説明

電子レンジ用合掌袋

【課題】一度開封して食材等を投入した後、安全に電子レンジで加熱することができる電子レンジ用容器を提供すること。
【解決手段】表裏2面の本体包装材とその下部に折り込まれた底テープ材からなり、開口部以外の容器端部の本体包装材内面同士及び底テープ材内面と本体包装材内面を直線状に熱溶着した袋状の容器であって、本体包装材内面に折り畳んで挿入した底テープ材を開いて底部を拡げた合掌袋の形態として、開口部を上面にして設置出来る、かつ、該容器の開口部に再封性のあるチャック部を設け、該チャック部の下部の近接した位置に内圧によって剥離する通蒸部を設けたことを特徴とする電子レンジ用合掌袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に食材を投入して、調味液等とともに電子レンジで加熱調理するための電子レンジ用の調理袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パウチ等の包装袋に入れた食品をレトルト釜で加熱、加圧殺菌した、いわゆるレトルト食品が広く流通し、使用されている。レトルト食品は包装袋によって密封されているため、そのまま電子レンジで加熱しようとすると、食品から発生する水蒸気によって包装袋が膨張し、破裂するおそれがある。
【0003】
電子レンジで加熱調理する用途の調理袋を用いた商品としては、調味液を入れてレトルト殺菌したパウチ食材を開封して、指定の食材を入れて袋のチャックで再封して、レンジでの加熱、加圧時にチャック部から蒸気を逃がす構造の商品が上市されている。
再封可能なチャックを装着した包装体としては平袋と自立袋(スタンディングパウチ)が一般的である。
【0004】
自立型の例を挙げると、特許文献1では、袋の上辺開口部の内側に線状のファスナーを備えてサイドシールあるいはボトムシール部分に蒸気抜きのための未シール部を設けた解凍用袋が提案されている。
また、スタンディングパウチの形態で通蒸部とチャック機構の位置と形状を工夫して上部にチャック機構を設け、チャック機構に近接した位置の両側のシール部分に内圧によって剥離する弁機構を設けた構成としたことにより繰り返しの再使用を可能とした包装容器が特許文献2において提案されている。
【0005】
蒸気抜き構造を工夫した平袋のいくつかの例を挙げると
特許文献3では、開閉可能な開口部が設けられており、通蒸可能な微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる内側フィルム層と、その面に固着され、通蒸可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる外側フィルム層とからなり、これらのフィルム層は、加熱により通気される水蒸気の量が調節される機能を有している包装袋が提案されている。
さらに、蒸気抜き部と、開閉自在に密封可能なジッパー部を有する食材投入部と、背面側に折返し部とを備え、加熱されて内圧が上昇すると、蒸気抜き部が剥離して蒸気孔が形成される包装袋が、特許文献4、特許文献5、特許文献6において提案されている。
【0006】
これらの提案はパウチ食材を開封して、指定の食材を入れて袋のチャックで再封して、レンジでの加熱、加圧時に安全に袋からから蒸気を逃がす目的の構造としては一定の効果をもたらすと考えられるが、実際の取り扱い作業においては簡便かつ安全に一連の調理を行う点でいくつかの課題を残していた。
たとえば、魚を袋に入れて調味料等とともに加熱・加圧調理する場合に、自立袋の形態では、内容物の出し入れが難しく特に調理完了後袋から出す場合などは煮魚の煮崩れ等が懸念される。
また、平袋の場合には、横から開口するので出し入れはし易いが、チャックが横の位置になるため、調理中にチャックの一部分の嵌合が甘くなると調味液が袋からレンジ内にこぼれだす危険性が高い。
【0007】
本発明者等は、既存のチャック付き自立製袋機を利用して、センター(背)部にチャックが装着された合掌袋によれば食材(魚等)が出し入れ易くなること、チャックが袋の上
部中央に位置することでチャックの一部分の嵌合が甘くなっても調味液が袋から漏れにくいことに着目して本発明の包装袋(合掌袋)に到達した。
この包装袋によれば、煮崩れし易い食材の場合には、チャック部を袋の片側に折り曲げた後、チャック部を開口し、内容物を横から挿入し再封してから電子レンジで調理中の加熱によって袋が膨らみチャックの一部分の嵌合が甘くなっても調味液が外側に漏れにくい状態で横から内容物を崩さないで取り出すことが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭63−3969号公報
【特許文献2】特許第3802205号公報
【特許文献3】特開2006−44708号公報
【特許文献4】特開2009−166853号公報
【特許文献5】特開2009−166846号公報
【特許文献6】特開2009−166847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、一度開封して水や低粘度の液体と食材等を充填した後、安全に電子レンジで加熱することができる電子レンジ用合掌袋を提供することを目的とする。
