説明

電子ローソク

【課題】 容易に入手可能な電池を用いて、小型仏壇に供えるのに好適なコンパクトサイズで、内部配線の疲労や経年劣化による断線のない耐久性の高い電子ローソクを提供することを目的とする。
【解決手段】 底面に電池蓋を有するとともに円筒型電池を縦方向に収納する電池収納部と、該電池収納部の上面から上方に延設されるとともに先端に発光体を備えた発光体支持杆と、該電池収納部の外方に備えられたスイッチと発光制御回路を有する制御基板とからなる発光ユニットと、該発光ユニットの発光体を備えた先端から被せて嵌装され、円筒状であって長手方向の中間に段部を有するとともに、下端を開口し上端に透光性材料からなる炎部を備えたローソク状カバーと、該発光ユニットの電池収納部と制御基板、及び該ローソク状カバーの下方の周囲をカバーする筒状で上端と下端を貫通開口したアウターカバーとから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仏壇で使用する電子ローソクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仏壇に供える灯明はローソクが用いられていたが、火災や火傷の危険性を伴うものであった。そのため電池を電源として小型電球を点灯させる電気ローソクが提案されていたが、小型電球をある程度の長時間点灯させるために、少なくとも単3電池を用いる必要があり、ローソクや燭台を模した部分内に電池を収納することから、必然的に全体のサイズが大きくなる。このような電気ローソクを一般的な家庭用の小型仏壇の灯明として使用した場合は、どうしてもサイズ的な違和感やスペース上の制約が生じるために普及が進まず、火災や火傷の危険性があるとはいえ、一般的な小径ローソク(φ6〜8mm)を燭台に立てて着火して用いることが一般的であった。しかして昨今、より小型で手軽に扱うことのできるLEDを用いた電子ローソクが種々提案されている。
【0003】
実開昭63−19369号公報(特許文献1)に開示される「神仏用燈明具」は、ローソクを模した灯具と燭台を模した基台とを別体に形成し、灯具における発光体を低電圧用微細電球あるいはLEDランプとし、基台中に電池を内装し、基台に対し灯具を立姿勢に立設することによって、灯具の発光体を、基台の電池を通電させる構造とした。これにより、ローソクを燭台に立てる動作の如くして、灯具を点灯させて仏壇などに灯明を供えるようにしたものである。
【0004】
特開2002−170410号公報(特許文献2)に開示される「電子ろうそく」は、燭台に中空状のろうそく本体を起立状態に備え、該ろうそく本体の上端に透光性材料で形成した炎形ケースを備え、該炎形ケース内に発光体を備え、乾電池を電源としてスイッチ機構のオン/オフにより発光体を点灯・消灯させる。前記乾電池とスイッチ機構を燭台内に備え、ろうそく本体の中空部内には前記スイッチ機構と発光体とを接続するリード線を配置した。これにより、ろうそく本体は、その中空部内にリード線を配置できる大きさでよいため、従来例のようにろうそく本体内に乾電池を配置するものに比べて、小径で短く形成でき、電子ろうそく全体を小型に形成することができる。
【0005】
特許第4210617号公報(特許文献3)に開示される「電子ろうそく」では、ろうそく本体と上記燭台にて上下連結状空室部を形成し、該空室部の上記ろうそく本体及び上記燭台にわたって乾電池を収納し、上記スイッチ機構を、上記炎形ケースを押圧することにより、上記スイッチ機構をオン/オフ切換え自在に構成するとともに、上記上下連結状空室部の上方部位に設け、上記ろうそく本体は、下端に外鍔状係止突部を有し、該係止突部が上記燭台の内面に形成された段付部に係止して、上記ろうそく本体が上記燭台から抜けるのを防止するように構成し、上記燭台が下端に開閉自在な底蓋を有し、該底蓋の閉鎖状態において乾電池を上記上下連結状空室部に収納・保持可能であって、該底蓋の開放状態において乾電池を出し入れ可能に構成し、上記底蓋は、上記燭台の下端に設けられた一対の対向する孔の一方に係止可能な係止用突片部と、上記一対の対向する孔の他方に弾発的に係止可能な弾発係止部を有する。これにより、ろうそく本体及び上記燭台にわたって乾電池を収納できるので、従来と同一の外観寸法にて1ランク大きいサイズの乾電池を収納でき長時間点灯とコンパクト化を可能とした。また、スイッチ機構を上下連結状空室部の上方すなわち炎形ケースの直下に設けたので、距離が短く押圧力が伝わり易いので確実に発光体のオン/オフを行うことができる。
【0006】
