説明

電子レシート発行システム、電子レシート発行装置および電子レシート発行方法

【課題】個々のPOS端末等の売上集計装置側が売上に関係した電子的な商品に関する情報を支払い側の端末側で管理することができる電子レシート発行システム、電子レシート発行装置および電子レシート発行方法を得ること。
【解決手段】POS端末102は個々の商品情報をPOSサーバ104から取得すると共に広告情報も取得してレシート用の電子レシートデータを作成し、通信インターフェース106を介して携帯端末108に送信する。携帯端末108はこれを基にしてレシートを表示し、広告にアクセスすることもできる。POS端末102は携帯端末108への送信ができなかった場合、紙のレシートを発行する。このレシートに印刷されたコード情報を読み取ってPOSサーバ104に送信することで、携帯端末108は電子レシートデータを受信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の商品の購入に伴って発行される電子レシートについての電子レシート発行システム、電子レシート発行装置および電子レシート発行方法に係わり、特に携帯端末に表示することのできる電子レシートについての電子レシート発行システム、電子レシート発行装置および電子レシート発行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばスーパマーケットやコンビニエンスストア等の小売店は、客が購入した商品のそれぞれをレジスタに入力して、支払いが終了すると、紙のレシートを発行するようになっている。レシートには個々の商品の購入価格や購入した数量が合計金額と共に記されている。したがって、客は家計簿を付けている場合、このレシートを見ながら家計簿にデータを転記することがきる。
【0003】
しかしながら、客は店舗で買い物をするたびにレシートを受け取ることになるので、このたびに紙資源が消費されることになり、その消費量を軽視することはできない。また、紙のレシートに記された商品名や価格を家計簿に転記することも大変面倒であり、家計簿の作成を長期間継続できない大きな原因となる。また、転記ミスも発生し、家計簿のデータの信頼性に影響する。
【0004】
そこで、POS(Point Of Sales)端末から携帯電話機に、買上商品名、またその金額等の商品売買に関する履歴データを転送することが第1の提案として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この提案では、顧客が買上げ商品を店舗のPOSレジスタに持ってきて、自分の携帯電話機に登録済みの店舗名を表示する。そして、この中から現在買上げをしようとしている店舗を選択し、確認する。次に、登録済みの顧客の暗証番号を入力し、確認してから、携帯電話に保持されている顧客コード、暗証番号、店舗コード、現在ポイントについてのデータをPOSレジスタに送信する。
【0005】
一方、店舗のPOSレジスタ側は、常時、または操作によりデータ受信待機中となっている。店舗側では売上データの確定が終わった後、売上前に携帯電話からデータを受信したか否かをPOSレジスタの画面に表示する。なお、画面表示するのは売上前にデータを受信した場合のみとしている。売上前にデータを受信している場合にはデータ送信画面を表示し、さらにデータを送信するか否かを判定して、送信すると判定した場合には、携帯電話にデータを送信する。この送信するデータとしては、累計ポイント、使用ポイント、今回ポイント等のポイントデータ、および顧客コード、顧客の暗証番号、店舗コード、来店日、買上商品名、その数量、その金額、累計売掛金額、支払区分、値引金額等の商品売上履歴に関するデータである。このようにして、この提案では商品の買上履歴の管理を行うことができ、家計簿に代わる金銭管理を行うことができる。
【0006】
また、商品に貼られたバーコードラベルを商談端末に接続されたスキャナなどの入力装置で読み取ってサーバに送信し、サーバから必要な商品情報を得るようにした提案が第2の提案として行われている(たとえば特許文献2参照)。この第2の提案では、商品の精算時に、顧客は携帯電話からPOS端末に商談番号を発信する。
【特許文献1】特開2002−342845号公報(第0020段落、図3)
【特許文献2】特開2002−367034号公報(第0003段落、第0024段落、第0040段落、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このうち第1の提案では、顧客が履歴データを取得する店舗を選択するようになっている。したがって、履歴データを送出する側のPOS端末は顧客が指定する可能性のあるすべての店舗の履歴データを用意しておく必要があった。このためPOS端末が各顧客についての膨大なデータを保管する必要があった。また、顧客も必要とするデータの対象となる店舗の指定や顧客の暗証番号を入力する必要があり、手続きが煩雑であり、現実に商品の清算のためにPOS端末の前に並んだような場合に携帯電話機側の準備作業が間に合わず、この提案によるデータ転送を利用できない場合が多かった。また、顧客側の入力ミスによって間違った店舗のデータが携帯電話機側に送られてきてもその内容をチェックすることが困難であった。したがって、商品の買上履歴の管理を行うことができるとしても、間違った店舗の情報を用いてしまう場合があり、データ管理の信頼性が低くならざるを得なかった。
【0008】
また、第2の提案では、顧客と商談を行う者の所持する商談端末にサーバからそれぞれの商品の商品情報を得ることができる。したがって、POS端末自体はこれら商品の商品情報を独自に格納しておく必要があり、第1の提案と同様にPOS端末が膨大なデータを保管する必要があった。これに対して、商品に求められる情報は、単に商品の名称や価格だけではなく、その商品の原材料や生産者の名前といった種々の内容まで拡大している。また、スーパマーケットや家電量販店では、各種の状況に合わせて商品の売値を変動させている。第1および第2の提案では、商品の清算を行うPOS端末あるいは商品販売データ処理装置でこのような商品情報に迅速に対応することが困難である。
【0009】
そこで本発明の目的は、個々のPOS端末等の売上集計装置側が売上に関係した電子的な商品に関する情報を支払い側の端末側で管理することができる電子レシート発行システム、電子レシート発行装置および電子レシート発行方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、(イ)購入の対象となる商品を表わす商品識別情報を送信する商品識別情報送信手段と、商品の売り上げの集計を行う集計手段と、この集計手段の集計結果を出力する集計結果出力手段とを備えた売上集計装置と、(ロ)商品識別情報とこれらの商品に関する各種の情報からなる商品情報を対応付けて格納したデータベースと、売上集計装置の商品識別情報送信手段から商品識別情報が送られてきたときデータベースを検索して対応する商品情報を検索する商品情報検索手段と、この商品情報検索手段により検索された商品情報を売上集計装置に送信する商品情報送信手段とを具備する商品販売データ処理サーバと、(ハ)売上集計装置の集計した集計結果を受信して格納する集計結果格納手段と、この集計結果格納手段に格納された電子的な集計結果を表示する集計結果表示手段とを備えた携帯端末とを電子レシート発行システムに具備させる。
