジュール1の一主面(表面)に取り付けられた表示装置(液晶ディスプレイ)5とにより構成されている。前記電子モジュール1は、その本体(ケース)となるハウジング2の内部に、複数個の半導体チップ、受動素子、及びそれらを電気的に接続する配線が内包されている。また、前記入力装置4には、複数個の入力ボタン401が設けられている。また、前記電子モジュール1(ハウジング2)は、名刺サイズ程度の大きさのカード状であり、図1(b)では前記ハウジング2の厚さ方向の縮尺を変えて示しているが、実際のハウジング2の厚さtは約3mm程度である。
【0035】図2及び図3は、本実施例1の電子装置における電子モジュールの内部構成を示す模式図であり、図2は図1のA−A’線での断面図、図3は図1のB−B’線での断面図である。
【0036】図2及び図3において、2はハウジング、2Aは第1取り付け部、2Bは第2取り付け部、2Cは第3取り付け部、3は電源装置、301は接続端子、4は入力装置、401は入力ボタン、402は接続端子、403はバネ、5は表示装置、501は接続端子、6は絶縁樹脂、6Aは第1絶縁層、6Bは第2絶縁層、6Cは第3絶縁層、6Dは第4絶縁層、6Eは第5絶縁層、7Aは一層目の半導体チップ、7Bは二層目の半導体チップ、8は第1配線、8Aは第1導通ビア、8Bは第1外部接続端子、9は第2配線、9Aは第2導通ビア、10は第3配線、11は受動素子、12は第2外部接続端子である。
【0037】本実施例1の電子装置における電子モジュール1は、図2及び図3に示すように、本体(ケース)となるハウジング2の内部に、複数の絶縁体層、例えば、第1絶縁層6A、第2絶縁層6B、第3絶縁層6C、第4絶縁層6D、第5絶縁層6Eの5つの絶縁層が設けられている。前記ハウジング2は、あらかじめ所定の形状に加工された絶縁性の樹脂などからなり、前記各絶縁層を形成する絶縁樹脂6は硬化剤配合の液状絶縁樹脂である。前記絶縁樹脂6は、例えば、硬化剤配合の熱硬化性液状エポキシ樹脂、アクリロニトリル配合の変成エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、あるいはメチルピロリドン溶剤稀釈のポリイミドワニス(ポリアミック酸無水物)等の液状樹脂を用いる。また、前記各絶縁層は、同一の絶縁樹脂で統一する必要はない。またさらに、一つの絶縁層内で部分的に、異なる樹脂、または、例えば、フィラー充填などにより誘電率が異なる加工をした樹脂を選択してポッティングすることにより、一つの絶縁層を何種類かの異なる樹脂で形成しても良い。
【0038】また、前記各絶縁層間には、半導体チップ7A,7B、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11のうち少なくとも一つが設けられる。本実施例1では、前記ハウジング2と第1絶縁層6Aの間に一層目の半導体チップ7A、前記第2絶縁層6Bと第3絶縁層6Cの間に二層目の半導体チップ7Bが設けられ、前記第4絶縁層6Dと第5絶縁層6Eの間に第3配線10と受動素子11が設けられている。図2では、前記ハウジング2の内部構成をわかりやすくするために、前記半導体チップ7A,7B及び各絶縁層の厚さ方向の倍率を大きくして示しているが、前記一層目の半導体チップ7A及び二層目の半導体チップ7Bは、薄型の半導体チップであり、その厚さは、例えば50μm程度である。また、前記一層目の半導体チップ7Aは、薄型に限らず、厚い半導体チップであっても良い。なお、前記受動素子11は前記第3配線10と同時に形成される配線状のものである。また、その他の絶縁層間、第1絶縁層6Aと第2絶縁層6Bの間には第1配線8が設けられており、第3絶縁層6Cと第4絶縁層6Dの間には第2配線9が設けられている。また、前記各絶縁層間に設けられた半導体チップ7A,7B、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11は、前記各絶縁層に設けられる第1導通ビア8A、第2導通ビア9Aにより接続される。また、前記第3配線10は、前記第5絶縁層6E表面の第2外部接続端子12と接続されるとともに、図示はしていないが、導通ビアにより前記第1配線8、第2配線9等と接続されている。また、前記半導体チップ7A,7B、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11が各絶縁層間に設けられた各絶縁層は、前記ハウジング2と一体的に構成されている。すなわち、本実施例1の電子モジュール1は、前記ハウジング2に収納される半導体チップ7A,7B、受動素子11を接続して回路を形成するための基板を持たない構造になっている。
【0039】前記電源装置3は、図1及び図2に示すように、前記ハウジング2の下面(裏面)に設けられた第1取り付け部2Aに取り付けられる。このとき、図2に示すように、前記電源装置3の接続端子301が、前記第1配線8から前記第1取り付け部2Aに引き出された第1外部接続端子8Bと接触し、前記第1外部接続端子8Bから、前記第1配線8、第2配線9などを伝わって、前記各半導体チップ7A,7Bに電圧、電流が印加されて前記電子モジュールが動作する。
【0040】また、前記入力装置4は、図1及び図4に示したように、前記ハウジング2の側面に設けられた第2取り付け部2Bにはめ込まれる。このとき、前記入力装置4がはずれないように接着剤などで前記ハウジング2に固定される。また、前記入力装置4は、図3(a)に示したような構成になっており、前記入力ボタン401には導電性の接続端子402が取り付けられている。前記接続端子402は、通常はバネ403により、前記第2取り付け部2Bに露出した第1配線8及び第2配線9と非接触の状態であるが、前記入力ボタン401を押すと、図3(b)に示すように、前記接続端子402が、前記第2取り付け部に露出した第1配線8及び第2配線9と接触し、前記第1配線8と第2配線9間に電流が流れて所定の情報を入力することができ、前記電子モジュール1を操作することができる。
【0041】また、前記表示装置5は、図1及び図2に示したように、前記ハウジング2の主面設けられた第3取り付け部2Cに取り付けられる。このとき、前記表示装置5は、前記ハウジング2の凹部にふたをするようなかたちで取り付けられ、図1(a)に示すように、前記主面全面が表示領域となる。また、前記第3取り付け部2Cに表示装置5を取り付けたとき、図3に示すように、前記表示装置5の端子電極501と前記第2外部接続端子12が圧接されて、導通が確保される。前記表示装置5は、液晶ディスプレイのようなものであり、動作のための電源は前記電源装置3から供給され、前記ハウジング2内に内包された半導体チップ7A,7B、受動素子8などで構成されるドライバ回路から制御信号が入力されることにより、所定の文字、表、図形などが表示される。
【0042】図4乃至図18は、本実施例1の電子装置における電子モジュールの製造方法を説明するための模式図で、図4はハウジング2の概略構成を示す模式平面図、図5は図4のC−C’線での断面図、図6は図4のD−D’線での断面図、図7乃至図18は各製造工程の断面図である。なお、図7乃至図10、図12乃至図14、図6乃至図18は図4のC−C’線に対応する断面図を示し、図11、図15は図4のD−D’線に対応する断面図を示している。
【0043】以下、図4乃至図18に沿って、本実施例1の電子モジュールの製造方法を説明する。
【0044】まず、本実施例1の電子モジュール1を製造するためのハウジング2を準備する。前記ハウジング2は、図4乃至図6に示すように、半導体チップ7A,7B、受動素子11を内包し、各配線で接続するための第1凹部201、前記第1凹部201の底面の、前記一層目の半導体チップ7Aを設置する第2凹部202と、前記外部装置として、例えば、電源装置(電池)を取り付けるための第1取り付け部2A、入力装置を取り付けるための第2取り付け部2B、表示装置を取り付けるための第3取り付け部2Cが設けられている。また、前記第2取り付け部2Bには、図6に示すように、接続端子用の開口部が設けられているが、前記開口部はシリコーンゴムなどの栓13でふさがれている。また、図4に示すように、例えば、前記第3取り付け部2Cに、前記二層目の半導体チップ7B、各配線を形成する際に位置決めの基準とするマーカー203が設けられている。
【0045】次に、前記ハウジング2の第2凹部202に一層目の半導体チップ7を設置し、図7に示すように、前記第1凹部201内に、絶縁樹脂6を一定の高さまで流し込み、硬化させて第1絶縁層6Aを形成する。このとき、前記半導体チップ7Aは、外部電極(図示しない)が形成された面が上を向くように設置される。また、本実施例1では、前記半導体チップ7Aを設置するための第2凹部202を設けているが、この第2凹部202を設けずに、位置認識カメラ等により前記マーカー203を認識して、前記マーカー203を基準とした座標に対して前記半導体チップ7Aを位置決めして配置しても良い。また、このとき流し込む前記絶縁樹脂6の高さは、後の工程で、レーザなどによりビア穴を開口できる程度の高さがあればよいので、例えば、前記半導体チップ7Aの外部電極形成面からの高さが、約10μmから100μmとなるようにする。また、前記絶縁樹脂6は、例えば、エポキシ樹脂系の場合は170℃の雰囲気中で90分、ポリイミドの場合は250度の雰囲気で90分放置して硬化させる。
【0046】次に、例えば、炭酸ガスレーザまたはエキシマレーザを用いて、図8に示すように、前記第1絶縁層6Aの前記半導体チップ7の外部電極(図示しない)の位置にビア穴15を形成する。またこのとき、第1外部接続端子を設ける位置に前記第1取り付け部2Aまで貫通するビア穴15Aも形成される。前記ビア穴15,15Aは、穴径が50μmから100μm程度で開口面が円形または矩形をしている。
【0047】次に、図9に示すように、前記第1絶縁層6Aの表面全面、及び前記ビア穴15,15A内部に導電性薄膜からなる導電層16を形成する。前記導電層16の形成は、従来の導電性薄膜の形成方法を適用し、例えば、無電解めっき法、無電解めっき法と電気めっき法を組み合わせた方法で、銅(Cu)等の金属薄膜を形成する方法や、導電性ペーストの印刷、真空蒸着などによって形成する。
【0048】次に、図10に示すように、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、所定の配線パターンを持つ第1配線8を形成する。このとき、前記一層目の半導体チップ7Aの外部電極(図示しない)と前記第1配線8は、前記ビア穴15の側壁に形成された導電性薄膜、あるいは前記ビア穴15内部に埋め込まれた導電性材料等による第1導通ビア8Aにより接続される。また、前記第1配線8の一端は、図10に示すように、前記第1取り付け部2Aに延びるビアと接続されており、このビアが前記第1外部接続端子8Bとなる。また、前記第2取り付け部2Bの周辺は、図11に示すように、前記第1配線8の一端が前記第1凹部201の側壁、言い換えると前記第2取り付け部2Bに差し込まれた栓13に接するように形成される。
【0049】次に、前記第1絶縁層6A及び前記第1配線8上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第2絶縁層6Bを形成した後、図12に示すように、二層目の半導体チップ7Bを配置して設置する。このとき、前記半導体チップ7Bの配置は、位置認識カメラ等を用いて前記ハウジング2のマーカー203を認識し、この認識されたマーカー203を基準とする座標に対して各半導体チップ7Bの位置決めをして設置する。また、このときの各半導体チップ7Bも、外部電極(図示しない)が形成された面を上向きにして設置する。
【0050】次に、前記第2絶縁層6B及び前記二層目の半導体チップ7B上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第3絶縁層6Cを形成した後、例えば、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザ等で、図13に示すように、前記第3絶縁層6Cの所定位置にビア穴15を形成する。
【0051】次に、前記第3絶縁層6C及び前記ビア穴15の内部に導電性薄膜からなる導電層16を形成した後、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、図14に示すように、第2配線9及び第2導通ビア9Aを形成する。また、前記第2取り付け部2Bの周辺では、図15に示すように、前記第2配線9の一端が、前記第2取り付け部2Bに差し込まれた栓13に接するように形成される。
【0052】次に、前記第3絶縁層6C及び第2配線9上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第4絶縁層6Dを形成し、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザなどで前記第4絶縁層6Dの所定位置にビア穴15を形成した後、続けて、前記第4絶縁層6D上の全面に導電層16を形成し、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、図16に示すように、第3配線10及び受動素子11を形成する。前記受動素子11は、抵抗、容量、インダクタンスのような直接信号に関与しない素子であり、前記半導体チップ7A,7Bに入出力される電気信号を補償するために設けられる。また、本実施例1の前記受動素子11は、前記第4導電層6D上に設けられる配線を所定の形状にパターニングしたものであり、前記第4絶縁層6D上に限らず、前記第1配線8あるいは第2配線9を形成する際に同時に形成しても良い。
【0053】次に、前記第4絶縁層6D、第3配線10、及び受動素子11上に絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて前記第5絶縁層6Eを形成し、前記第5絶縁層6Eの所定位置に、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザ等でビア穴15を形成した後、続けて前記第5絶縁層6D上に導電層16を形成し、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、図17及び図18に示すように、第2外部電極端子12を形成すると本実施例1の電子モジュールが得られる。前記第2外部電極端子12は、前記第3取り付け部2Cに取り付けられる外部装置(表示装置5)の端子電極と対応する位置に形成される。
【0054】このように、本実施例1の電子装置に用いられる前記電子モジュール1が製造される。前記電子モジュール1は、その本体(ケース)となるハウジング2内部に、半導体チップ、配線、及び受動素子として機能する機能性薄膜素子を、複数の絶縁層を介して段階的に封止し、接続していくため、配線基板を用いずに前記電子モジュールを製造することができる。そのため、前記電子モジュールを小型化することができるとともに、使用する部品、材料の数を少なくでき、製造コストを低減させることができる。また、電子モジュールを組み立てる工程をハウジング2内で一つの工程として行うことができるので、前記電子モジュールの製造時間を短縮することができ、製造コストをさらに低減させることができる。
【0055】以上の手順に沿って製造された電子モジュール1には、別の工程で製造された電源装置3、入力装置4、表示装置5等の外部装置が取り付けられる。ここでは、図2及び図3に示すように、前記第1取り付け部2Aに電源装置3が取り付けられ、前記第2取り付け部2Bには、前記栓13を外したあと入力装置4がはめ込まれ、前記第3取り付け部2Cに表示装置5は取り付けられて、例えば、PDAのような携帯電子装置が得られる。
【0056】前記電子装置は、例えば、前記電子モジュール1の外観形状が名刺大のカード状をしているため、洋服のポケットなどに入れてもかさばらず、携帯性が良くなる。また、前記電子モジュール1の一主面全面に液晶等の表示装置が取り付けられており、表示された内容を見やすくなる。また、前記電子装置を操作するための入力装置を電子モジュール1の側面に取り付けることにより、片手で操作する場合でも、複数本の指が使えて、操作性が向上する。
