説明

電子ユニット用ケースおよび電子ユニットの製造方法

【課題】電子ユニットの低廉化、部品管理の負担軽減および組立作業性の向上に寄与し得る電子ユニットを提供する。
【解決手段】ケース20はケース本体21とカバー部材22とを備える。ケース本体21は、第1基板10A及び第2基板10Bを択一的に収容可能な面積を有する底壁部30と外周部32とを有する。外周部32は、前壁部32a(基準壁部)と、第1基板10A及び第2基板10Bの側辺に対して当接する一対の左壁部32c及び右壁部32dと、第1基板10Aの基準辺が前壁部32aに当接する位置で当該第1基板10Aを前壁部32aとの間で拘束するリブ36(第1拘束部)とを備える。また、ケース本体21は、第2基板10Bの基準辺が前壁部32aに当接する位置で当該第2基板10Bを前壁部32aとの間で拘束する隔壁37(第2拘束部)を備える。リブ36は、左壁部32c及び右壁部32dから内向きに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される電子制御ユニット(ECU)等の電子ユニットに適した電子ユニット用ケースおよび電子ユニットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される各種電装品を制御するための電子制御ユニット(電子ユニット)として例えば特許文献1に記載されるようなものが公知である。この文献1に記載される電子制御ユニットをはじめとして、この種の電子制御ユニットは、一般に、外部接続用のコネクタが実装された基板と、この基板を収容するケースとを備えている。ケースは、基板が収容されるケース本体と、このケース本体に装着されるカバー部材とからなり、前記基板は、ケース本体にネジ止めされ、若しくはケース本体に形成される複数のリブの内側に圧入される等してケース本体に固定され、カバー部材に形成される開口部などから前記コネクタが外部露出する状態で前記ケースに収容される。
【0003】
電子制御ユニットは、J/B(ジャンクションボックス:電気接続箱)に組付けられ、前記コネクタとJ/B側のコネクタとが直接接続された状態で当該J/Bと一体に車両に組み込まれる場合が多い。他方、電子制御ユニットは、車両グレードや選択オプションによってその制御内容が異なるため、これに応じて異なる種類の基板を搭載することが要求される。この際、大きさが異なる基板を搭載することが要求される場合には、外形(大きさ及び形状)が共通で、基板固定用のねじ孔やリブの位置等の内部形状が変更された複数種類のケースが準備され、これらのケースが基板の大きさに応じて使い分けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−209383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のように複数種類の専用ケースを使い分ける場合には、ケース成型用の金型が複数必要となり製造コストの面で不利である。また、ケースの外形が共通する複数種類のケースを管理する必要があり部品管理が面倒で、また、異なる種類のケースが混在した場合には、電子制御ユニットの組立作業にも影響をもたらすおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車載用の電子制御ユニット等、電子ユニットの低廉化、部品管理の負担軽減および組立作業性の向上に寄与し得る電子ユニット用ケースおよび電子ユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、第1基準辺と、この第1基準辺と平行でかつ当該第1基準辺と対向する第1対向辺と、前記第1基準辺と前記第1対向辺との間でこれら第1基準辺及び第1対向辺と直交する方向に延び、かつ互いに対向する一対の第1側辺とを有し、前記第1基準辺に沿って外部接続用の第1コネクタが実装される第1基板と、前記第1基準辺及び前記第1対向辺と同等の第2基準辺及び第2対向辺と、前記第2基準辺と前記第2対向辺との間でこれら第2基準辺及び第2対向辺と直交する方向に延び、かつ互いに対向するとともに前記第1側辺よりも大きな寸法をもつ一対の第2側辺とを有し、前記第2基準辺に対して前記第1基準辺と前記第1コネクタとの相対位置関係と同等の相対位置関係で外部接続用の第2コネクタが実装される第2基板とのいずれも択一的に収容可能な形状を有し、当該第1基板または当該第2基板とともに電子ユニットを構成する電子ユニット用ケースであって、前記第1基板及び前記第2基板の法線方向と平行な方向に開口し、当該法線方向と直交する方向から前記第1基板及び前記第2基板のいずれも拘束することが可能な形状をもつケース本体と、このケース本体にその開口を塞ぐように装着されるカバー部材と、を備え、前記ケース本体は、前記第1基板及び前記第2基板を択一的に収容可能な面積を有し、かつ、その収容する基板を前記開口と反対の側から支持する基板支持部をもつ底壁部と、前記底壁部から立ち上がって前記第1基板及び前記第2基板のいずれも包囲することが可能な形状をもつ周壁部とを有し、この周壁部は、前記第1基準辺または前記第2基準辺に外側から当接することによりその位置を決める基準壁部と、前記第1側辺または前記第2側辺に対して外側から当接することによりその位置を決める一対の側壁部と、前記第1基板の第1基準辺が前記基準壁部に当接する位置で当該第1基板の第1対向辺に対して外側から当接することにより当該第1基板を前記基準壁部との間で拘束する第1拘束部と、前記基準壁部から前記第1拘束部よりも遠い位置にあり、前記第2基板の第2基準辺が前記基準壁部に当接する位置で当該第2基板の第2対向辺に対して外側から当接することにより当該第2基板を前記基準壁部との間で拘束する第2拘束部と、を有し、かつ、前記第1拘束部は前記両側壁部同士の間で断続した形状であって当該第1拘束部が存在しない領域で前記第2基板がその第2側辺と平行な方向について連続するのを許容する形状をもつものである。