より詳しくは、調理時に煮崩れし易い食材の場合でも、チャック部を袋の片側に折り曲げた後、チャック部を開口し、内容物を上部または横から挿入し再封してから電子レンジで調理を行うことによって、加熱により袋が膨らみチャックの一部分の嵌合が甘くなっても調味液が外側に漏れにくい状態で上部または横から内容物を崩さないで取り出すことが出来る電子レンジ用合掌袋を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、表裏2面の本体包装材とその下部に折り込まれた底テープ材からなり、開口部以外の容器端部の本体包装材内面同士及び底テープ材内面と本体包装材内面を直線状に熱溶着した袋状の容器であって、
本体包装材内面に折り畳んで挿入した底テープ材を開いて底部を拡げた合掌袋の形態として、開口部を上面にして設置出来る、かつ、該容器の開口部に再封性のあるチャック部を設け、該チャック部の下部の近接した位置に内圧によって剥離する通蒸部を設けたことを特徴とする電子レンジ用合掌袋である。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、下部に折り込まれた底テープ材の高さが表裏で異なり、短い方の高さが底テープ材の折り込まれた位置から開口部までの長さよりも長いことを特徴とする、請求項1に記載の電子レンジ用合掌袋である。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、底テープ材内面と本体包装材内面を熱溶着したシール領域の形状は本体包装材同士を熱溶着した直線状のシール領域と同じ形状であることを特徴とする、請求項1から2のいずれか1項に記載の電子レンジ用合掌袋である。
【0013】
本発明の請求項4に係る発明は、本体包装材の高さが100mmから250mmの範囲であり、下部に折り込まれた底テープ材の高さが80mmから150mmの範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子レンジ用合掌袋である。
【0014】
本発明の請求項5に係る発明は、通蒸部がチャック部機構下部の容器両側又は片側のサイドシール部分に設けられた幅1mmから3mmの未シール部分または本体包装材に設け
られた直径1mmから2mmの複数の貫通孔により構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子レンジ用合掌袋である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電子レンジ用合掌袋によれば、調理時に煮崩れし易い食材の場合でも、チャック部を袋の片側に折り曲げた後、チャック部を開口し、内容物を上部または横から挿入し再封してから電子レンジで調理を行うことによって加熱により袋が膨らみチャックの一部分の嵌合が甘くなっても調味液が外側に漏れにくい状態で上部または横から内容物を崩さないで取り出すことが出来る電子レンジ用合掌袋が提供できる。以下使用時の状態を示す図面を援用して上記の効果の要点を説明する。
【0016】
図8には本発明の電子レンジ用合掌袋のチャック部を上面にして使用する場合の模式図を示した。(a)は合掌形態にする前の袋の全体図を(b)は底テープ折り畳み部から上部の起立部分を立ち上げて合掌形態にした模式図を示している。また、図9はチャック部を上面にして使用する場合(a)と横にして使用する場合(b)それぞれの袋の使用方法の説明図を示した。
【0017】
請求項1の発明の合掌袋は、図8(a)に示すように、表裏2面の本体包装材とその下部に折り込まれた底テープ材(4)からなり、開口部以外の容器端部の本体包装材内面同士をサイドシール(6)の位置で、底テープ材内面と本体包装材内面をボトムシール縦(7a)およびボトムシール横(7b)の位置でそれぞれ直線状に熱溶着した袋状の容器から組み立てられる。図のAは底テープ折り畳み部(8)から開口部までの高さ、Bは本体包装材の幅、Wは底テープ折り畳み部(8)から袋底部までの高さを示す。
【0018】
この容器を作成した後に、図8(b)に示すように、本体包装材内面に折り畳んで挿入した底テープ材(4)を折り畳み部(8)で開いて底部を拡げた合掌袋の形態として、起立させた開口部を上面にして設置出来る。
かつ、該容器の開口部に再封性のあるチャック部を設け、該チャック部の下部の近接した位置に内圧によって剥離する通蒸部を設けた電子レンジ用合掌袋であるので、チャック部(1)を備えた開口部を含む背のチャック部を上面にした起立状態での開口と再封という使用方法が可能である。
このように開口部が上部に配置できるために大きな内容物でも出し入れし易い、また、チャックの嵌合が多少甘くなった場合でも調味液等の液状の内容物が調理中にこぼれにくいという効果を有する。
【0019】
さらに、上記チャック部の下部の近接した位置に内圧によって剥離する通蒸部を設けたことによって、電子レンジ調理における加熱により袋の内圧が上昇した場合にも、内圧によって剥離して蒸気を逃散させる通蒸部の効果によって破袋にまでいたることが少ない。万一内圧が予測よりも大きくなって通蒸部の蒸気透過のみではチャック部からの漏れが防げない場合でもチャック部が起立状態の袋の上部にある部分に設けられているために漏れた内容物は袋上面にこぼれ、レンジ内に漏れ広がるという最悪の結果は回避することが出来る。