【0057】以上説明したように、本実施例1によれば、電子モジュールの本体(ケース)となるハウジングに設けられた凹部に、電子モジュールを構成する半導体チップ、受動素子、及びそれらを電気的に接続する配線を、複数の絶縁層を用いて段階的に配置することにより、前記半導体チップを封止しながら配線も同時に形成できるので、前記ハウジング内部に、配線基板を持たない構成の電子モジュールを製造することができる。
【0058】また、従来別々の工程として行われていた、半導体チップを封止して半導体装置を製造する工程、前記半導体装置(半導体チップ)を搭載する配線基板を製造する工程、前記半導体装置を前記配線基板に搭載してモジュールを製造する工程、前記モジュールをハウジング内部に取り付ける工程を、前記ハウジング内部での一つの工程として行うことができるので、製造時間の短縮ができる。また、前記電子モジュールを組み立てるのに必要な部品、材料の種類を少なくすることができるので、製造コストを低減させることができる。
【0059】また、配線基板を用いない構成であることから、前記電子モジュールの小型化、薄型化ができる。
【0060】また、配線基板を用いない、複数の絶縁層により半導体チップを積層させた構造にすることができるということから、配線長を短くすることができ、電気信号の伝送の遅延時間を少なくすることができ、電気的特性が向上する。
【0061】また、従来の、半導体チップを搭載した配線基板を、ハウジング内部に取り付けた電子モジュールと異なり、前記ハウジング内部の半導体チップ、受動素子、及び配線が絶縁層を介して前記ハウジングと一体的に構成されているので、電子モジュールの耐衝撃性が向上する。
【0062】また、前記電子モジュールに接続して使用する、電源装置、入力装置、表示装置などの外部装置を取り付けるための取り付け部があらかじめ設けられたハウジングを準備して電子モジュールを製造し、その後、前記電子モジュールの所定の取り付け部に、前記外部装置を取り付ける(はめ込む)ことにより、前記電子モジュールと外部装置からなる電子装置の組み立て工程を簡略化することができ。
【0063】(実施例2)図19は、本発明による実施例2の電子装置の概略構成を示す模式図であり、図19(a)は平面図、図19(b)は図19(a)の正面図、図19(c)は図19(a)の左側面図である。
【0064】図1において、1は電子モジュール、2はハウジング、3は電源装置(充電池)、4は入力装置、401は入力ボタン、5は表示装置(液晶ディスプレイ)、20はアンテナである。
【0065】本実施例2の電子装置は無線通信機能を有する移動携帯端末であり、図19(a)、図19(b)、図19(c)に示すように、複数個の半導体チップや受動素子が収納された電子モジュール1と、前記電子モジュール1を動作させる電源装置3と、前記電子モジュール1の側面に取り付けられた入力装置4と、前記電子モジュール1の一主面(表面)に取り付けられた表示装置(液晶ディスプレイ)5と、無線通信用のアンテナ20により構成されている。前記電子モジュール1は、その本体(ケース)となるハウジング2の内部に、複数個の半導体チップ、受動素子、及びそれらを電気的に接続する配線が内包されている。また、前記入力装置4には、複数個の入力ボタン401が設けられている。また、前記電子モジュール1(ハウジング2)は、名刺サイズ程度の大きさのカード状であり、図19(b)では前記ハウジング2の厚さ方向の縮尺を変えて示しているが、実際のハウジング2の厚さtは約3mm程度である。
【0066】図20は、本実施例2の電子装置における電子モジュールの内部構成を示す模式図であり、図19(a)のA−A’線での断面図を示している。
【0067】図20において、2はハウジング、2Aは第1取り付け部、2Cは第3取り付け部、2Dは第4取り付け部、3は電源装置、301は接続端子、5は表示装置、501は接続端子、6は絶縁樹脂、6Aは第1絶縁層、6Bは第2絶縁層、6Cは第3絶縁層、6Dは第4絶縁層、6Eは第5絶縁層、7A,7A’は一層目の半導体チップ、7B,7B’は二層目の半導体チップ、8は第1配線、8Aは第1導通ビア、8Bは第1外部接続端子、8Cは第3外部接続端子、9は第2配線、9Aは第2導通ビア、10は第3配線、11は受動素子、12は第2外部接続端子、20はアンテナ、2001は接続端子である。
【0068】本実施例2の電子装置における電子モジュール1は、前記実施例1とほぼ同様の構成であり、図20に示すように、本体(ケース)となるハウジング2の内部に、複数の絶縁体層、例えば、第1絶縁層6A、第2絶縁層6B、第3絶縁層6C、第4絶縁層6D、第5絶縁層6Eの5つの絶縁層が設けられている。前記ハウジング2は、あらかじめ所定の形状に加工された絶縁性の樹脂などからなり、前記各絶縁層を形成する絶縁樹脂6は硬化剤配合の液状絶縁樹脂である。前記絶縁樹脂6は、例えば、硬化剤配合の熱硬化性液状エポキシ樹脂、アクリロニトリル配合の変成エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、あるいはメチルピロリドン溶剤稀釈のポリイミドワニス(ポリアミック酸無水物)等の液状樹脂を用いる。また、前記各絶縁層は、同一の絶縁樹脂で統一する必要はない。またさらに、一つの絶縁層内で部分的に、異なる樹脂、または、例えば、フィラー充填などにより誘電率が異なる加工をした樹脂を選択してポッティングすることにより、一つの絶縁層を何種類かの異なる樹脂で形成しても良い。
【0069】また、前記各絶縁層間には、半導体チップ7A,7A’,7B,7B’、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11のうち少なくとも一つが設けられる。本実施例2では、前記ハウジング2と第1絶縁層6Aの間に一層目の半導体チップ7A、前記第2絶縁層6Bと第3絶縁層6Cの間に二層目の半導体チップ7Bが設けられ、前記第4絶縁層6Dと第5絶縁層6Eの間に第3配線10と受動素子11が設けられている。前記一層目の半導体チップ7A及び二層目の半導体チップ7Bは、薄型の半導体チップであり、その厚さは、例えば50μm程度である。また、前記一層目の半導体チップ7Aは、薄型に限らず、厚い半導体チップであっても良い。また、本実施例2の電子モジュールは、無線通信機能を備えているため、図20に示すように、DSP,CPUなどによる信号処理を行う回路部で用いる半導体チップ7A,7Bと、例えば、800メガヘルツ(MHz )、1.5ギガヘルツ(GHz )などの無線通信用の高周波信号を処理するRF回路部で用いる半導体チップ7A’,7B’とは、前記絶縁体層内で分離された状態で配置されており、前記RF回路部での高周波信号がDSP回路部のノイズ源にならないようになっている。なお、前記受動素子11は前記第3配線10と同時に形成される配線状のものである。また、その他の絶縁層間、第1絶縁層6Aと第2絶縁層6Bの間には第1配線8が設けられており、第3絶縁層6Cと第4絶縁層6Dの間には第2配線9が設けられている。また、前記各絶縁層間に設けられた半導体チップ7A,7B、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11は、前記各絶縁層に設けられる第1導通ビア8A、第2導通ビア9Aにより接続される。また、前記第3配線10は、前記第5絶縁層6E表面の第2外部接続端子12と接続されるとともに、図示はしていないが、導通ビアにより前記第1配線8、第2配線9等と接続されている。また、前記半導体チップ7A,7B、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11が各絶縁層間に設けられた各絶縁層は、前記ハウジング2と一体的に構成されている。すなわち、本実施例2の電子モジュール1は、前記ハウジング2に収納される半導体チップ7A,7B、受動素子11を接続して回路を形成するための基板を持たない構造になっている。
【0070】前記電源装置3は、図19及び図20に示すように、前記ハウジング2の下面(裏面)に設けられた第1取り付け部2Aに取り付けられる。このとき、図2に示すように、前記電源装置3の接続端子301が、前記第1配線8から前記第1取り付け部2Aに引き出された第1外部接続端子8Bと接触し、前記第1外部接続端子8Bから、前記第1配線8、第2配線9などを伝わって、前記各半導体チップ7A,7Bに電圧、電流が印加されて前記電子モジュールが動作する。
【0071】また、前記入力装置4は前記実施例1と同様で、図1及び図3に示したように、前記ハウジング2の側面に設けられた第2取り付け部2Bにはめ込まれる。このとき、前記入力装置4がはずれないように接着剤などで前記ハウジング2に固定される。また、前記入力装置4は、図3(a)に示したような構成になっており、前記入力ボタン401には導電性の接続端子402が取り付けられている。前記接続端子402は、通常はバネ403により、前記第2取り付け部2Bに露出した第1配線8及び第2配線9と非接触の状態であるが、前記入力ボタン401を押すと、図3(b)に示すように、前記接続端子402が、前記第2取り付け部に露出した第1配線8及び第2配線9と接触し、前記第1配線8と第2配線9間に電流が流れて所定の情報を入力することができ、前記電子モジュール1を操作することができる。
【0072】また、前記表示装置5は、図19及び図20に示したように、前記ハウジング2の主面設けられた第3取り付け部2Cに取り付けられる。このとき、前記表示装置5は、前記ハウジング2の凹部に蓋をするようなかたちで取り付けられ、図19(a)に示すように、前記主面全面が表示領域となる。また、前記第3取り付け部2Cに表示装置5を取り付けたとき、図20に示すように、前記表示装置5の端子電極501と前記第2外部接続端子12が圧接されて、導通が確保される。前記表示装置5は、液晶ディスプレイのようなものであり、動作のための電源は前記電源装置3から供給され、前記ハウジング2内に内包された半導体チップ7A,7B、受動素子11などで構成されるドライバ回路から制御信号が入力されることにより、所定の文字、表、図形などが表示される。
【0073】また、前記アンテナ20は、図19及び図20に示したように、前記ハウジング2に設けられた第4取り付け部2Dに取り付けられる。このとき、図20に示したように、前記アンテナ20の接続端子2001が、前記RF回路部にある第1配線8から引き出された第3外部接続端子8Cと接続され、前記アンテナ20で受信した電波信号が前記第3外部接続端子8Cを伝わりRF回路を構成する半導体チップ7A’,7B’に入力、処理されて前記DSP回路部に出力されるとともに、前記RF回路部から前記アンテナ20に送信用の電波信号が送られる。
【0074】図21乃至図24は、本実施例2の電子装置における電子モジュールの製造方法を説明するための模式図であり、図4のC−C’線に対応する断面図を示している。
【0075】以下、図21乃至図24に沿って、本実施例2の電子モジュールの製造方法を説明するが、前記実施例1の場合とほぼ同様であるため、重複する部分の詳細な説明は省略する。
【0076】まず、本実施例2の電子モジュール1を製造するためのハウジング2を準備する。本実施例2においても、前記ハウジング2の概略構成は、図4、図6及び図21に示すように、半導体チップ7A,7B、受動素子11を内包し、各配線で接続するための第1凹部201、前記第1凹部201の底面の、前記一層目の半導体チップ7Aを設置する第2凹部202と、前記外部装置として、例えば、電源装置(電池)を取り付けるための第1取り付け部2A、入力装置を取り付けるための第2取り付け部2B、表示装置を取り付けるための第3取り付け部2C、アンテナを取り付けるための第4取り付け部2Dが設けられている。このとき、前記第4取り付け部2Dは、RF回路を形成する領域に設ける。また、前記第2取り付け部2Bは、図6に示すように、接続端子用の開口部が設けられているが、前記開口部はシリコーンゴムなどの栓13でふさがれている。また、図4に示すように、例えば、前記第3取り付け部2Cに、前記二層目の半導体チップ7B、各配線を形成する際に位置決めの基準とするマーカー203が設けられている。
【0077】次に、前記ハウジング2の第2凹部202に一層目の半導体チップ7を設置し、前記第1凹部201内に、絶縁樹脂6を一定の高さまで流し込み、硬化させて第1絶縁層6Aを形成する。このとき、前記半導体チップ7Aは、外部電極(図示しない)が形成された面が上を向くように設置される。また、本実施例1では、前記半導体チップ7Aを設置するための第2凹部202を設けているが、この第2凹部202を設けずに、位置認識カメラ等により前記マーカー203を認識して、前記マーカー203を基準とした座標に対して前記半導体チップ7Aを位置決めして配置しても良い。また、このとき流し込む前記絶縁樹脂6の高さは、後の工程で、レーザなどによりビア穴を開口できる程度の高さがあればよいので、例えば、前記半導体チップ7Aの外部電極形成面からの高さが、約10μmから100μmとなるようにする。また、前記絶縁樹脂6は、例えば、エポキシ樹脂系の場合は170℃の雰囲気中で90分、ポリイミドの場合は250度の雰囲気で90分放置して硬化させる。
【0078】次に、例えば、炭酸ガスレーザまたはエキシマレーザを用いて、図22に示すように、前記第1絶縁層6Aの前記半導体チップ7の外部電極(図示しない)の位置にビア穴15を形成する。またこのとき、所定位置に前記第1取り付け部2A、前記第4取り付け部2Dまで貫通するビア穴15Aも形成される。前記ビア穴15,15Aは、穴径が50μmから100μm程度で開口面が円形または矩形をしている。
【0079】次に、前記第1絶縁層6Aの表面全面、及び前記ビア穴15,15A内部に導電性薄膜からなる導電層16を形成する。前記導電層16の形成は、従来の導電性薄膜の形成方法を適用し、例えば、無電解めっき法、無電解めっき法と電気めっき法を組み合わせた方法で、銅(Cu)等の金属薄膜を形成する方法や、導電性ペーストの印刷、真空蒸着などによって形成する。
【0080】次に、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、所定の配線パターンを持つ第1配線8を形成する。このとき、前記一層目の半導体チップ7Aの外部電極(図示しない)と前記第1配線8は、前記ビア穴15の側壁に形成された導電性薄膜、あるいは前記ビア穴15内部に埋め込まれた導電性材料等による第1導通ビア8Aにより接続される。また、前記DSP回路部に形成された第1配線8の一端は、図23に示すように、前記第1取り付け部2Aに延びるビアと接続されており、このビアが前記第1外部接続端子8Bとなる。また、前記RF回路部に形成された第1配線8の一端は、前記第4取り付け部2Dに延びるビアと接続されており、このビアが第3外部接続端子8Cとなる。また、前記第2取り付け部2Bの周辺は、図11に示すように、前記第1配線8の一端が前記第1凹部201の側壁、言い換えると前記第2取り付け部2Bに差し込まれた栓13に接するように形成される。
【0081】次に、前記第1絶縁層6A及び前記第1配線8上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第2絶縁層6Bを形成した後、二層目の半導体チップ7Bを配置して設置する。このとき、前記半導体チップ7Bの配置は、位置認識カメラ等を用いて前記ハウジング2のマーカー203を認識し、この認識されたマーカー203を基準とする座標に対して各半導体チップ7Bの位置決めをして設置する。また、このときの各半導体チップ7B,7B´も、外部電極(図示しない)が形成された面を上向きにして設置する。
【0082】次に、前記第2絶縁層6B及び前記二層目の半導体チップ7B上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第3絶縁層6Cを形成した後、例えば、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザ等で、前記第3絶縁層6Cの所定位置にビア穴15を形成する。