【0008】
そして、本発明の電子ユニットの製造方法は、第1の電子ユニット及び第2の電子ユニットを製造する方法であって、上記の電子ユニット用ケースを製造するケース製造工程と、第1基準辺と、この第1基準辺と平行でかつ当該第1基準辺と対向する第1対向辺と、前記第1基準辺と前記第1対向辺との間でこれら第1基準辺及び第1対向辺と直交する方向に延び、かつ互いに対向する一対の第1側辺とを有し、前記第1基準辺に沿って外部接続用の第1コネクタが実装された基板であって、前記第1基準辺及び第1対向辺の寸法が前記電子ユニット用ケースのケース本体の一対の側壁部の間に圧入可能な寸法とされ、かつ前記一対の第1側辺の寸法が前記ケース本体の前記基準壁部と前記第1拘束部との間に圧入可能とされた第1基板を製造する第1基板製造工程と、前記第1基準辺及び前記第1対向辺と同等の第2基準辺及び第2対向辺と、前記第2基準辺と前記第2対向辺との間でこれら第2基準辺及び第2対向辺と直交する方向に延び、かつ互いに対向するとともに前記電子ユニット用ケースにおけるケース本体の前記基準壁部と前記第2拘束部との間に圧入可能な寸法をもつ一対の第2側辺とを有し、さらに前記ケース本体の前記第1拘束部との干渉を回避可能な切欠部又は開口部を備えた第2基板を製造する第2基板製造工程と、前記第1基板を、その第1基準辺が前記基準壁部に当接する状態で当該基準壁部、前記第1拘束部及び前記一対の側壁部の内側に圧入することにより、当該第1基板を前記ケース本体に収容し、このケース本体に前記カバー部材を装着することにより前記第1基板が収容された前記第1の電子ユニットを組み立てる第1ユニット組立工程と、前記第2基板を、その第2基準辺が前記基準壁部に当接する状態で当該基準壁部、前記第2拘束部及び前記一対の側壁部の内側に圧入することにより、当該第1基板を前記ケース本体に収容し、このケース本体に前記カバー部材を装着することにより前記第2基板が収容された前記第2の電子ユニットを組み立てる第2ユニット組立工程と、を含むものである。
【0009】
このような電子ユニット用ケースおよび電子ユニットの製造方法によれば、共通の電子ユニット用ケースを用いて、互いに大きさ(面積)が異なる基板(第1基板、第2基板)が収容された第1、第2の電子ユニットを効率良く生産することが可能となる。
【0010】
なお、上記の電子ユニット用ケースにおいて、前記第1拘束部は、前記両側壁部の内側面からそれぞれ内向きに突出する一対の拘束用突出部を有し、これら拘束用突出部は、前記第1基板の第1対向辺の両端部にそれぞれ当接することにより当該第1基板を前記基準壁部との間で拘束するとともに、両拘束用突出部同士の間の領域で前記第2基板がその第2側辺と平行な方向について連続するのを許容する形状をもつものであるのが好適である。
【0011】
すなわち、ケース本体に第2基板を収容する場合には、上記のように、第1拘束部との干渉を回避するための切欠部や開口部を第2基板に形成することが必要となるが、上記のように第1拘束部が両側壁部の内側面からそれぞれ内向きに突出する一対の拘束用突出部を有するものであれば、第2基板についてはその両端(第2基準辺と平行な方向の両端)の形状を、前記拘束用突出部を回避するような形状、例えば切欠部を有する形状とすれば足り、この第2基板を前記第1拘束部の存在に拘わらず、ケース本体に収容することが可能となる。
【0012】
また、上記の電子ユニット用ケースにおいて、前記第1拘束部は、前記基準壁部との間隔が前記第1側辺よりも小さい寸法となる位置にあり、かつこの位置から前記基準壁部に対して離れる方向に変位するように弾性変形することが可能な第1押圧部を有し、この第1押圧部は、前記弾性変形により当該第1押圧部と前記基準壁部との間に前記第1基板が圧入されることを許容し、かつこの圧入された第1基板を当該第1押圧部の弾性復帰力によって前記基準壁部に押し付けるものであるのが好適である。
【0013】
この構成によれば、第1基板をケース本体に収容する場合に、その第1基準辺が確実に基準壁部に当接する状態で第1基板をケース本体に収容することが可能となる。
【0014】
同様に、前記第2拘束部は、前記基準壁部との間隔が前記第2側辺よりも小さい寸法となる位置にあり、かつこの位置から前記基準壁部に対して離れる方向に変位するように弾性変形することが可能な第2押圧部を有し、この第2押圧部は、前記弾性変形により当該第2押圧部と前記基準壁部との間に前記第2基板が圧入されることを許容し、かつこの圧入された第2基板を当該第2押圧部の弾性復帰力によって前記基準壁部に押し付けるものであるのが好適である。
【0015】
この構成によれば、第2基板をケース本体に収容する場合に、その第2基準辺が確実に基準壁部に当接する状態で第2基板をケース本体に収容することが可能となる。
【0016】
また、上記の電子ユニット用ケースにおいて、前記一対の側壁部のうち一方側の側壁部は、他方側の側壁部との間隔が前記1基準辺及び第2基準辺よりも小さい寸法となる位置にあり、かつこの位置から前記他方側の側壁部に対して離れる方向に変位するように弾性変形することが可能な第3押圧部を有し、この第3押圧部は、前記弾性変形により当該第3押圧部と前記他方側の側壁部との間に前記第1基板又は第2基板が圧入されることを許容し、かつこの圧入された第1基板又は第2基板を当該第3押圧部の弾性復帰力によって前記他方側の側壁部に押し付けるものであるのが好適である。
【0017】
この構成によれば、一対の側壁部のうちの片側を基準として第1基板及び第2基板を位置決めした状態で当該第1基板及び第2基板をケース本体に収容することが可能となる。
【0018】
また、上記電子ユニット用ケースにおいて、前記カバー部材は、基板支持部に対向する位置で当該基板支持部に向かって基板を押さえ込む押下部を備えているのが好適である。
【0019】
