説明

電子内視鏡装置

【課題】単一のプロセッサ部に対し仕様の異なる複数の電源重畳方式の内視鏡を用いることが可能な電子内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】内視鏡1内部の信号重畳部23によって電源電圧に重畳された信号を分離する重畳信号分離部24を、プロセッサ部2に着脱自在に構成されたプロセッサ接続部7に設ける。信号重畳部23、重畳信号分離部24の回路定数は内視鏡1に使用される撮像部21の仕様に応じて設定されている。これにより、仕様の異なる複数の内視鏡1をプロセッサ部2に接続することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源重畳方式により画像伝送を行う電子内視鏡装置に関し、特に仕様の異なる複数の内視鏡を接続可能な電子内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、体腔内に細長の挿入部を挿入することにより、体腔内の臓器等を観察する電子内視鏡装置が広く用いられている。このような電子内視鏡装置においては、挿入性の向上や患者への負担軽減のため、内視鏡の挿入部を細経化することが求められている。
【0003】
一般に電子内視鏡装置は、挿入部の先端部に光学像を画像信号に変換するCCD等の撮像素子が配置されており、撮像素子において変換された画像信号を外部装置であるプロセッサ部に伝達し、プロセッサ部において画像信号を処理してから、プロセッサ部に接続されたモニタ上に内視鏡画像を表示させて観察を行う構成となっている。
【0004】
ここで、プロセッサ部は、撮像素子からの画像信号を受け取るとともに、撮像素子に対して、撮像素子を駆動するための複数の駆動信号を出力している。このため、内視鏡の挿入部には、画像信号の読み出し線や撮像素子の駆動信号線等の複数の信号線が挿通されることになり、これが挿入部の細径化を妨げる一因となっている。
【0005】
これに対して、例えば特許文献1においては、内視鏡の先端部に配された撮像素子から出力される画像信号に、撮像素子を駆動するためにプロセッサ部から供給されるクロック信号と電源電圧の少なくとも2つを重畳させて共通の信号線により伝送することで、内視鏡の挿入部を挿通する配線数を削減して挿入部を細径化する手法(以下、このような手法を電源重畳方式と称する)が提案されている。
【特許文献1】特公平3−30365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、内視鏡の挿入部に配置される撮像素子は、内視鏡の用途に応じて異なる画素数を持つ場合や、異なるフレームレートで動作させる場合があり、これに伴って、内視鏡からプロセッサ部へと画像信号を伝送する際の伝送データレート、即ち内視鏡において電源電圧に重畳する画像信号の周波数が異なる場合がある。
【0007】
ここで、特許文献1のような電源重畳方式の電子内視鏡装置においては、伝送データレートが異なる場合、これに応じてプロセッサ部に設けられる電源電圧と画像信号とを分離するための回路には、重畳された信号を分離するために適切な回路定数を持たせる必要がある。しかしながら、特許文献1においては、プロセッサ部に、画素数やフレームレートといった仕様の異なる複数の内視鏡、即ち重畳信号周波数の異なる複数種類の内視鏡を接続することに関して特に言及されていない。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、単一のプロセッサ部に対し仕様の異なる複数の電源重畳方式の内視鏡を用いることが可能な電子内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様の電子内視鏡装置は、被写体を撮影し画像信号を生成する撮像部及び前記画像信号に電源電圧を重畳して伝送する信号重畳部を有する内視鏡と、前記内視鏡から伝送される信号のうちの前記画像信号に対して画像処理を行うプロセッサ部と、前記プロセッサ部に着脱自在であって前記内視鏡と前記プロセッサ部とを電気的に接続し、前記内視鏡から伝送される信号を前記画像信号と前記電源電圧とに分離する重畳信号分離部を有するプロセッサ接続部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、単一のプロセッサ部に対し仕様の異なる複数の電源重畳方式の内視鏡を用いることが可能な電子内視鏡装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子内視鏡装置を有する電子内視鏡システムの全体構成を示す模式図である。
【0012】
