説明

電子内視鏡装置

【課題】コアをプロセッサ内部に設けることなく、優れたEMCを実現させる。
【解決手段】ビデオスコープ10が接続されるプロセッサ20は、スコープ接続部となるコネクタ20Cの側にバッファ回路22、24を備える。ビデオスコープ10がプロセッサに接続されているとき、DC/DCコンバータ36を通じてバッファ回路22、24に最大電源電圧Vmを供給する。そして、ビデオスコープ10が取り外されると、バッファ回路22、24対して最小電源電圧Vzを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオスコープを使って器官内壁などの被写体を撮像し、観察画像をモニタに表示する電子内視鏡装置に関し、特に、スコープとプロセッサとのコネクタ(接続部)を通じて放出される電磁波ノイズのシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
電子内視鏡装置では、CCDなどのイメージセンサを先端部に備えたビデオスコープが画像処理などを行うプロセッサに接続されることで互いに電気的接続状態となり、ビデオスコープとプロセッサとの間では、駆動信号、制御信号、画像信号、データ信号などが伝送される。そのため、スコープとプロセッサのコネクタを通じて電磁波ノイズが放出されやすい。
【0003】
電子内視鏡装置は医療機器であることから、電磁波ノイズ放出を遮蔽することが強く求められる。すなわち、優れたEMC(Electro-Magnetic Compatibility:電磁環境適合性)が要求される。特に、プロセッサが電源ON状態のときにビデオスコープが外されている状況においても、プロセッサのコネクタ部分からのノイズ放出を十分に抑える必要がある。
【0004】
電磁波ノイズ放出を遮断する部材として、磁性材料から成る筒状のコアを使用する場合がある。ビデオスコープとプロセッサは、プラグ、レセプタクルといったコネクタが直接接触する構造であることから、コンピュータシステムのように接続用信号ケーブルの接続付近にコアを設ける構成は採用されず、ビデオスコープ内部あるいはプロセッサ内部にコアが設けられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−204931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ビデオスコープ、プロセッサのコネクタ付近では、回路機構、光源装置、ライトガイド機構などの部品が密集し、スペース的に制限がある。この密集部分にコアを挿入することが難しい。特に、コネクタ近くに配置される光源装置からの熱が密集部分に集中しやすくなり、コアの配置はプロセッサの動作を不安定化させる可能性がある。
【0007】
したがって、コアなどの電磁シールド部材を設けることなく、ビデオスコープの接続、非接続いずれの状況下においても、高いEMCを十分提供できることが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡装置は、ビデオスコープのコネクタ(ここでは、スコープ側コネクタという)と接続するプロセッサのコネクタ(ここでは、プロセッサ側コネクタという)と、配線を通じてプロセッサ側コネクタと接続するバッファ回路と、バッファ回路へ供給される電源電圧(駆動電圧)を調整する電源電圧制御手段と、ビデオスコープの接続/取り外しを検出するスコープ接続検出手段とを備える。
【0009】
スコープ側コネクタおよびプロセッサ側コネクタは、例えば、それぞれプラグ、レセプタクルなどによって構成可能であり、互いに直接接続することでビデオスコープとプロセッサとの間の電気的接続(信号伝送、電源供給等)が実現される。
【0010】
緩衝回路として動作可能なバッファ回路は、プロセッサ側コネクタと配線を通じて繋がる回路であり、入力側バッファ回路として構成される場合、スコープ側からの信号(画像信号、データなど)が最初に入力される回路となる。一方、出力側バッファ回路として機能する場合、スコープ側へ送られる信号(駆動信号、制御信号、電源電圧信号など)がコネクタ直前で最後に入出力される回路となる。
【0011】
電源電圧制御手段の構成については、例えば、DC電源を電圧変換し、所定の駆動電圧をバッファ回路へ供給するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータへ供給する駆動電圧を制御するコンバータ電圧制御回路を設けることが可能である。コンバータの駆動電圧が変わることによって、バッファ回路への供給電圧が変化する。
