説明

電子内視鏡

【課題】十分な照明光量を確保して照明むらの発生を防止するとともに、挿入部先端部を小径化する。
【解決手段】内視鏡挿入部の先端部16aには、観察窓26、一対の第1照明窓48a,48b、一対の第2照明窓49a,49bが設けられている。第1照明窓48a,48bは、観察窓26の中心を通る対称軸Lに対して線対称の位置に配されている。第2照明窓49a,49bは、第1照明窓48a,48bと共通の対称軸Lに対して線対称の位置に配されている。第1照明窓48a,48b、第2照明窓49a,49bは、互いに並列に配されている。第1照明窓48a,48bの外径は、第2照明窓49a,49bの外径よりも大きく形成され、照明光を広範囲に配光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内を観察するため、照明光を被検体内の観察範囲に照射する電子内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野において、電子内視鏡を利用した診断が広く普及している。電子内視鏡では、被検体内に挿入される挿入部の先端部に、観察窓と照明窓とを備えており、自然な観察が可能な白色光を照明光として照明窓から被検体内へ照射するとともに、観察窓を通じて被検体の像光を取り込み、観察画像を取得するようになっているが、白色光による観察では腫瘍組織等を把握し難い場合があるため、近年では、特定の狭い波長帯の光(以下、特殊光という)を被検体内に照射しながら被検体内を撮影することにより、腫瘍組織等を把握し易くした電子内視鏡システムが利用されている。
【0003】
特許文献1では、照明光として白色光等を照射する第1照明窓の他に、特殊光としての励起光を照射する第2照明窓を備えた電子内視鏡の構成が記載されている。さらに、この電子内視鏡では、通常観察を行うための第1観察窓と、特殊光観察を行うための第2観察窓とを設けており、第1照明窓は、第1観察窓を挟んで両側に設けられており、第2照明窓は、第2観察窓の近傍片側に並べて配設されている。これにより、白色光を照明光として照射する通常観察に加えて、特殊光を被検体へ照射する特殊光観察を1つの電子内視鏡で行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−34224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の電子内視鏡では、第1照明窓は、第1観察窓の両側に配設されているため照明光として均等に白色光を照射することができる。ところが、第2照明窓は、第2観察窓の片側にのみ配設されているため、特殊光観察の場合、第2照明窓の反対側の光量が不足して照明むらが発生するという問題があった。
【0006】
そこで、本出願人は、通常観察及び特殊光観察を行う観察窓を挟んで両側に、通常観察用の白色光が照射される第1照明窓と、特殊光観察用の特殊光が照射される第2照明窓とをそれぞれ配設して、通常観察及び特殊光観察のいずれにおいても照明むらを無くすことを検討している。
【0007】
しかしながら、観察窓の両側にそれぞれ第1及び第2照明窓を、計4個配設した場合、挿入部先端部におけるスペースを考慮して全ての照明窓の外径を小さく且つ同じ外径にすると、照明光の拡散が不十分となり、観察を行う際、照明光量不足に起因する照明むらが発生してしまう。一方、全ての照明窓の外径を大きく且つ同じ外径にすると、効率良く配置することが難しく挿入部先端部の外径が大型化してしまうことになる。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、十分な照明光量を確保して照明むらの発生を防止するとともに、挿入部先端部を小径化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子内視鏡は、被検体内に挿入される挿入部と、前記挿入部の先端に配され、被検体の像光を取り込むための観察窓と、前記観察窓から取り込まれた光を光電変換することにより前記被検体内を撮像する撮像素子と、被検体に照明光を照射する第1照明部であり、前記観察窓を間に挟んで両側に配置される一対の第1照明窓を有する第1照明部と、前記第1照明部とは分光分布の異なる照明光を照射する第2照明部であり、前記観察窓を間に挟んで両側に配置される一対の第2照明窓を有する第2照明部とを備え、前記第1照明窓は、前記第2照明窓より広範囲に配光することを特徴とする。
