説明

電子レンジ調理用即席麺類およびその製造方法

【課題】水を加えて電子レンジで簡単に調理することができ、かつ電子レンジ調理中にお湯が吹きこぼれることが無く、また、従来品のように喫食時に湯切りを必要とせず、得られる麺類も食感が滑らかでコシがあり、食感に優れる麺類が得られる、電子レンジ調理用即席麺類およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】電子レンジ調理用即席麺類に、原料穀粉100質量部に対して、HLB5.5以下の疎水性乳化剤0.1〜2質量部および油脂0.5〜5質量部を含有させる。さらに、膨張剤を0.5〜5質量部含有させることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫食時に湯切りを必要としない電子レンジ調理用即席麺類およびその製造方法に関する。詳細には、製麺原料としてHLB5.5以下の疎水性乳化剤および油脂を特定量で配合することで、電子レンジを用いて水から簡単に調理でき、かつ電子レンジ調理中に吹きこぼれることが無く、また、従来品のように喫食時に湯切りを必要とせず、得られる麺類も食感が滑らかでコシがあり、食感に優れる麺類が得られる、電子レンジ調理用即席麺類およびその製造方法に関する。更に、製麺原料としてHLB5.5以下の疎水性乳化剤及び油脂を特定量で配合することに加えて、更に膨張剤を配合することにより、電子レンジ調理中にお湯が吹きこぼれること無く、より短時間で調理することも可能となり、得られる麺類も食感が滑らかでコシがあり、食感に優れる麺類が得られる、電子レンジ調理即席麺類およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、即席麺は、蒸し処理等のα化を行った後、油揚げまたは熱風乾燥した即席麺塊に熱湯を注いで復元させるか、該即席麺塊を沸騰水中で復元させて喫食され、その手軽さから非常に多くの製品が製造・販売され、広く流通している。
【0003】
一方、即席麺に水ないし熱湯を加えて電子レンジ調理することで、即席麺を復元させて喫食させる技術も提案されている。例えば、特許文献1および2には、即席麺の吸水量の100〜155重量%の水を加え、特定の小孔を備える蓋をして電子レンジ調理され、調理後に水を捨てる必要が無い、電子レンジ用容器入り即席焼きそばが提案されている。また、特許文献3には、水戻し可能な麺類を提供することを目的として、生麺、α化または一部α化された乾麺または半乾燥麺に、麺重量の2〜6倍の水を入れ、電子レンジ調理する、水戻し電子レンジ麺類およびその調理方法が提案されている。しかし、これらの技術で用いている即席麺類の麺は、従来の即席麺や生麺であり、このため、これらの技術で得られる焼きそば等の即席麺は、硬くヒキがある食感となったり、あるいは粘りがなく軟らかい食感となり、商品価値の低いものである。
【0004】
このように、従来の麺類を電子レンジ調理すると、柔らかくなりすぎてコシのない食感となるか、ヒキがある食感となりやすい。また、電子レンジ調理時に水が突沸し、熱湯が吹きこぼれるという問題もあった。このため、電子レンジ調理即席麺はあまり普及していないというのが現状である。
【0005】
電子レンジ調理中の熱湯の吹きこぼれの問題に対しては、前述の特許文献2には、電子レンジ調理による加熱中に容器から内容物が吹きこぼれるのを防止するため、消泡用物質として、HLBの低い乳化剤(好ましくは3以下のもの)を、蓋の内面や容器本体の内面であって麺塊よりも上方部分に塗布することが記載されている。また、特許文献4には、水を添加して電子レンジ調理して、湯切りすることなく喫食することができる焼きそば等の汁なしタイプの電子レンジ調理用の容器入り即席麺類が記載され、膨脹剤として重曹とグルコノデルタラクトンを組合せて用いることで、電子レンジ調理時の過剰な泡の発生を抑えて、ムラなく良好に電子レンジ調理することができることが記載されている。該膨脹剤については、即席麺類の容器に直接収納せずに、内包装しておき、電子レンジ調理時に喫食者が開封して容器内に充填するものである。
【0006】