【0012】
そして、本発明の電源電圧制御手段は、ビデオスコープの取り外しが検出されると、バッファ回路への電源電圧を、ビデオスコープ接続時の電源電圧に比べて低下させる。電源電圧低下によって、プロセッサ側コネクタに最も近いバッファ回路からの電磁波ノイズ放射が抑えられる。
【0013】
電磁波ノイズの振幅はバッファ回路の電源電圧のレベルに依存する。バッファ回路の駆動電圧が低下することによってその動作時の電磁ノイズ放出も少なくなる。これにより、ビデオスコープが取り外されるのに合わせて、プロセッサ側コネクタから外部に放出される電磁波ノイズが自動的に抑えられる。すなわち、コアなどの部材をコネクタとバッファ回路の間に設けることなく、電磁波ノイズの放出が抑えられる。
【0014】
電源電圧制御手段は、ビデオスコープの取り外されている間、バッファ回路へ供給する電源電圧を低下させればよい。再びビデオスコープの接続が検出されると、バッファ回路への電源電圧がビデオスコープ接続時の電源電圧に戻る。
【0015】
電源電圧制御手段は、バッファ回路の動作可能な電圧範囲で適宜駆動電圧を設定可能である。ビデオスコープ接続の間については、緩衝回路としての機能を十分発揮させるため、動作可能な駆動電圧範囲の中で最大電圧に設定することができる。一方、ビデオスコープ非接続時には、最低電圧を設定することで、最大限ノイズの放出を抑えることができる。
【0016】
画像信号が最初に入力されるバッファ回路の場合、ビデオスコープの取り外し後すぐにバッファ回路に対する駆動電圧を下げると電圧変化によって映像信号が乱れ、モニタに映像の乱れが映る。これを防ぐため、まず、電源電圧制御手段が、映像出力停止のためバッファ回路へリセット信号を出力し、その後、バッファ回路へ供給する電源電圧を下げるのがよい。
【0017】
プロセッサの映像信号出力端子など信号出力コネクタ付近には、バッファ回路を設けることが可能である。例えば、映像信号伝送可能な信号ケーブルが接続される出力端子の直前にバッファ回路が設けられる。この場合、ビデオスコープ接続側コネクタ付近に設けられるバッファ回路と同様、バッファ回路に供給する電源電圧(駆動電圧)を調整するのが望ましい。
【0018】
例えば、プロセッサの映像信号出力部に外部機器が接続するのを検出する外部機器接続検出手段を設け、電源電圧制御手段は、外部機器の取り外しが検出されると、外部機器バッファ回路へ供給する電源電圧を、外部機器接続時の電源電圧に比べて低下させる。
【0019】
本発明の内視鏡用電源電圧制御装置は、ビデオスコープのスコープ側コネクタと接続するプロセッサ側コネクタと配線を通じて接続するバッファ回路へ供給される電源電圧を調整する電源電圧制御手段と、ビデオスコープの接続/取り外しを検出するスコープ接続検出手段とを備え、電源電圧制御手段が、ビデオスコープの取り外しが検出されると、バッファ回路へ供給する電源電圧を、ビデオスコープ接続時の電源電圧に比べて低下させることを特徴とする。
【0020】
本発明のプログラムは、電子内視鏡装置を、ビデオスコープのスコープ側コネクタと接続するプロセッサ側コネクタと配線を通じて接続するバッファ回路へ供給される電源電圧を調整する電源電圧制御手段と、ビデオスコープの接続/取り外しを検出するスコープ接続検出手段として機能させるプログラムであって、ビデオスコープの取り外しが検出されると、バッファ回路へ供給する電源電圧を、ビデオスコープ接続時の電源電圧に比べて低下させるように、電源電圧制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明によれば、コアをプロセッサ内部に設けることなく、優れたEMCを実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。
【図2】バッファ回路の概略的ブロック図である。
【図3】システムコントロール回路によって実行される入力側バッファ回路の駆動電圧制御処理を示したフローチャートである。
【図4】駆動電圧制御処理のタイミングチャートである。
【図5】映像信号出力側バッファ回路に対する駆動電圧制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、図面を参照して本実施形態である電子内視鏡装置について説明する。