この構成によれば、押下部と基板支持部とにより収容基板がその厚み方向に挟み込まれた状態で収容されることとなるため、基板を安定的に収容することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、共通の電子ユニット用ケースを用いながら、互いに大きさ(面積)が異なる基板が収容された2種類の電子ユニットを効率的に生産することができる。従って、電子ユニット用ケースの共通化を通じて、車載用電子制御ユニット(ECU)等などの電子ユニットの低廉化、部品管理の負担軽減および組立作業性の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる電子ユニットである電子制御ユニットを示す平面図である。
【図2】電子制御ユニットを示す図1のII−II線断面図である。
【図3】電子制御ユニット(第1基板が収納されたもの)を示す断面図(図1のIII−III線位置での断面図)である。
【図4】カバー部材を取外した状態の電子制御ユニット(第1基板が収納されたもの)を示す斜視図である。
【図5】カバー部材を取外した状態の電子制御ユニット(第2基板が収納されたもの)を示す斜視図である。
【図6】電子制御ユニット(第2基板が収納されたもの)を示す断面図(図1のIII−III線位置での断面図に対応する図)である。
【図7】電子制御ユニットに収納される基板の種類を示す平面略図であり、(a)は第1基板を、(b)は第2基板をそれぞれ示す。
【図8】本発明にかかる電子制御ユニットが組付けられた状態のJ/B(電気接続箱)を示す斜視図である。
【図9】J/Bの要部断面図(IX−IX線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0023】
図1〜図4は、本発明にかかる電子ユニットである車載用の電子制御ユニット(ECU)を示しており、図1は平面図で、図2および図3は断面図で、図4は斜視図(後記カバー部材を取り外した状態)でそれぞれ電子制御ユニットを概略的に示している。
【0024】
電子制御ユニット(以下、ECUという)1は、車両に搭載される各種電装品を制御するものである。このECU1は、図8に示すように、J/B(ジャンクションボックス:電気接続箱)2に組み付けられ、このJ/B2と一体に車両に組み込まれる。なお、ECU1のJ/B2への組込構造については後に言及する。
【0025】
ECU1は、図1〜図4に示すように、J/B2内の回路に電気的に接続される回路を備える基板10と、この基板10が収容されるケース20とを備える。
【0026】
このケース20は、前記基板10として、図7(a)、(b)に示すような、第1基板10A及び第2基板10Bのいずれも択一的に収納することが可能な形状を有している。これら基板10A,10Bは、車両グレードに応じて使い分けられるものであり、図1〜図4では、ケース20に第1基板10Aが収容されている状態を示している。なお、以下の説明では、特に必要な場合には、第1基板10Aが収容されたものを第1ECU1Aと称し、第2基板10Bが収容されたものを第2ECU1Bと称し、特に区別する必要がない場合には、両者を単にECU1と称す。
【0027】
第1基板10Aは、図7(a)に示すように、第1基準辺11aと、この第1基準辺11aと平行でかつ当該第1基準辺11aと対向する第1対向辺11bと、第1基準辺11aと第1対向辺11bとの間でこれら第1基準辺11a及び第1対向辺11bと直交する方向に延び、かつ互いに対向する一対の第1側辺11c、11dとを有し、前記第1基準辺11aに沿ってJ/B接続用コネクタ13Aが実装されるとともに、一方側の第1側辺11cに沿ってハーネス接続用コネクタ14Aが実装されたものである。
【0028】
一方、第2基板10Bは、図7(b)に示すように、前記第1基準辺11a及び前記第1対向辺11bと同等の第2基準辺12a及び第2対向辺12bと、第2基準辺12aと第2対向辺12bとの間でこれら第2基準辺12a及び第2対向辺12bと直交する方向に延び、かつ互いに対向するとともに前記第1側辺11c、11dよりも大きな寸法をもつ一対の第2側辺12c、12dとを有し、第1基板10Aの第1基準辺11aと前記J/B接続用コネクタ13Aとの相対位置関係と同等の相対位置関係で第2基準辺12aに対してJ/B接続用コネクタ13Bが実装されるとともに、第1基板10Aの一方側の第1側辺11cとハーネス接続用コネクタ14Aとの相対位置関係と同等の相対位置関係で一方側の第2側辺12cに対してハーネス接続用コネクタ14Bが実装されたものである。
【0029】
第1基板10AのJ/B接続用コネクタ13Aと第2基板10BのJ/B接続用コネクタ13B、および第1基板10Aのハーネス接続用コネクタ14Aと第2基板10Bのハーネス接続用コネクタ14Bとは、端子数やその配置が相違する場合がある点を除きそれぞれ同等のものである。
【0030】
以下の説明では、特に区別する必要がある場合を除き、第1基板10A及び第2基板10Bを基板10と呼ぶ。
【0031】
図1〜図4に戻って、前記ケース20は、前記基板10を支持するためのケース本体21と、このケース本体21に着脱可能に装着され、この装着状態において基板10を外部から覆うカバー部材22とを備える。ケース本体21及びカバー部材22は樹脂成型品であり、それぞれ絶縁性を有する樹脂材料により形成されている。なお、以下の説明において方向を用いるときには、便宜上、図1中に示す指標に基づき説明を行うものとする。その場合、左右方向については、適宜、幅方向とも称する。
【0032】
ケース本体21は、図1〜図4に示すように、正方形に近い矩形の底壁部30と、この底壁部30の外縁に沿って立設される外周部32とを備え、底壁部30とは反対側が開口した形状を有する。前記外周部32は、詳しくは、幅方向に互いに平行に延びる前壁部32a及び後壁部32bと、前後方向に互いに平行に延びる左壁部32c及び右壁部32dとからなり、当該外周部32の内側には、底壁部30から立ち上がって前壁部32a及び後壁部32bと平行に延び、かつ左壁部32c及び右壁部32dに繋がる隔壁37が形成されており、この隔壁37により外周部32の内側の空間が前後に仕切られている。