【0010】
前記第1照明窓は、前記第2照明窓より外径が大きいことが好ましい。あるいは、前記第1照明窓は、照明光を拡散する屈折力を有する拡散レンズであることが好ましい。
【0011】
前記第1及び第2照明窓の一方からは、白色光を照射し、他方からは前記白色光とは分光分布の異なる特殊光を照射することが好ましい。
【0012】
前記第1照明窓は、前記観察窓の中心を通る対称軸に対して線対称に配置され、前記第2照明窓は、前記第1照明窓と並列に配されるとともに、前記対称軸に対して線対称に配置されていることが好ましい。
【0013】
前記第1照明窓は、前記観察窓の中心を通る第1対称軸に対して線対称に配置され、前記第2照明窓は、前記第1対称軸と交差し、前記観察窓の中心を通る第2対称軸に対して線対称に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1の照明部を構成する一対の第1照明窓は、第1照明部とは分光分布の異なる照明光を照射する第2照明部を構成する一対の第2照明窓より広範囲に配光するので、十分な照明光量で被検体を照射して照明むらを無くすとともに、挿入部先端部を小径化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電子内視鏡システムの構成を示す外観図である。
【図2】電子内視鏡システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】電子内視鏡の先端部の平面図である。
【図4】照明光学系ユニットの構成を示す要部断面図である。
【図5】第1照明窓として拡散レンズを用いた第2実施形態の構成を示す平面図である。
【図6】第2実施形態を適用した照明光学系ユニットの構成を示す要部断面図である。
【図7】第1及び第2照明窓を互い違いに配置した第3実施形態の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、電子内視鏡システム11は、電子内視鏡12、プロセッサ装置13、及び光源装置14からなる。電子内視鏡12は、被検者の体内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に連接された操作部17と、プロセッサ装置13及び光源装置14に接続されるコネクタ18と、操作部17とコネクタ18との間を繋ぐユニバーサルコード19とを有する。
【0017】
挿入部16は、その先端に設けられ、被検体内撮影用のCCD型イメージセンサ(図2参照。以下、CCDという)30が内蔵された先端部16aと、先端部16aの基端に連設された湾曲自在な湾曲部16bと、湾曲部16bの基端に連設された可撓性を有する可撓管部16cとからなる。
【0018】
操作部17には、湾曲部16bを上下左右に湾曲させるためのアングルノブや挿入部16の先端からエアーや水を噴出させるための送気/送水ボタン、観察画像を静止画像記録するためのレリーズボタン、モニタ21に表示された観察画像の拡大/縮小を指示するズームボタン、通常観察と特殊光観察PDDの切り替えを行う切り替えボタンといった操作部材が設けられている。また、操作部17の先端側には、電気メスやPDTの治療光を導光する治療プローブ等の処置具が挿通される鉗子口22が設けられている。鉗子口22は、挿入部16内の鉗子チャンネル(図示せず)を介して、先端部16aに設けられた鉗子出口51に連通している。
【0019】
プロセッサ装置13は、光源装置14と電気的に接続され、電子内視鏡システム11の動作を統括的に制御する。プロセッサ装置13は、ユニバーサルコード19や挿入部16内に挿通された伝送ケーブルを介して電子内視鏡12に給電を行い、CCD30の駆動を制御する。また、プロセッサ装置13は、伝送ケーブルを介してCCD30から出力された撮像信号を取得し、各種画像処理を施して画像データを生成する。プロセッサ装置13で生成された画像データは、プロセッサ装置13にケーブル接続されたモニタ21に観察画像として表示される。