【0083】次に、前記第3絶縁層6C及び前記ビア穴15の内部に導電性薄膜からなる導電層16を形成した後、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、第2配線9及び第2導通ビア9Aを形成する。また、前記第2取り付け部2Bの周辺では、前記第2配線の一端が、前記第2取り付け部2Bに差し込まれた栓13に接するように形成される。
【0084】次に、前記第3絶縁層6C及び第2配線9上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第4絶縁層6Dを形成し、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザなどで前記第4絶縁層6Dの所定位置にビア穴15を形成した後、続けて、前記第4絶縁層6D上の全面に導電層16を形成し、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、第3配線10及び受動素子11を形成する。前記受動素子11は、抵抗、容量、インダクタンスのような直接信号に関与しない素子であり、前記半導体チップ7A,7Bに入出力される電気信号を補償するために設けられる。また、本実施例1の前記受動素子11は、前記第4導電層6D上に設けられる配線を所定の形状にパターニングしたものであり、前記第4絶縁層6D上に限らず、前記第1配線8あるいは第2配線9を形成する際に同時に形成しても良い。
【0085】次に、前記第4絶縁層6D、第3配線10、及び受動素子11上に絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて前記第5絶縁層6Eを形成し、前記第5絶縁層6Eの所定位置に、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザ等でビア穴15を形成した後、続けて前記第5絶縁層6D上に導電層16を形成し、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、図24に示すように、第2外部電極端子12を形成すると本実施例2の電子モジュールが得られる。前記第2外部電極端子12は、前記第3取り付け部2Cに取り付けられる外部装置(表示装置5)の端子電極と対応する位置に形成される。
【0086】このように、本実施例2の電子装置に用いられる前記電子モジュール1が製造される。前記電子モジュール1は、その本体(ケース)となるハウジング2内部に、半導体チップ、配線、及び受動素子として機能する機能性薄膜素子を、複数の絶縁層を介して段階的に封止し、接続していくため、配線基板を用いずに前記電子モジュールを製造することができる。そのため、前記電子モジュールを小型化することができるとともに、使用する部品、材料の数を少なくでき、製造コストを低減させることができる。また、電子モジュールを組み立てる工程をハウジング2内で一つの工程として行うことができるので、前記電子モジュールの製造時間を短縮することができ、製造コストをさらに低減させることができる。
【0087】以上の手順に沿って製造された電子モジュール1には、別の工程で製造された電源装置3、入力装置4、表示装置5、アンテナ20等の外部装置が取り付けられる。ここでは、図20に示すように、前記第1取り付け部2Aに電源装置3が取り付けられ、前記第2取り付け部2Bには、前記栓13を外したあと入力装置4がはめ込まれ、前記第3取り付け部2Cに表示装置5は取り付けられ、前記第4取り付け部2Dにアンテナ20が取り付けられて、移動携帯端末のような電子装置が得られる。
【0088】前記電子装置は、例えば、前記電子モジュール1の外観形状が名刺大のカード状をしているため、洋服のポケットなどに入れてもかさばらず、携帯性が良くなる。また、前記電子モジュール1の一主面全面に液晶等の表示装置が取り付けられており、表示された内容を見やすくなる。また、前記電子装置を操作するための入力装置を電子モジュール1の側面に取り付けることにより、片手で操作する場合でも、複数本の指が使えて、操作性が向上する。
【0089】以上説明したように、本実施例2によれば、電子モジュールの本体(ケース)となるハウジングに設けられた凹部に、電子モジュールを構成する半導体チップ、受動素子、及びそれらを電気的に接続する配線を、複数の絶縁層を用いて段階的に配置することにより、前記半導体チップを封止しながら配線も同時に形成できるので、前記ハウジング内部に、配線基板を持たない構成の電子モジュールを製造することができる。
【0090】また、従来別々の工程として行われていた、半導体チップを封止して半導体装置を製造する工程、前記半導体装置(半導体チップ)を搭載する配線基板を製造する工程、前記半導体装置を前記配線基板に搭載してモジュールを製造する工程、前記モジュールをハウジング内部に取り付ける工程を、前記ハウジング内部での一つの工程として行うことができるので、製造時間の短縮ができる。また、前記電子モジュールを組み立てるのに必要な部品、材料の種類を少なくすることができるので、製造コストを低減させることができる。
【0091】また、配線基板を用いない構成であることから、前記電子モジュールの小型化、薄型化ができる。
【0092】また、配線基板を用いない、複数の絶縁層により半導体チップを積層させた構造にすることができるということから、配線長を短くすることができ、電気信号の伝送の遅延時間を少なくすることができ、電気的特性が向上する。
【0093】また、従来の、半導体チップを搭載した配線基板を、ハウジング内部に取り付けた電子モジュールと異なり、前記ハウジング内部の半導体チップ、受動素子、及び配線が絶縁層を介して前記ハウジングと一体的に構成されているので、電子モジュールの耐衝撃性が向上する。
【0094】また、前記電子モジュールに接続して使用する、電源装置、入力装置、表示装置などの外部装置を取り付けるための取り付け部があらかじめ設けられたハウジングを準備して電子モジュールを製造し、その後、前記電子モジュールの所定の取り付け部に、前記外部装置を取り付ける(はめ込む)ことにより、前記電子モジュールと外部装置からなる電子装置の組み立てを簡略化することができる。
【0095】以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることはもちろんである。
【0096】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0097】(1)電子装置を小型化することができる。
【0098】(2)電子装置の携帯性を向上させることできる。
【0099】(3)電子装置の製造時間を短縮することができる。
【0100】(4)電子装置の製造コストを削減することができる。
【0101】(5)電子装置の組み立てを簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例1の電子装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1(a)のA−A’線での断面図である。
【図3】図1(a)のB−B’線での断面図である。
【図4】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図5】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図6】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図7】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図8】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図9】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図10】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図11】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図12】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図13】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図14】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図15】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図16】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図17】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図18】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図19】本発明による実施例2の電子装置の概略構成を示す模式図である。
【図20】図19(a)のA−A’線での断面図である。
【図21】本実施例2の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図22】本実施例2の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図23】本実施例2の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図24】本実施例2の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図25】従来の携帯型電子装置の概略構成を示す模式図である。
【図26】従来の移動通信端末(携帯電話)の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 電子モジュール
2 ハウジング
201 第1凹部
202 第2凹部
203 マーカー
2A 第1取り付け部
2B 第2取り付け部
2C 第3取り付け部
2D 第4取り付け部
3 電源装置(電池)
301 接続端子
4 入力装置
401 入力ボタン
402 接続端子
403 バネ
5 表示装置(液晶ディスプレイ)
501 接続端子
6 絶縁樹脂
6A 第1絶縁層
6B 第2絶縁層
6C 第3絶縁層
6D 第4絶縁層
6E 第5絶縁層
7A,7A’ 一層目の半導体チップ
7B,7B’ 二層目の半導体チップ
8 第1配線
8A 第1導通ビア
8B 第1外部接続端子
8C 第3外部接続端子
9 第2配線
9A 第2導通ビア
10 第3配線
11 受動素子
12 第2外部接続端子
13 栓
15,15A ビア穴
16 導電層
20 アンテナ
2001 接続端子
30 ハウジング
31 入力ボタン
32 液晶ディスプレイ
33 電池(充電池)
40 ハウジング
41 入力ボタン
42 液晶ディスプレイ
43 アンテナ
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子モジュール及び電子装置、ならびにその製造方法に関し、特に、小型の携帯電子装置や携帯電話、電子SI(System Integration)装置に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、個人情報端末(PDA;Personal Digital Assistants )や携帯電話等の携帯電子装置は、その携帯性が重視され、小型化、薄型化が進んでいる。
【0003】前記PDAは、図25(a)及び図25(b)に示すように、例えば、文庫本程度のサイズのハウジング30の一主面(表面)に操作用の入力ボタン31や表示用の液晶ディスプレイ32が設けられており、前記ハウジング30の裏面に電源となる電池あるいは充電池33が取り付けられている。
【0004】前記PDAの内部構成は、図25(a)のE−E’線での断面図である図25(c)に示すように、例えば、複数個のDSP(Digital Signal Processor)、メモリなどの半導体装置(半導体チップ)34が搭載された配線基板35が、携帯電話の本体(ケース)となるハウジング30の内部にある空間に収納されている。また、前記入力ボタン31や、表示用の液晶ディスプレイ32などは、前記ハウジング30に取り付けられており、図25(c)では省略しているが、前記入力ボタン31や液晶ディスプレイ32の接続端子が、前記配線基板35に接続されている。前記PDAのような従来の電子装置では、搭載する半導体装置(半導体チップ)34の小型化、薄型化、ならびに前記配線基板35上の配線の微細化や高密度化、あるいは基板の薄型化によって、収納するハウジング30の小型化を図り、電子装置全体が小型化されている。
【0005】また、前記PDAの他にも、例えば、図26に示したような、移動通信端末(携帯電話)などでも、半導体装置(半導体チップ)を搭載した配線基板がハウジング40内部に設けられた空間に収納されており、前記ハウジング40の表面に操作ボタン41、液晶ディスプレイ42、無線通信用のアンテナ43が設けられている。
【0006】前記PDAや携帯電話などの携帯電子装置は、小型で携帯性が良いとともに、近年の通信技術の発達や、インターネットの普及等により、前記PDAに携帯電話を接続して、あるいは携帯電話単体でネットワークに接続して各種情報を閲覧、取得することが出来るようになってきており、今後広く普及すると予想される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の技術では、例えば、図25(c)に示したような、前記電子装置(PDA)に用いる半導体装置(半導体チップ)34を製造する工程、前記半導体装置(半導体チップ)34を搭載する配線基板35を製造する工程、前記半導体装置(半導体チップ)34を前記配線基板35に搭載する工程、前記半導体装置(半導体チップ)34を搭載した配線基板35、入力ボタン31、液晶ディスプレイ32等をハウジング30に取り付けて電子装置(PDA)を組み立てる工程が、個別の工程として行われているため、前記電子装置の製造時間が長くなるという問題があった。
【0008】また、製造時間がかかるとともに、多くの種類の部品、材料を使用するため、前記電子装置の製造コストが増大するという問題があった。
【0009】また、前記電子装置では、前記ハウジング内に、別工程で製造された配線基板を収納するための収納スペースと、前記配線基板と他の液晶ディスプレイ、入力キー、アンテナ等を接続するためのスペースも必要である。さらに、近年では半導体チップの小型化、配線基板の薄型化などが難しくなってきているため、前記電子装置の小型化が難しくなってきているという問題があった。
【0010】また、前記図25(a)及び図25(b)に示したような前記PDAでは、その大きさが、文庫本程度であり、片手での操作が難しい、洋服のポケットなどに携帯しにくいといった問題があった。
【0011】また、図26に示したような、携帯電話などでは一般的に、前記操作ボタン41と前記表示用の液晶ディスプレイ42が前記ハウジング40の同じ面に形成されており、液晶ディスプレイ42の表示面積の大型化が難しい。また、液晶ディスプレイ42を見ながら操作する際に、前記入力ボタン41が液晶ディスプレイ42と同じ面に設けられているため、片手で操作する場合には親指で前記入力キー41を操作するのが一般的である。そのため、指一本で操作することが多く、操作性が低いという問題があった。