【0024】
図1は、本実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。
【0025】
電子内視鏡装置は、その先端部にイメージセンサ12を設けたビデオスコープ10と、プロセッサ20とを備え、ビデオスコープ10はプロセッサ20に着脱自在に接続される。プロセッサ20には、モニタ50が接続されている。
【0026】
プロセッサ20は、キセノンランプなどの光源装置30を備え、光源装置30から放射された照明光は、集光レンズ(図示せず)を介してビデオスコープ10内に設けられたライトガイド11の入射端に入射し、ライトガイド11を通じてスコープ先端部10Bから被写体(観察対象)に向けて照射される。光源装置30とライトガイド11との間には絞り(図示せず)が設けられており、絞りの開閉によって自動的に光量が調整される。
【0027】
被写体に反射した照明光は、スコープ先端部10Bに設けられた対物レンズ(図示せず)によって結像し、被写体像がCCDなどのイメージセンサ12の受光面に形成される。イメージセンサ12では、1フレーム分の画素信号がイメージセンサ12から所定のフレーム時間間隔(例えば1/30秒間隔)で読み出される。イメージセンサ12には、Cy、Ye、G、MgあるいはR、G、Bから成る色要素をモザイク配列させた補色フィルタが配設されている。
【0028】
読み出された一連の画素信号は、前段画像信号処理回路14においてデジタル化されるとともに、デジタル化された画素信号に対してホワイトバランス処理、ガンマ補正処理などの画像信号処理が施される。これにより、R、G、Bの画像信号が生成される。生成されたR、G、B画像信号は、バッファ回路17を通ってプロセッサ20へ送られる。
【0029】
プロセッサ20に送信された画像信号は、バッファ回路32を介して後段画像処理回路28へ送られる。後段画像処理回路28では、輪郭強調処理、スーパーインポーズ処理などが画像信号に対して施される。そして、画像信号が映像信号としてモニタ50に出力されることにより、観察画像がリアルタイムでモニタ50に表示される。
【0030】
CPU、RAMなどを含むシステムコントロール回路25は、後段画像信号処理回路28などへ制御信号を出力し、プロセッサ20が電源ON状態のとき、その動作全体を制御する。動作制御プログラムは、あらかじめROM26に記憶されている。
【0031】
ビデオスコープ10がプロセッサ20に接続されると、システムコントロール回路25はバッファ回路19、22を介してスコープコントローラ16と相互通信し、ROM18に格納されたスコープ特性(解像度、スコープ種類)に関するデータを取得する。また、システムコントロール回路25は、スコープコントローラ16に設けられたCCD駆動回路(図示せず)に駆動信号を出力する。スコープコントローラ16は、プロセッサ20から送られてくる色情報データ等に基づき、スコープ動作制御を行う。
【0032】
電源ユニット34は、AC電源をDC電源に変換し、DC/DCコンバータ36を通じてプロセッサ20、さらにはビデオスコープ10の電気回路へ電源供給する。コンバータ電圧制御回路38は、DC/DCコンバータ36に対して駆動電圧を供給するとともに、システムコントロール回路25からの制御信号に基づき、DC/DCコンバータ36に対する駆動電圧の値を調整する。
【0033】
ビデオスコープ10にはプラグ形状のコネクタ10Cが、プロセッサ20にはレセプタクル形状のコネクタ20Cが形成されており、コネクタ10Cとコネクタ20Cとが直接結合することによって、ビデオスコープ10とプロセッサ20の間で電気接続が実現される。すなわち、ビデオスコープ10とプロセッサ20との間において、駆動信号、制御信号、電源電圧信号、画像信号など一連の信号が伝送可能となる。
【0034】
R、G、Bの画像信号が入力されるバッファ回路24は、配線21Aを通じてコネクタ20Cと接続されている。バッファ回路24は、ここではバッファIC(Integrated Circuit)で構成される緩衝回路であり、前段の回路、すなわちビデオスコープ側回路の動作による影響を受けないようにするため、画像信号が最初にバッファ回路24に入力される。
【0035】