【0020】
図2に示すように、先端部16aには、観察窓26、第1照明部27、第2照明部28が設けられている。観察窓26は、レンズ群及びプリズムからなり、被検体の像光を取り込む対物光学系29の最先端に位置する。先端部16aの内部には、観察窓26の奥に、対物光学系29によって被検体内の像が撮像面に結像されるようにCCD30が配置されている。
【0021】
CCD30は、対物光学系29によって撮像面に結像された被検体内の像を光電変換して信号電荷を蓄積し、蓄積した信号電荷を撮像信号として出力する。出力された撮像信号はAFE31に送られる。AFE31は、AFE31は、相関二重サンプリング(CDS)回路、自動ゲイン調節(AGC)回路、A/D変換器など(いずれも図示は省略)から構成されている。CDSは、CCD30が出力する撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD30を駆動することによって生じるノイズを除去する。AGCは、CDSによってノイズが除去された撮像信号を増幅する。
【0022】
撮像制御部32は、電子内視鏡12とプロセッサ装置13とが接続されたとき、プロセッサ装置13内のコントローラ37に接続され、コントローラ37から指示がなされたときにCCD30に対して駆動信号を送る。CCD30は、撮像制御部32からの駆動信号に基づいて、所定のフレームレートで撮像信号をAFE31に出力する。
【0023】
プロセッサ装置13は、デジタル信号処理回路(DSP)33、デジタル画像処理回路(DIP)34、表示制御回路35、VRAM36、コントローラ37、操作部38等を備える。
コントローラ37は、プロセッサ装置13全体の動作を統括的に制御する。DSP33は、電子内視鏡12のAFE31から出力された撮像信号に対し、色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正等の各種信号処理を施し、画像データを生成する。DSP33で生成された画像データは、DIP34の作業メモリに入力される。また、DSP33は、例えば生成した画像データの各画素の輝度を平均した平均輝度値等、照明光量の自動制御(ALC制御)に必要なALC制御用データを生成し、コントローラ37に入力する。
【0024】
DIP34は、DSP33で生成された画像データに対して、電子変倍、色強調処理、エッジ強調処理等の各種画像処理を施す。DIP34で各種画像処理が施された画像データは、観察画像としてVRAM36に一時的に記憶された後、表示制御回路35に入力される。表示制御回路35は、VRAM36から観察画像を選択して取得し、モニタ21上に表示する。
【0025】
操作部38は、プロセッサ装置13の筐体に設けられる操作パネル、マウスやキーボード等の周知の入力デバイスからなる。コントローラ37は、操作部38や電子内視鏡12の操作部17からの操作信号に応じて、電子内視鏡システム11の各部を動作させる。
【0026】
第1及び第2照明部27,28は、光源装置14から供給された光を被検体内へ照射する。光源装置14は互いに中心波長が異なるレーザ光源LD1〜LD12を備える。各レーザ光源LD1〜LD12は、光源制御部39によりそれぞれ個別に調光制御されており、各レーザ光を個別に又は同時に発生することができる。光源制御部39は、プロセッサ装置13のコントローラ37から入力される調節信号や同期信号にしたがってLD1〜LD12の点灯/消灯のタイミングを調節する。さらに、光源制御部39は、コントローラ37と通信し、LD1〜LD12の発光量を調節することにより、被検体内に照射する照明光の強度を調節する。また、各レーザ光源の発光のタイミングや光量比は任意に変更可能となっており、各レーザ光が出射される照明窓からの光のスペクトルを、それぞれ個別に変更できる。
【0027】