【0020】
図9にはチャック部を上記のように上面にして使用する場合(a)と横にして使用する場合(b)それぞれの袋の使用方法を示した。
請求項2の発明によれば、横にして使用する場合に、図9(b)のようにチャック部(1)を含む背部を袋の片側に横臥させて折り曲げた状態でチャックを開口し、内容物(食材)を白矢印で示したように横から出し入れする場合に下部に折り込まれた底テープ材(4)の高さが表裏で異なり、短い方の高さ(A+α)が底テープ材の折り込まれた位置から開口部までの長さ(A)よりも長いことによって、開口部から漏れた調味液等の液状物は直接レンジの底面を汚すことがない。
またチャック部を再封して電子レンジでの調理終了後、さんまのような細長い内容物でも形を崩すことなしに横から簡単に取り出すことが出来る。
【0021】
請求項3の発明によれば、底テープ材内面と本体包装材内面を熱溶着したシール領域(7)の形状は本体包装材同士を熱溶着した直線状のシール領域(6)と同じ形状であるために、折り曲げた底テープ材を本体包装材内面にパンチ加工をせずに挿入、タテヨコの直線熱シールを施し本体包装材と底テープ材を熱溶着してボトムシールを行い、同幅寸法で本体包装材内面同士を熱溶着してサイドシールを行うことが出来るので、両者が同一形状のヒートシールバーで行えるために簡便に製造することが可能である。
【0022】
請求項4の発明によれば、本体包装材の高さが100mmから250mmの範囲であり、下部に折り込まれた底テープ材の高さが80mmから150mmの範囲であるために、通常の電子レンジの調理室内部に容易に入れることが出来る寸法である。さらに起立状態にする部分の高さが高すぎるとレンジ底面に置いた場合に不安定であり内容物の納まり効率が悪く、起立状態にする部分の高さが低すぎると操作しにくいという問題点を回避できる。
【0023】
請求項5の発明によれば、チャック部機構下部の容器両側又は片側のサイドシール部分に設けられた幅1mmから3mmの未シール部分または本体包装材に設けられた直径1mmから2mmの複数の貫通孔により構成されている通蒸部が設けられたことにより電子レンジによる加熱時に容器内の蒸気内圧の増大により容器が破裂することやチャック機構の意図しない外れを防止することができる。これにより調理中に内容物が外部へこぼれ落ちる事を防止出来る。
サイドシール部分に設けられた未シール部分の幅と本体包装材に設けられた複数の貫通孔の寸法は上記の効果と、容器としての内容物保護性により決まってくるが、通常の寸法の容器においては上記の寸法程度が望ましい。
【0024】
このような通蒸部のいくつかの例を図6に示した。図6の(1)は容器両側のサイドシール部分に設けられた未シール部分により構成される、チャック部下部周辺の直線シールバーに1〜3mm幅の溝を1〜5本入れて未溶着部を形成した構造を示している。図6の(1)では容器幅方向の左側の袋端(13)のみ示してあるが、もちろん反対側の袋端でも或いは両端でもかまわない。チャック部下部(図示せず)の側の袋端(13)側のサイドシール(6)には袋端と容器内部(12)の間の幅に渉って未溶着部(10)がシール部(11)と交互に形成されており通蒸部(9)を形成している。
【0025】
この通蒸部の形状はたとえば図6の(3)、(4)および(5)に示すようなサイドシール(6)のシール部(11)に形成されたくさび状の未溶着部(10)であってもよく、加熱時の内圧P(白矢印で示した)により増大した剥離方向での応力集中によって未溶着部の先 端から剥離して通蒸する形状でもよい。
【0026】
容器側部のヒートシール部分に形成されるヒートシール部の溶着パターンを図のように凹み形状としたことによって、電子レンジ加熱時の容器内部の圧力増加による通蒸部の剥離を応力が集中する所定の位置で敏感に開始して通蒸部以外での蒸気孔の発生を防止できる。これによって、予期しない部分での内容物の漏洩や蒸気の噴出をなくして、安全に電子レンジ加熱による調理をすることがより確実に出来るようになる。
【0027】
図6の(2)には本体包装材に設けられた複数の貫通孔(14)により形成された通蒸部の例を示した。この方法によればサイドシール(6)のヒートシールバーに未溶着部領域に相当する間隔をあけた特殊な形状のシールバーを使うことなしに通蒸部を形成するこ
とが可能である。なお、必要によっては通蒸部を形成するために複数の方式を用いても良い。
【0028】
すなわち、前記通蒸部を少なくとも2箇所以上形成してなることによって、1箇所の通蒸部に万一異常があった場合でも他方の通蒸部からの通蒸によって、予期しない部分での内容物の漏洩や蒸気の噴出をなくして、安全に電子レンジ加熱による調理をすることがより確実に出来るようになる。
【0029】
図7には本発明の電子レンジ用合掌袋をチャック部を横にして使用した場合の電子レンジでの加熱時の形態例を示した。図7の(a)はサイドシール部に通蒸部を設けた場合、(b)は本体包装材に貫通孔を設けた場合の模式図である。
内容物(15)を充填した合掌袋は底テープ材(4)の折り畳み部分(8)を中心に押し広げられた底面を下側に、前面の本体包装材(2)を上側にした状態でレンジ床面に置かれている。背面の本体包装材(3)は底テープ材(4)の折り畳み部分(8)を中心に内側に折り畳まれてその上の位置に通蒸部(9)を含む起立部が開口部(5)を背面の本体包装材(3)の側に向けて(チャック部を横にして)横臥している。