【0011】
すなわち本発明では、売上集計装置と、商品販売データ処理サーバおよび携帯端末で電子レシート発行システムを構成している。ここで、売上集計装置は購入の対象となる商品を表わす商品識別情報を商品販売データ処理サーバに送信することで、これらの商品に関する商品情報を取得して売上の集計を行う。携帯端末は売上集計装置の出力する電子的な集計結果を格納すると共に表示するようにしている。すなわち携帯端末はレシートに関する電子的な集計結果を取得してこれを表示するだけでなく、管理することができる。
【0012】
また、本発明では、(イ)商品の購入結果として出力するレシートを電子データとして表わした電子レシートデータを商品の購入者の携帯端末に送信可能であるかを判別する電子レシートデータ送信可否判別手段と、(ロ)この電子レシートデータ送信可否判別手段によって送信不可と判別されたときその電子レシートデータに対応する識別マークを一部に表わした紙のレシートを発行する紙レシート発行手段と、(ハ)この紙レシート発行手段によって紙のレシートを発行するときその電子レシートデータをこれに対応する識別マークと共に記憶する電子レシートデータ記憶手段と、(ニ)識別マークを指定してこれに対応する電子レシートデータが要求されたときその要求先にこの電子レシートデータを携帯端末側でレシートとして表示するために送信する電子レシートデータ送信手段とを電子レシート発行装置に具備させる。
【0013】
すなわち本発明では、電子レシート発行装置が、商品の購入結果として出力するレシートを電子データとして表わした電子レシートデータを商品の購入者の携帯端末に送信可能であるかを判別し、送信不可と判別されたときその電子レシートデータに対応する識別マークを一部に表わした紙のレシートを発行するようにしている。この際に、その電子レシートデータをこれに対応する識別マークと共に記憶しておき、紙のレシートに記されていた識別マークを指定してこれに対応する電子レシートデータが要求されたときその要求先にこの電子レシートデータを携帯端末側でレシートとして表示するために送信するようにしている。これにより、携帯端末側で電子レシートデータの管理が可能になる。
【0014】
また、本発明では、(イ)商品の購入結果としてレシート発行装置側で発行するレシートを電子データとして表わした電子レシートデータを商品の購入者の携帯端末に送信可能であるかを判別する電子レシートデータ送信可否判別ステップと、(ロ)この電子レシートデータ送信可否判別ステップで送信不可と判別されたときその電子レシートデータに対応する識別マークを一部に表わした紙のレシートを発行する紙レシート発行ステップと、(ハ)この紙レシート発行ステップで紙のレシートを発行するときその電子レシートデータをこれに対応する識別マークと共に記憶する電子レシートデータ記憶ステップと、(ニ)識別マークを指定してこれに対応する電子レシートデータが要求されたときその要求先にこの電子レシートデータを携帯端末側でレシートとして表示するために送信する電子レシートデータ送信ステップとを電子レシート発行方法に具備させる。
【0015】
すなわち本発明では、商品の購入時に発行されるレシートを電子データとして表わした電子レシートデータを商品の購入者の携帯端末に送信可能であるかを判別し、送信不可と判別されたときその電子レシートデータに対応する識別マークを一部に表わした紙のレシートを発行するようにしている。この際に、その電子レシートデータをこれに対応する識別マークと共に記憶しておき、紙のレシートに記されていた識別マークを指定してこれに対応する電子レシートデータが要求されたときその要求先にこの電子レシートデータを携帯端末側でレシートとして表示するために送信するようにしている。これにより、携帯端末側で電子レシートデータの管理が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明の電子レシート発行システムによれば、商品販売データ処理サーバを用いることで、個々の売上集計装置に負担を掛けずに商品情報や広告等の付加情報を携帯端末に提供することができるようになる。
【0017】
また、本発明の電子レシート発行装置および電子レシート発行方法によれば、携帯端末にレシートを電子データとして表わした電子レシートデータの送信ができない場合に紙のレシートを発行することにし、更にこれに記された識別マークを基にして電子レシートを後で送信することにしたので、携帯端末側で電子レシートデータを用いた会計処理等の各種のデータ処理をデータ入力の人為的なミスを生じさせることなく簡易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の一実施例としての電子レシート発行システムの概要を表わしたものである。この電子レシート発行システム100は、レシートを電子化した電子レシートを使用するシステムであり、これを用いて入出金管理、情報や広告の配信も行うようになっている。
【0020】
この電子レシート発行システム100の中心となるのは、スーパマーケットやコンビニエンスストア等の小売店や飲食店等の店舗101に配置されたPOS(Point Of Sales)端末102である。POS端末102は、LAN(Local Area Network)や専用線、インターネット等の所望のネットワーク103を介してPOSサーバ104に接続されており、POSシステムを構成している。ここで、POSシステムとは、店舗101で商品を販売するたびに、オペレータ105がPOS端末102を操作することでこれらの販売情報を記録し、集計結果を在庫管理やマーケティングの材料として用いるシステムをいう。
【0021】
本実施例の電子レシート発行システム100では、POS端末102が通信インターフェース106を介してユーザ107の携帯端末108と接続されるようになっている。ここで携帯端末108は、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)あるいは小型のパーソナルコンピュータのような各種の携帯可能な情報処理装置のことをいう。通信インターフェース106は、このような携帯端末108の種類によって各種のものがある。代表的には赤外線通信、コネクタを使用した通信ケーブル、IC(Integrated Circuit)タグによる無線通信である。
【0022】
本実施例でPOSサーバ104は、同一店舗101のPOS端末102(図では1台のみを例示。)とネットワーク103を介して接続されている。そして、商品情報や在庫情報の他に、キャンペーン情報、お知らせ等の店舗情報や、求人広告、新製品広告等の当該店舗外広告の一括管理を行っている。たとえば商品情報の管理について、POSサーバ104は当該店舗101で取り扱っている商品データベースを保持している。そして、POS端末102に入力された個々の商品を特定する購入商品情報を取得し、これに基づいて予め記憶しているデータベース(図示せず)からその商品名や単価等に関する商品データを読み出す。この商品付帯情報は、POS端末102に処理のために送り返される。また、POSサーバ104は、POS端末102の取り扱うすべての情報を総括管理することで、売上や在庫管理に関するデータを記憶し、データベースとして活用することができる。
【0023】