【0012】本発明の目的は、電子装置の小型化をすることが可能な技術を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、電子装置の携帯性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、電子装置の製造時間を短縮することが可能な技術を提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、電子装置の製造コストを削減することが可能な技術を提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、電子装置の組み立てを簡略化することが可能な技術を提供することにある。
【0017】本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【0018】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明の概要を説明すれば、以下のとおりである。
【0019】(1)複数個の半導体チップと、前記半導体チップに入出力される電気信号を補償する受動素子と、前記各半導体チップの外部電極及び受動素子間を電気的に接続する配線と、前記半導体チップ及び前記受動素子ならびに前記配線を内包するハウジングと、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子とを有する電子モジュールであって、前記ハウジングの内部に、複数の絶縁体層を設け、前記絶縁体層間に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のうち少なくとも一つを設け、前記絶縁体層に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のそれぞれを接続するための導通ビアを設けてなる電子モジュールである。
【0020】(2)複数個の半導体チップ、受動素子、前記各半導体チップの外部電極、及び受動素子間を電気的に接続する配線、前記半導体チップ及び前記受動素子ならびに前記配線を内包するハウジング、及び前記配線と外部装置を接続する外部接続端子を有する電子モジュールと、前記電子モジュールの外部接続端子と接続される端子電極を外部装置とを備える電子装置であって、前記ハウジングの内部に、複数の絶縁体層を設け、前記絶縁体層間に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のうち少なくとも一つを設け、前記絶縁体層に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線間のそれぞれを接続する導通ビアを設け、前記ハウジングの所定の位置に、前記外部装置を取り付ける取り付け部を設け、前記取り付け部に前記外部接続端子を設け、前記外部装置が前記取り付け部に取り付けられ、前記外部装置の端子電極と前記外部接続端子が接続されている電子装置である。
【0021】(3)複数個の半導体チップ、受動素子、前記各半導体チップの外部電極及び前記受動素子間を電気的に接続する配線をハウジング内に埋め込む工程と、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子を形成する工程を備える電子モジュールの製造方法であって、所定の形状をした凹部を有するハウジングを準備する準備工程と、前記ハウジングの前記凹部内に前記半導体チップあるいは前記受動素子を配置する配置工程と、前記半導体チップ及び受動素子上に、液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第1絶縁層を形成する第1絶縁層形成工程と、前記第1絶縁層の所定位置にビア穴を形成するビア穴形成工程と、前記第1絶前記第1絶縁層の所定位置にビア穴を形成するビア穴形成工程と、前記第1絶縁層上及びビア穴の側壁に導電膜を形成した後、前記第1絶縁層上の前記導電膜をエッチングして配線を形成する配線形成工程と、前記配線及び第1絶縁層上に液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第2絶縁層を形成する第2絶縁層形成工程と、前記第2絶縁層の所定位置に外部接続端子形成用の開口部を形成し、前記開口部に外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程とを備える電子モジュールの製造方法である。
【0022】前記(1)に記載の電子モジュールによれば、前記電子モジュールの本体(ケース)となるハウジングの内部に、複数層の絶縁層を設け、前記複数層間に設けられる半導体チップ、受動素子、配線を前記絶縁層に設けた導通ビアで接続することにより、配線基板を用いることなく前記電子モジュールを製造することができるため、前記電子装置を小型化することができる。
【0023】また、近年では、前記半導体チップの薄型化が進み、厚さが約50μm程度になっているため、前記各半導体チップを複数の絶縁体層間に設けて、前記半導体チップを積層した構成にすることも可能である。言い換えると、従来配線基板上に平面的に配置されていた半導体チップ同士を縦方向に積層することができるため、配線長を短くすることができ、電気信号の伝送時間の遅延を少なくすることができ、電気的特性を向上させることができる。
【0024】また、前記(1)の手段では、前記複数の絶縁体層のうち、少なくとも一層または同一層内の一部分が、異なる誘電率を有するような構成にして、前記絶縁体層と、この絶縁体層間に設けられる配線とにより、抵抗、容量、インダクタンスなどの受動素子を形成し、前記半導体チップに入出力される電気信号の補償を行いやすくなる。
【0025】また、前記(1)の手段の電子モジュールは、前記(2)の手段のように、外部装置を接続して電子装置として用い、前記外部装置には、前記電子モジュールを動作させる電源装置や、入力装置、表示装置、無線通信用のアンテナなどがあげられ、前記各外部装置は、前記ハウジングの所定位置に設けられた取り付け部に取り付けられる。
【0026】また、前記(2)の手段の電子装置は、前記電子モジュールを小型化して、その大きさ(外観形状)を、例えば、名刺サイズのカード状にすることができ、洋服のポケット等に入れてもかさばらず、携帯性が向上する。また、前記電子モジュールに取り付ける表示装置を、前記カード状の電子モジュールの一主面全面に取り付けることにより、表示される情報が見やすくなる。またこのとき、前記入力装置を、前記電子モジュールの側面部に取り付けることにより、片手でも、複数本の指を使って操作することが出来るようになり、操作性が向上する。
【0027】前記(1)の手段の電子モジュールは、前記(3)の手段のように、まず、所定の形状の凹部を持ったハウジングを準備して、前記凹部内に、半導体チップを配置し、絶縁樹脂を流し込み、ビア穴をあけて配線及び導通ビアを形成し、これらの工程を複数回繰り返して、複数の絶縁層間に半導体チップ、配線のいずれかが設けられる構成にすることにより、半導体装置(半導体チップ)を搭載する配線基板を製造する工程、前記配線基板に半導体装置(半導体チップ)を搭載する工程、前記半導体装置(半導体チップ)を搭載した配線基板を前記ハウジングに収納するといった、従来複数の別の工程として行われていたものを、前記ハウジング内で一つの工程として行うことができるので、製造時間を短縮することができる。また、製造時間を短縮するとともに、前記電子モジュールの製造に必要な部品、材料の数を減らすことができるので製造コストを低減させることができる。
【0028】また、前記絶縁層を形成するときに、他の絶縁層と誘電率が異なる絶縁樹脂を用いる、あるいは部分的に誘電率が異なる絶縁層を形成することにより、前記配線を用いて受動素子を構成することができる。
【0029】また、前記(2)の手段の電子装置を製造する場合には、前記(3)の手段により製造する電子装置で使用するハウジングに、あらかじめ前記外部装置を取り付ける取り付け部を設けておき、前記(3)の手段に沿って前記電子モジュールを製造した後、前記ハウジングに設けられた取り付け部に、前記外部装置をはめ込むように取り付ける。このとき、前記外部装置の端子電極が前記外部接続端子と接続されるように前記外部接続端子を前記取り付け部に形成しておく。
【0030】以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
【0031】なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号をつけ、その繰り返しの説明は省略する。
【0032】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1は、本発明による実施例1の電子装置の概略構成を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)の正面図、図1(c)は図1(a)の左側面図である。
【0033】図1において、1は電子モジュール、2はハウジング、3は電源装置(充電池)、4は入力装置、401は入力ボタン、5は表示装置(液晶ディスプレイ)である。
【0034】本実施例1の電子装置は、図1(a)、図1(b)、図1(c)に示すように、複数個の半導体チップや受動素子が収納された電子モジュール1と、前記電子モジュール1を動作させる電源装置3と、前記電子モジュール1の側面に取り付けられた入力装置4と、前記電子モジュール1の一主面(表面)に取り付けられた表示装置(液晶ディスプレイ)5とにより構成されている。前記電子モジュール1は、その本体(ケース)となるハウジング2の内部に、複数個の半導体チップ、受動素子、及びそれらを電気的に接続する配線が内包されている。また、前記入力装置4には、複数個の入力ボタン401が設けられている。また、前記電子モジュール1(ハウジング2)は、名刺サイズ程度の大きさのカード状であり、図1(b)では前記ハウジング2の厚さ方向の縮尺を変えて示しているが、実際のハウジング2の厚さtは約3mm程度である。
【0035】図2及び図3は、本実施例1の電子装置における電子モジュールの内部構成を示す模式図であり、図2は図1のA−A’線での断面図、図3は図1のB−B’線での断面図である。
【0036】図2及び図3において、2はハウジング、2Aは第1取り付け部、2Bは第2取り付け部、2Cは第3取り付け部、3は電源装置、301は接続端子、4は入力装置、401は入力ボタン、402は接続端子、403はバネ、5は表示装置、501は接続端子、6は絶縁樹脂、6Aは第1絶縁層、6Bは第2絶縁層、6Cは第3絶縁層、6Dは第4絶縁層、6Eは第5絶縁層、7Aは一層目の半導体チップ、7Bは二層目の半導体チップ、8は第1配線、8Aは第1導通ビア、8Bは第1外部接続端子、9は第2配線、9Aは第2導通ビア、10は第3配線、11は受動素子、12は第2外部接続端子である。
【0037】本実施例1の電子装置における電子モジュール1は、図2及び図3に示すように、本体(ケース)となるハウジング2の内部に、複数の絶縁体層、例えば、第1絶縁層6A、第2絶縁層6B、第3絶縁層6C、第4絶縁層6D、第5絶縁層6Eの5つの絶縁層が設けられている。前記ハウジング2は、あらかじめ所定の形状に加工された絶縁性の樹脂などからなり、前記各絶縁層を形成する絶縁樹脂6は硬化剤配合の液状絶縁樹脂である。前記絶縁樹脂6は、例えば、硬化剤配合の熱硬化性液状エポキシ樹脂、アクリロニトリル配合の変成エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、あるいはメチルピロリドン溶剤稀釈のポリイミドワニス(ポリアミック酸無水物)等の液状樹脂を用いる。また、前記各絶縁層は、同一の絶縁樹脂で統一する必要はない。またさらに、一つの絶縁層内で部分的に、異なる樹脂、または、例えば、フィラー充填などにより誘電率が異なる加工をした樹脂を選択してポッティングすることにより、一つの絶縁層を何種類かの異なる樹脂で形成しても良い。
【0038】また、前記各絶縁層間には、半導体チップ7A,7B、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11のうち少なくとも一つが設けられる。本実施例1では、前記ハウジング2と第1絶縁層6Aの間に一層目の半導体チップ7A、前記第2絶縁層6Bと第3絶縁層6Cの間に二層目の半導体チップ7Bが設けられ、前記第4絶縁層6Dと第5絶縁層6Eの間に第3配線10と受動素子11が設けられている。図2では、前記ハウジング2の内部構成をわかりやすくするために、前記半導体チップ7A,7B及び各絶縁層の厚さ方向の倍率を大きくして示しているが、前記一層目の半導体チップ7A及び二層目の半導体チップ7Bは、薄型の半導体チップであり、その厚さは、例えば50μm程度である。また、前記一層目の半導体チップ7Aは、薄型に限らず、厚い半導体チップであっても良い。なお、前記受動素子11は前記第3配線10と同時に形成される配線状のものである。また、その他の絶縁層間、第1絶縁層6Aと第2絶縁層6Bの間には第1配線8が設けられており、第3絶縁層6Cと第4絶縁層6Dの間には第2配線9が設けられている。また、前記各絶縁層間に設けられた半導体チップ7A,7B、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11は、前記各絶縁層に設けられる第1導通ビア8A、第2導通ビア9Aにより接続される。また、前記第3配線10は、前記第5絶縁層6E表面の第2外部接続端子12と接続されるとともに、図示はしていないが、導通ビアにより前記第1配線8、第2配線9等と接続されている。また、前記半導体チップ7A,7B、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11が各絶縁層間に設けられた各絶縁層は、前記ハウジング2と一体的に構成されている。すなわち、本実施例1の電子モジュール1は、前記ハウジング2に収納される半導体チップ7A,7B、受動素子11を接続して回路を形成するための基板を持たない構造になっている。
【0039】前記電源装置3は、図1及び図2に示すように、前記ハウジング2の下面(裏面)に設けられた第1取り付け部2Aに取り付けられる。このとき、図2に示すように、前記電源装置3の接続端子301が、前記第1配線8から前記第1取り付け部2Aに引き出された第1外部接続端子8Bと接触し、前記第1外部接続端子8Bから、前記第1配線8、第2配線9などを伝わって、前記各半導体チップ7A,7Bに電圧、電流が印加されて前記電子モジュールが動作する。
【0040】また、前記入力装置4は、図1及び図4に示したように、前記ハウジング2の側面に設けられた第2取り付け部2Bにはめ込まれる。このとき、前記入力装置4がはずれないように接着剤などで前記ハウジング2に固定される。また、前記入力装置4は、図3(a)に示したような構成になっており、前記入力ボタン401には導電性の接続端子402が取り付けられている。前記接続端子402は、通常はバネ403により、前記第2取り付け部2Bに露出した第1配線8及び第2配線9と非接触の状態であるが、前記入力ボタン401を押すと、図3(b)に示すように、前記接続端子402が、前記第2取り付け部に露出した第1配線8及び第2配線9と接触し、前記第1配線8と第2配線9間に電流が流れて所定の情報を入力することができ、前記電子モジュール1を操作することができる。
【0041】また、前記表示装置5は、図1及び図2に示したように、前記ハウジング2の主面設けられた第3取り付け部2Cに取り付けられる。このとき、前記表示装置5は、前記ハウジング2の凹部にふたをするようなかたちで取り付けられ、図1(a)に示すように、前記主面全面が表示領域となる。また、前記第3取り付け部2Cに表示装置5を取り付けたとき、図3に示すように、前記表示装置5の端子電極501と前記第2外部接続端子12が圧接されて、導通が確保される。前記表示装置5は、液晶ディスプレイのようなものであり、動作のための電源は前記電源装置3から供給され、前記ハウジング2内に内包された半導体チップ7A,7B、受動素子8などで構成されるドライバ回路から制御信号が入力されることにより、所定の文字、表、図形などが表示される。