【0030】
電子レンジでの加熱によって内容物(15)から生成した水蒸気により容器の内圧が高まると内部空間の容積が増大して前面の本体包装材(2)がさらに上方に押し上げられチャック部(1)および通蒸部(9)の位置が高くなるとともに通蒸部(9)および貫通孔(14)から水蒸気が噴出する。この場合に水蒸気の噴出位置が高く噴出方向が横から上の方向であり、さらに開口部(5)が折り畳まれた背面の本体包装材(3)の上の位置にあるので、水蒸気の噴出や起こり得るチャック部(1)からの内容物の漏れなどの影響を最小限に止めることが出来る。
【0031】
以上のように、本発明の電子レンジ用合掌袋は、電子レンジでの加熱時に容器内部に生じる水蒸気の蒸気圧を利用して、容器の破裂を起こすことなく水蒸気を容器外部に放出し、かつ通蒸部を容器上方に形成することによって水蒸気放出位置を押し上げて内容食材の漏出をも防止するという構造をも備えていることによって、一度開封して水や低粘度の液体と食材等を充填した後、安全に電子レンジでの調理をおこなうことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の合掌袋の製袋模式図(チャック部を上面にして使用する場合)。(a)全体図(b)X−X’断面図
【図2】底テープ材を左右に広げて合掌形態にした模式図(チャック部を上面にして使用する場合)。(a)全体図(b)断面図
【図3】本発明の合掌袋の製袋模式図(チャック部を横にして使用する場合)。(a)全体図(b)X−X’断面図
【図4】本体裏側と底テープ材で熱シール後スリットした模式図(チャック部を横にして使用する場合)。(a)全体図(b)X−X’断面図
【図5】底テープ材を左右に広げてチャック部分を上側に折り曲げて合掌形態にした模式図(チャック部を横にして使用する場合)。(a)全体図(b)X−X’断面図
【図6】本発明の合掌袋の通蒸部の部分拡大模式図の例
【図7】本発明の合掌袋を用いた電子レンジでの加熱時の形態例(チャック部を横にして使用する場合)。(a)通蒸部をサイドシール部に設けた場合(b)通蒸部をチャック部下部の貫通孔として設けた場合。
【図8】本発明の合掌袋の製袋模式図の例(チャック部を上面にして使用する場合)。(a)全体図(b)合掌形態にした模式図
【図9】本発明の合掌袋の使用方法の説明図(チャック部を上面にして使用する場合(a)と横にして使用する場合(b))
【図10】本発明の合掌袋を構成する材料の一例を示す断面模式図。(a)本体包装材の一例、(b)中間層の一例。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の電子レンジ用調理袋の一実施形態について、図面を参照して説明する。以下では主に電子レンジ用合掌袋が調理時にチャック部が上部にあり開口部が上方を向いている状態で使われる場合について説明するが、本発明の電子レンジ用合掌袋はチャック部が上方にあれば開口部の向きは横向きという場合にも適用が可能である。本発明の電子レンジ用合掌袋として適用が可能な第一の代表的な形状例を図1と図2に、他の代表的な形状例を図3から図5に示した。
【0034】
図1は本発明の合掌袋のチャック部を上面にして使用する場合の製袋模式図であり、(a)は全体の正面概略図、(b)は(a)のX−X’線での断面図である。
図2は図1の合掌袋で底テープ材を左右に広げて合掌形態にした模式図であり、(a)は全体の正面模式図、(b)は同じく断面図である。
【0035】
図1(a)及び(b)に示すように、本発明の電子レンジ用合掌袋は、袋前面を構成する本体包装材(2)と袋背面を構成する本体包装材(3)の表裏2面の本体包装材と、その下部(ボトム部)に折り込まれた底テープ材(4)からなり、開口部(5)以外の三方の容器端部の本体包装材内面同士を直線状に熱溶着(6)(サイドシール)及び底テープ材内面と本体包装材内面を直線状に熱溶着(7)(ボトムシール)した袋状の容器であって、通常の自動製袋機を用いて製袋することが出来る。
【0036】
図1は内容物の出し入れ時や電子レンジでの加熱時にチャック部(1)を容器の上面にして使用する場合の製袋模式図である。開口部(5)には内容物の出し入れを行う再封性のあるチャック部(1)を設けて、該チャック部の下部の近接した位置に内圧によって剥離する通蒸部(9)を設けて電子レンジでの加熱時の破袋を防止している。
【0037】
図2(a)及び(b)には図1に示した製袋後の袋に対して、本体包装材内面に折り畳んで挿入した底テープ材(4)を底テープ折り畳み部(8)から開いて底部を拡げた合掌袋の形態として、開口部(5)を上面にして設置出来る状態の電子レンジ用合掌袋を示した。
【0038】
底テープ(4)をほぼ180度開くことによって、底テープの折込幅(W)の2倍の長さの底面が形成され、同時に底テープ折り畳み部(8)からチャック部(1)を備えた開口部の高さ(A)で形成される起立部が、底テープが開かれて出来た底面に対してある角度で立ち上げられる。この開口部の高さ(A)および底面に対する角度(β)は固定したものではなく安定性を考慮した合掌袋全体の寸法や内容物の出し入れのしやすさ等によって自由に設定することが出来る。