一方、POS端末102は、顧客の購入する商品に関する購入商品情報をキーボードや図示しないバーコードスキャナ等の入力機器により入力し、POSサーバ104に商品データの照会のために送信する。そして、POSサーバ104から受信した商品データに基づいて、商品の生産や流通履歴を示すトレーサビリティ(traceability)等の購入商品に必要な情報の取得を行う。また、取り扱う店舗101の当該店舗情報および当該店舗外広告等の電子レシート生成に必要な電子レシートデータをPOSサーバ104から取得すると共に、取得したこれらの情報を基にして、図示しない紙のレシートに購入した商品等の情報を印刷するための紙のレシート印刷データの生成を行う。
【0024】
また、POS端末102は、ユーザ107の利便性を考慮した2次元コード等のデータの生成を行う手段も有する。更にPOS端末102は、電子レシートの生成に必要な情報を通信インターフェース106を介して携帯端末108へ送信する手段を備えている。従来から行われている紙のレシートを発行するために使用する紙のレシート印刷データには、ユーザ107が該当する店舗101に携帯端末108を携行しなかった場合に備えて、そのレシートを電子的なレシートに関する情報に対応付けるための2次元コードの印刷データ(識別マーク)を付加することができる。2次元コードがレシートに付加されていれば、ユーザ107はこれを読み取ってそのコード情報によって定まるウエブサイト等のレシート作成用情報記憶領域にアクセスして、必要な情報を電子レシートデータとして受け取ることができる。
【0025】
携帯端末108から電子レシートデータの取得要求があったとき、要求に対応するためにPOSサーバ104には電子レシートデータ・識別マーク対応テーブル109が設けられている。これにより、携帯端末108のユーザ107は、これらの電子レシートデータを電子的な家計簿に簡単にインポートすることができ、入力ミスの発生を防止することができるだけでなく、購入商品の仕分けを電子的な家計簿側のソフトウェアに任せることができる。紙のレシートを発行する際のフォーマットについては、後に説明する。
【0026】
本実施例の電子レシート発行システム100では、ユーザ107が携帯端末108を携行した場合に、これにPOS端末102から必要なデータを確実に転送させる必要がある。このため、通信インターフェース106を介した送信が正常に行われなかった場合には、ビープ音でエラーの発生を報知したり、発光ダイオード(LED)を点灯あるいは点滅させてエラーの発生を表示するようになっている。また、転送されてくるデータを携帯端末108のディスプレイでリアルタイムに確認できるようなアプリケーションソフトウェアがインストールされている。このため携帯端末108には、各種のアプリケーションソフトウェアを必要に応じてインストールするインストール機能が備えられている。もちろん、携帯端末108をPOS端末102と連携した特別仕様の端末として、必要なアプリケーションソフトウェアを予めその記憶媒体にインストールしておくようにしてもよい。
【0027】
携帯端末108は、インストールしたアプリケーションソフトウェアを使用して、POS端末102から受信した電子レシート情報データおよび広告情報データを基に、予め設定された所定のフォーマットで電子レシートを生成する。広告情報データは、電子レシート上に掲載される広告を表わした情報である。広告情報データはその広告のインターネット上での位置情報を示すハイパーリンク機能を有している。したがって、ユーザ107は携帯端末108に表示された広告情報データの領域をクリックすることで、アドレスを入力する必要なしに即座にインターネット上のその広告の詳細ページへアクセスすることができる。
【0028】
図2は、本実施例でユーザが使用する携帯端末の回路構成の概要を表わしたものである。携帯端末108は、CPU(Central Processing Unit)121およびROM(Read Only Memory)等のメモリ122を有する主制御部123を備えている。メモリ122には、この携帯端末108の全体的な制御を行う制御プログラムの他に、電子レシート発行システム100を実現するためのアプリケーションプログラムが格納されている。
【0029】
主制御部123は、携帯端末108における各部と接続されている。このうち電話機能部125は電話機としての機能を統合したモジュールで構成されている。赤外線通信部126は、図1に示したPOS端末102が赤外線通信を行う機能を備えているとき、これを選択して通信する回路部分で構成されている。ICタグ通信部127は、図示しないICタグを内蔵しており、POS端末102がこれに対応する通信を行う機能を備えているとき、これを選択して通信する回路部分で構成されている。表示制御回路128は液晶や有機EL(electroluminescence)からなるディスプレイ129の表示を制御する回路である。タッチパネル131は、このディスプレイ129を図1に示したユーザが指等で押圧したときその位置を検出するためのデバイスであり、座標判別回路132が位置の判別を行うようになっている。メモリカード装着部133は、大容量のデータを蓄積したりする際に使用するメモリカード134を着脱自在に装着する部分である。たとえば、図1に示したPOS端末102から送られてきた家計簿用のデータを図示しないパーソナルコンピュータに直接入力することができないような場合、メモリカード134にこれを一旦格納しておき、このメモリカード134をパーソナルコンピュータの図示しないメモリスロットに装着するようにすればよい。USB(Universal Serial Bus)端子接続部135は、パーソナルコンピュータがUSBに対応しているとき、図示しないUSBケーブルを使用して両装置の間でデータの送受信を行う場合に使用される。POS端末102がUSBに対応しているときには、これとの通信も可能である。カメラ部136は、静止画や動画を撮影する通常のカメラ機能の他に2次元コードやバーコードを撮影して、これらを解析する機能を持っている。
【0030】
本実施例のPOS端末102は、通常のPOS端末としての回路機能に、赤外線通信機能やICタグとの通信機能あるいはUSBケーブルによる通信機能のいずれかを最低限備えている。また、そのCPUは、POS端末制御用の制御プログラムの他に、電子レシート発行システム100の専用のアプリケーションプログラムを実行するようになっている。これ以外の部分は通常のPOS端末と変わりないので、その具体的な回路構成の図示は省略する。また、POSサーバ104については、一般的なPOSサーバと基本的に同一の構成となっている。そこでその具体的な回路構成の図示も省略する。
【0031】
次に、ユーザ107が自分の所持する携帯端末108を携行して店舗101に向かった場合を例にとり、このような電子レシート発行システム100の動作を具体的に説明する。
【0032】