図1に示すように、本電子内視鏡システムは、内視鏡1とプロセッサ部2とを有して構成される電子内視鏡装置に、モニタ3が接続されて構成されている。内視鏡1は、CCD方式等の撮像素子を内蔵し、被検体内を撮像して画像信号を得る。プロセッサ部2は、内視鏡1において得られた画像信号に対する信号処理を行って画像信号を生成する。モニタ3は、プロセッサ部2から出力される画像信号に基づいて被検体内の映像を表示する。
【0013】
以下、図1の電子内視鏡システムについて更に説明する。
図1に示すように、内視鏡1は、観察対象物に挿入される細長の挿入部4と、この挿入部4の基端側に接続された操作部5と、信号ケーブル6と、プロセッサ接続部7とを有して構成されている。さらに、挿入部4は、撮像素子が内蔵される硬性の先端部8と、この先端部8の後端に設けられ湾曲が可能な軟性の湾曲部9とを有して構成されている。そして、操作部5に設けられた操作ノブを操作することにより湾曲部9を屈曲自在に湾曲させることができるようになっている。
【0014】
また、内視鏡1は、プロセッサ接続部7に設けられたコネクタを介してプロセッサ部2と着脱自在に構成され、内視鏡1にプロセッサ部2を装着することで、内視鏡1とプロセッサ部2とが電気的に接続される。
【0015】
図2は、電子内視鏡システムの内視鏡1とプロセッサ部2の主な構成を示すブロック図である。なお、図2において内視鏡1は特に先端部8の構成を示している。
【0016】
図2に示す内視鏡1の先端部8は、撮像部21と、信号処理部22と、信号重畳部23とを有している。
【0017】
撮像部21は、体腔内で観察対象物を撮影する際に撮影領域を照明するためのLED等で構成された光源と、この光源により照明された撮影領域からの反射光像を結像させるための対物光学系と、この対物光学系により結像された反射光像を撮像して画像信号を生成するためのCCD等で構成された撮像素子とを有している。そして、撮像部21は、撮像素子によって得られた画像信号をデジタル化して後段の信号処理部22に出力する。
【0018】
信号処理部22は、撮像部21の撮像素子から出力されたデジタルの画像信号を電源電圧に重畳して伝送するための信号処理を行う。この信号処理として、例えば、信号処理部22は、撮像素子からのデジタルの画像信号を8b10b変調して信号中に現われるビット1とビット0の出現確率を均一にして交流化した後、この画像信号に、プロセッサ部2における信号処理の際の同期を取るための垂直同期信号や水平同期信号を含む同期信号を挿入し、さらに同期信号を挿入した画像信号をパラレルシリアル変換する。
【0019】
信号重畳部23は、プロセッサ部2から信号ケーブル6を介して供給される電源電圧を取り出して、この電源電圧を先端部8の各部を駆動するための電源として各部に供給する。ここで、信号重畳部23は、レギュレータ回路等の図示しない電源安定化回路を有し、この電源安定化回路によって信号ケーブル6から取り出した電源電圧を安定化した後、先端部8の各部に供給する。また、信号重畳部23は、信号処理部22において処理されて得られた画像信号を電源電圧に重畳し、これにより得られる重畳信号を、信号ケーブル6を介してプロセッサ接続部7に出力することも行う。
【0020】
図2に示す内視鏡1のプロセッサ接続部7は、重畳信号分離部24を有している。重畳信号分離部24は、先端部8から信号ケーブル6を介して出力された重畳信号から、信号処理部22において処理されて得られた信号を分離する。
【0021】
図2に示すプロセッサ部2は、信号処理部25と、電源部26とを有している。信号処理部25は、重畳信号分離部24において分離された信号の復調処理及び同期信号の検出処理を行い、モニタ3において映像を表示するための画像信号を復元してモニタ3に出力する。電源部26は、先端部8及びプロセッサ接続部7の各部を駆動するための電源電圧を生成する。電源部26において生成される電源電圧は、プロセッサ接続部7の重畳信号分離部24、及び先端部8の信号重畳部23に供給される。
【0022】
ここで、図2に示す信号重畳部23、重畳信号分離部24についてさらに説明する。図3は、第1の実施形態における信号重畳部23、重畳信号分離部24の回路構成例を示す図である。
【0023】
図3は、コイルとコンデンサとを用いて電源電圧に画像信号を重畳して伝送するための回路構成を示した図である。即ち、図3の回路は、コンデンサが直流成分を遮断し高周波成分を通過させ、コイルが直流成分を通過させ高周波成分を遮断する特性を有することを利用して、直流の電源電圧に高周波の画像信号を重畳したり、重畳信号から画像信号を分離したりするものである。
【0024】