【0042】図4乃至図18は、本実施例1の電子装置における電子モジュールの製造方法を説明するための模式図で、図4はハウジング2の概略構成を示す模式平面図、図5は図4のC−C’線での断面図、図6は図4のD−D’線での断面図、図7乃至図18は各製造工程の断面図である。なお、図7乃至図10、図12乃至図14、図6乃至図18は図4のC−C’線に対応する断面図を示し、図11、図15は図4のD−D’線に対応する断面図を示している。
【0043】以下、図4乃至図18に沿って、本実施例1の電子モジュールの製造方法を説明する。
【0044】まず、本実施例1の電子モジュール1を製造するためのハウジング2を準備する。前記ハウジング2は、図4乃至図6に示すように、半導体チップ7A,7B、受動素子11を内包し、各配線で接続するための第1凹部201、前記第1凹部201の底面の、前記一層目の半導体チップ7Aを設置する第2凹部202と、前記外部装置として、例えば、電源装置(電池)を取り付けるための第1取り付け部2A、入力装置を取り付けるための第2取り付け部2B、表示装置を取り付けるための第3取り付け部2Cが設けられている。また、前記第2取り付け部2Bには、図6に示すように、接続端子用の開口部が設けられているが、前記開口部はシリコーンゴムなどの栓13でふさがれている。また、図4に示すように、例えば、前記第3取り付け部2Cに、前記二層目の半導体チップ7B、各配線を形成する際に位置決めの基準とするマーカー203が設けられている。
【0045】次に、前記ハウジング2の第2凹部202に一層目の半導体チップ7を設置し、図7に示すように、前記第1凹部201内に、絶縁樹脂6を一定の高さまで流し込み、硬化させて第1絶縁層6Aを形成する。このとき、前記半導体チップ7Aは、外部電極(図示しない)が形成された面が上を向くように設置される。また、本実施例1では、前記半導体チップ7Aを設置するための第2凹部202を設けているが、この第2凹部202を設けずに、位置認識カメラ等により前記マーカー203を認識して、前記マーカー203を基準とした座標に対して前記半導体チップ7Aを位置決めして配置しても良い。また、このとき流し込む前記絶縁樹脂6の高さは、後の工程で、レーザなどによりビア穴を開口できる程度の高さがあればよいので、例えば、前記半導体チップ7Aの外部電極形成面からの高さが、約10μmから100μmとなるようにする。また、前記絶縁樹脂6は、例えば、エポキシ樹脂系の場合は170℃の雰囲気中で90分、ポリイミドの場合は250度の雰囲気で90分放置して硬化させる。
【0046】次に、例えば、炭酸ガスレーザまたはエキシマレーザを用いて、図8に示すように、前記第1絶縁層6Aの前記半導体チップ7の外部電極(図示しない)の位置にビア穴15を形成する。またこのとき、第1外部接続端子を設ける位置に前記第1取り付け部2Aまで貫通するビア穴15Aも形成される。前記ビア穴15,15Aは、穴径が50μmから100μm程度で開口面が円形または矩形をしている。
【0047】次に、図9に示すように、前記第1絶縁層6Aの表面全面、及び前記ビア穴15,15A内部に導電性薄膜からなる導電層16を形成する。前記導電層16の形成は、従来の導電性薄膜の形成方法を適用し、例えば、無電解めっき法、無電解めっき法と電気めっき法を組み合わせた方法で、銅(Cu)等の金属薄膜を形成する方法や、導電性ペーストの印刷、真空蒸着などによって形成する。
【0048】次に、図10に示すように、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、所定の配線パターンを持つ第1配線8を形成する。このとき、前記一層目の半導体チップ7Aの外部電極(図示しない)と前記第1配線8は、前記ビア穴15の側壁に形成された導電性薄膜、あるいは前記ビア穴15内部に埋め込まれた導電性材料等による第1導通ビア8Aにより接続される。また、前記第1配線8の一端は、図10に示すように、前記第1取り付け部2Aに延びるビアと接続されており、このビアが前記第1外部接続端子8Bとなる。また、前記第2取り付け部2Bの周辺は、図11に示すように、前記第1配線8の一端が前記第1凹部201の側壁、言い換えると前記第2取り付け部2Bに差し込まれた栓13に接するように形成される。
【0049】次に、前記第1絶縁層6A及び前記第1配線8上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第2絶縁層6Bを形成した後、図12に示すように、二層目の半導体チップ7Bを配置して設置する。このとき、前記半導体チップ7Bの配置は、位置認識カメラ等を用いて前記ハウジング2のマーカー203を認識し、この認識されたマーカー203を基準とする座標に対して各半導体チップ7Bの位置決めをして設置する。また、このときの各半導体チップ7Bも、外部電極(図示しない)が形成された面を上向きにして設置する。
【0050】次に、前記第2絶縁層6B及び前記二層目の半導体チップ7B上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第3絶縁層6Cを形成した後、例えば、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザ等で、図13に示すように、前記第3絶縁層6Cの所定位置にビア穴15を形成する。
【0051】次に、前記第3絶縁層6C及び前記ビア穴15の内部に導電性薄膜からなる導電層16を形成した後、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、図14に示すように、第2配線9及び第2導通ビア9Aを形成する。また、前記第2取り付け部2Bの周辺では、図15に示すように、前記第2配線9の一端が、前記第2取り付け部2Bに差し込まれた栓13に接するように形成される。
【0052】次に、前記第3絶縁層6C及び第2配線9上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第4絶縁層6Dを形成し、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザなどで前記第4絶縁層6Dの所定位置にビア穴15を形成した後、続けて、前記第4絶縁層6D上の全面に導電層16を形成し、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、図16に示すように、第3配線10及び受動素子11を形成する。前記受動素子11は、抵抗、容量、インダクタンスのような直接信号に関与しない素子であり、前記半導体チップ7A,7Bに入出力される電気信号を補償するために設けられる。また、本実施例1の前記受動素子11は、前記第4導電層6D上に設けられる配線を所定の形状にパターニングしたものであり、前記第4絶縁層6D上に限らず、前記第1配線8あるいは第2配線9を形成する際に同時に形成しても良い。
【0053】次に、前記第4絶縁層6D、第3配線10、及び受動素子11上に絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて前記第5絶縁層6Eを形成し、前記第5絶縁層6Eの所定位置に、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザ等でビア穴15を形成した後、続けて前記第5絶縁層6D上に導電層16を形成し、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、図17及び図18に示すように、第2外部電極端子12を形成すると本実施例1の電子モジュールが得られる。前記第2外部電極端子12は、前記第3取り付け部2Cに取り付けられる外部装置(表示装置5)の端子電極と対応する位置に形成される。
【0054】このように、本実施例1の電子装置に用いられる前記電子モジュール1が製造される。前記電子モジュール1は、その本体(ケース)となるハウジング2内部に、半導体チップ、配線、及び受動素子として機能する機能性薄膜素子を、複数の絶縁層を介して段階的に封止し、接続していくため、配線基板を用いずに前記電子モジュールを製造することができる。そのため、前記電子モジュールを小型化することができるとともに、使用する部品、材料の数を少なくでき、製造コストを低減させることができる。また、電子モジュールを組み立てる工程をハウジング2内で一つの工程として行うことができるので、前記電子モジュールの製造時間を短縮することができ、製造コストをさらに低減させることができる。
【0055】以上の手順に沿って製造された電子モジュール1には、別の工程で製造された電源装置3、入力装置4、表示装置5等の外部装置が取り付けられる。ここでは、図2及び図3に示すように、前記第1取り付け部2Aに電源装置3が取り付けられ、前記第2取り付け部2Bには、前記栓13を外したあと入力装置4がはめ込まれ、前記第3取り付け部2Cに表示装置5は取り付けられて、例えば、PDAのような携帯電子装置が得られる。
【0056】前記電子装置は、例えば、前記電子モジュール1の外観形状が名刺大のカード状をしているため、洋服のポケットなどに入れてもかさばらず、携帯性が良くなる。また、前記電子モジュール1の一主面全面に液晶等の表示装置が取り付けられており、表示された内容を見やすくなる。また、前記電子装置を操作するための入力装置を電子モジュール1の側面に取り付けることにより、片手で操作する場合でも、複数本の指が使えて、操作性が向上する。
【0057】以上説明したように、本実施例1によれば、電子モジュールの本体(ケース)となるハウジングに設けられた凹部に、電子モジュールを構成する半導体チップ、受動素子、及びそれらを電気的に接続する配線を、複数の絶縁層を用いて段階的に配置することにより、前記半導体チップを封止しながら配線も同時に形成できるので、前記ハウジング内部に、配線基板を持たない構成の電子モジュールを製造することができる。
【0058】また、従来別々の工程として行われていた、半導体チップを封止して半導体装置を製造する工程、前記半導体装置(半導体チップ)を搭載する配線基板を製造する工程、前記半導体装置を前記配線基板に搭載してモジュールを製造する工程、前記モジュールをハウジング内部に取り付ける工程を、前記ハウジング内部での一つの工程として行うことができるので、製造時間の短縮ができる。また、前記電子モジュールを組み立てるのに必要な部品、材料の種類を少なくすることができるので、製造コストを低減させることができる。
【0059】また、配線基板を用いない構成であることから、前記電子モジュールの小型化、薄型化ができる。
【0060】また、配線基板を用いない、複数の絶縁層により半導体チップを積層させた構造にすることができるということから、配線長を短くすることができ、電気信号の伝送の遅延時間を少なくすることができ、電気的特性が向上する。
【0061】また、従来の、半導体チップを搭載した配線基板を、ハウジング内部に取り付けた電子モジュールと異なり、前記ハウジング内部の半導体チップ、受動素子、及び配線が絶縁層を介して前記ハウジングと一体的に構成されているので、電子モジュールの耐衝撃性が向上する。
【0062】また、前記電子モジュールに接続して使用する、電源装置、入力装置、表示装置などの外部装置を取り付けるための取り付け部があらかじめ設けられたハウジングを準備して電子モジュールを製造し、その後、前記電子モジュールの所定の取り付け部に、前記外部装置を取り付ける(はめ込む)ことにより、前記電子モジュールと外部装置からなる電子装置の組み立て工程を簡略化することができ。
【0063】(実施例2)図19は、本発明による実施例2の電子装置の概略構成を示す模式図であり、図19(a)は平面図、図19(b)は図19(a)の正面図、図19(c)は図19(a)の左側面図である。
【0064】図1において、1は電子モジュール、2はハウジング、3は電源装置(充電池)、4は入力装置、401は入力ボタン、5は表示装置(液晶ディスプレイ)、20はアンテナである。
【0065】本実施例2の電子装置は無線通信機能を有する移動携帯端末であり、図19(a)、図19(b)、図19(c)に示すように、複数個の半導体チップや受動素子が収納された電子モジュール1と、前記電子モジュール1を動作させる電源装置3と、前記電子モジュール1の側面に取り付けられた入力装置4と、前記電子モジュール1の一主面(表面)に取り付けられた表示装置(液晶ディスプレイ)5と、無線通信用のアンテナ20により構成されている。前記電子モジュール1は、その本体(ケース)となるハウジング2の内部に、複数個の半導体チップ、受動素子、及びそれらを電気的に接続する配線が内包されている。また、前記入力装置4には、複数個の入力ボタン401が設けられている。また、前記電子モジュール1(ハウジング2)は、名刺サイズ程度の大きさのカード状であり、図19(b)では前記ハウジング2の厚さ方向の縮尺を変えて示しているが、実際のハウジング2の厚さtは約3mm程度である。
【0066】図20は、本実施例2の電子装置における電子モジュールの内部構成を示す模式図であり、図19(a)のA−A’線での断面図を示している。
【0067】図20において、2はハウジング、2Aは第1取り付け部、2Cは第3取り付け部、2Dは第4取り付け部、3は電源装置、301は接続端子、5は表示装置、501は接続端子、6は絶縁樹脂、6Aは第1絶縁層、6Bは第2絶縁層、6Cは第3絶縁層、6Dは第4絶縁層、6Eは第5絶縁層、7A,7A’は一層目の半導体チップ、7B,7B’は二層目の半導体チップ、8は第1配線、8Aは第1導通ビア、8Bは第1外部接続端子、8Cは第3外部接続端子、9は第2配線、9Aは第2導通ビア、10は第3配線、11は受動素子、12は第2外部接続端子、20はアンテナ、2001は接続端子である。
【0068】本実施例2の電子装置における電子モジュール1は、前記実施例1とほぼ同様の構成であり、図20に示すように、本体(ケース)となるハウジング2の内部に、複数の絶縁体層、例えば、第1絶縁層6A、第2絶縁層6B、第3絶縁層6C、第4絶縁層6D、第5絶縁層6Eの5つの絶縁層が設けられている。前記ハウジング2は、あらかじめ所定の形状に加工された絶縁性の樹脂などからなり、前記各絶縁層を形成する絶縁樹脂6は硬化剤配合の液状絶縁樹脂である。前記絶縁樹脂6は、例えば、硬化剤配合の熱硬化性液状エポキシ樹脂、アクリロニトリル配合の変成エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、あるいはメチルピロリドン溶剤稀釈のポリイミドワニス(ポリアミック酸無水物)等の液状樹脂を用いる。また、前記各絶縁層は、同一の絶縁樹脂で統一する必要はない。またさらに、一つの絶縁層内で部分的に、異なる樹脂、または、例えば、フィラー充填などにより誘電率が異なる加工をした樹脂を選択してポッティングすることにより、一つの絶縁層を何種類かの異なる樹脂で形成しても良い。
【0069】また、前記各絶縁層間には、半導体チップ7A,7A’,7B,7B’、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11のうち少なくとも一つが設けられる。本実施例2では、前記ハウジング2と第1絶縁層6Aの間に一層目の半導体チップ7A、前記第2絶縁層6Bと第3絶縁層6Cの間に二層目の半導体チップ7Bが設けられ、前記第4絶縁層6Dと第5絶縁層6Eの間に第3配線10と受動素子11が設けられている。前記一層目の半導体チップ7A及び二層目の半導体チップ7Bは、薄型の半導体チップであり、その厚さは、例えば50μm程度である。また、前記一層目の半導体チップ7Aは、薄型に限らず、厚い半導体チップであっても良い。また、本実施例2の電子モジュールは、無線通信機能を備えているため、図20に示すように、DSP,CPUなどによる信号処理を行う回路部で用いる半導体チップ7A,7Bと、例えば、800メガヘルツ(MHz )、1.5ギガヘルツ(GHz )などの無線通信用の高周波信号を処理するRF回路部で用いる半導体チップ7A’,7B’とは、前記絶縁体層内で分離された状態で配置されており、前記RF回路部での高周波信号がDSP回路部のノイズ源にならないようになっている。なお、前記受動素子11は前記第3配線10と同時に形成される配線状のものである。また、その他の絶縁層間、第1絶縁層6Aと第2絶縁層6Bの間には第1配線8が設けられており、第3絶縁層6Cと第4絶縁層6Dの間には第2配線9が設けられている。また、前記各絶縁層間に設けられた半導体チップ7A,7B、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11は、前記各絶縁層に設けられる第1導通ビア8A、第2導通ビア9Aにより接続される。また、前記第3配線10は、前記第5絶縁層6E表面の第2外部接続端子12と接続されるとともに、図示はしていないが、導通ビアにより前記第1配線8、第2配線9等と接続されている。また、前記半導体チップ7A,7B、第1配線8、第2配線9、第3配線10、受動素子11が各絶縁層間に設けられた各絶縁層は、前記ハウジング2と一体的に構成されている。すなわち、本実施例2の電子モジュール1は、前記ハウジング2に収納される半導体チップ7A,7B、受動素子11を接続して回路を形成するための基板を持たない構造になっている。