実用新案登録第3136358号公報(特許文献4)に開示される「電子ロウソク」は発光体を小型で熱の発生が少なく球切れの無いLEDとして、燭台内底部に小型で薄肉のボタン電池を収納するとともに燭台底部に底蓋を備え、炎形ケースを押圧することで点灯のオン/オフを行うようにした。これにより、特にボタン電池を使用したことで本体の小型化と電池交換やメンテナンスを容易としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 実開昭63−19369号公報
【特許文献2】 特開2002−170410号公報
【特許文献3】 特許第4210617号公報
【特許文献4】 実用新案登録第3136358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の「神仏用燈明具」は、燈具(ローソク)と基台(燭台)とを別体に形成していることが大きな特徴である。しかしながら、基台(燭台)部分は常時合体させておけば良いが、別体の燈具(ローソク)を収納した場所を失念してしまうことがあり、特に高齢者の使用においては間々あることである。
【0009】
特許文献2の「電子ろうそく」は、乾電池とスイッチ機構を燭台内に備え、ろうそく本体の中空部内には、前記スイッチ機構と、発光体とを接続するリード線を、配置してなるため、従来例のようにろうそく本体内に乾電池を配置するものに比べて、小径で短く形成でき、電子ろうそく全体を小型に形成することができる。しかしながら、燭台内に備えた電池は横向きに配置されているので、使用する電池の長さに相応して燭台の電池を収容する部分の径が太くなり、高さに対するバランスが崩れてしまうといった不都合が生じる。特に小型の仏壇に供えた場合は、載置スペースも少ないため他の供物の載置に影響が生じてしまう。例えば、極めて容易に入手可能な単4電池であれば長さは44.5mmであるので、燭台の径もそれに相応して無駄に太くなり、形状バランスが崩れるとともに載置スペースを必要以上に取るといった不都合が生じる。また、この不都合を解消するには、長さが30.2mmの単5電池を用いれば形状バランスも載置スペースも使用範囲内であるが、電池容量が少ないため点灯時間も相応して短くなるといった不都合が生じてしまう。さらに現在は需要が少ないため店頭に無い場合も多く入手しづらい。その他、長さが短いカメラ用のリチウム電池CR123Aや、ボタン型電池を直列に重ねても形状バランス及び載置スペースも不都合はないが、日常使用する電池としては単5電池同様に店頭に無い場合も多く、かつ高価格なので現実的なものではない。また、発光体とスイッチ機構はリード線を用いて接続され、ろうそく本体を押し下げることでスイッチ機構をオン/オフする。リード線はスイッチ機構のオン/オフの上下動に連動するために柔軟性を有し、かつある程度の遊びを持って長さが設定される。しかしながら、日々繰り返されるスイッチ機構のオン/オフ操作の上下動に伴ってリード線も上下動するために、リード線はもとより発光体とリード線を接続するハンダ付部、リード線と基板の接続部に負担がかかり、断線や接続部が外れる可能性が極めて高い。
【0010】
特許文献3の「電子ろうそく」は、ろうそく本体と上記燭台にて上下連結状空室部を形成し、該空室部の上記ろうそく本体及び上記燭台にわたって乾電池を収納して、従来と同一の外観寸法にて1ランク大きいサイズの乾電池を収納でき長時間点灯とコンパクト化を可能としたものである。また、1ランク大きいサイズの乾電池とは何かを図面を参照すれば、単3電池(直径14.5mm)、単4電池(直径10.5mm)であることが容易に想定される。これら電池は容易に入手可能な電池として最も適切なものである。前記した単3電池と単4電池を比較してよりコンパクト化を可能とするのは直径が10.5mmである単4電池を用いることが最も望ましい。しかしながら、単4電池の直径10.5mmとろうそく本体の成形肉厚を1mm、リード線1mmとして勘案すれば、ろうそく本体の直径は13.5mmとなる。所謂一般的な小径ローソクは直径6〜8mmであって、直径13.5mmのローソクはその上の段階の太さであるので、前記単4電池を用いたとしても、さほどコンパクトなローソクであるとは言い難い。
【0011】
特許文献4の「電子ロウソク」は、ボタン電池を使用したことで本体の小型化と電池交換やメンテナンスを容易としたものである。小型化は確実に実現できるが、ボタン電池は単4電池と比較すると容量が少ないために、長時間の点灯に向かず電池寿命が短いという点が課題である。
【0012】