図3は、ユーザの携帯端末のディスプレイに表示される電子レシート発行システムのトップメニューを表わしたものである。図1および図2と共に説明する。ユーザ107が電子レシート発行システム100専用のアプリケーションソフトウェアを起動すると、携帯端末108のディスプレイ129には「Mobile Receipt Manager」(モバイル・レシート・マネージャ)というタイトルと、ユーザ107が選択するメニュー項目が「1」から「6」までの数字と共に表示されている。このうち「1」は、電子レシートを表示して確認するための「レシートビュア」である。「2」は、登録されている電子レシートデータの一覧を表示する「リストビュア」である。「3」は、家計簿に対するデータの入出力管理を行う「家計簿」である。「4」は、データをPOS端末102から取り込むための「データ入力」である。「5」は、2次元コード等のコード情報のスキャンを行う「データスキャン」である。「6」は、ヘルプ情報を格納した「ヘルプ」である。
【0033】
ユーザ107は、電話機能部125内の図示しないテンキーを操作して、数字でこれらのメニュー項目の1つを選択するか、図示しない所定のペンあるいは指をタッチパネル131の指定箇所に押し当てて所望のメニュー項目を選択する。なお、主制御部123のメモリ122に格納されるアプリケーションソフトウェアは、電子レシート発行システム100自体の機能の追加や削除といった変更に伴って、あるいはPOS端末102や携帯端末108等のハードウェアの進化に伴って、メニュー項目が変更されることがあり、これに伴って携帯端末108にインストールされるアプリケーションソフトウェアのバージョンアップも可能である。ユーザ107は、自分の使用している携帯端末108に応じて電子レシート発行システム100用のアプリケーションプログラムを自動でバージョンアップさせる取り決めを行うことができる。バージョンアップは、POS端末102との通信時に行うこともできるし、携帯端末108を通信インターフェース106を介して、たとえばインターネット上の専用のサイトに接続して行うこともできる。
【0034】
図4は、ユーザが「レシートビュア」を選択したときにディスプレイに表示される内容の一例を示したものである。図1および図2と共に説明する。図3に示したようにディスプレイ129にトップメニューが表示された時点で、ユーザ107がメニュー項目の「1」を選択すると、最初に最新の電子レシートの内容が表示される。ユーザ107は前記した電話機能部125を構成する携帯端末108の図示しない左右キーあるいは上下キーを操作することでレシートの表示領域を切り替えることが可能である。たとえば図3のトップメニューと図4の電子レシートの表示領域の縦方向の長さが異なっているが、これは上下キーを操作してスクロールしたときに表示される1枚分の電子レシートを表わしている。
【0035】
電子レシート140には、店舗101の名称や所在地、電話番号、レシート発行年月日等の情報からなる店舗情報141と、購入した商品の名称や価格、合計金額等の本来の購入商品情報142の他にその店舗101の広告を記した店舗広告情報143と、その店舗101とは直接関係しない広告を記した店舗外広告情報144を含めることができる。この電子レシート140の例で「詳細はクリック」と表示されている店舗外広告情報144の箇所はハイパーリンク機能を有しており、クリックすることでインターネットへ接続し、詳細をディスプレイ129で確認することができる。店舗広告情報143や店舗外広告情報144には、キャンペーン情報や求人情報等の各種の情報がバナー形式やテキスト形式で付加されるようになっている。したがって、広告の注目度を高めたり、リンク先を設定している場合のそれらのアクセス率を高めることができる。
【0036】
店舗広告情報143と店舗外広告情報144は、ユーザ107とまったく無関係に選定されてもよいが、ユーザ107に関連付けて選定されることも可能である。後者の例としては、今回購入した商品のそれぞれと相関の高い商品の広告を選定することや、POSサーバ104側で過去に購入した商品を含めて相関の高い商品の広告を選定することが考えられる。また、ユーザ107の使用する携帯端末108から得られるユーザ107の性別やその他の情報を考慮することも有効である。
【0037】
ところで、購入商品情報142を構成する商品の中には、トレーサビリティ情報を示すアイコン146が、図4に示す例のように、たとえば商品の値段の横に記されている場合がある。この場合には、該当する商品のアイコン146をクリックすることで、その商品の生産段階から順に辿った流通経路や、生産者の名前、農薬使用の有無等の情報が別画面として表示される。すなわち、この電子レシートの場合にはディスプレイ129に表示されたアイコン146をクリックするだけで商品ごとのトレーサビリティ情報を簡単にチェックすることができるので、その実効性が高い。
【0038】
更に、電子レシート140の場合には、商品を購入した日付を指定したり、購入した店舗101を指定する等のように検索条件を各種設定して検索を行うことが可能である。したがって、たとえば過去に購入した同一商品の値段を複数の電子レシートの中から抽出して比較するといった処理を迅速に行うことができるようになる。
【0039】
図5は、ディスプレイに電子レシートデータの一覧を表示した一例を示したものである。このような電子レシートのリストの一覧表示は、図3に示したトップメニューの画面から「2」の「リストビュア」をクリックすることで選択することができる。このメニュー項目では、携帯端末108のアプリケーションプログラムによって記録されている電子レシートデータを一覧で、たとえば日付順に表示することが可能である。このような表示が行われている状態で、リストから1つの電子レシートデータを選択しクリックすることで、ユーザ107は当該電子レシートの詳細を確認することができる。
【0040】
図6は、この携帯端末に用意されている家計簿をディスプレイに表示した例を示したものである。図1および図2と共に説明する。ユーザ107はPOS端末102から取り込んだ電子レシートデータを図示しないパーソナルコンピュータに移し変えてこれにインストールされた家計簿に活用することができるが、携帯端末108自体を家計簿にすることができる。図3に示したトップメニューがディスプレイ129に表示された状態で、ユーザ107が「3」の「家計簿」をクリックすると、電子レシート発行システム100のアプリケーションソフトウェアの一部としての家計簿のソフトウェアに機能を切り替えることができる。
【0041】
家計簿のモードでは、予めその設定モードで設定した1ヶ月や1週間等の単位期間ごとに項目別の収入や支出をページ単位で表示することができる。これにより、ページを切り替えることで、各単位期間ごとに出入金を比較することができる。ディスプレイ129には各項目の支出額がテキスト情報として表示されているが、表示領域の右下に位置する「グラフ」ボタンをクリックすることでグラフ表示に切り替えることができる。グラフ表示に切り替えると設定モードで指定した円グラフや棒グラフ等の所望のグラフ形式で、たとえば1週間の収入や支出を日付や曜日別にグラフ表示することができる。
【0042】
ユーザ107は、電子レシート発行システム100のアプリケーションソフトウェア全体のバージョンアップを行うことで、あるいはその一部としての家計簿のソフトウェアのみをバージョンアップすることで、家計簿についての機能を追加したりバグの修正を簡易に行うことができる。バージョンアップを行うと、携帯端末108のメモリ122あるいはメモリカード134内に格納されたすべての電子レシートデータが対象とされて、図3に示した各メニューが実行される。したがって、ディスプレイ129に表示されるデータの整合が図られている。
【0043】