【0033】
このケース本体21は、前壁部32a、左壁部32c、右壁部32dおよび隔壁37に囲まれた内側の空間が基板10を収容するための基板収容部24とされ、従って、この基板収容部24は、第1基板10A及び第2基板10Bのいずれもその法線方向に沿って挿入することが可能となっている。なお、この実施形態では、前壁部32a、左壁部32c、右壁部32dおよび隔壁37が本発明の周壁部に相当する。
【0034】
前記底壁部30のうちこの基板収容部24に対応する領域には、基板収容部24に収容される基板10を前記開口とは反対側から支持する複数の支持部34(本発明の基板支持部に相当する)が形成されている。これら支持部34は、底壁部30の壁面から突出した突部からなる。
【0035】
前記左壁部32c及び右壁部32d(本発明の一対の側壁部に相当する)は、第1基板10Aの第1側辺11c、11d又は第2基板10Bの第2側辺12c、12dに幅方向外側から当接することによりその位置を決めた状態で基板10を幅方向に拘束する幅方向保持部42、43を備える。これら幅方向保持部42、43は、各壁部32c、32dの対向面であって前後方向の複数の位置に設けられており、当例では、前壁部32aの近傍位置とその位置から後側に離間した位置とに設けられている。なお、左壁部32cの幅方向保持部42と右壁部32dの幅方向保持部43とはケース本体21の幅方向に互いに対向している。
【0036】
これら幅方向保持部42、43は、左壁部32c及び右壁部32dの各対向面から基板収容部24側に突出してケース厚み方向(図2の上下方向:以下、上下方向という)に延びる突条かなり、前後方向に一定幅を有している。
【0037】
これら幅方向保持部42、43の対向面のうち、右壁部32dの幅方向保持部43は、基板10を幅方向に位置決めするための基準面とされている。他方、左壁部32cの幅方向保持部42は、基板10を前記基準面に押圧するための押圧用変形部42b(本発明の第3押圧部に相当する)を備えている。この押圧用変形部42bは、幅方向保持部42の前記対向面から突出して上下方向に延びる断面半円形の狭幅の突条からなる。この押圧用変形部42bは、右壁部32dの幅方向保持部43との間隔が第1基板10Aの第1基準辺11a(第1対向辺11b)及び第2基板10Bの第2基準辺12a(第2対向辺12b)よりも小さい寸法となる位置にあり、かつこの位置から右壁部32dに対して離れる方向に変位するように弾性変形することが可能に形成されるともに、この弾性変形により当該押圧用変形部42bと右壁部32dとの間に第1基板10A又は第2基板10Bが圧入されることを許容し、かつこの圧入された第1基板10A又は第2基板10Bを当該押圧用変形部42bの弾性復帰力によって右壁部32d(幅方向保持部43の基準面)に押し付け得るように形成されている。
【0038】
なお、各幅方向保持部42、43の対向面のうちそれらの上端部には、基板10を幅方向保持部42、43の間に誘い込むためのテーパ部42a、43aが形成されている。これにより、基板収容部24へ基板10を収容する際には、テーパ部42a、43aに沿って左壁部32cと右壁部32dとの間に円滑に基板10を圧入することが可能となっている。
【0039】
一方、図3及び図4に示すように、前記前壁部32a(本発明の基準壁部に相当する)及び隔壁37(本発明の第2拘束部に相当する)はそれぞれ、前後方向保持部35、38を備えている。また、ケース本体21は、前壁部32aと隔壁37との間に位置において左壁部32c及び右壁部32dの内側面からそれぞれ内向きに突出する一対のリブ36(本発明の拘束用突出部(第1拘束部)に相当する)を備えている。これら前後方向保持部35、38及びリブ36は、第1基板10A及び第2基板10Bを前後方向に位置決めした状態で拘束するものである。
【0040】
前後方向保持部35、38はそれぞれ、各壁部32a、37の対向面であって幅方向の複数の位置に設けられており、当例では、幅方向両端部に設けられている。これら前後方向保持部35、38は、前壁部32a及び隔壁37の各対向面から基板収容部24側に突出して上下方向に延びる突条かなり一定幅を有する。
【0041】
前壁部32aの前後方向保持部35は、ケース本体21に対して基板10を前後方向に位置決めするための基準となるもので、第1基板10Aの第1基準辺11a又は第2基板10Bの第2基準辺12aが当接されることにより基板10を位置決めする。従って、前後方向保持部35の表面(隔壁37に対向する面)は位置決めのための基準面とされる。
【0042】
前記各リブ36は、前後方向に厚みを有する板状をなし底壁部30にそれぞれ繋がっている。これらリブ36は、それらの前面に押圧用変形部36b(本発明の第1押圧部に相当する)を備えている。この押圧用変形部36bは、リブ36の前面から突出して上下方向に延びる断面半円形の狭幅の突条からなる。この押圧用変形部36bは、前壁部32aの前後方向保持部35(基準面)との間隔が第1基板10Aの第1側辺11c、11dよりも小さい寸法となる位置にあり、かつこの位置から前壁部32aに対して離れる方向に変位するように弾性変形することが可能に形成されるとともに、この弾性変形により当該押圧用変形部36bと前壁部32aとの間に第1基板10Aが圧入されることを許容し、かつこの圧入された第1基板10Aを当該押圧用変形部36bの弾性復帰力によって前壁部32a(前後方向保持部35の基準面)に押し付け得るように形成されている。
【0043】