しかし、特許文献2および4の方法では、完全に水に浸漬していない状態の麺塊を電子レンジ調理で喫食状態に復元するために必要である蒸気を逃がしながら蒸し調理を可能とする軽く蓋をした電子レンジ調理方法では、電子レンジ調理時に水が突沸し、熱湯が吹きこぼれるという問題は、実際には解消することができない。また、製麺原料としてHLB5.5以下の疎水性乳化剤および油脂、更には膨張剤を配合することについても、特許文献2および4には、何ら記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平5−15419号公報
【特許文献2】特公平7−16368号公報
【特許文献3】特開平11−137195号公報
【特許文献4】特開2010−51296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、水を加えて電子レンジで簡単に調理することができ、かつ電子レンジ調理中にお湯が吹きこぼれることが無く、また、従来品のように喫食時に湯切りを必要とせず、得られる麺類も食感が滑らかでコシがあり、食感に優れる麺類が得られる、電子レンジ調理用即席麺類およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、製麺原料としてHLB5.5以下の疎水性乳化剤および油脂を特定量で配合することにより、電子レンジ調理中にお湯が吹きこぼれることが無く、喫食時に湯切りを必要とせず、得られる麺類も食感が滑らかでコシがあり、食感に優れる麺類が得ることができることを見出し、本発明を完成した。更には、HLB5.5以下の疎水性乳化剤および油脂に加えて膨張剤を配合することにより、上記の効果を維持し、電子レンジでの調理時間も短縮できることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、下記(1)〜(4)を提供するものである。
(1)製麺原料として、原料穀粉100質量部に対して、HLB5.5以下の疎水性乳化剤0.1〜2質量部および油脂0.5〜5質量部を含有することを特徴とする電子レンジ調理用即席麺類。
(2)さらに、膨張剤を0.5〜5質量部含有する上記(1)の電子レンジ調理用即席麺類。
(3)麺類の形態がα化したノンフライ即席麺である上記(1)または(2)の電子レンジ調理用即席麺類。
(4)製麺原料として、原料穀粉100質量部に対して、HLB5.5以下の疎水性乳化剤0.1〜2質量部および油脂0.5〜5質量部、またはHLB5.5以下の疎水性乳化剤0.1〜2質量部および油脂0.5〜5質量部にさらに膨張剤0.5〜5質量部を配合することを特徴とする電子レンジ調理用即席麺類の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水を加えて電子レンジで簡単に調理することができ、かつ電子レンジ調理中にお湯が吹きこぼれることが無く、また、従来品のように喫食時に湯切りを必要とせず、得られる麺類も食感が滑らかでコシがあり、食感に優れる麺類が得られる、電子レンジ調理用即席麺類およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の電子レンジ調理用即席麺類においては、製麺原料として、HLB5.5以下の疎水性乳化剤および油脂を本発明の範囲で配合するか、または、HLB5.5以下の疎水性乳化剤および油脂に加えて、さらに膨張剤を配合し、麺類自体(麺塊)に含有させることが必要である。
【0013】
上記乳化剤としては、HLB5.5以下の疎水性乳化剤であれば特に限定はされないが、好ましくはHLB1〜5のショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の疎水性乳化剤、より好ましくはHLBが上記範囲のショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルを用いる。このような疎水性乳化剤は各種市販されており、これらを適宜使用することができる。また、HLB5.5以下になるように複数の乳化剤を組み合わせることもできる。
HLBが5.5を超える乳化剤では、電子レンジ調理中の突沸やお湯の吹きこぼれを防止することができず、また、麺表面のべたつきが酷く、一方で麺内部は粉っぽくなり、食感の点でも劣るものになりやすい。
【0014】
本発明において、上記のHLB5.5以下の疎水性乳化剤の配合量は、製麺に用いる原料穀粉100質量部に対して0.1〜2質量部の範囲であり、0.5〜1質量部が好ましい。