【0070】前記電源装置3は、図19及び図20に示すように、前記ハウジング2の下面(裏面)に設けられた第1取り付け部2Aに取り付けられる。このとき、図2に示すように、前記電源装置3の接続端子301が、前記第1配線8から前記第1取り付け部2Aに引き出された第1外部接続端子8Bと接触し、前記第1外部接続端子8Bから、前記第1配線8、第2配線9などを伝わって、前記各半導体チップ7A,7Bに電圧、電流が印加されて前記電子モジュールが動作する。
【0071】また、前記入力装置4は前記実施例1と同様で、図1及び図3に示したように、前記ハウジング2の側面に設けられた第2取り付け部2Bにはめ込まれる。このとき、前記入力装置4がはずれないように接着剤などで前記ハウジング2に固定される。また、前記入力装置4は、図3(a)に示したような構成になっており、前記入力ボタン401には導電性の接続端子402が取り付けられている。前記接続端子402は、通常はバネ403により、前記第2取り付け部2Bに露出した第1配線8及び第2配線9と非接触の状態であるが、前記入力ボタン401を押すと、図3(b)に示すように、前記接続端子402が、前記第2取り付け部に露出した第1配線8及び第2配線9と接触し、前記第1配線8と第2配線9間に電流が流れて所定の情報を入力することができ、前記電子モジュール1を操作することができる。
【0072】また、前記表示装置5は、図19及び図20に示したように、前記ハウジング2の主面設けられた第3取り付け部2Cに取り付けられる。このとき、前記表示装置5は、前記ハウジング2の凹部に蓋をするようなかたちで取り付けられ、図19(a)に示すように、前記主面全面が表示領域となる。また、前記第3取り付け部2Cに表示装置5を取り付けたとき、図20に示すように、前記表示装置5の端子電極501と前記第2外部接続端子12が圧接されて、導通が確保される。前記表示装置5は、液晶ディスプレイのようなものであり、動作のための電源は前記電源装置3から供給され、前記ハウジング2内に内包された半導体チップ7A,7B、受動素子11などで構成されるドライバ回路から制御信号が入力されることにより、所定の文字、表、図形などが表示される。
【0073】また、前記アンテナ20は、図19及び図20に示したように、前記ハウジング2に設けられた第4取り付け部2Dに取り付けられる。このとき、図20に示したように、前記アンテナ20の接続端子2001が、前記RF回路部にある第1配線8から引き出された第3外部接続端子8Cと接続され、前記アンテナ20で受信した電波信号が前記第3外部接続端子8Cを伝わりRF回路を構成する半導体チップ7A’,7B’に入力、処理されて前記DSP回路部に出力されるとともに、前記RF回路部から前記アンテナ20に送信用の電波信号が送られる。
【0074】図21乃至図24は、本実施例2の電子装置における電子モジュールの製造方法を説明するための模式図であり、図4のC−C’線に対応する断面図を示している。
【0075】以下、図21乃至図24に沿って、本実施例2の電子モジュールの製造方法を説明するが、前記実施例1の場合とほぼ同様であるため、重複する部分の詳細な説明は省略する。
【0076】まず、本実施例2の電子モジュール1を製造するためのハウジング2を準備する。本実施例2においても、前記ハウジング2の概略構成は、図4、図6及び図21に示すように、半導体チップ7A,7B、受動素子11を内包し、各配線で接続するための第1凹部201、前記第1凹部201の底面の、前記一層目の半導体チップ7Aを設置する第2凹部202と、前記外部装置として、例えば、電源装置(電池)を取り付けるための第1取り付け部2A、入力装置を取り付けるための第2取り付け部2B、表示装置を取り付けるための第3取り付け部2C、アンテナを取り付けるための第4取り付け部2Dが設けられている。このとき、前記第4取り付け部2Dは、RF回路を形成する領域に設ける。また、前記第2取り付け部2Bは、図6に示すように、接続端子用の開口部が設けられているが、前記開口部はシリコーンゴムなどの栓13でふさがれている。また、図4に示すように、例えば、前記第3取り付け部2Cに、前記二層目の半導体チップ7B、各配線を形成する際に位置決めの基準とするマーカー203が設けられている。
【0077】次に、前記ハウジング2の第2凹部202に一層目の半導体チップ7を設置し、前記第1凹部201内に、絶縁樹脂6を一定の高さまで流し込み、硬化させて第1絶縁層6Aを形成する。このとき、前記半導体チップ7Aは、外部電極(図示しない)が形成された面が上を向くように設置される。また、本実施例1では、前記半導体チップ7Aを設置するための第2凹部202を設けているが、この第2凹部202を設けずに、位置認識カメラ等により前記マーカー203を認識して、前記マーカー203を基準とした座標に対して前記半導体チップ7Aを位置決めして配置しても良い。また、このとき流し込む前記絶縁樹脂6の高さは、後の工程で、レーザなどによりビア穴を開口できる程度の高さがあればよいので、例えば、前記半導体チップ7Aの外部電極形成面からの高さが、約10μmから100μmとなるようにする。また、前記絶縁樹脂6は、例えば、エポキシ樹脂系の場合は170℃の雰囲気中で90分、ポリイミドの場合は250度の雰囲気で90分放置して硬化させる。
【0078】次に、例えば、炭酸ガスレーザまたはエキシマレーザを用いて、図22に示すように、前記第1絶縁層6Aの前記半導体チップ7の外部電極(図示しない)の位置にビア穴15を形成する。またこのとき、所定位置に前記第1取り付け部2A、前記第4取り付け部2Dまで貫通するビア穴15Aも形成される。前記ビア穴15,15Aは、穴径が50μmから100μm程度で開口面が円形または矩形をしている。
【0079】次に、前記第1絶縁層6Aの表面全面、及び前記ビア穴15,15A内部に導電性薄膜からなる導電層16を形成する。前記導電層16の形成は、従来の導電性薄膜の形成方法を適用し、例えば、無電解めっき法、無電解めっき法と電気めっき法を組み合わせた方法で、銅(Cu)等の金属薄膜を形成する方法や、導電性ペーストの印刷、真空蒸着などによって形成する。
【0080】次に、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、所定の配線パターンを持つ第1配線8を形成する。このとき、前記一層目の半導体チップ7Aの外部電極(図示しない)と前記第1配線8は、前記ビア穴15の側壁に形成された導電性薄膜、あるいは前記ビア穴15内部に埋め込まれた導電性材料等による第1導通ビア8Aにより接続される。また、前記DSP回路部に形成された第1配線8の一端は、図23に示すように、前記第1取り付け部2Aに延びるビアと接続されており、このビアが前記第1外部接続端子8Bとなる。また、前記RF回路部に形成された第1配線8の一端は、前記第4取り付け部2Dに延びるビアと接続されており、このビアが第3外部接続端子8Cとなる。また、前記第2取り付け部2Bの周辺は、図11に示すように、前記第1配線8の一端が前記第1凹部201の側壁、言い換えると前記第2取り付け部2Bに差し込まれた栓13に接するように形成される。
【0081】次に、前記第1絶縁層6A及び前記第1配線8上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第2絶縁層6Bを形成した後、二層目の半導体チップ7Bを配置して設置する。このとき、前記半導体チップ7Bの配置は、位置認識カメラ等を用いて前記ハウジング2のマーカー203を認識し、この認識されたマーカー203を基準とする座標に対して各半導体チップ7Bの位置決めをして設置する。また、このときの各半導体チップ7B,7B´も、外部電極(図示しない)が形成された面を上向きにして設置する。
【0082】次に、前記第2絶縁層6B及び前記二層目の半導体チップ7B上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第3絶縁層6Cを形成した後、例えば、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザ等で、前記第3絶縁層6Cの所定位置にビア穴15を形成する。
【0083】次に、前記第3絶縁層6C及び前記ビア穴15の内部に導電性薄膜からなる導電層16を形成した後、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、第2配線9及び第2導通ビア9Aを形成する。また、前記第2取り付け部2Bの周辺では、前記第2配線の一端が、前記第2取り付け部2Bに差し込まれた栓13に接するように形成される。
【0084】次に、前記第3絶縁層6C及び第2配線9上に、絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて第4絶縁層6Dを形成し、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザなどで前記第4絶縁層6Dの所定位置にビア穴15を形成した後、続けて、前記第4絶縁層6D上の全面に導電層16を形成し、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、第3配線10及び受動素子11を形成する。前記受動素子11は、抵抗、容量、インダクタンスのような直接信号に関与しない素子であり、前記半導体チップ7A,7Bに入出力される電気信号を補償するために設けられる。また、本実施例1の前記受動素子11は、前記第4導電層6D上に設けられる配線を所定の形状にパターニングしたものであり、前記第4絶縁層6D上に限らず、前記第1配線8あるいは第2配線9を形成する際に同時に形成しても良い。
【0085】次に、前記第4絶縁層6D、第3配線10、及び受動素子11上に絶縁樹脂6を流し込み、硬化させて前記第5絶縁層6Eを形成し、前記第5絶縁層6Eの所定位置に、炭酸ガスレーザあるいはエキシマレーザ等でビア穴15を形成した後、続けて前記第5絶縁層6D上に導電層16を形成し、前記導電層16に対してフォトケミカルエッチングを行い、図24に示すように、第2外部電極端子12を形成すると本実施例2の電子モジュールが得られる。前記第2外部電極端子12は、前記第3取り付け部2Cに取り付けられる外部装置(表示装置5)の端子電極と対応する位置に形成される。
【0086】このように、本実施例2の電子装置に用いられる前記電子モジュール1が製造される。前記電子モジュール1は、その本体(ケース)となるハウジング2内部に、半導体チップ、配線、及び受動素子として機能する機能性薄膜素子を、複数の絶縁層を介して段階的に封止し、接続していくため、配線基板を用いずに前記電子モジュールを製造することができる。そのため、前記電子モジュールを小型化することができるとともに、使用する部品、材料の数を少なくでき、製造コストを低減させることができる。また、電子モジュールを組み立てる工程をハウジング2内で一つの工程として行うことができるので、前記電子モジュールの製造時間を短縮することができ、製造コストをさらに低減させることができる。
【0087】以上の手順に沿って製造された電子モジュール1には、別の工程で製造された電源装置3、入力装置4、表示装置5、アンテナ20等の外部装置が取り付けられる。ここでは、図20に示すように、前記第1取り付け部2Aに電源装置3が取り付けられ、前記第2取り付け部2Bには、前記栓13を外したあと入力装置4がはめ込まれ、前記第3取り付け部2Cに表示装置5は取り付けられ、前記第4取り付け部2Dにアンテナ20が取り付けられて、移動携帯端末のような電子装置が得られる。
【0088】前記電子装置は、例えば、前記電子モジュール1の外観形状が名刺大のカード状をしているため、洋服のポケットなどに入れてもかさばらず、携帯性が良くなる。また、前記電子モジュール1の一主面全面に液晶等の表示装置が取り付けられており、表示された内容を見やすくなる。また、前記電子装置を操作するための入力装置を電子モジュール1の側面に取り付けることにより、片手で操作する場合でも、複数本の指が使えて、操作性が向上する。
【0089】以上説明したように、本実施例2によれば、電子モジュールの本体(ケース)となるハウジングに設けられた凹部に、電子モジュールを構成する半導体チップ、受動素子、及びそれらを電気的に接続する配線を、複数の絶縁層を用いて段階的に配置することにより、前記半導体チップを封止しながら配線も同時に形成できるので、前記ハウジング内部に、配線基板を持たない構成の電子モジュールを製造することができる。
【0090】また、従来別々の工程として行われていた、半導体チップを封止して半導体装置を製造する工程、前記半導体装置(半導体チップ)を搭載する配線基板を製造する工程、前記半導体装置を前記配線基板に搭載してモジュールを製造する工程、前記モジュールをハウジング内部に取り付ける工程を、前記ハウジング内部での一つの工程として行うことができるので、製造時間の短縮ができる。また、前記電子モジュールを組み立てるのに必要な部品、材料の種類を少なくすることができるので、製造コストを低減させることができる。
【0091】また、配線基板を用いない構成であることから、前記電子モジュールの小型化、薄型化ができる。
【0092】また、配線基板を用いない、複数の絶縁層により半導体チップを積層させた構造にすることができるということから、配線長を短くすることができ、電気信号の伝送の遅延時間を少なくすることができ、電気的特性が向上する。
【0093】また、従来の、半導体チップを搭載した配線基板を、ハウジング内部に取り付けた電子モジュールと異なり、前記ハウジング内部の半導体チップ、受動素子、及び配線が絶縁層を介して前記ハウジングと一体的に構成されているので、電子モジュールの耐衝撃性が向上する。
【0094】また、前記電子モジュールに接続して使用する、電源装置、入力装置、表示装置などの外部装置を取り付けるための取り付け部があらかじめ設けられたハウジングを準備して電子モジュールを製造し、その後、前記電子モジュールの所定の取り付け部に、前記外部装置を取り付ける(はめ込む)ことにより、前記電子モジュールと外部装置からなる電子装置の組み立てを簡略化することができる。
【0095】以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることはもちろんである。
【0096】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0097】(1)電子装置を小型化することができる。
【0098】(2)電子装置の携帯性を向上させることできる。
【0099】(3)電子装置の製造時間を短縮することができる。
【0100】(4)電子装置の製造コストを削減することができる。