図7は、携帯端末を持参してこなかったユーザに対してPOS端末が出力する紙のレシートの構成を示したものである。図4に示した携帯端末のディスプレイ129に表示した電子レシート140と対比して説明する。図7に示した紙のレシート150の場合には、所定の感熱紙等の用紙に店舗情報141Aと購入商品情報142Aと2次元コードやバーコード等のコード情報151がプリントアウトされるようになっている。店舗情報141は電子レシート140の場合と基本的に同一である。ただし電子レシート140の店舗情報141の場合には、これにリンクを張ることができ、クリックすることで詳細な住所や店舗の地図を表示することが可能である。これに対して図7の店舗情報141Aは、印字スペースを割かなければこれらの情報をプリントアウトすることができない。購入商品情報142の場合にはアイコン146をクリックしてトレーサビリティ情報を示すことができるが、購入商品情報142Aの場合にはこのような情報を直接得ることはできいない。
【0044】
紙のレシート150におけるこのような情報不足は、携帯端末108が図2に示したカメラ部136によってコード情報151を読み取ることによって解消することができる。すなわち、ユーザ107は店舗101で受け取った紙のレシート150を持ち帰ったら、携帯端末108を操作して図3に示すトップメニューをディスプレイ129に表示させる。そして、「5」の「データスキャン」のメニュー項目を選択して、音声案内またはディスプレイ129に表示されるテキスト情報の指示に従ってカメラ部136でコード情報151を読み取る。すると、携帯端末108は通信インターフェース106を介してPOS端末102から該当する紙のレシート150に対応する電子レシート140の電子レシートデータをダウンロードすることができる。なお、このときPOSサーバ104が携帯端末108とコード情報151の対応関係を記憶しておけば、他人による電子レシートデータのダウンロードを避けることができる。
【0045】
これ以後、ユーザ107はダウンロードした電子レシートデータを基にして、図4に示すように電子レシート140をディスプレイに表示することができる。したがって、この時点でディスプレイ129に表示されたアイコン146(図4)をクリックすることで、トレーサビリティ情報を表示することができる。更に、ユーザ107は電子レシート140に表示される店舗広告情報143や店舗外広告情報144を新たに活用できることになる。
【0046】
なお、店舗広告情報143や店舗外広告情報144については情報の陳腐化を防止するために、電子レシート140の電子レシートデータをダウンロードする際の最新の情報に自動的に組み替えて、携帯端末108にダウンロードされるようになっていてもよい。また、これら店舗広告情報143や店舗外広告情報144は、POSサーバ104側で更新があったもののみを携帯端末108にダウンロードするようにすることが望ましい。
【0047】
以上のような電子レシート発行システム100の具体的な制御は、図1に示したPOS端末102、POSサーバ104および携帯端末108に格納されたソフトウェアをそれぞれの装置のCPUが実行することによって実現する。そこで、これを流れ図によって順次説明する。
【0048】
図8は、POSサーバがPOS端末に対して行う情報および広告の同期処理の様子を表わしたものである。図1と共に説明する。POSサーバ104は、まずPOS端末102の番号nを「1」に初期化する(ステップS201)。そして、まず、ネットワーク103を介して第1のPOS端末102にアクセスして同期処理の要求を行う(ステップS202)。この要求に対して所定の時間t1内に第1のPOS端末102からこれに応ずる旨の返答があったら(ステップS203:Y)、その第1のPOS端末102との間で、情報や広告の最新の情報を与え合うと共に、不要となった古いデータを消去して情報および広告の同期処理を行う(ステップS204)。ここでキャンペーン情報、お知らせ等の店舗情報や購入時の商品に関する情報は、この同期処理で、第1のPOS端末102側から提供されるデータであり、求人広告、新製品広告のような情報は、主としてPOSサーバ104側から提供される。
【0049】
ステップS204の同期処理が完了すると(ステップS205:Y)、POS端末102の番号nを更に「1」だけ加算して(ステップS206)、これによって得られた加算値がこの電子レシート発行システム100を構成するPOS端末102の最終番号「m」より大きくなっているかどうかがチェックされる(ステップS207)。加算値が「m+1」以上となっている場合には(Y)、同期処理を終了する(エンド)。一方、加算値が「m+1」に達していなければ(ステップS207:N)、ステップS202に進んで次のPOS端末102との間で同期処理が行われることになる。
【0050】
これに対して、ステップS203で所定の時間t1内に第1のPOS端末102から応答がなかった場合には、第1のPOS端末102が立ち上がっていないか、何らかの障害が発生している。したがって、この場合には(N)、次のPOS端末102の番号「n+1」に変更して(ステップS206)、これがPOS端末102の「m+1」に達していなければ(ステップS207:N)、ステップS202に進んで次のPOS端末102との間で同期処理が行われることになる。以下、同様である。
【0051】
図9は、POS端末がPOSサーバに対して行う情報および広告の同期処理の様子を表わしたものである。POS端末102はPOSサーバ104から同期処理要求が到来するのを待機している(ステップS221)。図8のステップS202による同期処理要求を受信すると(Y)、POS端末102はPOSサーバ104との間で、情報や広告の最新の情報を与え合うと共に、不要となった古いデータを消去して情報および広告の同期処理を行う(ステップS222)。同期が完了すれば(ステップS223:Y)、次の同期処理要求を待機することになる(リターン、ステップS221)。
【0052】
図10および図11は、POSサーバに対するPOS端末の商品照会処理の流れを表わしたものである。図1と共に説明する。まず、POS端末102のオペレータ105は、客としてのユーザ107が商品を清算のために運んできた時点で、POS端末102を操作してレシート発行用初期設定を行う(ステップS241)。具体的にはPOS端末102の図示しない処理開始キーを押すことで、レシートの採番と操作開始日時、オペレータ105の氏名等の所定の事項がPOS端末102の図示しないレシート発行用の記憶領域に記憶される。
【0053】
この後、オペレータ105が図示しないバーコードリーダを操作して商品ごとにバーコードを読み取ったり、あるいはPOS端末102の図示しない操作部から商品を特定するためのキー入力を行って購入商品情報の入力を行うと(ステップS242:Y)、購入商品情報に対応するコード情報(バーコード情報あるいはキーの押下情報)がネットワーク103を介してPOSサーバ104に送信される(ステップS243)。この後、POS端末102はPOSサーバ104から購入商品必要情報が送られてくるのを待機する(ステップS244)。
【0054】