信号重畳部23は、信号処理部22からシリアル信号として出力された画像信号を、LVDSドライバ等の差動出力ドライバ31により、差動ペア信号に変換し、変換した差動ペア信号のそれぞれを、コンデンサ32を介して信号ケーブル6を構成する電源線(電源側、GND側)に重畳する。さらに、信号重畳部23は、電源線に重畳される信号が先端部8の各部に供給されないようにコイル33により遮断することで、電源電圧のみを取り出し、取り出した電源電圧を先端部8の各部に供給する。
【0025】
ここで、電源線に重畳される信号が差動信号であるため、信号ケーブル6を構成する電源線は、ツイストペアケーブルで構成することが好ましい。
【0026】
重畳信号分離部24は、コイル34により高周波の信号成分を遮断し直流成分のみを通過させるとともに、コンデンサ35により電源電圧を遮断し、高周波である信号成分を通過させることで、信号重畳部23にて電源電圧に重畳された信号成分を分離し、分離した信号成分をLVDS等の差動入力レシーバ36を通して取り出す。差動入力レシーバ36において取り出された信号は、プロセッサ部2の信号処理部25に入力される。信号処理部25は、入力された信号から画像信号を復元してモニタ3に出力する。
【0027】
このようにして、プロセッサ部2から先端部8の各部に電源を供給するための電源線を用いて画像信号を伝送することが可能である。これにより、画像信号を伝送するための専用の信号線が不要となり、挿入部4を通過する配線数を削減して挿入部4を細径化することが可能である。
【0028】
ここで、上述のように電源電圧に画像信号を重畳して伝送するために、本実施形態における信号重畳部23、重畳信号分離部24を構成するコイル、コンデンサの回路定数は、電源電圧に重畳される信号の周波数帯域に応じて設定されている。以下、このコイル、コンデンサの回路定数の設定について説明する。
【0029】
例えば、撮像素子の画素数がQVGA相当(320×240ピクセル)、1画素当たりのデータ量が8ビット、フレームレートが30fpsの撮像部21を用いた場合を考えると、撮像素子から出力される画像信号のデータレートは、およそ18Mbpsとなる。また、撮像素子から出力される画像信号は、信号処理部22においてビット1とビット0の出現確率を平均化して交流化するために8b10b変調が行われ、受信側での信号処理において同期を取るための同期信号が挿入された後、パラレルシリアル変換される。これにより、撮像素子からの画像信号は、NRZ形式のベースバンド信号として信号重畳部23に出力される。この信号、即ち電源電圧に重畳される信号の周波数帯域は2.3MHz〜11.5MHzとなる。一方、撮像素子の画素数がVGA(640×480ピクセル)相当の撮像部21を用いた場合であれば、上記と同様の処理が行われた後、電源電圧に重畳される信号の周波数帯域は9.2MHz〜46MHzとなる。同様に、撮像素子のフレームレートを異ならせた場合も電源電圧に重畳される信号の周波数帯域が異なる。即ち、信号重畳部23において重畳される信号の周波数帯域は、撮像部21を構成する撮像素子の画素数やフレームレートによって異なるものとなる。なお、上述した例では、電源電圧に重畳される信号の周波数が数MHz以上の比較的高周波となるため、ベースバンド信号を電源電圧に重畳するようにしている。
【0030】
信号重畳部23、重畳信号分離部24を構成するコイルは、電源電圧に重畳された信号を十分遮断できるインピーダンスと先端部8の各部で消費する電力を供給できるだけの電流通過容量とを持つことが必要である。一般に、理想的なコイル(インダクタンスのみ)のインピーダンスは2πfL[Ω](f:周波数[Hz]、L:インダクタンス[H])で表され、信号の周波数が高周波になるほど増加する。しかしながら、実際のコイルはインダクタンスの他に巻き線間に発生する線間容量を持つため、ある周波数(自己共振周波数:インダクタンス成分によるインピーダンスと静電容量成分によるインピーダンスとが等しくなる周波数)において共振現象を起こし、それ以上の高周波ではインピーダンスが低下する性質がある。このため、この共振現象を考慮しても、電源電圧に重畳された信号を十分遮断するだけの大きさのインピーダンスを持たせる必要がある。上記の例で説明すると、QVGA相当の画素数の撮像素子を用いた場合の方がVGA相当の画素数の撮像素子を用いた場合に比べてより低周波の信号を遮断する必要があるため、大きなインダクタンスを有するコイルを用いる必要がある。
【0031】
また、インダクタンスLが大きくなると自己共振周波数が低くなるためVGA相当の画素数の撮像素子を用いた場合には、高周波側でインピーダンスが不足することが考えられる。VGA相当の画素数の場合は、電源電圧に重畳された信号の周波数帯域における最低周波数が高くなるので、低周波側で十分なインピーダンスを確保できる程度の小さなインダクタンスを有するコイルを用いることで、高周波側のインピーダンスも確保できるようにする。
【0032】