【0101】(5)電子装置の組み立てを簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例1の電子装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1(a)のA−A’線での断面図である。
【図3】図1(a)のB−B’線での断面図である。
【図4】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図5】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図6】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図7】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図8】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図9】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図10】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図11】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図12】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図13】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図14】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図15】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図16】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図17】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図18】本実施例1の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図19】本発明による実施例2の電子装置の概略構成を示す模式図である。
【図20】図19(a)のA−A’線での断面図である。
【図21】本実施例2の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図22】本実施例2の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図23】本実施例2の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図24】本実施例2の電子装置に用いる電子モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図25】従来の携帯型電子装置の概略構成を示す模式図である。
【図26】従来の移動通信端末(携帯電話)の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 電子モジュール
2 ハウジング
201 第1凹部
202 第2凹部
203 マーカー
2A 第1取り付け部
2B 第2取り付け部
2C 第3取り付け部
2D 第4取り付け部
3 電源装置(電池)
301 接続端子
4 入力装置
401 入力ボタン
402 接続端子
403 バネ
5 表示装置(液晶ディスプレイ)
501 接続端子
6 絶縁樹脂
6A 第1絶縁層
6B 第2絶縁層
6C 第3絶縁層
6D 第4絶縁層
6E 第5絶縁層
7A,7A’ 一層目の半導体チップ
7B,7B’ 二層目の半導体チップ
8 第1配線
8A 第1導通ビア
8B 第1外部接続端子
8C 第3外部接続端子
9 第2配線
9A 第2導通ビア
10 第3配線
11 受動素子
12 第2外部接続端子
13 栓
15,15A ビア穴
16 導電層
20 アンテナ
2001 接続端子
30 ハウジング
31 入力ボタン
32 液晶ディスプレイ
33 電池(充電池)
40 ハウジング
41 入力ボタン
42 液晶ディスプレイ
43 アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数個の半導体チップと、前記半導体チップに入出力される電気信号を補償する受動素子と、前記各半導体チップの外部電極及び受動素子間を電気的に接続する配線と、前記半導体チップ及び前記受動素子ならびに前記配線を内包するハウジングと、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子とを有する電子モジュールであって、前記ハウジングの内部に、複数の絶縁体層を設け、前記絶縁体層間に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のうち少なくとも一つを設け、前記絶縁体層に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のそれぞれを接続するための導通ビアを設けてなることを特徴とする電子モジュール。
【請求項2】前記請求項1に記載の電子モジュールにおいて、前記各半導体チップ及び前記各受動素子が、複数の異なる絶縁体層間に設けられていることを特徴とする電子モジュール。
【請求項3】前記請求項1または2に記載の電子モジュールにおいて、前記半導体チップで発生する熱を放出する放熱板を、前記絶縁体層間、前記半導体チップの非素子形成面のうち少なくとも一箇所に設けることを特徴とする電子モジュール。
【請求項4】前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子モジュールにおいて、前記複数の絶縁体層のうち、少なくとも一層または同一層内の一部分が、異なる誘電率を有することを特徴とする電子モジュール。
【請求項5】前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子モジュールにおいて、前記受動素子は、抵抗、容量、インダクタンスなどであり、前記絶縁体層と、この絶縁体層間に設けられる配線とにより構成されることを特徴とする電子モジュール。
【請求項6】複数個の半導体チップ、受動素子、前記各半導体チップの外部電極、及び受動素子間を電気的に接続する配線、前記半導体チップ及び前記受動素子ならびに前記配線を内包するハウジング、及び前記配線と外部装置を接続する外部接続端子を有する電子モジュールと、前記電子モジュールの外部接続端子と接続される端子電極を有する外部装置とを備える電子装置であって、前記ハウジングの内部に、複数の絶縁体層を設け、前記絶縁体層間に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のうち少なくとも一つを設け、前記前記絶縁体層に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線間のそれぞれを接続する導通ビアを設け、前記ハウジングの所定の位置に、前記外部装置を取り付ける取り付け部を設け、前記取り付け部に前記外部接続端子を設け、前記外部装置が前記取り付け部に取り付けられ、前記外部装置の端子電極と前記外部接続端子が接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項7】前記請求項6に記載の電子装置において、前記電子装置の外観形状は、カード状であることを特徴とする電子装置。
【請求項8】前記請求項6または7に記載の電子装置において、前記外部装置は、電源装置と、入力装置と表示装置のうち少なくとも一つを有することを特徴とする電子装置。
【請求項9】前記請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電子装置において、前記外部装置は、電源装置と入力装置であり、前記入力装置は、前記電子装置の側面部に設けられていることを特徴とする電子装置。
【請求項10】前記請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電子装置において、前記外部装置は、電源装置と表示装置であり、前記表示装置は、前記電子装置の一主面全面に設けられていることを特徴とする電子装置。
【請求項11】前記請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電子装置において、前記外部装置は、電源装置、入力装置、及び表示装置であり、前記入力装置は、前記電子装置の側面部に設けられ、前記表示装置は前記電子装置の一主面全面に設けられていることを特徴とする電子装置。
【請求項12】前記請求項6に記載の電子装置において、前記外部装置は、電源装置、入力装置、表示装置、及びアンテナであり、前記入力装置は、前記電子装置の側面部に取り付けられ、前記表示装置は前記電子装置の一主面全面に取り付けられ、前記電源装置及びアンテナは前記表示装置が取り付けられた一主面と対向する面に取り付けられてことを特徴とする電子装置。
【請求項13】複数個の半導体チップ、受動素子、前記各半導体チップの外部電極及び前記受動素子間を電気的に接続する配線をハウジング内に埋め込む工程と、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子を形成する工程を備える電子モジュールの製造方法であって、所定の形状をした凹部を有するハウジングを準備する準備工程と、前記ハウジングの前記凹部内に前記半導体チップあるいは前記受動素子を配置する配置工程と、前記半導体チップ及び受動素子上に、液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第1絶縁層を形成する第1絶縁層形成工程と、前記第1絶縁層の所定位置にビア穴を形成するビア穴形成工程と、前記第1絶縁層上及びビア穴の側壁に導電膜を形成した後、前記第1絶縁層上の前記導電膜をエッチングして配線を形成する配線形成工程と、前記配線及び第1絶縁層上に液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第2絶縁層を形成する第2絶縁層形成工程と、前記第2絶縁層の所定位置に外部接続端子形成用の開口部を形成し、前記開口部に外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程とを備えることを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項14】前記請求項13に記載の電子モジュールの製造方法において、前記配置工程から前記第2絶縁層形成工程までを、複数回繰り返して半導体チップ、受動素子を積層して接続するチップ積層工程と、所定位置に、外部接続端子形成用の開口部を形成し、前記開口部に外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程とを備えることを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項15】前記請求項13または14に記載の電子モジュールの製造方法において、前記第1絶縁層形成工程あるいは前記第2絶縁層形成工程で、他の絶縁層と誘電率が異なる絶縁層、あるいは部分的に誘電率が異なる絶縁層を形成することを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項16】前記請求項13乃至15のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法において、前記各絶縁層間の配線により、抵抗、容量、インダクタンスなどの受動素子を形成することを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項17】複数個の半導体チップ、受動素子、前記各半導体チップの外部電極及び前記受動素子間を電気的に接続する配線をハウジング内に埋め込み、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子を形成して電子モジュールを製造する工程と、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程とを備える電子装置の製造方法であって、前記電子モジュールを製造する工程は、所定の形状をした凹部と、前記外部装置を取り付ける取り付け部を有するハウジングを準備する準備工程と、前記ハウジングの前記凹部内に前記半導体チップあるいは前記受動素子を配置する配置工程と、前記半導体チップ及び受動素子上に、液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第1絶縁層を形成する第1絶縁層形成工程と、前記第1絶縁層の所定位置にビア穴を形成するビア穴形成工程と、前記第1絶縁層上及びビア穴の側壁に導電膜を形成した後、前記導電膜をエッチングして配線を形成する配線形成工程と、前記配線及び第1絶縁層上に液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第2絶縁層を形成する第2絶縁層形成工程と、前記配置工程から前記第2絶縁層形成工程までを複数回繰り返し、前記半導体チップ、受動素子を積層するチップ積層工程と、所定位置に接続端子形成用の開口部を形成し、前記開口部に接続端子を形成する接続端子形成工程とを備え、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程は、前記外部装置を、前記ハウジングの取り付け部に取り付けて、前記外部装置の端子電極と前記取り付け部の外部接続端子とを接続することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項18】前記請求項17に記載の電子装置の製造方法において、前記外部装置は、電源装置と入力装置であり、前記準備工程は、所定の形状の凹部と、前記電源装置を取り付ける第1 取り付け部と、前記入力装置を取り付ける第2取り付け部が設けられたハウジングを準備し、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程は、前記電源装置を、前記ハウジングの第1取り付け部にはめ込み、前記電源装置の接続端子を前記配線の一端と接続し、前記入力装置を、前記ハウジングの第2取り付け部にはめ込み、前記入力装置の接続端子を前記配線の一端と接続することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項19】前記請求項17に記載の電子装置の製造方法において、前記外部装置は、電源装置と表示装置であり、前記準備工程は、所定の形状の凹部と、前記電源装置を取り付ける第1取り付け部と、前記表示装置を取り付ける第3取り付け部が設けられたハウジングを準備し、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程は、前記電源装置を、前記ハウジングの第1取り付け部にはめ込み、前記電源装置の接続端子を前記配線の一端と接続し、前記表示装置を、前記ハウジングの第3取り付け部にはめ込み、前記表示装置の接続端子と前記外部接続端子を接続することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項20】前記請求項17に記載の電子装置の製造方法において、前記外部装置は、電源装置、入力装置、及び表示装置であり、前記準備工程は、所定の形状の凹部と、前記電源装置を取り付ける第1取り付け部と、前記入力装置を取り付ける第2取り付け部と、前記表示装置を取り付ける第3取り付け部が設けられたハウジングを準備し、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程は、前記電源装置を、前記ハウジングの第1取り付け部にはめ込み、前記電源装置の接続端子を、前記配線の一端と接続し、前記入力装置を、前記ハウジングの第2取り付け部にはめ込み、前記入力装置の接続端子を前記配線の一端と接続し、前記表示装置を、前記ハウジングの第3取り付け部にはめ込み、前記表示装置の接続端子と前記配線の一端を接続することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項21】前記請求項17に記載の電子装置の製造方法において、前記外部装置は、電源装置、入力装置、表示装置、及びアンテナであり、前記準備工程は、所定の形状の凹部と、前記電源装置を取り付ける第1取り付け部と、前記入力装置を取り付ける第2取り付け部と、前記表示装置を取り付ける第3取り付け部と、前記アンテナを取り付ける第4取り付け部が設けられたハウジングを準備し、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程は、前記電源装置を、前記ハウジングの第1取り付け部にはめ込み、前記電源装置の接続端子を、前記配線の一端と接続し、前記入力装置を、前記ハウジングの第2取り付け部にはめ込み、前記入力装置の接続端子を前記配線の一端と接続し、前記表示装置を、前記ハウジングの第3取り付け部にはめ込み、前記表示装置の接続端子と前記配線の一端を接続し、前記アンテナを、前記ハウジングの第4取り付け部にはめ込み、前記アンテナの接続端子と前記配線の一端を接続することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項1】複数個の半導体チップと、前記半導体チップに入出力される電気信号を補償する受動素子と、前記各半導体チップの外部電極及び受動素子間を電気的に接続する配線と、前記半導体チップ及び前記受動素子ならびに前記配線を内包するハウジングと、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子とを有する電子モジュールであって、前記ハウジングの内部に、複数の絶縁体層を設け、前記絶縁体層間に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のうち少なくとも一つを設け、前記絶縁体層に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のそれぞれを接続するための導通ビアを設けてなることを特徴とする電子モジュール。