そこで本発明は、前記した課題を解消し、容易に入手可能な電池を用いて、小型仏壇に供えるのに好適なコンパクトサイズで、内部配線の疲労や経年劣化による断線がない高耐久で、使い勝手に優れた電子ローソクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は本発明によれば、底面に電池蓋を有するとともに円筒型電池を縦方向に収納する電池収納部と、該電池収納部の上面から上方に延設されるとともに先端に発光体を備えた発光体支持杆と、該電池収納部の外方に備えられたスイッチと発光制御回路を有する制御基板とからなる発光ユニットと、該発光ユニットの発光体を備えた先端から被せて嵌装され、円筒状であって長手方向の中間に段部を有するとともに、下端を開口し上端に透光性材料からなる炎部を備えたローソク状カバーと、該発光ユニットの電池収納部と制御基板、及び該ローソク状カバーの下方の周囲をカバーする筒状で上端と下端を貫通開口したアウターカバーとからなる電子ローソクとすることで解決される。
【0014】
また、上記の課題は本発明によれば、該アウターカバーは、金属からなることで解決される。
【0015】
さらに、上記の課題は本発明によれば、該制御基板にタイマー回路を追加して備えたことで解決される。
【0016】
さらにまた、上記の課題は本発明によれば、該制御基板に発光揺らぎ回路を追加して備えたことで解決される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、底面に電池蓋を有するとともに円筒型電池を縦方向に収納する電池収納部と、該電池収納部の上面から上方に延設されるとともに先端に発光体を備えた発光体支持杆と、該電池収納部の外方に備えられたスイッチと発光制御回路を有する制御基板とからなる発光ユニットと、該発光ユニットの発光体を備えた先端から被せて嵌装され、円筒状であって長手方向の中間に段部を有するとともに、下端を開口し上端に透光性材料からなる炎部を備えたローソク状カバーと、該発光ユニットの電池収納部と制御基板、及び該ローソク状カバーの下方の周囲をカバーする筒状で上端と下端を貫通開口したアウターカバーとから構成したことで、容易に入手可能な電池を用いて、小型仏壇に供えるのに好適なコンパクトサイズで、内部配線の疲労や経年劣化による断線がない高耐久で、使い勝手に優れた電子ローソクを提供することを可能とした。
【0018】
また、本発明によれば、該アウターカバーを金属としたことで、電子ローソクの重心の底重心化を実現し、不用意に倒れることなくより安定して仏壇に載置することができるとともに、金属故のその重量感、高級感、厳粛感のある外観を呈することを可能とした。
【0019】
さらに、本発明によれば、該制御基板にタイマー回路を追加して備えたことで、スイッチをオンにして点灯後、一定時間で消灯することができるので、消し忘れによる無駄な電池の消耗の防止と、スイッチをオフにする手間を無くすことを可能とした。
【0020】
さらにまた、本発明によれば、該制御基板に発光揺らぎ回路を追加して備えたことで、あたかも炎が揺らいでいるが如く点灯させることができ、小型仏壇に供えた際、厳粛感をより醸し出すことを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の電子ローソクの外観図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】発光ユニットの左側面図である。
【図4】ローソク状カバーの左側面図である。
【図5】発光ユニットにローソク状カバーを嵌装した状態を示す図である。
【図6】図1のB−B線断面図である。
【図7】組立状態を示す図である。
【図8】発光ユニットの回路のブロック図である。
【図9】第3の実施例のブロック図である。
【図10】第4の実施例のブロック図である。
【図11】第4の実施例のブロック図である。
【発明を実施させるための形態】

【実施例1】
【0022】
本発明の電子ローソクの第1の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施例の電子ローソクの外観図であり、(A)は正面図、(B)は底面図である。図2は、図1におけるA−A線断面図である。図1及び図2に示されるように、電子ローソク本体(1)は、発光ユニット(2)とローソク状カバー(3)とアウターカバー(4)とから構成される。
【0023】