図12は、POSサーバ側の商品照会処理の流れを表わしたものである。図1と共に説明する。図10のステップS243でPOS端末102が購入商品のコード情報を送信すると、POSサーバ104はこれを受信する(ステップS261:Y)。そして、購入商品のコード情報を、今回処理するレシートのレシート番号に対応する図示しない記憶領域に記録し(ステップS262)、POSサーバ104側の図示しないデータベースを検索して、そのコード情報に対応する購入商品必要情報を抽出する(ステップS263)。たとえば「010×××11」というようなコード情報が送られてきたときには野菜の「なす」の一袋の商品であることや、その価格が150円であることをデータベースから抽出する。そして、得られた購入商品必要情報をPOS端末102側に送信することになる(ステップS264)。
【0055】
図10に戻って説明を続ける。POS端末102は、POSサーバ104から送られてきた購入商品必要情報を受信したら(ステップS244:Y)、この購入商品必要情報を、レシート番号に対応したレシート発行用の記憶領域に格納する(ステップS245)。そして、再びステップS242の処理に戻って、次の購入商品情報の入力があれば前記した処理を繰り返すことになる(ステップS243〜ステップS245)。
【0056】
ユーザ107がたとえば1つだけ商品を購入するような場合には、次の購入商品必要情報が入力されることなく、POSサーバ104への購入商品必要情報の照会が完了する(ステップS246)。このときには、その旨の情報がPOS端末102からPOSサーバ104に送られる(ステップS247)。
【0057】
図12に戻って説明を続ける。POSサーバ104はステップS261の購入商品のコード情報の受信の待機中に、POS端末102から照会完了が受信されるか(ステップS265)と、携帯端末108からコード情報とレシート番号が送られてくるか(ステップS266)を併せて監視している。そして、照会完了を受信したら(ステップS265:Y)、レシート作成用情報をPOS端末102に送信する(ステップS267)。レシート作成用情報は、当該店舗情報および当該店舗以外の広告等の電子レシート生成に必要な情報である。
【0058】
図10のステップS247の続きとして図11のステップS248から説明を続ける。POSサーバ104からレシート作成用情報を受信したら(ステップS248:Y)、POS端末102はこの受信した情報からPOSサーバ104に購入商品情報の問い合わせが1件もなかったケースであるかどうかを判別する(ステップS249)。これは、オペレータ105がPOS端末102の処理開始キーを押したにも係らず、たとえばオペレータ105側に急用が発生したり、ユーザ107が商品の購入を取り消したりして、レシートに記載される商品が1件も存在しない事態が発生したような場合をいう。このような場合が発生したら(Y)、レシートは発行されないので、これに対処するために異常終了のための処理が行われる(ステップS250)。
【0059】
これに対して、該当するレシート番号の処理で商品の1件以上についてPOSサーバ104への照会があった通常のケースでは(ステップS249:N)、受信したレシート作成用情報と既にPOSサーバ104から受信した購入商品必要情報を用いて、レシートを作成するための購入商品必要情報や広告等の送信データが生成される(ステップS251)。そして、この時点でユーザ107の携帯端末108がデータ入力の待機中であれば(ステップS252:Y)、通信インターフェース106を使用して購入商品必要情報と広告等の情報をこの携帯端末108に送信する(ステップS253)。
【0060】
このようにPOS端末102から携帯端末108に迅速に電子レシート生成に必要な電子レシートデータが転送されるためには、オペレータ105が携帯端末108を所持しているユーザ107に対して、電子レシートデータの受信の準備を行うように一声かけたり、POS端末102と携帯端末108の通信の様子を図解した案内をPOS端末102の前に掲示しておくことが有効である。もちろん、店舗101側では電子レシートの発行によって紙のレシート150(図7)の発行に伴う経費やレシートを手渡す時間を不要にすることができるだけでなく、店舗広告情報143や店舗外広告情報144による経済的な利益を得ることができる。したがって、POS端末102から携帯端末108に直接データを転送した際には所定のポイントを付加するといったような特典をユーザ107に与えることが可能であり、これによって電子レシート発行システム100の普及を円滑に行うことができる。
【0061】
次に、ユーザ107が携帯端末108を所持せずに店舗101に来た場合の処理を説明する。この場合にはステップS252の処理で携帯端末108がデータ入力の待機中となっていない(N)。したがって、この場合、POS端末102は図7に示す紙のレシート150を発行することになる。このため、これに組み込んで印刷する2次元コードやバーコード等のコード情報151の生成が行われる(ステップS254)。そして、このコード情報151をこれに対応する紙のレシート150のレシート番号と共にPOSサーバ104に送信する(ステップS255)。これは、ユーザ107が紙のレシート150に印刷されたコード情報151を基にしてデータスキャンモードで電子レシート140(図4)の取得を要求したときに、POSサーバ104がこれに対応する送信データを携帯端末108側に送出できるようにするためである。
【0062】
このようなステップS255の処理と共に、POS端末102は紙のレシート150を印刷するための印刷データを生成する(ステップS256)。そして、これを基にして紙のレシート150を印刷して(ステップS257)、商品を購入したユーザ107に手渡して一連の処理を終了させる(エンド)。
【0063】
図12に戻って、図11のステップS255に対応するPOSサーバ104側の処理を説明する。POSサーバ104は、携帯端末108からコード情報とレシート番号が送られてくると(ステップS266:Y)、これを基にしてデータスキャン用の送信データを生成して、所定の領域に格納する(ステップS268)。これはユーザ107がデータスキャンモードで電子レシート140(図4)の取得のために要求するデータとなる。
【0064】
図13は、ユーザが携帯端末を商品購入時に持参した場合のPOS端末からの受信処理の流れを表わしたものである。図1および図2と共に説明する。まず、ユーザ107の操作によって、電子レシート発行システム100専用のアプリケーションソフトウェアが起動されると、図3に示すトップメニューが携帯端末108のディスプレイ129に表示される(ステップS281)。ここで、ユーザ107が「4」のデータ入力モードを選択すると(ステップS282:Y)、このデータ入力モードにおける通信インターフェースの選択処理が実行される(ステップS283)。すなわち、ユーザ107は商品の清算を行うPOS端末102に応じて、たとえば赤外線通信部126を選択したり、ICタグ通信部127を選択する。
【0065】
通信インターフェースの選択が行われると、データ入力要求が携帯端末108からPOS端末102に送信される(ステップS284)。このデータ入力要求に対してPOS端末102は図示しないが受信待機要求を返信する。携帯端末108はデータ入力要求を送信してから受信待機要求を受信するまでに時間t2が経過するかどうかを判別する(ステップS285、ステップS286)。そして、時間t2が経過しても受信待機要求を受信できなかった場合には(ステップS285:N、ステップS286:Y)、何らかの原因でデータ入力要求がPOS端末102に受け入れられなかったことが分かる。たとえば、データ入力要求を送るときに使用した通信インターフェース106がそのPOS端末102に対応していない場合には、データ入力要求が判読されないので受信待機要求の受信もない。この場合には、通信インターフェース106を他の手段に変える等の対処を指示するエラー処理が行われることになる(ステップS287)。