一方、前記隔壁37の各前後方向保持部38も、その前面に前記リブ36と同等の押圧用変形部38b(本発明の第2押圧部に相当する)を備えている。この押圧用変形部38bは、前後方向保持部38の前面から突出して上下方向に延びる断面半円形の狭幅の突条からなる。この押圧用変形部38bは、前壁部32aの前後方向保持部35(基準面)との間隔が第2基板10Bの第2側辺12c、12dよりも小さい寸法となる位置にあり、かつこの位置から前壁部32aに対して離れる方向に変位するように弾性変形することが可能に形成されるとともに、この弾性変形により押圧用変形部38bと前壁部32aとの間に第2基板10Bが圧入されることを許容し、かつこの圧入された第2基板10Bを当該押圧用変形部38bの弾性復帰力によって前壁部32a(前後方向保持部35の基準面)に押し付け得るように形成されている。
【0044】
なお、前壁部32aの前後方向保持部35とブ36のそれぞれ対向面の上端部、及び隔壁37の前後方向保持部38の前面上端部には、それぞれテーパ部35a、36a、38aが形成されている。従って、基板10を基板収容部24に収容する際には、これらテーパ部35a、36aに沿って前壁部32aとリブ36との間に円滑に第1基板10Aを圧入することができるとともに、テーパ部35a、38aに沿って前壁部32aと37との間に円滑に第2基板10Bを圧入することが可能となる。
【0045】
図1及び図4に示すように、ケース本体21は、さらにECU1を前記J/B2に係止するための係止部45、46を備えている。これら係止部45、46は、前壁部32a及び後壁部32bに一体的に形成されている。また、左壁部32cには、各基板10A、10Bの後記ハーネス接続用コネクタ14A、14Bを外部露出せるための切欠部33が形成されている。
【0046】
前記カバー部材22は、図1〜図4に示すように、ケース本体21の前記底壁部30に対応した略正方形の天板部50と、その外縁に沿って垂下する側壁部52とを備えている。
【0047】
側壁部52は、ケース本体21の前記外周部32に外嵌可能に形成されており、その周方向の複数箇所には、ケース本体21に対する係止窓52aを備えている。すなわち、カバー部材22は、図2及び図3に示すように、天板部50でケース本体21の開口を塞ぐように当該ケース本体21に被せられ、かつ、前記側壁部52が当該カバー部材22の側壁部52に外嵌することにより当該ケース本体21に装着される。そして、この装着状態において、ケース本体21の前記外周部32に形成されるフック部48がカバー部材22の前記係止窓52aに挿入されることにより、カバー部材22が前記ケース本体21に対して係止される。
【0048】
天板部50は、基板収容部24に収容される基板10を押え込むための複数の押下部54を有する。これらの押下部54は、天板部50の下面から垂下するとともにその先端(下端)に、例えば半円球状の突起54aを備えている。これら押下部54は、当例では、天板部50の下面であって、ケース本体21のうち前記各リブ36のやや前側の位置および前壁部32aにおける前記前後方向保持部35のやや後側の位置に対向する位置に設けられている。より詳しくは、ケース本体21の支持部34に対向する位置に設けられている。従って、ケース本体21にカバー部材22が装着されと、押下部54(突起54a)が支持部34に対向する位置で当該支持部34に向かって基板10を押さえ込み、これにより当該押下部54及び支持部34により基板10がその厚み方向に挟持される。
【0049】
なお、図1中符号51aは、各基板10A、10Bに搭載される後記J/B接続用コネクタ13A、13Bを外部に露出させるために天板部50に形成された開口部であり、符号51bは、各基板10A、10Bに搭載される後記ハーネス接続用コネクタ14A、14Bを逃がすために天板部50に形成された干渉防止用の切欠部である。
【0050】
ECU1の組み立ては、上述したケース20と基板10とを準備し、基板10をケース本体21の基板収容部24に収容した後、このケース本体21にカバー部材22を装着することにより行う。以下、ECU1の製造方法とともに詳細に説明する。
【0051】
ECU1の製造は、上述したケース20を製造するケース製造工程と、基板10を製造する基板製造工程と、基板10をケース本体21に収容してECU1を組み立てる組立工程とを経ることにより行う。
【0052】
基板製造工程では、前記第1基板10Aおよび第2基板10Bを製造する(本発明の第1基板製造工程及び第2基板製造工程に相当する)。
【0053】
第1基板10Aは、上述した通り(図7参照)、第1基準辺11aと、この第1基準辺11aに対向する第1対向辺11bと、一対の第1側辺11c、11dとを有し、J/B接続用コネクタ13Aおよびハーネス接続用コネクタ14Aが実装されたものである(図7(a))。また、第1基板10Bは、前記第1基準辺11a及び前記第1対向辺11bと同等の第2基準辺12a及び第2対向辺12bと、第1基板10Aの前記第1側辺11c、11dよりも大きな寸法をもつ一対の第2側辺12c、12dとを有し、J/B接続用コネクタ13Bおよびハーネス接続用コネクタ14Bが実装されたものである。
【0054】
なお、第2基板10Bについては、図7(b)に示すように、第1基準辺11aと平行な方向の両端部であって第1対向辺11bの近傍にそれぞれ切欠部16を設けておく。これら切欠部16は、ケース本体21への収容の際に、前記リブ36を逃がすためのものであり、従って、当該切欠部16はリブ36を回避できる形状を有する。
【0055】
なお、J/B接続用コネクタ13A、13Bは、コネクタハウジングに複数の雌型端子が一列に収容された雌型コネクタである。各J/B接続用コネクタ13A、13Bは、上向き、つまり基板10A、10Bの法線方向に沿って相手側のコネクタが接続可能となる姿勢で固定されている。他方、ハーネス接続用コネクタ14A、14Bは、コネクタハウジングに複数の雄型端子を備えた雄型コネクタである。これらハーネス接続用コネクタ14A,14Bは、側方に向いた姿勢(図7では左向き)、つまり、基板10A、10Bの面に沿って側方から相手側コネクタが接続可能となる姿勢で固定されている。
【0056】