コネクタ20C付近に設けられたもう一つのバッファ回路22は、システムコントロール回路25とコネクタ20Cとの間に設けられた緩衝回路であり、システムコントロール回路25から送られてくる駆動信号、制御信号、データ信号、電源電圧信号は、バッファ回路22を通過し、配線21Bを通じてコネクタ20Cから出力される。したがって、出力側バッファ回路として機能する。
【0036】
その一方で、スコープコントローラ16から送られてくる制御信号あるいはデータ信号は、配線21Bを通じて最初にバッファ回路22に入力される。したがって、バッファ回路22は、入力側、出力側両方の緩衝回路として機能する。
【0037】
プロセッサ20には、コネクタ20Cとは逆側にも、映像信号出力端子のあるコネクタ20Dが設けられている。コネクタ20Dには、配線32Aを通じてバッファ回路32が接続されている。後段画像信号処理回路28から出力される映像信号は、バッファ回路32を最終的に通過してモニタ50などの外部機器へ出力される。
【0038】
このように、プロセッサ20のバッファ回路22、24、32は、配線21A、21B、32Aを通じてコネクタ10C、20C、20Dと直接的に繋がっており、信号入力/出力が最初/最後の回路になる。このバッファ回路の内部構成について、以下説明する。
【0039】
図2は、バッファ回路24の概略的ブロック図である。
【0040】
バッファ回路24は、バッファIC24Aによって構成されており、DC/DCコンバータ36によって電源電圧が駆動電圧として供給される。DC/DCコンバータ36は、DC電源の電圧をバッファIC24Aの動作可能な電圧範囲(電圧帯域)まで低下させる。
【0041】
コンバータ電圧制御回路38は、電源ユニット34からの電力供給によって動作し、DC/DCコンバータ36に対して駆動電圧を供給する。また、コンバータ電圧制御回路38は、異なる駆動電圧でDC/DCコンバータ36を動作させることが可能であり、DC/DCコンバータ36からバッファ回路24へ供給される電源電圧は、DC/DCコンバータ36に対する駆動電圧の値に応じて変化する。
【0042】
システムコントロール回路25は、コンバータ電圧制御回路38に制御信号を出力し、DC/DCコンバータ36に対する駆動電圧を調整可能である。したがって、システムコントロール回路25からコンバータ電圧制御回路38へ送られる制御信号に従い、バッファ回路24への電源電圧が調整される。
【0043】
他のバッファ回路22、32についても、同様にDC/DCコンバータ36、コンバータ電圧制御回路38によって駆動電圧が調整されている。ただし、バッファ回路22では、駆動信号、制御信号、データ信号など複数の信号が入出力するため、信号線の数に応じてバッファICが設けられている。
【0044】
上述したように、バッファ回路22、24、32は、プロセッサ20のそれぞれ入力側最初の回路、もしくは出力側最後の回路となり、これらバッファ回路を通じてコネクタ20C、20Dから電磁波ノイズが外部に放出される。本実施形態では、コアなどのシールド部材を設けることなく電磁波ノイズの放出抑制可能な電気回路の動作制御を行う。以下、バッファ回路24における回路動作制御について説明する。
【0045】
図3は、システムコントロール回路25によって実行されるバッファ回路24の駆動電圧制御処理を示したフローチャートである。図4は、その駆動電圧制御処理のタイミングチャートである。
【0046】
プロセッサ20の電源がON状態である間、ビデオスコープ10がプロセッサ20に接続されているか否かが検出される(S101)。ここでは、ピン接合によってビデオスコープ10の接続/非接続を検出する。
【0047】
ビデオスコープ10が接続されていると判断されると、DC/DCコンバータ36に対する駆動電圧がV0(例えば5V)に設定されるように、コンバータ電圧制御回路38へ制御信号が送られる(S102)。これにより、バッファIC24Aは、DC/DCコンバータ36から供給される駆動電圧(電源電圧)Vmによって動作する(図4参照)。駆動電圧Vmは、バッファIC24Aの動作可能な電圧範囲Rの最大電圧である。また、映像信号を停止させるリセット信号はバッファ回路24へ送られない(S103)。
【0048】
一方、ビデオスコープ10が取り外されたと判断されると、始めに、映像信号出力停止用のリセット信号がバッファ回路24へ送られる(S104)。リセット信号によって画像信号はブラックアウトになり、モニタ50への映像信号出力が停止される。そして、リセット信号出力後、バッファIC24Aの駆動電圧をVmからVzに変更するため、DC/DCコンバータ36の駆動電圧がV1(例えば3.3V)に設定されるように、制御信号がコンバータ電圧制御回路38へ送られる(S105)。駆動電圧Vzは、動作可能電圧範囲Rの最小電圧である。