LD1は、中心波長405nmのレーザ光を出射する狭帯域光観察用の光源である。LD2は中心波長445nmのレーザ光を出射して後述する波長変換部材である蛍光体を用いて白色光を生成するための光源である。なお、本発明における白色光とは、厳密に可視光の全ての波長成分を含むものに限らず、例えば、基準色である。R(赤),G(緑),B(青)等、特定の波長帯の光を含むものであればよく、例えば、緑色から赤色にかけての波長成分を含む光や、青色から緑色にかけての波長成分を含む光等も含むものとする。
【0028】
LD3〜LD12は、特定の狭い波長帯の光(以下、特殊光という)を出射する光源である。LD3及びLD4は、波長405nmのレーザ光を出射する光源であり、PDD等の蛍光観察時に用いられる。LD5及びLD6は、中心波長472nmのレーザ光を出射する光源であり、血中の酸素飽和度と血管深さの情報を抽出するために用いられる。LD7及びLD8は、中心波長665nmのレーザ光を出射する光源であり、PDTに用いられる。LD9及びLD10は、中心波長785nmのレーザ光を出射する光源であり、血管に注入したIGCの赤外光観察に用いられる。LD11及びLD12は、中心波長375nmのレーザ光を出射する光源であり、ルシフェラーゼを用いた蛍光観察を行うための光源である。なお、各レーザ光源は、上記中心発光波長の±10nmの範囲に入っていれば良い。
【0029】
各レーザ光源LD1〜LD12から出射されるレーザ光は、光ファイバ40a,40b,41a,41bに導入される。LD1,LD2からのレーザ光は、光ファイバ40a,40bを通じて先端部16aに配置された蛍光体42に伝送され、LD3〜LD12からのレーザ光は、それぞれ集光レンズ(図示しない)により導入された光ファイバ41a,41bを通じて光拡散部材43に伝送され、照明光や励起光、治療光として被検体内に向けて出射される。
【0030】
なお、LD1とLD2からのレーザ光は、それぞれ集光レンズ(図示しない)により導入されたコンバイナ44により合波して1系統の光路とされた後、カプラ45により分波して2系統の光路とし、それぞれコネクタ18に伝送される。これにより、LD1とLD2からのレーザ光が、各レーザ光源の個体差による発光波長のばらつきやスペックルが軽減されて光ファイバ40a,40bに均等に伝送される。ここでは、コンバイナ44及びカプラ45を用いるが、これらを用いずに各レーザ光源LD1,LD2からのレーザ光をコネクタ18に送出する簡略化した構成としても良い。
【0031】
第1照明部27は、照明光学系ユニット46a,46bから構成され、第2照明部28は、照明光学系ユニット47a,47bから構成される。照明光学系ユニット46aは、第1照明窓48aと光ファイバ40aと蛍光体42とから構成され、照明光学系ユニット46bは、第1照明窓48bと光ファイバ40bと蛍光体42とから構成される。照明光学系ユニット47aは、第2照明窓49aと光ファイバ41aと光拡散部材43とから構成され、照明光学系ユニット47bは、第2照明窓49bと光ファイバ41bと光拡散部材43とから構成される。
【0032】
図3に示すように、先端部16aの先端面52aからは、観察窓26、一対の第1照明窓48a,48b、一対の第2照明窓49a,49b、送気・送水ノズル50、鉗子出口51が露呈する。なお、観察窓26は、先端部16aの中心に対して若干外周面52b寄りの位置に配設されており、第1照明窓48a,48bは先端部16aの中心に近い位置に、第2照明窓49a,49bは、先端部16aの外周面52b寄りに互いに並列に配されている。
【0033】
第1照明窓48a,48bは、観察窓26を間に挟んで両側に配設されている。さらに、第1照明窓48a,48bは、観察窓26の中心を通る対称軸Lに対して線対称の位置に配されている。これにより、第1照明窓48a,48bから照射される照明光は観察窓26から像光が取り込まれる観察範囲を均等に照射するので、照明むらの発生を防ぐことができる。また、照明光学系ユニット46a,46bに対して例えば、LD2から青色レーザ光を導入することにより、白色光(通常光)が生成され、照明光学系ユニット46a,46bから被検体内に照射される。
【0034】