【請求項2】前記請求項1に記載の電子モジュールにおいて、前記各半導体チップ及び前記各受動素子が、複数の異なる絶縁体層間に設けられていることを特徴とする電子モジュール。
【請求項3】前記請求項1または2に記載の電子モジュールにおいて、前記半導体チップで発生する熱を放出する放熱板を、前記絶縁体層間、前記半導体チップの非素子形成面のうち少なくとも一箇所に設けることを特徴とする電子モジュール。
【請求項4】前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子モジュールにおいて、前記複数の絶縁体層のうち、少なくとも一層または同一層内の一部分が、異なる誘電率を有することを特徴とする電子モジュール。
【請求項5】前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子モジュールにおいて、前記受動素子は、抵抗、容量、インダクタンスなどであり、前記絶縁体層と、この絶縁体層間に設けられる配線とにより構成されることを特徴とする電子モジュール。
【請求項6】複数個の半導体チップ、受動素子、前記各半導体チップの外部電極、及び受動素子間を電気的に接続する配線、前記半導体チップ及び前記受動素子ならびに前記配線を内包するハウジング、及び前記配線と外部装置を接続する外部接続端子を有する電子モジュールと、前記電子モジュールの外部接続端子と接続される端子電極を有する外部装置とを備える電子装置であって、前記ハウジングの内部に、複数の絶縁体層を設け、前記絶縁体層間に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線のうち少なくとも一つを設け、前記前記絶縁体層に、前記半導体チップ、前記受動素子、前記配線間のそれぞれを接続する導通ビアを設け、前記ハウジングの所定の位置に、前記外部装置を取り付ける取り付け部を設け、前記取り付け部に前記外部接続端子を設け、前記外部装置が前記取り付け部に取り付けられ、前記外部装置の端子電極と前記外部接続端子が接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項7】前記請求項6に記載の電子装置において、前記電子装置の外観形状は、カード状であることを特徴とする電子装置。
【請求項8】前記請求項6または7に記載の電子装置において、前記外部装置は、電源装置と、入力装置と表示装置のうち少なくとも一つを有することを特徴とする電子装置。
【請求項9】前記請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電子装置において、前記外部装置は、電源装置と入力装置であり、前記入力装置は、前記電子装置の側面部に設けられていることを特徴とする電子装置。
【請求項10】前記請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電子装置において、前記外部装置は、電源装置と表示装置であり、前記表示装置は、前記電子装置の一主面全面に設けられていることを特徴とする電子装置。
【請求項11】前記請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電子装置において、前記外部装置は、電源装置、入力装置、及び表示装置であり、前記入力装置は、前記電子装置の側面部に設けられ、前記表示装置は前記電子装置の一主面全面に設けられていることを特徴とする電子装置。
【請求項12】前記請求項6に記載の電子装置において、前記外部装置は、電源装置、入力装置、表示装置、及びアンテナであり、前記入力装置は、前記電子装置の側面部に取り付けられ、前記表示装置は前記電子装置の一主面全面に取り付けられ、前記電源装置及びアンテナは前記表示装置が取り付けられた一主面と対向する面に取り付けられてことを特徴とする電子装置。
【請求項13】複数個の半導体チップ、受動素子、前記各半導体チップの外部電極及び前記受動素子間を電気的に接続する配線をハウジング内に埋め込む工程と、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子を形成する工程を備える電子モジュールの製造方法であって、所定の形状をした凹部を有するハウジングを準備する準備工程と、前記ハウジングの前記凹部内に前記半導体チップあるいは前記受動素子を配置する配置工程と、前記半導体チップ及び受動素子上に、液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第1絶縁層を形成する第1絶縁層形成工程と、前記第1絶縁層の所定位置にビア穴を形成するビア穴形成工程と、前記第1絶縁層上及びビア穴の側壁に導電膜を形成した後、前記第1絶縁層上の前記導電膜をエッチングして配線を形成する配線形成工程と、前記配線及び第1絶縁層上に液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第2絶縁層を形成する第2絶縁層形成工程と、前記第2絶縁層の所定位置に外部接続端子形成用の開口部を形成し、前記開口部に外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程とを備えることを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項14】前記請求項13に記載の電子モジュールの製造方法において、前記配置工程から前記第2絶縁層形成工程までを、複数回繰り返して半導体チップ、受動素子を積層して接続するチップ積層工程と、所定位置に、外部接続端子形成用の開口部を形成し、前記開口部に外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程とを備えることを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項15】前記請求項13または14に記載の電子モジュールの製造方法において、前記第1絶縁層形成工程あるいは前記第2絶縁層形成工程で、他の絶縁層と誘電率が異なる絶縁層、あるいは部分的に誘電率が異なる絶縁層を形成することを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項16】前記請求項13乃至15のいずれか1項に記載の電子モジュールの製造方法において、前記各絶縁層間の配線により、抵抗、容量、インダクタンスなどの受動素子を形成することを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項17】複数個の半導体チップ、受動素子、前記各半導体チップの外部電極及び前記受動素子間を電気的に接続する配線をハウジング内に埋め込み、前記配線と外部装置を接続する外部接続端子を形成して電子モジュールを製造する工程と、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程とを備える電子装置の製造方法であって、前記電子モジュールを製造する工程は、所定の形状をした凹部と、前記外部装置を取り付ける取り付け部を有するハウジングを準備する準備工程と、前記ハウジングの前記凹部内に前記半導体チップあるいは前記受動素子を配置する配置工程と、前記半導体チップ及び受動素子上に、液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第1絶縁層を形成する第1絶縁層形成工程と、前記第1絶縁層の所定位置にビア穴を形成するビア穴形成工程と、前記第1絶縁層上及びビア穴の側壁に導電膜を形成した後、前記導電膜をエッチングして配線を形成する配線形成工程と、前記配線及び第1絶縁層上に液状の絶縁体を流し込み、前記絶縁体を硬化させて第2絶縁層を形成する第2絶縁層形成工程と、前記配置工程から前記第2絶縁層形成工程までを複数回繰り返し、前記半導体チップ、受動素子を積層するチップ積層工程と、所定位置に接続端子形成用の開口部を形成し、前記開口部に接続端子を形成する接続端子形成工程とを備え、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程は、前記外部装置を、前記ハウジングの取り付け部に取り付けて、前記外部装置の端子電極と前記取り付け部の外部接続端子とを接続することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項18】前記請求項17に記載の電子装置の製造方法において、前記外部装置は、電源装置と入力装置であり、前記準備工程は、所定の形状の凹部と、前記電源装置を取り付ける第1 取り付け部と、前記入力装置を取り付ける第2取り付け部が設けられたハウジングを準備し、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程は、前記電源装置を、前記ハウジングの第1取り付け部にはめ込み、前記電源装置の接続端子を前記配線の一端と接続し、前記入力装置を、前記ハウジングの第2取り付け部にはめ込み、前記入力装置の接続端子を前記配線の一端と接続することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項19】前記請求項17に記載の電子装置の製造方法において、前記外部装置は、電源装置と表示装置であり、前記準備工程は、所定の形状の凹部と、前記電源装置を取り付ける第1取り付け部と、前記表示装置を取り付ける第3取り付け部が設けられたハウジングを準備し、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程は、前記電源装置を、前記ハウジングの第1取り付け部にはめ込み、前記電源装置の接続端子を前記配線の一端と接続し、前記表示装置を、前記ハウジングの第3取り付け部にはめ込み、前記表示装置の接続端子と前記外部接続端子を接続することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項20】前記請求項17に記載の電子装置の製造方法において、前記外部装置は、電源装置、入力装置、及び表示装置であり、前記準備工程は、所定の形状の凹部と、前記電源装置を取り付ける第1取り付け部と、前記入力装置を取り付ける第2取り付け部と、前記表示装置を取り付ける第3取り付け部が設けられたハウジングを準備し、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程は、前記電源装置を、前記ハウジングの第1取り付け部にはめ込み、前記電源装置の接続端子を、前記配線の一端と接続し、前記入力装置を、前記ハウジングの第2取り付け部にはめ込み、前記入力装置の接続端子を前記配線の一端と接続し、前記表示装置を、前記ハウジングの第3取り付け部にはめ込み、前記表示装置の接続端子と前記配線の一端を接続することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項21】前記請求項17に記載の電子装置の製造方法において、前記外部装置は、電源装置、入力装置、表示装置、及びアンテナであり、前記準備工程は、所定の形状の凹部と、前記電源装置を取り付ける第1取り付け部と、前記入力装置を取り付ける第2取り付け部と、前記表示装置を取り付ける第3取り付け部と、前記アンテナを取り付ける第4取り付け部が設けられたハウジングを準備し、前記電子モジュールに外部装置を取り付ける工程は、前記電源装置を、前記ハウジングの第1取り付け部にはめ込み、前記電源装置の接続端子を、前記配線の一端と接続し、前記入力装置を、前記ハウジングの第2取り付け部にはめ込み、前記入力装置の接続端子を前記配線の一端と接続し、前記表示装置を、前記ハウジングの第3取り付け部にはめ込み、前記表示装置の接続端子と前記配線の一端を接続し、前記アンテナを、前記ハウジングの第4取り付け部にはめ込み、前記アンテナの接続端子と前記配線の一端を接続することを特徴とする電子装置の製造方法。
【図2】
【図1】
【図3】
【図4】
【図6】
【図11】
【図12】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図15】
【図18】
【図25】
【図10】
【図13】
【図14】
【図16】
【図26】
【図17】
【図19】
【図21】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図1】
【図3】
【図4】
【図6】
【図11】
【図12】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図15】
【図18】
【図25】
【図10】
【図13】
【図14】
【図16】
【図26】
【図17】
【図19】
【図21】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2002−76243(P2002−76243A)
【公開日】平成14年3月15日(2002.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−258114(P2000−258114)
【出願日】平成12年8月23日(2000.8.23)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【公開日】平成14年3月15日(2002.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年8月23日(2000.8.23)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
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