また、信号重畳部23、重畳信号分離部24を構成するコンデンサは、電源電圧に重畳された信号が通過可能となる静電容量を持つことが必要である。一般に、理想的なコンデンサ(静電容量のみ)のインピーダンスは1/2πfC[Ω](f:周波数[Hz]、C:静電容量[F])で表され、信号の周波数が高周波になるほど減少する。即ち、コンデンサのインピーダンスがより低ければ、電源電圧に重畳された信号が通過しやすくなる。しかしながら、実際のコンデンサは静電容量の他に直列に配列される電極パターン等による残留インダクタンスを持つため、ある周波数(自己共振周波数)において共振現象を起こし、それ以上の高周波ではインダクタ成分が支配的となってインピーダンスが増加する性質がある。このため、コンデンサの静電容量は、電源電圧に重畳された信号の周波数帯域における最低の周波数におけるインピーダンスが十分低くなるように最低周波数が低いほど増やす必要がある。しかしながら、静電容量が大きくなると自己共振周波数が低くなるので、高周波側でインピーダンスを低くすることが困難となる。このため、使用する周波数帯域に応じて最適な静電容量を持つコンデンサを使用する必要がある。上記の例で説明すると、QVGA相当の画素数の撮像素子を用いた場合の方がVGA相当の画素数の撮像素子を用いた場合に比べて大きな静電容量を有するコンデンサを用いる必要がある。
【0033】
このように、信号重畳部23、重畳信号分離部24のコイル、コンデンサは、先端部8の撮像部21に用いられる撮像素子の画素数やフレームレートに応じて変化する信号の周波数帯域に応じて適切な回路定数を持たせる必要がある。
【0034】
ここで、本実施形態では、内視鏡1の先端部8内部の信号重畳部23で重畳された信号を分離するための重畳信号分離部24をプロセッサ部2に着脱自在に設けられたプロセッサ接続部7に設けている。このため、撮像部21を構成する撮像素子の画素数やフレームレート等を変える場合でもプロセッサ部2に接続する内視鏡1を付け替えれば適切な回路定数を持った重畳信号分離部24が接続されることになる。したがって、プロセッサ部2に複数の異なる仕様を持つ電源重畳方式の内視鏡1を接続することが可能である。
【0035】
ここで、図3の例では、重畳信号分離部24に差動入力レシーバ36を設けているが、差動入力レシーバ36は必ずしも重畳信号分離部24に設ける必要はなく、プロセッサ部2に設けるようにしても良い。このようにすれば、内視鏡1の部品点数を減らすことができるため、内視鏡1の低コスト化を図ることが可能である。
【0036】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態における電子内視鏡システムの内視鏡1とプロセッサ部2の主な構成を示すブロック図である。なお、図4においても図2と同様に操作部5については図示を省略している。図4において、図2と異なる点は、プロセッサ接続部7がプロセッサ部2に対してだけでなく内視鏡1に対しても着脱自在に構成されている点である。
【0037】
図5(a)は図4の電子内視鏡システムの第1の例の模式図である。図5(a)に示すように、プロセッサ接続部7は、コネクタを介して、内視鏡1とプロセッサ部2とに着脱自在に構成されている。ここで、プロセッサ接続部7内部の重畳信号分離部24を構成するコイル、コンデンサの回路定数はプロセッサ接続部7に接続される内視鏡1の信号周波数帯域に応じて設定されている。
【0038】
このような第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、内視鏡1の先端部8内部の信号重畳部23で重畳された信号を分離するための重畳信号分離部24をプロセッサ部2に着脱自在に設けられたプロセッサ接続部7に設けているため、撮像部21を構成する撮像素子の画素数やフレームレート等を変える場合でも内視鏡1に対応した回路定数を応じたプロセッサ接続部7を用いることで、複数の異なる仕様を持つ電源重畳方式の内視鏡1を接続することが可能である。さらに、第2の実施形態では、プロセッサ接続部7を内視鏡1と別体としているため、内視鏡1の部品点数を第1の実施形態よりも減らすことができるため、内視鏡1のさらなる低コスト化を図ることが可能である。
【0039】
ここで、図5(a)の例では、内視鏡1と信号ケーブル6を一体として構成しているが、図5(b)に示すように信号ケーブル6を含めてプロセッサ接続部7を構成するようにしても良い。この場合、内視鏡1の部品点数を図5(a)の場合よりもさらに削減することが可能である。
【0040】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。例えば、上述した実施形態では、信号重畳部23、重畳信号分離部24にコイル、コンデンサを用いた構成を例示したが、図6に示すようなトランスを用いた構成を用いても良い。