【0066】
したがって、電子レシート発行システム100のアプリケーションソフトウェアによっては、順次、通信インターフェース106の内容を切り替えて、データ入力要求が判読されるかどうかをチェックすることで、自動的に適合する通信インターフェース106を選択するようにすることも可能である。
【0067】
POS端末102から受信待機要求が受信された場合(ステップS285:Y)、携帯端末108はデータが受信されるのを待機する(ステップS288)。これが図11のステップS252と対応する。POS端末102から購入商品必要情報と広告等の情報が携帯端末108に送られてきたら(ステップS288:Y、図11ステップS253参照)、これらの受信データを本実施例のアプリケーションソフトウェアに対応する領域に格納する(ステップS289)。この際には送受信および保存するデータ量を最小限に抑えるため、これらのデータはテキストデータとして受信するのが望ましい。また、携帯端末108側に既に格納されている店舗広告情報143や店舗外広告情報144をチェックして、最新のものがすでに格納されている場合にはこれらの携帯端末108への転送を省略することができる。
【0068】
この後、携帯端末108は電子レシート140(図4)の生成と、内蔵のソフトウェアに応じて入出金管理を行うことになる(ステップS290)。たとえば家計簿のアプリケーションソフトウェアが起動していれば、これに応じたデータ処理を行う。もちろん、ユーザ107がアプリケーションソフトウェアの切り替えを行えば、これに応じて電子レシート140に関連した各種の統計を確認することができる。なお、トップメニューから「4」以外のメニュー項目を選択した場合には(ステップS282:N、ステップS291:Y)、該当するメニュー項目のモードが実行されることになる。
【0069】
図14は、紙のレシートに基づいた携帯端末の電子レシート受信処理の様子を表わしたものである。図1および図2と共に説明する。ユーザ107の操作によって、電子レシート発行システム100専用のアプリケーションソフトウェアが起動されると、図3に示すトップメニューが携帯端末108のディスプレイ129に表示される(ステップS301)。ここで、ユーザ107が「5」のデータスキャンモードを選択すると(ステップS302:Y)、カメラ部136を使用して図7に示した2次元コードやバーコード等のコード情報151の読み取りが実行される(ステップS303)。
【0070】
コード情報151の読み取りが成功したら、携帯端末108の主制御部123はメモリ122に予め記憶しておいたPOSサーバ104のURL(Uniform Resource Locator)を取り出して、電話機能部125が所定の電話番号に電話をしてインターネットに接続したときにPOSサーバ104にアクセスする(ステップS304)。そして、コード情報151の読み取りによって得られたレシート番号に対応する購入商品必要情報と広告等の情報からなる送信データが送られてきたら(ステップS305:Y)、これらを本実施例のアプリケーションソフトウェアに対応する領域に格納する(ステップS306)。この際には送受信および保存するデータ量を最小限に抑えるため、これらのデータはテキストデータとして受信するのが望ましい。この後、携帯端末108は電子レシート140(図4)の生成と、内蔵のソフトウェアに応じて入出金管理を行うことになる(ステップS307)。
【0071】
以上説明したように本実施例によれば、POS端末と携帯端末間のコミュニケーションの多様化が可能であり、レシートの電子化による環境を配慮したペーパーレス化の実現だけでなく、入出金管理機能の提供という応用面でユーザを支援することができる。また、効果的な情報と広告の配信を可能とした即時性とモビリティを兼ね備えた電子レシートシステムを提供することが可能になる。
【0072】
また、本実施例の電子レシート発行システムでは、次のような効果がある。
第1の効果として汎用性が向上する。電子レシートデータの送受信に赤外線、コネクタ経由、ICカード、2次元コード等の多彩な通信インターフェース106をサポートし通信の手段を限定しないためである。
第2の効果として、即時性の向上がある。電子レシートの受信や閲覧の手段として携帯端末108を用いることで、パーソナルコンピュータにデータを移し変えて利用する場合よりも即時性に優れる。また、効果的な広告媒体として電子レシートを即座に活用することができる。
第3の効果として、利便性の向上がある。紙のレシートを印刷した場合、2次元コード等の識別マークの印刷を行っており、これを基にして電子レシートデータを取得できるからである。従来の紙のレシートでは電子レシートを利用している顧客の場合に家計簿のソフトウェアへの手入力処理が発生する。本実施例では、電子レシートデータを通信により取得できるようにしており、各種のアプリケーションソフトウェアを簡易に利用することができる。
第4の効果として、拡張性の向上がある。電子レシートには店舗外等の情報や広告が掲載され、たとえばインターネットを利用することでこれらの情報に簡易にアクセスできるためである。広告の種類は食料品、電化製品、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等のジャンルを問わない。また、商品購入時にPOS端末102と携帯端末108間の通信インターフェース106を使用し受信するため、顧客にはパケット料金等が発生しない等のメリットがある。顧客の要望に応じて情報・広告のジャンルが設定できるようにしてもよい。
第5の効果として、簡易性の向上を図ることができる。電子レシートおよび入出金管理(例えば家計簿機能)を使用するにあたり、携帯端末に予めアプリケーションソフトウェアをインストールすればよく、簡単である。このように携帯端末にソフトウェアをインストールすることで、パーソナルコンピュータ等のより大型のシステムが不要になり、利用の場所を問わず利用できるのでモビリティの向上にもつながる。
【0073】
なお、実施例では店舗に設置されたPOS端末と携帯端末およびPOSサーバと携帯端末の間の通信について説明を行ったが、携帯端末が通信の対象にするのはPOS端末やPOSサーバに限定されるものではない。一般には売上集計装置や商品販売データ処理サーバというものであれば、携帯端末との通信によって同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、実施例ではカメラ部136が紙のレシート150に記されたコード情報151を撮影してその解析を行ったが、専用のコードリーダやイメージスキャナを使用してコード情報151の解析を行うようにしてもよい。更に、携帯端末108と通信を行う通信インターフェース106は、実施例で説明したものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施例としての電子レシート発行システムの概要を表わしたシステム構成図である。