図3は、発光ユニット(2)の左側面図であり、ABS樹脂などの樹脂素材から形成され、底面に着脱可能に電池蓋(2e)を備えるとともに、円筒型電池(5)を縦方向に収納する電池収納部(2a)と、該電池収納部(2)の上面から上方に延設され、かつ該電池収納部(2)の径よりも細く先端に発光体(2c)を備えた発光体支持杆(2b)とから構成され、該電池収納部(2a)の外方には、スイッチ(2d−1)と、発光制御回路(2d−2)を有する制御基板(2d)を備える。また、前記、円筒型電池(5)、電池収納部(2a)、電池蓋 (2e)、発光体(2c)、制御基板(2d)間は、図3に示されるように、発光体(2c)の電極であるリードフレーム(2c−1)及び導電板(2g)を用いて電気的接続を行うので、ビニール被覆されたリード線と比較して、断線が生じず長期にわたって安定した電気的接続が行われ耐久性を維持することが可能である。
【0024】
発光体(2c)は、長時間の点灯が可能な、低消費電流の砲弾型LEDで、実際のローソクの炎の近似色である黄色または橙色を用いる。円筒型電池(5)は、最も容易に入手可能であって発光体(2c)を長時間点灯するために、充分な容量を有するとともに、電子ローソク本体(1)のコンパクト化に適した、単4電池を1本用いる。また、円筒型電池(5)は縦方向に、電池収納部(2a)に収納されるので、横にして収納した場合のように、不必要に、発光ユニット(2)周囲の径を大きくすることなく、電子ローソク本体(1)のコンパクト化に寄与するものである。制御基板(2d)は、上部にスイッチ(2d−1)と、発光制御回路(2d−2)を備える。スイッチ(2d−1)は、オン/オフのためのプッシュボタンを、上から下に押し下げ可能に制御基板(2d)の上部に備え、発光制御回路(2d−2)は、電源である円筒型電池(5)の電圧を制御して発光体(2c)を、長時間安定して点灯させるために、最も効率の良い電圧を供給するように制御する。図8は、発光ユニット(2)の回路のブロック図である。円筒状電池(5)の電源電圧は、制御基板(2d)のスイッチ(2d−1)がオンになったとき発光制御回路(2d−2)入力され、一定の安定した効率の良い電圧に制御し、発光体(2)を駆動する。
【0025】
図4の(A)は、ローソク状カバー(3)の左側面図、(B)は底面図である。発光ユニット(2)と同様に、ABS樹脂などの樹脂素材から白色で形成され、円筒状で下端を開口したローソク部(3b)と、上端に透光性材料からなる炎部(3a)を備えて構成される。また、円筒状の該ローソク部(3b)の長手方向の中間には段部(3b−3)を有する。このように構成された該ローソク状カバー(3)は、発光ユニット(2)に発光体(2c)を備えた先端に下端の開口部から被せて嵌装する。図2の断面図に示されるようにローソク状カバー(3)を発光ユニット(2)に嵌装したときに、発光ユニット(2)の電池収納部(2a)と、発光体支持杆(2b)の、それぞれの太さ(径)に相応して、(3)ローソク部(3b)の下部を太径部(3b−1)、上部を細径部(3b−2)として形成するとともに、その境に段部(3b−3)を形成して備えるとともに、下端にはフランジ部(3b−5)、その上方にはストッパー部(3b−4)を備えて構成した。これにより、ローソク部(3b)上部の細径部(3b−2)を小径ローソクの一般的な太さである直径6〜8mmとすることが容易に可能となる。また、ローソク状カバー(3)は、後述するように、スイッチ(2d−1)をオン/オフするための操作部となる。その際に太径部(3b−1)と細径部(3b−2)の境に段形成された段部(3b−3)は指掛かりとして活用することが可能となり、電子ローソク本体(1)に負担のない確実なスイッチ操作を行うことが可能となる。さらに、炎部(3a)は、内部に発光体(2c)が嵌装されるように中空となっており、透光性材料であることと相まって発光体(2c)が点灯したときに、全体に光がまわって炎の如く発光する。さらに、炎部(3a)は電子ローソク本体(1)の先端部であることから人体への安全性を考慮して、可撓性のある柔軟なエラストマーなどの素材で形成することが望ましい。
【0026】
図5は、前記した発光ユニット(2)にローソク状カバー(3)を嵌装した状態を示す図である。発光ユニット(2)と、ローソク状カバー(3)とは、発光ユニット(2)に備えられたスプリング(2h)を介して弾性的に嵌装される。ローソク状カバー(3)の下端に備えたフランジ部(3b−5)は、制御基板(2d)に備えられたスイッチ(2d−1)に当接し、ローソク状カバー(3)の押し下げ操作にともなって、スイッチ(2d−1)を押し下げオンとなり発光体(2c)が点灯する。さらに再び押し下げることでオフとなり発光体(2c)が消灯するように構成する。
【0027】