【0049】
バッファ回路24から放出される電磁波ノイズの振幅は、バッファ回路24へ供給される駆動電圧のレベルによって変化し、駆動電圧が小さいほどノイズ振幅が小さい。したがって、バッファ回路24が駆動電圧Vzによって動作している間、放出される電磁波ノイズは小さくなる。また、映像信号出力停止後にバッファ回路24の駆動電圧を低下させるため、駆動電圧を変化させるときに発生するノイズが画像信号に乗って乱れた映像が表示されることを防いでいる。
【0050】
ビデオスコープ10がプロセッサ20に再び接続されると、まず、DC/DCコンバータ36の駆動電圧がV1からV0に変更される。これによって、バッファ回路24の駆動電圧がVmに戻る。また、リセット信号が解除されて映像信号がモニタ50へ送られる(S102、S103)。
【0051】
バッファ回路22についても、同様に駆動電圧が制御される。すなわち、ビデオスコープ10が取り外されている間、バッファ回路22は電源電圧Vzが供給される。ただし、リセット信号の出力制御は行われない。
【0052】
次に、図5を用いて、映像信号出力端子側となるコネクタ20D付近に設けられたバッファ回路32に対する駆動電圧制御処理について説明する。図5は、バッファ回路32に対する駆動電圧制御処理のフローチャートである。
【0053】
プロセッサ電源ON状態の間、モニタなどの外部機器がケーブルを通じてプロセッサ20に接続されているか否かが判断される(S201)。ここでは、ケーブルがコネクタ20Dの出力端子に差し込まれると接続を検知する。
【0054】
外部機器が接続されている間、バッファ回路32の駆動電圧はVmに設定される(S203)。一方、外部機器が接続されていない状態になると、バッファ回路32の駆動電圧はVzに設定される(S202)。これによって、バッファ回路32からのノイズ放射が小さくなる。
【0055】
このように本実施形態によれば、プロセッサ20のコネクタ20Cの側にバッファ回路22、24が設けられており、ビデオスコープ10がプロセッサに接続されているとき、DC/DCコンバータ36を通じてバッファ回路22、24に最大電源電圧Vmが供給される。そして、ビデオスコープ10が取り外されると、バッファ回路22、24に最小電源電圧Vzが供給される。
【0056】
このようなバッファ回路に対する駆動電圧制御により、バッファ回路22、24とコネクタ20C、あるいはバッファ回路32とコネクタ20Dにコアを設けることなく、ビデオスコープ取り外し中における電磁波ノイズの放射を抑えることが可能となる。その結果、医療機器に要求されるEMCを十分満たすことができる。
【0057】
特に、ビデオスコープとの接続部となるコネクタには、光源装置、集光光学系など様々なコンポーネントが集中配置されることになり、スペース的に制約がある。本実施形態では、コアをその部分に設ける必要がないため、スペース的に余裕が生じ、また、光源装置からの熱がコネクタ付近で篭ることがなく、熱を発散させてプロセッサ全体の温度上昇を抑えることが可能となる。
【0058】
また、コアなどのノイズを吸収するシールド部材は、その材料に起因して非常に高価であり、また、重量も大きい。このようなシールド部材を排除することにより、シンプルで安価、かつ軽量なプロセッサを実現させることができる。
【0059】
なお、本実施形態ではコアを全くプロセッサ内部に設けない構成であるが、上述したバッファ回路とコネクタの間以外で内部スペースに余裕がある区域にコアを設ける構成にすることも可能である。この場合、完全にノイズの外部放射を抑えることができる。
【0060】
また、映像信号出力側のバッファ回路は特に駆動電圧制御せず、スコープ接続側のバッファ回路に対する駆動電圧制御だけ行ってもよい。人体に影響のあるスコープ接続側の電磁放射ノイズを抑えることによって、医療機器としてのEMCを満たすことが可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 ビデオスコープ
10C コネクタ
20 プロセッサ
20C コネクタ
20D コネクタ
22 バッファ回路
24 バッファ回路
25 システムコントロール回路
32 バッファ回路