第2照明窓49a,49bは、観察窓26を間に挟んで両側に配設されている。さらに第2照明窓49a,49bは、第1照明窓48a,48bと共通の対称軸Lに対して線対称の位置に配されている。これにより、第1照明部27と同様に第2照明部28においても、第2照明窓49a,49bから照射される照明光は観察窓26から像光が取り込まれる観察範囲を均等に照射するので、照明むらの発生を防ぐことができる。また、照明光学系ユニット47a,47bに対して例えば、LD3,LD4から中心波長が405nmのレーザ光(PDD用の励起光)と、LD7,LD8から中心波長が665nmのレーザ光(治療光)とを選択的に導入することにより、照明光学系ユニット47a,47bから特殊光(励起光と治療光)のいずれかが被検体内に照射される。このように、第2照明部28から照射される照明光は、第1照明部27から照射される照明光とは分光分布が異なる。
【0035】
図4(A)に示すように、照明光学系ユニット46a,46bは、それぞれ同一の構成であって、シングルモードの光ファイバ40a(,40b)と、蛍光体42と、蛍光体42及び光ファイバ40a(,40b)を保持する保持部材としてのフェルール53と、蛍光体42の外周を覆う筒状のスリーブ部材54と、スリーブ部材54の先端を封止する第1照明窓48a(,48b)とから構成される。また、光ファイバ40a(,40b)の外周面は、保護チューブ55によって被覆されている。保護チューブ55の先端部は、スリーブ部材54の外周面に固定されている。
【0036】
照明光学系ユニット46a,46bの蛍光体42は、レーザ光源LD2からの青色レーザ光の一部を吸収して緑色〜黄色に励起発光する蛍光物質(例えばYAG蛍光体、あるいはBAM(BaMgAl10O17)等の蛍光体)を含んで構成される。これにより、青色レーザ光を励起光とする緑色〜黄色の励起発光光と、蛍光体42により吸収されず透過した青色レーザ光とが合わされて白色(擬似白色)の照明光が生成される。
【0037】
フェルール53は、略円筒形状に形成され、光ファイバ40a(,40b)が挿通される挿通孔56を有する。フェルール53の先端側には、蛍光体42を保持する蛍光体保持部57が形成されている。蛍光体保持部57は、フェルール53の先端面から蛍光体42の外形に合わせて凹となり、第1照明窓48a(,48b)と対面する先端側が開放された凹部状に形成されている。挿通孔56は、蛍光体保持部57の基端に連続している。
【0038】
蛍光体保持部57には、表面に反射膜58が設けられている。反射膜58は、銀、アルミ等の金属膜からなり、例えばメッキ、蒸着、スパッタなどにより薄膜状に形成される。蛍光体42は、蛍光体保持部57の内部に、反射膜58と接しつつ保持される。蛍光体42から発する照明光は反射膜58によって反射し、効率良く利用することができる。蛍光体保持部57に蛍光体42が保持されたとき、蛍光体42及び反射膜58の先端面がフェルール53の先端面と同一面となるように形成されている。挿通孔56は、フェルール53の中心軸に沿って形成されている。光ファイバ40aは、先端部が挿通孔56に嵌合し、蛍光体42の後方に保持される。
【0039】
スリーブ部材54は、先端側から順に、第1照明窓48a(,48b)を受ける受け部59と、フェルール53の外周面が嵌合する嵌合孔60とを有する略円筒形状に形成されている。受け部59は、嵌合孔60よりも内径が大きく形成されている。第1照明窓48a(,48b)が受け部59に接着されることにより、スリーブ部材54の先端が封止される。嵌合孔60は、スリーブ部材54の中心に沿って、受け部59からスリーブ部材54の後端面まで連続している。
【0040】
第1照明窓48a,48bは、蛍光体42を透過するレーザ光と、蛍光体42から励起発光される蛍光とを透過可能とし、略円板状に形成される光拡散部材である。この第1照明窓48a,48bは、蛍光体42の先端側を保護する保護カバーとしても機能し、例えば石英ガラスやサファイヤガラスなどから形成される。第1照明窓48a,48bの外径D1は、蛍光体42から出射される照明光を拡散して、対物光学系29及びCCD30による観察範囲に照射するのに十分な大きさを有している。第1照明窓48a,48bから照射される照明光の照射範囲は、観察範囲と同程度か、これよりも大きく、照明光は観察範囲の全面にほぼ均一に照射される。
【0041】