図6は、図1のB−B線断面図であって、アウターカバー(4)の部分だけを断面で示した。アウターカバー(4)は、ABS樹脂などの樹脂素材から形成され、該発光ユニット(2)の電池収納部(2a)と制御基板(2d)、及び該ローソク状カバー(3)の下方の周囲をカバーするために、筒状で上端と下端を貫通、かつ開口して構成し仏壇の灯明として燭台を意識した外観意匠とした。
【0028】
図7は、図5の前記した発光ユニット(2)にローソク状カバー(3)を嵌装した状態に、図6に示したアウターカバー(4)を嵌装して、電子ローソク本体(1)として組み立てた状態を示す図である。アウターカバー(4)を、ローソク状カバー(3)の上端から被せるようにして嵌装する。アウターカバー(4)の中程には狭窄部(4a)が備えられ、ローソク状カバー(3)の太径部(3b−1)が上下スライド可能に遊嵌され、狭窄部(4a)と太径部(3b−1)の長手方向の重なりで、ローソク状カバー(3)の押し下げ操作による左右のガタつきを防止し、確実なスイッチ操作を行うことが可能となる。また、ローソク状カバー(3)は、スプリング(2h)によって常に上方に弾性的に付勢されているが、ストッパー部(3b−4)が、アウターケース(4)の狭窄部(4a)の段に当接して、ローソク状カバー(3)の上方への抜けを防止する。さらに、発光ユニット(2)にはボス(2f)を立設するとともに、アウターカバー(4)にも、該ボス(2f)と相対する位置にボス(4b)を垂設し、図示しないがネジで発光ユニット(2)の底面からボス(2f)を通じてボス(4b)に固定し、電子ローソク本体(1)として組み立てられる。なお、ローソク状カバー(3)のフランジ部とストッパー図(3b−4)には、ボス(4b)を逃げるための切り欠き部(3b−6)を備えた。
【0029】
組み立てられた電子ローソク本体(1)は、図1に示されるように、アウターカバー
(4)で、ローソク状カバー(3)の、太径部(3b−1)の大部分を覆い隠してなるため、細径部(3b−2)がローソク部として主に視認されることになり、電子ローソク本体(1)が実際にコンパクトであることと合わせて、コンパクト感をさらに強調する効果を奏する。かつローソク状カバー(3)の段部(3b−3)は、アウターカバー(4)の上端部から少し上方に位置しているため、コンパクト感を阻害することなく、スイッチ操作の際の指掛かりとしての使い勝手の向上を実現した。また、アウターカバー(4)の外観意匠は、成型色を黒系色にしたり、表面に金属調化粧を施したりすることによって小型仏壇に供える電子ローソクとして高級感、格調感、厳粛感を容易に呈することが可能である。さらに、アウターカバー(4)の外観意匠は、発光ユニット(2)と、ローソク状カバー(3)の周囲をコンパクトに覆う外観意匠であれば、特に本発明の図面に示した外観意匠や、従来の燭台の外観意匠を意識することなく、モダンな外観意匠とすることで小型仏壇用に供える灯明としての領域を超えた、新たな外観意匠の方向性を見いだすことも可能である。
【0030】
前記のように構成された電子ローソク本体(1)は、小型仏壇の適宜スペースに供えられ、ローソク状カバー(3)の段部(3b−3)を指掛かりとして持って下方向に押し下げることにより、制御基板(2d)に備えられたスイッチ(2d−1)がオンとなり、発光体(2c)が点灯する。
【0031】
以上から、第1の実施例では、容易に入手可能なコンパクトでスリムな単4電池を用いて、小型仏壇に供えるのに好適なコンパクトサイズで長時間の点灯が可能、かつ内部配線の疲労や経年劣化による断線がなく高耐久で、使い勝手に優れた電子ローソクを提供することを可能としたのである。
【実施例2】
【0032】
第2の実施例では、アウターカバー(4)を金属として構成したことを特徴とする。
これにより、アウターカバー(4)を樹脂で形成したときと比較して、電子ローソク本体(1)の低重心化を実現し、スペースの少ない小型仏壇の中で線香や供物などを供えるときに不用意に触れても転倒しづらく、より安定して、仏壇に載置することができるとともに、金属のもつその重厚感、高級感のある外観をも呈することを可能とした。また、金属の具体的な種類は問わないが、例えば、金、銀、白金などの貴金属を用いれば、その素材を生かして鏡面仕上げや、サンドブラスト仕上げをすることで、仏壇用灯明としての本物の高級感、重厚感、厳粛感を呈することができ、鉄、アルミニウム、亜鉛などの卑金属を用いて、鋳物としたりメッキ、塗装などの後加工仕上げを施したりすることで、多種多様な高級感、重厚感、厳粛感を容易に醸し出すことが可能である。さらに、アウターカバー(4)の外観意匠は発光ユニット(2)とローソク状カバー(3)の周囲をコンパクトに覆う外観意匠であれば、特に本発明の図面に示した外観意匠や、従来の燭台の外観意匠を意識することなく、モダンな外観意匠とすることで小型仏壇用に供える灯明としての領域を超えた、新たな外観意匠の方向性を見いだすことも可能である。