ECU1の組立工程では、ケース20に第1基板10Aが収容された第1ECU(本発明の第1の電子ユニット)、及びケース20に第2基板10Bが収容された第2ECU(本発明の第2の電子ユニット)の組み立てを行う。
【0057】
第1ECU1Aの組み立て(本発明の第1ユニット組立工程に相当する)は、図2〜図4に示すように、第1基板10Aを、その第1基準辺11aを前壁部32aに押し当てながらケース本体21の前壁部32a、左壁部32c、右壁部32dおよびリブ36の内側に圧入することにより行う。このようにすると、前壁部32a及びリブ36が第1基板10Aの第1基準辺11a及び第1対向辺11bにそれぞれ当接することにより第1基板10Aが前後方向に拘束され、また、左壁部32c及び右壁部32dが第1基板10Aの第1側辺11c、11dにそれぞれ当接することにより第1基板10Aが幅方向に拘束される。そしてこの第1基板10Aの圧入に伴い、リブ36の押圧用変形部36bが弾性変形してその弾性復帰力により第1基板10Aを前壁部32aの前後方向保持部35に押圧することにより第1基板10Aが前壁部32aを基準として位置決めされる。また、左壁部32cの幅方向保持部42に形成された押圧用変形部42bが弾性変形してその弾性復帰力により第1基板10Aを右壁部32dの幅方向保持部43に押圧することにより第1基板10Aが右壁部32dを基準として位置決めされる。
【0058】
このようにして第1基板10Aをケース本体21に収容した後、当該ケース本体21にカバー部材22を装着することによって第1ECU1Aの組立てが完了する。具体的には、開口部51aからJ/B接続用コネクタ13Aが外部露出し、かつ切欠部51bにハーネス接続用コネクタ14Aが介在するようにケース本体21にカバー部材22を被せ、当該カバー部材22をケース本体21のフック部48に係止する。
【0059】
一方、第2ECU1Bの組み立て(本発明の第2ユニット組立工程に相当する)は、図5及び図6に示すように、第2基板10Bを、その第2基準辺12aを前壁部32aに押し当てながらケース本体21の前壁部32a、左壁部32c、右壁部32dおよび隔壁37の内側に圧入することにより行う。このようにすると、前壁部32a及び隔壁37が第2基板10Bの第2基準辺12a及び第2対向辺12bにそれぞれ当接することにより第2基板10Bが前後方向に拘束されるとともに、左壁部32c及び右壁部32dが第2基板10Bの第2側辺12c、12dにそれぞれ当接することにより第2基板10Bが幅方向に拘束される。そして、この第2基板10Bの圧入に伴い、隔壁37の前後方向保持部38に形成された押圧用変形部38bが弾性変形してその弾性復帰力により第2基板10Bを前壁部32aの前後方向保持部35に押圧することにより、第2基板10Bが前壁部32aを基準として位置決めされる。また、左壁部32cの幅方向保持部42に形成された押圧用変形部42bが弾性変形してその弾性復帰力により第2基板10Bを右壁部32dの幅方向保持部43に押圧することにより、第2基板10Bが右壁部32dを基準として位置決めされる。
【0060】
なお、第2基板10Bをケース本体21に収容すると、同図に示すように、第2基板10Bに形成された前記切欠部16にリブ36が介在し、これにより第2基板10Bは、当該リブ36と干渉することなく基板収容部24に収容される。従って、前壁部32aと隔壁37との間にリブ36が設けられていても、支障なく第2基板10Bをケース本体21に収容することができる。
【0061】
このようにして第2基板10Bをケース本体21に収容した後、当該ケース本体21にカバー部材22を装着することによって第2ECU1Bの組立てが完成する。この場合も、第1ECU1Aと同様に、開口部51aからJ/B接続用コネクタ13Bが外部露出し、かつ切欠部51bにハーネス接続用コネクタ14Bが介在するようにケース本体21にカバー部材22を被せ、当該カバー部材22をケース本体21のフック部48に係止する。
【0062】
上記のようなECU1A、1Bは、J/B2に組付けられた状態で当該J/B2と一体に車両に搭載される。ここで、第1ECU1AのJ/B2への組付けについて図8、図9を用いて簡単に説明する。
【0063】
同図に示すように、J/B2は、ECU1A,1Bの組付用凹部61を備えたハウジング60を備えている。組付用凹部61の内底部には、ECU接続用コネクタ62が設けられており、このECU接続用コネクタ62は、ハウジング60に一体形成された筒型のコネクタ嵌合部63とその内側に突出する状態でハウジング60に保持されるピン端子64とから構成されている。このECU接続用コネクタ62は、ECU1A,1Bの何れのJ/B接続用コネクタ13A、13Bとも接続可能である。また、ハウジング60は、ECU1A,1Bを係止するための係止片66等も備える。
【0064】
J/B2への第1ECU1Aの組付けは、J/B接続用コネクタ13AとECU接続用コネクタ62とが対向するように第1ECU1AをJ/B2に向かい合わせにし、この状態で第1ECU1AをJ/B2の組付用凹部61に嵌め込む。このようにすると、J/B接続用コネクタ13AのコネクタハウジングがECU接続用コネクタ62のコネクタ嵌合部63に嵌合するとともに、ECU接続用コネクタ62のピン端子64がJ/B接続用コネクタ13Aのコネクタハウジング内に挿入されて当該ピン端子64がJ/B接続用コネクタ13Aの端子に接触する。これによりJ/B接続用コネクタ13AとECU接続用コネクタ62とが互いに接続され、第1ECU1AとJ/B2とが電気的に接続される。また、第1ECU1Aの係止部45にJ/B2の係止片66が係合することにより第1ECU1AがJ/B2に係止され、これにより第1ECU1AとJ/B2とが電気的に接続された状態にロックされる。
【0065】
なお、ここでは、第1ECU1AのJ/B2への組み付けについて説明したが、第2ECU1BのJ/B2への組み付けも同様に行うことができる。
【0066】