【0039】
家庭用の電子レンジでの調理に用いる場合には、本体包装材の高さ(W+A)が100mmから250mmの範囲であり、下部に折り込まれた底テープ材の高さ(W)が80mmから150mmの範囲であることが望ましい。
また、このように底テープ折込部の容器前面と容器背面の高さが同じ場合には、底テープ材内面と本体包装材内面を熱溶着するシールバーの幅形状は本体包装材同士を熱溶着する直線状のシールバーと同じ形状で済むので製袋の効率から見ても有利である。
【0040】
図6には本発明の電子レンジ用合掌袋の通蒸部の形状のいくつかの例を示した。
図6の(1)では通蒸部(9)がチャック部(1)機構下部の容器両側のサイドシール部分(6)に設けられた未シール部分(10)によって形成されているばあいを示した。
容器の袋端(13)に設けた直線状のサイドシール(6)のチャック部(1)機構の下部の位置にシールの幅方向に線上のくぼみを設けたシールバーを用いて熱溶着することによって通蒸機能を有する幅1mmから3mmの未溶着部を形成することが出来る。
【0041】
図6の(3)と図6の(4)、図6の(5)では別の形状の通蒸部の例が、さらに本発明の電子レンジ用合掌袋では通蒸部(9)が本体包装材に設けられた直径1mmから2mmの複数の貫通孔により構成されている場合の例を示した。これらの説明は既述であるので省略する。
電子レンジ用合掌袋の通蒸部を、このようなシール形状とすることによって、電子レンジでの加熱時に内圧により本体包装材内面の接着部分が最も狭い部分で剥離しサイドシール端部にまで達すると開孔して通蒸する。
【0042】
この合掌袋に開口上部のチャック部(1)から食材を充填した後にチャックを再封し電子レンジ加熱を行う。電子レンジによる加熱が進行して内圧が上昇し、シール凹み部に応力が集中した時にシール後退が始まり、最も狭い部分がシール後退することによって袋端(13)から外部へとつながり蒸気の放出(通蒸)が開始される。図ではPの白矢印で袋端方向への内圧応力を象徴的に示した。
これによって通蒸部から食材等の内容物が漏洩噴出することなしに過剰な水蒸気の圧力を放散させて容器の破裂を防止して安全に加熱を行うことが出来る。
【0043】
もう一つの代表的な形状例を図3から図5に示した。図3は本発明の合掌袋のチャック部を横にして使用する場合の製袋模式図であり、(a)は全体の正面概略図、(b)は(a)のX−X’線での断面図である。
図4は図3の合掌袋で背面本体包装材と底テープ材とを熱シール後スリットした状態の模式図であり、(a)は全体の正面模式図、(b)は同じく断面図である。
図5は図4の合掌袋で底テープ材を左右に広げてチャック部分を上側に折り曲げて合掌形態にした模式図であり、(a)は全体の正面模式図、(b)は同じく断面図である。
本発明の合掌袋をチャック部を横にして用いる場合には、製袋の段階で下部に折り込まれた底テープ材の高さが表裏で異なり、短い方の高さが底テープ材の折り込まれた位置から開口部までの長さよりも長い形状とすることが、細長い外形の内容物を出し入れすることや開口部からの万一の漏れを考慮するとより使いやすい。
【0044】
図3は内容物の出し入れ時や電子レンジでの加熱時にチャック部(1)を容器の上面で横に倒して使用する場合に便利な袋の製袋模式図である。開口部(5)には内容物の出し入れを行う再封性のあるチャック部(1)を設けて、該チャック部の下部の近接した位置に内圧によって剥離する通蒸部(9)を設けて電子レンジでの加熱時の破袋を防止している。
【0045】
図3(a)及び(b)に示すように、本発明の電子レンジ用合掌袋は、袋前面を構成する本体包装材(2)と袋背面を構成する本体包装材(3)の表裏2面の本体包装材と、その下部(ボトム部)に折り込まれた底テープ材(4)からなり、開口部(5)以外の三方の容器端部の本体包装材内面同士を直線状に熱溶着(6)(サイドシール)して、前面の本体包装材内面と底テープ材内面とを直線状に熱溶着(7)(ボトムシール)した袋状の容器であって自動製袋機を用いて製袋することが出来る。
【0046】
図4(a)及び(b)には図3に示した製袋後の袋に対して、背面側の本体包装材と底テープ材を天地方向で前面側より短い高さの位置でボトムシールを行いスリットして前面側よりも短い折り込み高さの袋状部分を形成した段階の状態を示している。
図5(a)及び(b)には図4に示した製袋後の袋に対して、本体包装材内面に折り畳んで挿入した底テープ材(4)を底テープ折り畳み部(8)から開いて底部を拡げた合掌
袋の形態として、開口部(5)を上面にして設置出来る状態の電子レンジ用合掌袋を示した。
【0047】
底テープ(4)をほぼ180度開くことによって、底テープの折込幅(W+A+α)の長さの底面が形成される。
同時に底テープ折り畳み部(8)からチャック部(1)を備えた開口部の高さ(A)で形成される起立部が、背面本体包装材を内側として折り曲げられて、底テープが開かれて出来た背面側本体包装材側の底面(長さA+α)に対してある角度で立ち上げられる。この角度は、内容物の出し入れを横側に向けた開口部のチャックを開けて行う時の操作性から考えるとほぼ0度が好ましい。開口部の高さ(A)ははみ出し部の長さ(α)が適切に取れるように前面側底テープの折り込み幅(W)よりも短い範囲で設定することが出来る。