また、第1照明窓48a,48bの外径D1は、第2照明窓49a,49bの外径D2よりも大きく形成されている。すなわち、第1照明窓48a,48bは照明光を第2照明窓49a,49bより広範囲に配光する。図4(B)に示すように照明光学系ユニット47a,47bは、照明光学系ユニット46a,46bと同様の構成であるが、第2照明窓49a,49bの外径D2が、第1照明窓48a,48bの外径D1よりも小さい分、フェルール61、及びスリーブ部材62は、フェルール53及びスリーブ部材54よりも外径が小さく形成され、さらに、照明光学系ユニット46a,46bの蛍光体42に代えて光拡散部材43が配設され、光ファイバ41a,41bから光拡散部材43へ導光される。また、第2照明窓49a,49bも光拡散部材であり、光拡散部材43から出射された照明光を拡散して観察範囲に照射する。
【0042】
上述したように、第1照明窓48a,48bと第2照明窓49a,49bとは、観察窓26を間に挟んで両側に配置され、なお且つ第1照明窓48a,48bの外径D1は照明光を拡散して観察範囲に照射するのに十分な大きさで、第2照明窓49a,49bの外径D2は第1照明窓48a,48bの外径D1よりも小さく形成されている。よって、第1照明窓48a,48bから照射される照明光は十分な照明光量を確保しつつ、照明むらを防ぐことができ、なお且つ先端部16aの小径化を図ることができる。さらに、第1照明窓48a,48bは、第2照明窓49a,49bよりも先端部16aの中心寄りの位置に配されているので、第1照明窓48a,48bのほうが第2照明窓49a,49bよりも周辺のスペースに余裕がある。よって、第2照明窓49a,49bよりも外径の大きい第1照明窓48a,48bを配置しても先端部の小径化を妨げることがない。
【0043】
上記第1実施形態では、第1照明窓48a,48bを第2照明窓49a,49bよりも広範囲の配光にする構成として、第1照明窓48a,48bの外径D1を第2照明窓49a,49bの外径D2よりも大きく形成しているが、本発明はこれに限るものではなく、図5及び図6に示す第2実施形態の先端部70のように、第1照明窓48a,48bの外径D1と第2照明窓49a,49bの外径D2とを同じ寸法とし、第1照明窓48a,48bとして、被検体に対して照明光を拡散可能な屈折力を有する拡散レンズを用いてもよい。
【0044】
第2実施形態の先端部70では、第1照明窓48a,48bとして用いる拡散レンズは、先端側が平面71aで、基端側が凹面71bの平凹レンズである。これにより、蛍光体42から出射される照明光(白色光)を拡散して被検体の観察範囲に配光することができるので、上記第1実施形態と同様に第1照明窓48a,48bから照射される照明光は十分な照明光量を確保することができ、照明むらを防ぐことができる。さらに、第1照明窓48a,48b及び第2照明窓49a,49bをともに外径を小さく形成することが可能であり、先端部70のさらなる小径化を図ることができる。なお、第1照明窓48a,48bとしては、平凹レンズに限らず、両凸レンズ、両凹レンズなど、被検体に対して照明光を拡散可能な屈折力を有する拡散レンズであればよい。また、第1照明窓48a,48bとして拡散レンズを用いるとともに、第1照明窓48a,48bの外径D1を第2照明窓49a,49bの外径D2よりも大きく形成するようにしてもよい。
【0045】
上記第1及び第2実施形態では、第1照明窓48a,48bを先端部16aの中央寄りに配置し、第2照明窓49a,49bを先端部の外周面52b寄りに配置されているが、本発明はこれに限らず、第2照明窓49a,49bを先端部16aの中央寄りに配置し、第1照明窓48a,48bを先端部の外周面52b寄りに配置してもよい。
【0046】
また、上記第1及び第2実施形態では、第1照明窓48a,48b及び第2照明窓49a,49bを互いに並列に配置しているが、本発明はこれに限るものではなく、図7に示す第3実施形態の先端部80のように、第1照明窓48a,48b、及び第2照明窓49a,49bを互い違いに配置してもよい。
【0047】