以上のような本発明の上記ケース20及びこのケース20を用いたECU1A、1Bの製造方法によれば、互いに大きさ(面積)が異なる第1基板10A又は第2基板10Bが収容されたECU1A,1Bを共通のケース20を用いて効率良く製造することが可能となる。従って、従来のように、車両グレード毎に専用ケースを製作、管理する必要が無くなり、その結果、ECU1A,1Bの低廉化、部品管理の負担軽減および組立作業性の向上等に寄与することができる。
【0067】
特に、このECU1A,1Bは、上記のようにJ/B2への組込みにより前記J/B接続用コネクタ13A,13Bを当該J/B2側の共通のECU接続用コネクタ62に接続させるものであるため、ケース20とJ/B接続用コネクタ13A,13Bとの相対的な位置関係が重要となるが、上述の通り、ケース20は、第1基板10A及び第2基板10Bのいずれを収容する場合も、前壁部32a及び右壁部32dを基準として当該基板10A、10Bを位置決めした状態で収容することが可能であるため、第1基板10A及び第2基板10Bのいずれを収容した場合でも、ケース20とJ/B接続用コネクタ13との相対的な位置関係を一定に保つことが可能である。従って、J/B2への組付けを適切に行うことができるECU1A,1Bを提供することができる。
【0068】
なお、以上説明したケース20およびこのケース20を用いたECU1A,1Bの製造方法は、本発明に係る電子ユニット用ケースおよびこのケースを用いた電子ユニットの製造方法の好ましい例示であって、ケース20の具体的な構造やECU1A,1Bの具体的な製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態では、ケース本体21は、左壁部32c及び右壁部32dの内側面からそれぞれ内向きに突出する一対のリブ36を備え、これらリブ36と前壁部32aとの間で第1基板10Aを拘束するが、これらリブ36の代わりに、左壁部32cと右壁部32dの中間位置に単一のリブを形成し、このリブと前壁部32aとで第1基板10Aを保持するようにしてもよい。この場合には、前記第2基板10Bとして、前記切欠部16の代わりに当該リブを介在させることが可能な開口部を備えたものを用いるようにすればよい。要は、前壁部32aとの間で第1基板10Aを拘束するための拘束部(第1拘束部)は、左壁部32c及び側壁部32での間で断続した形状であって当該拘束部が存在しない領域で第2基板10Bが前後方向に連続するのを許容する形状であればよい。但し、実施形態のように、左壁部32c及び右壁部32dの内側面からそれぞれ内向きに突出する一対のリブ36によれば、第2基板10Bに関して、その両端(第2基準辺と平行な方向の両端)に切欠部を形成するだけでケース本体21への収容が可能となるため、第2基板10Bを、その強度を著しく損なうような形状とすることなくケース本体21に収容することが可能になるという利点がある。
【0070】
また、上記実施形態では、基板10(第1基板10A、第2基板10B)を前壁部32a及び右壁部32dを基準として位置決めするために、リブ36、前後方向保持部38、幅方向保持部42にそれぞれ押圧用変形部36b、38b、42bを設けているが、位置決めの制度が厳格に求められない場合には、これら押圧用変形部36b、38b、42bを省略した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1、1A、1B ECU(電子ユニット)
2 J/B
10 基板
10A 第1基板
10B 第2基板
11a 第1基準辺
11b 第1対向辺
11c、11d 第1側辺
12a 第2基準辺
12b 第2対向辺
12c、12d 第2側辺
13A、13B J/B接続用コネクタ
14A,14B ハーネス接続用コネクタ
20 ケース(電子ユニット用ケース)
21 ケース本体
22 カバー部材
30 底壁部
32 外周部
32a 前壁部(基準壁部)
32c 左壁部(側壁部)
32d 右壁部(側壁部)
35、38 前後方向保持部
36 リブ(第1拘束部)
37 隔壁(第2拘束部)
42、43 幅方向保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基準辺と、この第1基準辺と平行でかつ当該第1基準辺と対向する第1対向辺と、前記第1基準辺と前記第1対向辺との間でこれら第1基準辺及び第1対向辺と直交する方向に延び、かつ互いに対向する一対の第1側辺とを有し、前記第1基準辺に沿って外部接続用の第1コネクタが実装される第1基板と、前記第1基準辺及び前記第1対向辺と同等の第2基準辺及び第2対向辺と、前記第2基準辺と前記第2対向辺との間でこれら第2基準辺及び第2対向辺と直交する方向に延び、かつ互いに対向するとともに前記第1側辺よりも大きな寸法をもつ一対の第2側辺とを有し、前記第2基準辺に対して前記第1基準辺と前記第1コネクタとの相対位置関係と同等の相対位置関係で外部接続用の第2コネクタが実装される第2基板とのいずれも択一的に収容可能な形状を有し、当該第1基板または当該第2基板とともに電子ユニットを構成する電子ユニット用ケースであって、
前記第1基板及び前記第2基板の法線方向と平行な方向に開口し、当該法線方向と直交する方向から前記第1基板及び前記第2基板のいずれも拘束することが可能な形状をもつケース本体と、
このケース本体にその開口を塞ぐように装着されるカバー部材と、を備え、
前記ケース本体は、前記第1基板及び前記第2基板を択一的に収容可能な面積を有し、かつ、その収容する基板を前記開口と反対の側から支持する基板支持部をもつ底壁部と、前記底壁部から立ち上がって前記第1基板及び前記第2基板のいずれも包囲することが可能な形状をもつ周壁部とを有し、