この開口部の高さ(A)や背面本体包装材を内側として折り曲げられて出来た底面の開口部の高さ(A)に対するはみ出し部の長さ(α)および底面に対する角度(β)は固定したものではなく安定性を考慮した合掌袋全体の寸法や内容物の出し入れのしやすさ等によって自由に設定することが出来る。
【0048】
本発明の電子レンジ用合掌袋に用いる本体包装材と底テープ材は、ヒートシール性を有するシート状の可撓性フィルム(以下「本体フィルム」)によって形成されている。
通常、本体フィルムは、調理用袋としての耐熱性や内容物保護性を備えた基材とヒートシール性の優れたシーラントとを含む二層以上の積層フィルムを使用する。
図10(a)は本発明の電子レンジ用合掌袋を構成する本体フィルム(20)の一例を示す断面模式図である。この場合は容器外側から、内側面に印刷層(23)を施した本体フィルム基材(21)と最内側に本体フィルムシーラント(22)が積層されており、その中間に中間層(25)が両面に接着剤層(24)を介してラミネートされている。
印刷層(23)と中間層(25)は必要に応じて設けられる層であり、中間層の具体例については後述する。
【0049】
本発明の電子レンジ用合掌袋において本体フィルム(20)を構成する本体フィルム基材(21)の材質としては、必要な耐熱性を有し、一般に電子レンジで加熱される食品用包装材料として使用されているものならば、特に限定はされない。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの延伸又は無延伸樹脂フィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押出しフィルム、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押出しフィルムなどのいずれかが使用できる。
またはこれらの2つ以上のフィルムを積層した複合フィルムであっても構わない。
【0050】
また、本体フィルム基材(21)の厚さは、加工性を考慮すると、10〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜30μmの範囲内がより好ましい。
この本体フィルム基材には、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤を加えることができ、必要に応じて適宜添加される。
さらに、本体フィルム基材の表面にコロナ放電処理、アンカーコート処理等の表面改質を行い、後述するシーラント層等との接着性や印刷適性を向上させることも可能である。
【0051】
また、必要に応じて本体フィルム基材(21)の表面または裏面に印刷層(23)を形成することができる。
印刷層(23)は、本体フィルム基材(21)の表裏どちらでも形成可能であるが、一般的なプラスチックフィルム袋への印刷の場合と同様に、インキの耐摩擦性、耐候性などを考慮して、基材の容器内面となる面にグラビア印刷方式などで設けることが好ましい。
【0052】
本発明の電子レンジ用合掌袋において、本体フィルム(20)を構成する最内層の本体フィルムシーラント(22)には、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などの樹脂、またはこれらの樹脂を成膜化したフィルムを使用することができる。
また、本体フィルムシーラント(22)の層の厚さは、シール強度、物性面、加工性、を考慮すると、20μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、30μm〜70μmの範囲内がより好ましい。
【0053】
本体フィルム(20)の最外層の本体フィルム基材(21)と、最内層の本体フィルムシーラント(22)とを積層する方法は、例えば、ドライラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法、及び該エクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドイッチラミネーション方法などの公知の方法が使用出来る。
【0054】
前記ドライラミネーション方法に使用する接着剤は、一般に用いられる、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他などのラミネート用接着剤の中から適宜選定して使用することができる。
【0055】
本発明の電子レンジ用合掌袋の本体フィルム(20)においては、本体フィルム基材(21)と本体フィルムシーラント(22)だけでは電子レンジ用合掌袋としての機能を十分に果たすことができない場合には、本体フィルム基材と本体フィルムシーラントとの間に中間層(25)を設けることが出来る。
前記調理袋の機能としては、例えば、ガスバリア性、機械的強靭性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性などが挙げられ、電子レンジ用合掌袋の包装容器として要求されるこれらの機能を中間層を設けることで達成するものである。
【0056】