【0041】
図6の例においては、プロセッサ部2の電源部26において供給された電源電圧は直流信号であるため、トランス43、41、42、44を構成する片側の巻き線(トランス43、41においては図示上側の巻き線、トランス42、44においては図示下側の巻き線)のみを通過する。これによって先端部8の各部に電源電圧が供給される。
【0042】
一方、信号重畳部23内の差動出力ドライバ31から出力される差動信号は、交流信号であるため、トランス41、42を構成する巻き線間の磁気結合により信号ケーブル6を構成する電源線(電源側、GND側)に重畳される。このようにして電源電圧に重畳された信号は、重畳信号分離部24内のトランス43、44を構成する巻き線間の磁気結合により電源電圧から分離され、差動入力レシーバ36に入力される。このようにして、信号の重畳及び分離が行われ、電源線のみで先端部8からプロセッサ部2への画像信号の伝送を行うことが可能である。
【0043】
ここで、トランスも、コイルやコンデンサと同様に、使用可能な周波数帯域や許容可能な電流値がデバイスによって異なる。したがって、撮像部21を構成する撮像素子の画素数やフレームレート等により変化する信号の周波数帯域や電源線を通して供給する消費電流に応じた許容通過電流値を持った適切なトランスを使用する必要がある。即ち、トランスを用いて信号の重畳及び分離を行う構成を用いた場合も、重畳信号分離部24をプロセッサ接続部7に設けることで、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0044】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子内視鏡装置を有する電子内視鏡システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態における電子内視鏡システムの内視鏡とプロセッサ部の主な構成を示すブロック図である。
【図3】コイルとコンデンサとを用いて電源電圧に画像信号を重畳して伝送するための回路構成を示した図である。
【図4】第2の実施形態における電子内視鏡システムの内視鏡とプロセッサ部の主な構成を示すブロック図である。
【図5】図5(a)は第2の実施形態における電子内視鏡システムの第1の例の模式図であり、図5(b)は第2の実施形態における電子内視鏡システムの第2の例の模式図である。
【図6】トランスを用いて電源電圧に画像信号を重畳して伝送するための回路構成を示した図である。
【符号の説明】
【0046】
1…内視鏡、2…プロセッサ部、3…モニタ、4…挿入部、5…操作部、6…信号ケーブル、7…プロセッサ接続部、8…先端部、9…湾曲部、21…撮像部、22…信号処理部、23…信号重畳部、24…重畳信号分離部、25…信号処理部、26…電源部、31…差動出力ドライバ、32,35…コンデンサ、33,34…コイル、36…差動入力レシーバ、41,42,43,44…トランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影し画像信号を生成する撮像部及び前記画像信号に電源電圧を重畳して伝送する信号重畳部を有する内視鏡と、
前記内視鏡から伝送される信号のうちの前記画像信号に対して画像処理を行うプロセッサ部と、
前記プロセッサ部に着脱自在であって前記内視鏡と前記プロセッサ部とを電気的に接続し、前記内視鏡から伝送される信号を前記画像信号と前記電源電圧とに分離する重畳信号分離部を有するプロセッサ接続部と、
を具備することを特徴とする電子内視鏡装置。
【請求項2】
前記プロセッサ接続部は、さらに前記内視鏡にも着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
【請求項3】
前記信号重畳部及び前記重畳信号分離部はそれぞれに設けられた対応する回路定数を持つコイルとコンデンサとにより前記重畳及び前記分離を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
【請求項4】
前記信号重畳部及び前記重畳信号分離部はそれぞれに設けられた対応する回路定数を持つトランスにより前記重畳及び前記分離を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−301965(P2008−301965A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150902(P2007−150902)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】