【図2】本実施例でユーザが使用する携帯端末の回路構成の概要を表わしたブロック図である。
【図3】本実施例でユーザの携帯端末のディスプレイに表示される電子レシート発行システムのトップメニューを表わした平面図である。
【図4】本実施例でユーザが「レシートビュア」を選択したときにディスプレイに表示される内容の一例を示した平面図である。
【図5】本実施例でディスプレイに電子レシートデータの一覧を表示した一例を示す平面図である。
【図6】本実施例で携帯端末に用意されている家計簿をディスプレイに表示した例を示した平面図である。
【図7】本実施例でPOS端末が出力する紙のレシートの一例を示した平面図である。
【図8】本実施例でPOSサーバがPOS端末に対して行う情報および広告の同期処理の様子を表わした流れ図である。
【図9】本実施例でPOS端末側がPOS端末に対して行う情報および広告の同期処理の様子を表わした流れ図である。
【図10】本実施例でPOSサーバに対するPOS端末の商品照会処理の流れの前半を表わした流れ図である。
【図11】本実施例でPOSサーバに対するPOS端末の商品照会処理の流れの後半を表わした流れ図である。
【図12】本実施例でPOSサーバ側の商品照会処理の流れを表わした流れ図である。
【図13】本実施例でユーザが携帯端末を商品購入時に持参した場合のPOS端末からの受信処理の流れを表わした流れ図である。
【図14】本実施例で紙のレシートに基づいた携帯端末の電子レシート受信処理の様子を表わした流れ図である。
【符号の説明】
【0076】
100 電子レシート発行システム
101 店舗
102 POS端末
104 POSサーバ
106 通信インターフェース
108 携帯端末
109 電子レシートデータ・識別マーク対応テーブル
122 メモリ
123 主制御部
126 赤外線通信部
127 ICタグ通信部
129 ディスプレイ
133 メモリカード装着部
135 USB端子接続部
136 カメラ部
140 電子レシート
150 紙のレシート
151 コード情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入の対象となる商品を表わす商品識別情報を送信する商品識別情報送信手段と、前記商品の売り上げの集計を行う集計手段と、この集計手段の集計結果を出力する集計結果出力手段とを備えた売上集計装置と、
商品識別情報とこれらの商品に関する各種の情報からなる商品情報を対応付けて格納したデータベースと、前記売上集計装置の前記商品識別情報送信手段から商品識別情報が送られてきたとき前記データベースを検索して対応する商品情報を検索する商品情報検索手段と、この商品情報検索手段により検索された商品情報を前記売上集計装置に送信する商品情報送信手段とを具備する商品販売データ処理サーバと、
前記売上集計装置の集計した集計結果を受信して格納する集計結果格納手段と、この集計結果格納手段に格納された電子的な集計結果を表示する集計結果表示手段とを備えた携帯端末
とを具備することを特徴とする電子レシート発行システム。
【請求項2】
前記電子的な集計結果は電子レシートであり、前記集計結果表示手段は集計結果を視覚的に表示するディスプレイであることを特徴とする請求項1記載の電子レシート発行システム。
【請求項3】
前記データベースには前記売上集計装置に係わる店舗あるいはこれ以外の広告を表わした広告情報が格納されていることを特徴とする請求項1記載の電子レシート発行システム。
【請求項4】
前記データベースに格納された商品情報は、商品名、単価、ならびに各商品に付帯する商品情報から構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子レシート発行システム。
【請求項5】
前記売上集計装置は売上の集計結果としてのレシートを前記電子レシートの内容に対応付けた識別マークと共に印刷するレシート印刷手段を備えており、前記携帯端末はこの識別マークを読み取る識別マーク読取手段と、この識別マーク読取手段の読み取った識別マークを前記商品販売データ処理サーバに送信する識別マーク送信手段と、この識別マークを商品販売データ処理サーバに送ったときこれに対応する電子レシートに関するデータとしての電子レシートデータをこれから受信する電子レシートデータ受信手段とを備えており、前記商品販売データ処理サーバは各種の電子レシートデータを前記識別マークと対応させて格納した電子レシートデータ・識別マーク対応テーブルを備えていることを特徴とする請求項2記載の電子レシート発行システム。
【請求項6】
前記広告情報あるいは商品情報は、これらの関連情報を記述した通信ネットワーク上のアドレス領域にリンクされていることを特徴とする請求項3または請求項4記載の電子レシート発行システム。
【請求項7】
商品の購入結果として出力するレシートを電子データとして表わした電子レシートデータを前記商品の購入者の携帯端末に送信可能であるかを判別する電子レシートデータ送信可否判別手段と、
この電子レシートデータ送信可否判別手段によって送信不可と判別されたときその電子レシートデータに対応する識別マークを一部に表わした紙のレシートを発行する紙レシート発行手段と、
この紙レシート発行手段によって紙のレシートを発行するときその電子レシートデータをこれに対応する識別マークと共に記憶する電子レシートデータ記憶手段と、
前記識別マークを指定してこれに対応する電子レシートデータが要求されたときその要求先にこの電子レシートデータを前記携帯端末側でレシートとして表示するために送信する電子レシートデータ送信手段
とを具備することを特徴とする電子レシート発行装置。
【請求項8】
前記電子レシートデータには、購入した商品に関連する広告を前記携帯端末にレシートの表示内容の一部として表示するデータが含まれていることを特徴とする請求項7記載の電子レシート発行装置。
【請求項9】
商品の購入結果としてレシート発行装置側で発行するレシートを電子データとして表わした電子レシートデータを前記商品の購入者の携帯端末に送信可能であるかを判別する電子レシートデータ送信可否判別ステップと、
この電子レシートデータ送信可否判別ステップで送信不可と判別されたときその電子レシートデータに対応する識別マークを一部に表わした紙のレシートを発行する紙レシート発行ステップと、
この紙レシート発行ステップで紙のレシートを発行するときその電子レシートデータをこれに対応する識別マークと共に記憶する電子レシートデータ記憶ステップと、
前記識別マークを指定してこれに対応する電子レシートデータが要求されたときその要求先にこの電子レシートデータを前記携帯端末側でレシートとして表示するために送信する電子レシートデータ送信ステップ
とを具備することを特徴とする電子レシート発行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−15768(P2009−15768A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179669(P2007−179669)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(390000974)NECモバイリング株式会社 (138)
【Fターム(参考)】