本発明の電子レンジ用合掌袋は基本的には電子レンジでの調理時に内容物を壊すことなく安全に取り扱える機能を達成するものであるが、収納する内容物によって、特に酸素ガス、水蒸気、光などに対する耐性や長期常温流通などが求められる場合には、チャックだけでの密封性を補強する構造と同時に本体フィルムの前記中間層または基材にも、ガスバリア層などの機能を備えた材料を設ける必要が生じることがある。
【0057】
図10(b)には、本発明の電子レンジ用合掌袋を構成する中間層(25)の一例を示す断面模式図を示した。ここでは中間層基材(29)にプライマー層(30)を介して無機酸化物の蒸着薄膜層(31)が設けられており、さらにその表面にはガスバリア性被膜層(32)が設けられている。
【0058】
上記の目的でのガスバリア層としては、ガスバリア性の樹脂を用いたガスバリアフィルムや樹脂フィルムに図10(b)に例示したような、別のガスバリア層を設けたガスバリアフィルムが用いられる。
例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)ケン化物などのフィルム、或いはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)などのフィルムにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルム、無機酸化物(酸化珪素、酸化アルミニウムなど)の蒸着薄膜層を設けたフィルムやまたこれらフィルムの1種乃至それ以上を組み合わせた積層フィルムを使用することができる。
これらの中でも、電子レンジで加熱ができ、廃棄処分が容易な無機酸化物(酸化珪素、酸化アルミニウムなど)の蒸着薄膜層を設けたガスバリアフィルムが好ましい。これらのガスバリア層は中間層ではなく基材上に設けても構わない。
【0059】
図に示した、本発明の電子レンジ用合掌袋の開口上部の内面に設けられたチャック部(1)は開口して内容物の出し入れを行い、封止して電子レンジによる加熱を行うために設けられたものであり、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂の成形品を用いた互いに係合する係合突起が取り付けられて形成されている。
通常、容器の内面(シーラント面)にヒートシール方式で取り付けることから、容器のシーラントとしてポリプロピレン樹脂を用いた場合、チャックにもポリプロピレン樹脂製のものを用いることが好ましい。チャックの容器への取り付けは、専用の取り付け装置を製袋機に組み込むことにより製袋とインラインで取り付けることが可能である。
【実施例】
【0060】
以下に本発明の電子レンジ用合掌袋の一実施形態を実施例により説明する。
<実施例1>
【0061】
(材質構成)
基材として、二軸延伸ナイロンフィルム15μm厚み(出光ユニテック:TB1010)の片面に、シーラントとしてポリプロピレンフィルム80μm厚み(東レ:ZK93)をドライラミネートにて貼り合せ、反対面に内面に印刷を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをドライラミネートにて貼り合せて、本体フィルム及び底テープ材を作成した。
ドライラミネート用の接着剤としては大日本インキ化学工業製のLX703VLを用いて塗布量は4g/mで行った。チャックとしてPP系のチャック(出光ユニテック:MFP306)の15mm幅を準備した。
【0062】
(合掌袋の製造)
(1)幅290mm、高さ200mmの所定の寸法の本体フィルムの、上部から10mmの位置のシーラント面にチャックを挿入して熱圧着する。
(2)所定の寸法の本体フィルムの前面部材と背面部材をシーラント面を合わせてそのボトム部分に底テープ材(120mm幅)をパンチ加工をせず挿入した後、縦横の直線熱シール(6mm幅)を施し、本体フィルムと底テープ材を熱溶着する。
(3)本体フィルムの前面部材と背面部材とをシーラント面を合わせてサイドシールバー(6mm幅)で両サイドの熱溶着を行う。
サイドシールバーには、本体上部から30mm〜40mmの位置に1.5mm幅の溝を5mm間隔で2本入れたバーを用いて熱溶着を行う。これにより合掌袋両端のサイドシール部に幅が1.5mmの未溶着部分が形成される。
(4)一枚ごとにカットされて排出された上記袋を底テープ部分を広げて合掌袋の形態とする。合掌袋としての寸法は、幅240mm(2W)、高さ290mm(B)、センター(背貼)部80mm(A)となる(図8参照)。
【0063】
(調理事例)
このようにして作成した電子レンジ用合掌袋に、上部の起立したチャック部からいわし
の生姜煮一人分の食材及び調味料からなる内容物を充填した後にチャックを嵌合して封止して、内容物が密封された電子レンジ用合掌袋とした。
内容物の食材としては、いわし100gに合わせ調味料(煮汁)60ml(醤油大さじ1、みりん大さじ1、砂糖大さじ1、日本酒大さじ2、生姜スライス5枚、針生姜適量、鷹の爪1/3)を用いた。
まず、いわしを調理(さばき〜胴を三等分〜ワタ抜き〜塩ふりかけ〜日本酒ふりかけ)。次に合掌袋を開き、生姜のスライスを3枚敷き、上にいわしの身を並べ、いわしの上にも生姜のスライスを載せ、煮汁を回しかけ、鷹の爪を細かく切って加える。
これにチャックをして電子レンジ500Wで2分40秒加熱を行う。終わったらチャックを開けていわしを取り出し、袋内に残った煮汁を3分ほど加熱し、とろみがついたらいわしに回しかけ、針生姜を添える。