【0015】
また、本発明に用いる上記油脂は、麺類に製造に用いることができる食用油脂であれば特に限定はされず、例えば菜種油、オリーブ油、大豆油、コーン油、胚芽油、ゴマ油、綿実油等の植物油、ラード、牛脂、魚油等の動物油の他に、ショートニング、バター、マーガリン等が挙げられ、これらのうち、オリーブ油、菜種油、大豆油等の食用液状油脂が好ましい。
【0016】
本発明において、上記油脂の配合量は、製麺に用いる原料穀粉100質量部に対して0.5〜5質量部の範囲であり、1〜3質量部が好ましい。油脂をこの量で上記乳化剤と共に製麺原料に配合することで、電子レンジ調理中にお湯が吹きこぼれることが無く、また、従来品のように喫食時に湯切りを必要とせず、得られる麺類も食感が滑らかでコシがあり、食感に優れる麺類をより確実に得ることができる。更に電子レンジ調理後の即席麺類であっても、麺線の中心部に程よい芯があり、表面に粘りの層が形成され、より滑らかでかつよりコシがある食感の麺類が得られる。特に、麺類の種類がスパゲティ等のパスタ類の場合、アルデンテの好ましい食感となる。
【0017】
製麺原料として、HLB5.5以下の疎水性乳化剤および油脂を本発明の範囲で配合して麺類に含有させないと、本発明の効果は得られない。例えば、即席麺塊の表面に付着させたり、容器に塗布ないし収納しても、電子レンジ調理中の突沸やお湯の吹きこぼれを防止することができず、かつ麺類の食感についても効果が得られない。
【0018】
更に、本発明においては、製麺原料として膨張剤を配合することが好ましい。膨張剤は、原料穀粉100質量部に対して、0.5〜5質量部を配合するのが好ましく、1〜3質量部を配合するのがより好ましい。膨張剤をこの範囲で配合して麺類に含有させることで、電子レンジ調理中にお湯が吹きこぼれることが無く、より短時間で調理することも可能となり、得られる麺類も食感が滑らかでコシがあり、食感に優れる麺類を得ることができる。
【0019】
上記膨張剤としては、炭酸アンモニウム及び/又は重炭酸アンモニウム等のガス発生剤に、必要に応じて酒石酸、ミョウバン、グルコノデルタラクトン、酸性リン酸カルシウム、酸性硫酸ナトリウム等の酸性剤を配合した、いわゆるベーキングパウダーを使用するのが良い。
【0020】
本発明において、麺類の製造に用いる上記原料穀粉としては、従来、麺類の製造に用いられている穀粉類であれば特に限定されないが、小麦粉としては、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、デュラム小麦粉(セモリナを含む)が挙げられ、製造する麺類の種類等により適宜選択することができる。即席うどんや即席中華麺、即席焼きそば等では、中力粉、準強力粉、デュラム小麦粉が好ましく、中力粉を主体とするものがより好ましいが、即席スパゲティの場合には、デュラムセモリナまたはデュラム小麦粉を主体とするものが好ましい。また、これらの小麦粉に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、小麦粉全粒粉、小麦粉以外の穀粉類、例えば大麦粉、そば粉、ライ麦粉、ライ小麦粉、米粉、コーンフラワー、大豆粉等や、澱粉類を配合してもよい。当該澱粉類としては、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉及びこれらにα化、エーテル化、エステル化、リン酸架橋化、酸化処理等の処理を施した化工澱粉等が挙げられる。
【0021】
また、本発明においては、その他の副原料として、食塩;卵白粉、全卵粉等の卵粉;キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸エステル、寒天、ゼラチン、ペクチン等の増粘剤;糖類;かんすい;炭酸塩、リン酸塩等の無機塩類;グルテン、大豆粉、大豆蛋白質、脱脂粉乳、カゼイン等の蛋白質素材;その他ソルビット、エチルアルコール、酵素剤等を適宜配合することができる。その他の副原料の配合量は、その使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、本発明の効果を損ねないようにする観点から、上記原料穀粉100質量部に対して合計で20質量部以下の範囲とすることが好ましい。
【0022】