この周壁部は、前記第1基準辺または前記第2基準辺に外側から当接することによりその位置を決める基準壁部と、前記第1側辺または前記第2側辺に対して外側から当接することによりその位置を決める一対の側壁部と、前記第1基板の第1基準辺が前記基準壁部に当接する位置で当該第1基板の第1対向辺に対して外側から当接することにより当該第1基板を前記基準壁部との間で拘束する第1拘束部と、前記基準壁部から前記第1拘束部よりも遠い位置にあり、前記第2基板の第2基準辺が前記基準壁部に当接する位置で当該第2基板の第2対向辺に対して外側から当接することにより当該第2基板を前記基準壁部との間で拘束する第2拘束部と、を有し、かつ、前記第1拘束部は前記両側壁部同士の間で断続した形状であって当該第1拘束部が存在しない領域で前記第2基板がその第2側辺と平行な方向について連続するのを許容する形状をもつことを特徴とする電子ユニット用ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ユニット用ケースにおいて、
前記第1拘束部は、前記両側壁部の内側面からそれぞれ内向きに突出する一対の拘束用突出部を有し、これら拘束用突出部は、前記第1基板の第1対向辺の両端部にそれぞれ当接することにより当該第1基板を前記基準壁部との間で拘束するとともに、両拘束用突出部同士の間の領域で前記第2基板がその第2側辺と平行な方向について連続するのを許容する形状をもつことを特徴とする電子ユニット用ケース。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子ユニット用ケースにおいて、
前記第1拘束部は、前記基準壁部との間隔が前記第1側辺よりも小さい寸法となる位置にあり、かつこの位置から前記基準壁部に対して離れる方向に変位するように弾性変形することが可能な第1押圧部を有し、この第1押圧部は、前記弾性変形により当該第1押圧部と前記基準壁部との間に前記第1基板が圧入されることを許容し、かつこの圧入された第1基板を当該第1押圧部の弾性復帰力によって前記基準壁部に押し付けることを特徴とする電子ユニット用ケース。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子ユニット用ケースにおいて、
前記第2拘束部は、前記基準壁部との間隔が前記第2側辺よりも小さい寸法となる位置にあり、かつこの位置から前記基準壁部に対して離れる方向に変位するように弾性変形することが可能な第2押圧部を有し、この第2押圧部は、前記弾性変形により当該第2押圧部と前記基準壁部との間に前記第2基板が圧入されることを許容し、かつこの圧入された第2基板を当該第2押圧部の弾性復帰力によって前記基準壁部に押し付けることを特徴とする電子ユニット用ケース。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の電子ユニット用ケースにおいて、
前記一対の側壁部のうち一方側の側壁部は、他方側の側壁部との間隔が前記1基準辺及び第2基準辺よりも小さい寸法となる位置にあり、かつこの位置から前記他方側の側壁部に対して離れる方向に変位するように弾性変形することが可能な第3押圧部を有し、この第3押圧部は、前記弾性変形により当該第3押圧部と前記他方側の側壁部との間に前記第1基板又は第2基板が圧入されることを許容し、かつこの圧入された第1基板又は第2基板を当該第3押圧部の弾性復帰力によって前記他方側の側壁部に押し付けることを特徴とする電子ユニット用ケース。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の電子ユニット用ケースにおいて、
前記カバー部材は、前記基板支持部に対向する位置で当該基板支持部に向かって基板を押さえ込む押下部を備えていることを特徴とする電子ユニット用ケース。
【請求項7】
第1の電子ユニット及び第2の電子ユニットを製造する方法であって、
請求項1乃至5の何れか一項に記載された電子ユニット用ケースを製造するケース製造工程と、
第1基準辺と、この第1基準辺と平行でかつ当該第1基準辺と対向する第1対向辺と、前記第1基準辺と前記第1対向辺との間でこれら第1基準辺及び第1対向辺と直交する方向に延び、かつ互いに対向する一対の第1側辺とを有し、前記第1基準辺に沿って外部接続用の第1コネクタが実装された基板であって、前記第1基準辺及び第1対向辺の寸法が前記電子ユニット用ケースのケース本体の一対の側壁部の間に圧入可能な寸法とされ、かつ前記一対の第1側辺の寸法が前記ケース本体の前記基準壁部と前記第1拘束部との間に圧入可能とされた第1基板を製造する第1基板製造工程と、
前記第1基準辺及び前記第1対向辺と同等の第2基準辺及び第2対向辺と、前記第2基準辺と前記第2対向辺との間でこれら第2基準辺及び第2対向辺と直交する方向に延び、かつ互いに対向するとともに前記電子ユニット用ケースにおけるケース本体の前記基準壁部と前記第2拘束部との間に圧入可能な寸法をもつ一対の第2側辺とを有し、さらに前記ケース本体の前記第1拘束部との干渉を回避可能な切欠部又は開口部を備えた第2基板を製造する第2基板製造工程と、
前記第1基板を、その第1基準辺が前記基準壁部に当接する状態で当該基準壁部、前記第1拘束部及び前記一対の側壁部の内側に圧入することにより、当該第1基板を前記ケース本体に収容し、このケース本体に前記カバー部材を装着することにより前記第1基板が収容された前記第1の電子ユニットを組み立てる第1ユニット組立工程と、
前記第2基板を、その第2基準辺が前記基準壁部に当接する状態で当該基準壁部、前記第2拘束部及び前記一対の側壁部の内側に圧入することにより、当該第1基板を前記ケース本体に収容し、このケース本体に前記カバー部材を装着することにより前記第2基板が収容された前記第2の電子ユニットを組み立てる第2ユニット組立工程と、を含むことを特徴とする電子ユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−169424(P2012−169424A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28603(P2011−28603)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】