【0064】
この時、食材を入れて電子レンジで加熱を始めてから数分で、起立した合掌袋の上部の通蒸部から蒸気が噴出することが確認された。加熱中は通蒸部分からの蒸気の噴出は続いたが、内容物の通蒸部分やチャック部からの漏れ等は認められなかった。
このように、蒸気孔の形成された通蒸部が合掌袋の起立させた上部にあるために内容物が蒸気孔やチャックからから漏洩噴出することなく加熱調理が安全に完了した。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の電子レンジ用合掌袋では、合掌袋の背(センター)シール部のチャックを開口して、料理レシピに準じた食材・調味料等を入れ、チャックで再封後、電子レンジ加熱を行う。電子レンジ加熱を行うことで適度の加圧調理を行った後、内圧の急激な上昇による破袋の防止と、内容物がチャックが開いて飛び出さないようにチャック下及びサイド部分から蒸気が抜ける構造の電子レンジ調理用袋である。さらに、調理が完了した後、袋の背(センター)シール部のチャックを大きく開口して簡単に中身を取り出すことが出来る調理用袋でもある。
調理対象物としてはたとえば、煮魚(いわしの生姜煮、カレイの煮つけ等)、酒蒸し料理、煮物全般、かぼちゃの煮物、ひじきの煮物、高野豆腐の煮物等の広い範囲の料理の電子レンジを用いた調理に利用できる。
【0066】
本発明の電子レンジ用合掌袋は、単に食品をあたためるのみならず、好みの食材を調味料等と一緒に封入して電子レンジで加熱調理することが出来るので鍋を汚さずに調理することが可能であり洗浄のための洗剤や水の節約が出来る。
近年「内食回帰」や「巣ごもり」と呼ばれる生活習慣のブームが続き、健康に配慮した和食や個食の小容量化が増大する傾向が著しい。電子レンジをはじめとする調理家電も広く普及し、レンジの普及率は97%を超えている。
【0067】
このような状況に対応して、本発明の電子レンジ用合掌袋は、さまざまな形状をした調理対象物を手軽に、小容量で、形状を崩すことなく簡単にレンジで加熱加圧して取り出すことが出来、使用後の袋は冷えてから廃棄することで、後片付けの手間を省くことが出来る。
また、内容物は食品だけでなく、水分を含む様々な材料の電子レンジでの加熱が必要な場合にもこの袋が適用出来る。
【符号の説明】
【0068】
1…チャック部
2…前面本体包装材
3…背面本体包装材
4…底テープ材
5…開口部
6…サイドシール
7…ボトムシール
7a…ボトムシール縦
7b…ボトムシール横
8…底テープ折り畳み部
9…通蒸部
10…未溶着部
11…シール部
12…内面
13…袋端
14…貫通孔
15…内容物
16…起立部(背シール部)
20…本体フィルム
21…本体フィルム基材
22…本体フィルムシーラント
23…印刷層
24…接着剤層
25…中間層
29…中間層基材
30…プライマー層
31…無機酸化物の蒸着薄膜層
32…ガスバリア性被覆層
A…起立部(背シール部)高さ
B…幅
α…はみ出し部の高さ
W…底テープ折込幅
β…背シール部の起立角度
P…内圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏2面の本体包装材とその下部に折り込まれた底テープ材からなり、開口部以外の容器端部の本体包装材内面同士及び底テープ材内面と本体包装材内面を直線状に熱溶着した袋状の容器であって、
本体包装材内面に折り畳んで挿入した底テープ材を開いて底部を拡げた合掌袋の形態として、開口部を上面にして設置出来る、かつ、該容器の開口部に再封性のあるチャック部を設け、該チャック部の下部の近接した位置に内圧によって剥離する通蒸部を設けたことを特徴とする電子レンジ用合掌袋。
【請求項2】
下部に折り込まれた底テープ材の高さが表裏で異なり、短い方の高さが底テープ材の折り込まれた位置から開口部までの長さよりも長いことを特徴とする、請求項1に記載の電子レンジ用合掌袋。
【請求項3】
底テープ材内面と本体包装材内面を熱溶着したシール領域の形状は本体包装材同士を熱溶着した直線状のシール領域と同じ形状であることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の電子レンジ用合掌袋。
【請求項4】
本体包装材の高さが100mmから250mmの範囲であり、下部に折り込まれた底テープ材の高さが80mmから150mmの範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子レンジ用合掌袋。
【請求項5】
通蒸部がチャック部機構下部の容器両側又は片側のサイドシール部分に設けられた幅1mmから3mmの未シール部分または本体包装材に設けられた直径1mmから2mmの複数の貫通孔により構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子レンジ用合掌袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−6652(P2012−6652A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146272(P2010−146272)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】