本発明において、麺類の種類としては、うどん、中華麺(焼きそば)、パスタ等を挙げることができるが、本発明の電子レンジ調理用即席麺類は、喫食時に湯切りを必要としないため、汁またはスープ等に麺線が浸かっていない形態を取るものに特に好適である。このため、麺類の種類としては、焼きうどん、焼きそば、つけ麺、油そば、各種パスタ類が好ましく挙げられる。
【0023】
本発明の電子レンジ調理用即席麺類の製造は、製麺原料としてHLB5.5以下の疎水性乳化剤および油脂を配合する、またはこれら乳化剤および油脂と更に膨張剤を配合する以外は、常法に従って行えばよい。例えば、原料穀粉に、乳化剤および油脂、または乳化剤、油脂および膨張剤を加え、必要に応じて副原料を加えた後、加水ミキシングして生地を得る。なお、上記乳化剤、油脂、膨張剤は、製麺原料である原料穀粉に直接混合しても良いし、加水する水に予め溶かして混合しても良い。
【0024】
加水量は、麺類の製造において採用される範囲であれば特に問題はなく、原料穀粉100質量部に対して、好ましくは20〜45質量部、さらに好ましくは25〜40質量部の範囲である。
ミキシングは、常法に従って、常圧下または減圧下に行えばよいが、ミキシング時間は、通常は5〜20分間程度である。このように得られた生地から、常法に従って、例えば圧延・切り出し法、押出法により製麺すればよい。
【0025】
得られた生麺は、常法により、α化処理したノンフライ即席麺等の形態の即席麺とされる。例えば、蒸し処理等のα化処理を行った後、乾燥することによりノンフライ即席麺として用いることができる。他にも、蒸し処理等のα化処理を行った後、蒸麺や半乾燥麺として利用することもできる。
【0026】
このように製造された本発明の電子レンジ調理用即席麺は、喫食に際して、適量の水(ないしお湯)を加えて電子レンジ調理する。このときに添加する水の量は、麺類の形態、麺類の種類によって異なるが、麺塊の質量に対して、水を好ましくは160〜250質量%、より好ましくは170〜230質量%の範囲で加える。このとき、喫食時に水切りが不要なように水の添加量を調整するのが好ましく、電子レンジ調理後の麺類の食感や、麺線どうしの結着の防止、ソース類や調味液等の麺線への分散等の観点から、調理後の麺質量に対して10質量%程度の水が残るように調整するのがより好ましい。
【0027】
また、電子レンジ調理後の麺類の食感、茹で斑の防止等の観点から、麺塊の少なくとも50体積%が浸漬するように調整するのが好ましく、70〜80体積%が浸漬するように調整するのがより好ましい。なお、麺塊を上記の範囲で水に浸漬させる方法としては、例えば、(a)即席麺の麺塊の形状を調整する方法(例えば通常の即席麺よりやや扁平にする方法)、(b)即席麺を収納する容器を適宜選択する方法がある。
【0028】
電子レンジ調理する際には、本発明の電子レンジ調理用即席麺および水が入った容器に蓋をして、蒸気を逃がしながら蒸し調理されるようにすることが好ましい。電子レンジ加熱用の容器や蓋は、電子レンジ調理に対応できるものあれば特に限定されず、それらの材質としては、紙、ガラス、陶器や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の合成樹脂が挙げられる。
【0029】
本発明の即席麺類の電子レンジ調理の条件は、麺類の種類や麺塊の質量、水の添加量等によっても異なるが、麺塊の質量が80gの場合、通常は500Wでは5〜6分間程度、(600Wでは4.5〜5.5分程度)である。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
〔実施例1〜12および比較例1〜5〕ノンフライ即席フェットチーネの製造および評価
デユラムセモリナ(日清製粉社製、商品名「レオーネG」)100質量部に対して、水30質量部と表1および2に示す量の乳化剤および油脂(オリーブ油)を加えて、常圧下で5分間ミキシングして麺生地を調製した。続いて、この麺生地を製麺ロールを用いて常法により複合、圧延して厚さ1.2mmの麺帯にした後、角8番の切刃を用いて幅3.75mmの麺線に切り出し、生パスタ(フェットチーネ)を得た。この生パスタを個食に分けた後、温度100℃の蒸気で15分間、蒸煮処理した後、80℃で60分間乾燥してノンフライ即席フェットチーネをそれぞれ製造した。
【0032】