【実施例3】
【0033】
第3の実施例では、該制御基板(2d)にタイマー回路(2d−3)を追加して備えたことを特徴とする。図9は、制御基板(2d)にタイマー回路(2d−3)を加えた動作のブロック図である。なお、タイマー回路(2d−3)は公知の回路を用いた。これにより、制御基板(2d)に備えられたスイッチ(2d−1)をオンにして点灯後、一定時間で消灯することができるので、消し忘れによる無駄な電池の消耗の防止と、スイッチをオフにする手間を無くすことを可能とした。なお、消灯するまでの時間は、タイマー回路で予め設定しても、別途後から調整できるように制御基板(2d)上に設定スイッチ(図示せず)してもよく、例えば一般的な線香の燃焼時間に合わせて40分としても、灯明と線香を供えてから10分で消灯するようにしてもよい。
【0034】
【実施例4】
第4の実施例では、該制御基板(2d)に発光揺らぎ回路(2d−4)を追加して備えたことを特徴とする。図10は、制御基板(2d)に発光揺らぎ回路(2d−4)を加えた動作のブロック図である。なお、発光揺らぎ回路(2d−4)はランダム周期を発生させる公知の回路を用いた。これにより、制御基板(2d)に備えられたスイッチ(2d−1)をオンにして点灯後、ランダム周期により発光体(2c)への供給電圧を変化させることで、あたかも炎が揺らいでいるが如く点灯させることが可能となり、小型仏壇に供えた際の厳粛感をより醸し出すことを可能とした。図11は、該制御基板(2d)に発光揺らぎ回路(2d−4)と、さらにタイマー回路(2d−3)を追加して備えたブロック図である。これにより、あたかも炎が揺らいでいるが如く点灯させると同時に、消し忘れによる無駄な電池消耗の防止と、スイッチをオフにする手間を無くすことを可能とした電子ローソク本体(1)を提供することを可能とした。
【符号の説明】
【0035】
1 電子ローソク本体
2 発光ユニット
2a 電池収納部
2b 発光体支持杆
2c 発光体
2c−1 リードフレーム
2d 制御基板
2d−1 スイッチ
2d−2 発光制御回路
2d−3 タイマー回路
2d−4 発光揺らぎ回路
2e 電池蓋
2f ボス
2g 導電板
2h スプリング
3 ローソク状カバー
3a 炎部
3b ローソク部
3b−1 太径部
3b−2 細径部
3b−3 段部
3b−4 ストッパー部
3b−5 フランジ部
3b−6 切り欠き部
4 アウターカバー
4a 狭窄部
4b ボス
5 円筒状電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に電池蓋を有するとともに円筒型電池を縦方向に収納する電池収納部と、該電池収納部の上面から上方に延設されるとともに先端に発光体を備えた発光体支持杆と、該電池収納部の外方に備えられたスイッチと発光制御回路を有する制御基板とからなる発光ユニットと、該発光ユニットの発光体を備えた先端から被せて嵌装され、円筒状であって長手方向の中間に段部を有するとともに、下端を開口し上端に透光性材料からなる炎部を備えたローソク状カバーと、該発光ユニットの電池収納部と制御基板、及び該ローソク状カバーの下方の周囲をカバーする筒状で上端と下端を貫通開口したアウターカバーとからなることを特徴とする電子ローソク。
【請求項2】
該アウターカバーは、金属からなることを特徴とする請求項1に記載の電子ローソク。
【請求項3】
該制御基板に、タイマー回路を追加して備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子ローソク。
【請求項4】
該制御基板に、発光揺らぎ回路を追加して備えたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の電子ローソク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−29128(P2011−29128A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187872(P2009−187872)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(392005311)株式会社トリニティ (3)
【出願人】(591094343)株式会社日本香堂 (4)
【Fターム(参考)】