第3実施形態の先端部80では、第1照明窓48a,48bは、観察窓26の中心を通る対称軸L1に対して線対称の位置に配されている。第2照明窓49a,49bは、観察窓26の中心を通り、対称軸L1と交差する対称軸L2に対して線対称の位置に配されている。なお、この第3実施形態の第1照明窓48a,48bは、上記第1及び第2実施形態と同様に、第2照明窓49a,49bよりも外径が大きいもの、または拡散レンズを用いており、第2照明窓49a,49bよりも広範囲の配光となっている。
【0048】
上記各実施形態では、第1照明窓48a,48bを第2照明窓49a,49bよりも広範囲の配光とする構成としているが、本発明はこれに限らず、第2照明窓49a,49bを第1照明窓48a,48bよりも広範囲な配光とする構成としてもよい。この場合、第2照明窓49a,49bから照射される特殊光の照明光量を十分に確保することができ、特殊光の照明むらを防ぐことができる。
【0049】
上記各実施形態では、第1照明窓48a,48bから照射される照明光として白色光と、狭帯域観察用の光とを照射可能とする構成を記載しているが、これに限らず、第1照明窓48a,48bからは照明光として白色光だけを照射するようにしてもよい。また、第2照明窓49a,49bから照射される特殊光としては、上記実施形態で述べたLD3〜LD12から照射されるレーザ光の種類に限定するものではなく、第1照明窓48a,48bから照射される照明光と分光分布が異なる光であればよい。また、上記各実施形態では、光源としてLDを用いる例を説明したが、LEDや、ハロゲンランプ、キセノンランプを用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
11 電子内視鏡システム
12 電子内視鏡
13 プロセッサ装置
14 光源装置
16 挿入部
16a,70,80 先端部
26 観察窓
27 第1照明部
28 第2照明部
46a,46b,47a,47b 照明光学系ユニット
48a,48b 第1照明窓
49a,49b 第2照明窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入される挿入部と、
前記挿入部の先端に配され、被検体の像光を取り込むための観察窓と、
前記観察窓から取り込まれた光を光電変換することにより前記被検体内を撮像する撮像素子と、
被検体に照明光を照射する第1照明部であり、前記観察窓を間に挟んで両側に配置される一対の第1照明窓を有する第1照明部と、
前記第1照明部とは分光分布の異なる照明光を照射する第2照明部であり、前記観察窓を間に挟んで両側に配置される一対の第2照明窓を有する第2照明部とを備え、
前記第1照明窓は、前記第2照明窓より広範囲に配光することを特徴とする電子内視鏡。
【請求項2】
前記第1照明窓は、前記第2照明窓より外径が大きいことを特徴とする請求項1記載の電子内視鏡。
【請求項3】
前記第1照明窓は、照明光を拡散する屈折力を有する拡散レンズであることを特徴とする請求項1または2記載の電子内視鏡。
【請求項4】
前記第1及び第2照明窓の一方からは、白色光を照射し、他方からは前記白色光とは分光分布の異なる特殊光を照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子内視鏡。
【請求項5】
前記第1照明窓は、前記観察窓の中心を通る対称軸に対して線対称に配置され、前記第2照明窓は、前記第1照明窓と並列に配されるとともに、前記対称軸に対して線対称に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子内視鏡。
【請求項6】
前記第1照明窓は、前記観察窓の中心を通る第1対称軸に対して線対称に配置され、前記第2照明窓は、前記第1対称軸と交差し、前記観察窓の中心を通る第2対称軸に対して線対称に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−139435(P2012−139435A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77(P2011−77)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】