36 DC/DCコンバータ
38 コンバータ電圧制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオスコープのスコープ側コネクタと接続するプロセッサ側コネクタと、
配線を通じて前記プロセッサ側コネクタと接続するバッファ回路と、
前記バッファ回路へ供給される電源電圧を調整する電源電圧制御手段と、
前記ビデオスコープの接続/取り外しを検出するスコープ接続検出手段とを備え、
前記電源電圧制御手段が、前記ビデオスコープの取り外しが検出されると、前記バッファ回路へ供給する電源電圧を、ビデオスコープ接続時の電源電圧に比べて低下させることを特徴とする電子内視鏡装置のプロセッサ。
【請求項2】
前記電源電圧制御手段が、前記ビデオスコープの取り外されている間、前記バッファ回路へ供給する電源電圧を低下させることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
【請求項3】
前記バッファ回路が、前記ビデオスコープからの画像信号がプロセッサ側で最初に入力されるバッファ回路であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の電子内視鏡装置のプロセッサ。
【請求項4】
前記電源電圧制御手段が、映像出力停止のため前記バッファ回路へリセット信号を出力した後、前記バッファ回路へ供給する電源電圧を下げることを特徴とする請求項3に記載の電子内視鏡装置のプロセッサ。
【請求項5】
前記バッファ回路が、前記ビデオスコープへ送る駆動信号もしくは制御信号が入力もしくは出力されるバッファ回路であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の電子内視鏡装置のプロセッサ。
【請求項6】
前記電源電圧制御手段は、前記ビデオスコープが取り外されると、前記バッファ回路の動作可能な電圧範囲の中で、最低電圧を電源電圧として供給することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子内視鏡装置のプロセッサ。
【請求項7】
前記電源電圧制御手段が、
DC電源を電圧変換し、所定の駆動電圧を前記バッファ回路へ供給するDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータへ供給する駆動電圧を制御するコンバータ電圧制御回路と
を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに電子内視鏡装置のプロセッサ。
【請求項8】
映像信号伝送可能な信号ケーブルが接続される映像信号出力部と、
配線を通じて前記映像信号出力部と接続する外部機器バッファ回路と、
前記映像信号出力部に前記外部機器が接続するのを検出する外部機器接続検出手段とをさらに備え、
前記電源電圧制御手段が、前記外部機器の取り外しが検出されると、前記外部機器バッファ回路へ供給する電源電圧を、外部機器接続時の電源電圧に比べて低下させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子内視鏡装置のプロセッサ。
【請求項9】
ビデオスコープのスコープ側コネクタと接続するプロセッサ側コネクタと配線を通じて接続するバッファ回路へ供給される電源電圧を調整する電源電圧制御手段と、
前記ビデオスコープの接続/取り外しを検出するスコープ接続検出手段とを備え、
前記電源電圧制御手段が、前記ビデオスコープの取り外しが検出されると、前記バッファ回路へ供給する電源電圧を、ビデオスコープ接続時の電源電圧に比べて低下させることを特徴とする内視鏡用電源電圧制御装置。
【請求項10】
電子内視鏡装置を、
ビデオスコープのスコープ側コネクタと接続するプロセッサ側コネクタと配線を通じて接続するバッファ回路へ供給される電源電圧を調整する電源電圧制御手段と、
前記ビデオスコープの接続/取り外しを検出するスコープ接続検出手段として機能させるプログラムであって、
前記ビデオスコープの取り外しが検出されると、前記バッファ回路へ供給する電源電圧を、ビデオスコープ接続時の電源電圧に比べて低下させるように、前記電源電圧制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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