得られたノンフライ即席フェットチーネ(麺塊厚み2.5cm、麺塊の質量:約80g)を市販のポリプロピレン製容器(容積:840ml、外寸:横180mm、縦120mm、高さ50mm)に収納し、水180gを加えた後、容器開口部の上部にポリプロピレン製の蓋を置いて、電子レンジ(500W)で6分間、調理した。電子レンジ調理中の状態(突沸・吹きこぼれの有無)を観察し、下記の評価基準に従って評価した。さらに、調理後のフェットチーネの食感(弾力感および滑らかさ)について、下記の評価基準に従って10名のパネラーで評価した。それらの結果(食感については平均点)を表1および2に示す。
【0033】
<評価基準>
・調理中の突沸・吹きこぼれ
5:突沸、泡立ちが抑えられ、吹きこぼれしない。
4:突沸、泡立ちが少なく、吹きこぼれしない。
3:間欠的な突沸、泡立ちがあり、吹きこぼれる。
2:間欠的な突沸、泡立ちが激しく、吹きこぼれる。
1:突沸、泡立ちが激しく、吹きこぼれる。
・弾力感
5:極めて良好な硬さで、コシと粘りを有する。
4:適度な硬さで、コシと粘りを有する。
3:ややコシと粘りはあるものの、やや硬いか軟らかい。
2:硬い又は軟らかく、ややコシと粘りに欠ける。
1:大幅に硬い又は軟らかく、コシと粘りに欠ける。
・滑らかさ
5:極めて滑らか。
4:適度な滑らかさを有する。
3:やや滑らかさを有する。
2:ややざらつき又はベタツキ気味である。
1:ざらつき又はベタツキが激しい。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
表1および2の結果から、HLB5.5以下の疎水性乳化剤と油脂を製麺原料に加え製造したノンフライ即席フェットチーネ(実施例1〜12)は、レンジ調理中に吹きこぼれを生じず、食感も弾力感、滑らかさに優れたものであることが確認された。
【0037】
〔実施例13〜16および比較例6〕ノンフライ即席フェットチーネの製造および評価
デユラムセモリナ(日清製粉社製、商品名「レオーネG」)100質量部に対して、水30質量部と表3に示す量の乳化剤、油脂および膨張剤を加えて、常圧下で5分間ミキシングして麺生地を調製した。続いて、この麺生地を製麺ロールを用いて常法により複合、圧延して厚さ1.2mmの麺帯にした後、角8番の切刃を用いて幅3.75mmの麺線に切り出し、生パスタ(フェットチーネ)を得た。この生パスタを個食に分けた後、温度100℃の蒸気で15分間、蒸熱処理した後、80℃で60分間乾燥してノンフライ即席フェットチーネをそれぞれ製造した。
【0038】
得られたノンフライ即席フェットチーネ(麺塊厚み2.5cm、麺塊の質量:約80g)を市販のポリプロピレン製容器(容積:840ml、外寸:横180mm、縦120mm、高さ50mm)に収納し、水160gを加えた後、容器開口部の上部にポリプロピレン製の蓋を置いて、電子レンジ(500W)で5分間、調理した。実施例1と同様に上記の評価基準に従って、電子レンジ調理中の状態(突沸・吹きこぼれの有無)を評価し、調理後のフェットチーネの食感(弾力感および滑らかさ)を10名のパネラーで評価した。結果(食感については平均点)を表3に示す。
【0039】
【表3】

【0040】
表3の結果から、HLB5.5以下の疎水性乳化剤及び油脂に加え、製麺原料に膨張剤を加え製造したノンフライ即席フェットチーネ(実施例13〜16)は、レンジ調理中に吹きこぼれを生じず、より短時間のレンジ調理で、食感も弾力感、滑らかさに優れたものとなることが確認された。
【0041】
〔実施例17〜18および比較例7〕ノンフライ即席スパゲティの製造および評価
デユラムセモリナ(日清製粉社製、商品名「レオーネG」)100質量部に対して、水30質量部と表4に示す量の乳化剤、油脂および膨張剤を加えて、減圧条件下(−0.1Mpa)において10分間ミキシングして麺生地を調製した。続いて、この麺生地を常法によりダイス(径:1.4mm)から押し出して、丸麺の生パスタ(スパゲティ)を得た。この生スパゲティを個食に分けた後、温度100℃の蒸気で15分間、蒸熱処理した後、80℃で60分間乾燥してノンフライ即席スパゲティをそれぞれ製造した。
【0042】
得られたノンフライ即席スパゲッティ(麺塊厚み2.5cm、麺塊の質量:約80g)を市販のポリプロピレン製容器(容積:840ml、外寸:横180mm、縦120mm、高さ50mm)に収納し、水160〜180gを加え、容器開口部の上部にポリプロピレン製の蓋を置いて、電子レンジ(500W)で5〜6分間、調理した(水の量およびレンジ加熱時間は表4参照)。実施例1と同様に上記の評価基準に従って、電子レンジ調理中の状態(突沸・吹きこぼれの有無)を評価するとともに、調理後の焼きそばの食感(弾力感および滑らかさ)を10名のパネラーで評価した。結果(食感については平均点)を表4に示す。
【0043】
【表4】

【0044】
表4の結果から、HLB5.5以下の疎水性乳化剤と油脂を製麺原料に加え製造したノンフライ即席スパゲッティ(実施例17)は、レンジ調理中に吹きこぼれを生じず、食感も弾力感、滑らかさに優れたものであることが確認された。また、HLB5.5以下の疎水性乳化剤及び油脂に加え、製麺原料に膨張剤を加え製造したノンフライ即席スパゲッティ(実施例18)も、レンジ調理中に吹きこぼれを生じず、より短時間のレンジ調理で、食感も弾力感、滑らかさに優れたものとなることが確認された。
【0045】
〔実施例19〜20および比較例8〕ノンフライ即席中華麺(焼きそば)の製造および評価
準強力粉(日清製粉社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に、食塩1質量部およびかんすい(オリエンタル酵母工業製、商品名「赤かんすい」)0.2質量部を共に水32質量部に溶かした水溶液と、表5に示す量の乳化剤、油脂および膨張剤を加えて、10分間ミキシングして麺生地を調製した。この麺生地を製麺ロールを用いて常法により複合、圧延して厚さ1.10mmの麺帯にした後、丸24番の切刃を用いて麺線に切り出した。この生中華麺を個食に分けた後、温度100℃の蒸気で15分蒸し処理した後、80℃で60分間乾燥してノンフライ即席焼きそばをそれぞれ製造した。
【0046】
得られたノンフライ即席焼きそば(麺塊厚み2.5cm、麺塊の質量:約80g)を市販のポリプロピレン製容器(容積:840ml、外寸:横180mm、縦120mm、高さ50mm)に収納し、水170〜190gを加え、容器開口部の上部にポリプロピレン製の蓋を置いて、電子レンジ(500W)で5〜6分間、調理した(水の量およびレンジ加熱時間は表5参照)。実施例1と同様に上記の評価基準に従って、電子レンジ調理中の状態(突沸・吹きこぼれの有無)を評価し、調理後の焼きそばの食感(弾力感および滑らかさ)を10名のパネラーで評価した。結果(食感については平均点)を表5に示す。
【0047】
【表5】

【0048】
表5の結果から、HLB5.5以下の疎水性乳化剤と油脂を製麺原料に加え製造したノンフライ即席焼きそば(実施例19)は、レンジ調理中に吹きこぼれを生じず、食感も弾力感、滑らかさに優れたものであることが確認された。また、HLB5.5以下の疎水性乳化剤及び油脂に加え、製麺原料に膨張剤を加え製造したノンフライ即席焼きそば(実施例20)も、レンジ調理中に吹きこぼれを生じず、より短時間のレンジ調理で、食感も弾力感、滑らかさに優れたものでとなることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製麺原料として、原料穀粉100質量部に対して、HLB5.5以下の疎水性乳化剤0.1〜2質量部および油脂0.5〜5質量部を含有することを特徴とする電子レンジ調理用即席麺類。
【請求項2】
さらに、膨張剤を0.5〜5質量部含有する請求項1記載の電子レンジ調理用即席麺類。
【請求項3】
麺類の形態がα化したノンフライ即席麺である請求項1または2記載の電子レンジ調理用即席麺類。
【請求項4】
製麺原料として、原料穀粉100質量部に対して、HLB5.5以下の疎水性乳化剤0.1〜2質量部および油脂0.5〜5質量部、またはHLB5.5以下の疎水性乳化剤0.1〜2質量部および油脂0.5〜5質量部にさらに膨張剤0.5〜5質量部を配合することを特徴とする電子レンジ調理用即席麺類の製造方法。

【公開番号】特開2012−191911(P2012−191911A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59677(P2011−59677)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(398012306)日清フーズ株式会社 (139)
【Fターム(参考)】